JP4096635B2 - 溶融金属の精錬装置と方法ならびに微細気泡生成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属の精錬方法に関する。特に、本発明は、溶融金属中に微細な気泡を生成させるとともに、該気泡を溶融金属中に広く分散させることにより、効率的に介在物を除去することができる溶融金属の精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、溶融金属中に含まれる介在物の除去方法として、溶融金属中にガスを吹込んで溶融金属中に気泡を生成させ、該気泡により介在物を捕捉して浮上除去する方法が知られている。そして、該気泡をより微細にすることと該気泡を溶融金属中に広く分散させることが、微小介在物を効率よく浮上除去するのに有効であることが知られている。
【0003】
溶融金属中に微細気泡を分散させることにより介在物を効率的に除去することが可能である。しかしながら、溶融金属と耐火物との濡れが悪いため、これを実現するのは困難である。
【0004】
このような観点から、溶融金属の精錬において、溶融金属中に微細な気泡を生成させる方法や気泡を分散させる方法について、これまでいくつか提案されている。
【0005】
特開昭59−125249号公報には、ガスプールと複数個の小径ポーラスプラグもしくは円環状のポーラスれんがとを備えるガス吹き込み装置を用いてガスを吹込む方法が開示されている。
【0006】
また、特開昭59−226129号公報には、多孔性耐火物からなる吹込みプラグを用いた微細気泡の発生方法において、該耐火物の稼働面の単位面積当たりのガス吹込み量を所定量以下としてガスを吹込む方法が開示されている。
【0007】
さらに、特開昭62−192240号公報には、多孔質耐火物で形成されたガス吐出部を先端部に備えるバブリングランスを溶鋼内で回転させながらガスを吹込む方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された方法には以下の問題点がある。
特開昭59−125249号公報および特開昭59−226129号公報に開示されている方法は、多孔質の耐火物を用いて溶鋼へのガスの吹込みを行うものであるが、溶鋼と耐火物との濡れ性が小さいため、各孔から生じた気泡が耐火物表面を覆うように成長し、耐火物の稼動面から離脱する前に容易に合体してしまう。この現象は、特開昭59−125249号公報に開示されているように耐火物の稼働面を広範囲としたり、特開昭59−226129号公報に開示されているようにガス吹込み量を小さくしたりしても変わらない。したがって、上記公報に開示された方法では、例えば直径が10mm以下といった微細な気泡を溶融金属中に生成させることは困難である。
【0009】
特開昭62−192240号公報に開示されている方法は、バブリングランスを回転させながらガスを吹込むので、多孔質耐火物の稼動面からの気泡の離脱が促され、特開昭59−125249号公報および特開昭59−226129号公報に開示されている方法に比べて、微細な気泡を溶融金属中に生成させることができる。しかしながら、生成した気泡はバブリングランスの周囲の上昇流に随伴して速やかに表面に到達して消滅してしまうため、気泡を溶融金属中に広く分散させることが困難である。したがって、気泡により介在物を捕捉する頻度が小さくなり、介在物を浮上除去する効果が小さくなる。
【0010】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑み、溶融金属中に微細な気泡を生成させるとともに、該気泡を溶融金属中に広く分散させることにより、効率的に介在物を除去することができる溶融金属の精錬方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、先ず、溶融金属中に微細な気泡を生成させる方法について検討すべく以下の水モデル試験を行った。
【0012】
溶融金属を模した水を入れた容器の内壁に形成したノズルから水中にガスを吹込み、水の流動状態とガスの吹込み方向とを種々変更して、気泡の形成状態を調査した。ここで、溶融金属と耐火物との濡れ性の悪さを模するために、容器の内面には撥水材を塗布した。
【0013】
図1(a) 〜(c) は、溶融金属を模した水が入った容器の底面もしくは側面から、水中にガスを吹込んだ状態を示す概念図であり、図1(a) は、静止した水に容器底面からガスを吹込んだ状態、図1(b) は、水平方向に流れる水に容器底面からガスを吹込んだ状態、図1(c) は、下方向に流れる水に容器側面からガスを吹込んだ状態をそれぞれ示す。
【0014】
図1(a) に示すように、静止した水に容器底面からガスを吹込んだ場合には、離脱前の成長過程の気泡に加わる力は表面張力と浮力のみであり、気泡の成長により浮力が表面張力を上回った時点で気泡がノズルから離脱するため、水中に分散された気泡は比較的大きな径を有していた。
