JP2008270071A - 直下型液晶ディスプレイ用バックライト - Google Patents

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Abstract

【課題】熱陰極蛍光ランプを2本だけ用いたバックライトにおいて輝度ムラを抑制する。
【解決手段】熱陰極蛍光ランプ10と筐体20とを備えた直下型液晶ディスプレイ用バックライト100であって、筐体20に収納される熱陰極蛍光ランプ10は2本のみであり、
熱陰極蛍光ランプ10は略直線状のバルブ12とフィラメント14とから構成され、バルブ断面の内周長さL、筐体の深さd、2本のバルブのピッチpとの間に、下式1〜3の関係が成立し、画面縦方向長さhと内周長さLとの比(h/L)が2以上10以下であるバックライトである。
82≦23.2(d/L)+25.5(p/L)・・・(式1)
−19≦28.4(d/L)−15.1(p/L)≦11・・・(式2)
(d/L)≦1.7・・・(式3)
【選択図】図1

Description

本発明は、直下型液晶ディスプレイ用バックライトに関する。
現在、液晶ディスプレイのバックライトの光源としては、冷陰極蛍光ランプが主に採用されている。冷陰極蛍光ランプは、細径化に適しているので、薄型化が要求されるバックライトの光源として用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−116704号公報
近年、液晶ディスプレイの大画面化が進んでおり、これに伴ってバックライトも大型化してきている。このバックライトの大型化により、光源として冷陰極蛍光ランプを用いると、点灯回路が複雑になるとともに、使用するランプ本数の増加により、消費電力が高くなることが危惧されている。
さらに説明すると、冷陰極蛍光ランプは、他のランプと比べて駆動に必要な電圧(駆動電圧)が大きく、高圧な電源を用いることが必要である。特に、画面サイズが32インチ以上のような大画面の液晶ディスプレイが最近登場しているため、ランプ長はより長くなり、その分、駆動電圧はさらに高圧化する傾向が強くなっている。
また、冷陰極蛍光ランプは、1本当たりに投入する電力が小さいため、画面輝度を確保するためには本数を多くする必要があり、それゆえに、部品コストが増大するとともに、組み立て工数がかかるという問題が顕在化する可能性が高い。
そのような中、冷陰極蛍光ランプよりも高効率・高出力である熱陰極蛍光ランプをバックライトの光源として採用することが検討され始めている。熱陰極蛍光ランプを採用することで、上述した特長により、消費電力を抑えるとともに、ランプ本数を削減することで、点灯回路の簡素化・部品コストダウン・組み立て工数削減が期待できる。しかしながら、バックライトとしては冷陰極蛍光ランプの開発・研究が今日に至るまで盛んに行われた結果、熱陰極蛍光ランプの欠点が克服されていないのが実情である。
本願発明者は、液晶ディスプレイの大画面化に伴って益々顕在化してくるバックライトの問題を、現在主流の冷陰極蛍光ランプの改良により解決するのではなく、熱陰極蛍光ランプを用いることによって解決することを試みている。
本願発明者の検討によると、熱陰極蛍光ランプを用いたバックライトは、確かに、冷陰極蛍光ランプと比較してランプ本数を減らすことができるが、それでも、ランプ本数を減らすと、デメリットが顕在化してくることがわかった。つまり、バックライト内のランプ本数が極端に少ないと(例えば、2本)、画面の輝度ムラが酷くなり、液晶ディスプレイ用のバックライトとしての使用が不可となってしまう。特に、画面中央付近の輝度ムラは、直ちに画像の品質劣化に繋がるため、即、不適となることがわかった。それゆえ、画面サイズが32インチまたはそれ以上の液晶ディスプレイにおいては、熱陰極蛍光ランプといえども、3本以上が必須であった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、低本数の光源を用いたバックライトにおいて、輝度ムラを抑制することにある。
本発明のバックライトは、熱陰極蛍光ランプと、前記熱陰極蛍光ランプを収納する筐体とを備えた、直下型液晶ディスプレイ用バックライトであり、前記筐体に収納される前記熱陰極蛍光ランプは、2本のみであり、前記熱陰極蛍光ランプは、略直線状のバルブと、前記バルブ内に設けられ、熱電子を放出するフィラメントとから構成されており、前記バルブの長手方向に対して垂直な断面における内周の長さL、前記筐体の深さd、および、前記2本のバルブのピッチpとの間に、下式1〜3の関係が成立し、
