JP2005286066A - トロイダルチョーク部品 - Google Patents

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Abstract


【課題】 トロイダルチョーク部品を基板に実装する作業について、作業性を向上させたトロイダルチョーク部品を提供すること。
【解決手段】 トロイダルコアと該トロイダルコアに巻回された巻線を備えたトロイダルチョーク部品本体と、
該トロイダルチョーク部品本体に組み付けられ、前記巻線のリード部が接続される取付用金具であって、前記トロイダルチョーク部品本体を基板に取付けると共に、前記トロイダルチョーク部品本体から発生する熱を放熱する取付用金具と、を少なくとも備えるようにした。
【選択図】 図9

Description

本発明は、チョークコイルやトランス等のトロイダルチョーク部品に関する。
トランスやチョークコイルは、例えば、電子機器用の電源装置などの基板に実装されている。トランスやチョークコイルのコアには、フェライトコアとトロイダルコアが多く用いられる。各コイルの特性から、トランスはフェライトコア、チョークコイルはトロイダルコアが用いられることが多い。
また、トランスやチョークコイルは、巻線の絶縁度によりコイルの温度上昇値が規定されており、その規定された温度上昇値以下にするため、単位面積あたりの巻線に流し得る電流密度が制限されている。トランスやチョークコイルが、比較的大きな電流が流れる回路、例えば電源装置などの基板に使用される場合には、単位面積あたりの巻線に流し得る電流密度以下にするため巻線を数本並列に巻回するか、または、巻線の線径を太くするといった工夫が必要になる。
図1に一般的なフェライトコアを用いたチョーク部品の外形図を示す。図1(a)はフェライトコアを用いたチョーク部品の正面図で、図1(b)は、そのチョーク部品の平面図である。図1(a)、(b)に示す様に、そのチョーク部品1は、ボビン5のボビン長に巻線2を巻回した後、E型のフェライトコア3を、ボビンの両側からボビンを挟むように挿入して製作される。
上記で製作されたチョーク部品1の巻線2の両端部は、基板6にハンダ付けするため、巻線2の絶縁被覆を剥離しリード部を剥き出しにする。その後、ボビン5から伸びている基板固定用ピン4を介して基板6に実装される。この例では、チョーク部品1は、ノイズ対策として、銅製のショートリング7を巻回している。
図1に示すようなフェライトコアを用いたチョーク部品1は、ボビン5の巻代が直線構造になっているため、巻線2の巻回に制限がなく、巻線2の巻回作業が容易という特徴がある。そのため、比較的大きな電流が流れる回路、例えば電源装置などの基板に使用される場合には、チョーク部品1の巻線2を平角線に変更し、巻線2の線径を太くしている。巻線2の線径を太くすることで、そのチョーク部品1に流れる電流を、単位面積あたりの巻線2に流し得る電流密度以下にすると共に、平角線を使用することで、巻線2を巻回し易くしている。これにより、巻線2の巻回作業の作業性を維持し、このチョーク部品1の縮小化を実現している。
しかし、かかるチョーク部品は、フェライトコアの形状が理想的ではないため、漏れ磁束が発生する。この漏れ磁束は、そのチョーク部品が実装された基板上の他の実装部品、特にコンデンサに影響を与えるため、そのチョーク部品は、他の実装部品と離して基板に実装されている。また、そのチョーク部品は漏れ磁束が発生するため、トロイダルチョーク部品に比べ電気特性が悪く、同サイズのトロイダルチョーク部品に比べて、インダクタンスLを大きくできないといった問題がある。そのため、例えば、比較的大きなインダクタンスLが必要なチョークコイルにはトロイダルチョーク部品が使われている。
図2に、従来のトロイダルチョーク部品本体の正面図を示す。図2に示すように、トロイダルチョーク部品本体15は、トロイダルコア9に作業者が巻線2を巻回した後、巻線2の絶縁被覆を剥離しリード部8を剥き出しにする。トロイダルチョーク部品本体15に使用するトロイダルコア9の形状は、理想的な形状に近く、フェライトコアを用いたチョーク部品に比べて、発生する漏れ磁束が少ないという特徴がある。漏れ磁束が少ないことから、そのチョーク部品本体15が実装された基板上の他の実装部品、特にコンデンサに与える影響がフェライトコアを用いたチョーク部品に比べて小さいので、他の実装部品と離す距離もフェライトコアを用いたチョーク部品に比べて短くてすむ。さらに、発生する漏れ磁束が少ないため、フェライトコアを用いたチョーク部品に比べて電気特性が良く、同サイズのフェライトコアを用いたチョーク部品に比べて、インダクタンスLを大きくすることができる。
その反面、トロイダルチョーク部品本体15に使用されるトロイダルコア9は、構造的に巻線2を巻回し難い形状のため、巻線2の線径や巻線2の形状に制限を受ける。特に、巻線2の形状は、トロイダルコア9に巻線2を巻回し易くするため、丸線を使用している。しかし、巻線2に丸線を使用しても、所定のサイズのトロイダルコア9に、巻線2を所定の回数、巻回する場合、巻線2の太さが太くなるにつれ、その巻線2はトロイダルコア9に巻回し難くなり、ある一定の太さで巻回できなくなる。これは、所定のサイズのトロイダルコア9に巻回できる巻線2の太さが限られることを示す。
そのため、比較的大きな電流が流れる回路、例えば電源装置などの基板6に使用される場合には、巻線2を数本並列に巻回するか、または巻線2の線径を太くするといった工夫が必要になるが、上記のように巻線2の線径や太さは限界があるため、トロイダルチョーク部品本体15に巻回する巻線2の本数を増やし、その巻線2のリード部8全数を基板6〔図1(a)参照〕の挿入穴に挿入し、その巻線2が電気的に並列接続になるようにハンダ付けすることで、そのチョーク部品本体15に流れる電流を、単位面積あたりの巻線2に流せ得る電流密度以下とし、そのチョーク部品本体15の温度上昇を抑制している。
しかし、所定の線径の巻線2を、所定のサイズのトロイダルコア9に巻回する場合でも、巻線回数が増えるにつれ、やはり、その巻線2はトロイダルコア9に巻回し難くなり、ある一定の回数で巻回できなくなる。これは、所定のサイズのトロイダルコア9に巻回できる巻線2の回数が限られることを示す。さらに、巻線2一本に対する回数は同じでも、並列に巻回する巻線数が増えると、トロイダルコア9に対する巻線2の回数の合計は増えるので、同様にある一定の回数で巻回できなくなる。そのため、トロイダルコアサイズを大きくしなければならない。また、巻線2のリード部8全数を基板6の挿入穴に挿入し、その巻線2が電気的に並列接続になるようにハンダ付けするため、巻線2の本数が増えると、そのチョーク部品本体15の巻線2の絶縁被覆を剥離して剥き出しになったリード部8間のリード長10とリードピッチ11の精度が悪くなり、このチョーク部品本体15のリード部8を基板6の挿入穴に挿入する際、誤挿入が起き易く、さらにハンダ付けに手間を要し、作業性が悪かった。