【0015】
これに対し、図1(b) に示すように、水平方向に流れる水に容器底面からガスを吹込んだ場合には、離脱前の成長過程の気泡に対してさらに水流による剪断力が加わるので、ノズルからの気泡の離脱が促進され、図1(a) の場合よりも早い段階で気泡が離脱する。このため、水中に分散された気泡は、図1(a) の場合よりも小さな径を有していた。
【0016】
さらに、図1(c) に示すように、下方向に流れる水に容器側面からガスを吹込んだ場合には、離脱前の成長過程の気泡に加わる剪断力が、浮力に対して反対方向に作用するため、ノズルからの気泡の離脱がより一層促進され、図1(b) の場合よりも早い段階で気泡が離脱する。このため、水中に分散された気泡は、図1(b) の場合よりもさらに小さな径を有していた。
【0017】
以上より、溶融金属中に微細な気泡を生成させるには、図1(c) に示す機構が有効であるとの知見を得た。
次に、本発明者らは、図1(c) に示す方法によって生成させた微細な気泡を溶融金属中に広く分散させることができる実用的で簡便な方法を確立すべく検討を行った。その結果、溶融金属浴に浸漬管を浸漬させ、浸漬管の内部を減圧して溶融金属を吸引させ、次いで、浸漬管の内部を加圧して吸引した溶融金属を吐出させることにより、浸漬管の内部に下方向の溶融金属の流れを形成させるとともに、浸漬管の内部の溶融金属と接する部位から溶融金属の流れ方向と交差する方向へガスを吹込むこと、例えば浸漬管の先端部の内面に設けたガスの吹込み口からガスを吹込む方法を着想し、そして、以下の水モデル試験を行った。
【0018】
図2は、この水モデル試験装置の概要を示す説明図である。
同図に示すように、水モデル試験装置は、取鍋を模した容器2に溶融金属を模した水3が入れられ、溶融金属浴を模した水浴が形成されており、下方が開口され上方が閉塞された浸漬管1が該水浴にその下部が浸漬されている。そして、浸漬管1の上部は、減圧バルブ6を介して図示しない減圧室と、加圧バルブ7を介して図示しない加圧室とに、それぞれ連通して構成された減圧手段および加圧手段が設けられている。減圧室は、浸漬管の内部の容積に比べて充分に大きな容積を有し、予め内部の圧力が減圧されており、減圧バルブ6を開とすることにより、浸漬管の内部が速やかに減圧されるように構成されている。
【0019】
また、加圧室は、予め内部の圧力が加圧されており、加圧バルブ7を開とすることにより、浸漬管の内部が速やかに加圧されるように構成されている。また、浸漬管1の内部の圧力は、圧力計8によって検出可能とされており、これにより浸漬管1の内部の圧力変化速度を求めることができるように構成されている。さらに、浸漬管1の下方先端部の内面には、ガス吹込み口4が設けられている。
【0020】
図2に示す水モデル試験装置を用いて次の試験を行った。
先ず、減圧バルブ6を開、加圧バルブ7を閉として、浸漬管1の内部の圧力を減圧し、容器2の中の水3を浸漬管1の内部に吸引させた。以下、この工程を「減圧工程」ともいう。次いで、減圧バルブ6を閉、加圧バルブ7を開として、浸漬管1の内部の圧力を加圧し、先の減圧工程で浸漬管1の内部に吸引させた水3を再び容器2の中へ吐出させた。以下、この工程を「加圧工程」ともいう。そして、加圧工程において、浸漬管1の下方先端部の内面に設けたガス吹込み口4からガスを吹込んだ。
【0021】
その結果、加圧工程において、次の▲1▼および▲2▼の現象が確認された。
▲1▼浸漬管の内部に下方向の水流が形成され、この水流に交差する方向からガスを吹込むことにより、微細な気泡が形成される。
【0022】
▲2▼同時に浸漬管直下には水の吐出により渦輪が形成されるが、前述の微細気泡の群はこの内部に取り込まれ底面近傍まで降下し、その後、浸漬管直下の下降水流が底面で転じてできる水平流、さらにはこれが側面で転じてできる上昇流に随伴し、水浴中に広く分散される。
【0023】
但し、加圧工程における加圧を、単に大気に解放することにより行った場合には、加圧工程の末期において僅かな気泡が水浴中に分散されるだけであり、分散の程度も小さかった。
【0024】
以上より、溶融金属中に微細な気泡を生成させるとともに、該気泡を溶融金属中に広く分散させるには、減圧工程につづく加圧工程において、浸漬管の内部を所定値以上の加圧速度で加圧して吸引した溶融金属を吐出させることにより、浸漬管の内部に下方向の溶融金属の流れを形成させるとともに、浸漬管の内部の溶融金属と接する部位から溶融金属の流れ方向と交差する方向へガスを吹込むことが有効であるとの知見を得た。
【0025】
次に、本発明者らは、実際の溶融金属について、溶融金属中に生成したかかる微細な気泡を利用して効率的に介在物を除去することができる溶融金属の精錬方法を確立すべく、溶融金属として溶鋼を用いた小規模試験を行ってそのための諸条件について検討を行った。
【0026】
