JPWO2008139711A1 - 長寿命熱陰極蛍光ランプ、当該熱陰極蛍光ランプを備えたバックライト又は照明装置及びその始動方法 - Google Patents

長寿命熱陰極蛍光ランプ、当該熱陰極蛍光ランプを備えたバックライト又は照明装置及びその始動方法 Download PDF

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Abstract

長寿命の熱陰極蛍光ランプを備えたバックライトでも始動時間を短くすることができるものを提供する。熱陰極蛍光ランプ10を備えたバックライト100である。熱陰極蛍光ランプ10は、バルブ12と、フィラメント14と、フィラメント14を保持する一対のリード線13とから構成されており、熱陰極蛍光ランプ10には、黒化抑制手段50が設けられている。黒化抑制手段50は、フィラメント14の予熱時において熱電子の放射後(57)から黒化形成領域51に達する前(55)の間に、一対のリード線13の間にて端子間グロー52を発生させるフィラメント14によって実現されている。

Description

本発明は、超寿命な熱陰極蛍光ランプ及びその始動方法に関し、特に、大画面テレビ用のバックライト、照明装置及びその始動方法に関する。
現在、液晶ディスプレイのバックライトユニットの光源としては、冷陰極蛍光ランプが主に採用されている。冷陰極蛍光ランプは、細径化に適しているので、薄型化が要求されるバックライトユニットの光源として用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭56−73855号公報
近年、液晶ディスプレイの大型化が進んでおり、これに伴ってバックライトユニットも大型化してきている。このバックライトユニットの大型化により、光源として冷陰極蛍光ランプを用いると、ランプ使用本数を増やさねばならず、点灯回路が複雑になるとともに、消費電力が高くなることが危惧されている。
さらに説明すると、冷陰極蛍光ランプは、他のランプと比べて駆動に必要な電圧(駆動電圧)が大きく、高圧な電源を用いることが必要である。特に、画面サイズが32インチを超えるような大型の液晶ディスプレイ(例えば、32インチ、42インチ、46インチ、65インチまたはそれ以上の液晶ディスプレイ)が最近登場しているため、ランプ長はより長くなり、その分、駆動電圧はさらに高圧化する傾向が強くなっている。
また、冷陰極蛍光ランプは、1本当たりに投入する電力が小さいため、画面輝度を確保するためには本数を多くする必要があり、それゆえに、部品コストが増大するとともに、組み立て工数がかかるという問題が顕在化する可能性が高い。
そのような中、冷陰極蛍光ランプよりも高効率・高出力である熱陰極蛍光ランプをバックライトユニットの光源として採用することが検討され始めている。熱陰極蛍光ランプを採用することで、上述した特長により、消費電力を抑えるとともに、ランプ本数を削減することで、点灯回路の簡素化・部品コストダウン・組み立て工数削減が期待できる。しかしながら、バックライトとしては冷陰極蛍光ランプの開発・研究が今日に至るまで盛んに行われた結果、熱陰極蛍光ランプの欠点が克服されていないのが実情である。
まず、熱陰極蛍光ランプは、バックライト用の光源として使用する場合において、冷陰極蛍光ランプと比べて寿命が短いという欠点を有している。これは、熱陰極蛍光ランプのフィラメントに塗布したエミッタが飛散してしまうことが原因で生じるものであり、通常、数千時間で寿命がきてしまう。これでは、一般照明用としては十分な寿命であっても、2万時間以上の寿命が要求されるバックライト用の光源としては不十分となる。
そこで、本願出願人は、熱陰極蛍光ランプの寿命を長くするために、フィラメントを長くして、そこにより多くのエミッタを塗布する研究・開発を行い、2万時間以上の長い寿命を確保した熱陰極蛍光ランプを作製することに成功した(例えば、特願2006−169204号参照)。
しかしながら、フィラメントが長くなった影響で、フィラメントの熱容量が大きくなってしまい、予熱時間(すなわち、フィラメントが適正温度まで上がる時間)が長くなってしまう問題が新たに生じることが本願発明者の研究で明らかとなった。冷陰極蛍光ランプでは基本的に予熱が不要であるが、熱陰極蛍光ランプでは、始動時のフィラメントへのダメージを緩和するために予熱が必要であり、それゆえ、始動時にフィラメントに予熱電流を流すことは重要な始動ステップである。
予熱時間が長くなると、必然的にバックライトが点灯するまでの時間(始動時間)が長くなり、したがって、画像表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)のスタートアップ時間も遅くなってしまう。それでは、熱陰極蛍光ランプの長寿命が実現できた後でも、始動時間の短い冷陰極蛍光ランプに対して、依然として欠点を有していることとなり、その問題を解決することが望まれる。
また、最近、照明用熱陰極蛍光ランプでも長寿命化がトレンドとなっており、バックライトと同様に公称寿命2万時間以上の長寿命になると前記バックライトと同様に点灯するまでの始動時間が長くなるという課題が発生することになり、従来の照明用蛍光ランプに比べて欠点を有する。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、始動時間を短くすることが可能な熱陰極蛍光ランプ、当該熱陰極蛍光ランプを備えたバックライトや照明装置及びその始動方法を提供することにある。
本発明のバックライトは、熱陰極蛍光ランプを備えたバックライトであり、前記熱陰極蛍光ランプは、内面に蛍光体が形成されたバルブと、前記バルブ内に設けられ、熱電子を放出するエミッタが塗布されたフィラメントと、前記フィラメントを保持する一対のリード線とから構成されており、前記熱陰極蛍光ランプには、黒化抑制手段が設けられており、前記黒化抑制手段は、前記フィラメントの予熱時において前記熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記一対のリード線の間にて端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されている。
ある好適な実施形態において、前記バックライトは、さらに、点灯回路を備えており、前記点灯回路は、前記フィラメントの予熱時に予熱電流を流すフィラメント予熱回路と、前記熱陰極蛍光ランプの点灯時に電力を供給するランプ電力供給回路とから構成されている。
ある好適な実施形態において、前記バックライトは、直下型の画像表示装置用のバックライトである。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプである。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプの一本における一対の電極のうちの一個の前記フィラメントに10.0mg以上のエミッタが塗布されている。
ある好適な実施形態において、前記フィラメントは、四重コイルからなる。
ある実施形態において、前記バックライトは、32インチから46インチの画面サイズの液晶ディスプレイ用の光源であり、前記筐体に、前記熱陰極蛍光ランプは4本から6本配置されている。
本発明のバックライトの始動方法は、熱陰極蛍光ランプを備えたバックライトの始動方法であり、前記熱陰極蛍光ランプが有するフィラメントの予熱時において、熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記フィラメントを保持する一対のリード線の間において端子間グロー放電を発生させ、それによって、前記熱陰極蛍光ランプの黒化の発生を抑制している。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプである。
本発明の熱陰極蛍光ランプは、公称寿命2万時間以上の熱陰極蛍光ランプであり、前記熱陰極蛍光ランプは、内面に蛍光体が形成されたバルブと、前記バルブ内に設けられ、熱電子を放出するエミッタが塗布されたフィラメントと、前記フィラメントを保持する一対のリード線とから構成されており、前記熱陰極蛍光ランプには、黒化抑制手段が設けられており、前記黒化抑制手段は、前記フィラメントの予熱時において前記熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記一対のリード線の間にて端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されている。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプは、照明用である。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプである。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプの一本における一対の電極のうちの一個の前記フィラメントに10.0mg以上のエミッタが塗布されている。
ある好適な実施形態において、前記フィラメントは、四重コイルからなる。
本発明の照明装置は、熱陰極蛍光ランプと、前記熱陰極蛍光ランプとを備える照明装置であり、前記熱陰極蛍光ランプは、請求項9に記載の熱陰極蛍光ランプであり、前記点灯回路は、前記フィラメントの予熱時に予熱電流を流すフィラメント予熱回路と、前記熱陰極蛍光ランプの点灯時に電力を供給するランプ電力供給回路とから構成されている。
本発明の熱陰極蛍光ランプの始動方法は、公称寿命2万時間以上の熱陰極蛍光ランプの始動方法であり、前記熱陰極蛍光ランプが有するフィラメントの予熱時において、熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記フィラメントを保持する一対のリード線の間において端子間グロー放電を発生させ、それによって、前記熱陰極蛍光ランプの黒化の発生を抑制している。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプである。
本発明のバックライトによれば、熱電子を放出するエミッタが塗布されたフィラメントを有する熱陰極蛍光ランプに、黒化抑制手段が設けられており、その黒化抑制手段は、フィラメントの予熱時において熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されているので、予熱電流を多くして予熱時間を短縮したとしても、黒化を抑制することができる。すなわち、端子間グロー放電を発生することにより、黒化が抑制されるので、予熱電流を多くすることができ、その結果、始動時間を短縮化することができる。
特に、長寿命ランプの熱陰極蛍光ランプ(例えば、四重コイルにしてフィラメント長を長くした熱陰極蛍光ランプ)は、フィラメントの熱容量が大きくなっているために、始動時間が長くなる傾向があるが、本発明のバックライトによれば、黒化形成領域に達する前に端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現された黒化抑制手段があるため、新たな部品を導入しなくても、始動時間を短縮したバックライトを提供することができる。
本発明の熱陰極蛍光ランプによれば、黒化抑制手段が設けられており、その黒化抑制手段は、フィラメントの予熱時において熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されているので、予熱電流を多くして予熱時間を短縮したとしても、黒化を抑制することができる。すなわち、端子間グロー放電を発生することにより、黒化が抑制されるので、予熱電流を多くすることができ、その結果、始動時間を短縮化することができる。
本発明の照明装置によれば、熱電子を放出するエミッタが塗布されたフィラメントを有する熱陰極蛍光ランプに、黒化抑制手段が設けられており、その黒化抑制手段は、フィラメントの予熱時において熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されているので、予熱電流を多くして予熱時間を短縮したとしても、黒化を抑制することができる。すなわち、端子間グロー放電を発生することにより、黒化が抑制されるので、予熱電流を多くすることができ、その結果、始動時間を短縮化することができる。
本発明の熱陰極蛍光ランプの始動方法によれば、黒化形成領域に達する前に端子間グロー放電を発生させるため、始動時間を短縮して熱陰極蛍光ランプを始動できる。