図3に台座を取付けた従来の縦型トロイダルチョーク部品の正面図を、図4に台座の一例を示した平面図を示す。従来は、基板6〔図1(a)参照〕、に実装し易くするため、チョーク部品本体15に図3に示すような絶縁物の台座14を取付けていた。その絶縁物の台座14は、図4に示すように、リード部用貫通穴12を備え、このリード部用貫通穴12にトロイダルチョーク部品本体15の巻線2の絶縁被覆を剥離して剥き出しになったリード部8を挿入して取付けている。この台座14を取付けることで、トロイダルチョーク部品本体15の巻線2の絶縁被覆を剥離して剥き出しになったリード部8のリード長10とリードピッチ11の精度を向上している。これにより、トロイダルチョーク部品本体15の巻線2のリード部8を基板6の挿入穴に挿入する際、誤挿入が起き難く、作業性が向上している(例えば、特許文献1参照)。
なお、本明細書中、図4に示すトロイダルチョーク部品本体15の台座14を平面から見た場合に、トロイダルチョーク部品本体15を取付けた後の形状が、略円形になるように取付けたトロイダルチョーク部品本体15を横型、それ以外の場合を縦型と呼ぶものとする。
図5に、台座を取付けた従来の横型トロイダルチョーク部品の斜視図を、図6に、基板に実装した台座を取付けた従来の横型トロイダルチョーク部品の斜視図を示す。図5に示すように、台座14を横型トロイダルチョーク部品本体15に取付け、トロイダルチョーク部品本体15のリード部8のリード長10とリードピッチ11(図2、3参照)、の精度を向上させている。図6では、その台座14を取付けたトロイダルチョーク部品本体15を基板6に実装させているが、巻線本数が多い場合、台座14を取付けることで、トロイダルチョーク部品本体15を基板に実装する作業における作業性が向上している。
図7に圧着端子を取付けた従来の縦型トロイダルチョーク部品の正面図を示す。図7に示すように、台座14の代わりに、トロイダルチョーク部品本体15のリード部に圧着端子13を圧着し、基板に実装する作業について作業性を向上させている。
実開平6−36951号公報
上述した従来のトロイダルチョーク部品では、トロイダルチョーク部品本体に使用されるトロイダルコアは、構造的に巻線を巻回し難い形状のため、巻線の線径や巻線の形状に制限を受け、所定のサイズのトロイダルコアに巻回できる太さや巻線の回数が決まってしまうため、比較的大きな電流が流れる回路、例えば電源装置などの基板に使用される場合には、巻線の絶縁度により規定されるトロイダルチョーク部品の温度上昇値以下になる単位面積あたりの巻線に流せ得る電流密度を越えないように、巻線の太さや並列に接続する巻線の本数とを考慮したにもかかわらず、それらがトロイダルコアの構造上から制限され、またトロイダルチョーク部品本体のサイズに制限がないことから、トロイダルチョーク部品本体のサイズが、フェライトコアを用いたチョーク部品に比べて、大きくなるといった問題がある。
さらに、上記の場合、トロイダルチョーク部品本体のサイズが、フェライトコアを用いたチョーク部品に比べて、大きくなると共に、巻線の並列に接続する本数が増えるため、トロイダルチョーク部品本体の巻線の絶縁被覆を剥離して剥き出しになったリード部間のリード長とリードピッチの精度が悪くなり、このチョーク部品のリード部を基板の挿入穴に挿入する際、誤挿入が起き易く、さらにハンダ付けに手間を要し、作業性が悪いといった問題があった。
また、上述した特許文献1に記載した台座を取付けたトロイダルチョーク部品では、台座により、トロイダルチョーク部品本体の巻線の絶縁被覆を剥離して剥き出しになったリード部のリード長とリードピッチの精度を向上し、リード部を基板の挿入穴に挿入する際、誤挿入が起き難く、作業性が向上しているが、基板の挿入穴に挿入後、電気的に並列接続になるようにハンダ付けするため、ハンダ付けの手間を要するといった問題がある。
また、上述した圧着端子を取付けたトロイダルチョーク部品では、圧着端子を取付けるため、トロイダルチョーク部品本体のリード部のリード長とリードピッチの精度が問題となり、量産上、そのリード長とリードピッチの精度を向上することができないといった問題がある。
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、トロイダルチョーク部品本体に取付用金具を取付けることで、このチョーク部品を基板に実装する作業について作業性を向上させたトロイダルチョーク部品を提供することにある。
本発明の他の目的は、トロイダルチョーク部品に上記の取付用金具を取付けることで、上記の取付用金具の放熱効果により、トロイダルチョーク部品の小型化を実現するものである。
上記目的達成のため、本発明のトロイダルチョーク部品は、トロイダルコアと該トロイダルコアに巻回された巻線を備えたトロイダルチョーク部品本体と、
該トロイダルチョーク部品本体に組み付けられ、前記巻線のリード部が接続される取付用金具であって、前記トロイダルチョーク部品本体を基板に取付けると共に、前記トロイダルチョーク部品本体から発生する熱を放熱する取付用金具と、を少なくとも有することを特徴とする。
これにより、上記の取付用金具を有するトロイダルチョーク部品は、そのチョーク部品本体の巻線のリード部をその取付用金具に固定し、その取付用金具を、そのチョーク部品を実装する基板に固定するので、従来のように、そのチョーク部品を実装する基板の挿入穴に、そのチョーク部品本体の巻線のリード部を挿入する必要がなく、そのチョーク部品の基板への実装作業を簡単かつ正確に実施することができる。
また、そのチョーク部品本体の巻線のリード部を直接基板の挿入穴に挿入しないで、取付用金具に固定するので、その巻線のリード部のリード長とリードピッチの精度を必要としないため、そのチョーク部品本体の製作が容易になる。