試験機としては、図2に示す水モデル試験機と同様の基本構成を備える溶鋼量1000kgの小型試験機を用いた。溶鋼に浸漬させた内径が約0.15m の浸漬管の内部を減圧して浸漬管内部に溶鋼を吸引させ、次いで浸漬管の内部を加圧して吸引した溶鋼を吐出させた。そしてこの間、浸漬管の下方先端部に設けたガス吹込み口からArガスを吹込んだ。減圧工程と加圧工程とによる1サイクル当たりの所要時間は2秒として、5分間処理を行った。
【0027】
まず、加圧時における浸漬管内部加圧速度の最適範囲を明らかにするため、これを10kPa/s から2500kPa/s に変化させ、平均気泡径dBについて評価を行った。加圧速度以外の条件は次の通り一定とした。
【0028】
ガス吹込み速度Q:3.3 ×10-5Nm3/s
減圧、加圧の繰り返しの周期T:10s
浸漬管内の最小圧力と最大圧力の差ΔP:80kPa
気泡の径と分散状況については、溶鋼を用いた試験では浴内の観察ができないため、溶鋼表面に浮上してきた気泡をビデオカメラで撮影し、画像処理を行うことにより評価した。また、介在物除去能力は、介在物濃度の指標として全酸素濃度( 以下、T.[O] ( 単位:ppm) とも云う) を用いた介在物除去率ηで評価した。すなわち、ηは次式で定義される値である。
【0029】
η={( 処理前T.[O] −( 処理後T.[O])}/(処理前T.[O])
図3は、加圧時における浸漬管内部の圧力変化速度と平均気泡径dB との関係を示すグラフである。ここで、圧力変化速度とは、加圧工程における最大瞬間圧力変化速度である。
【0030】
同図に示すように、圧力変化速度が100kPa/s以上となると平均気泡径dB は著しく小さくなる。したがって、溶鋼中に微細な気泡を生成させるためには、圧力変化速度を100kPa/s以上とする。より微細な気泡を安定して生成させるには、圧力変化速度を150kPa/s以上とすることが好ましい。より好ましくは、200kPa/s以上である。気泡の微細化の観点からは、圧力変化速度の上限は特に限定されないが、圧力変化速度が過大である場合には溶鋼のスプラッシュが発生する恐れがあるので、圧力変化速度を2000kPa/s 以下とすることが好ましい。より好ましくは1500kPa/s 以下である。
【0031】
次に、発明者らは、同様の溶鋼実験装置を用いて減圧および加圧の繰返し周期T(s) が介在物除去率に及ぼす影響を検討した。
図4は、浸漬管内での瞬間最大加圧速度:800kPa/s、吹き込みガス流量Q:3.3 ×10-5Nm3/s、浸漬管内での最大圧力と最小圧力の差:80kPa で一定として、減圧、加圧の繰り返し周期Tを0.6sから15s に変化させ、かかる処理を600s行ったときの介在物除去率ηの変化を示す図である。
【0032】
図に示すように、ηはTが1sを境に急増し、1sから2sにかけてゆるやかに増加し、2s以上では徐々に減少した。この理由は次のように考えられる。
前述したように、生成した微細気泡群は浸漬管直下に形成される渦輪により浴の底面近傍まで運ばれる。よって、Tが小さく連続して形成された渦輪どうしの距離が十分でないと、両者の干渉により渦が消滅し微細気泡群は底面まで運ばれることなく浮上してしまう。つまり、分散が十分でなく1つの気泡が介在物と接触する機会は減少する。図4の結果が得られたのは、Tが1sを超えるとこのような渦どうしの干渉が抑制されるからである。
【0033】
さて、この臨界周期Tcは上記条件では1sと判断されたが、このTcは管内の液下降速度に影響されると考えられる。そこで、これに影響を及ぼす加圧時の浸漬管内での圧力変化速度(kPa/s)が異なる条件で上記と同様の調査をした。その結果を図5に示す。
【0034】
図5は最大瞬間圧力変化速度 (以下、単に圧力変化速度ということもある) と臨界周期Tcとの関係を示す図である。図から明らかなようにTcは浸漬管内での圧力変化速度によらず1sでほぼ一定値をとる。
【0035】
これは次のように考えられる。管内圧力変化速度が大きいほど、管内溶鋼の下降速度が大きくなり同周期であれば連続して生成する渦輪どうしの距離は大きくなるが、一方で、渦速度が大きくなる。前者は渦どうしの干渉を軽減し後者は助長する。このように2つの影響が相反するため、管内加圧速度の影響は結果的に小さくなり、Tcはほぼ一定となるのである。
【0036】
また、図4に示すように、Tが2s以上でηが徐々に減少するのは吐出の絶対回数が減り、同時間内に生成される気泡の数が減少するためである。なお、同図には上記実験と同様のガス吹き込み速度で通常のバブリングを行った際の介在物除去率も示したが、それによれば、Tが15s 以上の条件では介在物除去率は同等あるいはそれ以下となってしまう。
【0037】
以上のことから、本発明における加圧・減圧の繰り返し周期Tの適正範囲は1s以上15s未満と結論できる。図6は、本発明にかかる気泡生成装置における平均気泡径dBと、比Q/Diとの関係を示すグラフである。ここで、Qは一つの浸漬管において溶鋼中へ吹込むArガスの供給速度(単位:m3(標準状態)/s)であり、Diは当該浸漬管の内径(単位:m)である。