82≦23.2(d/L)+25.5(p/L) ・・・(式1)
−19≦28.4(d/L)−15.1(p/L)≦11・・・(式2)
(d/L)≦1.7 ・・・(式3)
画面縦方向長さhと前記内周の長さLとの比(h/L)が2以上10以下であることを特徴とする。
ある好適な実施形態において、前記バルブの断面は円形である。
前記バルブの断面は、略楕円形であってもよい。
ある好適な実施形態において、前記バックライトは、画面サイズ20インチ以上42インチ以下の直下型液晶ディスプレイ用バックライトである。
本発明によれば、筐体内に収納される熱陰極蛍光ランプの本数が2本のみであるにもかかわらず、バルブ断面における内周長さL、筐体の深さd、および、2本のバルブのピッチpとの間に式1,式2,式3の関係を成立させることにより、画面縦方向長さhと長さLとの比(h/L)が2以上10以下のバックライトにおいて、輝度ムラを抑制することができる。その結果、熱陰極蛍光ランプを2本だけ用いて輝度ムラを抑制しているので、バックライトにおける光源部材のコスト削減を行うことができる。
本願発明者は、大画面化が益々加速する液晶ディスプレイ用のバックライトに好適なものは、現在主流の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を用いたものでなく、冷陰極蛍光ランプと比べて1本あたりに大出力の電力を投入できる熱陰極蛍光ランプ(HCFL)を用いたものに移行すると考え、研究開発を行っていた。そのように移行すると考えた理由は、熱陰極蛍光ランプの「大出力」という特徴を生かすことで、液晶テレビにおけるコントラスト比を大きくすることができ、動画を含めた高画質化が可能となるとともに、冷陰極蛍光ランプに比べ、バックライトとして使用するランプの本数が大幅に削減でき、コストダウンが可能であるからである。このような開発の中、本願発明者は、冷陰極蛍光ランプと比較して本数を低減できる熱陰極蛍光ランプであっても少なくとも3本は必須であったバックライトにおいて、種々の検討を加えて、熱陰極蛍光ランプが2本でも液晶ディスプレイ用のバックライトとして許容できる構成を見出し、本発明に至った。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
図1は、本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を模式的に示している。図1(a)は、本実施形態のバックライト100の概略を示す上面図であり、図1(b)及び(c)は、図1(a)に対応した概略断面図である。
本実施形態のバックライト100は、熱陰極蛍光ランプ10と、熱陰極蛍光ランプ10を収納する筐体20とを備えた直下型液晶ディスプレイ用バックライトである。そして、本実施形態の構成では、筐体20に収納される熱陰極蛍光ランプ10が、2本のみであることが特徴の一つである。熱陰極蛍光ランプ10は、略直線状のバルブと、バルブ内に設けられ、熱電子を放出するフィラメント(不図示)とから構成されている。
熱陰極蛍光ランプ10を収納する筐体20には、開口部20aが形成されており、その開口部20aには、光学シート30が配置される。なお、光学シート30の上方(矢印40の方向)には、液晶ディスプレイパネルが配置される。なお、液晶ディスプレイパネルが配置される方向をスクリーン方向40と称してもよく、換言すると、面状光源としてのバックライト100の光が向かうべき方向(液晶ディスプレイパネルが存在する方向)がスクリーン方向40となる。
光学シート(または、光学フィルム)30は、複数の層が積層されて構成されており、例えば、拡散シート、レンズシート、偏向シートからなる。光学シート30と対向する面には、筐体20の主面(ここでは底面)20bが位置している。この筐体20の主面(底面)20bは、反射板として機能し、熱陰極蛍光ランプ10から放射された光をスクリーン方向40に向ける働きを持っている。具体的には、熱陰極蛍光ランプ10から放射された光が、筐体20の主面(底面)20bへ向かってもその光は反射されて、光学シート30を通って液晶ディスプレイパネルの方に向っていく。
図2(a)に、熱陰極蛍光ランプ10のバルブの断面構成、より詳細には、バルブの長手方向50に対して垂直な断面を模式的に示す。本実施形態のバルブは、内面12aと外面12bとを有するガラス管からなり、バルブの内面12aには蛍光体層19が形成されている。図2(a)に示したバルブの断面は、円形である。ここで、図2(b)に示すように、バルブ断面の内周(内面12aを基準にした周囲長さ)を「L」と表す。バルブの内面12aに蛍光体層19が形成されていることからわかるように、このバルブ断面の内周Lは、発光部の長さ(内円周)を意味している。
