JP4880623B2 - 蛍光ランプ - Google Patents
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Description
このような蛍光ランプにおいて二次巻回の巻回ピッチが狭すぎると、陽極振動が不安定になってランプ出力光にちらつきが発生する。なぜなら、前記巻回ピッチが狭すぎると、二次巻コイルの内部空間に存在する水銀イオンをコイル外側に移動させるために必要な隙間がなくなり、水銀イオンが前記内部空間に偏在し、この水銀イオンが陽極表面に到達した電子を捕捉することで電子電流が分散され、陽極降下電圧による電子密度の増大が生じにくくなって、陽極振動が不安定になるからである。なお、陽極振動が不安定になるとランプ出力光にちらつきが発生する理由については後述する。
以上のような理由から、特許文献1の蛍光ランプのフィラメントコイルでは、ランプ出力光のちらつきが発生しにくく、かつ抵抗値を確保することができる範囲として、二次巻回の巻回ピッチを1.0〜1.5mmに規定している。
本発明の目的は、よりランプ出力光のちらつきが発生しにくく、かつフィラメントコイルの抵抗値を確保することができる蛍光ランプを提供することにある。
また、主線の直径DWが0.080mm以下と細く、加えて一次巻コイルの直径D(mm)がP/5≦Dの関係を満たしているため前記主線の線長が長く、すなわち主線が細長いため、従来よりも巻回ピッチPを広くしてもフィラメントコイルの抵抗値を確保することができる。
本発明の蛍光ランプは、例えばJIS C 7617-2やJIS C 7618-2で規定された蛍光ランプとして使用できるが、以下に示す実施形態では、JIS C 7617-2に規定された直管型の蛍光ランプに適用した例について説明する。
図1に示すように、蛍光ランプ10は、内面に蛍光体11が塗布されたガラスバルブ12と、ガラスバルブ12の端部を封止するステム13と、ステム13に突設された一対の導入線14a,14bと、一対の導入線14a,14b間に架設されたフィラメントコイル100と、ステム13におけるフィラメントコイル100側とは反対側の端部に固定された口金15と、口金15に固定され、かつ一対の導入線14a,14bのそれぞれに電気的に接続する一対の口金ピン16a,16bとを含む。
蛍光ランプ10の典型的な構成において、ガラスバルブ12の寸法は、管内径が18〜38mm、管外径が20〜40mm、電極間距離が400〜2400mmである。
また、ガラスバルブ12に封入された希ガスのガス圧は、250Pa以上350Pa以下であることが好ましい。ガス圧が250Pa未満では、フィラメントコイル100に付着した電子放出物質の蒸発量が多くなりランプ寿命が短くなるおそれがある。一方、ガス圧が350Paを超える場合は、低温でグロースタータが再動作を繰り返しランプ寿命が短くなるおそれがある。
希ガスとして、クリプトンは、アルゴンよりも原子半径が大きく、水銀の蒸気が抑えられるため、ランプ温度の上昇に対して水銀蒸気圧が上昇しにくくなる。その結果、密閉された照明装置で点灯するようなランプ温度が上昇する場合でもちらつきの発生を抑えることができる。
蛍光ランプ10を点灯時に通電されるランプ電流は、300mA以上650mA以下であることが望ましい。ランプ電流が300mA未満では、フィラメントコイル100を電子放出物質が機能するのに充分な温度まで上昇させることができず、電子放出物質が熱電子を放出できなくなるおそれがある。一方、ランプ電流が650mAを超える場合は、フィラメントコイル100の温度が高くなりすぎて、電子放出物質が蒸発するおそれがある。
図3は、巻回ピッチの異なる蛍光ランプの点灯時間に対するちらつき発生率を示す図である。図3に示すように、巻回ピッチPが1.5mmを超える場合は、点灯4000時間を経過しても、ちらつき発生率が5%に到達しない。また、点灯4000時間を経過後、ちらつき発生率がほとんど増加していない。このような結果から、ランプ出力光のちらつきが発生しにくいことがわかる。これは、巻回ピッチPが大きいと二次巻コイルにより形成される内部空間に水銀イオンが偏在しにくく、電子放出物質が消耗しても電子の流入する部位が一定するため、陽極振動が安定して発生することによると考えられる。
陽極サイクル時において、電子は陽極降下電圧により加速され、大きなエネルギーを持って陽極表面に到達する。そして電極付近の水銀原子に衝突し、過剰の電離を引き起こす。その結果として陽極付近は電子密度が増大し、陽極降下電圧が一時的にゼロになるが、その後電子が徐々に拡散して電子密度が低下する。この電子密度が所定のレベルまで低下すると再び陽極降下電圧が発生し、電子が加速されて電子密度が増大する。このサイクルを「陽極振動」といい、数kHzの周期でこの振動が繰り返される。
図4では、商用周波数の交流電源20と、スイッチ21と、安定器22と、蛍光ランプ10とが直列接続されている。更に、グロースタータ23が蛍光ランプ10に接続されている。蛍光ランプ10を作動させる際は、まずスイッチ21を閉じる。これにより、蛍光ランプ10とグロースタータ23とに電圧がかかり、グロースタータ23内で放電が発生し、その熱でグロースタータ23に内蔵されるバイメタルスイッチが閉じる。その結果、蛍光ランプ10に大きな予熱電流が流れるため、蛍光ランプ10の電極が加熱される。次いで、グロースタータ23が冷えることによって上記バイメタルスイッチが開くと、安定器22の誘導現象によって大きな電圧が蛍光ランプ10の電極間にかかり、その内部に放電が発生して点灯する。なお、図4ではグロースタータ23を使用したが、グロースタータ23に代えて電子スタータを使用してもよい。また、本発明の蛍光ランプ10を電子安定器に応用してもよい。