【0038】
同図に示すように、平均気泡径dBは比Q/Diでほぼ一意的に決定され、比Q/Diの増加に伴い大きくなる。
図7は、同じく介在物除去率ηと比Q/Diとの関係を示すグラフである。
【0039】
同図に示すように、介在物除去率ηは比Q/Diに対して上向きに凸の曲線を描き、比Q/Diが 6.7×10-5以上 6.7×10-4以下の範囲で、介在物除去率ηが0.7 以上という高い値を示す。このような現象は以下のように推察される。
【0040】
比Q/Diが小さ過ぎる場合には、気泡径は充分に小さいものの、気泡の絶対数が少ないために、例え気泡を溶鋼中に広く分散させたとしても捕捉し得る介在物の個数が限られる。一方、比Q/Diが大き過ぎる場合には、図6に示すように気泡径が過大となり、気泡が浮上する際に気泡の周囲に形成される溶鋼流により介在物がスリップしてしまい両者が接触し難くなるばかりか、気泡の上昇速度が速いので両者の接触チャンスも少なくなる。
【0041】
したがって、介在物の除去を高い効率で行うためには、比Q/Diを 6.7×10-5以上 6.7×10-4以下とすることが好ましい。さらに好ましくは 1.3×10-4以上5.0 ×10-4以下である。
【0042】
本発明者らは、浸漬管の内径Diの好適範囲について、気泡の分散性の観点からさらに検討を加えた。なお、本検討においては、比Q/Diを上記好適範囲内の2.2 ×10-4で一定として行った。
【0043】
図8は、介在物除去率ηと比Di/dLの関係を示すグラフである。ここで、dLは溶鋼容器の内径(単位:m)である。
同図に示すように、比Di/dLが 0.1以上 0.7以下の範囲で、介在物除去率ηが 0.7以上という高い値を示す。このような現象は以下のように推察される。
【0044】
すなわち、図9は、気泡の分散状況を概念的に示す説明図である。同図において、矢線I〜IIIは溶鋼の流れを示す。
同図に示すように、加圧工程において浸漬管11から吐出される溶鋼は、下降流である溶鋼流Iを形成し、溶鋼流Iは取鍋12の底面に到達した後に水平な溶鋼流IIとなり、最終的に取鍋12の内壁を伝わる上昇流の溶鋼流IIIとなる。これら溶鋼
流I〜IIIにより、浸漬管11の内面近傍に形成された気泡は、図中網掛で示す領域
を通過するように分散される。
【0045】
ここで、浸漬管11の内径Diが取鍋12の内径dLに比して過大である場合には、気泡が通過する領域が小さくなってしまうため介在物除去率が低下する。また、浸漬管11の内径Diが取鍋12の内径dLに比して過小である場合には、気泡の絶対数が過少となるため、介在物除去率が低下する。
【0046】
したがって、介在物の除去を高い効率で行うためには、比Di/dLを0.1 以上0.7 以下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.2 以上0.5 以下である。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、溶融金属が溶鋼である場合について説明する。図10は、本発明の方法を取鍋の内部にある溶鋼に適用する場合について、装置構成の一例を示す概要図である。図9と同一部材は同一符号で示す。
【0048】
同図に示すように、本発明の方法を取鍋の内部にある溶鋼に適用する場合の装置例としては、取鍋12に溶鋼13が入れられ溶鋼浴が形成されており、下方が開口され上方が閉塞された浸漬管11が昇降可能に備え付けられている。同図は、浸漬管11の下部が溶鋼浴に浸漬されている状態を示す。そして、各部材の作用は、すでに図2に関連させて説明した通りである。
【0049】
本発明によれば、少なくとも加圧工程において、ガス吹込み口にガスを供給する制御手段 (図示せず) が設けられている。かかる制御手段は、適宜バルブ装置と、加圧・減圧手段と連動した適宜スイッチ装置を用いることで構成できる。
【0050】
ここに、減圧手段は、減圧バルブ16と、それを介して浸漬管内部と連通する減圧室 (図示せず) とから構成され、同様に、加圧手段は、加圧バルブ17と、それを介して浸漬管内部と連通する加圧室 (図示せず) とから構成される。
【0051】
減圧室は、浸漬管の内部の容積に比べて充分に大きな容積を有し、予め内部の圧力が減圧されており、減圧バルブ16を開とすることにより、浸漬管の内部が速やかに減圧されるようにしてある。また、加圧室は、浸漬管の内部の容積に比べて必ずしも大きな容積を有する必要は無いが、予め内部の圧力が加圧されており、加圧バルブ17を開とすることにより、浸漬管の内部が速やかに加圧されるようにしてある。
【0052】
浸漬管11の内部の圧力は、圧力計18によって検出可能とされており、これにより浸漬管11の内部の圧力変化速度を求めることができるようにしてある。さらに、浸済管11の下方先端部において、浸漬管を構成する耐火物の内部に埋め込まれたステンレス製のパイプが浸漬管の内部に開口しており、Arガスを溶鋼中に吹込むためのガス吹込み口14が形成されている。
