JP2003119515A - 溶融金属の精錬方法 - Google Patents

溶融金属の精錬方法

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JP2003119515A JP2001313078A JP2001313078A JP2003119515A JP 2003119515 A JP2003119515 A JP 2003119515A JP 2001313078 A JP2001313078 A JP 2001313078A JP 2001313078 A JP2001313078 A JP 2001313078A JP 2003119515 A JP2003119515 A JP 2003119515A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融金属中に微細な気泡を生成させ、溶融金
属中に広く分散させることにより、介在物の除去、脱ガ
ス反応またはスラグメタル反応の促進を効率的に行う方
法を提供する。 【解決手段】 (1)溶融金属浴に浸漬管を浸漬し、浸
漬管内を減圧して溶融金属を吸引する減圧工程と、浸漬
管内を加圧して溶融金属を吐出する加圧工程とを含み、
少なくとも加圧工程において、浸漬管内溶融金属中にあ
るガス吹き込み口からガスを吹き込む。(2)浸漬管内
面の形状を、ガス吹き込み口より下方で末広がり形状と
するのがより好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属中の介在
物低減、脱ガス反応促進およびスラグメタル反応促進等
を効率的に行うことが可能な溶融金属の精錬方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】溶融金属中に含まれる介在物の除去方法
として、溶融金属中にガスを吹き込んで溶融金属中に気
泡を生成させ、介在物をこの気泡で捕捉して浮上させ除
去する方法、溶融金属の脱ガス反応を促進する方法、ま
たは脱りんや脱硫のスラグメタル反応を促進させる方法
が知られている。そして、気泡をより微細にすること
と、気泡を溶融金属中に広く分散させることとが、溶融
金属の脱ガス反応の促進、スラグメタル反応の促進また
は微小介在物の浮上除去に有効であることが知られてい
る。
【0003】このような観点から、溶融金属の精錬にお
いて、溶融金属中に微細な気泡を生成させる方法や気泡
を分散させる方法について、例えば、下記の技術が提案
されている。
【0004】特開昭59−226129号公報には、多
孔性耐火物からなる吹き込みプラグを用いた気泡の発生
方法において、耐火物稼動面の単位面積あたりのガス吹
き込み量を所定量以下とするガスを吹き込み方法が開示
されている。ガス吹き込み量を所定量以下とすることに
より、微細気泡の生成が可能であるとしている。
【0005】特開昭62−192240号公報には、多
孔質耐火物で形成されたガス吐出部を先端部に備えるバ
ブリングランスを用い、バブリングランスを溶鋼内で回
転させながらガスを吹き込む方法が開示されている。バ
ブリングランスの回転によって、多孔質耐火物稼動面か
らの気泡の離脱が促され、微細な気泡の生成が可能であ
り、気泡が上昇する際、バブリングランス周りに螺旋状
に付着するため、気泡の合体が起こりにくく、微細気泡
が維持されるとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に開
示された方法には以下の問題点がある。特開昭59−2
26129号公報に開示された方法は、多孔質の耐火物
を用いているが、溶鋼と耐火物との濡れ性が小さいた
め、各孔から生じた気泡が耐火物表面を覆うように成長
し、耐火物稼動面から離脱する前に容易に合体する。同
公報に開示された方法では、例えば直径が10mm以下
の微細な気泡を溶融金属中に生成させることは困難であ
る。
【0007】特開昭62−192240号公報に開示さ
れている方法においては、生成した気泡は螺旋状の経路
をたどるとはいえ、バブリングランスの周囲を上昇して
速やかに溶鋼表面に到達し、そこで消滅するため、気泡
を溶融金属中に広く分散させることが困難である。した
がって、気泡により介在物を捕捉する頻度が小さくな
り、介在物を浮上除去する効果が小さくなる。
【0008】本発明の目的は、溶融金属中の介在物除
去、脱ガス反応およびスラグメタル反応等を促進させる
ことができる溶融金属の精錬方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、溶融金属
中に微細気泡を生成させる方法を検討するため、以下の
水モデル試験を行った。
【0010】溶融金属を模した水を入れた容器の内壁に
形成したノズルからガスを吹き込み、水の流動状態とガ
スの吹き込み方向とを種々変更して、気泡の形成および
移動挙動を調査した。同水モデル試験においては、溶融
金属と耐火物との濡れ性の悪さを近似させるため、容器
の内面には撥水材を塗布した。
【0011】図1は、溶融金属を模した水が入った容器
の底面もしくは側面から、水中にガスを吹き込んだ状態
を示す概念図であり、図1(a) は、静止した水に容器底
面からガスを吹き込んだ状態、図1(b) は、水平方向に
流れる水に容器底面からガスを吹き込んだ状態、図1
(c) は、下方向に流れる水に容器側面からガスを吹き込
んだ状態をそれぞれ示す。
【0012】図1(a) に示すように、静止した水に容器
底面からガスを吹き込んだ場合には、水中に分散された
気泡は比較的大きな径を有していた。この理由は、離脱
前の成長過程の気泡に加わる力は表面張力と浮力のみで
あって、気泡の成長により浮力が表面張力を上回った時
点ではじめて気泡がノズルから離脱するためである。
【0013】これに対し、図1(b) に示すように、水平
方向に流れる水に容器底面からガスを吹き込んだ場合に
は、水中に分散された気泡は、図1(a) の場合よりも小
さな径を有していた。この理由は、気泡には浮力だけで
なく、水流によるせん断力も加わるので、ノズルからの
気泡の離脱が促進され、図1(a) の場合よりも早い段階
で気泡が離脱するためであると考えられる。
【0014】図1(c) に示すように、下方向に流れる水
に容器側面からガスを吹き込んだ場合は、気泡は図1
(b) の場合と同等の小さな径を有しており、図1(b) の
場合よりも長時間気泡が水中に滞留した。この理由は、
図1(b) の場合と同様に、水流により、ノズルからの気
泡の離脱が促進されるため気泡径が小さくなり、さら
に、気泡はいったん下方に押し流され、下降流の影響を
受けない領域に至ったときにはじめて浮上するためであ
