JPH10199476A - 冷陰極放電ランプおよび照明装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス管バルブ径を細径化しても、所望の発
光特性や始動特性が得られる長寿命の冷陰極放電ランプ
およびこのランプを装着したバックライトなどの照明装
置を提供することを目的とする。 【解決手段】 内径Ｂｄが０．８〜１．８ｍｍのガラス
管バルブ１の端部に冷陰極型電極５，５を配設するとと
もにバルブ１内に放電媒体を封入した放電ランプＬにお
いて、上記冷陰極型電極５の外径Ｅｄは、Ｂｄ／２≦Ｅ
ｄ≦Ｂｄ−０．４（ｍｍ）である冷陰極放電ランプＬお
よびこの放電ランプＬを装着した照明装置である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はパソコンなどの情報
機器やテレビなどの表示機器あるいは照明器具などにお
いて使用される冷陰極放電ランプおよびこのランプを装
着した上記情報機器や表示機器のバックライト装置なら
びに照明器具などの照明装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】冷陰極蛍光ランプの構成は、内面に蛍光
体被膜が形成されたガラス管バルブの両端に冷陰極型の
電極が設けられるとともに、このバルブ内には放電を容
易にし所定の発光をさせるための放電媒体としてアルゴ
ンなどの希ガスと適量の水銀とが封入されている。

【０００３】そして、この冷陰極蛍光ランプは電極に電
流を流してバルブ内に放電を生起させ、紫外線を発生し
てバルブ内面に塗布されている蛍光体を励起して、蛍光
体の種類によって白色、昼光色、青色、赤色などの所望
の色光をランプから放射するようになっている。

【０００４】近年、冷陰極蛍光ランプも通常の照明用の
ほか、液晶を組込んだパソコン、ワープロ、電子手帳な
どの情報機器やテレビなどの表示機器のバックライトと
して用いられている。

【０００５】そして、この蛍光ランプは入力が小さく、
通常の一般照明用の蛍光ランプに比べ、細径で小形化さ
れ低消費電力で、同時に高輝度、薄型化や小形化、省電
力化、高輝度化、長寿命化などの高性能化がすすめられ
ている。

【０００６】一方、これら機器はランプ交換が行われな
いのが原則で、ランプも機器の寿命に合わせたものが要
求されている。このため、バックライト用の小形蛍光ラ
ンプは、低消費電力に適合するよう電流と電圧、封入す
る希ガスの種類や水銀の量などとともに寿命の観点から
も最適な電極の設計がなされている。

【０００７】このようにランプを小形化するには、電極
部も小形化する必要があり、特性的には熱陰極型のもの
が好ましいが、熱陰極型の電極は構造上大形化する問題
がある。

【０００８】そこで、このバルブを１０ｍｍ以下の細径
化した放電ランプでは電極を冷陰極型の電極としたもの
が多用され、上述したように最近ではさらに機器の小形
軽量化ということで、ランプもバルブの外径が約３ｍｍ
以下（内径は約１．８ｍｍ以下）のものが検討されてい
る。このようにバルブを細径化した放電ランプは、冷陰
極電極の表面積が小さく放電に必要な電極面積を確保で
きず、放電が異常グローとなって、放電が電極全体を包
み電極降下電圧が上昇してランプ電圧が高くなり、発光
効率が低下するとともにスパッタリングが激しく水銀の
消耗がはやく短寿命となる。また、放電遅れが生じるこ
とから始動特性が悪いなどの不具合があり、機器の薄型
化や小形化、省電力化、高輝度化、長寿命化などの高性
能化をすすめるうえで障害となっていた。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】ランプのバルブ径の細
径化による始動特性低下の不具合は、たとえば封入ガス
の種類を選んだりその封入ガス圧力を調整するなどの手
段で対処の方法があるが、上記種々の問題を総合的に解
決するには至っていない。

【００１０】本発明は上記問題に鑑みなされたもので、
ガラス管バルブ径を細径化しても、所望の発光特性や始
動特性が得られる長寿命の冷陰極放電ランプおよびこの
ランプを装着したバックライトなどの照明装置を提供す
ることを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に記載
の冷陰極放電ランプは、内径Ｂｄが０．８〜１．８ｍｍ
のガラス管バルブの端部に冷陰極型電極を配設するとと
もにバルブ内に放電媒体を封入した放電ランプにおい
て、上記冷陰極型電極の外径Ｅｄは、Ｂｄ／２≦Ｅｄ≦
Ｂｄ−０．４（ｍｍ）であることを特徴とする。

