JP2003113389A - パーフルオロポリエーテル系化合物を含有する潤滑剤、および該潤滑剤を用いた磁気記録媒体。 - Google Patents

パーフルオロポリエーテル系化合物を含有する潤滑剤、および該潤滑剤を用いた磁気記録媒体。

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JP2003113389A
JP2003113389A JP2001308541A JP2001308541A JP2003113389A JP 2003113389 A JP2003113389 A JP 2003113389A JP 2001308541 A JP2001308541 A JP 2001308541A JP 2001308541 A JP2001308541 A JP 2001308541A JP 2003113389 A JP2003113389 A JP 2003113389A
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Hisanori Tsuboi
寿憲 坪井
Noriyuki Kishii
典之 岸井
Takahiro Kamei
隆広 亀井
Kenichi Kurihara
研一 栗原
Takeshi Kobayashi
健 小林
Hiroshi Iwamoto
岩本  浩
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ディスクの耐磨耗性、耐候性の向上を図
る。 【解決手段】 磁気ディスクの磁性層上に塗布する潤滑
剤について、末端にカルボキシル基を有するパーフルオ
ロポリエーテルと1級または2級アミンとの化合物を含
有するものとし、特に、分子中の窒素原子に部分フッ素
化された炭化水素基、またはフッ化炭素基が結合してい
ることを必須要件とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子構造に特徴を
有するパーフルオロポリエーテル系化合物を含有する磁
気記録媒体用の潤滑剤、および当該潤滑剤を用いた磁気
記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、磁気ディスク等の磁気記録媒
体は、プラスチック基板等よりなる非磁性支持体上に、
磁性層および保護層が積層形成された構成を有してい
る。例えばハードディスク装置においては、いわゆるコ
ンタクト・スタート・ストップ(CSS)により、回転
前には磁気ヘッドが磁気ディスクに接触し、高速で回転
を始めると発生する空気流によって浮上するようになさ
れている。すなわち、起動停止時あるいは起動時には、
磁気ヘッドと磁気ディスクの表面とが接触したり、ある
いは磁性面上に付着している粉塵が磁気ヘッドと接触し
たりすることによって磨耗する場合があり、磁気ディス
クの記録再生特性低下の原因となっていた。
【0003】上述した問題点に鑑みて、従来においては
磁気記録媒体の磁性層側に各種潤滑剤を用いてトップコ
ート層を形成することにより耐磨耗性等の耐久性の向上
を図っていた。このような潤滑剤として、従来一般的に
パーフルオロポリエーテルが使用されていたが、記録時
や再生時に磁気ヘッドと接触すると表面の潤滑剤が失わ
れやすく、記録再生特性が悪化するため、かかる問題を
改善するべく、パーフルオロポリエーテルの末端に極性
基や、官能基を導入したものを適用して潤滑剤と磁性層
との接着性を改善する方法が提案された(特開昭61−
155345号公報、特開昭61−113126号公
報、特開昭62−270019号公報、特開平2−10
1626号公報)。
【0004】特に末端にアミノアルキル基を導入したパ
ーフルオロポリエーテル(特開平7−320225号公
報、特開平11−172268号公報)は、磁性層表面
の酸性基との密着性が良好で、優れた潤滑特性を発揮す
ることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の末端にアミノアルキル基を導入したパーフルオロポリ
エーテルは、分子末端に炭化水素基を多く導入するた
め、磁気記録媒体の表面エネルギーの増加を招来すると