る。
【0015】以上より、溶融金属中に微細な気泡を生成
させ、溶融金属内に長期間滞留させるには、図1(c) に
示す方法が有効であるとの知見を得た。次に、本発明者
らは、図1(c) に示す方法によって生成させた微細な気
泡を溶融金属中に広く分散させることができる実用的で
簡便な方法を確立すべく検討を行った。その結果、溶融
金属浴に浸漬管を浸漬させ、浸漬管の内部を減圧して溶
融金属を吸引させ、次いで、浸漬管の内部を加圧して吸
引した溶融金属を吐出させることにより、浸漬管の内部
に下方向の溶融金属の流れを形成させるとともに、この
下降流中にガスを吹き込む方法を想到した。そして、以
下の水モデル試験を行った。
【0016】図2は、水モデル試験装置の一例を示す模
式図である。同図に示すように、水モデル試験装置は、
取鍋を模した容器2に溶融金属を模した水3が入れら
れ、溶融金属浴を模した水浴が形成されており、浸漬管
1が水浴に浸漬されている。浸漬管1の下部は水浴中に
開口し、上部は閉じた減圧空間となっており、この減圧
空間は減圧バルブ6を介して図示しない減圧設備に、加
圧バルブ7を介して図示しない加圧設備に、それぞれ接
続されている。また、浸漬管1の内部の圧力は、圧力計
8によって検出され、これにより浸漬管1の内部の圧力
変化速度も求めることができる。浸漬管1の下端近傍の
内面には、ガス吹き込み口4が設けられている。この水
モデル試験装置のガス吹き込み口4は、浸漬管内壁の円
周上に90°おきに4箇所配設されている。
【0017】試験方法は以下のとおりである。まず、減
圧バルブ6を開、加圧バルブ7を閉として、浸漬管1の
内部の圧力を減圧し、容器2の中の水3を浸漬管1の内
部に吸引させた。以下、この工程を「減圧工程」ともい
う。次いで、減圧バルブ6を閉、加圧バルブ7を開とし
て、浸漬管1の内部の圧力を加圧し、先の工程で浸漬管
1の内部に吸引させた水3を再び容器2の中へ吐出させ
た。以下、この工程を「加圧工程」ともいう。加圧工程
において、ガス吹き込み口4からガスを吹き込んだ。
【0018】加圧工程においては、浸漬管の内部に下方
向の水流が形成される。この水流中にガスを吹き込むこ
とにより、微細な気泡5が形成されるとともに、気泡が
浸漬管から吐出される水流に随伴し、水浴中に広く分散
されることを確認した。
【0019】次に、本発明者らは、実際の溶融金属につ
いて微細な気泡を生成させる諸条件を検討すべく、溶融
金属として溶鋼を用いた小規模試験を行った。本発明の
目的は、脱りんや脱硫などのスラグメタル反応、脱窒素
や脱水素などの脱ガス反応および溶融金属中の介在物の
浮上分離を効率的に行おうとするものであるが、微細気
泡を利用する点では同一構成となる。したがって、以下
では溶鋼中の介在物を浮上させ除去する場合を例に説明
する。
【0020】試験装置は、図2に示す水モデル試験機と
同様の基本構成を備える溶鋼量1000kgの小型試験
機を用いた。取鍋の内径が0.5mの溶鋼浴に内径0.
2mの浸漬管を浸漬させ、浸漬管の内部を減圧して溶鋼
を吸引させる減圧工程と、浸漬管の内部を加圧して吸引
した溶鋼を吐出させる加圧工程とを順次繰返し、前記加
圧工程では浸漬管の下部(開口端から上方に0.03m
の部位)に設けたガス吹き込み口からArガスを吹き込
んだ。溶鋼の吸引高さは0.2mとした。減圧工程と加
圧工程とによる1サイクルあたりの時間を2sとし、5
分間処理した。
【0021】種々の条件で試験を行い、気泡の径、気泡
の分散状況および介在物除去能力について評価を行っ
た。気泡の径と分散状況については、溶鋼を用いた試験
では浴内の観察ができないため、溶鋼表面に浮上してき
た気泡をビデオカメラで撮影し、画像処理を行うことに
より評価した。また、介在物除去能力は、介在物濃度の
指標として全酸素濃度(以下、T.[O](ppm)とも
いう)を用いた介在物除去率ηで評価した。すなわち、
ηは下記式で表される。
【0022】η=[(処理前T.[O])−(処理後T.[O])]
/(処理前T.[O]) 図3は、加圧工程における浸漬管内部の圧力変化速度と
平均気泡径dBとの関係を示すグラフである。ここで、
圧力変化速度とは、加圧工程における圧力変化速度の最
大値である。
【0023】同図に示すように、圧力変化速度が100
kPa/s以上になると平均気泡径dBは著しく小さく
なる。したがって、溶鋼中に微細な気泡を生成させるた
めには、圧力変化速度を100kPa/s以上とするの
が好ましい。より微細な気泡を安定して生成させるに
は、150kPa/s以上とすることがさらに好まし
い。気泡の分散性の観点からは、上限は特に限定されな
いが、圧力変化速度が過大である場合には溶鋼のスプラ
ッシュが発生するおそれがあるので、1500kPa/
s以下とするのが好ましい。
【0024】次いで、発明者らは、吹き込みガス流量Q
と浸漬管の内径Diが、生成する気泡の径および分散へ
及ぼす影響について検討した。図4は吹き込みガス流量
と浸漬管の内径との比Q/Di(m2/s)と、気泡の平
均径dB(mm)との関係を示すグラフである。ここ
で、Qは1つの浸漬管において溶鋼中へ吹き込むArガ
スの流量(m3(標準状態)/s)であり、Diは浸漬管
の内径(m)である。なお、以下の説明では、特に断ら
ない限り、ガス容積は標準状態をいうものとする。
【0025】同図の破線で示すように、内径Diが一定
のストレート型浸漬管において、平均気泡径dBは、比
Q/Diでほぼ一意的に決定され、比Q/Diの増加にと
もない大きくなる。実線のグラフ(末広がり型)につい
ては後述する。
【0026】図5は、介在物除去率ηと比Q/Diとの
関係を示すグラフである。同図に示すように、介在物除
去率ηは比Q/Diに対して上向きに凸の曲線を描き、
比Q/Diが6.7×10-5(m2/s)以上、6.7×
10-4(m2/s)以下の範囲で、介在物除去率ηが
0.7以上という高い値を示す。この理由は以下のよう
に考えられる。
【0027】比Q/Diが6.7×10-5(m2/s)よ
りも小さい場合には、気泡径は十分に小さいものの、気
泡の絶対数が少ないために、気泡が溶鋼中に広く分散さ
れたとしても捕捉できる介在物の個数が限られる。一
方、比Q/Diが6.7×10- 4(m2/s)より大きい
場合には、気泡径が過大となり、気泡は急速に浮上し、
気泡の表面積も少なくなるため、介在物と気泡とが接触
するチャンスが少なくなって、精錬効率が低下する。し
たがって、介在物の除去を高い効率で行うためには、下
記(1)式を満足することが好ましい。
【0028】 6.7×10-5≦Q/Di≦6.7×10-4 …(1) さらに好ましくは1.3×10-4(m2/s)以上6.