本発明の実施形態に係るバックライト100及び点灯回路の構成を説明するための図 本発明の実施形態に係る熱陰極蛍光ランプ10を模式的に示す断面図 本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を示す断面図 本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を示す上面図 本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を説明するための分解斜視図 (a)から(c)は、始動時のフィラメント温度Tfと通電時間(t)の関係を模式的に表したグラフ (a)から(c)は、再始動時のフィラメント温度Tfと通電時間(t)の関係を模式的に表したグラフ (a)および(b)は、始動時のフィラメント温度Tfと通電時間(t)の関係を模式的に表したグラフ 本発明の実施例の結果を示すグラフ 本発明の実施例の結果を示すグラフ 本発明の実施例の結果を示すグラフ
符号の説明
10 熱陰極蛍光ランプ
11 電極
12 バルブ
13 リード線
14 フィラメント
15 ビーズガラス
16 封止部
17 排気管
18 口金
20 筐体
21 反射板
22 補助反射板
23 反射シート
24 支柱
30 光学シート
31 偏向シート
32 レンズシート
33 拡散シート
34 拡散板
40 フィラメント予熱回路
45 ランプ電力供給回路
50 黒化抑制手段
51 黒化形成領域
52 端子間グロー放電
60 液晶パネル
62 上カバー
65 画像表示領域
70 点灯回路
72 下カバー
75 ランプホルダ
100 バックライト
本願発明者は、大画面化が益々加速する液晶ディスプレイ用のバックライトに好適なものは、現在主流の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を用いたものでなく、冷陰極蛍光ランプと比べて1本あたりに大出力の電力を投入できる熱陰極蛍光ランプ(HCFL)を用いたものに移行すると考え、研究開発を行っていた。そのように移行すると考えた理由は、熱陰極蛍光ランプの「高出力」という特徴を生かすことで、液晶テレビにおけるコントラスト比を大きくすることができ、動画を含めた高画質化が可能となるとともに、冷陰極蛍光ランプに比べ、バックライトとして使用するランプの本数が大幅に削減でき、コストダウンが可能であるからである。
このような開発の中、本願発明者は、寿命の問題を解決した長寿命の熱陰極蛍光ランプにおいて、フィラメントの熱容量が大きくなる原因から始動時間が長くなるという問題の解決に取り組んでいた。しかしながら、長寿命の熱陰極蛍光ランプを実現するためには、多くのエミッタを塗布するためにフィラメントを長くすることが必要であり、そうすると、必然的にフィラメントの熱容量が大きくなってしまう。つまり、熱容量の増大による始動時間が多くなることは、長寿命の熱陰極蛍光ランプと密接に関係した問題であり、この問題を、ある程度の低コストで、かつ、ランプ構造や点灯回路を簡単な構成のものを維持したまま解決するのは至難のことであった。
本願発明者は、通常は適切でない放電とされるグロー放電を意図的に発生させれば、予熱時間を短くするために予熱電流を大きくしても、黒化形成領域に入ることなく、すなわち、熱陰極蛍光ランプの黒化の発生を抑制できることを鋭意研究して見出し、本発明に至った。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明の実施形態に係るバックライト100について説明する。図1は、本実施形態のバックライト100及び点灯回路(40,45)の構成を説明するための図であり、図2は、バックライト100に含まれている熱陰極蛍光ランプ10の構成を示す断面図である。
本実施形態のバックライト100は、熱陰極蛍光ランプ10と、熱陰極管を収納する筐体(不図示)とから構成されている。熱陰極蛍光ランプ10は、特に、図2に示すように、内面に蛍光体(不図示)が形成されたバルブ12と、バルブ12内に設けられたフィラメント14と、フィラメント14を保持する一対のリード線13とから構成されている。フィラメント14には、熱電子を放出するエミッタ(不図示)が塗布されている。
本実施形態の構成においては、熱陰極蛍光ランプ10には、黒化抑制手段50が設けられており、その黒化抑制手段50は、フィラメント14の予熱時において、熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、端子間グロー放電を発生させるフィラメント14によって実現されている。
ここで本実施形態における「端子間グロー放電」とは、通常点灯時にランプ両端の間に発生するアーク放電とは異なり、フィラメント14を包み込むような感じで一対のリード線13の間(端子間)で発生するグロー放電である。
図1に示すように、本実施形態のバックライト100に用いられる点灯回路は、フィラメント14の予熱時に予熱電流を流すフィラメント予熱回路40と、熱陰極蛍光ランプ10の点灯時に電力を供給するランプ電力供給回路45とを含んでおり、熱陰極蛍光ランプ10は、フィラメント予熱回路40とランプ電力供給回路45とに電気的に接続されている。
そして、本実施形態のバックライト100を始動する場合には、フィラメント予熱回路40から予熱電流がフィラメント14に流れて、フィラメント14の予熱が行われる。その時に、フィラメント14の予熱に伴って、フィラメント14に塗布されたエミッタから熱電子が放射し、そこから黒化形成領域に達する前までの間に、意図的に、端子間グロー放電を発生させる。その意図的な端子間グロー放電によって、熱陰極蛍光ランプの黒化の発生を抑制する。
つまり、フィラメント14に流す予熱電流は、フィラメント14のエミッタから熱電子が放射した後、黒化形成領域に達する前までの間に、端子間グロー放電が発生するように設定された電流値であり、この電流値は、後述のパラメータ(フィラメントに使用される素線(例えばタングステン線)の径や長さ等)との関係で決定される。
付言すると、端子間グロー放電は、水銀発光を伴った放電であり、水銀発光を伴わずに予熱によりフィラメントが赤くなるだけの状態とは異なるものである。なお、熱陰極蛍光ランプ10における黒化形成領域と、意図的に端子間グロー放電を発生させる機構(黒化抑制手段50)との詳しい説明は後述する。
次に、図2に加えて、図3から図5も参照しながら、本実施形態のバックライト100の好適な構成例について説明する。図3および図4は、それぞれ、本実施形態のバックライト100の構成を示す断面図および上面図である。図5は、本実施形態のバックライト100の構成を説明するための分解斜視図である。
図2に示した本実施形態の熱陰極蛍光ランプ10は、バックライト用として用いられるので、長寿命のものが使用される。好ましくは、熱陰極蛍光ランプ10は、公称寿命1.2万時間以上のランプであり、さらに好ましくは、公称寿命2万時間以上、または、3万時間以上のランプである。なお、ディスプレイとして従来から広く普及している陰極管(CRT)装置の寿命は、約20000時間であるので、それ以上の寿命(例えば、50000時間またはそれ以上)があるランプであることが望まれる。
寿命の定義としては大きく2つの要素があり、1つはランプの明るさの減退率(いわゆる輝度維持率)と不点灯である。バックライトとしての使用を想定すると、熱陰極蛍光ランプの寿命が律則するのは電極フィラメントに形成された熱電子放射性物質(エミッタ)の枯渇による不点である。寿命を推定するには、複数のランプを所定の点灯条件(ランプの定格電流における連続点灯試験)のライフ試験に掛け、ある一定時間(例えば、100時間、500時間、1000時間、2000時間、5000時間)点灯後のランプを順次破壊、または、非破壊によりエミッタの残存量を随時測定し、初期からの消耗量(消耗速度)を測定する。これらの結果を基に、点灯経過時間とエミッタ消耗量(または、エミッタ残存量)の関係をプロットし、1次関数によりフィッティングを行うことで、寿命を推定することができる。なお、公称寿命は、前記の取得データを基に消耗量のばらつき、測定ばらつき、製造ばらつき(いずれも標準偏差の3倍:3シグマを基準)を鑑みて決定される。
図示した熱陰極蛍光ランプ10は、直管状のガラスバルブ12と、ガラスバルブ12の両端に配設された一対の電極11とから構成されている。
ガラスバルブ12は、ソーダ石灰ガラス製、または、バリウム・ストロンチウムシリケート(軟化点675℃の軟質ガラス)製である。バルブ12の寸法を例示すると、32インチ用としては、バルブ12の外径15.5mm、肉厚0.8mm、長さ730mmである。45インチ用としては、バルブ12の外径20mm、肉厚0.8mm、長さ1010mmである。65インチ用としては、バルブ12の外径20mm、肉厚0.8mm、長さ1499mmである。なお、105インチ用としては、バルブ12の外径20mm、肉厚0.9mm、長さ2367mmである。なお、バルブの肉厚は、1.0mmにすることもできる。
ガラスバルブ12の内面には蛍光体(不図示)が塗布されている。より具体的には、ガラスバルブ12の内面12aには、アルミナからなる保護膜が形成されており、その保護膜の上に蛍光体層が積層されている。蛍光体層を構成する蛍光体は、例えば、赤(Y23:Eu)、緑(LaPO4:Ce,Tb3)および青(BaMg2Al1627:Eu,Mn)の各色を発光する希土類蛍光体を混合したものを用いることができる。なお、蛍光体は、他の希土類蛍光体を用いることができる。例えば、赤として、(Y,La)2
3:Eu、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn、緑として、CeMgAl1119:Tb、GdMgB210:Ce,Tb、青として、(Sr,Ca)10(PO46l2:Euを挙げることができる。
ガラスバルブ12内には、水銀と、希ガスが封入されている。本実施形態では、ガラスバルブ12内に、約5mgの水銀(不図示)と、緩衝用希ガスとして常温における圧力500Paのアルゴン(Ar)が封入されている。なお、バルブ12内に封入する水銀は、水銀単体の他に、例えば、亜鉛水銀、スズ水銀、ビスマス、インジウム水銀などのアマルガムの形態で封入することもできる。
また、希ガスとしては、アルゴン(Ar)の混合比率が100%のものの他、アルゴン(Ar)にクリプトン(Kr)を混合したものを用いることもできる。クリプトン(Kr)の混合比(分圧比)は、例えば、20%〜60%であり、一例として、アルゴン:クリプトン=50%:50%の混合ガス(ガス圧600Pa)を挙げることができる。
本実施形態における電極11は、フィラメント14と、フィラメント14を保持する一対のリード線13と、この一対のリード線13を保持するビーズガラス15とから構成されている。ビーズガラス15は、ビーズマウントとも称される。図示した電極11は、いわゆるガラスビーズマウント方式のものである。
フィラメント14は、タングステン製であり、本実施形態では、長寿命ランプにするためにエミッタ塗布量を大きくするように複雑なコイル形状としている。すなわち、太いタングステン線の周囲にゆるく覆うように細いタングステン線を巻つけて長い籠状の構造体を形成し、この構造体を螺旋状に巻いたものが二重コイルと称される。フィラメント14は前記二重コイルをいまいちど螺旋状に巻いて三重コイルとしたもの、または前記三重コイルをさらに螺旋状に巻いて四重コイルとしたものである。フィラメント14が三重コイルの場合、三重目のコイルが3〜7ターンの電極コイルである。またフィラメント14が四重コイルの場合、2〜4ターンの電極コイルである。
フィラメント14に塗布されるエミッタは、例えば、ストロンチウム、カルシウム、バリウムの酸化物である。本実施形態では、長寿命ランプを実現するために、フィラメント14に塗布するエミッタ量を多くするようにしており、本実施形態では、熱陰極蛍光ランプ10の一本あたり、一対の電極のうちの一つのフィラメント14に10.0mg以上のエミッタを塗布している。なお、希ガスの構成をアルゴン100%でなく、アルゴンよりも原子量の大きいクリプトンを所定混合比で混入させると、エミッタがフィラメント14から飛散し難くなり、その技術的意味でランプ寿命を長くすることができる。
図示した電極11は、ガラスバルブ12の封止部16にてピンチ封止されている。また、ガラスバルブ12の少なくとも一方の端部には、排気管17が封着されている。この排気管17は、バルブ12内を排気したり、希ガスを封入したりする時に使用され、その排気・封入の後に封着されたものである。
