JP2001158610A - 樹脂充填用窒化アルミニウム粉末及びその用途 - Google Patents

樹脂充填用窒化アルミニウム粉末及びその用途

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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂組成物特に放熱部材の熱伝導性を更に向上
させることができる窒化アルミニウム粉末、窒化アルミ
ニウム粉末と良熱伝導性微粉からなる混合粉末、及びそ
れが充填されてなる樹脂組成物、特に放熱部材を提供す
ること。 【解決手段】窒化アルミニウム焼結体の粉砕物からな
り、平均粒子径が50μm超であることを特徴とする樹
脂充填用窒化アルミニウム粉末。この窒化アルミニウム
粉末を50〜75体積%含有してなる樹脂組成物及びそ
の成型体からなる放熱部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂充填用窒化ア
ルミニウム粉末及及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、窒化アルミニウム粉末の良好
な熱伝導性を利用し、それを樹脂に充填した成型体を電
子機器の放熱部材とする提案が多くある(特開平3−1
4873号公報、特開平3−295863号公報、特開
平6−164174号公報等)。
【0003】しかしながら、樹脂中の窒化アルミニウム
粉末は、水分と加水分解を起こし、水酸化アルミニウム
とアンモニアガスを発生する。水酸化アルミニウムは、
熱伝導率が窒化アルミニウムよりもかなり小さく、また
アンモニアガスはそのまま気泡として残存するので、い
ずれの場合も放熱部材の放熱特性が低下し、窒化アルミ
ニウム粉末の良好な熱伝導性を充分に生かすことができ
ていない。
【0004】ここで、放熱部材とは、シリコーン等の絶
縁性樹脂に窒化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、ア
ルミナ等の熱伝導性フィラーが充填されたものであり、
IC、LSI等の半導体素子から発生した熱を効率よく
系外に除去するため、例えば半導体素子と放熱基板等と
の隙間に組み込まれて使用されているものであり、その
サイズ、硬さ、用途等の違いによって、放熱板、放熱シ
ート、放熱スペーサー等がある。
【0005】そこで、上記問題を解決するため、窒化ア
ルミニウム焼結体の粉砕物を用いることが提案されてい
る(特開平6−209057号公報)。窒化アルミニウ
ム焼結体は、焼結によって窒化アルミニウム粒子の格子
欠陥が取り除かれているため、耐加水分解性は高められ
ているが、その粉砕によって得られた窒化アルミニウム
粉末には再び格子欠陥が発生するので、期待したほどの
改善効果はない。
【0006】同様の考え方から、球状窒化アルミニウム
焼結体粒子を用いることの提案がある(特開平4−17
4910号公報、特開平11−269302号公報)。
この技術は、原料窒化アルミニウム粒子サイズをあらか
じめ造粒等によって焼結粒子サイズに調整しておくもの
であり、粉砕工程を経ないことが特徴である。このよう
にして製造された球状粒子をフィラーとすることによっ
て、樹脂の熱伝導率が向上し、また樹脂の流動性や成型
時の金型摩耗をも改善させることができるので、確かに
理想的なフィラーといえる。しかし、この球状粒子を工
業的規模で生産するには、製造技術面でクリアすべき課
題が多い。例えば、造粒時に有機系バインダー及び溶剤
を用いること、焼成時に焼結助剤の溶出により球状粒子
同士が合着・凝集することなどである。
【0007】放熱部材の熱伝導率の向上にはフィラー粒
度の影響が大きく、大粒径フィラーの方が有利と言われ
ている。小粒径フィラーでは、粒子間の接触抵抗が増大
し、放熱部材の熱伝導率が低下するからである。
【0008】しかし、大粒径フィラーを充填し熱伝導率
を向上させる技術においても限界があり、一定の充填量
まで熱伝導率は向上するが、それをこえて充填すると熱
伝導率は低下する。これは、充填量が一定量をこえると
放熱部材の表面に凹凸が生じ、発熱性電子部品等の発熱
体に実装させたとき、発熱体との密着性が悪くなり、効