また、取付用金具の放熱効果により、取付用金具を取付けない従来のトロイダルチョーク部品を流れる電流密度と比べて、取付用金具付のトロイダルチョーク部品を流れる電流密度を大きくすることができ、取付用金具を取付けない従来のトロイダルチョーク部品に比べ小型化できる。さらに、フェライトコアを用いたチョーク部品と同じ外形サイズで電気特性の良いチョーク部品を提供することができる。
また、本発明にかかるトロイダルチョーク部品は、更に、絶縁物面を少なくとも有し、前記トロイダルチョーク部品本体と、前記巻線の前記リード部が接続される前記取付用金具との間に、前記絶縁物面を前記トロイダルチョーク部品本体または前記取付用金具の、少なくともどちらか一方に接触させて、取付けられる台座を有することを特徴とする。
これにより、上記の台座がない場合、トロイダルチョーク部品本体のトロイダルコアと取付用金具との接触面にある巻線には、巻線の導体に流れる電流による発熱とその巻線が接触している取付用金具に流れる電流による発熱により、他の場所の巻線に比べ、絶縁被覆を劣化させ易いが、上記の台座の絶縁物面により、巻線を取付用金具から絶縁させることで、巻線の絶縁被覆の劣化を防止できる。
また、本発明にかかるチョーク部品は、前記巻線の端部を前記取付用金具にヒュージング溶接を用いて固定したことを特徴とする。
従来は、トロイダルチョーク部品本体の巻線の絶縁被覆を剥離し、リード部を剥き出した後、直接基板の挿入穴に挿入しハンダ付けしていため、巻線に電流を流し、その電流で抵抗発熱を発生させると共に、巻線に圧力をかけ続け、巻線の絶縁被覆を溶かしながら、対象物に溶接するヒュージング溶接を使用できなかったが、ヒュージング溶接用の取付用金具を介することで、ヒュージング溶接を使用できる。よって、巻線の絶縁被覆を剥離し、リード部を剥き出しする工程が必要なくなり、作業工程の大幅な短縮につながる。
また、本発明にかかるローパスフィルタは、前記トロイダルチョーク部品本体の各相それぞれに、前記取付用金具を備え、前記取付用金具を前記トロイダルチョーク部品本体の外側でかつ両方向に延長し、前記取付用金具上でかつ前記トロイダルチョーク部品本体の両側に、コンデンサを実装したことを特徴とする。
トロイダルチョーク部品は漏れ磁束が、フェライトコアを用いたチョーク部品に比べて少ないので、ローパスフィルタの構成要素の一つであるコンデンサをトロイダルチョーク部品本体に近接して実装することができるが、これにより、フェライトコアを用いたチョーク部品を使用したローパスフィルタに比べ、取付け面積が小さいローパスフィルタを提供することができる。また、ローパスフィルタを取付用金具上に構成しているので、フェライトコアを用いたチョーク部品を使用したローパスフィルタのように、チョークコイルとコンデンサ2個をそれぞれ基板に実装する必要がなく、基板に取付用金具だけを固定するので、簡単且つ正確に実装でき、作業性の向上につながる。
また、本発明にかかるトロイダルチョーク部品に取付ける取付用金具は、トロイダルコアと該トロイダルコアに巻回された巻線を備えたトロイダルチョーク部品本体に組み付けられ、前記巻線のリード部が接続される取付用金具であって、前記トロイダルチョーク部品本体を基板に取付けると共に、前記トロイダルチョーク部品本体から発生する熱を放熱する取付用金具であって、前記基板に前記トロイダルチョーク部品本体を実装した場合に、
前記トロイダルチョーク部品本体との接触面に絶縁物面を有し、前記基板との接触面に金属面を有し、少なくとも、前記絶縁物面と前記金属面で形成されたことを特徴とする。
これにより、先に台座と取付用金具を組合わせ一体物とするので、トロイダルチョーク部品本体に台座と取付用金具を別々に取付ける必要がなくなり、作業性の向上につながる。
まず、本発明の理解を容易にするために、図8から16に本発明である取付用金具を取付けたトロイダルチョーク部品の一例を示し、その構成について説明する。
なお、図8は、本発明による取付用金具を取付けた横型トロイダルチョーク部品の一例を示した平面図、図9は、本発明による取付用金具を取付けた横型トロイダルチョーク部品の一例を示した斜視図、図10は、本発明による取付用金具を取付けた横型トロイダルチョーク部品を基板に実装した一例を示した斜視図、図11は、本発明による取付用金具を取付けた縦型トロイダルチョーク部品の製作工程を示す図である。
本発明の取付用金具を取付けたトロイダルチョーク部品は、例えば、図8に示すように、トロイダルチョーク部品本体15と台座14と取付用金具20から構成されている。このチョーク部品本体15は、図11に示す製作工程を経て、製作されている。例えば、図11に示すそのチョーク部品本体15の製作工程について述べると、まず、トロイダルコア9に巻線2を巻回し、トロイダルチョーク部品本体15を製作する。次に巻回済みのトロイダルチョーク部品本体15の巻線2であるマグネットワイヤーの両端部の絶縁被覆である絶縁エナメル部分を剥離する。巻線2であるマグネットワイヤーの両端部の絶縁被覆を剥離した後、リード部8が剥き出しになったので、そのリード部8にハンダ処理してメッキを行う。次に、メッキを施されたリード部8を、台座14に穴加工されているリード部用貫通穴12に通し、台座14を取付ける。その後、メッキを施されたリード部8を、取付用金具20にも穴加工されたリード部用貫通穴12に通し、取付用金具20を取付け、ハンダ付けする。取付用金具20を取付けた後、メッキを施されたリード部8が長く、余っている場合には、メッキを施されたリード部8を適度な長さを残して切断する。このようにして製作された取付用金具を取付けたトロイダルチョーク部品は、基板6に取付用金具20を介して実装される。
上記の工程で製作された取付用金具20を取付けたトロイダルチョーク部品の形状は、図9の斜視図のようになる。なお、図9では、取付用金具20に、コの次形の取付用金具20を採用し、その取付用金具20の両端部には、ねじ止め用の穴24を加工している。
また、図9では、コの次形の取付用金具20を各相それぞれに取付け、角度的に見えないが、メッキを施されたリード部8を、コの次形の取付用金具20に電気的に接続されるように、ハンダ付けされている。