ガラスバルブ12の端部には、封止部16や排気管17を覆うように口金18が設けられている。なお、封止部16から外へ延びたリード線13と口金18との結線手法は、ランプ10の仕様に合わせて適宜決定すればよい。例えば、口金18の端面(紙面の左側と右側の端面)に、バックライトユニットへの取付け用のピンを配置し、そのピンとリード線13との結線を行うようにすることもできるし、あるいは、取付け用のピンを口金18の側面の一部(例えば、紙面正面側の円筒の一部)に配置し、そのピンとの結線を行うことも可能である。
熱陰極蛍光ランプ10は、低圧水銀蒸気放電を応用したランプであり、ガラス管はランプの消費電力に適した直径と長さに設計され、直管および環形、U字形などがある。管の内壁には蛍光体が塗布されるが、蛍光体とガラスと間には化学反応による特性の劣化を防ぐための保護膜(酸化アルミナやシリカ粉末など)が施される。電極となるフィラメントはタングステンの二重、または、三重コイルが一般的で、フィラメントには電子放射性物質であるエミッタが塗布されている。管内には液体水銀(または水銀アマルガム、合金)とバッファとしての希ガスが封入される。希ガスとしては一般にアルゴンが用いられることが多いが、ランプの構造や種類によってはクリプトンやネオンなどの混合ガスを用いることもある。
発光の原理は、電子放出物質が塗布されている電極からは、放電(および電極を加熱する別の手段を講じ)により熱電子が放出されるだけの温度を維持することで、電子が供給されアーク放電を維持することができる(これは、冷陰極と大きく異なる点である)。この放電により得られた水銀原子の転移スペクトルのうち、主に254nmの紫外線を蛍光体の励起線として利用することで可視光に転換して利用している。
つまり、このように熱陰極蛍光ランプは電極の構成が非常に重要な役割をしており、そして、この電極の寿命がランプとしての寿命を規制する。通常、この電極に塗布されたエミッタが長期ランプを点灯することで枯渇してしまうため、一般の熱陰極を有する蛍光ランプの公称寿命は6,000時間〜18,000時間であり、そのまま、液晶テレビなどのバックライトとして使用するには要求される寿命に及ぶことはない。熱陰極の蛍光ランプをバックライトとして適用するためには長寿命化が必須の開発課題である。長寿命化には、いかにしてエミッタの消耗量(消耗速度)を抑え、かつ、初期に多くのエミッタ材料をフィラメントに形成するかが開発の要素となる。
エミッタの消耗量を抑えるためには、封入する希ガスの圧力を高めたり、希ガスの中でも原子量の大きいガス(たとえば、クリプトンやキセノン)を用いたり、その混合比率を高めることである。これにより、電極におけるエミッタの熱による蒸発、始動時や再点弧時に発生するイオン衝撃による飛散を抑制することができる。また、初期のエミッタ量を多く塗布するためには、フィラメントの巻き数、巻き径、全長を長くすることで、より多くのエミッタを載せることができるため寿命を確保することが可能となる。なお、寿命を長くした場合に生じる問題点の詳しい説明については後述する。
図3〜図5に示すように、本実施形態のバックライト100は、直下型の画像表示装置用のバックライトであり、例えば、26インチ以上(好ましくは、32インチ以上。例えば、32インチ、46インチ、65インチなど)の液晶ディスプレイ用の面状光源として使用される。図3〜図5に示した例では、熱陰極蛍光ランプ10は、6本が筐体20内に収納されているが、この数に限定されるものではない。ただし、本実施形態の好適な一例では、32インチから46インチの画面サイズの液晶ディスプレイのパネルに対して、筐体20内に熱陰極蛍光ランプを4本から6本配置して、点灯・動作させることが可能である。
図示した構成では、筐体20の一部となる反射板21は、金属板(例えば、メッキを施した鉄製、または、アルミニウム製)から構成されており、その厚さは1.5mmである。反射板21の一部は、凸状(三角状)に屈曲されて、補助反射板22を構成している。補助反射板22を含む反射板21の上面(筐体の主面20b)には、反射シート23が形成されている。反射シート23は、白色の酸化チタン(又は炭酸カルシウム)が分散されてなるポリエチレンテレフタレート(PET)の樹脂層から構成されており、その厚さは2.0mmである。補助反射板22の頂点(または稜線)の一部には、光学シート30の下面を支持するための支柱24が形成されている。支柱24は、白色樹脂製である。なお、バックライト100の高さH(反射板21の上面から光学シート30が位置する面までの高さ)は、例えば、27mmである。
バックライト100の反射板21の下方には、点灯回路(バラスト回路または安定器)70が配設されている。点灯回路70は、上述したように、フィラメント予熱回路40とランプ電力供給回路45とを含んでいる。この例では、各ランプ10に、一つの点灯回路70が設けられており、したがって、6本のランプ10に6個の点灯回路70が使用されているが、他の構成(個数)を採用することもできる。点灯回路70は、ランプ10に電気的に接続されており、また、調光機能も備えている。
点灯回路70を収納するように反射板21の下には、下カバー72が設けられている。下カバー72は、厚さ1.5mmの金属板から構成されている。下カバー72と反射板21との間の空間には、例えば、配線が配設されている。なお、バックライト100に下カバー72は設けなくてもよく、その場合、点灯回路70は液晶ディスプレイ(例えば、液晶テレビ)の筐体内に配置しておくことも可能である。
また、反射板21の端部には、ランプ10を保持するためのランプホルダ75が設けられている。ランプホルダ75は、例えば、白色樹脂製のものである。加えて、バックライト100の筐体の開口部20aには、光学シート30が配置されている。この例では、光学シート30は、上から順に、偏向シート31(住友3M社製のDBEF(Dual Brightness Enhancement Film)、厚さ0.440mm)、レンズシート32(厚さ0.155mm)、拡散シート33(厚さ0.113mm)、拡散板34(厚さ2.0mm)を含んでいる。拡散板34の下面に、さらにレンズシートを設けることも可能である。
さらに、光学シート30の上には、液晶パネル(例えば、厚さ約2mm)60が配設され、そして、その液晶パネル60及び光学シート30を覆うように上カバー62が配設されている。上カバー62は、例えば、厚さ1.5mmの金属板からなる。なお、この例における画像表示領域65(図4参照)は、1018mm×573mmであるが、勿論その寸法に限らず、他の寸法であってもよい。また、ランプ10の封止部16周辺は、ランプ10の非点灯部位を隠すために額縁領域として覆われて、その非点灯の部位は外部には見えないことになる。
次に、図6から図8を参照しながら、熱陰極蛍光ランプ10を長寿命にした場合の問題点と、本実施形態の黒化抑制手段50の働きについて説明する。
まず、熱陰極蛍光ランプ10を始動するには、始動時にフィラメントの温度を適正な温度範囲にする必要がある。ここで、適正な温度範囲とは、エミッタより十分な量の熱電子が放出され、かつ、エミッタが過度に蒸発しない温度範囲を意味する。すなわち、適正な温度範囲を下回ると、熱電子が放出されず、始動時にフィラメントがダメージを受け、黒化発生、短寿命が発生する。一方、適正な温度範囲を上回ると、エミッタが過度に蒸発し、黒化が発生してしまう。始動時にフィラメントを適正な温度にするためには、フィラメントに電流を流し、発生するジュール熱で加熱する。そして、始動時の温度は、フィラメント電流とフィラメント電流通電時間(以下予熱時間)によって決まる。
図6(a)から(c)は、フィラメント温度Tfと通電時間(t)の関係を模式的に表したグラフである。
図6(a)に示したグラフは、長寿命タイプではない典型的なランプ(一般照明用ランプ)のフィラメントに対し一定電流を通電した場合の例を表している。図6(a)に示すように、フィラメント温度Tfは、通電時間とともに上昇し、その後、通電による発熱と、フィラメント温度Tfと周囲温度の温度差による放熱とが平衡状態になり、温度一定となる。ここで、TUとTLは、それぞれ、適正温度範囲の上限と下限を表している。なお、適正温度範囲の上限(TU)と下限(TL)の求め方については後述する。
フィラメントには、平衡状態の温度が適正温度範囲の上限(TU)以下になるようにフィラメント電流が流される。また、予熱時間t1は、ランプ点灯回路によって、始動時にフィラメント温度TfがTUとTLの間になるように設定される。図6(a)における一般照明用の熱陰極蛍光ランプでは、t1は1秒程度である。
バックライト用の熱陰極蛍光ランプでは、長寿命にするため、典型的なランプよりも多くのエミッタをフィラメントに保持させる場合がある。そのため、フィラメントの熱容量が大きくなり、図6(b)に示すように、フィラメント通電時間に対するフィラメント温度Tfの変化は緩やかになり、図6(a)のときと比較して、予熱時間t1は長くなる。つまり、この熱容量が大きいフィラメントを用いたランプでは、予熱時間t1が長くなり、それゆえに、始動時間は長くなってしまう。
図6(c)は、図6(b)に示した例のバックライト用の熱陰極蛍光ランプにおいて、フィラメント電流を大きくした場合の関係を表している。図6(c)に示すように、フィラメント電流を大きくすれば、予熱時間t1を短くすることができる。しかしながら、通電時間が長い場合、フィラメント温度Tfが適正温度範囲を上回ってしまうため、ばらつき等でt1が長くなった場合、黒化が発生してしまう。
さらに、ランプ消灯直後に再始動させる場合、つまり初期フィラメント温度が高い場合について、図7(a)から(c)を参照しながら説明する。なお、図7(a)から(c)は、図6(a)から(c)で表したランプ条件に対応する。
図7(a)に示したグラフは、初期のフィラメント温度が高いことから、基本的に、図6(a)に示した曲線を初期温度差分だけ左にずらした形になる。ここで、予熱時間t1はランプ点灯回路により決まるため、始動時(図6(a))・再始動時(図7(a))とも同じである。 図7(a)からわかるように、再始動時においても適正温度範囲でランプを始動させることができる。また、図7(b)の場合も、図7(a)と同様に、再始動時においても適正温度範囲で始動できることがわかる。しかし、図7(c)の場合には、初期フィラメント温度が高いため、予熱時間t1におけるフィラメント温度Tfが適正温度範囲を上回るため、より高い確率で、黒化が発生してしまう。
以上説明した通り、長寿命を確保するためにエミッタ量を多くした熱陰極蛍光ランプ10において、予熱時間を短くするために、予熱時にフィラメント電流を大きくする必要がある。すると、図8(a)に示すように、予熱時間が長くなった場合、フィラメント温度が黒化領域に達してしまう。これは、図6(c)で説明した通りであり、再始動の場合には、図7(c)で説明した通り、黒化の問題はより顕著になる。
一方、本実施形態の熱陰極蛍光ランプ10においては、黒化抑制手段50が設けられており、その黒化抑制手段50によって、フィラメントの予熱時において、熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、端子間グローを発生させる。したがって、本実施形態の構成においては、図8(b)に示すように、黒化形成領域(51)に達する前に、フィラメント端子間にグロー放電(52)が発生する。この端子間グロー放電(52)が発生すると、端子間に放電電流が流れ、フィラメントに流れる電流は増加しないため、フィラメント温度の上昇が抑制される。これにより、フィラメント温度Tfが黒化形成領域(51)に達することを防止することができ、その結果、黒化の形成を防止することができる。
黒化抑制手段50によって黒化形成領域51に達する前に端子間グロー放電(52)を発生することができる理由は次の通りである。
予熱通電時のフィラメントは、その温度に応じた電気抵抗を持ち、フィラメント両端間には電圧(フィラメント電圧)がかかっている。フィラメント電流が大きく、フィラメント温度が高いほど、フィラメント電圧は高くなる。そのため、フィラメント電流通電時に通電時間とともにフィラメント温度が上昇すると、それに伴ってフィラメント電圧が高くなる。このフィラメント電圧がフィラメント両端間の放電開始電圧よりも高いと、フィラメント両端間に放電(端子間グロー放電)が生じる。
通電時のフィラメント電圧は、非通電時(常温時)のフィラメント抵抗およびフィラメント温度により決定される。ある一定のフィラメント温度においては、フィラメント抵抗が高いほど、フィラメント電圧が高くなり、端子間グロー放電が発生しやすくなる。
非通電時のフィラメント抵抗は、フィラメントに使用しているタングステン線の径、および長さで決定される。タングステン線の径が小さいほど、また、長さが長いほど、フィラメント抵抗が高くなり、ある一定のフィラメント温度において、端子間グロー放電が発生しやすくなる。