いう問題があった。
【0006】また、これらの末端にアミノアルキル基を
導入したパーフルオロポリエーテルは、自己凝集性が強
いため、潤滑剤を塗布した場合にも塗り落ち部分がミク
ロに生じてしまい、被覆率の低下を招来するという欠点
を有している。潤滑剤の磁気記録媒体表面での被覆率が
低いと、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの接触によって磁
性層形成面が磨耗したり、あるいは磁気ヘッドに磁性成
分が付着したりすることにより、記録再生特性が悪化す
る。
【0007】また、上述したように、磁気記録媒体の表
面エネルギーが増加すると、特に高湿環境下において水
分を吸着しやすく、磁気記録媒体の耐久性が低下する。
【0008】そこで本発明においては上記問題点に鑑み
て、アミノアルキル基を導入したパーフルオロポリエー
テルの磁気記録媒体表面の酸性基と高い密着性を維持し
つつ、表面エネルギーの増加および被覆率の低下を回避
した潤滑剤、およびこれを用いた磁気記録媒体を提供す
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明においては、下記
一般式[化3]または[化4]で表される化合物を含有
する磁気記録媒体用の潤滑剤を提供する。
【化3】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示し、R
は水素、部分フッ素化された炭化水素基、またはフッ
化炭素基のいずれかであり、Rは部分フッ素化された
炭化水素基、またはフッ化炭素基であるものとする。)
【化4】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示し、R
、Rは水素、部分フッ素化された炭化水素基、また
はフッ化炭素基のいずれかであり、R、Rは部分フ
ッ素化された炭化水素基、またはフッ化炭素基であるも
のとする。)
【0010】また、本発明においては、上記一般式[化
3]、[化4]中の、パーフルオロポリエーテル基が部
分水素化されている化合物を含有する磁気記録媒体用の
潤滑剤を提供する。
【0011】また、本発明においては、上記[化3]、
[化4]に示すパーフルオロポリエーテル系化合物、ま
たは上記パーフルオロポリエーテル基が部分水素化され
ているパーフルオロポリエーテル系化合物を含有する潤
滑剤が塗布、あるいは磁性層中に内添されている磁気記
録媒体を提供する。
【0012】本発明の潤滑剤は、従来用いられてきた潤
滑剤に比して著しく良好な潤滑性を発揮し、また潤滑性
が長時間に亘り維持されるという特徴を有する。また、
本発明の潤滑剤においては、上記[化3]、[化4]の
パーフルオロポリエーテル系化合物について、分子中の
窒素原子と結合する基について、少なくともいずれか一
方が部分フッ素化された炭化水素基、またはフッ化炭素
基としたことにより、特に磁気ディスクに適用した場合
に、従来の潤滑剤に比して極めて優れた潤滑効果を発揮
する。
【0013】また本発明によれば、厳しい使用条件下に
おいても、長時間に渡り優れた潤滑効果が持続され、走
行性、耐磨耗性、耐久性等に優れた磁気記録媒体が得ら
れる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の潤滑剤および磁気記録媒
体の具体的な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】先ず、本発明の磁気記録媒体用の潤滑剤に
ついて詳述する。本発明の潤滑剤を構成するパーフルオ
ロポリエーテル系化合物のうち、パーフルオロポリエー
テル基の片側の末端にのみ官能基を有する化合物を下記
[化5]に表す。また、パーフルオロポリエーテル鎖の
両末端に官能基を有する化合物を[化6]に表す。
【0016】
【化5】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示し、R
は水素、部分フッ素化された炭化水素基、またはフッ
化炭素基のいずれかであるものとし、Rは部分フッ素
化された炭化水素基、またはフッ化炭素基であるものと
する。)
