JP2003129690A - 鉄骨構造の制震間柱 - Google Patents
鉄骨構造の制震間柱Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 地震時に軸方向への力が作用することが無
く、しかも建築工事において後施工を要することなく施
工性にも優れる鉄骨構造の制震間柱を提供する。 【解決手段】 鉄骨構造の柱梁11、12、13からな
る架構における上下階の梁11、12間に設けられて所
定の水平荷重が作用した際に塑性化する制震間柱10に
おいて、上下階の梁11、12間において間隙18を介
した不連続部が形成されるとともに、上記不連続部の端
部が、拘束部材20、21によって水平方向の移動が拘
束されてなることを特徴とする。
く、しかも建築工事において後施工を要することなく施
工性にも優れる鉄骨構造の制震間柱を提供する。 【解決手段】 鉄骨構造の柱梁11、12、13からな
る架構における上下階の梁11、12間に設けられて所
定の水平荷重が作用した際に塑性化する制震間柱10に
おいて、上下階の梁11、12間において間隙18を介
した不連続部が形成されるとともに、上記不連続部の端
部が、拘束部材20、21によって水平方向の移動が拘
束されてなることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨構造の上下階
の梁の間に取付けられて、地震時等に柱梁架構に生じる
揺れを抑制するための制震間柱に関するものである。
の梁の間に取付けられて、地震時等に柱梁架構に生じる
揺れを抑制するための制震間柱に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、柱梁架構における制震技術と
して、当該柱梁架構内に制震間柱と呼ばれる間柱形状の
制震部材を取付けるものが知られている。図5は、鉄筋
コンクリート構造の柱梁架構に設けられた従来の制震間
柱1を示すもので、鉄筋コンクリート造の柱2および梁
3、4からなる架構の上階の梁3に鉄筋コンクリート製
の上部ブラケット5が垂設され、これに対向して下階の
梁4に鉄筋コンクリート製の下部ブラケット6が立設さ
れるとともに、これら上下部ブラケット5、6にH形鋼
からなる鉄骨部材7の上下部7a、7bを埋設すること
により連結したものである。
して、当該柱梁架構内に制震間柱と呼ばれる間柱形状の
制震部材を取付けるものが知られている。図5は、鉄筋
コンクリート構造の柱梁架構に設けられた従来の制震間
柱1を示すもので、鉄筋コンクリート造の柱2および梁
3、4からなる架構の上階の梁3に鉄筋コンクリート製
の上部ブラケット5が垂設され、これに対向して下階の
梁4に鉄筋コンクリート製の下部ブラケット6が立設さ
れるとともに、これら上下部ブラケット5、6にH形鋼
からなる鉄骨部材7の上下部7a、7bを埋設すること
により連結したものである。
【0003】上記従来の制震間柱1によれば、上下部ブ
ラケット5、6に上下部7a、7bが埋設されて水平方
向の移動が拘束された鉄骨部材7の露出した中間部7c
が、剪断パネルとして作用する。この結果、図6に示す
ように、大地震時に上記架構が変形した際に、上記中間
部7cが他の部分よりも先に塑性変形することによりエ
ネルギーを吸収して、柱2および梁3、4からなる架構
に伝わる揺れを抑制することができる。
ラケット5、6に上下部7a、7bが埋設されて水平方
向の移動が拘束された鉄骨部材7の露出した中間部7c
が、剪断パネルとして作用する。この結果、図6に示す
ように、大地震時に上記架構が変形した際に、上記中間
部7cが他の部分よりも先に塑性変形することによりエ
ネルギーを吸収して、柱2および梁3、4からなる架構
に伝わる揺れを抑制することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記制震間
柱1においては、図6に示すように、大地震時に鉄筋コ
ンクリート造の柱2および梁3、4からなる架構に層間
変形が生じた場合に、一般に柱2は強固に設計されてい
るために、上記層間変形に応じて剛体的に傾くのみとな
る。一方、制震間柱1は、上記架構の層間変形により鉄
骨部材7の上記中間部7cが剪断変形して、クランク形
に折れ曲がる。この際に、鉄骨部材7の上下部7a、7
bは、上下部ブラケット5、6から抜け出そうとするた
