JP2003119355A - ポリエステル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂シートおよびポリエステル系樹脂成形体 - Google Patents

ポリエステル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂シートおよびポリエステル系樹脂成形体

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JP2003119355A
JP2003119355A JP2001316519A JP2001316519A JP2003119355A JP 2003119355 A JP2003119355 A JP 2003119355A JP 2001316519 A JP2001316519 A JP 2001316519A JP 2001316519 A JP2001316519 A JP 2001316519A JP 2003119355 A JP2003119355 A JP 2003119355A
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polyester
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acid
molded product
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JP2001316519A
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English (en)
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Hiroshi Shimoyama
洋志 下山
Toshifumi Onishi
敏文 大西
Nobuhiro Ide
伸弘 井出
Kazuhiro Abe
和洋 阿部
Atsushi Hara
厚 原
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加熱成形時に結晶化が殆ど進行しないことによ
り成形性に優れ、機械的強度に優れた成形体を得ること
ができる、PETを主成分とする再生樹脂を原料とする
樹脂組成物等を提供すること。 【解決手段】(A)ポリエチレンテレフタレートを主成
分とする再生樹脂および(B)グリコール成分の10モ
ル%以上がネオペンチルグリコールによって変性されて
いるポリエチレンテレフタレート樹脂を含有するポリエ
ステル系樹脂組成物であって、両成分の合計重量に対し
て、成分(A)が10〜95重量%および成分(B)が
90〜5重量%の割合で、存在しているポリエステル系
樹脂組成物、それからなるシートおよびそれらの成形
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂を主成分とする再生樹脂を原料として用
いたポリエステル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂シ
ートおよびポリエステル系樹脂成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】主としてポリエチレンテレフタレート
(以下、「PET」と記すことがある)樹脂からなる成
形体は、近年種々の用途に用いられている。該成形体
は、押出成形、射出成形等により、溶融状態の樹脂から
直接成形する方法、あるいは、押出成形、カレンダー成
形等の成形法によって非晶状態で得られたシートを、更
に真空成形、圧空成形、圧縮成形等によって二次成形す
る方法で得ることができる。これらの成形法によって非
晶状態で得られた成形体は、透明性に優れ良好な外観を
示し、また比較的優れた機械的強度を有することが特徴
である。
【0003】しかし、PETは本質的に結晶性の樹脂で
あるため、成形時の加熱および冷却条件に応じて、結晶
化して機械的強度が大幅に低下し、同時に透明性を失う
場合がある。また、シートを熱成形する際には、予熱時
に結晶化が進行し、成形が困難となる場合もある。特
に、成形体又はシートの厚み、大きさが増大するのに伴
い、加熱、冷却に時間を要するようになるため、樹脂の
結晶化が進行しやすくなり、上記結晶化の問題はより顕
著となる。
【0004】また、近年は、環境問題に関する認識の高
まりに伴い、PETを主成分とする再生樹脂、たとえば
PETボトルを粉砕して得られるPETフレーク等を原
料として用いる必要が生じてきた。この場合、再生樹脂
原料の品質のばらつきに基づき、前述の結晶化に由来す
る諸問題がより顕著に認められることもある。また、リ
サイクルにともなう樹脂の劣化、すなわち物性低下もみ
られ、得られた成形体の機械的強度は必ずしも充分では
ないことがほとんどである。
【0005】これらの問題を解決するために、PETを
主成分とする再生樹脂に、例えばポリエチレン等のポリ
マー、ゴム粒子等の変性剤を添加することが知られてお
り、実際に各種添加剤が市販されている。しかし、変性
剤を添加したPETを主成分とする再生樹脂から得られ
た成形体は、機械的強度が向上しているものの、樹脂の
結晶性が上昇するため、厚さが0.8mm以上特に1.
