JP2003133089A - 放電ランプ装置および照明装置 - Google Patents

放電ランプ装置および照明装置

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JP2003133089A JP2001327177A JP2001327177A JP2003133089A JP 2003133089 A JP2003133089 A JP 2003133089A JP 2001327177 A JP2001327177 A JP 2001327177A JP 2001327177 A JP2001327177 A JP 2001327177A JP 2003133089 A JP2003133089 A JP 2003133089A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】放電ランプの長寿命化を図った放電ランプ装置
および照明装置を提供する。 【解決手段】放電ランプ装置1は、タングステンコイル
9および酸化物エミッタを有する一対の電極5,5を有
する放電ランプ2と、電極5の定格点灯時における抵抗
値(Rh)と25℃における抵抗値(Rc)との比(R
h/Rc)が3〜5の範囲内となるようにそれぞれの電
極5,5を常時予熱する予熱手段L1を有し、予熱電流
の実効値(If)と放電電流の実効値(Il)の比(I
f/Il)が3以上であり、かつ予熱電流の実効値(I
f)が1A以下となるように構成された点灯装置3とを
具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放電ランプの長寿
命化を図った放電ランプ装置および照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】長寿命化を図った蛍光ランプは、例えば
特開平6−283134号公報(従来技術)に開示され
ている。この従来技術は、高周波で点灯される蛍光ラン
プに関するものであり、フィラメントの予熱時の抵抗R
1と非予熱時の抵抗R0との比が、R1/R0=4〜6
の範囲となるように設定したものである。この蛍光ラン
プは、フィラメントが放電を開始するに十分な温度とな
って多量の熱電子を放出している時に放電開始電圧が印
加され、放電が円滑にかつ確実に開始するようになり、
エミッタやフィラメント材料のスパッタリングが防止さ
れ、管壁の黒化が少なくなり、長寿命になるものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来技術は、蛍光ラン
プの点灯時にフィラメントの予熱電流が小さいので、フ
ィラメントの一部にスポット状の高温部分が形成され、
この高温部分の温度が異常に高いと、エミッタの蒸発が
多くなり、ランプ寿命が短くなるおそれがある。
【0004】また、近年、蛍光ランプは管径が細くなっ
てきており、特に、OA機器やバックライトなどに使用
される蛍光ランプは、管径が10mm以下である。この
細管の蛍光ランプは、フィラメントに保持できるエミッ
タ量が少なくなるので、従来技術のように、予熱時の抵
抗R1と非予熱時の抵抗R0との比(R1/R0)を設
定したのみでは長寿命化が困難になっている。
【0005】本発明は、放電ランプの長寿命化を図った
放電ランプ装置および照明装置を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の放電ラ
ンプ装置の発明は、放電媒体が封入されているととも
に、両端にタングステンコイルおよびこのタングステン
コイルに塗布された酸化物エミッタを有してなる一対の
電極が封装されたバルブを有する放電ランプと;一対の
電極間に安定的に放電を形成させる点灯手段および電極
の放電ランプの定格点灯時における抵抗値(Rh)と2
5℃における抵抗値(Rc)との比(Rh/Rc)が3
〜5の範囲内となるようにそれぞれの電極を常時予熱す
る予熱手段を有し、電極に流れる予熱電流の実効値(I
f)と一対の電極間に流れる放電電流の実効値(Il)
の比(If/Il)が3以上であり、かつ予熱電流の実
効値(If)が1A以下となるように構成された点灯装
置と;を具備していることを特徴とする。
