JP2003123761A - 活物質複合体とそれを用いた電池 - Google Patents
活物質複合体とそれを用いた電池Info
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Abstract
用率が高く、しかも電池寿命の長い良好な電極層を形成
しうる活物質複合体と、それを用いた、高容量、高効率
でかつ長寿命の電池とを提供する。 【解決手段】 活物質複合体は、電池用の活物質に、導
電性フィラーとして、微細な金属粒が多数、鎖状に繋が
った形状を有する金属粉末を加えた。電池は、上記活物
質複合体を用いて電極層を形成した。
Description
導電性フィラーとを含む活物質複合体と、それを用いた
電池に関するものである。
ものがあるが、中でもペースト塗布式のものが、電極の
製作工程を簡素化でき、かつ低コストであるため、広く
普及している。ペースト塗布式の電極は、通常、電池用
の活物質と、導電性フィラーと、さらにカルボキシメチ
ルセルロース(CMC)等の結着剤とを含む活物質複合
体を、適当な溶剤に溶解したペーストを、シート状の集
電体の表面に塗布して溶剤を乾燥、除去して電極層を形
成し、この電極層を、さらに必要に応じてプレスするこ
とで製造される。
片状などの所定の形状に形成された、カーボン粉末やニ
ッケル粉末などがあげられる〔「プラスチック結着式ニ
ッケル正極の高容量化と高性能化」境哲男他、電池討論
会講演要旨集(1998)〕。具体的には、例えばサブミクロ
ンレベルの粒径を有するアセチレンブラックや、あるい
は10μm前後の粒径を有する球状のニッケル粉末、ア
スペクト比が2〜5程度である薄片状のニッケル粉末な
どが、導電性フィラーとして好適に用いられる。
は、充放電時の電池反応によって化学変化を起こして、
導電性フィラーとしての機能を徐々に失うため、電池寿
命が短いという問題がある。また球状のニッケル粉末
は、下記の問題を有する。 (1) 球状のニッケル粉末の粒径は前記のように10μ
m前後、小さくても1μm以上あるのに対し、活物質の
粒子の粒径は数十μm程度であることから、電極層は、
ニッケル粉末が均一に分散しておらず、微視的に見ると
絶縁部分が多い。このため充放電時に良好に集電されな
い活物質が生じて、活物質の利用率が低くなる。 (2) 良好な導電性を得るためには、球状のニッケル粉
末の、電極層中での含有割合を55重量%以上にしなけ
ればならないが、そうした場合には相対的に活物質の量
が少なくなるため、十分な電池容量を確保することがで
きない。 (3) 電池反応時に活物質が体積変化することで、活物
質の粒子とニッケル粉末との間の接触抵抗が徐々に高く
なるため、電池寿命が短い。
形状ゆえに、上記(1)〜(3)の問題点をある程度、改善す
る効果がある。しかしその効果はいまだ十分でなく、こ
れらの問題を完全に解決するには至っていない。例えば
良好な導電性を得るには、薄片状のニッケル粉末の、電
極層中での含有割合を50重量%以上にしなければなら
ないため、活物質の量は依然として少なく、十分な電池
容量を確保することができない。
ることができる上、活物質の利用率が高く、しかも電池
寿命の長い良好な電極層を形成しうる、新規な活物質複
合体と、それを用いた、高容量、高効率でかつ長寿命の
電池とを提供することにある。
1記載の発明は、電池用の活物質と、導電性フィラーと
しての、微細な金属粒が多数、鎖状に繋がった形状を有
する金属粉末とを含有することを特徴とする活物質複合
体である。ニッケル粉末などの金属粉末を、導電性フィ
ラーとして電極層中に均一に分散させるためには、その
粒径を、カーボン粉末と同様にサブミクロンオーダー、
好ましくは400nm以下程度まで小さくする必要があ
る。しかし金属粉末の粒径をこのように小さくした場合
には、粉末間の接触点数が増加するため接触抵抗が増大
して、かえって電極層の抵抗が高くなる傾向を示す。ま
た、このように微細な金属粉末は凝集等を生じやすく、