0mm以上という厚みが大きい成形体やシートを成形す
る際、又はそのシートを更に加熱して二次成形する際に
結晶化が進行して、成形が困難となるという欠点があ
る。
【0006】上述の通り、PETを主成分とする再生樹
脂から、充分な強度を有する成形体を得ること、および
該樹脂から得たシートを更に熱成形して二次成形体を得
ることは、特に厚みが大きい成形体の場合困難であっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加熱
成形時に結晶化が殆ど進行しないことにより成形性に優
れ、機械的強度に優れた成形体を得ることができる、P
ETを主成分とする再生樹脂を原料とするポリエステル
系樹脂組成物、それからなるシートおよびそれらの成形
体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究し
た結果、PETを主成分とする再生樹脂と特定の変性ポ
リエチレンテレフタレート樹脂を特定割合で含有する樹
脂組成物により、上記目的を達成し得ることを見出し、
これに基づき本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、下記のポリエステル系樹
脂組成物、ポリエステル系樹脂シートおよびポリエステ
ル系樹脂成形体に係るものである。
【0010】1.(A)ポリエチレンテレフタレートを
主成分とする再生樹脂および(B)グリコール成分の1
0モル%以上がネオペンチルグリコールによって変性さ
れているポリエチレンテレフタレート樹脂を含有するポ
リエステル系樹脂組成物であって、両成分の合計重量に
対して、成分(A)が10〜95重量%および成分
(B)が90〜5重量%の割合で、存在しているポリエ
ステル系樹脂組成物。
【0011】2.180℃の雰囲気下に放置した際、6
0秒後の密度増分が0.030g/cm3以下である上
記項1に記載の樹脂組成物。
【0012】3.180℃の雰囲気下に放置した際、9
0秒後の密度増分が0.030g/cm3以下である上
記項1に記載の樹脂組成物。
【0013】4.上記項1に記載の樹脂組成物を成形し
てなるポリエステル系樹脂シート。
【0014】5.上記項1に記載の樹脂組成物を成形し
てなるポリエステル系樹脂成形体。
【0015】6.上記項4に記載のシートを二次成形し
てなるポリエステル系樹脂成形体。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0017】ポリエステル系樹脂組成物 本発明のポリエステル系樹脂組成物におけるPETを主
成分とする再生樹脂(A)としては、市場から回収され
た使用済みのPETボトルやPETシート、工場におけ
る規格外のPET成形品等をフレーク状に粉砕したも
の、該粉砕物を押出機等を用いて再ペレット化したもの
等を使用することができる。
【0018】また、再生樹脂(A)は、シートおよび成
形体としたときの機械的強度の観点から、その固有粘度
が0.50dl/g以上、好ましくは0.60dl/g
以上であるのが好ましい。固有粘度が0.50dl/g
に満たない場合、得られた樹脂組成物からなるシートお
よび成形体は、結晶化速度が大きいこと、機械的強度に
劣ることがあるため、好ましくない。再生樹脂(A)の
固有粘度の上限としては、1.5dl/g以下であるの
が好ましい。
【0019】本発明におけるPETを主成分とする再生
樹脂(A)としては、ホモPETはもちろんのこと、そ
の酸成分の一部として、テレフタル酸以外の芳香族ジカ
ルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸の
一種又は二種以上を共重合したものであってもよい。
【0020】ここで、テレフタル酸以外の芳香族ジカル
ボン酸としては、例えば2,6−ナフタレンジカルボン
酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサ
ヒドロイソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ジフェニル
ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフ
ェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカ
ルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、例えばシクロヘキサンジ
カルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられ
る。また、脂肪族ジカルボン酸としては、例えばシュウ
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイ
マー酸などが挙げられる。
【0021】また、再生樹脂(A)のPETのグリコー
ル成分の一部として、エチレングリコール以外の炭素数
が1〜25のアルキレングリコール等の共重合成分が一
種又は二種以上共重合されたものでもよい。かかる共重
合成分の例として、ジエチレングリコール、1,2−プ
ロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,
3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルグリコール、ジメチロールヘプタン、ジメチロール
ペンタン、トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノ
ールXのエチレンオキサイド誘導体(XはA,S,F)
などが挙げられる。
【0022】また、再生樹脂(A)のPETとしては、
少量の三官能以上のポリカルボン酸やポリオール成分が
共重合されたものでもよい。三官能以上の共重合成分の
例として、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、無
水ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、5−ヒドロ
キシイソフタル酸などが挙げられる。
【0023】本発明のポリエステル系樹脂組成物におけ
るネオペンチルグリコールによって変性されたポリエチ
レンテレフタレート樹脂(B)は、そのグリコール成分
の10モル%以上がネオペンチルグリコールからなるポ
リエチレンテレフタレート樹脂である。また、該変性ポ
リエチレンテレフタレート樹脂(B)のグリコール成分
の20モル%以上がネオペンチルグリコールからなるこ
とが好ましい。一方、該変性ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂(B)のグリコール成分中のネオペンチルグリコ
ールの上限としては、好ましくは70モル%以下、より
好ましくは50モル%以下、更に好ましくは40モル%
以下であるのがよい。
【0024】また、変性されたポリエチレンテレフタレ
ート樹脂(B)の固有粘度は、0.40dl/g以上、
好ましくは0.50dl/g以上であるのが好ましい。
固有粘度が0.40dl/gに満たない場合には、再生
樹脂(A)とのブレンド等によって得られる樹脂組成物
の成形体の機械的物性が劣る場合があり、好ましくな
い。変性ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)の固有
粘度の上限としては、1.8dl/g以下であるのが好
ましい。
【0025】本発明におけるネオペンチルグリコールに
よって変性されたポリエチレンテレフタレート樹脂
(B)は、その酸成分の一部として、テレフタル酸以外
の芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジ
カルボン酸を一種又は二種以上共重合したものでもよ
い。
【0026】ここで、テレフタル酸以外の芳香族ジカル
ボン酸としては、例えば、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキ
サヒドロイソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ジフェニ
ルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジ
フェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジ
カルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられ
る。脂環族ジカルボン酸としては、例えばシクロヘキサ
ンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などが挙げ
られる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、例えばシ
ュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダ
イマー酸などが挙げられる。
【0027】また、変性ポリエチレンテレフタレート樹
脂(B)のグリコール成分の一部として、エチレングリ
コールおよびネオペンチルグリコール以外の炭素数が1
〜25のアルキレングリコール等の共重合成分が一種又
は二種以上共重合されたものでもよい。かかる共重合成
分の例として、例えばジエチレングリコール、1,2−
プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノ
ール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールペンタン、
トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノールXのエ
チレンオキサイド誘導体(XはA,S,F)などが挙げ
られる。
【0028】また、変性ポリエチレンテレフタレート樹
脂(B)として、少量の三官能以上のポリカルボン酸や
ポリオール成分が共重合されたものでもよい。三官能以
上の共重合成分の例として、無水トリメリット酸、ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、無水ピロメリット酸、ペンタエリスリ
トール、5−ヒドロキシイソフタル酸などが挙げられ
る。
【0029】本発明のポリエステル系樹脂組成物におけ
るPETを主成分とする再生樹脂(A)および変性ポリ
エチレンテレフタレート樹脂(B)の使用割合は、両成
分合計重量に対して、成分(A)が10〜95重量%、
好ましくは20〜90重量%であり、成分(B)が90
〜5重量%、好ましくは80〜10重量%である。成分
(A)の使用割合が95重量%より多い場合、得られた
組成物からなる成形体は180℃における60秒後又は
90秒後の密度増分が0.030g/cm3より大きく
なり、成形性、機械的強度に劣ることがあるため好まし
くない。一方、成分(A)の使用割合が10重量%より
少ないと、再生樹脂の使用量が十分でないので、好まし
くない。
【0030】本発明のポリエステル樹脂組成物は、通
常、PETを主成分とする再生樹脂(A)とネオペンチ
ルグリコールによって変性されたポリエチレンテレフタ
レート樹脂(B)とをブレンドすることによって、好適
に調製できる。このブレンドは、例えば単軸押出機、二
軸混練押出機、ブラベンダーミキサー等の公知の任意の
装置を用いて、溶融混合することによって、行うことが
できる。また、例えば射出成形機等に樹脂チップ乃至樹
脂フレークの状態でブレンドして供給し、成形体とする
際の溶融混合によって行うこともできる。このように、
溶融混合された本発明ポリエステル樹脂組成物は、通
常、均一なポリマーアロイの状態として得られる。
【0031】本発明の樹脂組成物は、PETを主成分と
する再生樹脂(A)とネオペンチルグリコールによって
変性されたポリエチレンテレフタレート樹脂(B)以外
