JP2022089494A - 絶縁性組成物、熱硬化性接着シート、熱伝導性接着層および複合部材 - Google Patents

絶縁性組成物、熱硬化性接着シート、熱伝導性接着層および複合部材 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁性、耐湿性、耐熱性(半田リフロー耐性)、熱伝導性および接着性に優れる絶縁性組成物、熱硬化性接着シート、熱伝導性接着層および複合部材を提供する。【解決手段】本発明の絶縁性組成物は、熱硬化型の組成物であって、テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンを含むポリアミン化合物との反応物である、酸無水物基末端を含むポリイミド樹脂(A)と、硬化剤(B)と、熱伝導性フィラー(C)とを含有する。熱伝導性フィラー(C)として、タップ密度が0.4g/cm3以上である窒化ホウ素(c1)を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド樹脂を含む熱硬化型の絶縁性組成物に関する。また、熱硬化性接着シート、熱伝導性接着層および複合部材に関する。
電子機器に搭載される電子部品の高性能化・高密度化・薄型化の開発に伴って、電子部品の絶縁材料、封止材料、接着材料、保護材料等に用いられる樹脂組成物についても高性能材料が求められている。
例えば、特許文献1には、リワーク性、接着性、屈曲性、電気絶縁性等に優れる熱硬化性接着シートの提供を課題として、特定の種類から選択される樹脂と、前記樹脂と熱硬化する硬化剤と、特定量のアルカリ金属化合物とが配合された熱硬化性接着シートが提案されている。また、特許文献2には、低温貼付性、熱時流動性および加熱硬化後の信頼性のいずれも充分に良好な接着剤組成物の提供を課題として、ダイマー酸を含む酸と、ジアミンおよび/またはジイソシアネートとが重縮合することにより得られる、Tgが150℃以下のポリアミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂から選択される重縮合ポリマーと、熱硬化性樹脂を含有する接着剤組成物が提案されている。
更に、特許文献3には、熱伝導性、高光反射率、耐熱性および絶縁性に優れた接着剤組成物の提供を課題として、ポリエーテルスルホン樹脂または下記一般式(α)を有するポリイミド樹脂から選択されるバインダー樹脂、熱硬化性樹脂、硬化剤、熱伝導性フィラーおよび特定の平均粒子径を有する酸化チタンフィラーを含有する接着剤組成物が開示されている。
Figure 2022089494000001
一般式(α)中のR~Rはそれぞれ同一でも異なっていてよく、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン、スルホン基、ニトロ基およびシアノ基から選ばれる基を示す。
また、特許文献4には、放熱性、高温下での寸法安定性に優れた放熱シートの提供を課題として、放熱フィラーと、ポリウレタンイミド構造を有するイミド変性エラストマーからなる放熱シートが開示されている。
熱硬化型の樹脂組成物は、硬化前は異種部材または異種部品間を仮固定し、熱硬化処理後は絶縁層として機能させることができるが、近年の電子部品の高密度化、配線の狭ピッチ化に対応できる優れた絶縁信頼性を有する樹脂組成物が求められている。また、半導体パッケージの製造工程では、リフロー工程において200~300℃程度の高温に晒されるが、このような高温の熱履歴後にも優れた接着力を有する樹脂組成物が求められる。
電子部品の利用用途は多岐にわたり、例えば、車載用の電子機器に搭載される場合には、高湿度の苛酷な条件で使用される場合があり、高湿環境下においても信頼性の高い樹脂組成物が求められる。更に、近年の電子部品の小型化とハイパワー化に伴って、発熱体から発生する熱量が大きくなっており、優れた耐熱性に加えて、発熱による誤動作防止等のために電子部品内部の熱を効率よく拡散させる熱伝導性の高い樹脂組成物が求められている。
特開2019-99583号公報 特開2011-42730号公報 特開2017-128637号公報 特開2009-215480号公報
絶縁信頼性、耐湿性、耐熱性および熱伝導性を兼ね備えながら優れた接着性を示す材料を提供できれば、従来の接着材層の代替材料としての利用および電子部品の高性能化が期待できる。また、接着材層以外の用途においてもハンドリング性に優れる材料を提供できる。しかしながら、樹脂中に熱伝導性フィラーを多量に含有させると熱伝導性が向上するものの接着性などの他の特性が低下しやすく、市場では、絶縁性、熱伝導性、耐熱性、耐湿性および接着性をバランス良く兼ね備える材料を提供できる絶縁性組成物が希求されている。
なお、上記においては電子部品に用いられる樹脂組成物の課題について述べたが、絶縁信頼性、耐湿性、耐熱性、熱伝導性および接着性が求められる用途全般において同様の課題が生じ得る。
本発明は上記背景に鑑みて成されたものであり、絶縁性、耐湿性、耐熱性(半田リフロー耐性)、熱伝導性および接着性に優れる絶縁性組成物、熱硬化性接着シート、熱伝導性接着層および複合部材を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]: テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンを含むポリアミン化合物との反応物であるポリイミド樹脂(A)と、硬化剤(B)と、熱伝導性フィラー(C)とを含有し、
熱伝導性フィラー(C)として、タップ密度が0.4g/cm以上である窒化ホウ素(c1)を含む
熱硬化型の絶縁性組成物。
[2]: 前記テトラカルボン酸二無水物は、一般式(1):
Figure 2022089494000002
(Xは4価のテトラカルボン酸二無水物残基であり、置換もしくは非置換の芳香族環を少なくとも一つ有する。)
で表される化合物を含む、[1]記載の絶縁性組成物。
[3]: 前記ポリアミン化合物100質量%中に含まれる前記ダイマージアミンの含有率が50~100質量%である、[1]または[2]記載の絶縁性組成物。
[4]: ポリイミド樹脂(A)中に含まれる、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基の含有率が30~90質量%である[1]~[3]いずれかに記載の絶縁性組成物。
[5]: ポリイミド樹脂(A)の重量平均分子量が5,000~150,000である、[1]~[4]いずれかに記載の絶縁性組成物。
[6]: 硬化剤(B)が、エポキシ系化合物(b1)を含む、[1]~[5]いずれかに記載の絶縁性組成物。
[7]: エポキシ系化合物(b1)が、水酸基、2級アミノ基および3級アミノ基のいずれかを有し、且つエポキシ基を2つ以上有する化合物である、[6]に記載の絶縁性組成物。
[8]: 窒化ホウ素(c1)の平均粒子径D50が10~100μmである、[1]~[7]いずれかに記載の絶縁性組成物。
[9]: 熱伝導性フィラー(C)100体積%中に含まれる窒化ホウ素(c1)の含有率が40~100体積%である、[1]~[8]いずれかに記載の絶縁性組成物。
[10]: [1]~[9]いずれかに記載の絶縁性組成物から形成してなる熱硬化性接着シート。
[11]: 空隙を有していてもよく、前記空隙を有する場合の空隙率が45体積%以下であり、前記空隙を除く組成物100体積%に対して熱伝導性フィラー(C)が55~90体積%含まれる[10]に記載の熱硬化性接着シート。
[12]: 請求項11記載の熱硬化性接着シートの硬化物であって、前記硬化物の空隙率が硬化前の空隙率以下であり、且つ15体積%以下である、熱伝導性接着層。
[13]: 厚みが50~250μmである、[12]に記載の熱伝導性接着層。
[14]: 熱を発生し得る熱発生部材と、
前記熱発生部材の熱を放熱させる放熱ベース基材と、
前記熱発生部材と前記放熱ベース基材とを接合する熱伝導性接着層とを有し、
前記熱伝導性接着層が、[10]または[11]に記載の熱硬化性接着シートの硬化物である複合部材。
[15]: 前記熱発生部材の前記放熱ベース基材との接合部の少なくとも一部が銅であり、前記放熱ベース基材の前記熱発生部材との接合部の少なくとも一部が銅またはアルミニウムである、[14]記載の複合部材。
本発明によれば、絶縁性、耐湿性、耐熱性(半田リフロー耐性)、熱伝導性および接着性に優れる絶縁性組成物、熱硬化性接着シート、熱伝導性接着層および複合部材を提供できるという優れた効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を含む。また、本明細書において「フィルム」や「シート」は、厚みによって区別されないものとする。また、本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
[[絶縁性組成物]]
本実施形態に係る絶縁性組成物は、熱硬化型の組成物であって、テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンを含むポリアミン化合物との反応物であるポリイミド樹脂(A)と、硬化剤(B)と、熱伝導性フィラー(C)とを含有する。そして、熱伝導性フィラー(C)は、タップ密度が0.4g/cm以上である窒化ホウ素(c1)を含む。
ここで「熱伝導性フィラー(C)」とは、絶縁性組成物に添加し、その硬化物としたときに熱伝導性が高められる粒子をいう。また、熱硬化型とは、加熱硬化処理により樹脂の三次元架橋構造を形成して硬化する組成物をいう。なお、本明細書において硬化物とは、更に加熱しても実質的に硬化反応が進行しない程度に硬化された状態をいう。絶縁性組成物をシート等の所望の形状に成形する際に、その一部が硬化反応し得るが、更に加熱すれば硬化し得る状態は、ここでいう硬化物には含まない。絶縁性組成物の段階で、成分の一部が半硬化したBステージの状態であってもよい。
本実施形態の絶縁性組成物は、例えば粉末状、フィルム状、シート状、板状、ペレット状、ペースト状または液状とすることができる。液状またはペースト状の絶縁性組成物は、溶剤を用いて粘度を調整することにより容易に得ることができる。また、フィルム状、シート状、板状の絶縁性組成物は、例えば、液状またはペースト状の絶縁性組成物を塗工して乾燥することにより形成できる。また、粉末状、ペレット状の絶縁性組成物は、例えば、前記フィルム状等の絶縁性組成物を所望のサイズに粉砕または分断することにより得られる。
本実施形態の絶縁性組成物によれば、テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンを含むポリアミン化合物との反応物であるポリイミド樹脂(A)と、硬化剤(B)と、タップ密度が0.4g/cm以上である窒化ホウ素(c1)を含む熱伝導性フィラー(C)とを含有することによって、その硬化物の絶縁性および接着性に優れる絶縁性組成物が得られる。また、その硬化物は、耐湿性、耐熱性(半田リフロー耐性)および熱伝導性に優れる。その理由は定かではないが、ダイマー構造によってポリイミド樹脂(A)のイミド環周辺のパッキングの抑制をより促進させてイミド環の均一な分散を促し、タップ密度が0.4g/cm以上である窒化ホウ素(c1)を含む熱伝導性フィラー(C)と組み合わせることにより、硬化物としたときの熱伝導性フィラー(C)の分散性を格段に向上させ、半田リフロー後の接着性、熱伝導性、耐湿性および絶縁性も兼ね備える絶縁性組成物が得られたと考えられる。以下、本実施形態の絶縁性組成物の各成分について詳細に説明する。