【0053】
本発明において、ガス吹込み口それ自体の構造は特に制限されないが、下降流に交差する方向にガスを吹き込むために、具体的な形態としては、複数本の細管 (例:ステンレス、鋼製) を浸漬管側壁の複数の位置に埋設するとか、また溶鋼中に浸漬させるバブリングランスを用いる場合には多孔質ノズル口を管体 (ランス) の先端に設けるなどして構成してもよい。
【0054】
本発明の方法は、図10に示す装置を用いて例えば次のように実施することができる。
先ず、減圧バルブ16を開、加圧バルブ17を閉として、浸漬管11の内部の圧力を減圧し、取鍋12の中の溶鋼13を浸漬管11の内部に吸引させる。次いで、減圧バルブ16を閉、加圧バルブ17を開として、浸漬管11の内部の圧力を加圧し、先の工程で浸漬管11の内部に吸引させた溶鋼13を再び取鍋12の中へ吐出させる。そして、少なくとも加圧工程おいて、浸漬管11の下方先端部の内面に設けたガス吹込み口14からArガスを吹込むように、適宜制御手段 (図示せず) を設けている。
【0055】
上記減圧工程と上記加圧工程とを順次繰返し行うことにより、溶鋼浴中に微細なArガス気泡15を断続的に生成することができる。また、加圧工程において浸漬管11から吐出される溶鋼は浸漬管よりやや径の大きい渦輪を形成しこれにより気泡を取鍋12の底面近傍まで輸送する。そして、気泡は取鍋12の底面に到達した後は溶鋼下降流が転じてできる水平流により水平方向に分散し、最終的には水平流が側壁近傍で転じてできる上昇流と浮力の作用とにより上昇する。このように気泡は溶鋼浴中に広く分散され、効率的に介在物を除去することができるのである。
【0056】
本発明を取鍋内溶鋼に適用する際の圧操作等の適正条件とその限定理由について述べると、次の通りである。
まず、上記加圧工程における浸漬管内の最大瞬間圧力変化速度は100kPa以上とする。圧力変化速度が100kPa/s未満では管内溶鋼の下降流速が十分でなく、微細気泡を得ることができない、つまり介在物を効率的に除去できないからである。
【0057】
そして、より微細な気泡を安定して生成させるには、圧力変化速度を200kPa/s以上とすることが好ましい。気泡の微細化の観点からは、圧力変化速度の上限は特に限定されないが、圧力変化速度が余り過大である場合には溶鋼のスプラッシュが発生する恐れがあるので、圧力変化速度を2000kPa/s 以下とすることが好ましい。
【0058】
次に、加圧直後の管内最高圧力と減圧終了時の管内最小圧力との差、つまり圧力最大変化量ΔPは100kPa以下とする。
すなわち、ΔPが大きいほど、浸漬管内の溶鋼の移動距離は大きくなるので1回の吐出で生成する気泡の数は増加する。したがってηは増加する。ところで、本装置における気泡微細化は管内下降流の速度に支配されるが、これは加圧直後で最も大きくその後は徐々に低下する。よって、排出される気泡の径は加圧直後で最小でありその後は徐々に大きくなってしまう。したがってΔPを大きくし、つまり、溶鋼の移動距離を大きくし気泡の絶対数を増やしても、介在物の除去に寄与する微細気泡の数はあまり変化しない。実際、介在物除去率ηは、ΔPが100kPa以上ではほぼ一定であることがわかっている。
【0059】
一方、設備コストの点から浸漬管の長さは小さい方が好ましく、すなわち、溶鋼の移動量は小さい方が好ましい。よって、浸漬管内の最大圧力変化量ΔPは100kPa以下とする。
【0060】
但し、微細気泡生成に十分な管内下降流速を得て効果的に介在物を除去するためには、実操業上ある程度の溶鋼移動量が必要である。この意味から、ΔPとして少なくとも5kPa 以上が望ましい。
【0061】
また、減圧および加圧の繰り返し周期Tは1s以上、15s 未満とする。Tが1s未満の場合、生成した微細気泡を底面近傍まで輸送する渦輪どうしの干渉が大きく、これらが底面に到達する前に崩壊し、その結果、微細気泡が底面到達より前に浮上してしまう、つまり、気泡により除去される介在物の量が低下してしまう。また、Tが15s 以上では所定時間に排出される気泡個数が少なすぎるため、通常のバブリングと同等あるいはそれ以下の効果しか得られない。
【0062】
以上のことから、減圧・加圧の繰り返し周期Tは1s以上、15s 未満とする。
また、浸漬管側面からの吹き込みガス流量Q(m3 (標準状態)/s)と浸漬管内径Di (m)の比、Q/Diは 6.7×10-5m2/s以上 6.7×10-4m2/s以下とする。比Q/Diが小さ過ぎる場合には、気泡径は充分に小さいものの、その絶対量が少ないために、例え気泡が溶鋼中に広く分散させたとしても捕捉し得る介在物の個数が限られる。一方、比Q/Diが大き過ぎる場合には、気泡径が過大となり、気泡が浮上する際に気泡の周囲に形成される溶鋼流により介在物がスリップしてしまい両者が接触し難くなるばかりか、気泡の上昇速度が速いので両者の接触チャンスも少なくなる。