【0007】本発明および以下の各発明において、特に
言及しない限り、各構成は以下のように定義される。
【0008】放電ランプは、バルブが直管状に形成され
たもの、あるいは環状など、屈曲形成されたもののいず
れであってもよい。
【0009】点灯装置は、放電ランプを高周波で付勢す
る高周波点灯装置の他、商用周波数などの低周波で付勢
する銅鉄型の安定器であってもよい。
【0010】そして、予熱手段としては、電極予熱トラ
ンス等の格別の予熱手段を用いるもの、点灯手段の限流
用のインダクタに予熱巻線を設けるもの、あるいは電極
の非電源側の端子間に予熱用インピーダンス素子を設け
るもの等であってもよい。
【0011】電極の放電ランプの点灯時における抵抗値
(Rh)と25℃における抵抗値(Rc)との比(Rh
/Rc)が3を下回ると、電極の発熱が低くなり、一対
の電極間の放電維持に必要な熱電子が電極から放出され
にくくなる。また、前記比(Rh/Rc)が5を超える
と、電極が過剰に発熱し、電極に塗布されている酸化物
エミッタの蒸発量が多くなり、放電ランプが短寿命にな
るおそれがある。特に、酸化物エミッタの主構成要素で
あるバリウムは、電極の温度上昇に対して指数関数的に
蒸発量が多くなる。したがって、前記比(Rh/Rc)
を3〜5とする。
【0012】予熱電流の実効値(If)と放電電流の実
効値(Il)との比(If/Il)が3以上であると、
電極の温度分布は、放電電流の影響が小さく、ほとんど
変化しなくなる。そして、前記比(If/Il)の上限
は、予熱電流の実効値(If)の上限値1Aによって決
定される。
【0013】そして、予熱電流の実効値(If)が1A
を超えると、電極の温度が異常に上昇、例えば950℃
以上に上昇して酸化物エミッタの蒸発量が大きくなり、
蛍光ランプが短寿命となるので、予熱電流の実効値(I
f)は、1A以下とした。また、この下限値は、電極が
発熱し、一対の電極間の放電維持に必要な熱電子が電極
から容易に放出できるような電流値であればよく、例え
ば0A付近の電流値も許容される。
【0014】本発明によれば、上記のように構成されて
いるので、放電ランプが点灯して放電電流が流れても、
電極の温度分布の変化が生じにくく、その温度分布が平
坦化されるとともに、電極が最適に発熱して、一対の電
極間の放電維持に必要な熱電子が電極から容易に放出さ
れる。この結果、電極の一部にスポット状の非常な高温
部分が形成されなくなるので、酸化物エミッタの蒸発が
防止されて、放電ランプが長寿命化される。
【0015】請求項2に記載の放電ランプ装置の発明
は、放電媒体が封入されているとともに、両端にタング
ステンコイルおよびこのタングステンコイルに塗布され
た酸化物エミッタを有してなる一対の電極が封装された
バルブを有する放電ランプと;一対の電極間に交流電圧
を印加して放電を安定的に形成させる点灯手段および電
極の放電ランプの定格点灯時における抵抗値(Rh)と
25℃における抵抗値(Rc)との比(Rh/Rc)が
3〜5の範囲内となるようにそれぞれの電極を交流電圧
で常時予熱する予熱手段を有し、電極に流れる予熱電流
の実効値(If)と一対の電極間に流れる放電電流の実
効値(Il)の比(If/Il)が3以上、予熱電流の
実効値(If)が1A以下であり、かつ予熱電流と放電
電流の位相差が180±60°の範囲内となるように構
成された点灯装置と;を具備していることを特徴とす
る。
【0016】放電ランプは、一対の電極間およびそれぞ
れの電極の両端間に交流電圧が印加される。そして、点
灯装置は、交流電圧を出力して、放電ランプの一対の電
極間およびそれぞれの電極の両端間に印加する。
【0017】予熱電流と放電電流が同相であると、電極
は予熱電流および放電電流の最大値により発熱されるの
で、比較的高温のアークスポット部が形成されることが
判明した。すなわち、実験の結果、予熱電流と放電電流
の位相差が−60°〜+60°の範囲であると、最高温
度が950℃程度のアークスポット部が形成され、位相
差が120°〜240°(180±60°)の範囲内で
あると、電極の温度分布が平坦化されるとともに、最高
温度が900℃程度であった。
【0018】本発明によれば、請求項1の構成に加え、
予熱電流と放電電流の位相差が180±60°の範囲内