なお、図1及び図2に示した熱陰極蛍光ランプ10では、断面が円形のバルブのものを示したが、図3に示すように、バルブの断面は円形に限らず略楕円形(楕円形、長円、扁平形状などの形状)のものであってもよい。その場合も、バルブの断面の内周(内面12aを基準にした周囲長さ)を「L」として表す。
本実施形態のバックライト100では、バルブの長手方向50に対して垂直な断面における内周の長さを「L」とし、筐体20の深さを「d」とし、2本のバルブのピッチを「p」とした場合に、それらの間に下式1〜3の関係が成立する。
82≦23.2(d/L)+25.5(p/L) ・・・(式1)
−19≦28.4(d/L)−15.1(p/L)≦11・・・(式2)
(d/L)≦1.7 ・・・(式3)
加えて、画面縦方向長さを「h」とした場合に、縦方向長さhと、バルブ内周の長さLとの比(h/L)は、2以上10以下である。なお、筐体20の深さdは、光学シート30の底面から、筐体20の底面20bまでの間の距離である。ピッチpは、隣接する2本のバルブ12の中心間の距離である。画面縦方向長さhは、バルブの長手方向50に垂直な方向の画像表示領域の長さである。
上記式(1)から(3)、および、縦方向長さhと内周長さLとの比(h/L)の技術的意義については後述する。
次に、図4を参照しながら、本発明の実施形態に係るバックライト100に搭載される熱陰極蛍光ランプ10について説明する。図4は、本実施形態の熱陰極蛍光ランプ10の断面構成を模式的に示している。
本実施形態の熱陰極蛍光ランプ10は、バックライト用として用いられるので、長寿命のものが使用される。好ましくは、熱陰極蛍光ランプ10は、公称寿命1.2万時間以上のランプであり、さらに好ましくは、公称寿命2万時間以上、または、3万時間以上のランプである。なお、ディスプレイとして従来から広く普及しているCRT装置の寿命は、約20000時間であるので、それ以上の寿命があるランプであることが望まれる。
寿命の定義としては大きく2つの要素があり、1つはランプの明るさの減退率(いわゆる輝度維持率)と不点灯である。バックライトとしての使用を想定すると、熱陰極蛍光ランプの寿命が律則するのは電極フィラメントに形成された熱電子放射性物質(エミッタ)の枯渇による不点灯である。寿命を推定するには、複数のランプを所定の点灯条件(ランプの定格電流における連続点灯試験)のライフ試験に掛け、ある一定時間(例えば、100時間、500時間、1000時間、2000時間、5000時間)点灯後のランプを順次破壊、または、非破壊によりエミッタの残存量を随時測定し、初期からの消耗量(消耗速度)を測定する。これらの結果を基に、点灯経過時間とエミッタ消耗量(または、エミッタ残存量)の関係をプロットし、1次関数によりフィッティングを行うことで、寿命を推定することができる。なお、公称寿命は、前記の取得データを基に消耗量のばらつき、測定ばらつき、製造ばらつき(いずれも標準偏差の3倍:3シグマを基準)を鑑みて決定される。
図示した熱陰極蛍光ランプ10は、直管状のガラスバルブ12と、ガラスバルブ12の両端に配設された一対の電極11とから構成されている。
ガラスバルブ12は、ソーダ石灰ガラス製、または、バリウム・ストロンチウムシリケート(軟化点675℃の軟質ガラス)製である。バルブ12の寸法を例示すると、32インチ用としては、バルブ12の外径12mm、肉厚0.8mm、長さ730mmである。45インチ用としては、バルブ12の外径12mm、肉厚0.8mm、長さ1010mmである。65インチ用としては、バルブ12の外径25.5mm、肉厚0.8mm、長さ1499mmである。なお、105インチ用としては、バルブ12の外径38mm、肉厚0.9mm、長さ2367mmである。なお、バルブの肉厚は、1.0mmにすることもできる。
ガラスバルブ12の内面12aには蛍光体(不図示)が塗布されている。より具体的には、ガラスバルブ12の内面12aには、アルミナからなる保護膜が形成されており、その保護膜の上に蛍光体層が積層されている。蛍光体層を構成する蛍光体は、例えば、赤(Y:Eu)、緑(LaPO:Ce,Tb)および青(BaMgAl1627:Eu,Mn)の各色を発光する希土類蛍光体を混合したものを用いることができる。なお、蛍光体は、他の希土類蛍光体を用いることができる。例えば、赤として、(Y,La):Eu、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、緑として、CeMgAl1119:Tb、GdMgB10:Ce,Tb、青として、(Sr,Ca)10(POl2:Euを挙げることができる。