放電開始電圧は、フィラメント両端の間隔、ランプに封入されているガスの種類・圧力、および、端子間に存在する電子の密度により決定される。端子間に存在する電子はエミッタからの熱電子であり、フィラメント温度が高いほど、電子密度は大きい。フィラメント両端間隔が小さいほど、封入ガス圧が低いほど、また、フィラメント温度が高い(電子密度が大きい)ほど、放電開始電圧が下がり、端子間グロー放電が発生しやすくなる。
以上述べたパラメータを適正に調整することにより、所望のフィラメント温度で端子間グロー放電を発生させることができる。
本実施形態のフィラメント(14)は、より多くのエミッタを付着させるため、四重コイルとなっている。四重コイルは、四次巻回の巻回数が4ターンの四重コイルであって、フィラメントを巻回して一重コイルとし、さらにその一重コイルを二次巻回して二重コイルとし、さらにその二重コイルを三次巻回して三重コイルとし、さらにその三重コイルを四次巻回してなる。そして、一次巻回中空部分には、当該一次巻回中空部分を貫通するようにして主線が配置されている。
四重コイルの各寸法は、主線直径Daが90μm、副線直径Dbが20μm、一次マンドレル径MD1が90μm、一次ピッチ長P1が89μm、二次マンドレル径MD2が200μm、二次ピッチ長P2が381μm、三次マンドレル径MD3が398μm、三次ピッチ長P3が710μm、四次マンドレル径MD4が1200μm、四次ピッチ長P4が1800μmである。
本実施形態の熱陰極蛍光ランプ(10)は、この四重コイルのフィラメント(14)を備えたランプであり、フィラメントを支持するリード線(13)の間隔を12mmとし、封入ガスをAr50%、Kr50%の混合ガス600Paとしたものである。
この構成のランプを用いて、端子間グロー放電の発生を調べた結果を図9から図11に示す。その内容については後述するが、図9から図11からわかるように、フィラメント温度が黒化形成領域55に達する前に、端子間グロー放電(52)が発生している。このとき、前記端子間グロー放電(52)が発生した時の端子間電圧は、14.5〜15.5Vであった。これにより、フィラメント温度の上昇を抑制でき、黒化を抑制することができる。なお、上述したパラメータを適正なものに調整すれば、四重コイルのものに限らず、他の構成のもの(例えば、三重コイル)であっても、黒化形成領域51に達する前に端子間グロー放電(52)を発生することができる(すなわち、黒化抑制手段50を実現することができる)。
次に、フィラメント温度(Tf)の求め方について説明する。フィラメント温度を直接測定することは技術的に困難であるので、以下に述べる手法でフィラメント温度を求める。フィラメント温度は、フィラメントを構成するタングステンの抵抗の温度特性を利用することで求めることができる。ここで、加熱時のフィラメント温度とフィラメント抵抗をそれぞれ、Th(K)、Rh(Ω)とし(「h」はホットの意)、一方、室温時のフィラメント温度とフィラメント抵抗をそれぞれ、Tc(K)、Rc(Ω)とすると(「c」はコールドの意)、これらには以下の関係があることが経験的にわかっている。
Th=Tc×(Rh/Rc)0.814・・・(式1)
上式に基づき、室温時および加熱時のフィラメント抵抗を測定することによってフィラメント温度を求めることができる。
次に、適正温度上限(TU)の求め方について説明する。まず、始動予熱時の適正温度上限とは、エミッタの過度の蒸発によるランプの黒化が発生しない上限温度であり、この適正温度上限は、以下に述べる手法で求めることができる。
予め室温時の抵抗(Rc)を測定したフィラメントに、一定電流を1分間通電する。その通電時にフィラメント電圧・電流を測定し、加熱時のフィラメント抵抗Rhを算出する。通電後、ランプの黒化の有無を目視で判定する。そして、徐々にフィラメント電流を上げていき、黒化が発生するフィラメント電流の上限を求める。なお、適正温度上限は、コイル形状・ランプ径・封入ガス等のパラメータに影響を受けるため、ランプごとに異なる値をとる。
なお、黒化の判定は、簡易的には目視で行われ、またそれで十分なことが多いが、厳密な判定は、反射色測定用の色彩色差計を用いて行うことができる。色彩色差計は、物体に標準光を照射したときの色を測定する装置であり、その測定によって反射色の色度x,yおよび明度Yを得ることができる。明度Yはその物体の反射率を表すため、その明度を用いて黒化の度合い(黒化度)を表示させることが可能となる。
始動時の適正温度下限(TL)の求め方について説明する。まず、始動予熱時の適正温度下限とは、フィラメントに保持されているエミッタより十分な量の熱電子が放出される下限温度であり、この適正温度下限は、以下に述べる方法で求める。
測定対象のフィラメントを陰極側にしてランプを一定の微少電流(0.6mA)で直流放電させる。微少電流で放電させるのは、ランプ電流でフィラメントが加熱されないようにするためである。その放電(ランプ電流)を維持した状態で、フィラメントに一定電流を通電し、ランプ電圧およびフィラメント電圧について通電後の時間変化を測定する。
その結果の一例を図9とともに説明する。図9中のライン(B)がランプ始動時のランプ電圧の変化を表している。ライン(B)において、通電時間1.7秒〜2.5秒でランプ電圧が急激に低下していることがわかる(矢印56)。これは、フィラメント加熱によって熱電子が放出され、陰極降下電圧が低下したためである。ランプ電圧が下がりきった約2.5秒のポイント(符号57)におけるフィラメント温度が適正温度下限となる。
図9におけるライン(A) は、始動時における抵抗比(Rh/Rc)の時間変化を表
しており、図8(b)に示した曲線と基本的に同じである。図9からわかるとおり、ライン(A)は、熱電子の放射後(57)から、黒化形成領域51の境界(すなわち、適正温度上限)55に達する前に、グロー放電52を起こしたことを示している。換言すると、このグロー放電52が無ければ黒化形成領域51に入って黒化が発生するようなプロファイルを、当該グロー放電52によって黒化形成領域51に入らないようにし、その結果、熱陰極蛍光ランプ10が黒化することを抑制している。なお、このランプ10における黒化形成領域51の境界(適正温度上限55)は、抵抗比(Rh/Rc)が6.9の値のところである。
グロー放電52は、図9に示した実験例のパターンに限らず、図10に示したものであってもよい。また、図11に示したものであってもよい。図11に示した例では、グロー放電時(52)に抵抗比(Rh/Rc)が一旦低下し、その後、その値は一定に水平に推移するが、それでも、適正温度上限55には達成せず、黒化の発生を防止できることが理解できる。なお、図9から図11は、同じ仕様のフィラメントを使用し、同じ電流条件(フィラメント電流が800mAである。)での実験結果である。
端子間グロー放電52が発生したかどうかは、図9から図11に示したように、不連続点が生じたかどうかで判定することができる。これについてさらに説明すれば次の通りである。まず、フィラメントに通電すると、フィラメントの温度上昇によりコイルの電気抵抗が高くなる。そのため、抵抗比(Rh/Rc)(または、フィラメント電圧Vf)は上昇する。端子間グロー放電52が発生すると、端子間にフィラメント電流とは別に、グロー電流が流れ、端子間の見かけ上の抵抗が低くなるため、抵抗比(Rh/Rc)(または、フィラメント電圧Vf)の推移において不連続点が生じる。したがって、不連続点が生じたかどうかによって端子間グロー放電52の発生を判定することができる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
例えば、熱陰極蛍光ランプ10のバルブ12の断面は円形(又は略円形)に限らず、略楕円形(楕円形、長円、その他の扁平形状)のものを用いることができる。また、本発明の実施形態に係るバックライトは、上述したように、例えば32インチ以上の大画面液晶TVに好適に用いられるが、それに限らず、中型(例えば、26インチ〜14インチ)の液晶TVにも適用可能である。加えて、液晶TVに限らず、他の画像表示装置(特に、大画面用)のバックライトに用いることも可能であるし、あるいは、広告看板のバックライトに用いることもできる。
なお、上記実施形態ではバックライトを中心に説明をしてきたが、「発明が解決しようとする課題」で前述のように、最近、照明用熱陰極蛍光ランプでも長寿命化がトレンドとなっており、バックライトと同様に公称寿命2万時間以上の長寿命になると前記バックライトと同様に点灯するまでの始動時間が長くなるという課題が発生する。本発明を、前記公称寿命2万時間以上の照明用熱陰極蛍光ランプにも用いることにより前記バックライトでの検討結果と同様に始動時間が短くできるという効果が得ることができる。
なお、照明用熱陰極蛍光ランプの構成は、上述したバックライトに利用される熱陰極蛍光ランプと基本的には同じ構成であり、また、照明用熱陰極蛍光ランプを点灯させる点灯回路も、上述したバックライトに利用される熱陰極蛍光ランプを点灯させる点灯回路と基本的には同じ構成である。
また、上記の実施の形態で説明した四重フィラメントを用いた場合、フィラメントに流す予熱電流を800mAとすることで、図9〜図11に示すように端子間グロー放電52を生じさせることができる。
端子間グロー放電は、フィラメントの予熱電流が800mAの値のときに発生するものでなく、他の電流値であっても発生する。つまり、フィラメントで端子間グロー放電を発生させる電流値は、フィラメントの仕様や、放電空間内の封入ガスの状態、一対のリード線間の距離、ランプが点灯するまでの時間の長短等(所謂、上述のパラメータである。)によって適宜決まるものである。
本発明を実施する際の目安について説明する。
まず、端子間グロー放電を意図的に発生させるためには、フィラメントに予熱電流を流すことによってフィラメントの温度を上昇させ、結果的に、フィラメントに15V前後(具体的には、13V〜17V)の電圧が印加すれば(図9〜図11の端子間グロー放電が発生した際のフィラメント電圧は略15Vである。)、端子間グロー放電が発生しやすい。
次に、端子間グロー放電を、黒化形成領域前に端子間グロー放電を発生させるためには、フィラメント電圧が13V〜17Vのときに、フィラメントの抵抗比が(Rh/Rc)が6.9以下であれば良い。
つまり、フィラメント電圧が13V〜17Vのときに、フィラメントの抵抗比が(Rh/Rc)が6.9以下となる構成のフィラメントを用い、そして、フィラメントに予熱電流を流して加熱し、最終的にフィラメントの電圧が13V〜17Vとなるようにフィラメントに予熱電流を流せば、本発明を実施することができるのである。
本発明によれば、長寿命の熱陰極蛍光ランプを備えたバックライト及び照明装置でも始動時間を短くすることができる。
本発明は、超寿命な熱陰極蛍光ランプ及びその始動方法に関し、特に、大画面テレビ用のバックライト、照明装置及びその始動方法に関する。
現在、液晶ディスプレイのバックライトユニットの光源としては、冷陰極蛍光ランプが主に採用されている。冷陰極蛍光ランプは、細径化に適しているので、薄型化が要求されるバックライトユニットの光源として用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭56−73855号公報
近年、液晶ディスプレイの大型化が進んでおり、これに伴ってバックライトユニットも大型化してきている。このバックライトユニットの大型化により、光源として冷陰極蛍光ランプを用いると、ランプ使用本数を増やさねばならず、点灯回路が複雑になるとともに、消費電力が高くなることが危惧されている。
さらに説明すると、冷陰極蛍光ランプは、他のランプと比べて駆動に必要な電圧(駆動電圧)が大きく、高圧な電源を用いることが必要である。特に、画面サイズが32インチを超えるような大型の液晶ディスプレイ(例えば、32インチ、42インチ、46インチ、65インチまたはそれ以上の液晶ディスプレイ)が最近登場しているため、ランプ長はより長くなり、その分、駆動電圧はさらに高圧化する傾向が強くなっている。
また、冷陰極蛍光ランプは、1本当たりに投入する電力が小さいため、画面輝度を確保するためには本数を多くする必要があり、それゆえに、部品コストが増大するとともに、組み立て工数がかかるという問題が顕在化する可能性が高い。
そのような中、冷陰極蛍光ランプよりも高効率・高出力である熱陰極蛍光ランプをバックライトユニットの光源として採用することが検討され始めている。熱陰極蛍光ランプを採用することで、上述した特長により、消費電力を抑えるとともに、ランプ本数を削減することで、点灯回路の簡素化・部品コストダウン・組み立て工数削減が期待できる。しかしながら、バックライトとしては冷陰極蛍光ランプの開発・研究が今日に至るまで盛んに行われた結果、熱陰極蛍光ランプの欠点が克服されていないのが実情である。