果的な伝熱ができなくなるためである。
【0009】近年、発熱性電子部品は高密度化により、
放熱部材の更なる放熱特性の要求が益々高まり、これま
での限界をこえる領域に達しつつある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑み
てなされたものであり、その目的は、樹脂組成物特に放
熱部材の熱伝導性を更に向上させることができる窒化ア
ルミニウム粉末、窒化アルミニウム粉末と良熱伝導性超
微粉からなる混合粉末、及びそれらが充填されてなる樹
脂組成物、特に放熱部材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、以
下のとおりである。 (請求項1) 窒化アルミニウム焼結体の粉砕物からな
り、平均粒子径が50μm超であることを特徴とする樹
脂充填用窒化アルミニウム粉末。 (請求項2) 不均一歪みが0.005以下であること
を特徴とする請求項1記載の樹脂充填用窒化アルミニウ
ム粉末。 (請求項3) 請求項1又は2記載の窒化アルミニウム
粉末と、平均粒子径が3μm以下の、窒化アルミニウ
ム、窒化けい素、窒化ホウ素、炭化けい素、黒鉛、アル
ミニウム、シリコン、銅、銀及び金から選ばれた1種又
は2種以上の良熱伝導性超微粉とからなり、良熱伝導性
超微微粉の含有率が60%以下であることを特徴とする
樹脂充填用混合粉末。 (請求項4) 不均一歪みが0.005以下であること
を特徴とする請求項3記載の混合粉末。 (請求項5) 請求項1又は2記載の窒化アルミニウム
粉末を50〜85体積%含有してなることを特徴とする
樹脂組成物。 (請求項6) 請求項3又は4記載の混合粉末を50〜
85体積%含有してなることを特徴とする樹脂組成物。 (請求項7) 請求項5又は6記載の樹脂組成物の成型
体からなることを特徴とする発熱性電子部品の放熱部
材。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、更に詳しく本発明について
説明する。
【0013】本発明において、重要なことは、樹脂組成
物特に放熱部材の熱伝導率向上させるために、フィラー
として窒化アルミニウム粉末の焼結体を粉砕して得られ
た粉末(以下、「焼結体粉末」ともいう。)を用い、そ
の粒度構成を平均粒子径50μm超としたことである。
【0014】本発明で使用される焼結体粉末は、例え
ば、窒化アルミニウム粉末にイットリア等の焼結助剤を
0.5〜10%程度添加し、成形後、窒素、アルゴン等
の非酸化性雰囲気下、温度1600〜2000℃程度で
焼結された窒化アルミニウム焼結体を粉砕して得られた
ものである。窒化アルミニウム焼結体の相対密度の違い
によって、樹脂への最大可能充填量、ひいては放熱部材
の熱伝導率が相違するので、相対密度は90%以上であ
ることが好ましい。相対密度が90%未満であると、焼
結体粉末が嵩高くなり、最大充填可能量は相対密度にほ
ぼ比例して多くなるが、その絶対量は少ない。これに対
し、相対密度が90%以上であると、最大充填可能量は
相対密度にあまり関係せずにその絶対量は多くなる。例
えば、相対密度94%の焼結体粉末の最大充填可能量は
66体積%程度であるのに対して、相対密度86%の焼
結体粉末のそれは57体積%程度である。このような現
象は、本発明者が初めて見いだしたものであり、本発明
はこの知見に基づいている。
【0015】本発明の焼結体粉末の平均粒子径は、以下
の2つの理由から50μm超でなければならない。その
第1の理由は、粒子径が大きいフィラーの方が熱伝導率
の向上に有利なことである。平均粒子径が50μm以下
では、粒子径が小さくなる分、フィラー粒子間に接触抵
抗が生じ、樹脂組成物特に放熱部材の熱伝導率を更に向
上させることが困難となる。
【0016】第2の理由は、窒化アルミニウムの微粉が
耐加水分解性に劣ることである。特に粉砕により発生す
る3μm以下の超微粉は著しく耐加水分解性に劣る。こ
れは、粉末の比表面積の増大に起因するだけでなく、粉
砕力により、窒化アルミニウム粉末中に格子歪みが発生
したことが原因である。従って、平均粒子径が50μm
以下であると、3μm以下の超微粉量が増え、樹脂中の
水分によって加水分解を受けたり、樹脂組成物特に放熱