ガラスバルブ12内には、水銀と、希ガスが封入されている。本実施形態では、ガラスバルブ12内に、約5mgの水銀(不図示)と、緩衝用希ガスとして常温における圧力500Paのアルゴン(Ar)が封入されている。なお、バルブ12内に封入する水銀は、水銀単体の他に、例えば、亜鉛水銀、スズ水銀、ビスマス、インジウム水銀などのアマルガムの形態で封入することもできる。
また、希ガスとしては、アルゴン(Ar)の混合比率が100%のものの他、アルゴン(Ar)にクリプトン(Kr)を混合したものを用いることもできる。クリプトン(Kr)の混合比(分圧比)は、例えば、20%〜60%であり、一例として、アルゴン:クリプトン=50%:50%の混合ガス(ガス圧600Pa)を挙げることができる。
本実施形態における電極11は、フィラメント14と、フィラメント14を保持する一対のリード線13と、この一対のリード線13を保持するビーズガラス15とから構成されている。ビーズガラス15は、ビーズマウントとも称される。図示した電極11は、いわゆるガラスビーズマウント方式のものである。
フィラメント14は、タングステン製であり、本実施形態では、長寿命ランプにするためにエミッタ塗布量を大きくするように複雑なコイル形状としている。すなわち、太いタングステン線の周囲にゆるく覆うように細いタングステン線を巻つけて長い籠状の構造体を形成し、この構造体を螺旋状に巻いたものが二重コイルと称される。フィラメント14は前記二重コイルをいまいちど螺旋状に巻いて三重コイルとしたもの、または前記三重コイルをさらに螺旋状に巻いて四重コイルとしたものである。フィラメント14が三重コイルの場合、三重目のコイルが5〜7ターンの電極コイルである。またフィラメント14が四重コイルの場合、2〜4ターンの電極コイルである。
フィラメント14に塗布されるエミッタは、例えば、ストロンチウム、カルシウム、バリウムの酸化物である。本実施形態では、長寿命ランプを実現するために、フィラメント14に塗布するエミッタ量を多くするようにしており、本実施形態では、熱陰極蛍光ランプ10の一本あたり、一対の電極のうちの一つのフィラメント14に5.0mg以上のエミッタを塗布している。なお、希ガスの構成をアルゴン100%でなく、アルゴンよりも原子量の大きいクリプトンを所定混合比で混入させると、エミッタがフィラメント14から飛散し難くなり、その技術的意味でランプ寿命を長くすることができる。
図示した電極11は、ガラスバルブ12の封止部16にてピンチシールされている。また、ガラスバルブ12の少なくとも一方の端部には、排気管17が封着されている。この排気管17は、バルブ12内を排気したり、希ガスを封入したりする時に使用され、その排気・封入の後に封着されたものである。なお、排気管17をバルブ12の一端でなく、両端に設けると、ガス排気・封入を効率良く行うことができるメリットがある。また、それにより、バルブ12内部の不純物の割合を低下させることもできる。
ガラスバルブ12の端部には、封止部16や排気管17を覆うように口金18が設けられている。なお、封止部16から外へ延びたリード線13と口金18との結線手法は、ランプ10の仕様に合わせて適宜決定すればよい。例えば、口金18の端面(紙面の左側と右側の端面)に、バックライトユニットへの取付け用のピンを配置し、そのピンとリード線13との結線を行うようにすることもできるし、あるいは、取付け用のピンを口金18の側面の一部(例えば、紙面正面側の円筒の一部)に配置し、そのピンとの結線を行うことも可能である。
熱陰極蛍光ランプ10は、低圧水銀蒸気放電を応用したランプである。発光の原理は、電子放出物質が塗布されている電極からは、放電(および電極を加熱する別の手段)によって熱電子が放出されるだけの温度を維持することで、電子が供給されアーク放電を維持することができる(これは、冷陰極と大きく異なる点である)。この放電により得られた水銀原子の転移スペクトルのうち、主に254nmの紫外線を蛍光体の励起線として利用することで可視光に転換して利用している。