[ポリイミド樹脂(A)]
ポリイミド樹脂(A)は、テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンを含むポリアミン化合物との反応物である。各種公知の重合法により得ることができるが、原料として、前述のテトラカルボン酸二無水物、ポリアミン化合物を用いることが重要である。ポリアミン化合物の代わりにポリイソシアネート化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させてポリイミド樹脂を得ることも可能であるが、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ポリアミン化合物を用いることにより接着性を効果的に改善できることを見出した。
製造方法の好適な例として、テトラカルボン酸二無水物とポリアミン化合物を含む単量体を溶媒に溶解させて、例えば60~120℃の温度で0.1~2時間撹拌して重合させることでポリイミド前駆体であるポリアミド酸樹脂を製造し、加熱により環化してイミド基に変換する方法が例示できる。ポリアミン化合物100mol%中、ジアミン化合物が80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、95mol%以上であることが更に好ましく、98mol%以上であることが特に好ましい。
重合に用いる有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、2-ブタノン、ジメチルスホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾールが例示できる。溶媒は単独若しくは二種以上を併用して用いられる。キシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。
ポリイミド前駆体をイミド化させてポリイミド樹脂を得る方法は、特に制限されないが、溶媒中で、例えば、80~400℃の温度で0.5~50時間加熱する方法が例示できる。このとき、必要に応じて触媒および/または脱水剤を用いてもよい。
反応触媒として、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類等が例示できる。また、脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物や無水安息香酸等の芳香族酸無水物が例示できる。
イミド化率(イミド環の形成率)は限定されないが、長期耐熱性の効果を効果的に発揮させる観点からは80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95~100%であることが更に好ましい。NMRやIR分析等によりイミド化率を決定できる。
(分子鎖末端)
ポリイミド樹脂(A)の分子鎖末端は限定されない。シートにしたときのポットライフを向上させる観点から酸無水物基を含むことが好ましい。ポリイミド樹脂(A)の分子鎖末端に酸無水物基を導入する方法は特に制限されない。簡便な方法として、テトラカルボン酸二無水物の重合性官能基を、ポリアミン化合物の重合性官能基よりも多く配合する方法が例示できる。所望とする重量平均分子量に応じて、例えば、テトラカルボン酸二無水物の重合性官能基/ポリアミン化合物の重合性官能基の当量比を、1.0を超えて5.0以下の範囲で調整できる。より好ましくは1.01~3.0であり、更に好ましくは1.02~2.0である。前記方法に代えて、テトラカルボン酸二無水物の重合性官能基/ポリアミン化合物の重合性官能基の当量比を1若しくは1未満とするポリイミド前駆体を製造した後、末端に酸無水物基を導入してもよい。なお、テトラカルボン酸二無水物、ポリアミン化合物は、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
ダイマー構造を有するポリイミド樹脂(A)と、タップ密度が特定の値以上の窒化ホウ素(c1)を含む熱伝導性フィラー(C)との組み合わせに加え、更に、分子鎖末端に酸無水物基を有することにより、ポリイミド樹脂(A)自身の均一分散性をより効果的に高め、熱伝導性フィラー(C)との分散性を顕著に高められる。また、ダイマー構造と、分子鎖末端の酸無水物基による環構造との組合せによって、平面性の高いイミド環周辺のパッキング性を阻害すると同時に、分子鎖末端とイミド環との相互作用を高められたことによる相乗効果によって柔軟性を高められ、接着性、耐湿性および耐熱性等が優れると考えられる。これらの効果を効果的に引き出す関連からは、分子鎖末端のうち80~100%が酸無水物基であることが好ましく、90~100%が酸無水物基であることが更に好ましい。なお、「酸無水物基」とは、-C(=O)-O-C(=O)-で表される基を意味する。
ポリイミド樹脂(A)には、官能基を有しない分子鎖末端が含まれていてもよい。例えば、分子鎖末端の酸無水物基の一部をモノアミン化合物で封止し、酸無水物基の官能基数を低減することができる。この方法によれば、ポリイミド樹脂(A)の分子鎖末端の酸無水物基の量を容易に調整することができる。なお、ポリイミド樹脂(A)の分子鎖末端は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において酸無水物基以外の官能基を有していてもよい。
(テトラカルボン酸二無水物)
テトラカルボン酸二無水物は特に限定されないが、具体例として、ピロメリット酸二無水物、1,4-ジフルオロ-ピロメリット酸二無水物、2,5-トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、9,9’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、エチレングリコールジベンゾアートテトラカルボン酸二無水物、ベンゼン-1,4-ジイルビス(1,3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-5-カルボキシレイト)、4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物が例示できる。
また、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5-ペンタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ヘキサンテトラカルボン酸、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、1-カルボキシメチル-2,3,5-シクロペンタントリカルボン酸、3-カルボキシメチル-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸、rel-ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ-9-エン-3,4,7,8-テトラカルボン酸、5-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,6-トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、ビシクロ[3.3.0]オクタン-2,4,6,7-テトラカルボン酸、7,8-ジフェニルビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、4,8-ジフェニル-1,5-ジアザビシクロオクタン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、9-オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン-3,4,7,8-テトラカルボン酸、9,14-ジオキソペンタシクロ[8.2.11,11.14,7.02,10.03,8]テトラデカン-5,6,12,13-テトラカルボン酸等のシクロ、ビシクロ、トリシクロテトラカルボン酸;2,8-ジオキサスピロ[4.5]デカン-1,3,7,9-テロトン等のスピロ環含有テトラカルボン酸;1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン等の脂環式炭化水素構造を有するテトラカルボン酸二無水物が例示できる。
テトラカルボン酸二無水物の好適例として一般式(1):
Figure 2022089494000003
(Xは4価のテトラカルボン酸二無水物残基であり、置換もしくは非置換の芳香族環を少なくとも一つ有する。)
が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物由来の芳香族環と、ポリアミン化合物に由来するダイマー構造を有するポリイミド樹脂(A)と、熱伝導性フィラー(C)の組合せにより、熱伝導性フィラー(C)の分散性をより効果的に高め、接着力、熱伝導性、および耐熱性のバランスをより優れたものとすることができる。
より好適な例として、一般式(2):
Figure 2022089494000004
(Y1は単結合、炭素数が1~20の置換基を有していてもよいアルキレン基、-O-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-S-、-Si(CH-、-(CF-(但し、1≦q≦10)、-C(C2n+1-(但し、1≦n≦10)、-C(C2m+1-(但し、1≦m≦10)、若しくは一般式(3):
Figure 2022089494000005
で表される基のいずれかであり、
~Rは、それぞれ独立に、炭素数が1~3のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基および炭素数が1~3のアルコキシ基のいずれかであり、nおよびnはそれぞれ独立に0~3であり、nおよびnはそれぞれ独立に0~4である。)若しくは
一般式(4):
Figure 2022089494000006
(RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数が1~3のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基および炭素数が1~3のアルコキシ基のいずれかであり、nはそれぞれ独立に0~5であり、nはそれぞれ独立に0~4である。)が例示できる。
特に好適な例として3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物が例示できる。
(ポリアミン化合物)