【化6】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示し、R
、Rは水素、部分フッ素化された炭化水素基、また
はフッ化炭素基のいずれかであるものとし、R、R
は部分フッ素化された炭化水素基、またはフッ化炭素基
であるものとする。)
【0017】上記[化5]および[化6]中のパーフル
オロポリエーテル基Rの平均分子量は、実用的には5
00〜6000程度が好ましく、1000〜4000が
より好ましい。パーフルオロポリエーテル基の分子量が
6000を越えると、末端基の効果が小さくなり、潤滑
剤として適用した場合に吸着基として充分に効果が発揮
できない。一方、分子量が500未満であるとパーフル
オロポリエーテル基が短すぎるため潤滑効果が充分に得
られず、磁気記録媒体の摩擦係数が大きくなる。
【0018】上記一般式[化5]および[化6]中のR
、R、R、R、R、Rは、分岐構造、異性
体構造、脂環構造、分子量、不飽和結合の有無によら
ず、任意に選択することができる。一般的にこれらにフ
ッ素化炭素が多く含まれると、潤滑剤として適用した場
合に表面エネルギーの小さい潤滑剤層が形成される。ま
た、潤滑剤層は、フッ素系の溶媒に上記化合物を溶解せ
しめたものを塗布することによって形成できる。
【0019】次に、本発明の潤滑剤に含有されるパーフ
ルオロポリエーテル系化合物の合成方法について以下に
示す。先ず、上記[化5]に示すパーフルオロポリエー
テル系化合物の合成方法について説明する。
【0020】先ず、下記[化7]に示すパーフルオロポ
リエーテル基の片側の末端にのみカルボキシル基を有す
るパーフルオロポリエーテルを、塩化チオニルと反応さ
せて、下記[化8]に示すカルボン酸クロライドを得
る。次に、カルボン酸クロライドと、フッ化炭素基を含
む1級または2級アミンと反応させて、下記[化9]に
示す末端にアミド基を有するパーフルオロポリエーテル
を得る。次に、これをLiAlH等によって還元する
ことにより、上記[化5]に示すパーフルオロポリエー
テル系化合物が作製される。
【0021】
【化7】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示す。)
【0022】
【化8】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示す。)
【0023】
【化9】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示し、R
は水素、部分フッ素化された炭化水素基、またはフッ
化炭素基のいずれかであるものとし、Rは部分フッ素
化された炭化水素基、またはフッ化炭素基であるものと
する。)
【0024】次に、上記[化6]に示すパーフルオロポ
リエーテル系化合物の合成方法について説明する。先
ず、下記[化10]に示すパーフルオロポリエーテル基
の両末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエ
ーテルを、塩化チオニルと反応させて、下記[化11]
に示すカルボン酸クロライドを得る。次に、上記カルボ
ン酸クロライドと、フッ化炭素基を含む1級または2級
アミンと反応させて、下記[化12]に示す両末端にア
ミド基を有するパーフルオロポリエーテルを得る。次
に、これをLiAlH等によって還元することによ
り、上記[化6]に示すパーフルオロポリエーテル系化
合物が作製される。
【0025】
【化10】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示す。)
【0026】
【化11】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示す。)
【0027】
【化12】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示し、R
、Rは水素、部分フッ素化された炭化水素基、また
はフッ化炭素基のいずれかであるものとし、R、R
は部分フッ素化された炭化水素基、またはフッ化炭素基
であるものとする。)
【0028】本発明潤滑剤においては、特に、上記[化
