JP2006273969A - 硬化可能な組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
窒化アルミニウムの有する高い熱伝導率を有効に活用し、高い熱伝導率を有する硬化可能な樹脂組成物、および、その各種用途を提供する。
【解決手段】
形態が球状であり、平均粒子径が0.001〜500μmであり、かつ、気孔率が0.3%以下である窒化アルミニウム粉(A)と、合成樹脂(B)とを含有する、硬化可能な組成物。
上記の硬化可能な組成物を応用した、接着剤、積層体、コイル絶縁用ワニス、コイル、およびモータ用インシュレータ。
【選択図】 なし
Description
(1) 形態が球状であり、平均粒子径が0.001〜500μmであり、かつ、気孔率が0.3%以下である窒化アルミニウム粉(A)と、合成樹脂(B)とを含有する、硬化可能な組成物、に関する。
(2)上記窒化アルミニウム粉(A)の含有量が5〜95重量%である、上記(1)に記載の硬化可能な組成物。
(3)上記合成樹脂(B)が、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、およびポリエーテルサルホン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種類の樹脂を含有する、上記(1)に記載の硬化可能な組成物。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の硬化可能な組成物を含んでなる接着剤。
(5)上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の硬化可能な組成物と、金属板とを用いて得られた、積層体。
(6)上記(5)に記載の積層体を有する、コイル。
(7)上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の硬化可能な組成物を含んでなる、コイル絶縁用ワニス。
(8)上記(7)に記載のコイル絶縁用ワニスを用いて得られたコイル。
(9)上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の硬化可能な組成物を用いて得られたモータ用インシュレータ。
(窒化アルミニウム粉(A))
本発明において用いられる窒化アルミニウム粉(A)は、AlNからなり、球状の形態を持ち、その平均粒子径が0.001〜500μm、好ましくは30〜200μmであり、気孔率が0.3%以下、好ましくは0.2%以下である。さらに、安息角θが45°以下であることが好ましい。
そのまま走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認できる。また、エポキシ樹脂に窒化アルミニウム粉(A)を添加し、硬化後にこれを切断し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察することによっても確認できる。
本発明では、窒化アルミニウム粉(A)の気孔率は0.3%以下であり、0.2%以下がさらに好ましい。気孔率が0.3%以下なので、合成樹脂との混合物中における空気層の含有率が低減され、該混合物の熱伝導性ひいては放熱性が高くなり好ましい。
(窒化アルミニウム粉(A)の製造方法)
本発明の窒化アルミニウム粉(A)は、たとえば、1次粒子径0.1〜0.8μmの粉末を全量の10重量%以上含むAlN粉末と焼結助剤とを含むスラリーを噴霧乾燥し、さらに1400〜1800℃で焼成することによって製造できる。
。さらに、1次粒子径0.1〜0.8μmの粉末を10重量%以上含有すると、得られる焼結粉表面の気孔の割合が小さく、合成樹脂と混合した際の熱伝導率が高く、放熱性が良くなるので好ましい。
〔式中、Aは原料AlN粉末と焼結助剤との合計量を示す。Bは燐酸水溶液の量を示す。いずれの量も重量である。〕
スラリーには、必要に応じて、バインダ成分を添加することができる。バインダ成分としては、水溶性のものが好ましく使用できる。水溶性のバインダ成分としては、たとえば、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、デンプンなどが挙げられる。バインダ成分の使用量は特に制限されず、最終的に得られる窒化アルミニウム粉の物性、粒径などに影響を与えない範囲の中から適宜選択できるが、通常はAlN粉末100重量部に対し0.03〜0.5重量部程度とすればよい。
(合成樹脂(B))
本発明に用いられる合成樹脂(B)には特に制限はなく、使用目的に応じた硬化特性およびその他の諸物性を具備するものであれば適宜使用することができる。シリコーン系合成樹脂および非シリコーン系合成樹脂のいずれであってもよく、また、両者を組み合わせて使用しても良い。
本発明の硬化可能な組成物は、その硬化のタイミングをある程度人為的に制御できる組成物であればよく、その種類および硬化のメカニズムには特に制限はない。すなわち、流動性を有する状態で一定期間保存可能であり、かつ、使用者が望むタイミング(ある程度の時間的幅を有していても良い。)で、硬化または流動性を低下せることができる組成物であれば良い。
(接着剤)
本発明の組成物は、硬化可能であり、かつ、高い熱伝導性を有するので、接着剤、特に電気電子分野における接着剤として好ましく用いられる。本発明の好ましい実施態様である接着剤は、その全部が本発明の硬化可能な組成物で構成されていてもよいし、その一部が本発明の硬化可能な組成物で構成されていても良い。
(積層体)
本発明の硬化可能な組成物と金属板とを用いて得られた積層体は、本発明の好ましい実施態様の1つである。この様な積層体は、熱伝導性に優れ、かつ、金属が本来有する電気的、磁気的性質を活用できるので、好ましい。
(コイル絶縁用ワニスおよびコイル)
本発明の硬化可能な組成物を含んでなるコイル絶縁用のワニスは、本発明の好ましい実施態様の1つである。この様なワニスは、絶縁性を有するとともに、高い熱伝導性を有するので、特に大出力のコイルにおいて発生した熱を除去する観点から、実用的に高い価値を有する。この様なワニスを用いて得られたコイル、およびそれを用いるモータ、発電機等の電気機器は、発熱を効率よく除去できるため、その性能に優れ、実用上高い価値を有する。
タン(PU)、ポリビニルアセタール(PVA)及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の樹脂から得られたコポリマーが好ましい。 コポリマーは、10重量%〜50重量%、好ましくは、20重量%〜40重量%のアルコキシシランを添加することによって得られ多ものであると、更に好ましい。当該アルコキシシランは、テトラエトキシシラン(TEOS)のようなテトラアルコキシシラン並びにトリメトキシシラン及びアミノプロピルトリメトキシシランのようなトリアルコキシシランから選択されることが、好ましい。