上述したように、ガラスバルブ12の内面12aには蛍光体が塗布されるが、蛍光体とガラスとの間には化学反応による特性の劣化を防ぐための保護膜(酸化アルミナやシリカ粉末など)が施される。電極となるフィラメントはタングステンの二重、または、三重コイルが一般的で、フィラメントには電子放射性物質であるエミッタが塗布されている。管内には液体水銀(または水銀アマルガム、合金)とバッファとしての希ガスが封入される。希ガスとしては一般にアルゴンが用いられることが多いが、ランプの構造や種類によってはクリプトンやネオンなどの混合ガスを用いることもある。
さらに、図5および図6を参照しながら、本実施形態のバックライト100の構成の一例を詳述する。図5および図6は、それぞれ、本実施形態のバックライト100の構成を示す分解斜視図および断面図である。
図示した構成では、上述したように熱陰極蛍光ランプ10が2本配置されている。この例の筐体20の一部となる反射板21は、金属板(例えば、メッキを施した鉄製、または、アルミニウム製)から構成されており、その厚さは1.5mmである。反射板21は、筐体20の主面(又は底面)20bと主面から延びた側面20cから構成されている。
反射板21の上面(筐体の主面20b)には、反射シート23が形成されている。反射シート23は、白色の酸化チタン(又は炭酸カルシウム)が分散されてなるポリエチレンテレフタレート(PET)の樹脂層から構成されており、その厚さは2.0mmである。なお、筐体20の深さd(反射板21の上面から光学シート30が位置する面までの高さ)は、例えば、40〜75mmである。
バックライト100の反射板21の下方には、点灯回路(バラスト回路または安定器)70が配設されている。この例では、各ランプ10に、1つの点灯回路70が設けられているが、2つのランプ10に1つの点灯回路70を設けてもよい。点灯回路70は、ランプ10に電気的に接続されており、また、調光機能も備えている。点灯回路70を収納するように反射板21の下には、下カバー72が設けられている。下カバー72は、厚さ1.5mmの金属板から構成されている。下カバー72と反射板21との間の空間には、例えば、配線が配設されている。なお、バックライト100に下カバー72は設けなくてもよく、その場合、点灯回路70は液晶ディスプレイ(例えば、液晶テレビ)の筐体内に配置しておくことも可能である。
また、反射板21の端部には、ランプ10を保持するためのランプホルダ75が設けられている。ランプホルダ75は、例えば、白色樹脂製のものである。加えて、バックライト100の筐体20の開口部20aには、光学シート30が配置されている。この例では、光学シート30は、上から順に、偏向シート31(住友3M社製のDBEF(Dual Brightness Enhancement Film)、厚さ0.440mm)、レンズシート32(厚さ0.155mm)、拡散シート33(厚さ0.113mm)、拡散板34(厚さ2.0mm)を含んでいる。拡散板34の下面に、さらにレンズシートを設けることも可能である。
さらに、光学シート30の上には、液晶ディスプレイパネル(例えば、厚さ約2mm)60が配設され、そして、その液晶ディスプレイパネル60及び光学シート30を覆うように上カバー62が配設されている。上カバー62は、例えば、厚さ1.5mmの金属板からなる。
なお、この例におけるバックライト100は、画面サイズ20インチ以上42インチ以下の直下型液晶ディスプレイ用バックライトであるが、上述した式1〜式3の関係を満たし、縦方向長さhと内周長さLとの比(h/L)が2以上10以下であるのであれば、それ以外の画面サイズのものであってもよい。また、ランプ10の封止部16周辺は、ランプ10の非点灯部位を隠すために額縁領域として覆われて、その非点灯の部位は外部には見えないことになる。
次に、図7から図12を参照しながら、上述した式(1)から(3)、および、縦方向長さhと内周長さLとの比(h/L)の技術的意義について説明する。
図7は、画面全体の輝度分布を評価する均斉度(9点)を説明するための図である。この例における均斉度(9点)は、ディスプレイ200の画像表示領域の9点の輝度を測定し、その中で、最も輝度が高い点の値(Imax)に対する最も輝度が低い点の値(Imin)の比(Imin/Imax)によって算出する。測定点は、画像表示領域における画面縦方向長さhを100%とした時の10%、50%(中心)、90%のポイントと、画面横方向長さwを100%とした時の10%、50%(中心)、90%のポイントとの合計9点である。そして、均斉度(Imin/Imax)は、1に近い方が好ましい。