まず、熱陰極蛍光ランプは、バックライト用の光源として使用する場合において、冷陰極蛍光ランプと比べて寿命が短いという欠点を有している。これは、熱陰極蛍光ランプのフィラメントに塗布したエミッタが飛散してしまうことが原因で生じるものであり、通常、数千時間で寿命がきてしまう。これでは、一般照明用としては十分な寿命であっても、2万時間以上の寿命が要求されるバックライト用の光源としては不十分となる。
そこで、本願出願人は、熱陰極蛍光ランプの寿命を長くするために、フィラメントを長くして、そこにより多くのエミッタを塗布する研究・開発を行い、2万時間以上の長い寿命を確保した熱陰極蛍光ランプを作製することに成功した(例えば、特願2006−169204号参照)。
しかしながら、フィラメントが長くなった影響で、フィラメントの熱容量が大きくなってしまい、予熱時間(すなわち、フィラメントが適正温度まで上がる時間)が長くなってしまう問題が新たに生じることが本願発明者の研究で明らかとなった。冷陰極蛍光ランプでは基本的に予熱が不要であるが、熱陰極蛍光ランプでは、始動時のフィラメントへのダメージを緩和するために予熱が必要であり、それゆえ、始動時にフィラメントに予熱電流を流すことは重要な始動ステップである。
予熱時間が長くなると、必然的にバックライトが点灯するまでの時間(始動時間)が長くなり、したがって、画像表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)のスタートアップ時間も遅くなってしまう。それでは、熱陰極蛍光ランプの長寿命が実現できた後でも、始動時間の短い冷陰極蛍光ランプに対して、依然として欠点を有していることとなり、その問題を解決することが望まれる。
また、最近、照明用熱陰極蛍光ランプでも長寿命化がトレンドとなっており、バックライトと同様に公称寿命2万時間以上の長寿命になると前記バックライトと同様に点灯するまでの始動時間が長くなるという課題が発生することになり、従来の照明用蛍光ランプに比べて欠点を有する。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、始動時間を短くすることが可能な熱陰極蛍光ランプ、当該熱陰極蛍光ランプを備えたバックライトや照明装置及びその始動方法を提供することにある。
本発明のバックライトは、熱陰極蛍光ランプを備えたバックライトであり、前記熱陰極蛍光ランプは、内面に蛍光体が形成されたバルブと、前記バルブ内に設けられ、熱電子を放出するエミッタが塗布されたフィラメントと、前記フィラメントを保持する一対のリード線とから構成されており、前記熱陰極蛍光ランプには、黒化抑制手段が設けられており、前記黒化抑制手段は、前記フィラメントの予熱時において前記熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記一対のリード線の間にて端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されている。
ある好適な実施形態において、前記バックライトは、さらに、点灯回路を備えており、前記点灯回路は、前記フィラメントの予熱時に予熱電流を流すフィラメント予熱回路と、前記熱陰極蛍光ランプの点灯時に電力を供給するランプ電力供給回路とから構成されている。
ある好適な実施形態において、前記バックライトは、直下型の画像表示装置用のバックライトである。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプである。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプの一本における一対の電極のうちの一個の前記フィラメントに10.0mg以上のエミッタが塗布されている。
ある好適な実施形態において、前記フィラメントは、四重コイルからなる。
ある実施形態において、前記バックライトは、32インチから46インチの画面サイズの液晶ディスプレイ用の光源であり、前記筐体に、前記熱陰極蛍光ランプは4本から6本配置されている。
本発明のバックライトの始動方法は、熱陰極蛍光ランプを備えたバックライトの始動方法であり、前記熱陰極蛍光ランプが有するフィラメントの予熱時において、熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記フィラメントを保持する一対のリード線の間において端子間グロー放電を発生させ、それによって、前記熱陰極蛍光ランプの黒化の発生を抑制している。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプである。
本発明の熱陰極蛍光ランプは、公称寿命2万時間以上の熱陰極蛍光ランプであり、前記熱陰極蛍光ランプは、内面に蛍光体が形成されたバルブと、前記バルブ内に設けられ、熱電子を放出するエミッタが塗布されたフィラメントと、前記フィラメントを保持する一対のリード線とから構成されており、前記熱陰極蛍光ランプには、黒化抑制手段が設けられており、前記黒化抑制手段は、前記フィラメントの予熱時において前記熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記一対のリード線の間にて端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されている。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプは、照明用である。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプである。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプの一本における一対の電極のうちの一個の前記フィラメントに10.0mg以上のエミッタが塗布されている。
ある好適な実施形態において、前記フィラメントは、四重コイルからなる。
本発明の照明装置は、熱陰極蛍光ランプと、前記熱陰極蛍光ランプとを備える照明装置であり、前記熱陰極蛍光ランプは、請求項9に記載の熱陰極蛍光ランプであり、前記点灯回路は、前記フィラメントの予熱時に予熱電流を流すフィラメント予熱回路と、前記熱陰極蛍光ランプの点灯時に電力を供給するランプ電力供給回路とから構成されている。
本発明の熱陰極蛍光ランプの始動方法は、公称寿命2万時間以上の熱陰極蛍光ランプの始動方法であり、前記熱陰極蛍光ランプが有するフィラメントの予熱時において、熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記フィラメントを保持する一対のリード線の間において端子間グロー放電を発生させ、それによって、前記熱陰極蛍光ランプの黒化の発生を抑制している。
ある好適な実施形態において、前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプである。
本発明のバックライトによれば、熱電子を放出するエミッタが塗布されたフィラメントを有する熱陰極蛍光ランプに、黒化抑制手段が設けられており、その黒化抑制手段は、フィラメントの予熱時において熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されているので、予熱電流を多くして予熱時間を短縮したとしても、黒化を抑制することができる。すなわち、端子間グロー放電を発生することにより、黒化が抑制されるので、予熱電流を多くすることができ、その結果、始動時間を短縮化することができる。
特に、長寿命ランプの熱陰極蛍光ランプ(例えば、四重コイルにしてフィラメント長を長くした熱陰極蛍光ランプ)は、フィラメントの熱容量が大きくなっているために、始動時間が長くなる傾向があるが、本発明のバックライトによれば、黒化形成領域に達する前に端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現された黒化抑制手段があるため、新たな部品を導入しなくても、始動時間を短縮したバックライトを提供することができる。
本発明の熱陰極蛍光ランプによれば、黒化抑制手段が設けられており、その黒化抑制手段は、フィラメントの予熱時において熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されているので、予熱電流を多くして予熱時間を短縮したとしても、黒化を抑制することができる。すなわち、端子間グロー放電を発生することにより、黒化が抑制されるので、予熱電流を多くすることができ、その結果、始動時間を短縮化することができる。
本発明の照明装置によれば、熱電子を放出するエミッタが塗布されたフィラメントを有する熱陰極蛍光ランプに、黒化抑制手段が設けられており、その黒化抑制手段は、フィラメントの予熱時において熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されているので、予熱電流を多くして予熱時間を短縮したとしても、黒化を抑制することができる。すなわち、端子間グロー放電を発生することにより、黒化が抑制されるので、予熱電流を多くすることができ、その結果、始動時間を短縮化することができる。
本発明の熱陰極蛍光ランプの始動方法によれば、黒化形成領域に達する前に端子間グロー放電を発生させるため、始動時間を短縮して熱陰極蛍光ランプを始動できる。
本発明の実施形態に係るバックライト100及び点灯回路の構成を説明するための図 本発明の実施形態に係る熱陰極蛍光ランプ10を模式的に示す断面図 本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を示す断面図 本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を示す上面図 本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を説明するための分解斜視図 (a)から(c)は、始動時のフィラメント温度Tfと通電時間(t)の関係を模式的に表したグラフ (a)から(c)は、再始動時のフィラメント温度Tfと通電時間(t)の関係を模式的に表したグラフ (a)および(b)は、始動時のフィラメント温度Tfと通電時間(t)の関係を模式的に表したグラフ 本発明の実施例の結果を示すグラフ 本発明の実施例の結果を示すグラフ 本発明の実施例の結果を示すグラフ
本願発明者は、大画面化が益々加速する液晶ディスプレイ用のバックライトに好適なものは、現在主流の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を用いたものでなく、冷陰極蛍光ランプと比べて1本あたりに大出力の電力を投入できる熱陰極蛍光ランプ(HCFL)を用いたものに移行すると考え、研究開発を行っていた。そのように移行すると考えた理由は、熱陰極蛍光ランプの「高出力」という特徴を生かすことで、液晶テレビにおけるコントラスト比を大きくすることができ、動画を含めた高画質化が可能となるとともに、冷陰極蛍光ランプに比べ、バックライトとして使用するランプの本数が大幅に削減でき、コストダウンが可能であるからである。
このような開発の中、本願発明者は、寿命の問題を解決した長寿命の熱陰極蛍光ランプにおいて、フィラメントの熱容量が大きくなる原因から始動時間が長くなるという問題の解決に取り組んでいた。しかしながら、長寿命の熱陰極蛍光ランプを実現するためには、多くのエミッタを塗布するためにフィラメントを長くすることが必要であり、そうすると、必然的にフィラメントの熱容量が大きくなってしまう。つまり、熱容量の増大による始動時間が多くなることは、長寿命の熱陰極蛍光ランプと密接に関係した問題であり、この問題を、ある程度の低コストで、かつ、ランプ構造や点灯回路を簡単な構成のものを維持したまま解決するのは至難のことであった。
本願発明者は、通常は適切でない放電とされるグロー放電を意図的に発生させれば、予熱時間を短くするために予熱電流を大きくしても、黒化形成領域に入ることなく、すなわち、熱陰極蛍光ランプの黒化の発生を抑制できることを鋭意研究して見出し、本発明に至った。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明の実施形態に係るバックライト100について説明する。図1は、本実施形態のバックライト100及び点灯回路(40,45)の構成を説明するための図であり、図2は、バックライト100に含まれている熱陰極蛍光ランプ10の構成を示す断面図である。