に、未使用のPETその他の樹脂を発明の効果を損なわ
ない範囲で含有することができる。その他の樹脂として
は、例えば、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロ
ピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙
げられる。
【0032】本発明の樹脂組成物は、180℃の温度下
に放置した際、60秒後の密度増分が0.030g/c
3以下であることが好ましく、90秒後の密度増分が
0.030g/cm3以下であることがより好ましい。
60秒後の密度増分が0.030g/cm3を超える場
合、得られた成形体又はシートが結晶化して機械的強度
が低下したり、得られたシートを熱成形する際に成形性
が劣るため好ましくない。この密度増分は、後記方法に
より、シート又は樹脂板とした組成物を180℃で60
秒又は90秒放置後の密度を測定し、その測定値から算
出されるものである。
【0033】本発明の樹脂組成物には、目的に応じて、
種々の重合体又は添加剤を配合することができる。これ
らは、例えば、PETを主成分とする再生樹脂(A)と
ネオペンチルグリコールによって変性されたポリエチレ
ンテレフタレート樹脂(B)とを、ブレンドする際に、
好適に配合することができる。
【0034】上記の重合体としては、例えばポリアミド
系重合体、ポリアクリル系重合体、ポリカーボネート系
樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。また、添加
剤としては、例えば公知のヒンダードフェノール系、硫
黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン
系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート
系、ニッケル系、サリチル系等の光安定剤、帯電防止
剤、滑剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合
物、カルボジイミド系化合物等の反応基を有する化合
物、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、
蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機
系の顔料、染料などを添加することができる。
【0035】ポリエステル系樹脂シートおよびポリエス
テル系樹脂成形体 本発明の樹脂組成物は、押出成形、射出成形等の方法に
より、溶融状態の樹脂から直接成形して、ポリエステル
系樹脂シート又はポリエステル系樹脂成形体とすること
ができる。また、押出成形、カレンダー成形等の成形法
によって、いったん非晶状態で得たシートを、真空成
形、圧空成形、圧縮成形等の二次成形によって、更に加
工して、成形体を得ることもできる。
【0036】上記二次成形は、より具体的には、例え
ば、シートを、熱風加熱、赤外線照射等の方法により、
100〜200℃程度に加熱して軟化させ、加圧成形、
真空成形、圧縮成形等の方法を用いて、20〜60℃程
度に冷却された金型内に押し付けて、成形することによ
り、行うことができる。
【0037】本発明の樹脂組成物から得られるポリエス
テル系樹脂シート又はポリエステル系樹脂成形体は、特
に厚みが1〜3mm程度の比較的厚みが大きい成形体で
ある場合にも、結晶化により白濁することがなく、かつ
機械的強度にも優れている。
【0038】かくして得られる本発明のポリエステル系
樹脂成形体は、例えば、食品、日用品、家電品等を収納
する各種容器、平面状樹脂窓、曲面や凹凸のある樹脂
窓、意匠性造形品等の用途に広く使用できる。
【0039】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
より一層具体的に説明する。但し、本発明は、実施例に
限定されるものではない。
【0040】各例における物性値の測定法等は、次の通
りである。
【0041】(1)固有粘度(IV):フェノール/テ
トラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒を
用いて温度30℃にて測定した。
【0042】(2)樹脂組成の分析:樹脂30mgを1
mlの重水素化クロロホルム/トリフルオロ酢酸(95
/5重量比)の混合溶媒に溶解し、5mmφのNMRチ
ューブに封かんした。200MHzのNMRを用いて、
PET中の共重合成分量を定量した。
【0043】(3)シートの製造方法:充分に乾燥した
樹脂を、二軸押出機(池貝(株)製、「PCM30」)
を備えた自家製シーティング機を用いてシートに加工し
た。この時、「PCM30」のバレル温度は全て290
℃とし、溶融した樹脂をTダイより押し出し、40℃に
温度調整した金属鏡面ロール上に1mm厚でキャストし
た。樹脂温度が60℃以下になるまで冷却した時点でロ
ールからシートを剥離し、所望のシートを得た。
【0044】(4)射出成形体の成形方法:充分に乾燥
した樹脂を、10℃に温度調整した金型および射出成形
機を用いて成形し、10cm×10cm×1mmの樹脂
板を得た。この時、樹脂溶融温度は290℃とした。
【0045】(5)試料の密度の測定方法:得られたシ
ート又は樹脂板を5cm×5cm×1mmの大きさに切
り出した。180℃に温度調整したシリコーンオイルに
試料を浸漬し、60秒又は90秒後に取り出し、20℃
の水中に投入して急冷した。試料中央部から5mm×5
mmの大きさに密度測定用の試料切片を切り出し、四塩
化炭素/n−ヘプタン混合溶媒の密度勾配管を用いて2
5℃で密度を測定した。得られた測定値より、密度増分
を算出した。
【0046】(6)透明性の評価:上記(3)と同様に
して、厚さ2mmのシートを作成し、このシートを10
cm×10cmの大きさに切断し、これを赤外線ランプ
下で20秒間加熱(表面到達温度約160℃)後、直ち