ポリアミン化合物は、ダイマージアミンを少なくとも有する。ダイマージアミンは、ダイマー構造(ダイマー骨格ともいう)を有するジアミン化合物である。ここで「ダイマー構造」とは、脂肪酸の二量体(以下、脂肪酸二量体という)に由来する構造である。ダイマージアミンは、ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化した化合物を使用できる。転化方法は、例えば、カルボン酸をアミド化させ、ホフマン転位によりアミン化させ、さらに蒸留・精製を行う方法が挙げられる。なお、ダイマー酸は、ダイマー構造を有する多塩基酸であり、脂肪酸二量体である。この脂肪酸二量体は、炭素数20~60の化合物が好ましく、炭素数24~56の化合物がより好ましく、炭素数28~48の化合物がさらに好ましく、炭素数36~44の化合物が特に好ましい。脂肪酸二量体は、脂肪酸をディールス-アルダー反応させた分岐構造を有するジカルボン酸化合物が好ましい。前記分岐構造は、脂肪鎖および環構造が好ましく、環構造がより好ましい。前記環構造は、1または2以上の芳香環や脂環構造が好ましく、脂環構造がより好ましい。脂環構造は、環内に二重結合を1つ有する場合、二重結合を有さない場合がある。
ダイマージアミンは特に限定されないが、ダイマージアミンは炭素数20~60の化合物が好ましく、炭素数24~56の化合物がより好ましく、炭素数28~48の化合物がさらに好ましく、炭素数36~44の化合物がさらに好ましい。かかる炭素数のダイマージアミンは、入手し易さの観点で好ましい。
ダイマージアミンの市販品は、例えば、クローダジャパン社製の「プリアミン1071」、「プリアミン1073」、「プリアミン1074」、「プリアミン1075」や、BASFジャパン社製の「バーサミン551」等が挙げられる。ダイマージアミンは、単独または二種類以上を併用して使用できる。
なお、ダイマージアミンを得るためのダイマー構造を有する多塩基酸は、例えば、下記化学式(d1)~化学式(d4)で示す構造が挙げられる。なお、ダイマー構造を有する多塩基酸は、下記構造に限定されないことはいうまでもない。
Figure 2022089494000007
Figure 2022089494000008
Figure 2022089494000009
Figure 2022089494000010
ダイマー構造は複数の炭化水素鎖や環構造を有している分子鎖間の相互作用が少ない構造であり、ポリイミド樹脂(A)中にダイマー構造を含ませることによって、硬化の際、樹脂組成物内に発生する内部応力を緩和させることができる。ポリイミド樹脂(A)に含まれるダイマー構造による応力緩和により、高温低温の繰り返しにより発生する応力に起因する接着力低下やクラックの発生を抑制できる。このため、耐熱性および耐湿性を効果的に高めることができる。
ポリアミン化合物として、ダイマージアミンを単独で用いてもよいし、ダイマージアミンとその他のポリアミン化合物を併用してもよい。その他のポリアミン化合物は特に限定されない。具体的には、置換基を有していてもよい、脂肪族構造(不飽和結合が含まれていてもよい、鎖状炭化水素構造および/または脂環式炭化水素構造)、芳香環およびこれらを任意に組み合わせたジアミン化合物がある。その他のジアミンとして、フェノール性水酸基を有するジアミンを用いると、ポリイミド樹脂(A)にフェノール性水酸基を導入することができる。フェノール性水酸基を有するポリイミド樹脂(A)を用いることによって、硬化剤(B)との架橋点を調整し、三次元架橋構造を調整できるので、強靱な硬化物を得ることができる。
その他のジアミン化合物は、例えば、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,2-ジアミノベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、1,8-ジアミノナフタレン、2,3-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノトルエン、3,4-ジアミノトルエン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ジアミン;エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等の脂肪族ジアミン;イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’―ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
ジアミノフェノール化合物は、アミノ基を2つ有するフェノールである。ジアミノフェノールは、例えば、下記一般式(5)で示すジアミンが挙げられる。
Figure 2022089494000011
式(5)中のRは、直接結合、または炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、またはハロゲンを含む基を示す。前記基は、例えば、炭素数1~30の2価の炭化水素基またはハロゲン原子によって水素の一部若しくは全部が置換されている炭素数1~30の2価の炭化水素基、-(C=O)-、―SO-、-O-、-S-、―NH-(C=O)-、―(C=O)-O-、下記一般式(6)で表される基および下記一般式(7)で示す基が挙げられる。式中、rおよびsはそれぞれ独立に1~20の整数を示し、式(7)中のRは水素原子またはメチル基を示す。
Figure 2022089494000012
Figure 2022089494000013
一般式(5)で示すジアミンは、例えば2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、9,9-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビスフェニル等が挙げられる。
これらの中でもその他のジアミンとしては、接着力およびヒートサイクル性がより向上する面でイソホロンジアミン、またはノルボルナンジアミンが好ましい。
また、アミノ基を3以上有するポリアミン化合物を用いてもよい。アミノ基を3つ以上有するポリアミン化合物としては、例えば、1,2,4-トリアミノベンゼン、3,4,4’-トリアミノジフェニルエーテルが挙げられる。
ポリイミド樹脂(A)を合成するために用いるポリアミン化合物100質量%に対して、ダイマージアミンの含有率を50~100質量%用いることが好ましい。より好ましくは70~100質量%であり、更に好ましくは90~100質量%である。50~100質量%用いることにより、ダイマー構造により平面性が高いイミド環周辺のパッキング性を阻害させる効果を充分に発揮させることができる。
また、ポリイミド樹脂(A)中に含まれる、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基の含有率は30~90質量%であることが好ましい。より好ましくは35~85質量%であり、更に好ましくは40~70質量%である。30~90質量%用いることにより、ダイマー構造により平面性が高いイミド環周辺のパッキング性を阻害させる効果を充分に発揮させることができる。
(重量平均分子量)
ポリイミド樹脂(A)の重量平均分子量は特に限定されないが、例えば、5,000~200,000の範囲とすることができる。接着性、熱伝導性フィラー(C)の分散性、耐湿性および耐熱性等を考慮すると、5,000~150,000であることが好ましく、より好ましくは7,500~125,000であり、更に好ましくは10,000~100,000である。
[硬化剤(B)]
「硬化剤(B)」は、1分子中に2つ以上の反応性官能基を有し、架橋構造を構築できる化合物をいう。硬化剤(B)は、エポキシ系化合物(b1)、イソシアネート化合物、ポリカルボジイミド化合物、アジリジン化合物、ジシアンジアミド化合物、芳香族ジアミン化合物等のアミン化合物、フェノールノボラック樹脂等のフェノール化合物、有機金属化合物等から選択される一種以上とする。硬化剤(B)は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
硬化剤(B)は、硬化剤(B)自身が熱硬化性を示す化合物であってもよいし、硬化剤(B)とポリイミド樹脂(A)とが架橋する化合物でもよい。ポリイミド樹脂(A)と架橋する場合には、ポリイミド樹脂(A)の酸無水物基の他、ポリイミド樹脂(A)の側鎖・側基に含まれる官能基と硬化剤(B)が架橋する態様がある。これらは、任意に組み合わせてもよい。
<エポキシ系化合物(b1)>
エポキシ系化合物(b1)は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物をいい、公知の化合物を用いることができる。例えば、グリジシルエーテル型エポキシ化合物、グリジシルアミン型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、環状脂肪族(脂環型)エポキシ化合物等が挙げられる。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、α-ナフトールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ化合物としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。
環状脂肪族(脂環型)エポキシ化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキシルメチル-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられる。また、液状のエポキシ化合物を好適に用いることができる。
これらの中でも、エポキシ基以外の他の官能基を有しているものが好ましい。例えば、他の官能基として、水酸基、2級アミノ基および3級アミノ基が例示できる。2官能以上のエポキシ基に加えて、このような他の官能基を有するエポキシ系化合物(b1)を用いることにより、所定硬化条件での架橋密度を効果的に高め、耐熱性を高めることができる。更には水酸基、アミノ基由来の金属密着性を高められることから、良好な耐熱性と接着性を同時に満足できる。
ポリイミド樹脂(A)とエポキシ系化合物(b1)の含有比率(質量比)は、(A):(b1)=98:2~40:60であることが好ましく、95:5~50:50がより好ましい。上記比率とすることで耐熱性をより良化させることができる。
エポキシ系化合物(b1)は、一種単独または二種以上を用いることができる。その他の硬化剤(B)も同様である。また、エポキシ系化合物(b1)と他の硬化剤(B)は、任意に組み合わせて用いてもよい。
[熱伝導性フィラー(C)]
本実施形態の絶縁性組成物は、熱伝導性フィラー(C)を含有する。また、熱伝導性フィラー(C)として、タップ密度が0.4g/cm以上である窒化ホウ素(c1)を含む。熱伝導性フィラー(C)として窒化ホウ素(c1)を単独で用いてもよいし、他のフィラーと併用してもよい。タップ密度とは、所定容器内でフィラーを分散させて容器に入れた後,容器にタップによる衝撃を加え,フィラーの体積変化がなくなったとき時のフィラーの嵩密度を示しており、振動させた容器内の粉末の単位体積当たりの質量として求められる。タップ密度の測定は、JISR1628:1997に規定されるファインセラミックス粉末の嵩密度測定方法に準じて測定することができる。