ここで、図9の取付用金具20を取付けたトロイダルチョーク部品を基板6に取付けた場合の基板取付け姿図は、図10のようになる。図10に示す基板6では、図9のトロイダルチョーク部品本体15が取付用金具20を介して、ねじ止めできるように、基板6に図10のような基板6のL型取付用金具26が備えられている。図10では、基板6の取付用金具26にも、ねじ止め用の穴が加工されており、この穴と図9の取付用金具20を取付けたトロイダルチョーク部品の取付用金具20に加工されたねじ止め用の穴24にねじ21を挿入して、ねじ止めしている。この場合、トロイダルチョーク部品本体15に流れる比較的大きな電流は、図10では手前側の基板側のL型取付用金具26の両端から流入し、手前側の取付用金具20を通って、トロイダルチョーク部品本体15の巻線2に流れ、奥側の取付用金具20を通って、奥側のL型取付用金具26の両端から流出している。よって、従来の取付用金具20を取付けてないトロイダルチョーク部品に比べ、比較的大きな電流が、取付用金具20の両端からトロイダルチョーク部品本体15に流入するため、周辺回路の電流値が半分ですみ、この電流による温度上昇などの基板6に与える影響が従来に比べて小さいという特徴を持つ。なお、取付用金具20と基板6のL型取付用金具26の形状は、図9、図10に示す形状に限定されておらず、基板6と固定可能な形状であれば、どのような形状でも適用できる。
図12は、本発明の取付用金具を形状の一例を示す図である。図12に示すトロイダルチョーク部品本体15の取付用金具20の形状は、現在考えられる限りの形状を示しているが、本発明の取付用金具20はこれに限定されるものではない。それぞれ、トロイダルチョーク部品本体15を実装する基板6の取付用金具26に合わせて、考えられた形状であり、例えば、図12(a)は、先に図10で示したねじ止めする場合の取付用金具20の形状である。図12(b)は、基板に挿入するタイプで、基板6に差込口のメス側が用意されている場合の取付用金具20の形状である。これは、トロイダルチョーク部品本体15を取付用金具20に取付け、その取付用金具20を基板6に挿入して固定する。図12(c)は、基板6に溶接用の取付用金具26が用意されている場合の取付用金具20の形状である。これは、取付用金具20を基板6の取付用金具26に溶接して固定する。図12(d)も、図12(b)と同じく、基板6に挿入するタイプの取付用金具20の形状であるが、図12(b)と異なり、差込口がファストン端子などになっている。図12(e)は、ガルウィングタイプと呼ばれるもので、基板6の回路パターンに直接ハンダ付けで固定する場合の取付用金具20の形状を示している。図12(f)は、ヒュージング溶接固定タイプで、ヒュージング溶接用の取付用金具20の形状である。図12(a)から(e)までの形状と異なり、トロイダルチョーク部品本体15の巻線2のメッキを施されたリード部8を挿入してハンダ付けするためのリード部用貫通穴12が無いという特長がある。これは、ヒュージング溶接により、巻線2の絶縁被覆を剥離・ハンダ処理を行わずに溶接できるためである。
図13は、本発明の取付用金具に合わせて変更した台座14の形状の一例を示す図である。上記の図12に示す取付用金具20の一例は、取付用金具20のみを考慮した場合の形状である。しかし、図11の製作工程に示されているように、トロイダルチョーク部品本体15のリード部8を台座14に穴加工されているリード部用貫通穴12に通し、台座14を取付けた後、メッキを施されたリード部8を、取付用金具20にも穴加工されたリード部用貫通穴12に通し、取付用金具20を取付けているので、台座14と取付用金具20で同じ作業を重複して実施することになる。そこで、図13に示すように、台座14と取付用金具20の形状を工夫し、トロイダルチョーク部品本体15のメッキを施されたリード部8を挿入する前に、台座14と取付用金具20を組合せて、トロイダルチョーク部品本体15の接触面に樹脂面を持つ取付用金具25を形成し、その後トロイダルチョーク部品本体15のメッキを施されたリード部8を、その取付用金具25に穴加工されたリード部貫通穴12に挿入することで、トロイダルチョーク部品の製作工程の作業性の向上を図る。
図13(a)は、取付用金具20を台座14に側面にスライドさせて組合せるタイプの取付用金具25の形状である。図13(a)では、台座14に側面にスライドさせて組合せられる取付用金具20が1つしか描かれていないが、図13(b)のように多数の取付用金具20を1つの台座14に側面にスライドさせて組合せても良い。図13(b)は、台座14に取付用金具20を押し込むタイプの取付用金具25の形状である。トロイダルチョーク部品本体15の各相毎に取付用金具25を取付ける場合、ある相のメッキを施されたリード部8を取付用金具25に穴加工されたリード専用貫通穴12に挿入し、ハンダ付けで固定した後、別の相のメッキを施されたリード部8を取付用金具25のリード専用貫通穴12に挿入し、ハンダ付けで固定することになり、作業し難い。そこで、トロイダルチョーク部品本体15の各相それぞれに使用される取付用金具20を1つの台座14に組合せて、取付用金具25を形成することで、全ての相のメッキを施されたリード部8を取付用金具25のリード専用貫通穴12に挿入した後、ハンダ付けで固定することができる。これにより、トロイダルチョーク部品の製作工程の作業性の向上につながる。
図13(c)は、取付用金具20を台座14にはめ合わせて組合せるタイプの取付用金具25の形状である。これは、図13(b)と同じのように、トロイダルチョーク部品本体15の各相それぞれに使用される取付用金具20を1つの台座14に組合せて、取付用金具25を形成することで、全ての相のメッキを施されたリード部8を取付用金具25のリード専用貫通穴12に挿入した後、ハンダ付けで固定することができる。さらに、図13(c)のように、各相の取付用金具20の間を樹脂性の台座14で絶縁することで、相間寸法を狭くすることができる。
図14は、本発明による取付用金具を取付けた縦型トロイダルチョーク部品の巻線をヒュージング溶接した縦型トロイダルチョーク部品を示す図である。ヒュージング溶接は、巻線2に電流を流し、その電流で抵抗発熱を発生させると共に、巻線に圧力をかけ続け、巻線の絶縁被覆を溶かしながら、対象物に溶接する溶接技術で、巻線の絶縁被覆の剥離・ハンダ処理が必要なくなるといった特徴を持つ。図14に示すように、取付用金具20に図12(f)のような形状に加工したヒュージング溶接用取付用金具22を使用し、巻線2をヒュージング溶接することで、トロイダルチョーク部品の製作工程のうち、巻線の絶縁被覆の剥離・ハンダ処理を削減することができる。図15は、本発明による取付用金具を取付けた縦型トロイダルチョーク部品の巻線をヒュージング溶接した縦型トロイダルコイルの製作工程を示す図である。