本実施形態のバックライト100は、熱陰極蛍光ランプ10と、熱陰極管を収納する筐体(不図示)とから構成されている。熱陰極蛍光ランプ10は、特に、図2に示すように、内面に蛍光体(不図示)が形成されたバルブ12と、バルブ12内に設けられたフィラメント14と、フィラメント14を保持する一対のリード線13とから構成されている。フィラメント14には、熱電子を放出するエミッタ(不図示)が塗布されている。
本実施形態の構成においては、熱陰極蛍光ランプ10には、黒化抑制手段50が設けられており、その黒化抑制手段50は、フィラメント14の予熱時において、熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、端子間グロー放電を発生させるフィラメント14によって実現されている。
ここで本実施形態における「端子間グロー放電」とは、通常点灯時にランプ両端の間に発生するアーク放電とは異なり、フィラメント14を包み込むような感じで一対のリード線13の間(端子間)で発生するグロー放電である。
図1に示すように、本実施形態のバックライト100に用いられる点灯回路は、フィラメント14の予熱時に予熱電流を流すフィラメント予熱回路40と、熱陰極蛍光ランプ10の点灯時に電力を供給するランプ電力供給回路45とを含んでおり、熱陰極蛍光ランプ10は、フィラメント予熱回路40とランプ電力供給回路45とに電気的に接続されている。
そして、本実施形態のバックライト100を始動する場合には、フィラメント予熱回路40から予熱電流がフィラメント14に流れて、フィラメント14の予熱が行われる。その時に、フィラメント14の予熱に伴って、フィラメント14に塗布されたエミッタから熱電子が放射し、そこから黒化形成領域に達する前までの間に、意図的に、端子間グロー放電を発生させる。その意図的な端子間グロー放電によって、熱陰極蛍光ランプの黒化の発生を抑制する。
つまり、フィラメント14に流す予熱電流は、フィラメント14のエミッタから熱電子が放射した後、黒化形成領域に達する前までの間に、端子間グロー放電が発生するように設定された電流値であり、この電流値は、後述のパラメータ(フィラメントに使用される素線(例えばタングステン線)の径や長さ等)との関係で決定される。
付言すると、端子間グロー放電は、水銀発光を伴った放電であり、水銀発光を伴わずに予熱によりフィラメントが赤くなるだけの状態とは異なるものである。なお、熱陰極蛍光ランプ10における黒化形成領域と、意図的に端子間グロー放電を発生させる機構(黒化抑制手段50)との詳しい説明は後述する。
次に、図2に加えて、図3から図5も参照しながら、本実施形態のバックライト100の好適な構成例について説明する。図3および図4は、それぞれ、本実施形態のバックライト100の構成を示す断面図および上面図である。図5は、本実施形態のバックライト100の構成を説明するための分解斜視図である。
図2に示した本実施形態の熱陰極蛍光ランプ10は、バックライト用として用いられるので、長寿命のものが使用される。好ましくは、熱陰極蛍光ランプ10は、公称寿命1.2万時間以上のランプであり、さらに好ましくは、公称寿命2万時間以上、または、3万時間以上のランプである。なお、ディスプレイとして従来から広く普及している陰極管(CRT)装置の寿命は、約20000時間であるので、それ以上の寿命(例えば、50000時間またはそれ以上)があるランプであることが望まれる。
寿命の定義としては大きく2つの要素があり、1つはランプの明るさの減退率(いわゆる輝度維持率)と不点灯である。バックライトとしての使用を想定すると、熱陰極蛍光ランプの寿命が律則するのは電極フィラメントに形成された熱電子放射性物質(エミッタ)の枯渇による不点である。寿命を推定するには、複数のランプを所定の点灯条件(ランプの定格電流における連続点灯試験)のライフ試験に掛け、ある一定時間(例えば、100時間、500時間、1000時間、2000時間、5000時間)点灯後のランプを順次破壊、または、非破壊によりエミッタの残存量を随時測定し、初期からの消耗量(消耗速度)を測定する。これらの結果を基に、点灯経過時間とエミッタ消耗量(または、エミッタ残存量)の関係をプロットし、1次関数によりフィッティングを行うことで、寿命を推定することができる。なお、公称寿命は、前記の取得データを基に消耗量のばらつき、測定ばらつき、製造ばらつき(いずれも標準偏差の3倍:3シグマを基準)を鑑みて決定される。
図示した熱陰極蛍光ランプ10は、直管状のガラスバルブ12と、ガラスバルブ12の両端に配設された一対の電極11とから構成されている。
ガラスバルブ12は、ソーダ石灰ガラス製、または、バリウム・ストロンチウムシリケート(軟化点675℃の軟質ガラス)製である。バルブ12の寸法を例示すると、32インチ用としては、バルブ12の外径15.5mm、肉厚0.8mm、長さ730mmである。45インチ用としては、バルブ12の外径20mm、肉厚0.8mm、長さ1010mmである。65インチ用としては、バルブ12の外径20mm、肉厚0.8mm、長さ1499mmである。なお、105インチ用としては、バルブ12の外径20mm、肉厚0.9mm、長さ2367mmである。なお、バルブの肉厚は、1.0mmにすることもできる。
ガラスバルブ12の内面には蛍光体(不図示)が塗布されている。より具体的には、ガラスバルブ12の内面12aには、アルミナからなる保護膜が形成されており、その保護膜の上に蛍光体層が積層されている。蛍光体層を構成する蛍光体は、例えば、赤(Y:Eu)、緑(LaPO:Ce,Tb)および青(BaMgAl1627:Eu,Mn)の各色を発光する希土類蛍光体を混合したものを用いることができる。なお、蛍光体は、他の希土類蛍光体を用いることができる。例えば、赤として、(Y,La)
:Eu、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、緑として、CeMgAl1119:Tb、GdMgB10:Ce,Tb、青として、(Sr,Ca)10(POl2:Euを挙げることができる。
ガラスバルブ12内には、水銀と、希ガスが封入されている。本実施形態では、ガラスバルブ12内に、約5mgの水銀(不図示)と、緩衝用希ガスとして常温における圧力500Paのアルゴン(Ar)が封入されている。なお、バルブ12内に封入する水銀は、水銀単体の他に、例えば、亜鉛水銀、スズ水銀、ビスマス、インジウム水銀などのアマルガムの形態で封入することもできる。
また、希ガスとしては、アルゴン(Ar)の混合比率が100%のものの他、アルゴン(Ar)にクリプトン(Kr)を混合したものを用いることもできる。クリプトン(Kr)の混合比(分圧比)は、例えば、20%〜60%であり、一例として、アルゴン:クリプトン=50%:50%の混合ガス(ガス圧600Pa)を挙げることができる。
本実施形態における電極11は、フィラメント14と、フィラメント14を保持する一対のリード線13と、この一対のリード線13を保持するビーズガラス15とから構成されている。ビーズガラス15は、ビーズマウントとも称される。図示した電極11は、いわゆるガラスビーズマウント方式のものである。
フィラメント14は、タングステン製であり、本実施形態では、長寿命ランプにするためにエミッタ塗布量を大きくするように複雑なコイル形状としている。すなわち、太いタングステン線の周囲にゆるく覆うように細いタングステン線を巻つけて長い籠状の構造体を形成し、この構造体を螺旋状に巻いたものが二重コイルと称される。フィラメント14は前記二重コイルをいまいちど螺旋状に巻いて三重コイルとしたもの、または前記三重コイルをさらに螺旋状に巻いて四重コイルとしたものである。フィラメント14が三重コイルの場合、三重目のコイルが3〜7ターンの電極コイルである。またフィラメント14が四重コイルの場合、2〜4ターンの電極コイルである。
フィラメント14に塗布されるエミッタは、例えば、ストロンチウム、カルシウム、バリウムの酸化物である。本実施形態では、長寿命ランプを実現するために、フィラメント14に塗布するエミッタ量を多くするようにしており、本実施形態では、熱陰極蛍光ランプ10の一本あたり、一対の電極のうちの一つのフィラメント14に10.0mg以上のエミッタを塗布している。なお、希ガスの構成をアルゴン100%でなく、アルゴンよりも原子量の大きいクリプトンを所定混合比で混入させると、エミッタがフィラメント14から飛散し難くなり、その技術的意味でランプ寿命を長くすることができる。
図示した電極11は、ガラスバルブ12の封止部16にてピンチ封止されている。また、ガラスバルブ12の少なくとも一方の端部には、排気管17が封着されている。この排気管17は、バルブ12内を排気したり、希ガスを封入したりする時に使用され、その排気・封入の後に封着されたものである。
ガラスバルブ12の端部には、封止部16や排気管17を覆うように口金18が設けられている。なお、封止部16から外へ延びたリード線13と口金18との結線手法は、ランプ10の仕様に合わせて適宜決定すればよい。例えば、口金18の端面(紙面の左側と右側の端面)に、バックライトユニットへの取付け用のピンを配置し、そのピンとリード線13との結線を行うようにすることもできるし、あるいは、取付け用のピンを口金18の側面の一部(例えば、紙面正面側の円筒の一部)に配置し、そのピンとの結線を行うことも可能である。
熱陰極蛍光ランプ10は、低圧水銀蒸気放電を応用したランプであり、ガラス管はランプの消費電力に適した直径と長さに設計され、直管および環形、U字形などがある。管の内壁には蛍光体が塗布されるが、蛍光体とガラスと間には化学反応による特性の劣化を防ぐための保護膜(酸化アルミナやシリカ粉末など)が施される。電極となるフィラメントはタングステンの二重、または、三重コイルが一般的で、フィラメントには電子放射性物質であるエミッタが塗布されている。管内には液体水銀(または水銀アマルガム、合金)とバッファとしての希ガスが封入される。希ガスとしては一般にアルゴンが用いられることが多いが、ランプの構造や種類によってはクリプトンやネオンなどの混合ガスを用いることもある。
発光の原理は、電子放出物質が塗布されている電極からは、放電(および電極を加熱する別の手段を講じ)により熱電子が放出されるだけの温度を維持することで、電子が供給されアーク放電を維持することができる(これは、冷陰極と大きく異なる点である)。この放電により得られた水銀原子の転移スペクトルのうち、主に254nmの紫外線を蛍光体の励起線として利用することで可視光に転換して利用している。
つまり、このように熱陰極蛍光ランプは電極の構成が非常に重要な役割をしており、そして、この電極の寿命がランプとしての寿命を規制する。通常、この電極に塗布されたエミッタが長期ランプを点灯することで枯渇してしまうため、一般の熱陰極を有する蛍光ランプの公称寿命は6,000時間〜18,000時間であり、そのまま、液晶テレビなどのバックライトとして使用するには要求される寿命に及ぶことはない。熱陰極の蛍光ランプをバックライトとして適用するためには長寿命化が必須の開発課題である。長寿命化には、いかにしてエミッタの消耗量(消耗速度)を抑え、かつ、初期に多くのエミッタ材料をフィラメントに形成するかが開発の要素となる。
エミッタの消耗量を抑えるためには、封入する希ガスの圧力を高めたり、希ガスの中でも原子量の大きいガス(たとえば、クリプトンやキセノン)を用いたり、その混合比率を高めることである。これにより、電極におけるエミッタの熱による蒸発、始動時や再点弧時に発生するイオン衝撃による飛散を抑制することができる。また、初期のエミッタ量を多く塗布するためには、フィラメントの巻き数、巻き径、全長を長くすることで、より多くのエミッタを載せることができるため寿命を確保することが可能となる。なお、寿命を長くした場合に生じる問題点の詳しい説明については後述する。
図3〜図5に示すように、本実施形態のバックライト100は、直下型の画像表示装置用のバックライトであり、例えば、26インチ以上(好ましくは、32インチ以上。例えば、32インチ、46インチ、65インチなど)の液晶ディスプレイ用の面状光源として使用される。図3〜図5に示した例では、熱陰極蛍光ランプ10は、6本が筐体20内に収納されているが、この数に限定されるものではない。ただし、本実施形態の好適な一例では、32インチから46インチの画面サイズの液晶ディスプレイのパネルに対して、筐体20内に熱陰極蛍光ランプを4本から6本配置して、点灯・動作させることが可能である。