部材を製造する際に、空気中の水分と加水分解をして、
熱伝導率の小さい水酸化アルミニウムとアンモニアガス
が発生し、高熱伝導化に悪影響を与える。
【0017】本発明において、焼結体粉末の平均粒子径
の上限値は、放熱部材の厚みに対して相対的に決めれば
良く、特に制限はない。焼結体粉末の最大粒子径は、放
熱部材の厚みの90%程度以下であり、しかもできるだ
け大きな平均粒子径であることが望ましい。本発明の焼
結体粉末が、このような大きな平均粒子径で構成してよ
い理由は、他の良熱伝導性超微粉と併用することによっ
て、発熱性電子部品等の発熱体との密着性を確保するこ
とができるからである。
【0018】すなわち、放熱部材の厚みに対して90%
程度をこえる粒子径をもつ大きなィラーの充填された放
熱部材では、表面に凹凸が発生し、放熱部材との密着性
が低下して、効率的な放熱ができなくなる。しかしなが
ら、良熱伝導性超微粉の適切量と併用することにより、
これを改善することができる。良熱伝導性超微粉の平均
粒子径は、3μm以下が好ましい。良熱伝導性超微粉の
材質は、窒化アルミニウム、窒化けい素、窒化ホウ素、
炭化けい素、黒鉛、アルミニウム、シリコン、銅、銀及
び金であることが好ましい。
【0019】本発明において、焼結体粉末、又は焼結体
粉末と良熱伝導性超微粉からなる混合粉末の不均一歪み
は0.005以下、特に0.003以下であることが好
ましい。不均一歪みが0.005超であると耐加水分解
性が著しく劣り、樹脂組成物特に放熱部材の熱伝導率を
逆に低下させてしまう。
【0020】良熱伝導性超微粉として、窒化アルミニウ
ム超微粉を用いる場合、その不均一歪みについても0.
005以下、特に0.003以下であることが好まし
い。このような窒化アルミニウム超微粉は、ビルドアッ
プ法で合成した易粉砕性窒化アルミニウムインゴットを
解砕することによって製造することができる。その易粉
砕性インゴットは、アルミナ粉末の炭素還元窒化法や、
金属アルミニウム粉末の直接窒化法、例えば金属アルミ
ニウム粉末に窒化アルミニウム粉末を混合し、それを時
間当たりの反応量が2%以下となるように温度・雰囲気
等をコントロールして金属アルミニウム粉末を窒化する
ことによって製造することができる。
【0021】本発明でいう不均一歪みとは、窒化アルミ
ニウム粉末結晶の不完全性を表す指標である(例えば
「X線回折の手引き 改訂第四版」 理学電気株式会社
発行1993年6月15日 第76頁参照)。窒化アル
ミニウム粉末製造時、例えば合成や粉砕等のプロセスを
経る間に、結晶格子中に欠陥や転移が生じたり、酸素が
固溶することによって変化する。不均一歪みの値が大き
い場合、粉末の耐加水分解性と熱伝導性が劣ることとな
る。不均一歪みの測定法については、後記実施例で説明
する。
【0022】焼結体粉末と良熱伝導性超微粉からなる混
合粉末中の良熱伝導性超微粉の含有率は60%以下であ
ることが好ましい。60%をこえると、混合粉末の接触
抵抗増大により、樹脂組成物特に放熱部材の熱伝導率は
大きく向上しない。
【0023】本発明の焼結体粉末又は混合粉末の樹脂組
成物への充填量は、50〜85体積%、特に72〜80
体積%であることが好ましい。50体積%未満では、樹
脂組成物特に放熱部材の熱伝導率は向上せず、また85
体積%をこえると放熱部材等の樹脂組成物成型体の製造
が困難となる。
【0024】窒化アルミニウム焼結体を粉砕し、本発明
の焼結体粉末を製造するには、ボールミル、振動ミル、
ローラーミル、媒体攪拌ミル等の粉砕機が用いられる。
また、焼結体粉末と良熱伝導性超微粉からなる混合粉末
の調合には、ボールミル、振動ミル等の混合機が使用さ
れる。
【0025】本発明の樹脂組成物で使用される樹脂とし
ては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、
フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエー
テルイミド等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポ
リフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリ
スルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリ
カーボネイト、マレイミド変成樹脂、ABS樹脂、AA
S(アクリロニトリルーアクリルゴム・スチレン)樹
脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン
・ジエンゴムースチレン)樹脂等をあげることができ
る。
【0026】樹脂がエポキシ樹脂である場合、その硬化
剤については、エポキシ樹脂と反応して硬化させるもの
であれば特に限定されず、例えば、フェノール、クレゾ
ール、キシレノール、レゾルシノール、クロロフェノー
ル、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、イソプ
ロピルフェノール、オクチルフェノール等の群から選ば
れた1種又は2種以上の混合物をホルムアルデヒド、パ
ラホルムアルデヒド又はパラキシレンとともに酸化触媒
下で反応させて得られるノボラック型樹脂、ポリパラヒ
ドロキシスチレン樹脂、ビスフェノールAやビスフェノ
ールS等のビスフェノール化合物、ピロガロールやフロ
ログルシノール等の3官能フェノール類、無水マレイン
酸、無水フタル酸や無水ピロメリット酸等の酸無水物、
メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、
ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミンなどがあ
る。
【0027】これらの中で、放熱部材のマトリックスと
なる樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂、ポリウレタ
ン系樹脂、天然ゴム、シリコーン系樹脂が好適であり、
アスカーC硬度が50程度以下の高柔軟性放熱部材の場
合には、以下のシリコーン原料の加硫物であることが好
ましい。
【0028】シリコーン原料としては、付加反応型液状
シリコーンゴム、過酸化物を用いる熱加硫型ミラブルタ
イプのシリコーンゴム等が使用されるが、電子部品の放
熱部材では、発熱電子部品の発熱面とヒートシンク面と
の密着性が要求されるため、付加反応型液状シリコーン
ゴムが望ましい。その具体例としては、一分子中にビニ
ル基とH−Si基の両方を有する一液性のシリコーン
や、末端又は側鎖にビニル基を有するオルガノポリシロ
キサンと末端又は側鎖に2個以上のH−Si基を有する
オルガノポリシロキサンとの二液性のシリコーンなどが
あり、市販品としては、東レダウコーニング社製、商品
名「SE−1885」等がある。シリコーン硬化物の柔
軟性は、シリコーンの架橋密度や熱伝導性フィラーの充
填量によって調整することができる。
【0029】本発明の樹脂組成物は、上記諸材料をブレ
ンダーやミキサーで混合することによって製造すること
ができる。
【0030】本発明の樹脂組成物の用途は、それを成形
してなる放熱部材があるが、何らこれに限られることは
ない。放熱部材は、プレス成形法、押し出し成形法、ド
クダーブレード法によって、樹脂組成物を成形し、それ
を加熱硬化させることによって製造することができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例及び比較例をあげて更に具体的
に本発明を説明する。
【0032】実施例1〜2 比較例1 質量基準で、平均粒子径4.1μmの窒化アルミニウム
粉末(電気化学工業社製「AP−50」)100部と酸
化イットリウム粉末(三菱化学社製、比表面積20m2
/g)5部の混合粉を、圧力20MPaをかけて直径5
0mmの成型体をつくり、窒素雰囲気中、温度1950
℃で焼成した。得られた窒化アルミニウム焼結体の相対
密度は92%であった。この焼結体を以下に従って粉砕
・分級し、各種の焼結体粉末を製造した。
【0033】先ず、窒化アルミニウム焼結体をジョーク
ラッシャー、ロールクラッシャーの順で粗粉砕した後、
JIS篩により150μm以下の粉末を回収し、篩上粗
粉は再度ロールクラッシャーで粉砕した後150μm篩
下に整えた。150μm篩下の収率が80〜90%程度
になるまでこの操作を繰り返して行い、回収された焼結
