JP2003119010A - 窒化アルミニウム粉末、その製造方法及び用途 - Google Patents

窒化アルミニウム粉末、その製造方法及び用途

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JP2003119010A JP2001317982A JP2001317982A JP2003119010A JP 2003119010 A JP2003119010 A JP 2003119010A JP 2001317982 A JP2001317982 A JP 2001317982A JP 2001317982 A JP2001317982 A JP 2001317982A JP 2003119010 A JP2003119010 A JP 2003119010A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】放熱部材の充填材として優れた高熱伝導性を示
し、しかも充填量を高めることができる非破砕形状の窒
化アルミニウム粉末とその製造方法を提供する。高熱伝
導性樹脂組成物、特にそのシリコーン樹脂組成物の成形
体で構成された放熱部材を提供する。 【解決手段】平均粒径が20〜50μm、酸素量が0.
6質量%以下、X線回折によって得られるミラー指数
(100)面、(002)面及び(101)面の3つの
回折ピークの平均半価幅が0.095°以下である窒化
アルミニウム粉末。平均粒径が15〜50μm、3μm
以下の微粉が10質量%以下である窒化アルミニウム粉
末原料を窒化硼素製容器に充填し、還元雰囲気下、19
00℃以上の温度で加熱し、窒化アルミニウム粉末原料
の酸素量を低減し結晶性を増大させることを特徴とする
上記窒化アルミニウム粉末の製造方法。上記窒化アルミ
ニウム粉末を含有してなる樹脂組成物及び電子機器の放
熱部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
粉末、その製造方法及び用途に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体素子等の発熱性電子部品は
ますます高密度化され、それに伴い、発生した熱を如何
に効率よく電子機器から逃がしてやるかが重要な課題と
なっている。これの解決のため、これまでにあらゆる角
度からの検討が行われており、その1つに放熱部材の熱
抵抗をより小さくする(熱伝導率を高める)ことが行わ
れている。放熱部材は、発熱性電子部品の搭載された基
板を電子機器に組み込む際、例えば電子機器のケーシン
グと該基板との間に介在させて使用されるものであり、
それ自体が低熱抵抗であるとともに、介在させるに際し
て空隙等が残らないように良好な形状追従性(高柔軟
性)が要求される。この一例として、エポキシ樹脂やシ
リコーン樹脂などの樹脂マトリックスに窒化アルミニウ
ム粉末が充填され、アスカーC硬度を50以下、特に3
0以下とした高柔軟性の放熱部材(放熱スペーサーとも
呼ばれている)が実用化されている。
【0003】放熱部材の熱伝導率を可及的に高めるた
め、窒化アルミニウム粉末を樹脂マトリックスに最密充
填させるべく、微粉と粗粉を併用しその粒度構成を適正
化する検討が古くから行われている。その一方で、窒化
アルミニウム粉末それ自体の熱伝導率を高めることの研
究も行われている(たとえば特開昭63−307748
号公報、特開平6−209057号公報、特開平9−2
86606号公報、特開平2001−158610号公
報)。この技術は、窒化アルミニウム粒子を粗大化して
高熱伝導化を達成しようとするものであり、窒化アルミ
ニウム粉末を焼結して窒化アルミニウム焼結体を一旦製
造しそれを粉砕することを基本としている。しかしなが
ら、この方法では、粉砕によって粒子が破砕形状となる
ので、その充填量を高めると樹脂組成物の流動性が悪化
するので、丸みを帯びた粒子よりも高充填することがで
きず、また上記最密充填化を行うにも何かと不都合であ
った。さらには、粉砕によって粒子表面が酸化したり、
アルミニウムと窒素の結合が乱れて熱伝導率に悪影響を
与え、また熱伝導率の増大に好ましくない微粉が発生す
るのでそれを除去する必要があった。しかも、焼結助剤
の使用が必須となるので、それが残留し熱伝導率の増大
に悪影響を与えた。
【0004】そこで、破砕形状でない粗大窒化アルミニ
ウム粒子の製造方法として、球状の窒化アルミニウム焼
結体の製造方法が提案されている(たとえば特開平4−
174910号公報)。この方法は、ミクロンレベルの
窒化アルミニウム粉末をスプレードライヤーなどで造粒
しそれを焼結するものである。焼結体の粉砕は行われな
い点で上記先行技術の問題点は緩和されるが、窒化アル
ミニウム粉末同士の焼結の際に、熱伝導に悪影響を与え