となるように構成されているので、予熱電流と放電電流
の位相差がほぼ逆位相となり、電極の温度分布がさらに
平坦化される。したがって、電極の一部にスポット状の
非常な高温部分がさらに形成されなくなるので、酸化物
エミッタの蒸発が防止されて、放電ランプがさらに長寿
命化される。
【0019】請求項3に記載の放電ランプ装置の発明
は、請求項1または2記載の放電ランプ装置において、
タングステンコイルの素線の外径は、0.05〜0.1
mmであることを特徴とする。
【0020】タングステンコイルは、素線にサブワイヤ
等を巻回して構成される。そして、タングステンコイル
は、ダブルコイルまたはトリプルコイルに形成される。
【0021】素線の外径が0.05mmを下回ると、予
熱電流に対する発熱量が多くなり、酸化物エミッタの蒸
発量が多くなるとともに、断線のおそれがある。また、
前記外径が0.1mmを超えると、予熱電流を多く流さ
ないと、熱電子放出に必要な温度に上昇しない。したが
って、素線の外径は、0.05〜0.1mmとする。
【0022】本発明によれば、電極が容易に熱電子放出
できる温度に発熱するとともに、電極の温度分布がスポ
ット状となりにくく、また、予熱電流の実効値(If)
と放電電流の実効値(Il)の比(If/Il)を3以
上に容易に形成しやすい。
【0023】請求項4に記載の放電ランプ装置の発明
は、請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプ装置
において、放電電流の実効値(Il)は、200mA以
下であることを特徴とする。
【0024】放電電流の実効値(Il)の下限値は、一
対の電極間に放電が形成できればよく、零に近い電流で
あってもよい。そして、放電電流の実効値(Il)を2
00mA以下とすることにより、バルブの管径が小さい
放電ランプを形成することができる。
【0025】本発明によれば、細管の放電ランプを形成
可能であるとともに、電極の温度分布がスポット状とな
りにくく、予熱電流の実効値(If)と放電電流の実効
値(Il)の比(If/Il)を3以上に容易に形成し
やすい。
【0026】請求項5に記載の蛍光ランプ装置の発明
は、請求項1ないし4いずれか一記載の放電ランプ装置
において、バルブの管内径は、5〜15mmであること
を特徴とする。
【0027】バルブの管内径が5mm以上であると、バ
ルブが電極を封装できるとともに、その内壁が電極の発
熱により過度に加熱されなくすることができる。また、
バルブの管内径を15mm以下とすることにより、細径
の放電ランプを形成することができる。
【0028】本発明によれば、バルブの管内径は、5〜
15mmであるので、細管の放電ランプが形成されると
ともに、少ない放電電流で所望の発光効率が得られる。
【0029】請求項6に記載の照明装置の発明は、請求
項1ないし5いずれか一記載の放電ランプ装置と;この
放電ランプ装置を配設している照明装置本体と;を具備
していることを特徴とする。
【0030】本発明によれば、放電ランプの寿命が長
く、管径の細い放電ランプを搭載した照明装置を提供す
ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態につ
いて、図面を参照して説明する。
【0032】まず、本発明の第1の実施形態について説
明する。
【0033】図1〜図6は、本発明の第1の実施形態を
示し、図1は放電ランプ装置の回路図、図2は、放電ラ
ンプの斜視図、図3は電極の正面図、図4は放電ランプ
の点灯試験結果を示す説明図、図5は放電電流および予
熱電流の波形図、図6は放電電流および予熱電流の位相
差における電極温度の分布図である。
【0034】放電ランプ装置1は、図1に示すように、
放電ランプとしての蛍光ランプ2および点灯装置3を有
して構成されている。
【0035】蛍光ランプ2は、図2に示すように、直管
状のバルブ4の両端に一対の電極5,5が封装され、内
部に水銀および1330Pa(パスカル)のアルゴンガ
スからなる放電媒体が封入されているとともに、内面に
図示しない蛍光体層が形成されている。バルブ4は、軟
質ガラスからなり、管外径6.5mm、肉厚0.4m
m、全長420mmに形成されている。そして、バルブ