図8は、画面中央の縦方向の輝度分布に基づくランプイメージを説明するための図である。図8(a)〜(c)は、それぞれ、2本のランプ10のピッチpを変化させた場合の輝度パターンの変化を示している。
図8(a)は、2本のランプ10のピッチpが小さい構成例で、図8(c)は、2本のランプ10のピッチpが大きい構成例で、図8(b)はそれらの中間である。画面中央の輝度ムラは、液晶ディスプレイにとって直ちに画像の品質劣化に繋がるため、重要な指標となる。ここでは、画面中央(w=50%)の縦方向における輝度の山谷の比をランプイメージという指標で表して評価した。
ランプイメージは、図8(c)の右側にて表記しているように、ランプ10間における最高輝度(Ip)に対する、ランプ10間における最低輝度(Im)の比(Im/Ip)で表す。なお、ランプの長手方向50に沿った方向の輝度変化はほとんど問題とならないレベルであるので、ここでは特別に評価は行わない。
まず、図8(a)に示したようなピッチpが小さい場合、2本のランプ10の距離が近すぎて、大きな山が存在しているような輝度分布となってしまい好ましくない。すなわち、均斉度(9点)は低くなり、ランプイメージ(Im/Ip;輝度の山谷の比)は1よりも大きな値となる。
一方、図8(c)に示したように、ピッチpが大きい場合、2本のランプ10の距離が離れすぎて、輝度ムラのイメージが強く残ってしまう。つまり、仮に均斉度(9点)の値が高くても、ランプイメージ(Im/Ip)は1よりも小さくなり、悪い評価となる。さらに説明すると、図8(c)の曲線のように、画面中央の輝度が低いプロファイルは観測者に違和感を与える傾向が強くなってしまう。
図8(b)に示すように、ピッチpが丁度良い距離であると、仮に均斉度(9点)の値が中くらいでも、ランプイメージ(Im/Ip)はおおよそ1になり(あるいは、1に近づいた値となり)、良い評価となる。
本願発明者は、所定の大きさのバックライト(例えば画面サイズ32インチ用のバックライト)を用いて、ランプ10のピッチpと筐体20の深さdとを種々変化させ、たった2本のランプ10でも、均斉度とランプイメージとを両立させて、既存の技術常識では不可能と思えた2本のみのバックライトを実現することに成功した。
図9は、縦軸に均斉度(9点測定)[%]をとり、横軸に(d/L)をとって、(p/L)の値をプロットしたグラフである。ここでは、ランプ10のバルブ径(すなわち、バルブ径の大小)の影響をキャンセルするために、バルブの内周長さLを分母にしたパラメータで評価している。
図9に示すように、p/Lが大きいものほど(p/L=3.19)、均斉度の結果は良好であることがわかる。また、いずれのp/Lも、d/Lが大きくなるほど、すなわち、筐体20の深さdが大きくなるほど均斉度の結果が良くなっていくことがわかる。なお、図9に示したプロットを、直線近似すると(最小自乗法による回帰直線)、図10に示す通りになる。
図11は、縦軸にランプイメージ(ランプ間min/max)[%]をとり、横軸に(d/L)をとって、(p/L)の値をプロットしたグラフである。図9と異なり、今度は、p/Lが小さいものほど(p/L=2.11)、ランプイメージの結果が良好になることがわかる。また、図9と同様に、いずれのp/Lも、d/Lが大きくなるほど、すなわち、筐体20の深さdが大きくなるほどランプホルダの結果が良くなっていくことがわかる。なお、図11に示したプロットを、直線近似すると(最小自乗法による回帰直線)、図12に示す通りになる。
上述の結果からわかることは、筐体20の深さdが大きくなれば、均斉度は高くなり、ランプイメージ(輝度の山谷の比)は1に近づく。したがって、均斉度とランプホルダの観点からは、筐体20の深さdは大きいほど良いのであるが、筐体20の深さdが大きくなりすぎると、筐体20内での多重反射のために光の利用効率が低下し、そして、薄型ディスプレイとしての商品価値が減少していまう結果をもたらす。それゆえ、筐体20の深さdを必要以上に大きくすることはできない。
加えて、ランプ10のピッチpは、小さすぎると均斉度の結果が悪くなり、大きすぎるとランプイメージの結果が悪くなる。
以上の観測結果に基づいて、均斉度とランプイメージと筐体の深さdとの許容範囲を求めると次の通りとなる。
均斉度の許容限界(許容下限)を60%とすると、均斉度の許容下限の境界条件(臨界条件)は、
60≦23.2(d/L)+25.5(p/L)−22.0
82≦23.2(d/L)+25.5(p/L) ・・・(式1)
で表される。
また、ランプイメージは下式で表される。
ランプイメージ=28.4(d/L)−15.1(p/L)+104