5]中の窒素原子に部分フッ素化された炭化水素基、ま
たはフッ化炭素基が結合しているものに特定し、上記
[化6]中の窒素原子に、それぞれ部分フッ素化された
炭化水素基、またはフッ化炭素基が結合しているものに
特定する。
【0029】また、上述した本発明の磁気記録媒体用の
潤滑剤を構成するパーフルオロポリエーテル系化合物に
おいては、いずれもパーフルオロポリエーテル基が部分
水素化されているものであってもよい。すなわち、パー
フルオロポリエーテル基のフッ素原子の一部(50%以
下程度)を水素原子で置き換えることができる。この場
合には、合成に用いるパーフルオロポリエーテルとし
て、予め部分水素化したパーフルオロポリエーテル化合
物を使用すればよく、これによってフロン系溶媒の使用
量の低減化が図られる。
【0030】上述した本発明のパーフルオロポリエーテ
ル系化合物を含有する潤滑剤は、特に磁気ディスク用の
潤滑剤として適用した場合に、従来用いられている磁気
記録媒体用の潤滑剤に比して、極めて優れた潤滑効果を
発揮し、走行性、耐磨耗性、耐久性等の向上が図られ
る。また、磁気記録媒体用の潤滑剤としては、上述した
パーフルオロポリエーテル系化合物を単独で用いてもよ
く、あるいは従来公知の潤滑剤等と混合して用いること
もでき、その他必要に応じて各種添加剤が配合できる。
【0031】次に、本発明の磁気記録媒体について説明
する。本発明の磁気記録媒体は、上記[化5]、[化
6]に示すパーフルオロポリエーテル系化合物、または
これらの化合物中のパーフルオロポリエーテル基が部分
水素化された化合物を含有する潤滑剤が、磁性層上に塗
布、あるいは磁性層中に内添された構成を有している。
【0032】上述した本発明の磁気記録媒体は、非磁性
支持体上に少なくとも真空蒸着等の方法により形成され
た金属磁性薄膜よりなる磁性層、カーボン保護層、およ
び潤滑剤層が順次形成されたいわゆる金属薄膜型の磁気
記録媒体であるものとする。また、非磁性支持体と磁性
層との間に適宜下地層が形成されたものであってもよ
い。
【0033】非磁性支持体は、磁気ディスク用の基板と
して従来公知のものをいずれも適用することができ、特
に限定されるものではない。例えばアルミニウム合金
板、チタン合金等からなる金属基板、アルミナガラス等
からなるセラミック基板、ガラス基板等の剛性を有する
基板を適用することができる。また、基板表面にアルマ
イト処理等の酸化皮膜や、Ni・P皮膜等を形成するこ
とにより表面を硬化してもよい。
【0034】磁性層を構成する金属磁性薄膜は、メッ
キ、スパッタリング、真空蒸着法等の従来公知のPVD
により連続膜として形成することができ、磁性層形成用
の材料としては、例えば、Fe,Co,Ni等の金属
や、CoNi系合金、CoPt系合金、CoPtNi系
合金、FeCo系合金、FeNi系合金、FeCoNi
系合金、FeNiB系合金、FeCoB系合金、FeC
oNiB系合金等からなる面内磁化記録金属磁性膜や、
CoCr系合金薄膜等が挙げられる。
【0035】磁性層を、特に面内磁化記録金属磁性薄膜
とする場合には、予め非磁性支持体上にBi,Sb,P
b,Sn,Ga,In,Ge,Si,Ti等の低融点非
磁性材料の下地層を形成しておき、金属磁性材料を垂直
方向から蒸着あるいはスパッタし、金属磁性薄膜中にこ
れらの低融点非磁性材料を拡散せしめ、配向性を解消し
て面内等方性を確保するとともに抗磁性を向上するよう
にしてもよい。
【0036】磁性層上には、一般的にカーボン保護層を
形成する。カーボン保護層は、例えばスパッタリングに
よって形成することができるが、その他従来公知の方法
によっても形成することができる。カーボン保護層は、
膜厚2〜100nm程度に形成することが好適であり、
さらに望ましくは5〜30nmの膜厚に形成する。
【0037】上記磁気記録媒体の磁性面に本発明の潤滑
剤を保持せしめる方法としては、金属磁性薄膜表面や、
上記カーボン保護層表面にトップコートする方法が挙げ
られる。この場合、潤滑剤の塗布膜厚は、例えば0.3
〜20nm程度とすることが好ましく、0.5〜5nm
程度がさらに好ましい。潤滑剤を塗布するには、フッ素
溶媒に溶解したものを用いることができる。また、潤滑