る空孔を内部に巻き込むので所期したほどには熱伝導率
は高まらない。また、焼結助剤が残留することによる上
記問題は解消されない。
【0005】一方、特開平7−215707号公報で
は、金属アルミニウム粉末を直接窒化して窒化アルミニ
ウム粉末を製造するに当たり、窒化反応と焼結とを同時
に起こさせて粗粉化を図っている。しかし、この窒化ア
ルミニウム粉末は非粉砕物であり格子歪みが比較的小さ
いにも拘わらず熱伝導率の飛躍的な向上はない。その理
由は、この技術で採用されている反応温度は800〜1
200℃と低いため、得られる窒化アルミニウム粒子の
結晶は十分に発達していないことによる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来、
樹脂組成物の熱伝導性を向上させるために、窒化アルミ
ニウム粉末の粒子形状や粒度構成を適正化してその充填
率を高めたり、窒化アルミニウム粒子自体の熱伝導率を
増大させる検討が種々行われているが、今日の更なる高
熱伝導性の要求は満たしていない。
【0007】本発明は、このような状況に鑑みてなされ
たものであり、本発明の目的は、放熱部材の充填材とし
て優れた高熱伝導性を示し、しかも充填量を高めること
ができる非破砕形状の窒化アルミニウム粉末を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、そのような特性を有
する窒化アルミニウム粉末を容易に製造することができ
る製造方法を提供することである。さらには、高熱伝導
性樹脂組成物、特にその樹脂組成物で構成された放熱部
材を提供することである。
【0008】本発明の目的は、普通に入手できる窒化ア
ルミニウム粉末の粒径を調整し、それを還元雰囲気下で
熱処理を行い、窒化アルミニウム粒子を高結晶化・低酸
素化させることによって達成することができる。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、以
下のとおりである。 (請求項1)平均粒径が20〜50μm、酸素量が0.
6質量%以下、X線回折によって得られるミラー指数
(100)面、(002)面及び(101)面の3つの
回折ピークの平均半価幅が0.095°以下であること
を特徴とする窒化アルミニウム粉末。 (請求項2)平均粒径が15〜50μm、3μm以下の
微粉が10質量%以下である窒化アルミニウム粉末原料
を窒化硼素製容器に充填し、還元雰囲気下、1900℃
以上の温度で加熱し、窒化アルミニウム粉末原料の酸素
量を低減し結晶性を増大させることを特徴とする請求項
1記載の窒化アルミニウム粉末の製造方法。 (請求項3)請求項1記載の窒化アルミニウム粉末を含
有してなることを特徴とする樹脂組成物。 (請求項4)請求項3記載の樹脂組成物がシリコーン樹
脂組成物であり、その成形体からなることを特徴とする
電子機器の放熱部材。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、更に詳しく本発明について
説明する。
【0011】本発明の窒化アルミニウム粉末の平均粒径
は20〜50μm、好ましくは20〜40μmである。
平均粒径が20μm未満であると、それの充填された樹
脂組成物の熱伝導率が著しく増大しない。また、平均粒
径が50μmを越えると、窒化アルミニウム粉末の酸素
量を0.6質量%以下とすることが困難となり、これも
また樹脂組成物の熱伝導率が著しく増大しない。
【0012】本発明の窒化アルミニウム粉末の酸素量
は、0.6質量%以下である。酸素量が0.6%を越え
ると、それの充填された樹脂組成物の熱伝導率が著しく
増大しない。酸素量の下限はなく少ないほどよい。
【0013】本発明の窒化アルミニウム粉末において
は、X線回折によって得られる回折ピークの半価幅は非
常に重要である。半価幅は結晶性の指標であり、結晶性
が高いほど半価幅は小さくなる。結晶性、つまり半価幅
を左右する因子としては、粉砕等のメカノケミカル的な
作用による粒子表面の結晶の乱れ、表面や内部に不純物
が存在することによる結晶欠陥等に起因する乱れ、更に
は結晶子の大きさ等があり、これらによって半価幅が決
定される。本発明の半価幅の値は、0.095°以下、
特に好ましくは0.085°以下である。この半価幅
は、従来の窒化アルミニウム粉末が0.2〜0.4°程
度であるのに対して極めて小さいことが特異的である。
半価幅が0.095°を越えると、それの充填された樹
脂組成物の熱伝導率が著しく高まらない。
【0014】本発明において、半価幅とは、Cu−kα
(2θ)のX線回折ピークにおいて、ミラー指数が(1
00)面と、(002)面と、(101)面との3つの
回折ピークの半価幅の平均値をいう。三つの回折ピーク
の平均値を用いる理由は、配向性の影響を極力排除して