この様なワニスおよびコイルの構成の詳細については、例えば、特開2002−206060号公報に記載されている。
(モータ用インシュレータ)
本発明の硬化可能な組成物は、高い熱伝導率と、絶縁性とを具備し、更に所望の硬化特性を有しており形状付与が容易なので、モータ用インシュレータの材料として、好ましく用いられる。この際の本発明の硬化可能な組成物を構成する合成樹脂(B)には特に制限はないが、三井化学株式会社製のオーラム(登録商標)等の熱可塑性ポリイミド樹脂が、特に好ましく用いられる。モータ用インシュレータは、モータのコアと巻線とを絶縁ために用いられる部材で、その構成、使用方法等の詳細は、例えば、特開2001−095188号公報等に、詳細に説明されている。
[実施例]
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。本発明はいかなる意味においても、これらの実施例に限定されるものではない。
(平均粒子径および真球度の評価方法)
本発明において、窒化アルミニウム粉(A)の平均粒子径および真球度の評価は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて顕微鏡写真を撮影し、顕微鏡写真中の粒子100個を観察する方法で行った。平均粒子径は、粒子100個の直径の平均値から求めた。真球度については、粒子100個の短径と長径の比を測定し、その平均値から求めた。
(実施例1)
撹拌器、還流冷却器および窒素導入管を備えた容器にN−メチル−2−ピロリドン566gを装入し、平均粒子径15μm、気孔率0.1%、真球度0.96の窒化アルミニウム粉(三井化学(株)製)を226.4g仕込み、超音波を15分間照射することにより窒化アルミニウム粉を分散させた。さらに1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン29.2g(0.1モル)を装入し、室温窒素雰囲気下で撹拌を行い溶解させた。これに撹拌下3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物30.9g(0.0995モル)を加え、50℃に昇温したのち1時間撹拌した。その後、無水フタル酸0.4434g(0.003モル)を加えた後、50℃でさらに2時間撹拌をつづけ、窒化アルミニウム含有ポリアミド酸樹脂組成物を得た。
(比較例1)
窒化アルミニウム粉として、平均粒子径15μm、気孔率0.1%、真球度0.96の窒化アルミニウム粉の代わりに、平均粒子径13μm、気孔率0.37%、真球度0.94の窒化アルミニウム粉を用いる以外は実施例1と同様の方法により、窒化アルミニウム含有ポリイミドフィルム(B)を得た。厚みは40μmであった。窒化アルミニウム含有ポリイミドフィルム(B)の熱伝導率をホットデスク法により測定したところ、4.0W/m・Kであった。
(実施例2)
窒化アルミニウム粉として、平均粒子径15μm、気孔率0.1%、真球度0.96の窒化アルミニウム粉(三井化学(株)製)の代わりに、平均粒子径2μm、気孔率0.1%、真球度0.96の窒化アルミニウム粉(三井化学(株)製)を用いる以外は実施例1と同様の方法により得られる窒化アルミニウム含有ポリアミド酸樹脂組成物を、厚み25μのFe系アモルファス合金薄帯(日立金属製METGLAS2605TCA)からなる電磁鋼板の表面に、グラビアコータにより塗布した。塗布後、250℃の熱風条件下でイミド化し、3.0μmの樹脂層厚とした。
(比較例2)
窒化アルミニウム粉として、平均粒子径2μm、気孔率0.1%、真球度0.96の窒化アルミニウム粉の代わりに、平均粒子径2μm、気孔率0.37%、真球度0.94の窒化アルミニウム粉を用いる以外は実施例2と同様の方法により、窒化アルミニウム含有樹脂接着電磁鋼板の積層体が得られた。
(実施例3)
平均粒子径72μm、気孔率0.1%、真球度0.96の窒化アルミニウム粉(三井化学(株)製)803gと、熱可塑性ポリイミド樹脂( 三井化学( 株) 製、商品名オーラム(登録商標)PL450)750g とを2軸押出機にて400℃で溶融混練してペレットを得た。本ペレットを用いて60mm1軸押出機により410 ℃で溶融し、モータ用インシュレータを射出成形した。このモータ用インシュレータの熱伝導率をホットデスク法により測定したところ、4.4W/m・Kであった。
(比較例3)
窒化アルミニウム粉として、平均粒子径72μm、気孔率0.1%、真球度0.96の窒化アルミニウム粉の代わりに、平均粒子径70μm、気孔率0.37%、真球度0.94の窒化アルミニウム粉を用いる以外は実施例3と同様の方法により、窒化アルミニウムを含有したポリイミドのモータ用インシュレータを得た。
Claims (9)
- 形態が球状であり、平均粒子径が0.001〜500μmであり、かつ、気孔率が0.3%以下である窒化アルミニウム粉(A)と、合成樹脂(B)とを含有する、硬化可能な組成物。
- 上記窒化アルミニウム粉(A)の含有量が5〜95重量%である、請求項1に記載の硬化可能な組成物。
- 上記合成樹脂(B)が、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、およびポリエーテルサルホン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種類の樹脂を含有する、請求項1に記載の硬化可能な組成物。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の硬化可能な組成物を含んでなる接着剤。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の硬化可能な組成物と、金属板とを用いて得られた、積層体。
- 請求項5に記載の積層体を有する、コイル。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の硬化可能な組成物を含んでなる、コイル絶縁用ワニス。
- 請求項7に記載のコイル絶縁用ワニスを用いて得られたコイル。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の硬化可能な組成物を用いて得られたモータ用インシュレータ
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