窒化ホウ素(c1)のタップ密度は、0.45g/cm以上であることが好ましく、0.5g/cm以上であることがより好ましく、0.60g/cm以上が更に好ましく、0.7g/cm以上が特に好ましい。なお、タップ密度の上限値は特に限定されないが、入手容易性を考慮すると上限値は1.4g/cmが好ましく、より好ましくは1.3g/cmであり、更に好ましくは1.2g/cmである。
熱伝導性フィラー(C)は、フィラー自身の熱伝導率が5W/(m・K)以上であることが好ましい。10W/(m・K)以上であることがより好ましく、20W/(m・K)以上とすることが更に好ましい。5W/(m・K)以上とすることにより、熱伝導性効果を効果的に高めることができる。
タップ密度を0.4g/cm以上とすることにより、ポリイミド樹脂(A)に対する分散性を格段に高めることができる。その結果、充填率を高めることによる熱伝導性向上と接着力の二律背反の特性を兼ね備えることができる。
窒化ホウ素(c1)は一次粒子として用いる他、一次粒子が凝集した二次粒子を用いてもよい。より好ましくは、一次粒子が凝集した凝集体である。また、加熱により焼結した窒化ホウ素の二次粒子を用いてもよい。窒化ホウ素(c1)の形状は特に限定されないが、球状、繊維状、針状、フレーク状およびこれらの凝集体が例示できる。鱗片状の窒化ホウ素粒子は熱伝導異方性を有するため、鱗片状の一次粒子を造粒した造粒体またはその凝集体が好適に用いられる。造粒体またはその凝集体の窒化ホウ素を用いることで、熱硬化性接着シートの加熱・加圧後にもシートの厚み方向にも良好な熱伝導性を発現できる。
窒化ホウ素(c1)の平均粒子径D50は10~100μmが好ましい。より好ましくは15~90μmであり、更に好ましくは20~80μmである。10~100μmとすることにより、熱伝導性硬化を高めつつ、マトリックス中での分散性を高めることができる。なお、平均粒子径D50とは、体積標準の粒度分布における累積度50%の粒径を示す。具体的には、測定装置としてレーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2200、株式会社島津製作所製)、測定制御ソフトとしてWing SALD-2200を用いた。
本実施形態の絶縁性組成物は、後述するように熱硬化して硬化物として用いられるが、硬化物の状態において、熱伝導性フィラー(C)がマトリックスとなる三次元架橋樹脂に対し高分散されていることが好ましい。熱伝導性フィラー(C)を無配向に分散させる態様の他、配向性をもたせて分散させてもよい。熱伝導性フィラー(C)の熱伝導性は、等方的であっても異方的であってもよいが、例えばシート状にして利用する場合、優れた熱伝導性を確保するために、熱伝導したい方向に熱伝導性フィラー(C)が途切れることなく連続して分散されていることが好ましい。これにより、熱伝導性フィラー(C)を経由して、熱源から放熱する熱伝導経路を形成できる。
窒化ホウ素(c1)として、六方晶窒化ホウ素(hBN)、立方晶窒化ホウ素が例示できる。より好ましくは六方晶窒化ホウ素である。六方晶窒化ホウ素は板状の粒子形状であり、その板面方向(ab面内あるいは(002)面内)には高い熱伝導性(通常、熱伝導率として400W/(m・K)程度)を示す。このため、熱伝導性を効率的に高める観点から、熱伝導率を高めたい方向に六方晶窒化ホウ素を配向させて用いる態様が好適である。なお、ここで「配向している」とは、熱伝導性に異方性を付与できる程度に配向されている態様を含む。
本実施形態の絶縁性組成物100体積%に対する熱伝導性フィラー(C)の含有率は、用途に応じて適宜設計できるが、熱伝導性と接着性をより優れたものとする観点から、空隙を除く組成物100体積%に対して55~90体積%とすることが好ましい。より好ましくは57~80体積%であり、更に好ましくは60~70体積%である。
また、本実施形態の絶縁性組成物に含まれる熱伝導性フィラー(C)100体積%に対する窒化ホウ素(c1)の含有率は、用途に応じて適宜設計できるが、熱伝導性と接着性をより優れたものとする観点から40~100体積%とすることが好ましい。より好ましくは55~100体積%であり、更に好ましくは70~100体積%である。
窒化ホウ素(c1)以外の熱伝導性フィラー(C)の具体例として、タップ密度が0.4未満の窒化ホウ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化銅、酸化鉄、酸化銀等の金属酸化物;石英粉、炭化シリコン、炭化ケイ素、雲母等のケイ素化合物が例示できる。
窒化ホウ素(c1)以外の熱伝導性フィラー(C)の平均粒子径D50は、熱伝導性効果を充分に発揮させる観点から0.1μm以上であることが好ましい。窒化ホウ素(c1)と組み合わせて充填率を高める観点から、平均粒子径D50が窒化ホウ素とは異なる粒子を用いてもよい。
熱伝導性フィラー(C)は、ポリイミド樹脂(A)等と混合する前に必要に応じて解砕/粉砕工程を行ってもよい。熱伝導性フィラー(C)の表面は、例えば、シラン系、チタネート系およびアルミネート系カップリング剤などで表面処理を行うことができる。表面処理により、ポリイミド樹脂(A)に対する熱伝導性フィラー(C)の分散性を高めることができる。また、ポリイミド樹脂(A)と熱伝導性フィラー(C)との界面接着強度を高めることもできる。シリカフィラーの表面処理剤としてはシランカップリング剤が好適である。
シランカップリング剤は、加水分解性基と反応性官能基を有する化合物である。加水分解性基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1~6のアルコキシ基;アセトキシ基;2-メトキシエトキシ基等が挙げられる。これらの中でも加水分解によって生じるアルコールなどの揮発成分を除去し易い面でメトキシ基が好ましい。前記反応性官能基は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基等が挙げられるが、中でもエポキシ基が好ましい。
シランカップリング剤は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シランカップリング剤;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリル基含有シランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル基含有シランカップリング剤;N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基含有シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド基含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、硬化性組成物の優れた接着力およびヒートサイクル性を発現させる観点から、フェニルアミノシラン処理または/およびビニルシラン処理が好ましい。
チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が例示できる。
シランカップリング剤によりシリカフィラーを処理する方法は、例えば、溶媒中でシリカフィラーとシランカップリング剤を混合する湿式法、気相中でシリカフィラーとシランカップリング剤を処理させる乾式法等が挙げられる。シランカップリング剤の処理量は、未処理のシリカフィラー100質量部に対して、シランカップリング剤を0.1~1質量部程度処理することが好ましい。
(その他のフィラー(D))
本実施形態の絶縁性組成物は、任意成分としてその他のフィラー(D)を含有させてもよい。フィラー(D)は、無機フィラーでも有機フィラーでもよい。例えば、シリカフィラー、タルク、カーボンナノチューブ、グラファイトが挙げられる。難燃性、機械的強度、耐熱性、吸湿性等の所望とする特性に応じて、一種単独または二種以上を併用して用いることができる。
(その他の成分)
また、本実施形態の絶縁性組成物は、ポリイミド樹脂(A)と硬化剤(B)の架橋促進するために、任意成分として触媒(E)を含有することができる。ポリイミド樹脂(A)の硬化剤(B)との架橋部位は、例えば、分子鎖末端の酸無水物基などの官能基、側鎖または/および側基の官能基が挙げられる。触媒(E)は、3級アミノ基を有する化合物、リン系硬化促進剤、ウレア化合物、ジシアンジアミド系化合物、ヒドラジド化合物等が挙げられる。3級アミノ基を有する化合物、ウレア化合物、ジシアンジアミドがより好ましく、3級アミノ基を有する化合物が最も好ましい。3級アミノ基を有する化合物としては、複素環を有するものと有しないものとがあり、複素環を有するものがさらに好ましい。これらはいずれも1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、常温では固体状態であって、熱硬化性接着シートの加熱・加圧時に溶融し硬化促進剤としての機能を発現する潜在性硬化促進剤が好適であり、3級アミノ基を有する潜在性硬化促進剤が特に好適である。3級アミノ基を有する潜在性促進剤としては、3級アミノ基とエポキシ基と反応し得る官能基とを有し、比較的低分子量の化合物に、比較的低分子量のエポキシ化合物が付加したアダクト型の潜在性硬化促進剤が挙げられる。3級アミノ基を有するアダクト型の潜在性硬化促進剤としては、イミダゾール基のように複素環を有するものと、複素環を有しないものとがある。
複素環を有しない3級アミン-アダクト潜在性硬化促進剤は、例えば、味の素ファインテクノ株式会社製のアミキュアMY-24、アミキュアMY-25、アミキュアMY-H、アミキュアMY-24J、アミキュアMY-HK-1;株式会社ADEKA製のEH4380S、EH3616S、EH5001P、EH4357S、EH3615S等が挙げられる。
複素環を有するイミダゾール-アダクト潜在性硬化促進剤は例えば、味の素ファインテクノ株式会社製のアミキュアPN-23、アミキュアPN-23J、アミキュアPN-31、アミキュアPN-31J、アミキュアPN-40、アミキュアPN-40J、アミキュアPN-50、アミキュアPN-H、株式会社ADEKA製のアデカハードナーEH3293S、アデカハードナーEH3366S、アデカハードナーEH4346S、エアープロダクツジャパン株式会社製のサンマイドLH210等が挙げられる。
さらに、アダクト型の潜在性硬化促進剤以外の3級アミノ基を有する潜在性硬化促進剤としては、
ジシアンジアミド変性ポリアミン(例えば、株式会社ADEKA製のEH3842等)、
尿素結合含有変性ポリアミン(例えば、株式会社T&K TOKA製のフジキュアーFXE1000、フジキュアーFXR1110、フジキュアーFXR1121、フジキュアーFXR1081等)、
尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン(例えば、株式会社ADEKA製のEH4353S)、
尿素結合およびイミダゾール基含有変性ポリアミン(例えば、株式会社T&K TOKA製のFXR1110、FXR1121)、
イミダゾール化合物(例えば、四国化成工業株式会社製キュアゾール2MZ-A、キュアゾール2MA-OK、キュアゾール2PHZ、キュアゾール2P4MHZ等)等も挙げられる。