図15に示すように、トロイダルコア9に巻線2を巻回し、製作されたトロイダルチョーク部品本体15は、台座14に穴加工されているリード部用貫通穴12に巻線2を通し、台座14を取付けた後、巻線2をヒュージング溶接用取付用金具22に通し、ヒュージング溶接することで、ヒュージング溶接用取付用金具22を固定する。このようにして製作されたトロイダルチョーク部品は、基板6にヒュージング溶接用取付用金具22を介して実装される。以上のように、ヒュージング溶接を行うことで巻線の絶縁被覆の剥離・ハンダ処理の製作工程を削減することができる。なお、図15では、トロイダルチョーク部品本体15の巻線2を、台座14に穴加工されているリード部用貫通穴12に通し、台座14を取付けているが、図13に示すように台座14とヒュージング溶接用取付用金具22を組合せて、取付用金具25を形成した場合には、取付用金具25には、リード部用貫通穴12の加工は不要となり、さらなる製作工程の削減が可能になる。
図16は、本発明の取付用金具を応用して製作したローパスフィルタを示す図である。図16に示すローパスフィルタは、トロイダルチョーク部品本体15に台座14と取付用金具20を固定し、その取付用金具20上であって、トロイダルチョーク部品本体15を挟んで両側に、コンデンサ23を配置して製作されている。トロイダルチョーク部品本体15は漏れ磁束が、トロイダルチョーク部品に比べて少ないので、ローパスフィルタの構成要素の一つであるコンデンサ23をトロイダルチョーク部品本体15に近接して実装することができるが、これにより、フェライトコアを用いたチョーク部品を使用したローパスフィルタに比べ、取付け面積が小さいローパスフィルタを提供することができる。また、ローパスフィルタを取付用金具上に構成しているので、フェライトコアを用いたチョーク部品を使用したローパスフィルタのように、チョークコイルとコンデンサ2個をそれぞれ基板に実装する必要がなく、基板に取付用金具だけを固定するので、簡単且つ正確に実装でき、作業性の向上につながる。
本実施形態のトロイダルチョーク部品は、トロイダルコア9とトロイダルコア9に巻回された巻線2を備えたトロイダルチョーク部品本体15と、
トロイダルチョーク部品本体15に組み付けられ、巻線2のリード部8が接続される取付用金具20であって、トロイダルチョーク部品本体15を基板6に取付けると共に、トロイダルチョーク部品本体15から発生する熱を放熱する取付用金具20と、を少なくとも有することを特徴とした。
従来の台座無しトロイダルチョーク部品本体では、図示しないが、巻線のリード部全数を基板の挿入穴に挿入し、その巻線が電気的に並列接続になるようにハンダ付けするため、比較的大きな電流が流れる回路、例えば、電源装置などの基板に使用される場合には、巻線の本数が増え、トロイダルチョーク部品本体の巻線の絶縁被覆を剥離して剥き出しになったリード部間のリード長とリードピッチの精度が悪くなり、このチョーク部品本体のリード部を基板の挿入穴に挿入する際、誤挿入が起き易く、さらにハンダ付けに手間を要し、作業性が悪かった。
従来の台座付きトロイダルチョーク部品では、図5と図6に示すように基板6に実装し易くするため、トロイダルチョーク部品本体15に樹脂性の台座14を取付けていたが、その樹脂性の台座14は、リード部用貫通穴12を備え、この巻線用貫通穴12にトロイダルチョーク部品本体15の巻線2の絶縁被覆を剥離して剥き出しになったリード部8を挿入して取付けており、この台座14により、トロイダルチョーク部品本体15の巻線2の絶縁被覆を剥離して剥き出しになったリード部8のリード長10とリードピッチ11の精度を向上し、トロイダルチョーク部品本体15の巻線2のリード部8を基板6の挿入穴に挿入する際、誤挿入は起き難くかった。しかし、従来の台座を取付けたトロイダルチョーク部品では、台座14により、トロイダルチョーク部品本体15の巻線2の絶縁被覆を剥離して剥き出しになったリード部8のリード長10とリードピッチ11の精度を向上し、リード部8を基板6の挿入穴に挿入する際、誤挿入が起き難くなったが、基板6の挿入穴に挿入後、電気的に並列接続になるようにハンダ付けを要するため、手間がかかるといった問題があった。
また、図7に示すように、従来のトロイダルチョーク部品では、圧着端子を取付けたトロイダルチョーク部品もあったが、圧着端子を取付けるため、トロイダルチョーク部品本体のリード部のリード長とリードピッチの精度が問題となり、量産上、そのリード長とリードピッチの精度を向上することができないといった問題があった。
本発明により、図9と図10に示す取付用金具20をトロイダルチョーク部品本体15に取付けることで、上記の問題を改善できる。その取付用金具20を有するトロイダルチョーク部品本体15は、そのチョーク部品本体15のメッキを施されたリード部8をその取付用金具20に固定し、その取付用金具20を、そのチョーク部品本体15を実装する基板6に固定するので、従来のように、そのチョーク部品本体15を実装する基板6の挿入穴に、そのチョーク部品本体15のメッキを施されたリード部8を挿入する必要がなく、トロイダルチョーク部品の基板6への実装作業を簡単かつ正確に実施することができる。
また、そのチョーク部品本体15のメッキを施されたリード部8を直接基板6の挿入穴に挿入しないで、取付用金具20に固定するので、そのメッキを施されたリード部8のリード長10とリードピッチ11の精度を必要としないため、そのチョーク部品本体15の製作が容易になる。
なお、本発明の取付用金具20を有するトロイダルチョーク部品に使用される取付用金具20は、その形状を、図12に示すように、基板6に合わせて変更することができ、さらに、その材質は、比較的大きい電流を流せるものであれば、どのような物質でも、例えば、銅や鉄、アルミなどでも製作可能である。
さらに、表1に示すように、取付用金具20の放熱効果により、取付用金具20を取付けない従来のトロイダルチョーク部品を流れる電流密度と比べて、取付用金具20付のトロイダルチョーク部品を流れる電流密度を大きくすることで、取付用金具20を取付けない従来のトロイダルチョーク部品に比べ小型化できる。
トランスやチョークコイルに使用されるコイルは、フェライトコアとトロイダルコアが多く用いられるが、それぞれ以下のような特徴がある。
なお、トランスやチョークコイルは、巻線の絶縁度によりコイルの温度上昇値が規定されており、その規定された温度上昇値以下にするため、単位面積あたりの巻線に流し得る電流密度が制限されている。トランスやチョークコイルが、比較的大きな電流が流れる回路、例えば電源装置などの基板に使用される場合には、単位面積あたりの巻線に流し得る電流密度以下にするため巻線を数本並列に巻回するか、または、巻線の線径を太くするといった工夫が必要になる。