そして、ランプイメージの許容下限を85%、許容上限を115%とすると、ランプイメージの許容範囲の境界条件(臨界条件)は、
85≦ランプイメージ許容範囲≦115
−19≦28.4(d/L)−15.1(p/L)≦11・・・(式2)
で表される。
また、T5と称されるガラスバルブ12(内周長さL=43.6mm)を用いた場合で、d=75mmの深さ(現行65インチ液晶ディスプレイTV製品の半分の厚さ)を上限とすれば、
(d/L)≦1.7・・・(式3)
で表される。
以上の境界条件をグラフ上に表すと、図13に示す通りとなる。すなわち、均斉度の許容下限(式1)が境界Xで、ランプイメージの許容範囲(式2)が境界YとZとの間に存在する。そして、筐体の深さdの上限(式3)が境界Tである。すると、境界X、Y、Z及びTで囲まれた領域Sの範囲内であれば、熱陰極蛍光ランプの本数が2本のみであっても、輝度ムラを抑制でき、液晶ディスプレイ用として許容可能なバックライトを実現することができる。
2本の熱陰極蛍光ランプ10のバルブ12をそれぞれ切り開いて展開した長さ(バルブ内周の長さL)の和(2L)よりも、画面縦方向長さhの方が大きいことが、光を有効利用していることになるから、h≧2Lが成立する。さらに、熱陰極蛍光ランプの本数が2本のみで対応できる画面縦方向長さhは、発光部長さ(すなわち、バルブ内周の長さL)の総和(2L)の5倍以下であるので、画面縦方向長さhとバルブ内周の長さLとの比(h/L)は10以下となる。すると、2≦(h/L)≦10の関係が導き出される。なお、縦:横=9:16のディスプレイの場合には、断面が円形のバルブ(T5タイプ;L=43.6mm)を用いると、7インチから35インチ、断面が略楕円形のバルブ(L=55.8mm)を用いると、9インチから44インチのディスプレイに対応可能である。
画面縦方向長さhが、バルブ内周の長さLの総和(2L)の5倍以下である点ついて補足説明すると次の通りである。発光面の輝度が等しいn本の蛍光ランプを光源として、バックライトをはじめとする密閉型照明器具を構成した場合、光出射面の輝度は蛍光ランプの発光面の全面積に略比例する(なお、厳密に比例関係にないのは、発光面の面積や密閉型照明器具内部に配置によって光利用効率が変化するためである)。また、バックライト横方向(蛍光ランプの管軸方向)の輝度は一定であるから、それゆえ、光出射面の輝度は、画面縦方向長さhと蛍光ランプのバルブ内周の長さ(L)の和ΣL(即ち、総和nL)との比γ(γ=h/ΣL)に反比例する。すなわち、この比が小さいほど、光出射面の輝度は高くなり、この比が大きいほど光出射面の輝度は低くなる。したがって、このγはランプの径、本数、及び光出射面の輝度とを結びつける指標になる。
民生用液晶TVの白色画面輝度の最大値は450カンデラ毎平方メートルであり、液晶の透過率は約7%であることから、約6000カンデラ毎平方メートルの光出射面を有するバックライトにする必要がある。本願発明者は、バックライト用に試作した熱陰極蛍光ランプに印加する電流の大きさを変化させて実用条件での管面輝度を測定した結果、その最大値は約3万カンデラ毎平方メートルであった。すなわち、管面輝度はバックライトとして必要な輝度の約5倍以下であり、これらのことから、γの値は5を超えると、実用上、十分な画面輝度を得ることはできない。なお、ちなみに画面縦方向長さhと発光部長さの総和nLとの関係について、発光部の内径2mmの冷陰極蛍光ランプ16本を用いた画面縦方向長さh=392mmの液晶テレビにおいて、γ=3.9である。
図14は、32インチ用のバックライトで、断面が略楕円形のバルブ12(L=55.8mm)を用いて検討した結果を表すグラフである。このグラフでは、縦軸(2本のランプのピッチ)、横軸(筐体深さ)とも、実単位([mm])で表記している。図中の「○」が、液晶ディスプレイ用バックライトとして許容可能と判断された結果を表し、図中の「×」が許容できなかった判断された結果を表している。
図14では、境界X、Y、Z及びTで囲まれた領域Sの範囲内であれば、熱陰極蛍光ランプが2本のみであっても、液晶ディスプレイ用バックライトとして許容でき、一方、領域Sから外れると、許容できなくなっていることが実験結果からも示している。
なお、参考までに、図14に示した領域Sを、断面が円形のバルブ12(T5タイプ;L=43.6mm)を用いた場合で表すと、図15に示す通りになる。