めに、制震間柱1には、引張軸力が作用する。次いで、
揺れ戻しによって上記層間変形が減少し、制震間柱1に
おけるクランク形の変形が元に戻ろうとする際には、逆
に鉄骨部材7が上下部ブラケット5、6内に押込まれよ
うとするために、制震間柱1には圧縮軸力が発生するこ
とになる。
柱1においては、図6に示すように、大地震時に鉄筋コ
ンクリート造の柱2および梁3、4からなる架構に層間
変形が生じた場合に、一般に柱2は強固に設計されてい
るために、上記層間変形に応じて剛体的に傾くのみとな
る。一方、制震間柱1は、上記架構の層間変形により鉄
骨部材7の上記中間部7cが剪断変形して、クランク形
に折れ曲がる。この際に、鉄骨部材7の上下部7a、7
bは、上下部ブラケット5、6から抜け出そうとするた
めに、制震間柱1には、引張軸力が作用する。次いで、
揺れ戻しによって上記層間変形が減少し、制震間柱1に
おけるクランク形の変形が元に戻ろうとする際には、逆
に鉄骨部材7が上下部ブラケット5、6内に押込まれよ
うとするために、制震間柱1には圧縮軸力が発生するこ
とになる。
【0005】そして、上記制震間柱1に引張軸力が生じ
た際には、不連続部となる上下部ブラケット5、6と梁
3、4との接合部3a、4aにおける断面の曲げ耐力が
低下し、当該部分における変形量が増加するため、これ
に対応して鉄骨部材7の中間部7cにおける剪断変形量
が減少することになり、この結果架構に対する振動抑制
効果の減少をきたすという問題点がある。また、逆に上
記制震間柱1に圧縮軸力が生じた際には、鉄骨部材7の
中間部7cに座屈が発生して、同様に当該制震間柱1に
よる振動抑制効果が減少する虞がある。
た際には、不連続部となる上下部ブラケット5、6と梁
3、4との接合部3a、4aにおける断面の曲げ耐力が
低下し、当該部分における変形量が増加するため、これ
に対応して鉄骨部材7の中間部7cにおける剪断変形量
が減少することになり、この結果架構に対する振動抑制
効果の減少をきたすという問題点がある。また、逆に上
記制震間柱1に圧縮軸力が生じた際には、鉄骨部材7の
中間部7cに座屈が発生して、同様に当該制震間柱1に
よる振動抑制効果が減少する虞がある。
【0006】さらに、上記制震間柱1にあっては、一般
に鉛直荷重による架構の軸方向力を支えることなく、水
平力に対してのみ抵抗するように設計されている。この
ため、建築工事においては、当該制震間柱1に鉛直荷重
による軸方向力を作用させないために、先ず柱2や梁
3、4に加えて床スラブまで構築し、柱2に架構の鉛直
荷重を充分に支持させた後に、制震間柱1を施工して梁
3、4に緊結している。この結果、上記制震間柱1の構
築のために残工事が発生し、よって建築工事の生産性を
低下させるとともに、工期の短縮化を阻害する一因とな
っている。
に鉛直荷重による架構の軸方向力を支えることなく、水
平力に対してのみ抵抗するように設計されている。この
ため、建築工事においては、当該制震間柱1に鉛直荷重
による軸方向力を作用させないために、先ず柱2や梁
3、4に加えて床スラブまで構築し、柱2に架構の鉛直
荷重を充分に支持させた後に、制震間柱1を施工して梁
3、4に緊結している。この結果、上記制震間柱1の構
築のために残工事が発生し、よって建築工事の生産性を
低下させるとともに、工期の短縮化を阻害する一因とな
っている。
【0007】本発明は、このような従来の制震間柱が有
する課題を有効に解決すべくなされたもので、大地震時
においても軸方向への力が作用することが無く、しかも
建築工事において後施工を要することなく施工性にも優
れる鉄骨構造の制震間柱を提供することを目的とするも
のである。
する課題を有効に解決すべくなされたもので、大地震時
においても軸方向への力が作用することが無く、しかも
建築工事において後施工を要することなく施工性にも優
れる鉄骨構造の制震間柱を提供することを目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
に係る鉄骨構造の制震間柱は、鉄骨構造の柱梁架構にお
ける上下階の梁の間に設けられて所定の水平荷重が作用
した際に塑性化する鉄骨部材によって構成された制震間
柱において、上下階の梁の間において間隙を介した不連
続部が形成されるとともに、上記不連続部の端部が、拘