電極層中に均一に分散させることも難しい。
微細な金属粒が多数、鎖状に繋がった形状を有する金属
粉末を用いることを検討した。かかる鎖状の金属粉末
は、例えば後述する還元析出法などによって、サブミク
ロンオーダーの微細な金属粒が、最初から多数、鎖状に
繋がった形状に形成される。また、特に後述するよう
に、多数の金属粒が繋がった周囲にさらに金属膜が析出
した構造を有する金属粉末では、個々の金属粒間が直接
に接続される。このため従来のものに比べて、個々の金
属粒間における接触抵抗の増加を抑制することができ
る。
て比表面積が大きいため、凝集等を生じることなしに、
電極層中に均一に分散させることもできる。しかも鎖状
の金属粉末は、鎖の長さと太さとの比がおよそ10〜1
00程度と大きい上、適度に枝分かれした構造を有して
いるため、少量の添加でも、電極層中で良好な導電性の
ネットワークを形成することができる。よって鎖状の金
属粉末を含む請求項1の活物質複合体を用いて形成し
た、前記ペースト塗布式などの電極層は、金属粉末の含
有割合をこれまでより少なくしても、従来と同等または
それ以上の、均一でかつ良好な導電性を有するものとな
る。
上することができる。また活物質の量を多くして、十分
な電池容量を確保することもできる。また前記のネット
ワークは、枝分かれした鎖状の金属粉末が互いにゆるく
絡み合った構造を有しており、柔軟性が高い。よって充
放電時の活物質の体積変化に柔軟に追従して、活物質の
粒子との間の接触抵抗を維持するため、電池寿命をこれ
までより長くすることもできる。
またはこの金属粉末を形成する個々の金属粒を、常磁性
を有する金属単体、常磁性を有する2種以上の金属の合
金、常磁性を有する金属と他の金属との合金、もしくは
常磁性を有する金属を含む複合体にて形成した請求項1
記載の活物質複合体である。上記の構成では、以下に述
べる還元析出法などによってサブミクロンオーダーの微
細な金属粒を析出させると、当該金属粒が磁性を帯び、
そして多数の金属粒が磁力によって鎖状に繋がること
で、鎖状の金属粉末が自動的に形成される。
り、活物質複合体の生産効率の向上やコストダウンなど
が可能となる。また上記金属粉末としては、多数の微細
な金属粒が単に磁力によって鎖状に繋がったものから、
繋がった金属粒の周囲にさらに金属層が析出して金属粒
間が強固に結合されたものまで種々の構造を有するもの
が含まれるが、このいずれのものにおいても、基本的に
金属粒は磁力を保持している。
合し、さらに溶剤を加えて活物質複合体のペーストを製
造する際、あるいはこのペーストを塗布して電極層を形
成する際の応力程度では鎖が簡単に切れたりしない上、
もし切れた場合でも、応力が加わらなくなった時点で鎖
の再結合等を生じやすい。また塗布後のペースト中で
は、複数の金属粉末が、金属粒の磁力に基づいて互いに
接触して導電ネットワークを形成しやすい。
した電極層を、さらに均一でかつ良好な導電性を有する
ものとすることもできる。しかも形成された導電ネット
ワークは、上記のように多数の金属粒が互いに磁気的な
結合力でもって結合されているため、鎖としての柔軟性
が高い。よって充放電時の活物質の体積変化にさらに柔
軟に追従して、活物質の粒子との間の接触抵抗を維持す
ることができ、電池寿命をより一層、長くすることもで
きる。
属単体、常磁性を有する2種以上の金属の合金、または
常磁性を有する金属と他の金属との合金によって形成さ
れる金属粉末または金属粒の全体、もしくは常磁性を有
する金属を含む複合体によって形成される金属粉末また
は金属粒のうち、常磁性を有する金属を含む部分を、そ
の形成材料である常磁性を有する金属のイオンを、還元
剤を含む溶液に加えることで、液中に析出させて形成し
た請求項2記載の活物質複合体である。
ンと還元剤とを用いた還元析出法によれば、前述したよ
うに、鎖状の金属粉末を自動的に形成することが可能と
なる。また還元析出法によって形成される金属粒は個々
の粒径が揃っており、粒度分布がシャープである。した