4の両端には、電極5のインナーリード6,6に電気的
に接続された接続ピン7,7を有する口金8,8が装着
されている。
【0036】電極5は、図3に示すように、インナーリ
ード6,6間に架橋されたタングステンコイル9および
このタングステンコイル9に塗布された図示しない酸化
物エミッタを有して形成されている。酸化物エミッタ
は、例えば酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カ
ルシウムからなっている。タングステンコイル9は、素
線の直径0.0645mm、サブワイヤの直径0.01
96mm、1stマンドレルの直径0.0576mm、
2stマンドレルの直径0.250mm、ピアノワイヤ
の直径1.75mmのトリプルコイルに形成され、ター
ン数が2、ピッチP1が1mm、クランプ幅W1が3m
mであり、25℃における抵抗値(Rc)は1.2Ωで
あった。
【0037】点灯装置3は、図1に示すように、商用交
流電源Vsに整流器REC1および電解コンデンサC1
からなる整流平滑回路10が接続され、この整流平滑回
路10の出力側にハーフブリッジ形に電界効果トランジ
スタFET1および電界効果トランジスタFET2を接
続したインバータ回路11が接続され、電界効果トラン
ジスタFET2の両端間に直流カット用コンデンサC
2、限流用インダクタL1の一次巻線L1aおよび共振
用コンデンサC3の直列回路からなる共振回路12が接
続されて構成されている。
【0038】そして、限流用インダクタL1には、二次
巻線L1b,L1cが設けられている。この二次巻線L
1b,L1cのそれぞれの両端間は、蛍光ランプ2の電
極5,5のそれぞれの両端間に接続されている。そし
て、蛍光ランプ2は、電極5,5の電源側端子が共振用
コンデンサC3に並列的に接続されるようにして、点灯
装置3に接続されている。
【0039】インバータ回路11の電界効果トランジス
タFET1,FET2のぞれぞれのゲート(制御端子)
は、駆動回路13に接続されている。そして、駆動回路
13は、制御回路14に接続されている。駆動回路13
は、制御回路14から電界効果トランジスタFET1,
FET2のスイッチング動作を制御する制御信号が入力
されると、所定周波数の駆動電圧を電界効果トランジス
タFET1,FET2のゲートに印加して、電界効果ト
ランジスタFET1,FET2をスイッチング動作させ
る。これにより、限流用インダクタL1の一次巻線L1
aおよび共振用コンデンサC3による共振電流が限流用
インダクタL1の一次巻線L1aに流れ、共振電圧が共
振用コンデンサC3の両端間に発生する。
【0040】電界効果トランジスタFET1,FET2
がスイッチング動作をしていると、限流用インダクタL
1の一次巻線L1aには、双方向に共振電流が流れ、二
次巻線L1b,L1cのそれぞれの両端間に交流の予熱
電圧が発生して、蛍光ランプ2のそれぞれの電極5,5
に印加される。そして、電極5,5は、予熱電流が流れ
て予熱される。すなわち電極5,5は、常時予熱されて
おり、限流用インダクタL1は、それぞれの電極5,5
を常時予熱する予熱手段を形成している。
【0041】そして、共振回路12の共振電圧(始動電
圧)が一対の電極5,5間に印加され、電極5,5間に
放電が形成されて蛍光ランプ2が点灯する。すなわち、
蛍光ランプ2の一対の電極5,5間に放電電流が流れ、
蛍光ランプ2の定格点灯時、その放電電流(ランプ電
流)は100mAである。狭義的に言えば、インバータ
回路11、共振回路12および制御回路14は、蛍光ラ
ンプ2の一対の電極5,5間に放電を形成させる点灯手
段を形成している。
【0042】そして、蛍光ランプ2の定格点灯時、それ
ぞれの電極5に流れる予熱電流(If)は、440mA
となるように、タングステンコイル9の抵抗値および限
流用インダクタL1の二次巻線L1b,L1cの巻数比
などが予め設定されている。すなわち、予熱電流(I
f)と放電電流(Il)の比(If/Il)が4.4に
設定されている。そして、この時の電極5(タングステ
ンコイル9)の抵抗値(Rh)は、5.4Ωとなり、蛍
光ランプ2の定格点灯時における抵抗値(Rh)と25
℃における抵抗値(Rc)との比(Rh/Rc)は4.