【0063】
したがって、介在物の除去を高い効率で行うためには、比Q/Diを 6.7×10-5m2/s以上 6.7×10-4m2/s以下とすることが好ましい。さらに好ましくは 1.3×10-4m2/s以上 5.0×10-4m2/s以下である。
【0064】
さらに、浸漬管の内径Diと取鍋の内径dL の比Di/dL は気泡の分散性の点から0.1 以上0.7 以下とするのが好ましい。つまり、浸漬管から吐出した気泡群は、上述の通り、管直下に形成される渦輪によって、底面近傍まで輸送される。よって、浸漬管の内径Diが取鍋の内径DL に比して過大である場合には、気泡が通過する領域が小さくなってしまい、介在物除去効率は低下する。また、浸漬管の内径Diが取鍋の内径DL に比して過小である場合には、気泡の絶対数が過小なため、介在物除去効率が低下する。
【0065】
したがって、介在物の除去を高い効率で行うためには、Di/dL を0.1 以上0.7 以下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.2 以上0.5 以下である。
図11は、本発明の方法をタンディシシュの内部にある溶鋼に適用する場合について、装置中一例を示す概要図である。
【0066】
同図に示すように、本発明の方法をタンディッシュの内部にある溶鋼に適用する場合の装置例としては、タンディッシュ19に取鍋から連続的に注入される溶鋼13が入れられ溶鋼浴が形成されており、下方が開口され上方が閉塞された浸漬管11が昇降可能に備え付けられている。同図は、浸漬管11が溶鋼浴に浸漬されている状態を示す。そして、浸漬管11の上部は、減圧バルブ16を介して図示しない減圧室に、加圧バルブ17を介して図示しない加圧室に、それぞれ連通していて減圧手段および加圧手段を構成している。減圧室は、浸漬管の内部の容積に比べて充分に大きな容積を有し、予め内部の圧力が減圧されており、減圧バルブ16を開とすることにより、浸漬管の内部が速やかに減圧されるように構成されている。また、加圧室は、浸漬管の内部の容積に比べて必ずしも大きな容積を有する必要は無いが、予め内部の圧力が加圧されており、加圧バルブ17を開とすることにより、浸漬管の内部が速やかに加圧されるように構成されている。また、浸漬管11の内部の圧力は、圧力計18によって検出可能とされており、これにより浸漬管11の内部の圧力変化速度を求めることができるように構成されている。さらに、浸漬管11の下方先端部において、浸漬管を構成する耐火物の内部に埋め込まれたステンレス鋼製のパイプが浸漬管の内部に開口しており、Arガスを溶鋼中に吹込むためのガス吹込み口14が形成されている。
【0067】
本発明の方法は、図11に示す装置を用いて例えば次のように実施することができる。
先ず、減圧バルブ16を開、加圧バルブ17を閉として、浸漬管11の内部の圧力を減圧し、タンディッシュ19の中の溶鋼13を浸漬管11の内部に吸引させる。次いで、減圧バルブ16を閉、加圧バルブ17を開として、浸漬管11の内部の圧力を加圧し、先の工程で浸漬管11の内部に吸引させた溶鋼13を再びタンディッシュ19の中へ吐出させる。そして、少なくとも「加圧工程」において、浸漬管11の下方先端部の内面に設けたガス吹込み口14からArガスを吹込む。
【0068】
上記減圧工程と上記加圧工程とを順次繰返し行うことにより、溶鋼浴中に微細なArガス気泡15を断続的に生成することができる。また、加圧工程において浸漬管11から吐出される溶鋼は浸漬管よりやや径の大きい渦輪を形成しこれにより気泡をタンディッシュ19の底面近傍まで輸送する。そして、気泡はタンディッシュ19の底面に到達した後は水平流により水平方向に分散し、最終的には水平流の側壁への衝突で転じてできる上昇流と浮力の作用とにより上昇する。このように気泡は溶鋼浴中に広く分散され、効率的に介在物を除去することができる。
【0069】
本発明の方法をタンディッシュに適用する際の、加圧時の圧力変化速度、管内の圧力変化量ΔP、減圧・加圧の周期T、および吹き込みガス流量と浸漬管内径の比Q/Diの適正範囲については、前述の取鍋への適用時と同様の考え方が成立するので、ここでは省略する。
【0070】
ただし、浸漬管内径Diについては次のように考える。すなわち、一般にタンディッシュの内部は略長方形の平面形状を有するが、タンディッシュ内の気泡の通過領域が制約される範囲は、長辺方向よりも短辺方向の方が顕著となる。
【0071】
したがって、タンディッシュにおいては短辺dT を基準長さにとり、比Di/dT を0.1 以上0.7 以下とする。さらに好ましくは0.2 以上0.5 以下である。
本実施態様では、溶融金属が溶鋼である場合を例にとって説明したが本発明はこれに限られるものではない。例えば、Al、Cuなどの製造工程に介在物を除去するプロセスを必要とする溶融金属についても本発明の精錬方法を適用することができる。
【0072】