【００１２】内径Ｂｄが０．８〜１．８ｍｍのガラス管
バルブを用いた放電ランプにおいて、冷陰極型電極の外
径Ｅｄを上記範囲内とすれば、異常グローの発生がなく
陰極降下電圧が低くなるので、ランプ電圧が低下できる
とともに消費電力が下がって発光効率を向上できる。ま
た、電極のスパッタリングが少ないので長寿命となり放
電開始遅れもなくなる。

【００１３】本発明の請求項２に記載の冷陰極放電ラン
プは、ガラス管バルブの内壁面と冷陰極型電極の外表面
との離間距離が、０．２ｍｍ以上あることを特徴とす
る。

【００１４】上記請求項１に記載と同様な作用を奏す
る。離間距離が、０．２ｍｍ以上あれば、電極封止時に
マウントが傾いてもバルブの内壁面に接触や近接するこ
とがない。

【００１５】本発明の請求項３に記載の冷陰極放電ラン
プは、冷陰極型電極の外径Ｅｄが、０．４ｍｍ以上の丸
棒状であることを特徴とする。

【００１６】上記請求項１に記載と同様な作用を奏す
る。

【００１７】本発明の請求項４に記載の冷陰極放電ラン
プは、冷陰極型電極が、タングステンまたはタングステ
ン合金からなることを特徴とする。

【００１８】電極材料をタングステン系のものとすれ
ば、高融点で仕事関数が低いのでスパッタリングも少な
く長寿命化できる。

【００１９】本発明の請求項５に記載の冷陰極放電ラン
プは、ガラス管バルブに蛍光体被膜が形成されているこ
とを特徴とする。

【００２０】蛍光体被膜を励起して発光させることによ
り、高効率のランプ特性と各種の光源に適用させること
ができる。

【００２１】本発明の請求項６に記載の照明装置は、器
具本体と、この器具本体に設けられた請求項１ないし請
求項５に記載の冷陰極放電ランプと、上記冷陰極放電ラ
ンプに接続された点灯回路装置とを具備していることを
特徴とする。

【００２２】この照明装置は、上記請求項１ないし請求
項５に記載の作用を有する冷陰極放電ランプを備えてい
るので、バックライト用など種々の機器のさらにの小形
化と高効率化がはかれる。

【００２３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
および図２を参照して説明する。図１は冷陰極放電ラン
プの正面図、図２は図１のランプの端部の拡大断面図で
ある。

【００２４】この冷陰極放電ランプは、たとえば直管形
のランプ電流が５ｍＡ以下の蛍光ランプＬで、硬質ガラ
スからなる管状のバルブ１は外径が約２．２ｍｍ、内径
Ｂｄが約１．６ｍｍ、全長が約１６０ｍｍで、両端のそ
れぞれの封止部２、２にはマウント３が封着されてい
る。

【００２５】このマウント３は図２に拡大して示すよう
に、バルブ１のガラスと熱膨張率を合わせたＫＯＶ線な
どからなる封着線を兼ねた外径が約０．６ｍｍの導入線
４の一端側に、外径Ｅｄが約０．８ｍｍで長さが約２．
０ｍｍのタングステン（Ｗ）を主体とする丸棒状の冷陰
極型電極５を互いの端面を突合わす状態で電気溶接によ
り接続してある。そして、この電極５の表面にはバリウ
ム（Ｂａ）の酸化物を主体とする電子放射性物質（図示
しない。）が塗布して被着してある。すなわち、上記バ
ルブ１の内壁面（Ｂｄ）と冷陰極型電極５の外表面（Ｅ
ｄ）との間隔Ｃ（バルブ１内径−電極５の外径）は約
０．８ｍｍである。

【００２６】また、このバルブ１の内壁面にはたとえば
青色、緑色、赤色に発光領域を有する蛍光体を混合した
３波長形の蛍光体被膜６が形成され、バルブ１の内部に
は放電維持媒体としてネオン−アルゴン（Ｎｅ−Ａｒ）
などの混合希ガスと水銀とが封入してある。

【００２７】このような構成の蛍光ランプＬを、通常の
高周波点灯回路に接続し通電すると、タングステン
（Ｗ）製の丸棒状の冷陰極型電極５、５の表面に形成し
た電子放射性物質が電子放射をして電極５、５間に放電
を起こす。そして、当初は易放電媒体であるキセノン
（Ｘｅ）などの希ガスが発光する。この放電の熱によっ
てバルブ１内の温度が上がってくると水銀から水銀蒸気
が放出され、この水銀蒸気が放電によりバルブ１内を移
動する電子と衝突して紫外線を発し、この紫外線をバル
ブ１内壁面の蛍光体被膜６が受け励起して所定の可視光
をバルブ１外に放射し発光する。