束部材によって水平方向の移動が拘束されてなることを
特徴とするものである。ここで、上記鉄骨部材には、剪
断座屈を防止するためのスチフナ等の補強材を各種形態
によって接合したものを含む。
に係る鉄骨構造の制震間柱は、鉄骨構造の柱梁架構にお
ける上下階の梁の間に設けられて所定の水平荷重が作用
した際に塑性化する鉄骨部材によって構成された制震間
柱において、上下階の梁の間において間隙を介した不連
続部が形成されるとともに、上記不連続部の端部が、拘
束部材によって水平方向の移動が拘束されてなることを
特徴とするものである。ここで、上記鉄骨部材には、剪
断座屈を防止するためのスチフナ等の補強材を各種形態
によって接合したものを含む。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の鉄骨部材が、鉄骨構造の柱梁架構における上階
の梁に垂設された上部鉄骨部材と、これに対向して下階
の梁に立設された下部鉄骨部材とを備えてなり、上記上
部鉄骨部材と下部鉄骨部材との間に間隙を介した不連続
部が形成され、かつ上記不連続部の端部が、上部鉄骨部
材または下部鉄骨部材に固定された拘束部材によって水
平方向の移動が拘束されてなることを特徴とするもので
ある。
に記載の鉄骨部材が、鉄骨構造の柱梁架構における上階
の梁に垂設された上部鉄骨部材と、これに対向して下階
の梁に立設された下部鉄骨部材とを備えてなり、上記上
部鉄骨部材と下部鉄骨部材との間に間隙を介した不連続
部が形成され、かつ上記不連続部の端部が、上部鉄骨部
材または下部鉄骨部材に固定された拘束部材によって水
平方向の移動が拘束されてなることを特徴とするもので
ある。
【0010】さらに、請求項3に記載の発明は、請求項
1または2に記載の鉄骨部材が、フランジとウエブとを
有してなり、かつそのウエブの中間部が、極低降伏点鋼
からなることを特徴とするものである。
1または2に記載の鉄骨部材が、フランジとウエブとを
有してなり、かつそのウエブの中間部が、極低降伏点鋼
からなることを特徴とするものである。
【0011】請求項1〜3のいずれかに記載の鉄骨構造
の制震間柱にあっては、上下階の梁の間において、間隙
を介した不連続部が形成されるとともに、かつ上記不連
続部の端部が、拘束部材によって水平方向の移動が拘束
されているので、大地震時に柱および梁からなる架構に
層間変形が生じた場合にも、上記間隙によって軸方向変
位を吸収することができるために、制震間柱に引張軸力
や圧縮軸力といった軸方向力が作用することがない。加
えて、上記拘束部材によって不連続部の端部の水平移動
が拘束されているために、大地震時に上記架構が変形し
て上記制震間柱に所定の水平荷重が作用した際に、当該
制震間柱が上記架構よりも先に塑性変形してエネルギー
を吸収することにより、架構に伝わる揺れを抑制するこ
とができる。
の制震間柱にあっては、上下階の梁の間において、間隙
を介した不連続部が形成されるとともに、かつ上記不連
続部の端部が、拘束部材によって水平方向の移動が拘束
されているので、大地震時に柱および梁からなる架構に
層間変形が生じた場合にも、上記間隙によって軸方向変
位を吸収することができるために、制震間柱に引張軸力
や圧縮軸力といった軸方向力が作用することがない。加
えて、上記拘束部材によって不連続部の端部の水平移動
が拘束されているために、大地震時に上記架構が変形し
て上記制震間柱に所定の水平荷重が作用した際に、当該
制震間柱が上記架構よりも先に塑性変形してエネルギー
を吸収することにより、架構に伝わる揺れを抑制するこ
とができる。
【0012】また、制震間柱を先行して施工することに
より、建築中に架構側から当該制震間柱に鉛直荷重が作
用しようとする場合においても、上記間隙によってこれ
を吸収することができるために、制震間柱自体が架構の
軸方向力を支えることが無い。この結果、柱や梁の構築
と並行して当該制震間柱を取り付けることができ、よっ
て上記制震間柱の構築のために残工事が不要となるため
に、建築工事の生産性を向上させるとともに、工期の短
縮化を図ることが可能になる。
より、建築中に架構側から当該制震間柱に鉛直荷重が作
用しようとする場合においても、上記間隙によってこれ
を吸収することができるために、制震間柱自体が架構の
軸方向力を支えることが無い。この結果、柱や梁の構築