図1に示すようなフェライトコアを用いたチョーク部品は、ボビン5の巻代が直線構造になっているため、巻線2の巻回に制限がなく、巻線2の巻回作業が容易であり、そのため、比較的大きな電流が流れる回路、例えば電源装置などの基板に使用される場合には、フェライトコアを用いたチョーク部品の巻線2を平角線に変更し、巻線2の線径を太くすることで、そのチョーク部品に流れる電流を、単位面積あたりの巻線2に流せ得る電流密度以下にすると共に、平角線を使用することで、巻線を巻回し易くしている。しかし、かかるチョーク部品は、フェライトコアの形状が理想的ではないことから、漏れ磁束が発生するため、そのチョーク部品が実装された基板上の他の実装部品、特にコンデンサに影響を与え、他の実装部品と離して基板に実装されているだけでなく、トロイダルチョーク部品に比べ電気特性が悪く、同サイズのトロイダルチョーク部品に比べて、インダクタンスLを大きくできないといった問題がある。
一方、図2に示すような従来のトロイダルチョーク部品本体15に使用するトロイダルコア9の形状は、理想的な形状に近く、フェライトコアを用いたチョーク部品に比べて、発生する漏れ磁束が少ないため、そのチョーク部品本体15が実装された基板上の他の実装部品、特にコンデンサに与える影響が、フェライトコアを用いたチョーク部品に比べて小さいので、他の実装部品と離す距離も、フェライトコアを用いたチョーク部品に比べて短くてすむだけでなく。さらに、フェライトコアを用いたチョーク部品に比べて電気特性が良く、同サイズのフェライトコアを用いたチョーク部品に比べて、インダクタンスLを大きくすることができる。
その反面、トロイダルチョーク部品本体15に使用されるトロイダルコア9は、構造的に巻線2を巻回し難い形状のため、巻線2の線径や巻線2の形状に制限を受け、特に、巻線形状は、トロイダルコア9に巻線2を巻回し易くするため、丸線を使用しているが、所定のサイズのトロイダルコア9に、巻線2を所定の回数、巻回する場合、巻線2の太さが太くなるにつれ、その巻線2はトロイダルコア9に巻回し難くなり、ある一定の太さで巻回できなくなる。そのため、比較的大電流が流れる回路、例えば電源装置などの基板6に使用される場合には、巻線2を数本並列に巻回するか、または巻線2の線径を太くするといった工夫が必要になるが、上記のように巻線2の線径を太さは限界があるため、トロイダルチョーク部品本体15に巻回する巻線2の本数を増やし、その巻線2のリード部8全数を基板6の挿入穴に挿入し、その巻線2が電気的に並列接続になるようにハンダ付けすることで、そのチョーク部品本体15に流れる電流を、単位面積あたりの巻線2に流し得る電流密度以下とし、そのチョーク部品本体15の温度上昇を抑制しているものの、所定の線径の巻線2を、所定のサイズのトロイダルコア9に巻回する場合、巻線回数が増えるにつれ、やはり、その巻線2はトロイダルコア9に巻回し難くなり、ある一定の回数で巻回できなくなる。さらに、巻線2一本に対する回数は同じでも、並列に巻回する巻線数が増えると、トロイダルコア9に対する巻線2の回数の合計は増えるので、同様にある一定の回数で巻回できなくなり、構造的にトロイダルコアサイズを大きくしなければならない。
そこで、図9に示す本実施形態の取付用金具20を取付けたトロイダルチョーク部品は、表1に示すように、所定の温度上昇を満たしつつ、さらにトロイダルチョーク部品の長所であるインダクタンスLの大きさを変更すること無しに、トロイダルチョーク部品を小型化することができる。これは、トロイダルチョーク部品本体15に取付けた取付用金具20の放熱効果によって、従来のトロイダルチョーク部品よりも本発明のトロイダルチョーク部品本体15からの発熱を高くしても所定の温度上昇を満たすので、発熱を高く設計できる。それにより、巻線2に流すことができる電流の電流密度を高く設計でき、この巻線2に流すことができる電流の電流密度が高くなったので、並列に巻回する巻線2の本数を少なくしても、そのチョーク部品本体15に流れる電流を、巻線2に流すことができる電流の電流密度以下にすることができたので、並列に巻回する巻線2の本数を少なくできる。よって、トロイダルチョーク部品本体15のトロイダルコア9に巻回される巻線2の全本数が少なくなり、トロイダルコア9の小型化につながる。
表1に本発明品と従来品との比較を示す。表1に示すように、インダクタンスLだけ見れば、従来のトロイダルチョーク部品よりも従来のフェライトコアを用いたチョーク部品のほうが、上記の説明により大きくすることができるが、そうすると構造上の問題から、従来のトロイダルチョーク部品の外形寸法が、従来のフェライトコアを用いたチョーク部品に比べ、大きくなるという問題があったが、本発明により、インダクタンスLを従来のトロイダルチョーク部品と同じにしつつ、外形寸法を従来のフェライトコアを用いたチョーク部品と同じにすることができる。
また、図9に示すように、本発明にかかる取付用金具20は、トロイダルチョーク部品本体15の各相毎に取付けられ、図10に示すように基板6と2箇所で、ねじ止めされるため、トロイダルチョーク部品本体15に流れる比較的大きな電流は、図10の手前側の基板側のL型取付用金具26の両端から流入し、手前側の取付用金具20を通って、トロイダルチョーク部品本体15の巻線2に流れ、奥側の取付用金具20を通って、奥側のL型取付用金具26の両端から流出しているため、従来のトロイダルチョーク部品に比べ、その比較的大きな電流が、取付用金具20の両端からトロイダルチョーク部品本体15に流入するため、周辺回路の電流値が半分ですみ、この電流による温度上昇などの基板6に与える影響が従来に比べて小さいという特徴を持つ。
また、本発明にかかるトロイダルチョーク部品は小型化だけでなく、漏れ磁束がないなどの特徴から、従来のフェライトコアを用いたチョーク部品と同じ外形サイズで、従来のフェライトコアを用いたチョーク部品より電気特性の良いトロイダルチョーク部品を提供することができる。

表1.本発明品と従来品との比較
Figure 2005286066
また、本実施形態のトロイダルチョーク部品では、更に、絶縁物面を少なくとも有し、トロイダルチョーク部品本体15と、巻線2のリード部8が接続される取付用金具20との間に、絶縁物面をトロイダルチョーク部品本体15または取付用金具20の、少なくともどちらか一方に接触させて、取付けられる台座14を備えた。