【００２８】このランプＬは、バルブ１の内壁面と冷陰
極型電極５の外表面との間隔Ｃ（バルブ１内径−電極５
の外径）が約０．８ｍｍであり、異常グローの発生がな
いとともに電極材料が高融点で仕事関数の低いタングス
テン（Ｗ）で、また、電極５にバリウム（Ｂａ）の酸化
物を主体とする電子放射性物質が形成してあり陰極降下
電圧が低くなるので、ランプ電圧が低下できるとともに
消費電力が下がって発光効率および始動特性が向上でき
る。また、電極５のスパッタリングが少ないので長寿命
化できる。

【００２９】また、本発明者の試験によれば、ガラス管
バルブ１を細径化したランプＬにおいて、バルブ１内径
Ｂｄと冷陰極型電極５の外径Ｅｄとの関係による諸特性
の変化は図３〜図５の通りであった。図３は電極５の外
径Ｅｄ（ｍｍ…横軸）とランプ電圧（相対値％…縦
軸）、図４は電極５の外径Ｅｄ（ｍｍ…横軸）とランプ
の放電遅れ時間（秒…縦軸）、図５は電極５の外径Ｅｄ
（ｍｍ）による点灯時間（時間…横軸）と輝度維持率
（％…縦軸）の関係をそれぞれ対比して示すグラフであ
る。

【００３０】図３からは、バルブ１の内径Ｂｄ（図中点
線Ａは内径Ｂｄ約０．８ｍｍ、実線Ｂは内径Ｂｄ約１．
８ｍｍである）によってそのランプ電圧の絶対値は異な
るが、相対値％では同様な傾向を示し、約Ｂｄ／２（ｍ
ｍ）〜約Ｂｄ−０．２（ｍｍ）の範囲でランプ電圧の低
下がみられ発光効率の向上が認められた。

【００３１】また、図４からは、バルブ１の内径Ｂｄに
対し電極５の外径Ｅｄが大きいほど（電極５の外表面が
バルブ１の内壁面に近いほど）放電遅れ時間が短く、ラ
ンプＬの始動所要時間を短縮、かつ、そのばらつきも小
さくできた。（試料はバルブ１の内径Ｂｄが約１．６ｍ
ｍ、全長が約１６０ｍｍのランプＬで印加電圧１０００
Ｖｒｍｓ一定、また、図中黒丸は平均値で縦線の上下は
ばらつきを示す。） さらに、図５からは、バルブ１の内径Ｂｄに対し電極５
の外径Ｅｄが大きいほど（電極５の外表面がバルブ１の
内壁面に近いほど）、点灯時間経過後の輝度の低下が小
さいことが、確認できた。（試料はバルブ１の内径Ｂｄ
が約１．６ｍｍ、全長が約１６０ｍｍ、ランプ電流５ｍ
ＡのランプＬで、また、図中点線Ｆは電極５の外径が
１．２ｍｍ、実線Ｇは電極５の外径が０．８ｍｍ（Ｅｄ
／２）、点線Ｈは電極５の外径が０．６ｍｍ（Ｅｄ／
３）である。） そして、これらを勘案すると、内径Ｂｄが０．８〜１．
８ｍｍのガラス管バルブ１を用いた放電ランプＬにおい
て、バルブ１の内径Ｂｄと冷陰極型電極５の外径Ｅｄと
の関係はＢｄ／２（ｍｍ）〜Ｂｄ−０．４（ｍｍ）の範
囲内であれば、満足できる発光特性、始動特性および長
寿命の冷陰極放電ランプが得られた。

【００３２】そして、たとえば上記図１に示す蛍光ラン
プＬは図６に示すように、バックライトの光源として組
込みまれ使用される。この図６においてＲはランプＬを
装着した反射鏡、Ｄは反射鏡Ｒの開口部に載置された光
拡散板で、パソコンやテレビなどの液晶表示装置のバッ
クライトとして、あるいは所定のディスプレイ装置が形
成された表示板のバックライト用として使用され、ラン
プＬが高効率となるところから、これら装置の高効率化
がはかれるとともに小形化も可能である。

【００３３】また、通常の照明装置としても使用できる
ものである。

【００３４】なお、本発明は上記実施の形態に限定され
ない。たとえば、放電ランプは蛍光ランプに限らず、希
ガス発光によるランプなど他の細管形（放電路が小断
面）の低圧放電ランプに適用できる。また、その用途も
バックライト用に限らず、照明用はもとより殺菌などの
紫外線放射用のランプなどに適用できる。