と並行して当該制震間柱を取り付けることができ、よっ
て上記制震間柱の構築のために残工事が不要となるため
に、建築工事の生産性を向上させるとともに、工期の短
縮化を図ることが可能になる。
【0013】なお、請求項1に記載の発明においては、
上記間隙を形成する箇所としては、制震間柱と上階の梁
との間、制震間柱の中間部および、制震間柱と下階の梁
との間のいずれかが選択可能であるが、請求項2に記載
の本発明のように、上階の梁から上部鉄骨部材を垂設
し、これに対向して下階の梁に下部鉄骨部材を立設する
とともに、これら上下部鉄骨部材間に当該間隙を介した
不連続部を形成し、かつ上記不連続部の端部を、上部鉄
骨部材または下部鉄骨部材に固定された拘束部材によっ
て水平方向の移動を拘束するようにすれば、制震間柱の
変形が小さくなり、一層効果的である。
上記間隙を形成する箇所としては、制震間柱と上階の梁
との間、制震間柱の中間部および、制震間柱と下階の梁
との間のいずれかが選択可能であるが、請求項2に記載
の本発明のように、上階の梁から上部鉄骨部材を垂設
し、これに対向して下階の梁に下部鉄骨部材を立設する
とともに、これら上下部鉄骨部材間に当該間隙を介した
不連続部を形成し、かつ上記不連続部の端部を、上部鉄
骨部材または下部鉄骨部材に固定された拘束部材によっ
て水平方向の移動を拘束するようにすれば、制震間柱の
変形が小さくなり、一層効果的である。
【0014】ちなみに、上記間隙は、大地震時に想定さ
れる架構の鉛直変位と施工誤差分とを吸収可能な寸法に
設定することが好ましい。また、請求項1または2に記
載の発明において、上記制震間柱は、これを構成する鉄
骨部材の剛性を適宜設定することにより、全体として塑
性化するように設計することも可能であるが、請求項3
に記載の発明のように、鉄骨部材としてH形断面部材を
用い、かつそのウエブの中間部を極低降伏点鋼によって
構成すれば、上記中間部における履歴減衰によって架構
に作用する揺れのエネルギーを効果的に吸収することが
でき、この結果より高い制震効果を発揮することが可能
になる。
れる架構の鉛直変位と施工誤差分とを吸収可能な寸法に
設定することが好ましい。また、請求項1または2に記
載の発明において、上記制震間柱は、これを構成する鉄
骨部材の剛性を適宜設定することにより、全体として塑
性化するように設計することも可能であるが、請求項3
に記載の発明のように、鉄骨部材としてH形断面部材を
用い、かつそのウエブの中間部を極低降伏点鋼によって
構成すれば、上記中間部における履歴減衰によって架構
に作用する揺れのエネルギーを効果的に吸収することが
でき、この結果より高い制震効果を発揮することが可能
になる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1〜図3は、本発明に係る鉄骨
構造の制震間柱の一実施形態を示すもので、この制震間
柱10は、鉄筋構造の架構の上階の梁11と下階の梁1
2との間に取付けられるものである。なお、符号13
は、鉄骨造の柱である。そして、この制震間柱10は、
上階の梁11に垂設された上部ブラケット(上部鉄骨部
材)14と、これに対向して下階の梁12に立設された
下部ブラケット(下部鉄骨部材)15とによって概略構
成されたものであり、これら上下部ブラケット14、1
5は、いずれも鉄骨製H形断面部材によって形成されて
いる。
構造の制震間柱の一実施形態を示すもので、この制震間
柱10は、鉄筋構造の架構の上階の梁11と下階の梁1
2との間に取付けられるものである。なお、符号13
は、鉄骨造の柱である。そして、この制震間柱10は、
上階の梁11に垂設された上部ブラケット(上部鉄骨部
材)14と、これに対向して下階の梁12に立設された
下部ブラケット(下部鉄骨部材)15とによって概略構
成されたものであり、これら上下部ブラケット14、1
5は、いずれも鉄骨製H形断面部材によって形成されて
いる。
【0016】ここで、下部ブラケット15は、上部ブラ
ケット14よりも大きな寸法のH形断面部材によって形
成されており、その上面には、ベースプレート16が接
合・一体化されている。なお、図中符号16aは、上記
ベースプレート16用の補強リブである。他方、上階の
梁11に垂設した上部ブラケット14の下部には、ウエ
ブ17aに所定の水平荷重が作用した際に剪断パネルと