0×10-4(m2/s)以下である。
【0029】上記の数値は浸漬管の横断面形状が円形の
場合についてのものであるが、吹き込まれた気泡群が浸
漬管内壁に沿って吐出されることを考慮し、かつ横断面
形状が、例えば楕円形や多角形である場合や、横断面が
浸漬管の高さ方向に一定でない場合を考慮すれば、前記
iのかわりに、ガス吹き込み口を通る横断面での内周
長さLi(πDi)を基準とするのが合理的である。ここ
で、横断面とは、溶融金属面に平行な面(水平面)を意
味する。
【0030】したがって、上記の関係は、下記(2)式
を満足することが好ましい。 2.1×10-5≦Q/Li≦2.1×10-4 …(2) さらに好ましくは、Q/Liは、4.1×10-5(m2
s)以上、1.9×10-4(m2/s)以下であると記
述できる。
【0031】なお、複数のガス吹き込み口が同一の横断
面にないときは、DiまたはLiは、それぞれのガス吹き
込み口高さの横断面での内径または内周長さの平均値と
すればよい。
【0032】本発明者らは、取鍋内の溶鋼に上述の精錬
方法を適用する場合、浸漬管の内径Diの好適範囲につ
いて、気泡の分散性の観点からさらに検討を加えた。な
お、本検討においては、比Q/Diを上記好適範囲内の
2.2×10-4(m2/s)で一定とした。
【0033】図6は、介在物除去率ηと比Di/dLの関
係を示すグラフである。ここで、d Lは取鍋の内径
(m)である。同図に示すように、比Di/dLが0.1
以上0.7以下の範囲で、介在物除去率ηが0.7以上
という高い値を示す。この理由は以下のように考えられ
る。
【0034】図7は、気泡の分散状況を示す模式図であ
る。同図において、減圧工程では減圧バルブ16を開、
加圧バルブ17を閉とし、加圧工程では減圧バルブ16
を閉、加圧バルブを開として、加圧工程で下降流を発生
させる。加圧工程では、同時にガス吹き込み口14から
ガスを吹き込む。符号18は浸漬管内の圧力を測定する
圧力計である。矢印線I〜IIIは溶鋼の流れを示す。
【0035】同図に示すように、加圧工程において浸漬
管11から吐出される溶鋼13は、下降する溶鋼流Iを
形成し、溶鋼流Iは取鍋12の底面に到達した後に水平
な溶鋼流IIとなり、最終的に取鍋12の内壁を伝わる上
昇流の溶鋼流IIIとなる。これら溶鋼流I〜IIIにより、
ガス吹き込み口14から吹き込まれ、微細化した気泡
は、図中網掛で示す領域を通過するように分散される。
【0036】溶鋼流Iの流速が小さいと、前述のように
気泡径が大きくなるほか、溶鋼流IIの形成が不十分にな
り、気泡の分散が不十分となって介在物捕捉能力が低下
する。 また、ランス等を用いる場合、ガス吹き込み口
が浸漬管内の中央部付近にあると、気泡は溶鋼流IIに沿
う流れにのりにくく、減圧工程では再度浸漬管の直下で
浮上し、そこで合体するため介在物捕捉能力が低下す
る。そのため、ガス吹き込み口は浸漬管の内壁面に設け
るのが望ましい。
【0037】浸漬管11の内径Diが取鍋12の内径dL
に比して過大である場合には、気泡が通過する領域が小
さくなるため介在物除去率が低下する。また、浸漬管1
1の内径Diが取鍋12の内径dLに比して過小である場
合には、前記のQ/DiまたはQ/Liの上限規定のため
Qを小さくせざるを得ず、気泡の絶対数が過少となっ
て、介在物除去率が低下する。
【0038】したがって、介在物の除去を高い効率で行
うためには、比Di/dLを0.1以上0.7以下とする
ことが好ましい。さらに好ましくは0.2以上0.5以
下である。なお、上記説明では、浸漬管の断面が円形の
場合を想定しているが、浸漬管が非円形の場合(方位に
よってDiが異なる場合)、上記の好適範囲の設定理由
から考えて、Di/dLの上限はDiの最大値をもって設
定し、Di/dLの下限はDiの最小値をもって設定する
のがよい。
【0039】ところで、実際のプロセスで溶鋼の精錬に
上述した精錬方法を適用することを考えると、設備コス
トの面からは浸漬管の径Diは小さい方が望ましく、一
方、生成気泡の個数を多くするためには吹き込みガス流
量Qは大きい方が望ましい。しかしながら、図4の破線
の関係からすると、浸漬管の内径Di(または浸漬管の
内周長さLi)を小さくすること、またはQを大きくす
ることは、いずれも気泡の平均径dBを大きくする要因
となる。
【0040】よって、本発明により、設備的なコストを
押さえつつ、溶鋼中に微細気泡を十分に供給するにはさ
らに改善が必要である。本発明者らは、水モデル試験装
置にて実験を繰返した結果、図4の実線に示すように、
浸漬管形状を末広がりとするのが有効であることを想到
した。以下に末広がり型が微細気泡を効果的に発生させ
る理由を説明する。
【0041】図8は、浸漬管の種々の形状を示す模式図
であり、図8(a) はストレート型、図8(b) は末広がり
型、図8(c) は広がりの大きい末広がり型である。図8
(a) に示すストレート型において、浸漬管内では、気泡
は溶融金属の下降流に沿って下降する。浸漬管から出た
後、気泡は図7に示すように、溶融金属の吐出流に沿っ
て下降し、容器の底面近くまで到達した後、下降流が転
じて生じる上昇流に随伴して分散する。しかし、下降の
段階では気泡群が高い密度で存在するため、分散前に気
泡同士が合体することがあり、結果的に平均気泡径dB
は大きくなる。
【0042】これに対し、図8(b) のように浸漬管が末
広がり型の場合、吐出流も同じく末広がりとなるため、
ストレート型と比べて下降中の気泡の合体が抑制され、
平均気泡径dBは小さくなる。
【0043】一方、図8(c) のように、浸漬管の末広が
りの程度をさらに大きくした場合、ストレート型の場合