5である。
【0043】次に、第1の実施形態の作用について述べ
る。
【0044】図1において、点灯装置3の制御回路14
は、蛍光ランプ2の予熱時、始動時および点灯時に、そ
れぞれ所定周波数で電界効果トランジスタFET1,F
ET2を交互にスイッチング動作させる制御信号を駆動
回路13に送出し、駆動回路13はその制御信号に応じ
て電界効果トランジスタFET1,FET2をスイッチ
ング動作させる。
【0045】そして、蛍光ランプ2の電極5,5(タン
グステンコイル9,9)は、予熱時に例えば1Aの予熱
電流が流れて予熱される。そして、共振回路12の始動
電圧(共振電圧)が一対の電極5,5間に印加されて蛍
光ランプ2が点灯した後は、それぞれの電極5には、4
40mAの予熱電流が流れる。そして、一対の電極5,
5間には、100mAの放電電流(ランプ電流)が流れ
る。
【0046】蛍光ランプ2の点灯時、それぞれの電極5
は、440mAの予熱電流が流れて予熱されているの
で、100mAの放電電流(ランプ電流)の熱影響が小
さく、電極極5,5(タングステンコイル9,9)の温
度分布はほとんど変化しなく、800〜900℃の範囲
であった。したがって、電極5(タングステンコイル
9)にスポット状の異常な高温部分が形成されなくな
り、酸化物エミッタの蒸発量が非常に少なくなった。
【0047】また、蛍光ランプ2の定格点灯時、電極5
(タングステンコイル9)の抵抗値(Rh)は、5.4
Ωとなり、25℃の抵抗値(Rc)の4.5倍であった
ので、一対の電極間の放電維持に必要な熱電子の放出が
なされるように、電極5が発熱されている。
【0048】そして、連続点灯を行った結果、蛍光ラン
プ2は、平均寿命2万時間を達成することができた。こ
れは、通常の蛍光ランプに対して、2〜4倍の寿命であ
ることが確認された。
【0049】また、図4に示すように、タングステンコ
イル9の素線の直径が異なる蛍光ランプ2を試作し、電
極5を予熱する予熱電流の実効値(If)および一対の
電極5,5間に流れる放電電流の実効値(Il)を変化
させて、それぞれの蛍光ランプ2の連続点灯試験(寿命
試験)を行った。
【0050】その結果、蛍光ランプ2の点灯時における
電極5の抵抗値(Rh)と25℃における抵抗値(R
c)との比(Rh/Rc)が3〜5の範囲内において、
予熱電流の実効値(If)と放電電流の実効値(Il)
の比(If/Il)が3以上であるとき、各蛍光ランプ
2は、10000時間以上の寿命を達成することができ
た。ここで、寿命は、蛍光ランプ2が不点となった時間
で測定した。
【0051】したがって、蛍光ランプ2は、Rh/Rc
が3〜5の範囲内となるようにそれぞれの電極5,5が
常時予熱され、If/Ilが3以上であると、ランプ寿
命が飛躍的に向上することが確認された。
【0052】そして、図中、に示すように、タング
ステンコイル9の素線の直径が0.05mm以上のと
き、Rh/Rcを3〜5およびIf/Ilを3以上に容
易に形成しやすいことが判った。
【0053】また、図5に示すように、電極5に流れる
予熱電流と一対の電極5,5間に流れる放電電流の位相
差がほぼ逆位相となる180±60°の範囲内にする
と、図6に示すように、タングステンコイル9(電極
5)の温度分布がさらに平坦化され、その最高温度は、
900℃以下であることが確認された。すなわち、図6
において、予熱電流と放電電流が同相(位相差0°)で
あると、最高温度950℃程度のアークスポット部が形
成されたが、位相差を120°又は240°にすると、
電極5の温度分布が平坦化されるとともに、最高温度が
900℃程度まで低下した。そして、さらに予熱電流と
放電電流が逆位相の位相差180°になると、電極5の
温度分布はほぼ平坦化され、その最高温度は800〜9
00℃の範囲内になった。
【0054】そして、図4と同様に、蛍光ランプ2の連
続点灯試験(寿命試験)を行った結果、さらに数100
0時間の長寿命が得られた。すなわち、電極5の温度分
布がさらに平坦化されることにより、酸化物エミッタの
蒸発をさらに防止することができた。したがって、蛍光
ランプ2は、電極5に流れる予熱電流と一対の電極5,
5間に流れる放電電流の位相差を180±60°の範囲
内にすると、ランプ寿命をさらに向上させることができ
る。
【0055】上述したように、蛍光ランプ2は、管外径
6.5mm、肉厚0.4mmのバルブ4を有する細管の
蛍光ランプであるが、Rh/Rcを3〜5およびIf/
Ilを3以上に形成することにより、細管の蛍光ランプ
であっても10000時間以上の長寿命が得られる。ま
た、細管であるので、放電電流の実効値(Il)が10
0mAと小さくても充分な可視光が得られ、所望の発光
効率を得ることができた。すなわち、放電電流の実効値
(Il)を小さくすることにより、所望の発光効率の下
で細管の蛍光ランプ2を形成することができる。ここ