なお、上述した本実施形態に係るバルブ12の形状である「略楕円」は、一般的に断面が円形で作製されたバルブ12が製造プロセス上の誤差(公差)によって偏位し、円形と称されるものの幾何学的な円形でない形状まで含む意図ではなく、製造プロセス上の誤差(公差)によって偏位したものは、「円形」に含まれるものである。略楕円のバルブは、典型的な製造プロセスを利用して、円形のバルブから、扁平率を上げて、本実施形態における略楕円のバルブを作製しても構わない。本実施形態における略楕円ランプでは、例えば、長径L1/短径L2の値が1.6であるが、典型的には、1.2≦(L1/L2)≦1.8の範囲のものを用いることができる。
本実施形態における略楕円のバルブ12を作製するには、次のようにすればよい。まず、断面円形のバルブ(ガラスバルブ)を用意し、そのバルブを加熱して、略楕円中空の型(金型)の間に配置し、その型によってバルブを挟み込んで変形させれば、略楕円状のバルブ12を得ることができる。なお、バルブ12の内面に塗布されるアルミナや蛍光体は、適宜好適な段階で形成すればよい。あるいは、円形のランプを作製してから、それに熱を加えて、ランプのガラスを軟化させプレス加工して、略楕円バルブ12を製造することもできる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
本発明によれば、熱陰極蛍光ランプを2本だけ用いたバックライトにおいて、輝度ムラを抑制することができる。
(a)は、本発明の実施形態に係るバックライト100を模式的に示す平面図、(b)および(c)は、(a)に対応した断面図 (a)は、熱陰極蛍光ランプ10のバルブの断面を模式的に示す図、(b)は、バルブ内周の長さLを表す図 略楕円形のバルブの断面を模式的に示す図 本発明の実施形態に係る熱陰極蛍光ランプ10の構成を示す断面図 本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を説明するための分解斜視図 本発明の実施形態に係るバックライト100の構成を示す断面図 画面全体の輝度分布を評価する均斉度(9点)を説明するための図 (a)〜(c)は、画面中央の縦方向の輝度分布に基づくランプイメージを説明するための図 縦軸が均斉度(9点測定)[%]で横軸が(d/L)における(p/L)のグラフ 図9に示したプロットを直線近似したグラフ 縦軸がランプイメージ[%]で横軸が(d/L)における(p/L)のグラフ 図11に示したプロットを直線近似したグラフ 本発明の実施形態における境界条件および領域Sを表すグラフ 本発明の実施形態における境界条件および領域Sを表すグラフ 本発明の実施形態における境界条件および領域Sを表すグラフ
符号の説明
10 熱陰極蛍光ランプ
11 電極
12 バルブ(ガラスバルブ)
13 リード線
14 フィラメント
15 ビーズガラス
16 封止部
17 排気管
18 口金
19 蛍光体層
20 筐体
20a 開口部
21 反射板
23 反射シート
30 光学シート
31 偏向シート
32 レンズシート
33 拡散シート
34 拡散板
40 スクリーン方向
50 長手方向
60 液晶ディスプレイパネル
62 上カバー
70 点灯回路
72 下カバー
75 ランプホルダ
100 バックライト

Claims (4)

  1. 熱陰極蛍光ランプと、前記熱陰極蛍光ランプを収納する筐体とを備えた、直下型液晶ディスプレイ用バックライトであって、
    前記筐体に収納される前記熱陰極蛍光ランプは、2本のみであり、
    前記熱陰極蛍光ランプは、略直線状のバルブと、前記バルブ内に設けられ、熱電子を放出するフィラメントとから構成されており、
    前記バルブの長手方向に対して垂直な断面における内周の長さL、前記筐体の深さd、および、前記2本のバルブのピッチpとの間に、下式1〜3の関係が成立し、
    82≦23.2(d/L)+25.5(p/L) ・・・(式1)
    −19≦28.4(d/L)−15.1(p/L)≦11・・・(式2)
    (d/L)≦1.7 ・・・(式3)
    画面縦方向長さhと前記内周の長さLとの比(h/L)が2以上10以下であることを特徴とする、バックライト。
  2. 前記バルブの断面は、円形である、請求項1に記載のバックライト。
  3. 前記バルブの断面は、略楕円形である、請求項1に記載のバックライト。
  4. 前記バックライトは、画面サイズ20インチ以上42インチ以下の直下型液晶ディスプレイ用バックライトである、請求項1から3の何れか一つに記載のバックライト。
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