よりもかえって介在物除去効率が低下する。 この理由
は、浸漬管内の液面の下降速度が一定であっても、末広
がりの程度が大きいほど、浸漬管内のガス吹き込み口付
近の下降流速が低下するため、前記気泡に対するせん断
力が低下すると共に、容器の底面にまで気泡が到達する
ことが困難となり、液中での気泡の滞在時間が低下する
からであると考えられる。
【0044】次に、本発明者らは、実際の溶融金属の精
錬方法を確立すべく、溶融金属として溶鋼を用いた小規
模試験を行って末広がり型浸漬管の特性について検討を
行った。
【0045】ここで、図8(b) に示すように浸漬管の縦
断面における内壁面が管の軸となす角度をθとし、浸漬
管の末広がりの指標として用いることにする。試験装置
としては、図2に示す水モデル試験装置と同様の基本構
成を備える溶鋼量1000kgの小型試験機を用いた。
取鍋内径が0.5mの溶鋼浴に吹き込み口部での内径が
0.2m、θが7°の浸漬管を浸漬させ、浸漬管の内部
を減圧して浸漬管内部に溶鋼を吸引させる減圧工程と、
浸漬管の内部を加圧して吸引した溶鋼を吐出させる加圧
工程とを順次繰返し行うとともに、前記加圧工程におい
て、浸漬管の下端開口部から上方に0.03mの内面に
設けたガス吹き込み口から、Arガスを吹き込んだ。こ
のArガスの流量Qを変え、流量Qと気泡の平均径との
関係を調査した。減圧工程における溶鋼の吸引高さ(取
鍋内溶鋼の浴面からの高さ)は約0.2mとし、加圧工
程における管内の圧力変化速度は約200kPa/sと
した。減圧工程と加圧工程とによる1サイクルあたりの
時間は2秒として、5分間処理を行った。
【0046】試験の結果を図4の実線に示す。同図に示
すように、破線(ストレート型)と比較して、末広がり
型においても、Q/Diに対して、気泡径dBは単調増加
の関係にあるが、全体に気泡の平均径は小さくなってい
る。なお、Diは、吹き込み部位における内径とした。
【0047】次いで、末広がりの適正範囲についての検
討を行った。溶鋼浴、浸漬管の基本寸法、溶鋼量、溶鋼
の吸引高さ、圧力変化速度、処理サイクルは上記試験と
同様とし、Arガスは2.0l/minの流量とした。
浸漬管の広がりの指標であるθを0°(ストレート型)
〜20°とした条件で試験を行い、気泡の径、気泡の分
散状況および介在物除去率について評価を行った。気泡
の径と分散状況については、前述の試験と同様、溶鋼表
面に浮上してきた気泡をビデオカメラで撮影し、画像処
理を行うことにより評価し、介在物除去能力は、全酸素
濃度を用いた介在物除去率ηで評価した。
【0048】図9は、浸漬管の末広がり角θ(°)と平
均気泡径dB(mm)との関係を示すグラフである。同
図に示すように、dBは、θが約3°までは単調に減少
し、3°から10°まではほぼ一定、10°以上では単
調に増加する。そして、θが15°を超えると、θが0
の場合よりもdBは大きくなる。したがって、溶鋼中に
微細な気泡を生成させるためには、θを15°以下とす
るのが望ましい。
【0049】図10は、浸漬管の末広がり角θ(°)と
介在物除去率ηとの関係を示すグラフである。同図に示
すように、介在物除去率ηはθに対して上向きに凸の曲
線を描き、θが約3°までは増加し、3°から10°ま
ではほぼ一定、10°以上では減少する。θが15°を
超えると、θが0°つまりストレート型浸漬管の場合よ
りもηは小さくなる。これは図9に示した平均気泡径d
Bの小ささと対応している。気泡径が小さいほど、(a)
介在物と接触した際、介在物の捕捉確率が高く、(b) 浴
内に滞留する時間が長く、さらには、本実験は吹き込み
Arの流量を一定としているので、(c) 気泡の絶対数も
多い、ことになる。前記(a) 〜(c) の効果により、dB
が小さいほどηが大きくなると考えられる。
【0050】したがって、末広がり型浸漬管において介
在物の除去を高い効率で行うためには、θを15°以下
とすることが好ましく、さらに好ましくは、3°以上、
10°以下とするのがよい。
【0051】上記のθの範囲は、浸漬管の末広がり形状
を円錐形とした場合について適用されるが、浸漬管の横
断面形状が非円形の場合、末広がり形状を横断面の周長
さの増加率で表すのがよい。すなわち、(1) 式のガス吹
き込み量Qとガス吹き込み部位の内周長さの関係を表す
条件と同様、気泡群が浸漬管内壁に沿って吐出されるこ
とを考慮し、末広がり形状を内周長さLiの増加率(浸
漬管の下方に向かって高さ方向の単位長さあたり内周長
さ増加量=πtanθ)で表すのが合理的である。
【0052】したがって、上記のθの範囲を、内周長さ
iの増加率で表すと、「末広がりの横断面の周長さ増
加率fは、単位長さあたり、0.84以下とすることが
好ましく、さらに好ましくは、0.16以上、0.55
以下とするのがよい」、と記述できる。
【0053】本発明は、上記検討結果を基に完成させた
ものであり、その要旨は以下の(1) 〜(5)項に記
載の溶融金属の精錬方法にある。 (1)溶融金属浴に浸漬管を浸漬し、浸漬管内を減圧し
て溶融金属を吸引する減圧工程と、浸漬管内を加圧して
溶融金属を吐出する加圧工程とを含み、少なくとも加圧
工程において、浸漬管内溶融金属中にあるガス吹き込み
口からガスを吹き込むことを特徴とする溶融金属の精錬
方法。
【0054】(2)前記ガス吹き込み口の設置部位より
下方で、浸漬管の横断面の内径または内周長さが下方に
向けて順次長くなることを特徴とする上記(1)に記載
の溶融金属の精錬方法。
【0055】(3)前記ガス吹き込み口が浸漬管内壁の
周方向に1つ以上配設されていることを特徴とする上記
(1)または(2)に記載の溶融金属の精錬方法。
【0056】(4)前記加圧工程において、前記ガス吹