して機能する極低降伏点鋼を使用したH形鋼からなる鋼
製部材17が接合・一体化されている。そして、この鋼
製部材17の下端部と、ベースプレート16との間に
は、図1および図2に示すように、間隙18を有する不
連続部が形成されている。
ケット14よりも大きな寸法のH形断面部材によって形
成されており、その上面には、ベースプレート16が接
合・一体化されている。なお、図中符号16aは、上記
ベースプレート16用の補強リブである。他方、上階の
梁11に垂設した上部ブラケット14の下部には、ウエ
ブ17aに所定の水平荷重が作用した際に剪断パネルと
して機能する極低降伏点鋼を使用したH形鋼からなる鋼
製部材17が接合・一体化されている。そして、この鋼
製部材17の下端部と、ベースプレート16との間に
は、図1および図2に示すように、間隙18を有する不
連続部が形成されている。
【0017】さらに、この鋼製部材17のウエブ17a
の下端部には、フランジ17bとウエブ17aとの間を
塞ぐ水平板19が一体に接合されている。そして、ベー
スプレート16上には、鋼製部材17のフランジ17b
の下端部外面を両側から挟むプレート状の拘束部材20
と、水平板19を両側から挟むプレート状の拘束部材2
1とが、それぞれ高力ボルト22、23によって固定さ
れている。これにより、鋼製部材17の下端部は、水平
方向への移動が拘束されている。
の下端部には、フランジ17bとウエブ17aとの間を
塞ぐ水平板19が一体に接合されている。そして、ベー
スプレート16上には、鋼製部材17のフランジ17b
の下端部外面を両側から挟むプレート状の拘束部材20
と、水平板19を両側から挟むプレート状の拘束部材2
1とが、それぞれ高力ボルト22、23によって固定さ
れている。これにより、鋼製部材17の下端部は、水平
方向への移動が拘束されている。
【0018】上記構成からなる制震間柱10によれば、
大地震時に柱および梁からなる架構に層間変形が生じた
場合等に、鋼製部材17と下部ブラケット15上に固定
されたベースプレート16との間に形成した間隙18に
よってこれを吸収することができるため、上記制震間柱
10に引張軸力や圧縮軸力といった軸方向力が作用する
ことがない。
大地震時に柱および梁からなる架構に層間変形が生じた
場合等に、鋼製部材17と下部ブラケット15上に固定
されたベースプレート16との間に形成した間隙18に
よってこれを吸収することができるため、上記制震間柱
10に引張軸力や圧縮軸力といった軸方向力が作用する
ことがない。
【0019】しかも、鋼製部材17の下端部は、拘束部
材20、21によって水平方向の移動が拘束されている
ために、大地震時に上記架構が変形した際に、ウエブ1
7aが上記架構よりも先に塑性変形して剪断パネルとし
て作用することにより、当該架構に作用する揺れのエネ
ルギーを効果的に吸収するができる。
材20、21によって水平方向の移動が拘束されている
ために、大地震時に上記架構が変形した際に、ウエブ1
7aが上記架構よりも先に塑性変形して剪断パネルとし
て作用することにより、当該架構に作用する揺れのエネ
ルギーを効果的に吸収するができる。
【0020】なお、上記実施形態においては、拘束部材
20、21によって、鋼製部材17の下端部を外周側か
ら拘束した場合に付いてのみ説明したが、これに限定さ
れるものではなく、例えば図4に示すように、水平部材
19を設けずに、ウエブ17aとフランジ17bとによ
って囲われる内側部分に、僅かの隙間を介してプレート
状の拘束部材30を設け、これをベースプレート16に
高力ボルト31によって固定してもよい。
20、21によって、鋼製部材17の下端部を外周側か
ら拘束した場合に付いてのみ説明したが、これに限定さ
れるものではなく、例えば図4に示すように、水平部材
19を設けずに、ウエブ17aとフランジ17bとによ
って囲われる内側部分に、僅かの隙間を介してプレート
状の拘束部材30を設け、これをベースプレート16に
高力ボルト31によって固定してもよい。
【0021】また、拘束部材20、21、30の形状に
ついても、上述したプレート状のものに限らず、アング
ル材やH形鋼を用いてもよく、またベースプレート16
への固定方法についても、上記高力ボルト22、23、
31に限らず溶接によって固定してもよい。さらに、上
記実施形態においては、本発明に係る鉄骨部材として、