図5は、変形例に係る蛍光ランプのフィラメントコイルの一例を示す模式図である。変形例に係る蛍光ランプは、フィラメントコイル200の形状が異なる他は、基本的に上記実施の形態に係る蛍光ランプ10と同様の構成をしている。したがって、共通の構成部分には上記実施の形態と同じ符号を付してその説明は省略し、フィラメントコイル200の形状を中心に説明する。
また、フィラメントコイル200は、一対の一次巻回部分200a,200bと、二次巻回部分200cとからなる。一対の一次巻回部分200a,200bは、主線201が一次巻回されているが二次巻回されていない部分であって、当該一対の一次巻回部分200a,200bでそれぞれ一対の導入線14a,14bに接続されている。二次巻回部分200cは、主線201が一次巻回され更に二次巻回された部分であって、前記一対の一次巻回部分200a,200b間に位置する。
二次巻回部分200cが湾曲しているため、ランプ放電路の中央部側の二次巻回ピッチP1は、ランプ放電路の端部側(矢印Aで示す側と反対側)の二次巻回ピッチP2よりも大きい。そして、ランプ放電路の中央部側の二次巻回ピッチP1は、1.5mmを超えて2.0mm以下である。
なお、フィラメントコイル200におけるランプ放電路の端部側からも二次巻回コイルの内部空間に電子は到達するが、仮にランプ放電路の端部側の二次巻回ピッチP2が1.5mmを越えて2.0mm以下であったとしても、ランプ放電路の中央部側の二次巻回ピッチP1が1.5mm以下であれば、二次巻回コイルの内部空間におけるランプ放電路の中央部側に到達する大半の電子が水銀イオンに捕捉されることには変わりがないため、ランプ放電路の端部側の二次巻回ピッチP2がランプ出力光のちらつき発生に及ぼす影響は小さいと言える。
二次巻回部分200cの形崩れは、ランプ放電路の中央部側の二次巻回ピッチP1をランプ放電路の端部側の二次巻回ピッチP2で除した値である形崩れ値(P1/P2)により評価できる。形崩れ値は、1.5より小さいことが好ましい。形崩れ値が1.5以上である場合、フィラメントコイル200を曲げる際のばね力によってフィラメントコイル200がねじれてしまい、二次巻回コイル同士が接触して、磨り減ったり、断線したりするおそれがあるためである。
図7に示すように、二次巻直径Mが2.4mm、二次巻回数が6回、導入線間の間隔Nが12mmである実施例2のフィラメントコイルの場合、最大隙間距離Lを3mm以下にすればP1/P2を1.5よりも小さくすることができる。
図9に示すように、二次巻直径Mが1.5mm、二次巻回数が5回、導入線間の間隔Nが12mmである実施例4のフィラメントコイルの場合、最大隙間距離Lを4mm以下にすればP1/P2を1.5よりも小さくすることができる。
11 蛍光体
12 ガラスバルブ
13 ステム
14a,14b 導入線
15 口金
16a,16b 口金ピン
20 交流電源
21 スイッチ
22 安定器
23 グロースタータ
100,200 フィラメントコイル
100a,100b,200a,200b 一次巻回部分
100c,200c 二次巻回部分
101,201 主線
102,202 副線
Claims (5)
- 管状のガラスバルブと、前記ガラスバルブの両端部の内部に配置されたフィラメントコイルとを有する蛍光ランプであって、
前記フィラメントコイルは、主線と前記主線に巻回された副線とからなり、前記副線が巻回された前記主線を一次巻回させてなる一次巻コイルを更に二次巻回して形成された二次巻コイル形状であり、
前記二次巻回の巻回ピッチPが1.5mmを超えて2.0mm以下であり、前記主線の直径DWが0.055mm以上0.080mm以下であり、前記一次巻コイルの直径D(mm)がP/5≦D≦P/3の関係を満たすことを特徴とする蛍光ランプ。 - 前記フィラメントコイルは、一対の導入線間に架設されており、
前記フィラメントコイルの二次巻回部分全体は、前記フィラメントコイルと前記一対の導入線との接続部を結ぶ仮想線よりもランプ放電路の中央側に位置することを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。 - 前記フィラメントコイルは、二次巻回部分の両端部の一次巻回部分において、導入線に接続されており、
前記一次巻回部分における前記導入線との接続部よりも端部側は、前記接続部よりも前記二次巻回部分側における前記一次巻回部分の延長線上よりも前記導入線側に存在することを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。 - 前記ガラスバルブ内には、希ガスおよび水銀が封入されており、
前記希ガスのガス圧が、250Pa以上350Pa以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の蛍光ランプ。 - ランプ電流が、300mA以上650mA以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の蛍光ランプ。
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