体粉末を実施例1とした。また、実施例1と同様の方法
で、篩目開き106μmの篩を用いて焼結体粉末を調整
し、実施例2の粉末とした。更に、実施例2の焼結体粉
末をボールミルを用いて微粉砕し、粉砕時間にて粒度を
調整して比較例1の焼結体粉末とした。
【0034】上記で得られた焼結体粉末について、以下
に従い、平均粒子径、3μm以下の微粉の含有率を表1
に、不均一歪み、加水分解度、試作した放熱部材の熱伝
導率の測定結果を表2に示す。
【0035】(1)平均粒子径及び3μm以下の微粉含
有率:実施例1及び2の平均粒子径は、JIS篩を用い
たロータップ法により測定した。また、3μm以下の粒
子の含有率は、先ず45μm篩いにより45μm以下の
粉末を回収し、これを用いてレーザー回折式粒度分布法
(測定装置:Leed&Northrup社製「マイク
ロトラックSPA」)で測定した。比較例1では、平均
粒子径、3μm以下の微粉含有率共に、レーザー回折式
粒度分布法により測定した。
【0036】(2)不均一歪み:X線回折法による修正
Hall法により測定した。粉末のKα1とKα2の回
折線を多重ピーク分離し、真の半値幅βは、実測半値幅
Bと機械的半価幅bに対して、β2=B2−b2であると
する。bはSiO2の回折線から求める。βは結晶子径
と不均一歪みより決まり、歪みがGauss分布に従う
とすると、β2/tan 2θ=Kλβ/(εtanθ・sinθ)+
4η2の関係がある。ここでK:定数(=0.9)、
λ:CuKα線の波長(1.54Å)、η:不均一歪
み、ε:結晶子径である。従って、Kλβ/(εtanθ・
sinθ)とβ2/tan2θをプロットし、その切片より4η
2を求め、粉末の不均一歪みが求まる。
【0037】(3)加水分解度:焼結体粉末を温度80
℃、相対湿度95%以上の条件下に24時間静置した
後、粉末の酸素量を測定して評価した。試験前後の酸素
量の差が、式、AlN+3H2O=Al(OH)3 +N
3 、に従い、窒化アルミニウムが水酸化アルミニウム
に変化したと仮定し、試験前後の酸素量の差を窒化アル
ミニウムが水酸化アルミニウムに変化したときの理論酸
素量(61.5%)で割った値を、加水分解度とした。
【0038】(4)熱伝導率:焼結体粉末:シリコーン
樹脂(東芝シリコーン社製商品名「TSE3070」)
との体積比を60:40として、ラボプラストミルを用
いて両者を混練りした。この混練り物を金板2枚に挟ん
で、10MPaの圧力をかけて厚さ1.0mmのシート
状に成型し、これを乾燥機中、150℃の温度で5時間
保持して加硫させ、放熱部材を試作した。熱伝導率は、
このシート状の放熱部材をTO−3型銅製ヒーターケー
スと銅板の間に挟み、締め付けトルク300kPaでセ
ットした後、ヒーターケースに電力15Wをかけて5分
間保持した後、ヒーターケースと銅板の温度差を測定
し、TO−3型の伝熱面積0.0006m2から、式、
熱伝導率(W/mK)=〔電力(W)×シート厚さ
(0.0005m)〕/〔伝熱面積(0.0006
2)×温度差(℃)〕から算出した。
【0039】なお、放熱部材の熱伝導率の測定方法には
幾通りもあるが、上記測定法は、柔軟性を持つ放熱部材
を発熱性電子部品等の発熱体に実装させたときの状態を
最も正確に反映させた方法である。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】表1、表2に示すとおり、同一の窒化アル
ミニウム焼結体を粉砕し、粒度構成の異なる焼結体粉末
を種々調整したところ、その粒度構成によって、不均一
歪みと加水分解度に大きな差があることが確認された。
特に、平均粒子径が50μm超の粉末には、不均一歪み
がなく、加水分解度が小さいことが示された。また、放
熱部材の熱伝導率は、焼結体粉末の平均粒子径とほぼ相
関性が認められ、特に平均粒子径50μm超の焼結体粉
末を用いると、顕著に向上した。これに対して、焼結体
粉末の平均粒子径が50μm以下である比較例1では、
3μm以下の微粉が多いためか、不均一歪みがあり、加
水分解度が著しく大きいものであった。また、熱伝導率
も小さいものであった。その原因を、放熱部材の断面を
SEM写真により調べたところ、実施例では樹脂中に焼
結体粉末が均質に分散していたのに対し、比較例のもの