いずれも鉄骨製H形断面部材によって形成した上下部ブ
ラケット14、15および鋼製部材17を用いた場合に
付いてのみ説明したが、これに限定されるものではな
く、各種形状のものを使用することが可能である。
ついても、上述したプレート状のものに限らず、アング
ル材やH形鋼を用いてもよく、またベースプレート16
への固定方法についても、上記高力ボルト22、23、
31に限らず溶接によって固定してもよい。さらに、上
記実施形態においては、本発明に係る鉄骨部材として、
いずれも鉄骨製H形断面部材によって形成した上下部ブ
ラケット14、15および鋼製部材17を用いた場合に
付いてのみ説明したが、これに限定されるものではな
く、各種形状のものを使用することが可能である。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜3のい
ずれかに記載の制震間柱によれば、上下階の梁の間にお
いて間隙を介した不連続部が形成されるとともに、かつ
上記不連続部の端部が、拘束部材によって水平方向の移
動が拘束されているので、大地震時に柱および梁からな
る架構に層間変形が生じた場合にも、上記間隙によって
軸方向の変位を吸収することができるために、制震間柱
に引張軸力や圧縮軸力といった軸方向力が作用すること
がなく、かつ上記拘束部材によって不連続部の端部の水
平移動が拘束されているために、大地震時に上記架構が
変形した際に、上記制震間柱が、先に塑性変形すること
によりエネルギーを吸収することにより架構に伝わる揺
れを抑制することができる。
ずれかに記載の制震間柱によれば、上下階の梁の間にお
いて間隙を介した不連続部が形成されるとともに、かつ
上記不連続部の端部が、拘束部材によって水平方向の移
動が拘束されているので、大地震時に柱および梁からな
る架構に層間変形が生じた場合にも、上記間隙によって
軸方向の変位を吸収することができるために、制震間柱
に引張軸力や圧縮軸力といった軸方向力が作用すること
がなく、かつ上記拘束部材によって不連続部の端部の水
平移動が拘束されているために、大地震時に上記架構が
変形した際に、上記制震間柱が、先に塑性変形すること
によりエネルギーを吸収することにより架構に伝わる揺
れを抑制することができる。
【0023】加えて、制震間柱を先行して施工すること
により、建築中に架構側から当該制震間柱に鉛直荷重が
作用しようとする場合においても、上記間隙によってこ
れを吸収することができるために、制震間柱自体が架構
の軸方向力を支えることが無い。この結果、柱や梁の構
築と並行して当該制震間柱を取り付けることができ、よ
って上記制震間柱の構築のために残工事が不要となるた
めに、建築工事の生産性を向上させるとともに、工期の
短縮化を図ることが可能になる。
により、建築中に架構側から当該制震間柱に鉛直荷重が
作用しようとする場合においても、上記間隙によってこ
れを吸収することができるために、制震間柱自体が架構
の軸方向力を支えることが無い。この結果、柱や梁の構
築と並行して当該制震間柱を取り付けることができ、よ
って上記制震間柱の構築のために残工事が不要となるた
めに、建築工事の生産性を向上させるとともに、工期の
短縮化を図ることが可能になる。
【0024】また、請求項2に記載の本発明によれば、
制震間柱を上部鉄骨部材と下部鉄骨部材とによって構成
し、これら上下部鉄骨部材間に間隙を介した不連続部を
形成することにより、制震間柱の変形が小さくなり、一
層効果的である。さらに、請求項3に記載の発明によれ
ば、鉄骨部材としてH形断面部材を用い、かつそのウエ
ブの中間部を極低降伏点鋼によって構成することによ
り、上記中間部における履歴減衰によって架構に作用す
る揺れのエネルギーを効果的に吸収することができ、こ
の結果より高い制震効果を発揮することができるといっ
た効果が得られる。
制震間柱を上部鉄骨部材と下部鉄骨部材とによって構成
し、これら上下部鉄骨部材間に間隙を介した不連続部を
形成することにより、制震間柱の変形が小さくなり、一
層効果的である。さらに、請求項3に記載の発明によれ
ば、鉄骨部材としてH形断面部材を用い、かつそのウエ
ブの中間部を極低降伏点鋼によって構成することによ
り、上記中間部における履歴減衰によって架構に作用す
る揺れのエネルギーを効果的に吸収することができ、こ