で、放電電流の実効値(Il)を200mA以下にする
と、上記If/Ilを3以上に容易に形成しやすくする
ことができる。
【0056】なお、上記実施形態において、蛍光ランプ
2は、細管(管外径6.5mm)のバルブ4を用いた
が、細管に限らず、管径の大きいバルブであっても本発
明の作用、効果が適合可能である。また、放電ランプ
は、蛍光ランプ2について説明したが、これに限らず、
殺菌ランプ等のUVランプなどであってもよい。また、
放電ランプ装置1は、電球形蛍光ランプに用いてもよ
い。
【0057】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。
【0058】図7は、本発明の第2の実施形態を示す照
明装置の断面正面図である。なお、図1〜図2と同一部
分には同一符号を付して説明は省略する。
【0059】図7に示す照明装置15は、エッジライト
方式の液晶表示装置であり、照明装置本体としての液晶
表示装置本体16内に図1に示す放電ランプ装置1を配
設している。すなわち、2個の蛍光ランプ2を透光性材
料からなる導光板17の両側に配設し、上面に拡散シー
ト18、下面に反射シート19が設けられている。拡散
シート18は、光拡散効果を有する乳白色の合成樹脂板
からなり、照射面の輝度を面全体に亘って均一化させ
る。また、反射シート19は、鏡面反射板または光散乱
アクリル板等からなり、蛍光ランプ2,2から出射され
背面に向かう光を反射させて前面に導くものである。そ
して、点灯装置3(図示しない。)は、液晶表示装置本
体16内の任意の箇所に配設している。
【0060】また、液晶表示装置本体16は、蛍光ラン
プ2,2を覆うようにして、反射板20,20を配設し
ている。反射板20,20は、蛍光ランプ2,2から出
射された外側への光を導光板17側へ反射させる。そし
て、導光板17の上面側に液晶表示板21が配設されて
いる。
【0061】液晶表示装置15は、蛍光ランプ2,2か
ら出射された光が全反射を繰り返しながら導光板17内
を伝播し、光出射面17aから出射されて、液晶表示板
21を照明する。
【0062】液晶表示装置15は、長寿命化が図られ、
管径が細い蛍光ランプ2,2を配設しているので、薄形
に形成できるとともに、寿命を長くすることができる。
【0063】次に、本発明の第3の実施形態について説
明する。
【0064】図8は、本発明の第3の実施形態を示す照
明装置の正面図である。なお、図1〜図2と同一部分に
は同一符号を付して説明は省略する。
【0065】図8に示す照明装置22は、天井等などに
直付けや吊下げられて配設される照明器具である。この
照明器具22は、照明装置本体としての照明器具本体2
3内に点灯装置3を配設し、照明器具本体23に設けら
れたランプソケット24,24間に蛍光ランプ2を装着
している。
【0066】照明器具22は、細管の蛍光ランプ2を装
着することにより、薄形にできる。また、蛍光ランプ2
が長寿命であるので、ランプ交換の手間や費用が少なく
て済む。さらに、蛍光ランプ2の放電電流の実効値(I
l)を200mA以下の所望値にすることにより、所望
の明るさに形成することができる。
【0067】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、電極の放電ラ
ンプの定格点灯時における抵抗値(Rh)と25℃にお
ける抵抗値(Rc)との比(Rh/Rc)が3〜5の範
囲内となるようにそれぞれの電極が常時予熱され、予熱
電流の実効値(If)と放電電流の実効値(Il)の比
(If/Il)が3以上であり、かつ予熱電流の実効値
(If)が1A以下となるように構成されているので、
電極を最適に発熱させることができて、一対の電極間の
放電維持に必要な熱電子を電極から容易に放出させるこ
とができるとともに、電極の一部にスポット状の非常な
高温部分を形成させなくし、酸化物エミッタの蒸発を防
止することができて、放電ランプを長寿命化することが
できる。
【0068】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
に加えて、予熱電流と放電電流の位相差が180±60
°の範囲内となるように構成されているので、予熱電流
と放電電流の位相差がほぼ逆位相となり、電極の温度分
布をさらに平坦化させることができる。この結果、酸化
物エミッタの蒸発をさらに防止することができて、放電
ランプをさらに長寿命化することができる。
【0069】請求項3の発明によれば、タングステンコ
イルの素線の外径は、0.05〜0.1mmであるの
で、電極を容易に熱電子放出できる温度に発熱させるこ
とができるとともに、電極の温度分布をスポット状にさ
せにくく、また、予熱電流の実効値(If)と放電電流
の実効値(Il)の比(If/Il)を3以上に容易に
形成することができる。
【0070】請求項4の発明によれば、放電電流(I