き込み口におけるガスの流量Q(m 3(標準状態)/
s)と、前記ガス吹き込み口の設置部位おける浸漬管の
横断面の内径Di(m)とが、下記(1) 式の条件を満
足することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか
に記載の溶融金属の精錬方法。
【0057】 6.7×10-5≦Q/Di≦6.7×10-4 …(1) (5)前記加圧工程において、前記ガス吹き込み口にお
けるガスの流量Q(m3(標準状態)/s)と、前記ガ
ス吹き込み口の設置部位おける浸漬管の横断面の内周長
さLi(m)とが、下記(2)式の条件を満足すること
を特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の溶
融金属の精錬方法。
【0058】 2.1×10-5≦Q/Li≦2.1×10-4 …(2) 本発明の「減圧工程」、「加圧工程」等にいう「減
圧」、「加圧」とは大気圧に対しての意味に限定される
ものではない。ある基準状態からの「減圧」、「加圧」
であって、浸漬管内の溶鋼の「減圧」による上昇および
「加圧」による下降を実現させる管内の圧力変化を意味
する。
【0059】本発明の「浸漬管内」とは、浸漬管を溶融
金属中に浸漬したとき外気と遮断される浸漬管の内部空
間をいい、「浸漬管内の溶融金属中にガスを吹き込む」
とは、この「浸漬管内」空間にある溶融金属中にガスを
吹き込むことをいう。例えば、溶融金属と接する浸漬管
の内壁面にガス吹き込み口を設け、ガスを吹き込むよう
にしてもよい。また、浸漬管内の溶融金属にバブリング
ランスを浸漬させ、該バブリングランスからガスを吹き
込むようにしてもよい。バブリングランスを用いる場
合、ガスの吹き込み位置は浸漬管の内壁面近傍とするの
が望ましい。設備の複雑化を避けて設備コストを抑制す
る観点からは、浸漬管の内壁面にガス吹き込み口を設け
ることが好ましい。
【0060】本発明の「浸漬管の横断面の内周長さ」と
は、浸漬管の水平断面において、浸漬管内の輪郭線の長
さをいう。また、「浸漬管の横断面の内周長さが下方に
向けて順次長くなる」とは、本発明における浸漬管が下
方ほど広がっている「末広がり」形状を一般化して表現
するものである。
【0061】
【発明の実施の形態】図11は、本発明の方法を用い
て、取鍋内の溶鋼を精錬する場合の装置構成の一例を示
す模式図であり、同図(a) はストレート型浸漬管の場
合、同図(b) は末広がり型浸漬管の場合をそれぞれ示
す。同図(a) および(b) に示すように、取鍋12に溶鋼
13が入れられ溶鋼浴が形成されており、下方が開口さ
れ上方が閉塞された浸漬管11が昇降可能に備え付けら
れている。同図(a) および(b) のいずれも、浸漬管11
が溶鋼浴に浸漬されている状態を示す。浸漬管11の上
部は、減圧バルブ16を介して図示しない減圧設備に、
加圧バルブ17を介して図示しない加圧設備に、それぞ
れ接続されている。
【0062】減圧設備とは、ポンプあるいはスチームエ
ジェクター等の排気機能を有する設備であるが、精密な
制御が必要な場合や前記排気設備の能力が低い場合等に
は、前記排気設備と減圧バルブ16の間に減圧室を設け
てもよい。この場合、減圧室とは浸漬管の内部の容積に
比べて十分に大きな容積を有し、予め内部の圧力が減圧
されており、減圧バルブ16を開とすることにより、浸
漬管の内部が速やかに減圧されるようにしたものであ
る。
【0063】また、加圧設備とは、高圧ガスを迅速に供
給することが可能な設備であり、一般に、高圧ガスを保
有するタンク、タンク出口の圧力調整器、加圧バルブの
すぐ上流の圧力調整器、および配管で構成されている。
加圧バルブのすぐ上流の圧力調整器により圧力変化速度
をコントロールすることが可能である。また、この圧力
調整器の下流に流量可変弁を置き、この開度により加圧
工程の圧力変化速度をコントロールすることも可能であ
る。
【0064】浸漬管11の内部の圧力は、圧力計18に
よって検出され、これにより圧力変化速度を求めること
ができる。本発明における加圧工程の圧力変化速度は、
その最大値で管理するのがよい。加圧工程の時間は短い
ため、圧力変化速度が一定値となる期間は極めて短いこ
とと、微小気泡を生成する条件としては、最大圧力変化
速度の影響が大きいことのためである。
【0065】浸漬管11の下端開口部から上方0.01
〜0.5m程度の部位で、浸漬管耐火物の内部に埋め込
まれたステンレス製のパイプが浸漬管内面に開口してお
り、Arガスを溶鋼中に吹き込むためのガス吹き込み口
14を形成している。ガス吹き込み口14の設置部位
は、浸漬管の下端開口部に近いほど、加圧工程において
ガス吹き込み口が溶鋼流と接する時間を長くすることが
可能であり、1サイクルあたりの効率が向上するが、過
度に下端開口部に近いと気泡を含んだ溶鋼流が下方に加
速されず、気泡が取鍋の底面近傍に到達できない。浸漬
管を傾斜させる場合や、浸漬管の開口部形状が水平でな
い場合を考慮すると、前記複数のガス吹き込み口は、加
圧工程での溶融金属面と平行な面上に配置され、もっと
も開口部に近い吹き込み口でも、開口部から鉛直方向
に、少なくとも0.01m程度離れていることが望まし
く、好ましくは0.03m程度離れていることが望まし
い。
【0066】一方、0.5mを超えて離れていると次の
問題がある。加圧工程直前の浴面の位置(減圧工程にお
ける浴面の最終到達位置)は、このガス吹き込み口に対
し、浴面低下速度に応じて高くする必要がある。なぜな
ら、加圧工程における浴面の下降速度は、吹き込み口か
ら離れた気泡の下降速度よりも大きく、加圧工程直前で