がって電極層を、さらに均一でかつ良好な導電性を有す
るものとする効果に優れたものとなる。
のチタン化合物を用いた請求項3記載の活物質複合体で
ある。例えばニッケルなどの常磁性を有する金属のイオ
ンを還元析出法によって析出させて、鎖状の金属粉末ま
たはこの金属粉末を形成する個々の金属粒を形成するた
めの還元剤としては種々の化合物が考えられる。しか
し、その中でも三塩化チタンなどの3価のチタン化合物
を用いた場合には、鎖状の金属粉末を析出、形成した後
の溶液を、電解再生によって繰り返し、鎖状の金属粉末
の製造に利用可能な状態に再生できるという利点があ
る。
00nm以下とした請求項1記載の活物質複合体であ
る。金属粒の粒径は、前記のようにサブミクロンオーダ
ーであればよい。ただし電極層を、さらに均一でかつ良
好な導電性を有するものとするためには、金属粒の粒径
を400nm以下とするのが好ましい。
いる請求項1記載の活物質複合体である。前記のように
シート状の集電体の表面に電極層を積層して、ペースト
塗布式の電極を形成する場合、活物質複合体は結着剤を
含有するのが好ましい。これにより、電極層を構成する
金属粉末および活物質相互間、ならびに電極層と集電体
との結着性に優れた電極層を形成することができる。
5重量%の割合で含有した請求項6記載の活物質複合体
である。上記請求項6の活物質複合体において、金属粉
末の含有割合が5重量%未満では、鎖状の金属粉末間の
接触点数が著しく減少するため、電極層が、均一でかつ
良好な導電性を有するものとならない。このため、当該
電極層における活物質の利用率が低下するおそれがあ
る。
%を超える場合には、相対的に活物質の含有割合が少な
くなるため、十分な電池容量を確保できないおそれがあ
る。請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれ
かに記載の活物質複合体を用いて電極層を形成したこと
を特徴とする電池である。かかる電池は、以上で述べた
活物質複合体の作用により、これまでよりも高容量、高
効率でかつ長寿命という、優れた特性を有するものとな
る。
に電池用の活物質と、導電性フィラーとしての、微細な
金属粒が多数、鎖状に繋がった形状を有する金属粉末と
を含有することを特徴とするものである。
相法、液相法等の種々の方法で製造される、鎖状構造を
有する種々の金属粉末が、いずれも使用可能である。鎖
状の金属粉末を形成する個々の金属粒の粒径はサブミク
ロンオーダー、特に400nm以下であるのが好まし
い。この理由は先に述べたとおりである。
好な導電性を有する電極層を形成することを考慮する
と、上記の範囲内でも特に200nm以下であるのがさ
らに好ましい。ただし粒径があまりに小さすぎると、鎖
状に繋がれた金属粉末自体のサイズが小さくなりすぎ
て、導電性フィラーとしての機能が十分に得られないお
それがある。したがって金属粒の粒径は10nm以上で
あるのが好ましい。また鎖の径は特に限定されないが、
やはり均一でかつ良好な導電性を有する電極層を形成す
ることを考慮すると、1μm以下であるのが好ましく、
400nm以下であるのがさらに好ましい。ただし鎖の
径があまりに小さすぎると、前述した活物質複合体を製
造する際などの応力程度で簡単に切れやすくなるおそれ
がある。したがって鎖の径は10nm以上であるのが好
ましい。
に、当該金属粉末、またはこの金属粉末を形成する個々
の金属粒を、常磁性を有する金属単体、常磁性を有する
2種以上の金属の合金、常磁性を有する金属と他の金属
との合金、もしくは常磁性を有する金属を含む複合体に
て形成したものが好ましい。この理由も先に述べたとお
りである。かかる、常磁性を有する金属を含む金属粉末
の具体例としては、下記(a)〜(e)のいずれか1種、もし
くは2種以上の混合物などが挙げられる。 (a) 常磁性を有する金属単体、常磁性を有する2種以
上の金属の合金、または常磁性を有する金属と他の金属
との合金から形成したサブミクロンオーダーの金属粒