また、本実施態様では、溶融金属中に吹込むガスがArである場合を例にとって説明したが本発明はこれに限られるものではない。ガスの種類は対象とする溶融金属と精錬の目的に応じて適宜選定することができる。ガスの種類としては、例えば、Ar、N2 、H2 、Heなどのガス、またはこれらを2種以上混合させた混合ガスを用いることができる。ここに、「精錬の目的に応じて適宜選定する」場合の例としては、溶融金属への溶解が製品質に悪影響を及ぼすガスについて、当該ガスに替えて他のガスを用いたり、他のガスとの混合ガスを用いたりすることが挙げられる。また、別の手法としてガスの流量を抑制するなどの方法もある。
【0073】
また、本実施態様では、溶融金属中に1つの浸漬管を浸漬する場合を例にとって説明したが本発明はこれに限られるものではない。溶融金属を収容する容器の容量が大きい場合には、気泡の分散性を高めて介在物除去時間を短縮するために、浸漬管を2つ以上とすることが好ましい。特に、タンディッシュ内の溶融金属の精錬に本発明の方法を適用する場合には、溶融金属の滞留時間が限られているので、例えば2つ以上の浸漬管をタンディッシュの長手方向に配置することが好ましい。また、一般に浸漬管は溶融金属の熱による損傷を抑制するために耐火物を表面に備えるが、浸漬管の径が大きい場合には耐火物に亀裂が入り易くなるので、これを抑制するために浸漬管の大径化に替えて浸漬管の数を増やすことも有効である。
【0074】
また、本実施態様では、溶融金属浴中に浸漬管を略垂直に浸漬する場合を例にとって説明したが本発明はこれに限られるものではない。装置の取り合い上、溶融金属浴中に浸漬管を傾斜させて浸漬させることも可能である。この場合、気泡の分散性の観点から、取鍋内の溶融金属に対しては、取鍋の中心から偏心した位置に浸漬管を配置することが好ましく、タンディッシュ内の溶融金属に対しては、タンディッシュの長手方向に傾斜させることが好ましい。
【0075】
また、浸漬管の断面形状としては、浸漬管の表層部を構成する耐火物の施工の観点から円形であることが好ましいが、楕円もしくは多角形とすることもできる。この場合、浸漬管の内径Diは、断面形状における最大長さと最短長さの平均値として、溶融金属へ吹込むガスの供給速度Q、取鍋の内径dL 、タンディッシュの短辺の長さdT の好適範囲を決定することができる。
【0076】
また、「浸漬管の内部の溶融金属と接する部位」とは、例えば、浸漬管にガス吹込み口を設ける場合には、浸漬管の内面であって溶融金属と接する部位とすることができる。また、浸漬管の内部の溶融金属にバブリングランスを浸漬させ、該バブリングランスからガスを吹込む場合には、バブリングランスの外面であって溶融金属と接する部位とすることができる。設備の複雑化を避けて設備コストを抑制する観点からは、浸漬管の先端部の内面に当該部位を設けることが好ましい。 また、「溶融金属の流れ方向と交差する方向」とは、離脱前の成長過程の気泡に対して、溶融金属の流れによる気泡の離脱を促進する剪断力が作用するような方向であり、好ましくは溶融金属の流れ方向と略直交する方向である。
【0077】
【実施例】
(実施例1)
図10に示す基本構成を有する装置を用いて、Al脱酸を行った300tonの溶鋼に対して介在物を除去する精錬を行った。試験に用いた装置において、取鍋の内径dLを 4.0 m、浸漬管の内径Diを0.8m、すなわちDi/dLを0.2 とした。浸漬管の下方先端部には、浸漬管の周方向に90°の間隔をなすようにして内径2mmのステンレス鋼製のパイプを4本埋め込み、Arガスを溶鋼中に吹込むためのガス吹込み口を設けた。
【0078】
溶鋼浴に浸漬管を浸漬させた後に、浸漬管の内部を減圧して浸漬管内部に溶鋼を吸引させる減圧工程と、浸漬管の内部を加圧して吸引した溶鋼を吐出させる加圧工程とを順次繰返し行うとともに、前記加圧工程において、浸漬管の下方先端部に設けたガス吹込み口からArガスを吹込んだ。このArガスの流量は2.0 ×10-4m3 (標準状態)/s で全条件共通とした。その他の条件は表1に示す通りとし600s間処理を行った(浸漬管法)。
【0079】
また、比較のため、取鍋底部にポーラスプラグからArガスを10分間吹込む従来法による処理も行った(バブリング法)。
各精錬方法を適用した場合について、精錬前後における溶鋼の全酸素濃度を測定し、上述した介在物除去率ηを用いて評価行った。結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示すように、ΔPが本発明の範囲内にある試験番号2〜4は、介在物除去率ηが0.8以上という高い介在物除去能力を示した。これに対し、試験番号1および試験番号5では介在物除去能力は劣っていたが、従来技術である試験番号6よりは改善がみられる。
【0082】
(参考例)