これにより、上記の台座14がない場合、トロイダルチョーク部品本体15のトロイダルコア9と取付用金具20との接触面にある巻線2には、巻線2の導体に流れる電流による発熱とその巻線2が接触している取付用金具20に流れる電流による発熱により、他の場所の巻線2に比べ、絶縁被覆を劣化させ易いが、上記の台座の絶縁物面により、巻線2を取付用金具から絶縁させることで、巻線2の絶縁被覆の劣化を防止できる。
また、本実施形態のトロイダルチョーク部品は、巻線2の端部を取付用金具22にヒュージング溶接を用いて固定した。
従来のトロイダルチョーク部品は、巻線の絶縁被覆を剥離し、リード部を剥き出した後、直接基板の挿入穴に挿入しハンダ付けしていため、巻線に電流を流し、その電流で抵抗発熱を発生させると共に、巻線に圧力をかけ続け、巻線の絶縁被覆を溶かしながら、対象物に溶接するヒュージング溶接を使用できなかった。
また、本実施形態の取付用金具を取付けたトロイダルチョーク部品でも、例えば、図9に示すトロイダルチョーク部品本体15に取付ける取付用金具20では、図11に示すように、トロイダルコア9に巻線2を巻回し、トロイダルチョーク部品本体15を製作し、次に巻回済みのトロイダルチョーク部品本体15の巻線2であるマグネットワイヤーの両端部の絶縁被覆である絶縁エナメル部分を剥離し、巻線2であるマグネットワイヤーの両端部の絶縁被覆を剥離した後、そのリード部8にハンダ処理してメッキを行い、メッキを施されたリード部8を、台座14に穴加工されているリード部用貫通穴12に通し、台座14を取付けた後、メッキを施されたリード部8を、取付用金具20にも穴加工されたリード部用貫通穴12に通し、取付用金具20を取付け、ハンダ付けする。取付用金具20を取付けた後、メッキを施されたリード部8が長く、余っている場合には、メッキを施されたリード部8を適度な長さを残して切断するといった製作工程で製作する必要がある。
しかし、図14に示すように、取付用金具20を図12(f)のような形状に加工したヒュージング溶接用取付用金具22を使用することで、ヒュージング溶接することを可能にする。
また、巻線2をヒュージング溶接することで、図15に示すように、トロイダルコア9に巻線2を巻回し、製作されたトロイダルチョーク部品本体15は、台座14に穴加工されているリード部用貫通穴12に巻線2の端部を通し、台座14を取付けた後、巻線2の端部をヒュージング溶接用取付用金具22に通し、ヒュージング溶接用取付用金具22を固定でき、従来のトロイダルチョーク部品の製作工程であった巻線の絶縁被覆の剥離・ハンダ処理の製作工程を削減することができる。なお、図15では、トロイダルチョーク部品本体15の巻線2の端部を、台座14に穴加工されているリード部用貫通穴12に通し、台座14を取付けているが、図13に示すように台座14とヒュージング溶接用取付用金具22を組合せて、取付用金具25を形成した場合には、取付用金具25には、リード部用貫通穴12の加工は不要となり、さらなる製作工程の削減が可能になる。
また、本実施形態にかかるトロイダルチョーク部品を使用して製作したローパスフィルタは、トロイダルチョーク部品本体15の各相それぞれに、取付用金具20を備え、取付用金具20をトロイダルチョーク部品本体15の外側でかつ両方向に延長し、取付用金具20上でかつトロイダルチョーク部品本体15の両側に、コンデンサを実装させることで製作した。
図16に示すように、トロイダルチョーク部品本体15は漏れ磁束が、フェライトコアを用いたチョーク部品に比べて少ないので、ローパスフィルタの構成要素の一つであるコンデンサ23をトロイダルチョーク部品本体15に近接して実装することができる。これにより、フェライトコアを用いたチョーク部品を使用したローパスフィルタに比べ、取付け面積が小さいローパスフィルタを提供することができる。また、ローパスフィルタを取付用金具20上に構成しているので、フェライトコアを用いたチョーク部品を使用したローパスフィルタのように、チョークコイルとコンデンサ2個をそれぞれ基板6に実装する必要がなく、基板6に取付用金具20だけを固定するので、簡単且つ正確に実装でき、作業性の向上につながる。
また、本実施形態にかかる取付用金具は、トロイダルコア9とトロイダルコア9に巻回された巻線2を備えたトロイダルチョーク部品本体15に組み付けられ、巻線2のリード部8が接続される取付用金具20であって、トロイダルチョーク部品本体15を基板6に取付けると共に、トロイダルチョーク部品本体15から発生する熱を放熱する取付用金具20であって、基板6にトロイダルチョーク部品本体15を実装した場合に、トロイダルチョーク部品本体15との接触面に絶縁物面を有し、基板6との接触面に金属面を有し、少なくとも、絶縁物面と金属面で形成された。
図11に示されている製作工程では、トロイダルチョーク部品本体15のリード部8を台座14に穴加工されているリード部用貫通穴12に通し、台座14を取付けた後、メッキを施されたリード部8を、取付用金具20にも穴加工されたリード部用貫通穴12に通し、取付用金具20を取付けているので、台座14と取付用金具20で同じ作業を重複して実施することになる。そこで、図13に示すように、台座14と取付用金具20の形状を工夫し、トロイダルチョーク部品本体15のメッキを施されたリード部8を挿入する前に、台座14と取付用金具20を組合せて、トロイダルチョーク部品本体15の接触面に樹脂面を持つ取付用金具25を形成する。その後トロイダルチョーク部品本体15のメッキを施されたリード部8を、その取付用金具25に穴加工されたリード部貫通穴12に挿入することで、トロイダルチョーク部品の製作工程の作業性の向上を図ることができる。
また、トロイダルチョーク部品本体15の各相毎に取付用金具25を取付ける場合、ある相のメッキを施されたリード部8を取付用金具25に穴加工されたリード専用貫通穴12に挿入し、ハンダ付けで固定した後、別の相のメッキを施されたリード部8を取付用金具25のリード専用貫通穴12に挿入し、ハンダ付けで固定することになり作業し難い。
そこで、金属面と樹脂面を持つ取付用金具25は、図13(b)、(c)のように、トロイダルチョーク部品本体15の各相それぞれに使用される取付用金具20を1つの台座14に組合せて、取付用金具25を形成することができる。これにより、全ての相のメッキを施されたリード部8を取付用金具25のリード専用貫通穴12に挿入した後、ハンダ付けで固定することができ、作業性の向上を図ることができる。さらに、図13(c)のように、取付用金具25を製作する際、各相の取付用金具20の間を樹脂性の台座14で絶縁することで、相間寸法を狭くすることができる。これにより、取付用金具25を小型化できる。