剤は磁性層中に内添させてもよい。
【0038】また、本発明の潤滑剤中に、必要に応じて
防錆剤を添加してもよい。防錆剤としては従来磁気記録
媒体に適用されているものであれば、いずれも使用でき
る。例えば、フェノール類、ナフトール類、キノン類、
窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化
合物、硫黄原子を含む複素環化合物等が挙げられる。
【0039】さらに、本発明の磁気記録媒体は、本発明
の潤滑剤を用いて、磁性層形成面側とは反対側の主面に
バックコート層を形成した構成としてもよい。
【0040】上述した本発明の磁気記録媒体は、各種使
用条件下において優れた潤滑性が保持されるとともに、
長時間に亘り潤滑効果を持続することができ、優れた走
行性、耐磨耗性、耐久性が実現される。
【0041】
【実施例】次に、本発明の潤滑剤および磁気記録媒体の
具体的な実施例について説明するが、本発明は下記に示
す実施例に限定されるものではない。
【0042】〔実施例1〕本発明の潤滑剤を構成するパ
ーフルオロポリエーテル系化合物を合成する。末端にカ
ルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテル(アウ
ジモント社製z−Diac、平均分子量2000)20
gと、塩化チオニル5gを混合し、80℃のオイルバス
中で3時間還流した。反応後、過剰な塩化チオニルを減
圧除去し、パーフルオロポリエーテルのカルボン酸クロ
ライドを得た。
【0043】次に、1H,1H−ヘプタフルオロブチル
アミン[F(CFCHNH ]8gを溶かした
ハイドロフルオロエーテル(住友3M社製のHFE72
00)50mlに、上記のようにして得たパーフルオロ
ポリエーテルのカルボン酸クロライドを滴下した。滴下
後さらに1時間反応させた後、濾過して溶媒を減圧除去
することにより、末端にアミド基を有するパーフルオロ
ポリエーテルを得た。
【0044】LiAlH0.75gを溶かしたジエチ
ルエーテル100mlに、50mlのハイドロフルオロ
エーテルに溶かした上記末端にアミド基を有するパーフ
ルオロポリエーテルを滴下した。滴下後、80℃のオイ
ルバス中でさらに8時間還流した。反応後、少量の水を
加えて過剰なLiAlHを反応させた後、塩酸を加え
て中和し、有機相を分離し硫酸マグネシウムで乾燥して
溶媒を減圧除去することにより、下記[化13]に示す
末端にアミノ基を有するパーフルオロポリエーテルが得
られる。
【0045】
【化13】
【0046】上述のようにして合成した末端にアミノ基
を有するパーフルオロポリエーテルの赤外吸収スペクト
ルを図1に示す。これによれば、カルボキシル基による
ピークが観測されず、反応が完全に進行したことが確認
された。
【0047】なお上記において、原料となる末端にカル
ボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルおよび1
H,1H−ヘプタフルオロブチルアミン[F(CF
CHNH]に代えて、対応するカルボキシル基を
有するパーフルオロポリエーテル、および1級または2
級アミンを用いることにより、上記[化5]、[化6]
のR、R、R、R、R、Rを任意に設定し
た、本発明のパーフルオロポリエーテル系化合物を作製
することができる。
【0048】下記[表1]に、上記[化5]、[化6]
の分子中に示すR、R、R、R、R、R
任意に設定したパーフルオロポリエーテル系化合物の具
体例を示す([実施例1]〜[実施例5])。
【0049】
【表1】
【0050】[比較例]次に、比較例となる潤滑剤用化
合物を作製した。下記[表2]に、各種比較例の潤滑剤
用化合物の具体例を示す。[表2]中に示す[比較例
1]、[比較例2]の化合物は、上記[化6]に示すパ
ーフルオロポリエーテル系化合物のR、R、R
がいずれも炭化水素基であるものとした。[比較例
3]の化合物は、上記[化6]に示すパーフルオロポリ
エーテル系化合物の窒素原子に結合されている基にフッ
素原子が含有されていないものとした。[比較例4]の
化合物は、両末端に水酸基を有するパーフルオロポリエ
ーテル系化合物であるものとした。
【0051】
【表2】