を、自身の磁性によって多数個、鎖状に繋がらせた金属
粉末。 (b) 上記(a)の金属粉末の表面にさらに、常磁性を有す
る金属単体、常磁性を有する2種以上の金属の合金、ま
たは常磁性を有する金属と他の金属との合金からなる金
属層を析出させて、金属粒間を強固に結合した金属粉
末。 (c) 上記(a)または(b)の金属粉末の表面にさらに、
銀、銅、アルミニウムなどの他の金属や合金からなる金
属層を析出させて、金属粒間を強固に結合した金属粉
末。 (d) 常磁性を有する金属単体、常磁性を有する2種以
上の金属の合金、または常磁性を有する金属と他の金属
との合金から形成した粒状の芯材の表面を、銀、銅、ア
ルミニウムなどの他の金属や合金で被覆して複合体を
得、この複合体を金属粒として、芯材の磁性によって多
数個、鎖状に繋がらせた金属粉末。 (e) 上記(d)の金属粉末の表面にさらに、銀、銅、アル
ミニウムなどの他の金属や合金からなる金属層を析出さ
せて、金属粒間を強固に結合した金属粉末。
性を有する2種以上の金属の合金、または常磁性を有す
る金属と他の金属との合金によって形成される金属粉末
または金属粒の全体、もしくは常磁性を有する金属を含
む複合体によって形成される金属粉末または金属粒のう
ち、常磁性を有する金属を含む部分は、前述したように
還元析出法によって、その形成材料である常磁性を有す
る金属のイオンを含む溶液に還元剤を加えることで、液
中に析出させて形成するのが好ましい。
ば三塩化チタンなどの3価のチタン化合物と、例えばク
エン酸三ナトリウム等とを溶解させた溶液(以下「還元
剤溶液」とする)に、アンモニア水等を加えてpHを9
〜10に調整する。これにより、3価のチタンイオンが
錯化剤としてのクエン酸と結合して配位化合物を形成し
て、Ti(III)からTi(IV)に酸化する際の活性化エネ
ルギーが低くなり、還元電位が高くなる。具体的には、
Ti(III)とTi(IV)との電位差が1Vを超える。この
値は、Ni(II)からNi(0)への還元電位や、Fe(II)
からFe(0)への還元電位などに比べて著しく高い値で
ある。よって各種の金属のイオンを効率よく還元して、
金属粒や金属膜などを析出、形成することができる。
等の、常磁性を有する金属単体のイオンを含む溶液、ま
たは常磁性を有する金属を含む合金を形成する2種以上
のイオンを含む溶液を加える。そうすると、Ti(III)
が還元剤として機能して、自身がTi(IV)に酸化する際
に、金属のイオンを還元して液中に析出させる。すなわ
ち液中に、上記金属単体または合金からなる金属粒が析
出するとともに、自身の磁性によって多数が鎖状に繋が
って鎖状の金属粉末を形成する。また、このあとさらに
析出を続けると、上記金属粉末の表面にさらに金属層が
析出して、金属粒同士を強固に結合する。
元になる金属粒、あるいは前記(d)の金属粉末の元にな
る複合体のうち芯材などが、上記の方法によって製造さ
れる。このうち金属粒や芯材は個々の粒径が揃ってお
り、粒度分布がシャープである。これは、還元反応が系
中で均一に進行するためである。したがってかかる金属
粒や芯材から製造される金属粉末は、導電膜の表面を電
気的に均一な状態とする効果に優れており、めっき方法
や微細金属部品の製造方法に好適に使用できる。
液は、前記のように電解再生を行うことで、何度でも繰
り返し、還元析出法による鎖状の金属粉末の製造に利用
することができる。すなわち、金属粒や芯材等を析出さ
せた後の還元剤溶液を電解槽に入れるなどして電圧を印
加することで、Ti(IV)をTi(III)に還元してやれ
ば、再び電解析出用の還元剤溶液として使用することが
できる。これは、電解析出時にチタンイオンが殆ど消費
されない、つまり析出させる金属とともに析出されない
ためである。
る金属または合金としては、例えばニッケル、鉄、コバ
ルトおよびこれらのうち2種以上の合金等が挙げられ
る。かかる金属や合金にて形成した、特に金属粒は、鎖
状に繋がる際の磁気的な相互作用が強いため、金属粒間