の結果より高い制震効果を発揮することができるといっ
た効果が得られる。
【図1】本発明の第1の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の要部の拡大図である。
【図3】図1のIII−III線視断面図である。
【図4】第1の実施形態の変形例を示す横断面図であ
る。
る。
【図5】従来の制震間柱を示す正面図である。
【図6】図5の柱梁架構および制震間柱の変形状態を示
す正面図である。
す正面図である。
10 制震間柱
11 上階の梁
12 下階の梁
14 上部ブラケット(上部鉄骨部材)
15 下部ブラケット(下部鉄骨部材)
17 鋼製部材
17a ウエブ
18 間隙
20、21、30 拘束部材
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 小室 努
東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成
建設株式会社内
(72)発明者 征矢 克彦
東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成
建設株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 鉄骨構造の柱梁架構における上下階の梁
の間に設けられて所定の水平荷重が作用した際に塑性化
する鉄骨部材によって構成された制震間柱において、上
記上下階の梁の間において間隙を介した不連続部が形成
されるとともに、上記不連続部の端部が、拘束部材によ
って水平方向の移動が拘束されてなることを特徴とする
鉄骨構造の制震間柱。 - 【請求項2】 上記鉄骨部材は、鉄骨構造の柱梁架構に
おける上階の梁に垂設された上部鉄骨部材と、これに対
向して下階の梁に立設された下部鉄骨部材とを備えてな
り、上記上部鉄骨部材と下部鉄骨部材との間に間隙を介
した上記不連続部が形成され、かつ上記不連続部の端部
が、上部鉄骨部材または下部鉄骨部材に固定された拘束
部材によって水平方向の移動が拘束されてなることを特
徴とする請求項1に記載の鉄骨構造の制震間柱。 - 【請求項3】 上記鉄骨部材は、フランジとウエブとを
有してなり、かつ上記ウエブの中間部は、極低降伏点鋼
からなることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄
骨構造の制震間柱。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001326041A JP2003129690A (ja) | 2001-10-24 | 2001-10-24 | 鉄骨構造の制震間柱 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001326041A JP2003129690A (ja) | 2001-10-24 | 2001-10-24 | 鉄骨構造の制震間柱 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003129690A true JP2003129690A (ja) | 2003-05-08 |
Family
ID=19142495
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001326041A Pending JP2003129690A (ja) | 2001-10-24 | 2001-10-24 | 鉄骨構造の制震間柱 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003129690A (ja) |
-
2001
- 2001-10-24 JP JP2001326041A patent/JP2003129690A/ja active Pending
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
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A977 | Report on retrieval |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060711 |