図示した構成では、筐体20の一部となる反射板21は、金属板(例えば、メッキを施した鉄製、または、アルミニウム製)から構成されており、その厚さは1.5mmである。反射板21の一部は、凸状(三角状)に屈曲されて、補助反射板22を構成している。補助反射板22を含む反射板21の上面(筐体の主面20b)には、反射シート23が形成されている。反射シート23は、白色の酸化チタン(又は炭酸カルシウム)が分散されてなるポリエチレンテレフタレート(PET)の樹脂層から構成されており、その厚さは2.0mmである。補助反射板22の頂点(または稜線)の一部には、光学シート30の下面を支持するための支柱24が形成されている。支柱24は、白色樹脂製である。なお、バックライト100の高さH(反射板21の上面から光学シート30が位置する面までの高さ)は、例えば、27mmである。
バックライト100の反射板21の下方には、点灯回路(バラスト回路または安定器)70が配設されている。点灯回路70は、上述したように、フィラメント予熱回路40とランプ電力供給回路45とを含んでいる。この例では、各ランプ10に、一つの点灯回路70が設けられており、したがって、6本のランプ10に6個の点灯回路70が使用されているが、他の構成(個数)を採用することもできる。点灯回路70は、ランプ10に電気的に接続されており、また、調光機能も備えている。
点灯回路70を収納するように反射板21の下には、下カバー72が設けられている。下カバー72は、厚さ1.5mmの金属板から構成されている。下カバー72と反射板21との間の空間には、例えば、配線が配設されている。なお、バックライト100に下カバー72は設けなくてもよく、その場合、点灯回路70は液晶ディスプレイ(例えば、液晶テレビ)の筐体内に配置しておくことも可能である。
また、反射板21の端部には、ランプ10を保持するためのランプホルダ75が設けられている。ランプホルダ75は、例えば、白色樹脂製のものである。加えて、バックライト100の筐体の開口部20aには、光学シート30が配置されている。この例では、光学シート30は、上から順に、偏向シート31(住友3M社製のDBEF(DualBrightness Enhancement Film)、厚さ0.440mm)、レンズシート32(厚さ0.155mm)、拡散シート33(厚さ0.113mm)、拡散板34(厚さ2.0mm)を含んでいる。拡散板34の下面に、さらにレンズシートを設けることも可能である。
さらに、光学シート30の上には、液晶パネル(例えば、厚さ約2mm)60が配設され、そして、その液晶パネル60及び光学シート30を覆うように上カバー62が配設されている。上カバー62は、例えば、厚さ1.5mmの金属板からなる。なお、この例における画像表示領域65(図4参照)は、1018mm×573mmであるが、勿論その寸法に限らず、他の寸法であってもよい。また、ランプ10の封止部16周辺は、ランプ10の非点灯部位を隠すために額縁領域として覆われて、その非点灯の部位は外部には見えないことになる。
次に、図6から図8を参照しながら、熱陰極蛍光ランプ10を長寿命にした場合の問題点と、本実施形態の黒化抑制手段50の働きについて説明する。
まず、熱陰極蛍光ランプ10を始動するには、始動時にフィラメントの温度を適正な温度範囲にする必要がある。ここで、適正な温度範囲とは、エミッタより十分な量の熱電子が放出され、かつ、エミッタが過度に蒸発しない温度範囲を意味する。すなわち、適正な温度範囲を下回ると、熱電子が放出されず、始動時にフィラメントがダメージを受け、黒化発生、短寿命が発生する。一方、適正な温度範囲を上回ると、エミッタが過度に蒸発し、黒化が発生してしまう。始動時にフィラメントを適正な温度にするためには、フィラメントに電流を流し、発生するジュール熱で加熱する。そして、始動時の温度は、フィラメント電流とフィラメント電流通電時間(以下予熱時間)によって決まる。
図6(a)から(c)は、フィラメント温度Tfと通電時間(t)の関係を模式的に表したグラフである。
図6(a)に示したグラフは、長寿命タイプではない典型的なランプ(一般照明用ランプ)のフィラメントに対し一定電流を通電した場合の例を表している。図6(a)に示すように、フィラメント温度Tfは、通電時間とともに上昇し、その後、通電による発熱と、フィラメント温度Tfと周囲温度の温度差による放熱とが平衡状態になり、温度一定となる。ここで、TとTは、それぞれ、適正温度範囲の上限と下限を表している。なお、適正温度範囲の上限(T)と下限(T)の求め方については後述する。
フィラメントには、平衡状態の温度が適正温度範囲の上限(T)以下になるようにフィラメント電流が流される。また、予熱時間t1は、ランプ点灯回路によって、始動時にフィラメント温度TfがTとTの間になるように設定される。図6(a)における一般照明用の熱陰極蛍光ランプでは、t1は1秒程度である。
バックライト用の熱陰極蛍光ランプでは、長寿命にするため、典型的なランプよりも多くのエミッタをフィラメントに保持させる場合がある。そのため、フィラメントの熱容量が大きくなり、図6(b)に示すように、フィラメント通電時間に対するフィラメント温度Tfの変化は緩やかになり、図6(a)のときと比較して、予熱時間t1は長くなる。つまり、この熱容量が大きいフィラメントを用いたランプでは、予熱時間t1が長くなり、それゆえに、始動時間は長くなってしまう。
図6(c)は、図6(b)に示した例のバックライト用の熱陰極蛍光ランプにおいて、フィラメント電流を大きくした場合の関係を表している。図6(c)に示すように、フィラメント電流を大きくすれば、予熱時間t1を短くすることができる。しかしながら、通電時間が長い場合、フィラメント温度Tfが適正温度範囲を上回ってしまうため、ばらつき等でt1が長くなった場合、黒化が発生してしまう。
さらに、ランプ消灯直後に再始動させる場合、つまり初期フィラメント温度が高い場合について、図7(a)から(c)を参照しながら説明する。なお、図7(a)から(c)は、図6(a)から(c)で表したランプ条件に対応する。
図7(a)に示したグラフは、初期のフィラメント温度が高いことから、基本的に、図6(a)に示した曲線を初期温度差分だけ左にずらした形になる。ここで、予熱時間t1はランプ点灯回路により決まるため、始動時(図6(a))・再始動時(図7(a))とも同じである。 図7(a)からわかるように、再始動時においても適正温度範囲でランプを始動させることができる。また、図7(b)の場合も、図7(a)と同様に、再始動時においても適正温度範囲で始動できることがわかる。しかし、図7(c)の場合には、初期フィラメント温度が高いため、予熱時間t1におけるフィラメント温度Tfが適正温度範囲を上回るため、より高い確率で、黒化が発生してしまう。
以上説明した通り、長寿命を確保するためにエミッタ量を多くした熱陰極蛍光ランプ10において、予熱時間を短くするために、予熱時にフィラメント電流を大きくする必要がある。すると、図8(a)に示すように、予熱時間が長くなった場合、フィラメント温度が黒化領域に達してしまう。これは、図6(c)で説明した通りであり、再始動の場合には、図7(c)で説明した通り、黒化の問題はより顕著になる。
一方、本実施形態の熱陰極蛍光ランプ10においては、黒化抑制手段50が設けられており、その黒化抑制手段50によって、フィラメントの予熱時において、熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、端子間グローを発生させる。したがって、本実施形態の構成においては、図8(b)に示すように、黒化形成領域(51)に達する前に、フィラメント端子間にグロー放電(52)が発生する。この端子間グロー放電(52)が発生すると、端子間に放電電流が流れ、フィラメントに流れる電流は増加しないため、フィラメント温度の上昇が抑制される。これにより、フィラメント温度Tfが黒化形成領域(51)に達することを防止することができ、その結果、黒化の形成を防止することができる。
黒化抑制手段50によって黒化形成領域51に達する前に端子間グロー放電(52)を発生することができる理由は次の通りである。
予熱通電時のフィラメントは、その温度に応じた電気抵抗を持ち、フィラメント両端間には電圧(フィラメント電圧)がかかっている。フィラメント電流が大きく、フィラメント温度が高いほど、フィラメント電圧は高くなる。そのため、フィラメント電流通電時に通電時間とともにフィラメント温度が上昇すると、それに伴ってフィラメント電圧が高くなる。このフィラメント電圧がフィラメント両端間の放電開始電圧よりも高いと、フィラメント両端間に放電(端子間グロー放電)が生じる。
通電時のフィラメント電圧は、非通電時(常温時)のフィラメント抵抗およびフィラメント温度により決定される。ある一定のフィラメント温度においては、フィラメント抵抗が高いほど、フィラメント電圧が高くなり、端子間グロー放電が発生しやすくなる。
非通電時のフィラメント抵抗は、フィラメントに使用しているタングステン線の径、および長さで決定される。タングステン線の径が小さいほど、また、長さが長いほど、フィラメント抵抗が高くなり、ある一定のフィラメント温度において、端子間グロー放電が発生しやすくなる。
放電開始電圧は、フィラメント両端の間隔、ランプに封入されているガスの種類・圧力、および、端子間に存在する電子の密度により決定される。端子間に存在する電子はエミッタからの熱電子であり、フィラメント温度が高いほど、電子密度は大きい。フィラメント両端間隔が小さいほど、封入ガス圧が低いほど、また、フィラメント温度が高い(電子密度が大きい)ほど、放電開始電圧が下がり、端子間グロー放電が発生しやすくなる。
以上述べたパラメータを適正に調整することにより、所望のフィラメント温度で端子間グロー放電を発生させることができる。
本実施形態のフィラメント(14)は、より多くのエミッタを付着させるため、四重コイルとなっている。四重コイルは、四次巻回の巻回数が4ターンの四重コイルであって、フィラメントを巻回して一重コイルとし、さらにその一重コイルを二次巻回して二重コイルとし、さらにその二重コイルを三次巻回して三重コイルとし、さらにその三重コイルを四次巻回してなる。そして、一次巻回中空部分には、当該一次巻回中空部分を貫通するようにして主線が配置されている。
四重コイルの各寸法は、主線直径Daが90μm、副線直径Dbが20μm、一次マンドレル径MD1が90μm、一次ピッチ長P1が89μm、二次マンドレル径MD2が200μm、二次ピッチ長P2が381μm、三次マンドレル径MD3が398μm、三次ピッチ長P3が710μm、四次マンドレル径MD4が1200μm、四次ピッチ長P4が1800μmである。
本実施形態の熱陰極蛍光ランプ(10)は、この四重コイルのフィラメント(14)を備えたランプであり、フィラメントを支持するリード線(13)の間隔を12mmとし、封入ガスをAr50%、Kr50%の混合ガス600Paとしたものである。
この構成のランプを用いて、端子間グロー放電の発生を調べた結果を図9から図11に示す。その内容については後述するが、図9から図11からわかるように、フィラメント温度が黒化形成領域55に達する前に、端子間グロー放電(52)が発生している。このとき、前記端子間グロー放電(52)が発生した時の端子間電圧は、14.5〜15.5Vであった。これにより、フィラメント温度の上昇を抑制でき、黒化を抑制することができる。なお、上述したパラメータを適正なものに調整すれば、四重コイルのものに限らず、他の構成のもの(例えば、三重コイル)であっても、黒化形成領域51に達する前に端子間グロー放電(52)を発生することができる(すなわち、黒化抑制手段50を実現することができる)。
次に、フィラメント温度(Tf)の求め方について説明する。フィラメント温度を直接測定することは技術的に困難であるので、以下に述べる手法でフィラメント温度を求める。フィラメント温度は、フィラメントを構成するタングステンの抵抗の温度特性を利用することで求めることができる。ここで、加熱時のフィラメント温度とフィラメント抵抗をそれぞれ、Th(K)、Rh(Ω)とし(「h」はホットの意)、一方、室温時のフィラメント温度とフィラメント抵抗をそれぞれ、Tc(K)、Rc(Ω)とすると(「c」はコールドの意)、これらには以下の関係があることが経験的にわかっている。
Th=Tc×(Rh/Rc)0.814・・・(式1)
上式に基づき、室温時および加熱時のフィラメント抵抗を測定することによってフィラメント温度を求めることができる。
次に、適正温度上限(T)の求め方について説明する。まず、始動予熱時の適正温度上限とは、エミッタの過度の蒸発によるランプの黒化が発生しない上限温度であり、この適正温度上限は、以下に述べる手法で求めることができる。