ウレア化合物としては、芳香族ジメチルウレア(例えば、サンアプロ株式会社製のU-CAT3512T、Evonik製DYHARD UR200、UR300、UR500)、脂肪族ジメチルウレア(例えば、サンアプロ株式会社製のU-CAT3513N)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチルウレア、2,4-ビス(3,3-ジメチルウレイド)トルエン等のウレア類等が挙げられる。
ヒドラジド化合物としては、例えば、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、ヘキサデカンジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6-ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’-ビスベンゼンジヒドラジド、1,4-ナフトエ酸ジヒドラジド、ナフタレン-2,6-ジカルボヒドラジド、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド等が挙げられる。また、ヒドラジド化合物の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ株式会社製のアミキュアVDH、アミキュアUDH等が挙げられる。
リン系硬化促進剤としては、有機ホスフィン化合物、例えば、アルキルホスフィン、ジアルキルホスフィン、トリアルキルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第一、第二、第三オルガノホスフィン化合物、(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,4-(ジフェニルホスフィノ)ブタン等のホスフィノアルカン化合物、トリフェニルジホスフィン等のジホスフィン化合物及びトリフェニルホスフィン-トリフェニルボラン等のトリオルガノホスフィンとトリオルガノボランとの塩、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラオルガノホスホニウムとテトラオルガノボレート、第一~第三ベンジルホスフィン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p-メチルフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルジホスフィン、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムヒドロキサイド40%水溶液、テトラブチルホスホニウムアセテート40%溶液、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、n-ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリボレート、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボレート、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン、ジフェニルホスフィノスチレン、ジフェニルホスフィノクロライド、トリ-n-オクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、ジフェニルホスフィニルハイドロキノンなどが挙げられる。
硬化剤(B)と触媒(E)の含有比率(質量比)は、(B):(E)=50:50~95:5であることが好ましく、70:30~90:10がより好ましい。上記比率とすることで熱硬化性接着シートのポットライフを維持しつつ、効果的に硬化促進させることができる。
また、本実施形態の絶縁性組成物は、更に本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の添加剤を含むことができる。例えば、ポリイミド樹脂(A)に該当しないポリイミド樹脂を用いてもよい。また、任意の熱可塑性樹脂(エラストマー)を用いることができる。また、染料、顔料(例えば、カーボンブラック)、難燃剤、酸化防止剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、イオン捕集剤、保湿剤、粘度調整剤、防腐剤、抗菌剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、電磁波シールド剤等が挙げられる。
[絶縁性組成物の製造方法]
絶縁性組成物は、各配合成分を配合することにより得られる。ポリイミド前駆体ではなく、イミド化したポリイミド樹脂(A)を配合成分として用いる。ポリイミド樹脂(A)は、絶縁性組成物において熱硬化性樹脂として機能する。配合に際して、適宜、溶媒を用いることができる。固形分濃度は、例えば20~60質量部とすることができる。本実施形態のポリイミド樹脂(A)は、ダイマー構造を有しているので、各種有機溶剤に容易に溶解させることができる。
[硬化物の製造方法]
本実施形態の絶縁性組成物を熱硬化処理することにより硬化物が得られる。絶縁性組成物をシート等の所望の形状に成形し、熱硬化処理する方法が例示できる。溶剤を含む絶縁性組成物を塗布、乾燥することにより簡便に絶縁性組成物のシートなどの成形体を得ることができる。そして、成形体を熱硬化することにより硬化物を形成する。成形体と硬化のタイミングは同時であってもよい。
熱硬化温度は、硬化剤(B)の種類に応じて適宜選定すればよい。例えば、150~230℃の温度で、30~180分加熱処理する方法が例示できる。熱硬化処理により、硬化剤(B)自身の架橋、ポリイミド樹脂(A)と硬化剤(B)の架橋など、またはこれらの任意の組合せによる架橋構造が形成され、3次元架橋した硬化物が得られる。
[[熱硬化性接着シート]]
本実施形態の熱硬化性接着シートは、本発明の絶縁性組成物から形成してなる。本実施形態の熱硬化性接着シートは用途に応じて適宜設計できるが、接着性、耐熱性、耐湿性、絶縁性および熱伝導性をバランスよく兼ね備える観点から空隙率は45体積%以下であることが好ましい。より好ましくは40体積%以下であり、更に好ましくは35体積%以下である。下限値は特に限定されず、空隙率が0体積%であってもよい。なお、ここでいう「空隙」とは、後述する実施例で説明する方法により求められる値をいう。
また、本実施形態の熱硬化性接着シートは、空隙を除く組成物100体積%に対して、熱伝導性フィラー(C)を55~90体積%含むことが好ましい。より好ましくは57~80体積%であり、更に好ましくは60~70体積%である。熱伝導性フィラー(C)を55~90体積%含むことにより、熱伝導性をより優れたものとすることができる。なお、ここでいう「空隙を除く組成物100体積%に対する熱伝導性フィラー(C)の体積」とは、後述する実施例で説明する方法により求められる値をいう。
[[熱伝導性接着層]]
本実施形態の熱伝導性接着層は、本実施形態の熱硬化性接着シートの硬化物である。好適な態様として、本実施形態の熱硬化性接着シートの硬化物の空隙率が硬化前の空隙率以下であって、且つ15体積%以下であるシートを挙げることができる。硬化前後で空隙率が同じであってもよい。前記空隙率を15体積%以下とすることにより熱伝導性と接着性の特性をより効果的に発揮させることができる。空隙率のより好ましい範囲は10体積%以下であり、更に好ましくは5体積%以下である。
本実施形態の熱伝導性接着層の膜厚は用途に応じて適宜設計できるが、好適には50~250μmである。より好ましくは60~225μmであり、更に好ましく70~200μmである。
[[複合部材]]
本実施形態の複合部材は、熱を発生し得る熱発生部材と、この熱発生部材の熱を放熱させる放熱ベース基材と、これらを接合する熱伝導性接着層とを有する。そして、この熱伝導性接着層は、本発明の熱硬化性接着シートの硬化物よりなる。
熱発生部材における放熱ベース基材との接合部の少なくとも一部は例えば銅とし、放熱ベース基材における熱発生部材との接合部の少なくとも一部は例えば銅またはアルミニウムとする態様が例示できる。例えば、熱発生部材は、LED用プリント配線基板、高周波電子回路あるいは電源回路用プリント配線基板が例示できる。また、放熱ベース基は、電子機器の筐体等が例示できる。
以下、本実施形態の絶縁性組成物の用途の一例について説明するが、以下の例に限定されないことはいうまでもない。
(配線基板)
本実施形態の絶縁性組成物は、プリント配線板や多層配線基板の熱硬化性接着シート、或いは絶縁層として好適に利用できる。本実施形態の絶縁性組成物から形成した熱硬化性接着シートの硬化物である絶縁性の熱伝導性接着層、或いは本実施形態の絶縁性組成物を用いて形成したプリプレグの硬化物からなる絶縁性の熱伝導性接着層は、接合層もしくは層間絶縁層として好適である。これらは、例えば、基材上に本実施形態の絶縁性組成物を熱硬化させてなる硬化物からなる層を有するプリント配線板として好適に利用できる。
配線基板の片面または両面に形成された本実施形態の絶縁性の硬化物である熱伝導性接着層に対し、ドリル加工やレーザー加工などにより開口部を設け、導電剤を充填してビアを形成することができる。また、本実施形態の層間絶縁層(熱伝導性接着層)上に回路層を形成することができる。本実施形態の絶縁性組成物より形成してなる硬化物の熱伝導性接着層は、接着性、長期耐熱性に優れるので、絶縁層/回路層の構成を複数有する多層回路基板の用途に好適である。
(金属張積層板)
本実施形態の絶縁性組成物は、金属張積層板の部材として利用できる。金属張積層板は、絶縁性組成物の硬化物からなる絶縁層と金属層の積層体とすることができる。この絶縁層は、絶縁性組成物のみから形成された絶縁性シートであってもよいし、前述したプリプレグよりなるシートであってもよい。例えば、金属層と本実施形態の絶縁性組成物からなる熱硬化性接着シートを積層した後、加熱圧着により熱硬化性接着シートを硬化せしめることにより絶縁層(熱伝導性接着層)とし、金属張積層板を得ることができる。加熱圧着法は、公知の方法を利用できる。例えば、120~200℃の温度で0.5~15MPaの圧力で、0.5~5時間熱プレスすることにより行われる。
金属張積層板の積層構成としては、金属層/絶縁層の2層の積層体、金属層/絶縁層/金属層の複層からなる積層体、或いは金属層/絶縁層/金属層/絶縁層/金属層等の交互に積層された多層構造を有する金属張積層板が例示できる。また、本実施形態の絶縁性組成物より形成した絶縁層以外の絶縁層が積層体に含まれていてもよい。また、絶縁層の厚みを調整するためにプリプレグを複数枚重ねて硬化させることもできる。また、金属層以外の導電層が積層されていてもよい。
例えば、金属層/絶縁層/金属層の層構成を有する金属張積層板は、絶縁層の両主面上に形成された金属層にエッチング等により、回路パターンを形成することにより、回路パターン層を有する回路基板を得ることができる。絶縁層には、レーザー等によりスルーホールやビアを形成してもよい。コア基板にビルドアッププロセスによって、絶縁層を重ね合わせてビアを形成し、多層化してもよい。回路基板は、例えば、サブトラクティブ法により金属張積層板の金属層を所望の回路パターンに形成する方法や、アディティブ法により絶縁層の片面または両面に所望の回路パターンを形成することにより得ることができる。