の浴面の高さが不十分であると、下降する気泡に浴面が
おいついてしまい、気泡が浸漬管内で浮上してしまうお
それがある.この観点から吹き込み口の開口部からの距
離は0.5m以下であることが望ましい。
【0067】ガス吹き込み口14の先端に、ポーラスプ
ラグまたはポーラスれんがを設けてもよい。ガス吹き込
み口14は、浸漬管11内の1箇所に設けてもよいが、
内壁の周囲に複数箇所設けるのが望ましい。すなわち、
1つの吹き込み口からのガス量は少ない方が微細な気泡
を形成できるからである。ガス吹き込み口が複数の場合
の極端な例は、ポーラスれんがを浸漬管内周に連続的
に、あるいは全周に配置した場合である。この場合は、
ガス吹き込み口の数は無限に多数存在することになる。
ただし、溶融金属とポーラスれんがの濡れ性、溶融金属
の粘性、流速等の条件によってはポーラスプラグまたは
ポーラスれんがの表面で微細気泡が合体成長して、期待
したほどの微細化効果が得られないこともある。
【0068】本発明においては、少なくとも加圧工程で
ガスを吹き込むが、それ以外のとき、例えば、減圧工程
でのガス吹き込みを妨げるものではない。例えば、ガス
吹き込み口の閉塞を防止するため、減圧工程で少量また
は加圧工程と同量のガス吹き込みを行ってもよい。
【0069】図12は本発明に係る末広がり型浸漬管の
他の一例を示す模式図である。同図において、図11
(a) または(b) と同一要素は同一符号で示す。同図の浸
漬管11に示すように、末広がり型の形状は、必ずしも
浸漬管の全高にわたって、末広がりとなっている必要は
なく、少なくともガス吹き込み口の部位より下方で末広
がりとなっているのが望ましい。その理由は、浸漬管を
出た後、気泡を含んだ溶鋼流が末広がりとなればよいの
であって、ガス吹き込み口の上方では必ずしも末広がり
である必要はないからである。
【0070】ただし、ガス吹き込み口〜下端開口部間の
距離が短かいと、末広がり流が十分形成されないため、
このような場合には、ある程度ガス吹き込み口の上方か
ら末広がりとするのがよい。一方、ガス吹き込み口〜下
端開口部間の距離が十分あって、浸漬管からの吐出流が
拡大流となる程度の末広がり部分が確保できる場合、ガ
ス吹き込み口から下方に若干の距離(0.01〜0.0
5m程度)の非末広がり部分があってもよい。
【0071】本発明の方法は、図11(a) または(b) に
示す装置を用いて例えば、次のように実施することがで
きる。まず、減圧バルブ16を開、加圧バルブ17を閉
として、浸漬管11の内部の圧力を減圧し、取鍋12の
中の溶鋼13を浸漬管11の内部に吸引させる(減圧工
程)。次いで、減圧バルブ16を閉、加圧バルブ17を
開として、浸漬管11の内部の圧力を加圧し、先の工程
で浸漬管11の内部に吸引させた溶鋼13を再び取鍋1
2の中ヘ吐出させる(加圧工程)。加圧工程において、
ガス吹き込み口14からArガスを吹き込む。減圧工程
と加圧工程とで1回の操作となるが、このサイクルを順
次繰返して行うことが望ましい。
【0072】これによって、溶鋼浴中に微細なArガス
気泡15を断続的に生成することができる。また、加圧
工程において浸漬管11から吐出される溶鋼は下降流を
形成し、取鍋12の底面に到達した後に水平流となり、
最終的に取鍋12の内壁を伝わる上昇流となる。これら
の溶鋼流の作用により、微細なArガス気泡15は溶鋼
浴中に広く分散され、効率的に介在物を除去することが
できる。浸漬管が末広がり型の場合、気泡15は下降中
に合体しにくくなり、ストレート型よりも一層効率的に
介在物を除去することができる。
【0073】図13は本発明の方法を連続鋳造のタンデ
ィッシュに適用した場合の模式図である。同図におい
て、図11または図12と同一要素は同一符号で示す。
同図に示すように、本発明は、連続鋳造設備のタンディ
ッシュにも適用することができる。同図は、浸漬管が末
広がり型の場合を示すが、ストレート型であってもよ
い。浸漬管11の寸法とタンディッシュ19の寸法との
関係も、前記の浸漬管と取鍋の関係と同様の考え方が成
立する。
【0074】すなわち、一般にタンディッシュの内部は
略長方形の平面形状を有するが、タンディッシュ内の気
泡の通過領域が制約される範囲は、長辺方向よりも短辺
方向の方が顕著となる。したがって、高い効率で介在物
の除去を行うには、タンディッシュの短辺方向の内法長
さをdT(m)、浸漬管のタンディッシュ短辺方向の内
径をDsi(m)とすると、比Dsi/dTを0.1以上
0.7以下とすることが好ましい。さらに好ましくは
0.2以上0.5以下である。ここで、浸漬管の横断面
形状が円形でない場合、Dsiは浸漬管のガス吹き込み口
部位における横断面をタンディッシュ短辺方向に切断し
たとき、切断径の最大値とする。
【0075】図14は、連続鋳造におけるタンディッシ
ュ内の溶鋼に2つの浸漬管を用いて本発明を適用する場
合の装置の一例を示す模式図である。同図も、図13と
同様浸漬管が末広がり型の場合を示しているが、ストレ
ート型であってもよい。
【0076】同図に示すように、タンディッシュ19に
取鍋12から連続的に注入される溶鋼13が入れられた
溶鋼浴が形成されており、浸漬管11aおよび11bが
昇降可能に備え付けられている。同図は、浸漬管11a
および11bが溶鋼浴に浸漬されている状態を示す。浸
漬管11aおよび11bの上部は、減圧バルブ16aま
たは16bを介して図示しない減圧設備に、加圧バルブ
17aまたは17bを介して図示しない加圧設備に、そ
れぞれ接続されている。
【0077】浸漬管11aおよび11bの内部の圧力
は、圧力計18aおよび18bによって検出され、これ
により浸漬管11aおよび18bの内部の圧力変化速度