【００３５】また、バルブの材質は鉛ガラスに限らずソ
ーダライムガラスなどの軟質ガラスやアルミノシリケー
トガラスなどの硬質ガラスであってもよく、その形状は
直管形状のものに限らず、Ｕ字形状やＷ字形状などの屈
曲したバルブあるいは直管状のものを複数本接続して放
電路を直列的に形成したバルブなどであってもよい。ま
た、冷陰極型電極の形成材料は、放電により溶融や損耗
し難いものを選ぶことはいうまでもなく、タングステン
系のものに限らず、ニッケル（Ｎｉ）、鉄−ニッケル
（Ｆｅ−Ｎｉ）合金、アルミニウム−ジルコニウム（Ａ
ｌ−Ｚｒ）合金などであってもよい。

【００３６】さらに、ランプに封入する希ガスはネオン
（Ｎｅ）−アルゴン（Ａｒ）に限らずネオン（Ｎｅ）、
アルゴン（Ａｒ）、クリプトン（Ｋｒ）やキセノン（Ｘ
ｅ）などを単独あるいは混合したガスであってもよく、
これもランプ特性に合わせ、混合比や封入圧を適宜決め
ればよい。

【００３７】

【発明の効果】本発明の請求項１ないし請求項４の記載
によれば、発光効率、ランプ電圧、始動特性などの発光
特性の向上および長寿命化がはかれた冷陰極放電ランプ
を提供することができる。

【００３８】本発明の請求項５の記載によれば、上記請
求項１に記載と同様な諸特性が向上した蛍光ランプを提
供することができる。

【００３９】本発明の請求項６の記載によれば、上記請
求項１ないし請求項５に記載と同様な効果を奏する冷陰
極放電ランプを備えているので、バックライト用など種
々の機器のさらにの小形化と高効率化がはかれる照明装
置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の冷陰極放電ランプの実施の形態を示す
正面図である。

【図２】図１のランプの端部の拡大断面図である。

【図３】電極の外径Ｅｄ（ｍｍ…横軸）とランプ電圧
（相対値％…縦軸）との関係を対比して示すグラフであ
る。

【図４】電極の外径Ｅｄ（ｍｍ…横軸）とランプの放電
遅れ時間（秒…縦軸）との関係を対比して示すグラフで
ある。

【図５】電極の外径Ｅｄ（ｍｍ）による点灯時間（時間
…横軸）と輝度維持率（％…縦軸）の関係を対比して示
すグラフである。

【図６】本発明に係るバックライトの実施の形態を示
す、分解斜視図である。

【符号の説明】

Ｌ：ランプ １：ガラス管バルブ Ｂｄ：バルブ内径 ３：マウント ５：冷陰極型電極 Ｅｄ：電極外径 ６：蛍光体被膜 Ｃ：離間距離 Ｄ：光拡散板 Ｐ：表示板 Ｒ：反射鏡

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内径Ｂｄが０．８〜１．８ｍｍのガラス
   管バルブの端部に冷陰極型電極を配設するとともにバル
   ブ内に放電媒体を封入した放電ランプにおいて、上記冷
   陰極型電極の外径Ｅｄは、 Ｂｄ／２≦Ｅｄ≦Ｂｄ−０．４（ｍｍ） であることを特徴とする冷陰極放電ランプ。
2. 【請求項２】 ガラス管バルブの内壁面と冷陰極型電極
   の外表面との離間距離が、０．２ｍｍ以上あることを特
   徴とする請求項１に記載の冷陰極放電ランプ。
3. 【請求項３】 冷陰極型電極は、外径Ｅｄが０．４ｍｍ
   以上の丸棒状であることを特徴とする請求項１に記載の
   冷陰極放電ランプ。
4. 【請求項４】 冷陰極型電極がタングステンまたはタン
   グステン合金からなることを特徴とする請求項３に記載
   の冷陰極放電ランプ。
5. 【請求項５】 ガラス管バルブには蛍光体被膜が形成さ
   れていることを特徴とする請求項１ないし請求項４のい
   ずれか一に記載の冷陰極放電ランプ。
6. 【請求項６】 器具本体と；この器具本体に設けられた
   請求項１ないし請求項５に記載の冷陰極放電ランプと；
   上記冷陰極放電ランプに接続された点灯回路装置と；を
   具備していることを特徴とする照明装置。