l)は、200mA以下であるので、電極の温度分布が
スポット状となりにくく、予熱電流(If)と放電電流
(Il)の比(If/Il)を3以上に容易に形成する
ことができる。
【0071】請求項5の発明によれば、バルブの管内径
は、5〜15mmであるので、細管の放電ランプを形成
することができるとともに、少ない放電電流で所望の発
光効率を得ることができる。
【0072】請求項6の発明によれば、放電ランプの寿
命が長く、管径の細い蛍光ランプを搭載した照明装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す放電ランプ装置
の回路図。
【図2】同じく、放電ランプの斜視図。
【図3】同じく、電極の正面図。
【図4】同じく、放電ランプの点灯試験結果を示す説明
図。
【図5】同じく、放電電流および予熱電流の位相差を示
す波形図。
【図6】同じく、放電電流および予熱電流の位相差にお
ける電極温度の分布図。
【図7】本発明の第2の実施形態を示す照明装置の断面
正面図。
【図8】本発明の第3の実施形態を示す照明装置の正面
図。
【符号の説明】
1……放電ランプ装置 2……放電ランプとしての蛍光ランプ 3……点灯装置 15…照明装置としての液晶表示装置 16…照明装置本体としての液晶表示装置本体 22…照明装置としての照明器具 23…照明装置本体としての照明器具本体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 潔 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東芝 ライテック株式会社内 Fターム(参考) 3K072 AA02 AC02 AC11 BC01 CA01 CA16 DA02 DB01 DB09 DC01 DC05 DC07 DC08 DD04 GA02 GB12 HA05 5C015 EE04 5C039 HH05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電媒体が封入されているとともに、両
    端にタングステンコイルおよびこのタングステンコイル
    に塗布された酸化物エミッタを有してなる一対の電極が
    封装されたバルブを有する放電ランプと;一対の電極間
    に安定的に放電を形成させる点灯手段および電極の放電
    ランプの定格点灯時における抵抗値(Rh)と25℃に
    おける抵抗値(Rc)との比(Rh/Rc)が3〜5の
    範囲内となるようにそれぞれの電極を常時予熱する予熱
    手段を有し、電極に流れる予熱電流の実効値(If)と
    一対の電極間に流れる放電電流の実効値(Il)の比
    (If/Il)が3以上であり、かつ予熱電流の実効値
    (If)が1A以下となるように構成された点灯装置
    と;を具備していることを特徴とする放電ランプ装置。
  2. 【請求項2】 放電媒体が封入されているとともに、両
    端にタングステンコイルおよびこのタングステンコイル
    に塗布された酸化物エミッタを有してなる一対の電極が
    封装されたバルブを有する放電ランプと;一対の電極間
    に交流電圧を印加して放電を安定的に形成させる点灯手
    段および電極の放電ランプの定格点灯時における抵抗値
    (Rh)と25℃における抵抗値(Rc)との比(Rh
    /Rc)が3〜5の範囲内となるようにそれぞれの電極
    を交流電圧で常時予熱する予熱手段を有し、電極に流れ
    る予熱電流の実効値(If)と一対の電極間に流れる放
    電電流の実効値(Il)の比(If/Il)が3以上、
    予熱電流の実効値(If)が1A以下であり、かつ予熱
    電流と放電電流の位相差が180±60°の範囲内とな
    るように構成された点灯装置と;を具備していることを
    特徴とする放電ランプ装置。
  3. 【請求項3】 タングステンコイルの素線の外径は、
    0.05〜0.1mmであることを特徴とする請求項1
    または2記載の放電ランプ装置。
  4. 【請求項4】 放電電流の実効値(Il)は、200m
    A以下であることを特徴とする請求項1ないし3いずれ
    か一記載の放電ランプ装置。
  5. 【請求項5】 バルブの管内径は、5〜15mmである
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の放
    電ランプ装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5いずれか一記載の放電
    ランプ装置と;この放電ランプ装置を配設している照明
    装置本体と;を具備していることを特徴とする照明装
    置。
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