の接触抵抗を低減する効果に優れている。中でもニッケ
ル単体、コバルト単体、あるいはニッケル−コバルト合
金は上記の効果に優れるだけでなく、アルカリ電池のう
ちニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などの正
極に用いた場合の電気化学的な安定性に優れるため、と
くに好適に使用される。
ともに、前記(c)(d)(e)の複合体を形成する他の金属と
しては銀、銅、アルミニウムなどが挙げられ、特に導電
率が高いことや電気化学的な安定性に優れることから銀
が好適に使用される。複合体のうち、上記他の金属で形
成される部分は、例えば無電解めっき法、電解めっき
法、還元析出法、真空状着法などの種々の成膜方法によ
って形成できる。
明の活物質複合体を用いて形成する電極層の種類に応じ
た、従来公知の種々の活物質を使用することができる。 (結着剤)電極がペースト塗布式である場合、活物質複
合体は結着剤を含有する。結着剤としては、電極層を構
成する金属粉末および活物質相互間、ならびに電極層と
集電体との結着性に優れ、かつ活物質複合体にペースト
としての粘度を付与する増粘作用を有するとともに、適
当な溶剤に可溶性である種々の結着剤が挙げられる。
の他、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル系樹
脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂が挙げら
れる。中でもCMCやPVAは、アルカリ電解液に対す
る安定性に優れるため、とくに好適に使用される。 (活物質複合体)活物質複合体は、先に述べたように電
池用の活物質と、導電性フィラーとしての鎖状の金属粉
末と、さらに必要に応じて結着剤とを所定の割合で配合
して形成される。
着剤をも含有する場合、上記各成分の総量の5〜45重
量%であるのが好ましい。この理由は先に述べたとおり
である。なお電極層の導電性と、電池容量とのバランス
を考慮すると、金属粉末の含有割合は、25〜40重量
%であるのがさらに好ましい。また結着剤の含有割合
は、十分な結着性を確保するとともに、鎖状の金属粉末
および活物質の機能を阻害しないことを考慮すると、上
記各成分の総量の3〜10重量%であるのが好ましい。
布式である場合、当該電極は、上述した、電池用の活物
質と、導電性フィラーとしての鎖状の金属粉末と、結着
剤とを所定の割合で配合した活物質複合体を、例えば水
などの適当な溶剤に溶解してペーストを調製し、このペ
ーストを、シート状の集電体の表面に塗布して溶剤を乾
燥、除去して電極層を形成し、この電極層を、さらに必
要に応じてプレスすることで製造される。
および電解液と組み合わせることで電池が製造される。
電極の構造や電解液の組成などは、電池の種類および規
格に応じて適宜、変更することができる。
て説明する。 実施例1 導電性フィラーとしては、図1に示すように微細な金属
粒が鎖状に繋がれた形状を有し、金属粒の粒径が100
nm、鎖の径が200nmであるニッケル粉末を用い
た。
極活物質としての、平均粒径20μmの水酸化ニッケル
粒子55重量部と、結着剤としてのCMC5重量部とを
配合し、十分に混合した後、水を加えてペーストを調製
した。次にこのペーストを、シート状の集電体として
の、厚み30μmのニッケル箔の片面に、乾燥後の厚み
が150μmとなるように塗布し、70℃で4時間、乾
燥させることで電極層を形成して、ペースト塗布式の正
極を製造した。
合金、隔膜およびスペーサと組み合わせて、単3サイズ
の電池ケースに組み込んだ後、6M濃度のアルカリ電解
液を含浸し、封口処理して実施例1の電池を得た。電池
は、負極の容量を、正極の容量に対して余裕を持たせた
正極規制型とした。 実施例2 導電性フィラーとして、微細な金属粒が鎖状に繋がれた
形状を有し、金属粒の粒径が50nm、鎖の径が100
nmであるニッケル粉末を用いたこと以外は実施例1と
同様にして電池を得た。