に25℃の厚さ1cmのアルミニウム板の間に挟み、手
で強く押し付けた。10秒後に、シートを取り出し、目
視により、下記基準に基づいて、透明性を評価した。
【0047】 ◎;白濁が認められず、透明性極めて良好、 ○;ごく一部に白濁が認められるが、透明性良好、 △;一部に白濁が認められ、透明性不良、 ×;大部分に白濁が認められ、透明性極めて不良。
【0048】各例において使用した各樹脂は、以下の通
りである。
【0049】PETを主成分とする再生樹脂1(再生樹
脂1):PETボトルを粉砕して得られた固有粘度(I
V)=0.70dl/gのPETフレーク。
【0050】PETを主成分とする再生樹脂2(再生樹
脂2):PETボトルを粉砕して得られたPETフレー
クを再ペレット化して得た固有粘度(IV)=0.65
dl/gのPETペレット。
【0051】PETを主成分とする再生樹脂3(再生樹
脂3):東洋紡績(株)製PETシートを粉砕して得ら
れた固有粘度(IV)=0.67dl/gのPETフレ
ーク。
【0052】ネオペンチルグリコールで変性されたポリ
エチレンテレフタレート樹脂1(変性PET樹脂1):
ジメチルテレフタレート194重量部、エチレングリコ
ール81重量部、ネオペンチルグリコール73重量部、
テトラブチルチタネート0.02重量部、「Irgan
ox1330」(商品名、チバスペシャルティーケミカ
ルズ(株)製)0.1重量部を反応容器に仕込み、室温
から220℃まで徐々に昇温し、その後さらに260℃
まで1時間で昇温してエステル交換反応を行った。次い
で、反応容器内を徐々に減圧にすると共に昇温し、45
分で、280℃、1torr以下に減圧し、初期縮合反
応を行った。さらに280℃、1torr以下の状態で
1.5時間重合反応を行った後、ポリマーをペレット状
に取り出した。得られた樹脂の固有粘度(IV)は0.
88dl/g、グリコール成分に占めるネオペンチルグ
リコールの割合は45モル%であった。
【0053】ネオペンチルグリコールで変性されたポリ
エチレンテレフタレート樹脂2(変性PET樹脂2):
エチレングリコールを89重量部、ネオペンチルグリコ
ールを58重量部とした以外は、上記変性PET樹脂1
の場合と同様にして樹脂の重合を行った。得られた樹脂
の固有粘度(IV)は0.79dl/g、グリコール成
分に占めるネオペンチルグリコールの割合は35モル%
であった。
【0054】実施例1〜5および比較例1〜3 各樹脂を表1に示す組成比(重量%)でドライブレンド
し、次いで前記方法により、シート又は樹脂板を成形し
た。その組成比、成形体の種類および密度増分の評価を
行った結果を、表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1より、実施例1〜5の成形体は、60
秒後又は90秒後の密度増分が0.030g/cm3
下であり、成形性、透明性、機械的強度に優れている。
一方、比較例1〜3の成形体では、密度増分が所定値よ
り大きく、成形性等に劣る。
【0057】
【発明の効果】本発明のPETを主成分とする再生樹脂
および特定の変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を含
有するポリエステル系樹脂組成物は、成形性に優れ、特
に、比較的厚みが大きい成形体とした場合にも結晶化し
て白濁することがなく、機械的強度に優れた成形体を得
ることができる。また、本発明組成物から得たシートを
加熱して二次成形した場合にも、結晶化がほとんど進行
せず成形性、透明性に優れ、機械的強度に優れた成形体
を得ることができる。従って、本発明は、産業界に寄与
すること大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井出 伸弘 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 阿部 和洋 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 原 厚 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4F071 AA44 AF14 AF30 BB05 BB06 BC01 4J002 CF05X CF06W

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリエチレンテレフタレートを主成
    分とする再生樹脂および(B)グリコール成分の10モ
    ル%以上がネオペンチルグリコールによって変性されて
    いるポリエチレンテレフタレート樹脂を含有するポリエ
    ステル系樹脂組成物であって、両成分の合計重量に対し
    て、成分(A)が10〜95重量%および成分(B)が
    90〜5重量%の割合で、存在しているポリエステル系
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】180℃の雰囲気下に放置した際、60秒
    後の密度増分が0.030g/cm3以下である請求項
    1に記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】180℃の雰囲気下に放置した際、90秒
    後の密度増分が0.030g/cm3以下である請求項
    1に記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の樹脂組成物を成形してな
    るポリエステル系樹脂シート。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の樹脂組成物を成形してな
    るポリエステル系樹脂成形体。
  6. 【請求項6】請求項4に記載のシートを二次成形してな
    るポリエステル系樹脂成形体。
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