は、窒化アルミニウム微粉の加水分解により発生したア
ンモニアガスによるものと考えられる空隙が、樹脂と焼
結体粉末との間に存在していた。
【0043】実施例3〜12 次に、実施例1で使用した焼結体粉末と、表3に示され
る各種の良熱伝導性超微粉とを混合して混合粉末とな
し、混合粉末:シリコーン樹脂の体積比を75:25の
混練り物を混練し、シート暑さの方向に300MPaの
圧力をかけて成形したこと以外は、実施例1と同様にし
てシート状成型物を製造した。それらの結果を表4に示
す。
【0044】なお、ここで用いられた良熱伝導性超微粉
の窒化アルミニウム超微粉は、平均粒子径1.8μm、
不均一歪み0.000の窒化アルミニウム粉末(トクヤ
マ社製「Hグレード」)である。その他の超微粉、窒化
けい素(電気化学工業製「SN−9FW」)、窒化ホウ
素(電気化学工業製「GP粉」)などは、市販品をその
まま、又は平均粒子径が3μmをこえるものについて
は、それを粉砕・分級して平均粒子径3μm以下に調整
して使用した。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】表4から明らかなように、焼結体粉末と良
熱伝導性超微粉との混合粉末を用いることによって密着
性が高まり、放熱部材の熱伝導率が一段と向上した。こ
れは、混合粉末の不均一歪みが小さいこと、加水分解度
が小さいことに原因していると考えられる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、樹脂組成物特に放熱部
材の熱伝導性を更に向上させることができる窒化アルミ
ニウム粉末、窒化アルミニウム粉末と良熱伝導性微粉か
らなる混合粉末、及びそれが充填されてなる樹脂組成
物、特に放熱部材が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BD121 BN061 BN121 BN151 CC031 CC161 CC181 CD001 CF061 CF071 CF181 CF211 CG001 CL061 CM041 CN011 CN031 CP031 DA027 DA077 DA097 DF016 DF017 DJ007 DK007 FB016 FD016 GQ00 4M109 EB12 EB16 EB18 5F036 AA01 BA04 BA26 BB01 BD21

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム焼結体の粉砕物からな
    り、平均粒子径が50μm超であることを特徴とする樹
    脂充填用窒化アルミニウム粉末。
  2. 【請求項2】 不均一歪みが0.005以下であること
    を特徴とする請求項1記載の樹脂充填用窒化アルミニウ
    ム粉末。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の窒化アルミニウム
    粉末と、平均粒子径が3μm以下の、窒化アルミニウ
    ム、窒化けい素、窒化ホウ素、炭化けい素、黒鉛、アル
    ミニウム、シリコン、銅、銀及び金から選ばれた1種又
    は2種以上の良熱伝導性超微粉とからなり、良熱伝導性
    超微微粉の含有率が60%以下であることを特徴とする
    樹脂充填用混合粉末。
  4. 【請求項4】 不均一歪みが0.005以下であること
    を特徴とする請求項3記載の混合粉末。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の窒化アルミニウム
    粉末を50〜85体積%含有してなることを特徴とする
    樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項3又は4記載の混合粉末を50〜
    85体積%含有してなることを特徴とする樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6記載の樹脂組成物の成型
    体からなることを特徴とする発熱性電子部品の放熱部
    材。
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