ケル粒子の配合量を65重量部としたこと以外は実施例
1と同様にして電池を得た。 比較例1 鎖状のニッケル粉末に代えて、同量のアセチレンブラッ
ク(粒径0.1μm)を使用したこと以外は実施例1と
同様にして電池を得た。
末(粒径10μm)を使用したこと以外は実施例1と同
様にして電池を得た。 比較例3 鎖状のニッケル粉末に代えて、同量の薄片状のニッケル
粉末(短径2μm、長径20μm、厚み1μm、アスペ
クト比10)を使用したこと以外は実施例1と同様にし
て電池を得た。
電池を、下記の充放電条件: 充電条件:充電レート0.2Cで電池容量の120%ま
で充電 放電条件:放電レート0.2Cで0.8Vまで放電 により、それぞれ9サイクル充放電させたのち、10サ
イクル目の放電で0.8Vまで放電させて、その際の放
電容量(mAh)を測定した。またこの放電容量と、正
極活物質である水酸化ニッケルの理論容量とから、式
(1):
た。また各実施例、比較例で得た電池を、下記の充放電
条件: 充電条件:充電レート0.2Cで電池容量の120%ま
で充電 放電条件:放電レート5Cで0.8Vまで放電 により充放電させるサイクルを繰り返し行い、放電容量
が初期容量の70%となったサイクル数を求めて電池寿
命とした。
末を使用した比較例1の電池は、初期の容量こそ大きい
ものの、活物質の利用率が低く、かつ電池寿命が短いこ
とがわかった。また球状のニッケル粉末を用いた比較例
2の電池は、初期の容量が小さく、かつ活物質の利用率
が低い上、電池寿命も短いことがわかった。さらに薄片
状のニッケル粉末を用いた比較例3の電池は、比較例2
に比べて初期の容量、活物質の利用率、ならびに電池寿
命についてある程度の改善が見られたものの、その効果
は依然として不十分であることがわかった。
初期の容量が大きく、活物質の利用率が高い上、電池寿
命がこれまでよりも長いことが確認された。
末の、粒子の構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
Claims (8)
- 【請求項1】電池用の活物質と、導電性フィラーとして
の、微細な金属粒が多数、鎖状に繋がった形状を有する
金属粉末とを含有することを特徴とする活物質複合体。 - 【請求項2】鎖状の金属粉末、またはこの金属粉末を形
成する個々の金属粒を、常磁性を有する金属単体、常磁
性を有する2種以上の金属の合金、常磁性を有する金属
と他の金属との合金、もしくは常磁性を有する金属を含
む複合体にて形成した請求項1記載の活物質複合体。 - 【請求項3】常磁性を有する金属単体、常磁性を有する
2種以上の金属の合金、または常磁性を有する金属と他
の金属との合金によって形成される金属粉末または金属
粒の全体、もしくは常磁性を有する金属を含む複合体に
よって形成される金属粉末または金属粒のうち、常磁性
を有する金属を含む部分を、その形成材料である常磁性
を有する金属のイオンを、還元剤を含む溶液に加えるこ
とで、液中に析出させて形成した請求項2記載の活物質
複合体。 - 【請求項4】還元剤として3価のチタン化合物を用いた
請求項3記載の活物質複合体。 - 【請求項5】金属粒の粒径を400nm以下とした請求
項1記載の活物質複合体。 - 【請求項6】結着剤を含有した請求項1記載の活物質複
合体。 - 【請求項7】金属粉末を5〜45重量%の割合で含有し
た請求項6記載の活物質複合体。 - 【請求項8】請求項1ないし7のいずれかに記載の活物
質複合体を用いて電極層を形成したことを特徴とする電
池。
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WO2010035691A1 (ja) * | 2008-09-24 | 2010-04-01 | 住友電気工業株式会社 | 電気化学反応装置、その製造方法、ガス分解素子、アンモニア分解素子および発電装置 |
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