図10に示す基本構成を有する装置を用いて、Al脱酸を行った300tonの溶鋼に対して介在物を除去する精錬を行った。試験に用いた装置において、取鍋の内径dLを4.0m、浸漬管の内径Diを0.8mとした。浸漬管の下方先端部には、浸漬管の周方向に90°の間隔をなすようにして内径2mmのステンレス製のパイプを4本埋め込み、Arガスを溶鋼中に吹込むためのガス吹込み口を設けた。
【0083】
溶鋼浴に浸漬管を浸漬させ、浸漬管の内部を減圧して浸漬管内部に溶鋼を吸引させる減圧工程と、浸漬管の内部を加圧して吸引した溶鋼を吐出させる加圧工程とを順次繰返し行うとともに、前記加圧工程において、浸漬管の下方先端部に設けたガス吹込み口からArガスを吹込んだ。なお、ガス吹込み口の閉塞を抑制するために、減圧工程、減圧工程から加圧工程への過渡的工程、および加圧工程から減圧工程への過渡的工程においてもガス吹込み口からArガスを吹込んだ。減圧工程と加圧工程とによる1サイクルあたりの時間は2秒として、10分間処理を行った(浸漬管法)。
【0084】
また、比較のため、取鍋底部にポーラスプラグからArガスを600s吹込む従来法による処理も行った(バブリング法)。
各条件において、処理前後における溶鋼の全酸素濃度を測定し、上述した介在物除去率ηを用いて評価行った。結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
表2に示すように、試験番号1〜4は、良好な介在物除去能力を示した。なかでも、ガスの供給速度と浸漬管の内径との比が好適範囲内にある試験番号1〜3は、介在物除去率ηが0.7以上という高い介在物除去能力を示した。これに対し、試験番号5は介在物除去能力は低かったが、従来技術である試験番号6の介在物除去能力よりは改善がみられた。
【0087】
【発明の効果】
本発明により、溶融金属中に微細な気泡を生成させるとともに、該気泡を溶融金属中に広く分散させることができるので、溶融金属の精錬において効率的に介在物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) 〜(c) は、溶融金属を燃した水が入った容器の底面もしくは側面から、水中にガスを吹き込んだ状態を示す概念図である。
【図2】水モデル試験装置の概要を示す概念図である。
【図3】加圧工程における浸漬管内部の圧力変化速度と平均気泡径dBとの関係を示すグラフである。
【図4】介在物除去率ηと周期Tとの関係を示す図である。
【図5】臨界周期Tc と圧力変化速度との関係を示す図である。
【図6】平均気泡径dBと比Q/Diとの関係を示すグラフである。
【図7】介在物除去率ηと比Q/Diとの関係を示すグラフである。
【図8】介在物除去率ηと比Di/dLの関係を示すグラフである。
【図9】気泡の分散状況を概念的に示す説明図である。
【図10】本発明の方法を取鍋の内部にある溶鋼に適用する場合について、装置構成の一例を示す概要図である。
【図11】本発明の方法をタンディッシュの内部にある溶鋼に適用する場合について、装置の一例を示す概要図である。
Claims (6)
- 溶融金属に浸漬させた浸漬管の内部の圧力を減圧することにより前記浸漬管の内部に溶融金属を吸引する減圧工程と、前記浸漬管の内部の圧力を加圧することにより前記浸漬管の内部の溶融金属を吐出する加圧工程とを順次繰返し行うとともに、少なくとも前記加圧工程において、前記浸漬管の内部の溶融金属と接する部位から前記溶融金属の流れ方向と交差する方向へガスを吹込む溶融金属の精錬方法であって、少なくとも前記加圧工程において前記浸漬管の内部における加圧直後の管内最高圧力と減圧終了時の管内最小圧力との差である圧力最大変化量ΔPが100kPa以下である溶融金属の精錬方法。
- 前記加圧工程において、一つの浸漬管における前記溶融金属へ吹込むガスの供給速度Q(単位:m 3 (標準状態)/s)と当該浸漬管の内径D i (単位:m)とが下記(1)式を充足することを特徴とする請求項1に記載の溶融金属の精錬方法。
6.7×10 −5 ≦Q/D i ≦6.7×10 −4 ・・・(1) - 前記溶融金属が取鍋に収容された溶鋼であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶融金属の精錬方法。
- 前記浸漬管の数が1である場合であって、前記浸漬管の内径D i (単位:m)と前記取鍋の内径d L (単位:m)とが下記(2)式を充足することを特徴とする請求項3に記載の溶融金属の精錬方法。
0.1≦D i /d L ≦0.7・・・・・・・・(2) - 前記溶融金属がタンディッシュに収容された溶鋼であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶融金属の精錬方法。
- 前記浸漬管の内径D i (単位:m)と前記タンディッシュの短辺の長さd T (単位:m)とが下記(3)式を充足することを特徴とする請求項5に記載の溶融金属の精錬方法。
0.1≦D i /d T ≦0.7・・・・・・・・(3)
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