予め室温時の抵抗(Rc)を測定したフィラメントに、一定電流を1分間通電する。その通電時にフィラメント電圧・電流を測定し、加熱時のフィラメント抵抗Rhを算出する。通電後、ランプの黒化の有無を目視で判定する。そして、徐々にフィラメント電流を上げていき、黒化が発生するフィラメント電流の上限を求める。なお、適正温度上限は、コイル形状・ランプ径・封入ガス等のパラメータに影響を受けるため、ランプごとに異なる値をとる。
なお、黒化の判定は、簡易的には目視で行われ、またそれで十分なことが多いが、厳密な判定は、反射色測定用の色彩色差計を用いて行うことができる。色彩色差計は、物体に標準光を照射したときの色を測定する装置であり、その測定によって反射色の色度x,yおよび明度Yを得ることができる。明度Yはその物体の反射率を表すため、その明度を用いて黒化の度合い(黒化度)を表示させることが可能となる。
始動時の適正温度下限(T)の求め方について説明する。まず、始動予熱時の適正温度下限とは、フィラメントに保持されているエミッタより十分な量の熱電子が放出される下限温度であり、この適正温度下限は、以下に述べる方法で求める。
測定対象のフィラメントを陰極側にしてランプを一定の微少電流(0.6mA)で直流放電させる。微少電流で放電させるのは、ランプ電流でフィラメントが加熱されないようにするためである。その放電(ランプ電流)を維持した状態で、フィラメントに一定電流を通電し、ランプ電圧およびフィラメント電圧について通電後の時間変化を測定する。
その結果の一例を図9とともに説明する。図9中のライン(B)がランプ始動時のランプ電圧の変化を表している。ライン(B)において、通電時間1.7秒〜2.5秒でランプ電圧が急激に低下していることがわかる(矢印56)。これは、フィラメント加熱によって熱電子が放出され、陰極降下電圧が低下したためである。ランプ電圧が下がりきった約2.5秒のポイント(符号57)におけるフィラメント温度が適正温度下限となる。
図9におけるライン(A) は、始動時における抵抗比(Rh/Rc)の時間変化を表
しており、図8(b)に示した曲線と基本的に同じである。図9からわかるとおり、ライン(A)は、熱電子の放射後(57)から、黒化形成領域51の境界(すなわち、適正温度上限)55に達する前に、グロー放電52を起こしたことを示している。換言すると、このグロー放電52が無ければ黒化形成領域51に入って黒化が発生するようなプロファイルを、当該グロー放電52によって黒化形成領域51に入らないようにし、その結果、熱陰極蛍光ランプ10が黒化することを抑制している。なお、このランプ10における黒化形成領域51の境界(適正温度上限55)は、抵抗比(Rh/Rc)が6.9の値のところである。
グロー放電52は、図9に示した実験例のパターンに限らず、図10に示したものであってもよい。また、図11に示したものであってもよい。図11に示した例では、グロー放電時(52)に抵抗比(Rh/Rc)が一旦低下し、その後、その値は一定に水平に推移するが、それでも、適正温度上限55には達成せず、黒化の発生を防止できることが理解できる。なお、図9から図11は、同じ仕様のフィラメントを使用し、同じ電流条件(フィラメント電流が800mAである。)での実験結果である。
端子間グロー放電52が発生したかどうかは、図9から図11に示したように、不連続点が生じたかどうかで判定することができる。これについてさらに説明すれば次の通りである。まず、フィラメントに通電すると、フィラメントの温度上昇によりコイルの電気抵抗が高くなる。そのため、抵抗比(Rh/Rc)(または、フィラメント電圧Vf)は上昇する。端子間グロー放電52が発生すると、端子間にフィラメント電流とは別に、グロー電流が流れ、端子間の見かけ上の抵抗が低くなるため、抵抗比(Rh/Rc)(または、フィラメント電圧Vf)の推移において不連続点が生じる。したがって、不連続点が生じたかどうかによって端子間グロー放電52の発生を判定することができる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
例えば、熱陰極蛍光ランプ10のバルブ12の断面は円形(又は略円形)に限らず、略楕円形(楕円形、長円、その他の扁平形状)のものを用いることができる。また、本発明の実施形態に係るバックライトは、上述したように、例えば32インチ以上の大画面液晶TVに好適に用いられるが、それに限らず、中型(例えば、26インチ〜14インチ)の液晶TVにも適用可能である。加えて、液晶TVに限らず、他の画像表示装置(特に、大画面用)のバックライトに用いることも可能であるし、あるいは、広告看板のバックライトに用いることもできる。
なお、上記実施形態ではバックライトを中心に説明をしてきたが、「発明が解決しようとする課題」で前述のように、最近、照明用熱陰極蛍光ランプでも長寿命化がトレンドとなっており、バックライトと同様に公称寿命2万時間以上の長寿命になると前記バックライトと同様に点灯するまでの始動時間が長くなるという課題が発生する。本発明を、前記公称寿命2万時間以上の照明用熱陰極蛍光ランプにも用いることにより前記バックライトでの検討結果と同様に始動時間が短くできるという効果が得ることができる。
なお、照明用熱陰極蛍光ランプの構成は、上述したバックライトに利用される熱陰極蛍光ランプと基本的には同じ構成であり、また、照明用熱陰極蛍光ランプを点灯させる点灯回路も、上述したバックライトに利用される熱陰極蛍光ランプを点灯させる点灯回路と基本的には同じ構成である。
また、上記の実施の形態で説明した四重フィラメントを用いた場合、フィラメントに流す予熱電流を800mAとすることで、図9〜図11に示すように端子間グロー放電52を生じさせることができる。
端子間グロー放電は、フィラメントの予熱電流が800mAの値のときに発生するものでなく、他の電流値であっても発生する。つまり、フィラメントで端子間グロー放電を発生させる電流値は、フィラメントの仕様や、放電空間内の封入ガスの状態、一対のリード線間の距離、ランプが点灯するまでの時間の長短等(所謂、上述のパラメータである。)によって適宜決まるものである。
本発明を実施する際の目安について説明する。
まず、端子間グロー放電を意図的に発生させるためには、フィラメントに予熱電流を流すことによってフィラメントの温度を上昇させ、結果的に、フィラメントに15V前後(具体的には、13V〜17V)の電圧が印加すれば(図9〜図11の端子間グロー放電が発生した際のフィラメント電圧は略15Vである。)、端子間グロー放電が発生しやすい。
次に、端子間グロー放電を、黒化形成領域前に端子間グロー放電を発生させるためには、フィラメント電圧が13V〜17Vのときに、フィラメントの抵抗比が(Rh/Rc)が6.9以下であれば良い。
つまり、フィラメント電圧が13V〜17Vのときに、フィラメントの抵抗比が(Rh/Rc)が6.9以下となる構成のフィラメントを用い、そして、フィラメントに予熱電流を流して加熱し、最終的にフィラメントの電圧が13V〜17Vとなるようにフィラメントに予熱電流を流せば、本発明を実施することができるのである。
本発明によれば、長寿命の熱陰極蛍光ランプを備えたバックライト及び照明装置でも始動時間を短くすることができる。
10 熱陰極蛍光ランプ
11 電極
12 バルブ
13 リード線
14 フィラメント
15 ビーズガラス
16 封止部
17 排気管
18 口金
20 筐体
21 反射板
22 補助反射板
23 反射シート
24 支柱
30 光学シート
31 偏向シート
32 レンズシート
33 拡散シート
34 拡散板
40 フィラメント予熱回路
45 ランプ電力供給回路
50 黒化抑制手段
51 黒化形成領域
52 端子間グロー放電
60 液晶パネル
62 上カバー
65 画像表示領域
70 点灯回路
72 下カバー
75 ランプホルダ
100 バックライト

Claims (16)

  1. 熱陰極蛍光ランプを備えたバックライトであって、
    前記熱陰極蛍光ランプは、
    内面に蛍光体が形成されたバルブと、
    前記バルブ内に設けられ、熱電子を放出するエミッタが塗布されたフィラメントと、
    前記フィラメントを保持する一対のリード線と
    から構成されており、
    前記熱陰極蛍光ランプには、黒化抑制手段が設けられており、
    前記黒化抑制手段は、前記フィラメントの予熱時において前記熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記一対のリード線の間にて端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されている、バックライト。
  2. 前記バックライトは、さらに、点灯回路を備えており、
    前記点灯回路は、
    前記フィラメントの予熱時に予熱電流を流すフィラメント予熱回路と、
    前記熱陰極蛍光ランプの点灯時に電力を供給するランプ電力供給回路と
    から構成されている、請求項1に記載のバックライト。
  3. 前記バックライトは、直下型の画像表示装置用のバックライトであることを特徴とする、請求項1に記載のバックライト。
  4. 前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプであることを特徴とする、請求項1に記載のバックライト。
  5. 前記熱陰極蛍光ランプの一本における一対の電極のうちの一個の前記フィラメントに10.0mg以上のエミッタが塗布されていることを特徴とする、請求項1に記載のバックライト。
  6. 前記フィラメントは、四重コイルからなることを特徴とする、請求項1に記載のバックライト。
  7. 熱陰極蛍光ランプを備えたバックライトの始動方法であって、
    前記熱陰極蛍光ランプが有するフィラメントの予熱時において、熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記フィラメントを保持する一対のリード線の間において端子間グロー放電を発生させ、それによって、前記熱陰極蛍光ランプの黒化の発生を抑制していることを特徴とする、バックライトの始動方法。
  8. 前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプであることを特徴とする、請求項7に記載のバックライトの始動方法。
  9. 公称寿命2万時間以上の熱陰極蛍光ランプであって、
    前記熱陰極蛍光ランプは、
    内面に蛍光体が形成されたバルブと、
    前記バルブ内に設けられ、熱電子を放出するエミッタが塗布されたフィラメントと、
    前記フィラメントを保持する一対のリード線と
    から構成されており、
    前記熱陰極蛍光ランプには、黒化抑制手段が設けられており、
    前記黒化抑制手段は、前記フィラメントの予熱時において前記熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記一対のリード線の間にて端子間グロー放電を発生させるフィラメントによって実現されている、熱陰極蛍光ランプ。
  10. 前記熱陰極蛍光ランプは、照明用であることを特徴とする、請求項9に記載の熱陰極蛍光ランプ。
  11. 前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプであることを特徴とする、請求項9に記載の熱陰極蛍光ランプ。
  12. 前記熱陰極蛍光ランプの一本における一対の電極のうちの一個の前記フィラメントに10.0mg以上のエミッタが塗布されていることを特徴とする、請求項9に記載の熱陰極蛍光ランプ。
  13. 前記フィラメントは、四重コイルからなることを特徴とする、請求項9に記載の熱陰極蛍光ランプ。
  14. 熱陰極蛍光ランプと、前記熱陰極蛍光ランプとを備える照明装置であって、
    前記熱陰極蛍光ランプは、請求項9に記載の熱陰極蛍光ランプであり、
    前記点灯回路は、
    前記フィラメントの予熱時に予熱電流を流すフィラメント予熱回路と、
    前記熱陰極蛍光ランプの点灯時に電力を供給するランプ電力供給回路と
    から構成されている、照明装置。
  15. 公称寿命2万時間以上の熱陰極蛍光ランプの始動方法であって、
    前記熱陰極蛍光ランプが有するフィラメントの予熱時において、熱電子の放射後から黒化形成領域に達する前の間に、前記フィラメントを保持する一対のリード線の間において端子間グロー放電を発生させ、それによって、前記熱陰極蛍光ランプの黒化の発生を抑制していることを特徴とする、熱陰極蛍光ランプの始動方法。
  16. 前記熱陰極蛍光ランプは、公称寿命5万時間以上のランプであることを特徴とする、請求項15に記載の熱陰極蛍光ランプの始動方法。
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