また、図13では、台座14と取付用金具20を組合わせて取付用金具25を製作しているが、組合わせに限定することはなく、図示していないが、樹脂面と金属面を張り合せて、簡易の取付用金具25を製作することもできる。これにより、従来のトロイダルチョーク部品に取付けていた台座が不要になり、製作工程を削減することができる。
なお、以上に述べた実施形態は、本発明の実施の一例であり。本発明の範囲はこれらに限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で、他の様々な実施形態に適用可能である。例えば、図12に本発明の取付用金具を形状の一例を示す図を示したが、トロイダルチョーク部品本体15の取付用金具20の形状は、これに限定されるものでなく、また図11に示すように、本実施例では、取付用金具20を取付けたトロイダルチョーク部品の製作工程で、リード部8にメッキを施しているが、このメッキは、本発明とは直接関係せず、このメッキを施すことに限定されるものではない。
また、図13に、本発明の取付用金具20に合わせて変更した台座14の形状の一例を示す図を示したが、台座14と取付用金具20の組合わせは、これに限定されるものでなく、また、台座14もこれに限定されるものではない。さらに、図13(a)では、台座14に側面にスライドさせて組合せられる取付用金具20が1つしか描かれていないが、図13(b)のように多数の取付用金具20を1つの台座14に側面にスライドさせて組合せても良い。
また、金属面と絶縁物面を備える取付用金具25について、本実施形態では、絶縁物に樹脂を使用しているが、これに限定されるものでなく、絶縁材料であれば、適用可能である。さらに、本実施形態では、絶縁面を構成する樹脂性の台座14と金属面である取付用金具20を組合わせて、または張り付けで製作しているが、これに限定されるものでなく、他の製作方法でも適用可能である。さらに、台座14は、本実施形態では、樹脂性の台座を使用しているが、これに限定されるものでなく、他の材質であっても絶縁物であれば、適用可能である。
比較的大電流が流れる回路にトロイダルチョーク部品が必要とされる基板を使用する電源装置であれば、適用可能である。
一般的なフェライトコアを用いたチョーク部品本体の外形図 従来のトロイダルチョーク部品の正面図 台座を取付けた従来の縦型トロイダルチョーク部品の正面図 台座の一例を示した正面図 台座を取付けた従来の横型トロイダルチョーク部品の斜視図 基板に実装した台座を取付けた従来の横型トロイダルチョーク部品の斜視図 圧着端子を取付けた従来の縦型トロイダルチョーク部品の正面図 本発明による取付用金具を取付けた横型トロイダルチョーク部品の一例を示した平面図 本発明による取付用金具を取付けた横型トロイダルチョーク部品の一例を示した斜視図 本発明による取付用金具を取付けた横型トロイダルチョーク部品を基板に実装した一例を示した斜視図 本発明による取付用金具を取付けた縦型トロイダルチョーク部品の製作工程を示す図 本発明の取付用金具を形状の一例を示す図 本発明の取付用金具に合わせて変更した台座の形状の一例を示す図 本発明による取付用金具を取付けた縦型トロイダルチョーク部品の巻線をヒュージング溶接した縦型トロイダルチョーク部品を示す図 本発明本発明による取付用金具を取付けた縦型トロイダルチョーク部品の巻線をヒュージング溶接した縦型トロイダルチョーク部品の製作工程を示す図 本発明の取付用金具を応用して製作した簡易ローパスフィルタを示す図
符号の説明
1 フェライトコアを用いたチョーク部品、 2 巻線、 3 フェライトコア、
4 基板固定用ピン、5 ボビン、 6 基板、 7 ショートリング、
8 リード部、 9 トロイダルコア、 10 リード長、 11 リードピッチ、
12 リード部用貫通穴、 13 圧着端子、 14 台座、
15 トロイダルチョーク部品、
20 取付用金具、 21 ねじ、 22 ヒュージング溶接用取付用金具、
23 コンデンサ、 24 ねじ止め用の穴、 25 取付用金具
26 取付用金具

Claims (5)

  1. トロイダルコアと該トロイダルコアに巻回された巻線を備えたトロイダルチョーク部品本体と、
    該トロイダルチョーク部品本体に組み付けられ、前記巻線のリード部が接続される取付用金具であって、前記トロイダルチョーク部品本体を基板に取付けると共に、前記トロイダルチョーク部品本体から発生する熱を放熱する取付用金具と、を少なくとも有することを特徴とするトロイダルチョーク部品。
  2. 請求項1に記載のトロイダルチョーク部品において、更に、絶縁物面を少なくとも有し、前記トロイダルチョーク部品本体と、前記巻線の前記リード部が接続される前記取付用金具との間に、前記絶縁物面を前記トロイダルチョーク部品本体または前記取付用金具の、少なくともどちらか一方に接触させて、取付けられる台座を有することを特徴とするトロイダルチョーク部品。
  3. 請求項1または2に記載のトロイダルチョーク部品において、前記巻線の端部を前記取付用金具にヒュージング溶接を用いて固定したことを特徴とするトロイダルチョーク部品。
  4. 請求項1又は2に記載のトロイダルチョーク部品を用いたローパスフィルタであって、
    前記トロイダルチョーク部品本体の各相それぞれに、前記取付用金具を備え、前記取付用金具を前記トロイダルチョーク部品本体の外側でかつ両方向に延長し、前記取付用金具上でかつ前記トロイダルチョーク部品本体の両側に、コンデンサを実装したことを特徴とするローパスフィルタ。
  5. トロイダルコアと該トロイダルコアに巻回された巻線を備えたトロイダルチョーク部品本体に組み付けられ、前記巻線のリード部が接続される取付用金具であって、前記トロイダルチョーク部品本体を基板に取付けると共に、前記トロイダルチョーク部品本体から発生する熱を放熱する取付用金具であって、前記基板に前記トロイダルチョーク部品本体を実装した場合に、
    前記トロイダルチョーク部品本体との接触面に前記絶縁物面を有し、前記基板との接触面に金属面を有し、少なくとも、前記絶縁物面と前記金属面で形成されたことを特徴とする取付用金具。
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