を求めることができる。浸漬管11aおよび11bの下
端開口部から上方の部位で、浸漬管耐火物の内部に埋め
込まれたステンレス製のパイプが浸漬管内面に開口して
おり、Arガスを溶鋼中に吹き込むためのガス吹き込み
口14aまたは14bを形成している。
【0078】図14に示す装置の浸漬管11aまたは1
1bそれぞれの減圧工程、加圧工程は、取鍋における精
錬と同様に実施できる。図13に示す装置のように、浸
漬管が1つの場合、減圧工程と加圧工程によって、タン
ディッシュ内の溶鋼レベルが変動する。しかし、図14
に示す装置構成の場合、それぞれ浸漬管11aおよび1
1bの加圧工程と減圧工程をサイクルを反転して同期さ
せることにより、溶鋼レベルの変動を最小限にすること
ができる。ただし、2つの浸漬管の距離が接近している
場合、一方の浸漬管から吐出された微細気泡を含んだ溶
鋼の一部分が、他方の浸漬管に吸引される可能性がある
ので、例えば、タンディッシュ内に下堰20を設けて相
互の浸漬管の干渉を防止してもよい。
【0079】取鍋精錬の場合も、上記タンディッシュ精
錬のように、2つまたはそれ以上の浸漬管を用い、減圧
工程と加圧工程のサイクルをずらせて操業することによ
り、溶鋼浴の変動を小さくすることができる。
【0080】浸漬管を複数用いる他の利点として、溶融
金属を収容する容器の容量が大きい場合には、気泡の分
散性を高めて介在物除去時間を短縮することである。連
続鋳造の場合、タンディッシュ内の溶鋼滞留時間が限ら
れているため、高能率で精錬をする必要があるが、複数
の浸漬管を用いることにより高能率処理を実現できる。
【0081】また、一般に浸漬管は溶融金属の熱による
損傷を抑制するために耐火物を表面に備えるが、浸漬管
の径が大きい場合には耐火物に亀裂が入り易くなるの
で、これを抑制するために浸漬管の大径化に替えて浸漬
管の数を増やすことも有効である。
【0082】上記の説明では、溶融金属浴中に浸漬管を
ほぼ鉛直に浸漬する場合を例示したが、本発明はこれに
限られるものではない。装置の取り合い上、溶融金属浴
中に浸漬管を傾斜させて浸漬させることも可能である。
この場合、気泡の分散性の観点から、取鍋内の溶融金属
に対して、取鍋の中心から偏心した位置に浸漬管を配置
することが好ましく、タンディッシュ内の溶融金属に対
しては、タンディッシュの長手方向に傾斜させることが
好ましい。また、浸漬管を傾斜させることによって、気
泡の移動経路も傾斜するので気泡の滞留時間を長くする
ことができる。
【0083】浸漬管の横断面形状としては、浸漬管の表
層部を構成する耐火物の施工の観点から円形であること
が好ましいが、楕円もしくは多角形とすることもでき
る。上記の説明では、主に溶融金属が溶鋼である場合を
例示したが、本発明は溶鋼の精錬に限られるものではな
い。例えば、Al、Cuなどの製造工程に介在物を除去
するプロセスを必要とする溶融金属についても本発明の
精錬方法を適用することができる。
【0084】また、上記の説明では、溶融金属中に吹き
込むガスがArである場合を例示したが、本発明はこれ
に限られるものではない。ガスの種類は対象とする溶融
金属と精錬の目的に応じて適宜選定することができる。
ガスの種類としては、例えば、Ar、N2、H2、Heな
どのガス、またはこれらを2種以上混合させた混合ガス
を用いることができる。例えば、溶融金属への溶解が製
品の品質に悪影響を及ぼすガスについて、当該ガスに替
えて他のガスを用いたり、他のガスとの混合ガスを用い
たりすることが挙げられる。また、別の手法としてガス
の流量を抑制するなどの方法もある。
【0085】
【実施例】図11(a) に示すストレート型浸漬管を用い
た基本構成を有する装置、および同図(b) の末広がり型
浸漬管を用いた基本構成を有する装置を用いて、Al脱
酸を行った300トンの溶鋼に対して介在物を除去する
精錬を行った。試験に用いた装置において、浸漬管内壁
の、下端開口部から0.05mの部位の周方向に等間隔
をなすようにして内径2mmのステンレス製のパイプを
合計8本埋め込み、ガス吹き込み口とした。取鍋の内径
Lは4.0m、ストレート型および末広がり型浸漬管
のガス吹き込み口部位での内径Diはいずれも0.8m
である。
【0086】溶鋼浴に浸漬管を浸漬させ、浸漬管の内部
を減圧して浸漬管内部に溶鋼を吸引させる減圧工程と、
浸漬管の内部を加圧して吸引した溶鋼を吐出させる加圧
工程とを順次繰返し行うとともに、前記加圧工程におい
て、前記ガス吹き込み口からArガス流量の水準を種々
変更して吹き込んだ。末広がり型の広がり角θについて
も、水準を種々変更した試験を行った。
【0087】減圧工程における溶鋼の吸引高さ(取鍋内
溶鋼の浴面からの高さ)は約0.8mとし、加圧工程に
おける管内の圧力変化速度(最大圧力変化速度)は約2
00kPa/sとした。減圧工程と加圧工程とによる1
サイクルあたりの時間は2秒として、10分間処理を行
った。
【0088】比較のため、取鍋底部に設けたポーラスプ
ラグからArガスを10分間吹き込む処理も行った(こ
れを、バブリング法という)。Arガスの流量は10l
/min(1.7×10-43/s)とした。
【0089】各精錬方法を適用した場合について、精錬
前後における溶鋼の全酸素濃度を測定し、上述した介在
物除去率ηを用いて評価した。結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】表1に示すように、浸漬管を用いた試験番
号1〜8はいずれも従来法のバブリング法と比較して、
高い介在物除去率が得られた。浸漬管がストレート型の
場合、試験番号1はQ/Diが好適範囲よりも小さく、