絶縁層へのスルーホールの形成は、例えばレーザー加工することにより形成できる。具体的には、UV-YAGレーザー、COレーザーおよびエキシマレーザーが例示できる。
(プリプレグ)
本実施形態に係る絶縁性組成物は、繊維基材に含浸させることによりプリプレグとして利用できる。プリプレグは、例えば、繊維基材に本実施形態の絶縁性組成物を含浸させ、続いて、絶縁性組成物を加熱乾燥せしめて半硬化(Bステージ化)することにより製造できる。
絶縁性組成物の繊維基材に対する固形分付着量は、プリプレグに対する乾燥後の絶縁性組成物の含有率において20~90質量%とすることが好ましい。より好ましくは、30~80質量%であり、さらに好ましくは40~70質量%である。例えば、プリプレグ中の絶縁性組成物の固形分付着量が20~90質量%となるように、本実施形態の絶縁性組成物を繊維基材に含浸または塗工した後、例えば40~200℃の温度で1~30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させることにより製造することができる。
繊維基材としては、公知の材料を制限なく利用できるが、有機繊維、無機繊維およびガラス繊維が例示できる。有機繊維としては、ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン、全芳香族ポリアミドなどが例示できる。無機繊維としては、炭素繊維が例示できる。ガラス繊維としては、Eガラスクロス、Dガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス、NEガラスクロス、Lガラスクロス、Tガラスクロス、球状ガラスクロス、低誘電ガラスクロスなどが例示できる。これらのなかでも低熱膨張率の観点からは、Eガラスクロス、Tガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロスおよび有機繊維が好適である。繊維基材は一種単独でも二種以上を併用してもよい。
繊維基材の形状は、目的とする用途および性能に応じて適宜選択できる。具体例としては、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマットおよびサーフェシングマットが例示できる。織布の織り方としては、平織り、ななこ織り、綾織りが例示できる。所望の特性に応じて、任意に選択・設計することができる。繊維基材の厚さは、例えば、約0.01~1.0mmの範囲とすることができる。薄膜化の観点からは500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましい。
繊維基材は、必要に応じて、所望の特性を引き出すためにシランカップリング剤などで表面処理を施したり、機械的に開繊処理を施すことができる。その他、コロナ処理やプラズマ処理を行ってもよい。シランカップリング剤の表面処理は、アミノシランカップリング処理、ビニルシランカップリング処理、カチオニックシランカップリング処理、エポキシシランカップリング処理等がある。
繊維基材に絶縁性組成物を含浸させる方法は特に限定されないが、例えば、アルコール類、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類やエステルエーテル類などの有機溶媒を用いて絶縁性組成物のワニスを調製し、ワニス中に繊維基材を浸漬する方法、繊維基材にワニスを塗布またはスプレー等により散布する方法、繊維基材の両面を絶縁性組成物からなる膜でラミネートする方法等が挙げられる。
本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」をそれぞれ表し、Mwは重量平均分子量を意味する。表中の配合量は、質量部である。
<ポリイミド樹脂の合成例>
[合成例1:ポリイミド樹脂(A)-1]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管および温度計を備えた4口フラスコに、ポリアミン化合物として炭素数36のダイマージアミン(プリアミン1075)を378.7g、テトラカルボン酸無水物としてビスフェノールA型酸二無水物(4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物)(BISDA-1000)を380.0g、溶媒としてシクロヘキサノンを1100g仕込み、均一になるまで撹拌した。均一になった後110℃まで昇温し、30分後に温度を140℃に昇温した。そして、140℃で10時間反応を続け、脱水反応を継続させた後、酸化防止剤を添加し、Mw54,000、酸価6.4mgKOH/g、アミン価0.3mgKOH/g、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基を50.3質量%含む、酸無水物基末端を有するポリイミド樹脂(A)-1の溶液(不揮発分約54%)を得た。なお、Mw(重量平均分子量)、酸価、アミン価は、後述する方法により求めた。
[合成例2:ポリイミド樹脂(A)-2]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管および温度計を備えた4口フラスコに、ポリアミン化合物としてプリアミン1075を371.6g、テトラカルボン酸無水物として3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(OPDA)を226.5g、溶媒としてキシレンを860g仕込み、均一になるまで撹拌した。均一になった後110℃まで昇温し、30分後に温度を140℃に昇温した。そして、140℃で10時間反応を続け、脱水反応を継続させた後、酸化防止剤を添加し、Mw30,000、酸価8.1mgKOH/g、アミン価0.4mgKOH/g、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基を63.7質量%含む、酸無水物基末端を有するポリイミド樹脂(A)-2の溶液(不揮発分約54%)を得た。
[合成例3:ポリイミド樹脂(A)-3]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管および温度計を備えた4口フラスコに、ポリアミン化合物としてプリアミン1075を358.0g、テトラカルボン酸無水物として3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を214.8g、溶媒としてキシレンを823g仕込み、均一になるまで撹拌した。均一になったら110℃まで昇温し、30分後に温度を140℃に昇温した。そして、140℃で10時間反応を続け、脱水反応を継続させた後、酸化防止剤を添加し、Mw16,000、酸価12.3mgKOH/g、アミン価0.2mgKOH/g、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基を64.2質量%含む、酸無水物基末端を有するポリイミド樹脂(A)-3の溶液(不揮発分約54%)を得た。
[合成例4:ポリイミド樹脂(A)-4]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管および温度計を備えた4口フラスコに、ポリアミン化合物としてプリアミン1075を213.6g、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを54.0g、テトラカルボン酸無水物として3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を214.8g、溶媒としてキシレンを823g仕込み、均一になるまで撹拌した。均一になった後110℃まで昇温し、30分後に温度を140℃に昇温した。そして、140℃の温度で10時間反応を続け、脱水反応を継続させた後、酸化防止剤を添加し、Mw21,000、酸価10.1mgKOH/g、アミン価0.1mgKOH/g、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基を52.8質量%含む、酸無水物基末端を有するポリイミド樹脂(A)-4の溶液(不揮発分約53%)を得た。
[合成例5:ポリイミド樹脂(A)-5]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管および温度計を備えた4口フラスコに、ポリアミン化合物としてプリアミン1075を302.0g、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物を177.2g、溶媒としてキシレンを823g仕込み、均一になるまで撹拌した。均一になったら110℃まで昇温し、30分後に温度を140℃に昇温した。そして、140℃で10時間反応を続け、脱水反応を継続させた後、酸化防止剤を添加し、Mw22,000、酸価10.0mgKOH/g、アミン価0.1mgKOH/g、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基を64.7質量%含む、酸無水物基末端を有するポリイミド樹脂(A)-5の溶液(不揮発分約49%)を得た。
[比較合成例1:ポリイミド樹脂P1]
上記特許文献3に開示の実施例1に準じて、ODPAと2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンとを反応させて、Mw26,000、酸価0.2mgKOH/g、アミン価7.2mgKOH/g、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基を含まないポリイミド樹脂P1の溶液(不揮発分約30%)を得た。
[比較合成例2:イミド変性エラストマー樹脂P2]
上記特許文献4の合成例に準じて、ポリウレタンイミド構造を有するイミド変性エラストマー樹脂P2の溶液(不揮発分約19%)を得た。具体的には、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリオキシテトラメチレングリコールを用いて分子両末端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーを得、更に、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)を反応させてポリウレタン-ウレア化合物の溶液を得た。そして、得られたポリウレタン-ウレア化合物(l)の溶液に無水ピロメリット酸(PMDA)を加え、ダイマー骨格を有しないポリウレタンイミド構造を有するイミド変性エラストマー樹脂P2の溶液(不揮発分約19%)を得た。得られた樹脂P2は、Mw23,000、酸価4.5mgKOH/g、アミン価5.0mgKOH/gであった。
[比較合成例3:ダイマー酸ポリアミドイミド樹脂P3]
上記特許文献2の実施例に開示の合成例PAI-1準じて、ダイマー酸ポリアミドイミド樹脂P3の溶液を得た。具体的には、ダイマー酸(ハリマ化成社製、ハリダイマー250(分子量580,炭素数36,ダイマー酸含有率80重量%)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、4,4’-オキシジフタル酸n二無水物を反応させることにより、Mw23,800、酸価9.5mgKOH/g、アミン価1.6mgKOH/gであり、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基を47.8質量%含むダイマー酸ポリアミドイミド樹脂P3の溶液(不揮発分約50%)を得た。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