結晶性の判断を行うためである。
【0015】つぎに、本発明の窒化アルミニウム粉末の
製造方法について説明する。
【0016】本発明の製造方法は、平均粒径が15〜5
0μmで、3μm以下の微粉が10質量%以下の窒化ア
ルミニウム粉末原料を、焼結助剤を添加せずに窒化硼素
製容器に充填し、還元雰囲気下で1900℃以上の温度
で加熱して、窒化アルミニウム粉末原料の酸素量を低減
し結晶性を増大させる方法である。
【0017】窒化アルミニウム粉末原料に焼結助剤を添
加すると、加熱によって窒化アルミニウム粒子が焼結す
るために粉砕が必要となったり、焼結助剤成分が残留し
て上記問題が生じる。
【0018】本発明で使用される窒化アルミニウム粉末
原料は、平均粒径が15〜50μmで、3μm以下の微
粉が10質量%以下である必要がある。平均粒径が15
〜50μmとする第1の理由は、これを逸脱すると本発
明の窒化アルミニウム粉末の平均粒径が得られないため
である。とくに、平均粒径が50μmを越えると、粒内
に取り込まれている酸素を低減させることが困難とな
る。これは、粒子が大きいと、酸素が粒子表面に移動す
る距離が大きくなり、酸素の低減が十分でなくなるため
である。また、3μm以下の微粉が10質量%以下であ
る理由については、微粉成分は熱伝導に悪影響を及ぼす
と共に、微粉の一部は加熱時に粗粒に取り込まれ、粒成
長を引き起こすことと関係しており、3μm以下の微粉
が10質量%を越えると、その粒成長が顕著となり、所
定の粒径を得るために粉砕が必要になるからである。
【0019】本発明で使用される窒化アルミニウム粉末
原料は、普通に入手できる市販の窒化アルミニウム粉末
や、金属アルミニウムの直接窒化法、アルミナ還元窒化
法等の常法によって製造された窒化アルミニウム粉末を
粒度調整することによって得ることができる。
【0020】窒化アルミニウム粉末原料の還元雰囲気下
の加熱は、焼結助剤を添加しないで粉末状態のままで窒
化硼素製容器に充填して行われる。焼結助剤を添加した
り、ブロック等に成形して加熱したりすると、窒化アル
ミニウムの焼結が進行し本発明の窒化アルミニウム粉末
は得られない。また、窒化硼素製容器に充填する理由
は、1900℃以上の温度を形成するには、黒鉛製ヒー
ターと黒鉛容器が用いられるが、そこから発生した炭素
分と窒化アルミニウムとの反応を阻止し、窒素欠陥や炭
素の固溶などによって害されない窒化アルミニウム粉末
を製造するためである。
【0021】本発明における加熱条件は、温度1900
℃以上の還元雰囲気下である。これ以外では、窒化アル
ミニウム粉末原料の低酸素化と高結晶化を行うことがで
きず、本発明の窒化アルミニウム粉末を製造することが
できない。すなわち、1900℃未満の加熱ではその雰
囲気がたとえ還元雰囲気であっても、あるいは1900
℃以上の加熱であってもその雰囲気が還元雰囲気でない
と、窒化アルミニウム粉末原料の低酸素化と高結晶化を
行うことができない。加熱温度の上限については、特に
制限はないが、2000℃を越えると窒化アルミニウム
粉末の充填状態及び酸素量によっては焼結が起こりやす
くなるので、2000℃以下であることが好ましい。温
度1900℃以上における保持時間は、低酸素化と高結
晶化が達成できる時間であり、1〜4時間程度であるこ
とことが好ましい。
【0022】還元雰囲気下にするには、一酸化炭素ガス
や水素ガスを窒素ガスと混合して供給する方法、窒化硼
素製容器の外側を黒鉛容器で覆い、窒素ガスと極微量の
酸素ガスの混合ガスを供給し、その酸素ガスと黒鉛容器
とを反応させて一酸化炭素ガスを発生させる方法等があ
る。還元雰囲気の程度は特に限定はないが、一酸化炭素
ガス濃度で数十μg/g以上が好ましい。なお、還元ガ
スを系外に排出する場合は、他の不活性ガスで希釈した
り燃焼させたりするなどの安全対策を講ずる必要があ
る。
【0023】つぎに、本発明の樹脂組成物と放熱部材に
ついて説明する。
【0024】本発明の樹脂組成物で使用される樹脂とし
ては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、
フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエー
テルイミド等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポ
リフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリ
スルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリ
カーボネイト、マレイミド変成樹脂、ABS樹脂、AA
S(アクリロニトリルーアクリルゴム・スチレン)樹
脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン
・ジエンゴムースチレン)樹脂等をあげることができ
る。
【0025】樹脂がエポキシ樹脂である場合、その硬化
剤として、例えばノボラック型樹脂、ビスフェノールA
やビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ピロガ
ロールやフロログルシノール等の3官能フェノール類、
無水マレイン酸、無水フタル酸や無水ピロメリット酸等
の酸無水物、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェ
ニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ア
ミンなどが用いられる。
【0026】これらの中、放熱部材のマトリックスとし
ては、例えばエポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、天
然ゴム、シリコーン系樹脂が好適であり、高柔軟性放熱
部材とするには付加反応型液状シリコーンゴムが望まし
い。その具体例としては、一分子中にビニル基とH−S
i基の両方を有する一液性のシリコーンや、末端又は側
鎖にビニル基を有するオルガノポリシロキサンと末端又
は側鎖に2個以上のH−Si基を有するオルガノポリシ
ロキサンとの二液性のシリコーンなどであり、市販品と
しては、東レダウコーニング社製、商品名「SE−18
85」などがある。放熱部材の柔軟性は、シリコーンの
架橋密度や窒化アルミニウム粉末の充填量によって調整
することができる。
【0027】本発明の樹脂組成物は、上記材料をブレン
ダーやミキサーで混合することによって製造することが
でき、また放熱部材は、プレス成形法、押し出し成形
法、ドクターブレード法によって樹脂組成物を成形し、
それを加熱硬化することによって製造することができ
る。樹脂組成物中の窒化アルミニウム粉末の割合は、用
途によって異なるが、放熱部材である場合は50〜85
体積%であることが好ましい。
【0028】
【実施例】以下、実施例、比較例をあげて更に具体的に
本発明を説明する。
【0029】実施例1〜3 比較例1〜4 アトマイズされた平均粒径25μmのアルミニウム粉末
100質量部に対し、窒化アルミニウム粉末を骨材とし
て15質量部を配合した混合粉末をアルミニウム箔製円
筒容器(高さ20cm、直径4cm)に充填し、窒素ガ
ス(80体積%)−アンモニアガス(20体積%)の雰
囲気下、最高温度1400℃に加熱された窒化炉に入れ
て窒化し、窒化アルミニウムインゴットを製造した。こ
れをジョークラッシャー、Wロールクラッシャーを用い
て1mm下の窒化アルミニウム粒に粗砕した後、ボール
ミルで30分間粉砕した。この粉砕品を45μmの振動
フルイで通過させ、更に分級を行い、平均粒径が22μ
mで、3μm以下の微粉が5質量%の窒化アルミニウム
粉末原料を製造した。
【0030】これを容器(材質は表1に示す)に充填
し、黒鉛発熱体の加熱炉にて還元雰囲気を制御して加熱
した。容器への充填は、粉末を単純に充填する粉末充填
か、又は粉末を直径100mmの円筒型の金型でプレス
圧10MPaに成形したプレス成形品を充填するかのい
ずれかの方法で行った。加熱時の諸条件を表1に示す。
なお、いずれの場合も、還元雰囲気ガスの流量は100
リットル/分、昇温速度は1200℃までは毎時600
℃、1200℃から最高温度までは毎時100℃とし、
最高温度における保持時間を2時間とした。
【0031】実施例4 ボールミル粉砕時間を30分から45分とし、平均粒径
17μm、3μm以下の粒子含有率9質量%の窒化アル
ミニウム粉末原料を用いたこと以外は、実施例1と同様
にして窒化アルミニウム粉末を製造した。
【0032】比較例5 実施例1の窒化アルミニウム粉末原料100質量部に、
平均粒径1.7μm、3μm以下が80質量%の市販の
窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製「Hグレード」)
を8質量部添加し、平均粒径20μm、3μm以下の微
粉が11質量%の窒化アルミニウム粉末原料を調整し、
それを用いたこと以外は、実施例1と同様にして窒化ア
ルミニウム粉末を製造した。
【0033】比較例6 市販の窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製Hグレー
ド)100質量部に焼結助剤としてイットリア粉末を5
質量部添加し、焼成温度1900℃で焼結して窒化アル
ミニウム焼結体を製造した。これをジョークラッシャ
ー、Wロールクラッシャー及び振動ミルを組み合わせて
粉砕し、分級を行って平均粒径25μmの窒化アルミニ
ウム粉末とした。