試験番号4はQ/Diが好適範囲より大きく、試験番号
5は、圧力変化速度が好適範囲より小さいため、それぞ
れ介在物除去率は浸漬管を末広がり型とした場合、スト
レート型の場合よりも、高い介在物除去率が得られた
が、末広がりの程度の大きい試験番号8の場合は、他の
末広がり型の試験番号6、7に比較して介在物除去率が
小さかった。
【0092】
【発明の効果】本発明により、溶融金属中に微細な気泡
を生成させるとともに、該気泡を溶融金属中に広く分散
させることができるので、溶融金属の精錬において効率
的に介在物を除去することができる。あるいは脱ガス促
進、脱りん、脱硫等のスラグメタル反応の促進等が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融金属を模した水が入った容器の底面もしく
は側面から、水中にガスを吹き込んだ状態を示す概念図
であり、図1(a) は、静止した水に容器底面からガスを
吹き込んだ状態、図1(b) は、水平方向に流れる水に容
器底面からガスを吹き込んだ状態、図1(c) は、下方向
に流れる水に容器側面からガスを吹き込んだ状態をそれ
ぞれ示す。
【図2】水モデル試験装置の一例を示す模式図である。
【図3】加圧工程における浸漬管内部の圧力変化速度と
平均気泡径dBとの関係を示すグラフである。
【図4】吹き込みガス流量と浸漬管の内径との比Q/D
i(m2/s)と、気泡の平均径dB(mm)との関係を
示すグラフである。
【図5】介在物除去率ηと比Q/Diとの関係を示すグ
ラフである。
【図6】介在物除去率ηと比Di/dLの関係を示すグラ
フである。
【図7】気泡の分散状況を示す模式図である。
【図8】浸漬管の種々の形状を示す模式図であり、図8
(a) はストレート型、図8(b)は末広がり型、図8(c)
は広がりの大きい末広がり型である。
【図9】浸漬管の末広がり角θ(°)と平均気泡径dB
(mm)との関係を示すグラフである。
【図10】浸漬管の末広がり角θ(°)と介在物除去率
ηとの関係を示すグラフである。
【図11】本発明の方法を用いて、取鍋内の溶鋼を精錬
する場合の装置構成の一例を示す模式図であり、図11
(a) はストレート型浸漬管の場合、図11(b) は末広が
り型浸漬管の場合をそれぞれ示す。
【図12】本発明に係る末広がり型浸漬管の他の一例を
示す模式図である。
【図13】本発明の方法を連続鋳造のタンディッシュに
適用した場合の模式図である。
【図14】連続鋳造におけるタンディッシュ内の溶鋼に
2つの浸漬管を用いて本発明を適用する場合の装置の一
例を示す模式図である。
【符号の説明】
1、11、11a、11b:浸漬管 2:容器 3:水 4、14、14a、14b:ガス吹き込み口 5、15:気泡 6、16、16a、16b:減圧バルブ 7、17、17a、17b:加圧バルブ 8、18、18a、18b:圧力計 12:取鍋 13:溶鋼 19:タンディッシュ 20:下堰
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21C 7/00 C21C 7/00 H (72)発明者 沼田 光裕 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K013 BA03 BA05 BA07 CA02 CA11 CA16 CE05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属浴に浸漬管を浸漬し、浸漬管内
    を減圧して溶融金属を吸引する減圧工程と、浸漬管内を
    加圧して溶融金属を吐出する加圧工程とを含み、少なく
    とも加圧工程において、浸漬管内溶融金属中にあるガス
    吹き込み口からガスを吹き込むことを特徴とする溶融金
    属の精錬方法。
  2. 【請求項2】 前記ガス吹き込み口の設置部位より下方
    で、浸漬管の横断面の内径または内周長さが下方に向け
    て順次長くなることを特徴とする請求項1に記載の溶融
    金属の精錬方法。
  3. 【請求項3】 前記ガス吹き込み口が浸漬管内壁の周方
    向に1つ以上配設されていることを特徴とする請求項1
    または2に記載の溶融金属の精錬方法。
  4. 【請求項4】 前記加圧工程において、前記ガス吹き込
    み口におけるガスの流量Q(m3(標準状態)/s)
    と、前記ガス吹き込み口の設置部位おける浸漬管の横断
    面の内径Di(m)とが、下記(1) 式の条件を満足す
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶
    融金属の精錬方法。 6.7×10-5≦Q/Di≦6.7×10-4 …(1)
  5. 【請求項5】 前記加圧工程において、前記ガス吹き込
    み口におけるガスの流量Q(m3(標準状態)/s)
    と、前記ガス吹き込み口の設置部位おける浸漬管の横断
    面の内周長さLi(m)とが、下記(2)式の条件を満
    足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の溶融金属の精錬方法。 2.1×10-5≦Q/Li≦2.1×10-4 …(2)
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EP3470149A4 (en) * 2016-06-08 2019-04-17 Posco MELT TREATMENT DEVICE AND MELT TREATMENT PROCESS

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