Mwの測定は、東ソ-社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC-8020」を用いた。GPCは溶媒(THF:テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF-604」(昭和電工社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6mL/min、カラム温度40℃の条件で行い、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
<酸価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、シクロヘキサノン溶媒100mLを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
但し、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<アミン価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、シクロヘキサノン溶媒100mLを加えて溶解する。これに、別途0.20gのMethyl Orangeを蒸溜水50mLに溶解した液と、0.28gのXyleneCyanolFFをメタノール50mLに溶解した液とを混合して調製した指示薬を2、3滴加え、30秒間保持する。その後、溶液が青灰色を呈するまで0.1Nアルコール性塩酸溶液で滴定する。アミン価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
アミン価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
但し、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性塩酸溶液の消費量(mL)
F:0.1Nアルコール性塩酸溶液の力価
<ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基の含有率>
ポリイミド樹脂(A)中に含まれる、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基の含有率は、原料として用いるモノマーから以下のように算出した。
原料として用いるダイマージアミンの配合量(質量)に、ダイマージアミンの分子量に対してアミノ基を除いた、いわゆるジアミン残基の含有率を乗じた値が、ポリイミド樹脂(A)中のダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基の含有量となる。
プリアミン1075は天然物由来の不飽和脂肪酸を出発物質とするため様々な化合物の集合体ではある。このような化合物の分子量は、以下のように求めるものとする。即ち、重量平均分子量にアミン価の平均価数をかけ、これをアミン価で除し、価数をかけたものとする。プリアミン1075の場合は、分子量=重量平均分子量×平均価数/アミン価(mgKOH)=56,110×2/210=534と求まり、下記式により表される以下の化合物とする。
Figure 2022089494000014
従って、プリアミン1075中のダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基の含有率は、アミノ基を除いた部分の含有率となるので、
((534-32)/534))×100=94.0% となり、
378.7gのプリアミン1075中に含まれるダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基は、378.7×0.94=356.0(g)となる。
プリアミン1075は2官能であり、イミド化の際、理論上アミノ基1個に対して2個の水が生成され脱離するので、378.7gのプリアミン1075と380.0gのBISDA-1000との反応の際、(378.7/534)×18×2×2=51.1gの水が脱離することになる。
よって、378.7gのプリアミン1075と380.0gのBISDA-1000との反応によって生成される(A)-1中に含まれるダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基の含有率は、
356.0/(378.7+380.0-51.1)×100=50.3%と導かれる。
[実施例1]絶縁性組成物および熱硬化性接着シートの作製
合成例1で得たポリイミド樹脂(A)-1を14部含む溶液と、硬化剤(B)である三菱ケミカル社製のエポキシ樹脂「jER828」を1.5部含む溶液とを混合した。次いで、熱伝導性フィラー(C)である窒化ホウ素(c1)HP40MF100(窒化ホウ素粒子、タップ密度0.85g/cm、平均粒子径D50:35μm、水島合金鉄社製)84.5部を加えてディスパーで撹拌して、トルエンで不揮発分を50質量%に調整した絶縁性組成物を得た。なお、上記配合量は、固形分の配合量をいう。
得られた絶縁性組成物を、剥離性シート上に塗工して乾燥することにより、100μmの厚みの熱硬化性接着シートの片面が剥離性シートで覆われたシート1を2枚作製した。その後、この2枚のシート1を熱硬化性接着シート同士が接合するように重ね合わせ、100℃、0.3MPa、1m/minの条件下で接合してシート2を形成した。シート2は、2枚の剥離性シートによって熱硬化性接着シートが挟持された積層体である。この熱硬化性接着シートの厚みは前記処理により190μmの厚みであった。また、シート2の熱硬化性接着シートは、窒化ホウ素(c1)を理論的に70体積%含み、空隙率が36%であった。なお、熱硬化性接着シートの硬化物の空隙率、放熱性、接着強度、絶縁性、半田リフロー耐性は後述する方法に従って評価した。
<熱伝導性フィラー(C)の理論的な体積含有率の算出方法>
実施例1で熱伝導性フィラー(C)として用いた窒化ホウ素(c1)であるHP40-MF100の真密度は2.3g/cmなので、熱硬化性接着シート100gに含まれる84.5gの熱伝導性フィラー(C)の占める体積は、約36.7cmとなる。同様にポリイミド樹脂(A)-1の真密度:1g/cm、jER828の真密度:1.16g/cmなので、熱硬化性接着シート100gに含まれる14gのポリイミド樹脂(A)-1、1.5gのjER828の占める体積はそれぞれ約14cm、約1.3cmとなる。これらより、熱硬化性接着シート中に含まれる熱伝導性フィラー(C)の占める理論的な体積含有率は約70%と求めることができる。なお、ポリイミド樹脂(A)-2~(A)-5、P1~P4の真密度は1g/cmとした。他の化合物の真密度は後述する。
[実施例2~18]、[比較例1~3]
表1、表2に示す処方に従って、実施例1と同様にして、絶縁性組成物、および剥離シート付きの熱硬化性接着シートを得、同様に評価した。
なお、表1、表2中の各成分は以下の通りである。
(硬化剤(B))
jER828(製品名):エポキシ化合物(b)、三菱ケミカル株式会社製、真密度は1.16g/cm
jER630(製品名):エポキシ化合物(b)、三菱ケミカル株式会社製、真密度は1.22g/cm
(硬化促進剤)
PN-40(製品名):味の素ファインテクノ株式会社社製
(熱伝導性フィラー(C))
HP40-MF100(製品名):窒化ホウ素(c1)、水島合金鉄株式会社社製、タップ密度0.85g/cm、平均粒子径D50は35μm、真密度は2.3g/cm
SGPS(製品名):窒化ホウ素(c1)、デンカ株式会社社製、タップ密度0.50g/cm、平均粒子径D50は12μm、真密度は2.3g/cm
HP-P1(製品名):c1以外の窒化ホウ素、水島合金鉄株式会社社製、タップ密度0.38g/cm、平均粒子径D50は3μm、真密度は2.3g/cm
AO-502(製品名):アルミナ、株式会社アドマテックス社製、平均粒子径D50は0.2μm、真密度は3.9g/cm
JR301(製品名):酸化チタン、テイカ株式会社製、平均粒子径D50は0.3μm、真密度は4.2g/cm
[実施例19]
表2に示す処方に従って、実施例9と同じ絶縁性組成物を、剥離性シート上に塗工して乾燥することにより、200μmの厚みの熱硬化性接着シートの片面が剥離性シートで覆われたシートを得た。その後、100℃、0.3MPa、1m/minでの条件下で、熱硬化性接着シートの表面(塗工面)に剥離性シートをラミネートし、2枚の剥離性シートに熱硬化性接着シートが挟持された積層体を得、実施例1と同様にして評価した。
Figure 2022089494000015
Figure 2022089494000016
各実施例および比較例の熱硬化性接着シートの空隙率および硬化物の空隙率を表3に示す。また、各実施例および比較例の放熱性、PCT試験前の接着強度、PCT試験後の接着強度、絶縁性および耐熱性(半田リフロー耐性)の評価結果を表3に示す。それぞれの測定方法および評価基準は以下の通りである。
<熱硬化性接着シートの空隙率>
熱硬化性接着シートの空隙率は、理論密度と実測密度とから求める。理論密度は以下のようにして求める。
理論密度=熱硬化性接着シートの質量g/熱硬化性接着シートの体積(cm
=(84.5+14+1.5)/{(84.5/2.3)+(14/1)+(1.5/1.16)}
=1.92となる。
また、実測密度は以下のように求める。即ち、シート2を10cm×10cmの大きさに切り出し、両面の剥離性シートを剥離した後、熱硬化性接着シートの質量を求める。実施例1の場合は2.346gであった。
実測密度=熱硬化性接着シートの質量g/熱硬化性接着シートの体積cm
=2.346/(10×10×0.019)=1.235となる。
熱硬化性接着シートの空隙率は、空隙率=(1-(実測密度/理論密度))×100の式にて求められるので、実施例1の場合、空隙率は、
(1-(実測密度/理論密度))×100
=(1-(1.235/1.92))=36%となる。
<硬化物の空隙率>
各実施例、各比較例で得られたシート2(10cm×10cmの大きさ)を180℃、3.0MPaの条件で60分間プレスを行い、プレス後の平面視の大きさを確認する。次いで、両面の剥離性シートを剥がし、硬化物(以下、測定用試料ともいう)について熱硬化性接着シートの場合と同様にして硬化物の空隙率を求める。
例えば、実施例1の場合、プレスの際、剥離性シートから硬化物がはみ出すことなく、平面視の大きさがプレス前と同様10cm×10cmであり、厚みが130μmの硬化物が得られ、硬化後のシートの質量は2.346gであったので、硬化物の実測密度は、
=2.346/(10×10×0.013)=1.804となる。
よって、硬化物の空隙率は、
(1-(実測密度/理論密度))×100
=(1-(1.804/1.92))×100=6%となる。
なお、プレスの際、剥離性シートから硬化物がはみ出した場合には、はみ出した部分を取り除き、10cm×10cmの大きさの硬化物の質量を測定し、計算することとする。