【0034】参考例1 市販の窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製Hグレー
ド)を用意した。
【0035】以上の窒化アルミニウム粉末について、そ
の平均粒径D50、酸素量、半価幅を以下に従って測定し
た。それらの結果を表2に示す。
【0036】(1)平均粒径D50:マイクロトラック社
製レーザー回折散乱法粒度分布測定装置を用いて測定し
た。 (2)酸素量:LECO社製酸素/窒素同時分析装置を
用いて測定した。 (3)半価幅:粉末X線回折装置を用いて、ミラー指数
(100)面、(002)面及び(101)面の3つの
回折ピークの平均半価幅を算出した。なお、X線回折に
おいて管球はCuでKα1ピークを用いた。
【0037】つぎに、上記窒化アルミニウム粉末をシリ
コーン樹脂に充填した放熱部材を以下に従って作製し、
そのアスカーC硬度と熱伝導率を測定した。それらの結
果を表2に示す。
【0038】上記窒化アルミニウム粉末と市販の窒化ア
ルミニウム粉末(トクヤマ社製Hグレード)とを質量比
で70:30で混合し、それをシリコーン樹脂(東芝シ
リコーン社製商品名「TSE3070」)に、窒化アル
ミニウム粉末:樹脂の体積比が70:30となる割合で
ラブプラストミルを用いて混練した。この混練物を金板
2枚に挟んで、10MPaの圧力で厚さ0.5mmのシ
ート状に成型し、乾燥機中、150℃の温度で5時間保
持し加硫させて放熱部材とした。
【0039】アスカーC硬度は、上記放熱部材を直径2
9mmの大きさに打ち抜いた後、数枚重ねて高さ10m
mに調整した後、アスカーC型スプリング式硬さ試験機
を用い、SRIS 0101に準拠して測定した。
【0040】また、熱伝導率は、シート状成型物をTO
−3型銅製ヒーターケースと銅板の間に挟み、締め付け
トルク300kPaでセットした後、ヒータケースに電
力15Wをかけて5分間保持した後、ヒーターケースと
銅板の温度差を測定し、TO−3型の伝熱面積0.00
06m2から算出した。
【0041】熱伝導率(W/mK)={電力(W)×シ
ート厚さ(0.0005m)}÷{伝熱面積(0.00
06m2)×温度差(℃)}
【0042】なお、放熱部材の熱伝導率の測定方法には
幾通りもあるが、本発明で採用した方法は、柔軟性を持
つ放熱部材を発熱性電子部品の搭載された基板を電子機
器に組み込むときの状態を最も正確に反映させた方法で
ある。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表1、2より、実施例で製造された窒化ア
ルミニウム粉末は、比較例に比べて酸素量が少なく、半
価幅が非常に小さい粉末であり、これの充填された放熱
部材は非常に熱伝導率が高いことが分かる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、放熱部材の熱伝導率を
著しく向上させる窒化アルミニウムフ粉末とその製造方
法及びそれの充填された高熱伝導性樹脂組成物、特に放
熱部材が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BC061 BD121 BN071 BN151 CC031 CC181 CD001 CF061 CF071 CF161 CF211 CG001 CK011 CM041 CN021 CN031 CP031 DF016 GQ00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が20〜50μm、酸素量が
    0.6質量%以下、X線回折によって得られるミラー指
    数(100)面、(002)面及び(101)面の3つ
    の回折ピークの平均半価幅が0.095°以下であるこ
    とを特徴とする窒化アルミニウム粉末。
  2. 【請求項2】 平均粒径が15〜50μm、3μm以下
    の微粉が10質量%以下である窒化アルミニウム粉末原
    料を窒化硼素製容器に充填し、還元雰囲気下、1900
    ℃以上の温度で加熱し、窒化アルミニウム粉末原料の酸
    素量を低減し結晶性を増大させることを特徴とする請求
    項1記載の窒化アルミニウム粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の窒化アルミニウム粉末を
    含有してなることを特徴とする樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の樹脂組成物がシリコーン
    樹脂組成物であり、その成形体からなることを特徴とす
    る電子機器の放熱部材。
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