<放熱性(熱伝導率)>
熱伝導率は、熱拡散率、比熱、密度から、下記式に従い求める。
熱伝導率(W/(m・K))=密度(g/cm)×比熱(J/kg・K)×熱拡散率(mm/s)
熱拡散率は、以下のようにして求める。即ち、測定用試料を20mm角に切り出し、測定用試料表面を金蒸着した後、更にカーボンスプレーでカーボン被覆した。次いで、キセノンフラッシュアナライザーLFA447Nano Flash(NETZSCH社製)にて、熱拡散率を測定した。測定環境は25±1℃、測定電圧202kV、Amplitude2520、パルス幅14msである。
また、比熱はエスアイアイ・ナノテクノロジー社製の高感度型示差走査熱量計DSC220Cを用いて測定した。昇温レートは5℃/minで-50℃から200℃の範囲で行い、25℃の比熱を読み取った。更に、密度は水中置換法を用いて算出した。求めた熱伝導率は次の基準で判断した。
+++・・・熱伝導率が8W/(m・K)以上である。
++・・・熱伝導率が5W/(m・K)以上8W/(m・K)未満である。
+・・・熱伝導率が2W/(m・K)以上5 W/(m・K)未満である。
NG・・・熱伝導率が2W/(m・K)未満である。実用には適さない。
<90度ピール接着強度>
シート2を65mm×65mmの大きさにカットした。また、同サイズの厚さ35μmの銅箔[福田金属社製「圧延銅箔RCF-T5B」を2枚用意した。そして、シート2の剥離性シートを片面ずつ除去し、熱硬化性接着シートに前記銅箔を100℃、0.3MPa、1m/minの条件で順次仮貼りした後、180℃、3.0MPaの条件で60分間、硬化処理を行った。得られた硬化後の試料から幅10mm、長さ65mmの試験片を切り出し、25℃、50%RH環境で、引っ張り速度500mm/min.で剥離試験を行い、接着強度(N/cm)を測定した。この試験は、熱硬化性接着シートの硬化物の常温使用時における接着強度を評価するものである。以下の基準で評価した。
+++・・・90度ピール接着力が5N/cm以上である。
++・・・90度ピール接着力が3.5N/cm以上5N/cm未満である。
+・・・90度ピール接着力が1N/cm以上3.5N/cm未満である。
NG・・・90度ピール接着力が1N/cm未満である。実用には適さない。
<PCT試験前後の90度ピール接着強度>
65mm×65mmの大きさにカットしたシート2、および同じ大きさにカットした厚さが35μmの銅箔[福田金属社製「圧延銅箔RCF-T5B」を2枚用意し、シート2の剥離性シートを片面ずつ除去し、熱硬化性接着シートに前記銅箔を100℃、0.3MPa、1m/minの条件で順次仮貼りした後、続いて180℃、3.0MPaの条件で60分間、硬化処理を行った。
硬化後の試料から幅10mm、長さ65mmの試験片を切り出し、120℃、100%RH環境で、48時間、プレッシャークッカー試験(PCT試験)を行った。PCT試験前後の試験片を使用し25℃、50%RH環境で、引っ張り速度500mm/min.で剥離試験を行い、接着強度(N/cm)を測定した。
この試験は、熱硬化性接着シートの硬化物の常温使用時における接着強度を評価するものであり、結果を次の基準で判断した。
+++・・・90度ピール接着力が5N/cm以上である。
++・・・90度ピール接着力が3.5N/cm以上5N/cm未満である。
+・・・90度ピール接着力が1N/cm以上3.5N/cm未満である。
NG・・・90度ピール接着力が1N/cm未満である。実用には適さない。
<絶縁性>
40mm×40mm、厚さ2mmの銅ブロック(C1020P(1/2H))、中央部に25mmφの穴を打ち抜いた、50mm×50mm、厚さ25μmのポリイミドフィルム、シート2から両面の剥離性シートを剥がした熱硬化性接着シート(40mm×40mm)、および(40mm×40mm、厚さ2mmのアルミニウムブロック(A3003P(H24))を準備し、銅ブロック/ポリイミドフィルム/熱硬化性接着シート/アルミニウムブロックの構成となるように積層し、180℃、3.0MPaの条件で60分間熱プレスを行った。
上記で得られたサンプルを、25℃、50%RH環境で1晩静置した後、鶴賀電機社製「TM650、耐電圧試験機」を用い、アルミニウムブロックをアースし、25℃50%RH環境で、サンプルをフッ素系不活性液体(スリーエムジャパン社製、フロリナートFC-3283)中に浸漬した状態で、0kVから10kVまで、1000V/秒の条件で電圧を上げ、閾値電流2mAとし、絶縁破壊した時の電圧を読み取り絶縁破壊電圧とした。
++・・・絶縁破壊電圧が4kV以上である。
+・・・絶縁破壊電圧が1kV以上、4kV未満である。
NG・・・絶縁破壊電圧が1kV未満である。実用には適さない。
<耐熱性(半田リフロー耐性)>
絶縁性試験と同様の銅ブロック、アルミニウムブロック、熱硬化性接着シートを準備し、銅ブロック/熱硬化性接着シート/アルミニウムブロックの構成となるように重ね、180℃、3.0MPaの条件で60分間熱プレスを行い、テストピースとした。
半田リフロー炉を用いて、テストピースのピーク温度300℃を5分間維持できるように温度プログラム設定を行い、炉内にテストピースを搬送し、炉から出てきたテストピースを観察した。評価基準は以下の通りとした。
++・・・20個のテストピースのうち剥離の発生が2個以下である。
+・・・20個のテストピースのうち剥離の発生が2個より多く5個以下である。
NG・・・20個のテストピースのうち剥離の発生が5個より多い。実用には適さない。
各実施例および各比較例の評価結果を表3に示す。
Figure 2022089494000017
表3に示すように、ダイマー構造を有しないポリイミド樹脂を用いた比較例1においては、PCT試験後の耐湿性および耐熱性が充分ではなかった。また、タップ密度が0.4g/cm未満の窒化ホウ素を用いた比較例2においては、放熱性が充分ではなかった。また、ダイマー骨格を有するポリアミドイミド樹脂を用いた比較例4においては、PCT試験後の接着強度が充分ではなかった。これに対し、本実施例に係る絶縁性組成物によれば、放熱性に優れ、且つ、PCT試験前後に関わらず接着強度に優れ、更に、絶縁性および耐熱性(半田リフロー耐性)に優れることを確認した。
本実施形態の絶縁性組成物は、硬化後に優れた接着性を示すので、接着材料として利用できる。また、電気絶縁性に優れるため、回路基板自体または回路基板上の絶縁層形成材料(プリント配線板のカバーレイ層、ビルトアップ基板等の層間絶縁層、基板形成材料、ボンディングシート等を含む)、アンダーフィル材等の樹脂注型材料、半導体チップの封止材料、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための材料等として好適に用いられる。また、電子回路基板と電子部品等との部品同士の接合材料にも好適である。更に、熱伝導性に優れるので、放熱性が求められる用途全般に適用できる。例えば、絶縁性組成物の成形性を利用して、所望の形状の放熱部品として好適に利用できる。特に、軽薄短小化のために、ファンやヒートシンクを設置できない電子機器(スマートフォン、ダブレット端末等)、電池用外装材の放熱部材として有用である。また、本実施形態の絶縁性組成物の硬化物は、発熱体とヒートシンクとの接着層あるいはヒートスプレッダーとして好適である。また、基板上に搭載された一種または複数の電子部品を被覆する放熱層として適用できる。また、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル等の表示装置、LED等の発熱部材から発生する熱を外部に放熱させる絶縁性放熱シート・成形物として好適に利用できる。
本発明の絶縁性組成物は、放熱性に優れ、且つ、PCT試験前後に関わらず接着強度に優れ、更に、絶縁性および耐熱性(半田リフロー耐性)に優れるので、これらの特性が必要とされる家電、産業ロボット、輸送機器などの電子機器やパワー半導体モジュールのほか、建材、車両、航空機、および船舶に広く用いることができる。

Claims (15)

  1. テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンを含むポリアミン化合物との反応物であるポリイミド樹脂(A)と、硬化剤(B)と、熱伝導性フィラー(C)とを含有し、
    熱伝導性フィラー(C)として、タップ密度が0.4g/cm以上である窒化ホウ素(c1)を含む
    熱硬化型の絶縁性組成物。
  2. 前記テトラカルボン酸二無水物は、一般式(1):
    Figure 2022089494000018
    (Xは4価のテトラカルボン酸二無水物残基であり、置換もしくは非置換の芳香族環を少なくとも一つ有する。)
    で表される化合物を含む、請求項1記載の絶縁性組成物。
  3. 前記ポリアミン化合物100質量%中に含まれる前記ダイマージアミンの含有率が50~100質量%である、請求項1または2記載の絶縁性組成物。
  4. ポリイミド樹脂(A)中に含まれる、ダイマージアミンに由来する炭素数20~60の炭化水素基の含有率が30~90質量%である請求項1~3いずれか1項に記載の絶縁性組成物。
  5. ポリイミド樹脂(A)の重量平均分子量が5,000~150,000である、請求項1~4いずれか1項に記載の絶縁性組成物。
  6. 硬化剤(B)が、エポキシ系化合物(b1)を含む、請求項1~5いずれか1項に記載の絶縁性組成物。
  7. エポキシ系化合物(b1)が、水酸基、2級アミノ基および3級アミノ基のいずれかを有し、且つエポキシ基を2つ以上有する化合物である、請求項6に記載の絶縁性組成物。
  8. 窒化ホウ素(c1)の平均粒子径D50が10~100μmである、請求項1~7いずれか1項に記載の絶縁性組成物。
  9. 熱伝導性フィラー(C)100体積%中に含まれる窒化ホウ素(c1)の含有率が40~100体積%である、請求項1~8いずれか1項に記載の絶縁性組成物。
  10. 請求項1~9いずれか1項に記載の絶縁性組成物から形成してなる熱硬化性接着シート。
  11. 空隙を有していてもよく、前記空隙を有する場合の空隙率が45体積%以下であり、前記空隙を除く組成物100体積%に対して熱伝導性フィラー(C)が55~90体積%含まれる請求項10に記載の熱硬化性接着シート。
  12. 請求項11記載の熱硬化性接着シートの硬化物であって、前記硬化物の空隙率が硬化前の空隙率以下であり、且つ15体積%以下である、熱伝導性接着層。
  13. 厚みが50~250μmである、請求項12に記載の熱伝導性接着層。
  14. 熱を発生し得る熱発生部材と、
    前記熱発生部材の熱を放熱させる放熱ベース基材と、
    前記熱発生部材と前記放熱ベース基材とを接合する熱伝導性接着層とを有し、
    前記熱伝導性接着層が、請求項10または11に記載の熱硬化性接着シートの硬化物である複合部材。
  15. 前記熱発生部材の前記放熱ベース基材との接合部の少なくとも一部が銅であり、前記放熱ベース基材の前記熱発生部材との接合部の少なくとも一部が銅またはアルミニウムである、請求項14記載の複合部材。
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