【0052】次に、上述のようにして作製したパーフル
オロポリエーテル系化合物を潤滑剤として用いる磁気記
録媒体として、外径2.5インチの潤滑剤未塗布の磁気
ディスクを作製した。
【0053】上述のようにして作製した[実施例1]〜
[実施例5]および[比較例1]〜[比較例4]の各化
合物を、HFE−7200に溶解させ、それぞれ磁気デ
ィスクの磁性面上にディップコートした。このとき必要
に応じて150℃の窒素雰囲気下で1時間熱処理を行っ
た。
【0054】ディップコート時の溶液濃度および処理時
間等を調整することにより、上記[実施例1]〜[実施
例5]および[比較例1]〜[比較例4]の化合物に関
して潤滑剤の膜厚が0.8nm、1.5nm、2.5n
mとなるような、3種類の磁気ディスクのサンプルをそ
れぞれ作製した。なお、潤滑剤の膜厚は、エリプソメー
タで補正したFT−IR高感度反射法によって測定し
た。上述のようにして作製した各磁気ディスクのサンプ
ルについて、下記に示す(1)〜(5)の評価を行っ
た。[実施例1]〜[実施例5]の評価結果を下記[表
3]〜[表5]に示し、[比較例1]〜[比較例4]の
評価結果を下記[表6]、[表7]に示す。
【0055】(1)ボンド率測定 磁気ディスクをHFE−7200に5分間超音波浸漬し
た後の潤滑剤膜厚を、浸漬する前の潤滑剤膜厚と比較
し、その比をボンド率として算出した。 (2)水に対する接触角測定 磁気ディスクの表面に10μlの純水を滴下し、滴下3
0秒後における接触角を測定した。 (3)動摩擦係数測定 磁気ディスクの表面上に、ヘッド荷重が10gfの磁気
ヘッドを、ディスク半径20mm、回転速度10rpm
で接触摺動させたときの平均摩擦係数を測定した。ま
た、60℃、80%RHの高温高湿環境下においても、
同様の条件で平均摩擦係数を測定した。 (4)耐久性測定 60℃、80%RHの高温高湿環境下で、磁気ディスク
表面上に、ヘッド荷重が10gfの磁気ヘッドを、ディ
スク半径20mm、回転速度300rpmで接触摺動さ
せ、磁気ディスク表面に目視できる程度の傷が発生する
までの回転数を測定した。 (5)スピンオフ測定 60℃、80%RHの高温高湿環境下で、磁気ディスク
を7200rpmの回転速度で240時間回転させた。
このとき、磁気ディスクの半径15mmの位置と、30
mmの位置における膜厚の差を測定した。なお、この評
価は、潤滑剤の膜厚を2.5nmとした磁気ディスクを
用いて行った。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】上記[表3]〜[表5]に示すように、
[実施例1]〜[実施例5]に示した本発明の潤滑剤を
塗布した磁気ディスクは、いずれも上記各評価に関して
良好な結果が得られた。
【0062】具体的には、上記[表3]〜[表5]中の
[実施例1]〜[実施例5]と、上記[表6]、[表
7]中の[比較例1]〜[比較例4]とを比較すると、
[実施例1]〜[実施例5]はボンド率が高く、磁気デ
ィスクと潤滑剤層との吸着性が良好であることがわかっ
た。また、スピンオフの評価結果を比較しても同様に、
[実施例1]〜[実施例5]は、磁気ディスクと潤滑剤
層との吸着性が良好であることがわかった。
【0063】また、[実施例1]〜[実施例5]におい
ては、[比較例1]〜[比較例4]に比べて特に薄く潤
滑剤層を形成した場合(0.8nm、1.5nm)にお
いても、水の接触角が大きくなることがわかった。ま
た、[実施例1]〜[実施例5]においては、[比較例
1]〜[比較例4]に比べて、高温高湿環境下での動摩
擦係数が低くなった。これらの結果から、[実施例1]
〜[実施例5]においては、潤滑剤が優れた被覆性能を
有し、極めて薄く潤滑剤層を形成した場合においても磁
気ディスクの表面を効果的に被覆し、水分の吸着を回避
していることがわかった。また、高温高湿環境下等の厳
しい使用条件下における長期間の継続使用を行った場合
においても潤滑剤の特性が持続し、媒体表面の磨耗を効
果的に回避することがわかった。
【0064】
【発明の効果】本発明の潤滑剤によれば、磁気ディスク
と潤滑剤層との吸着性の向上を図ることができ、磁気記
録媒体の耐磨耗性、耐久性の向上を図ることができた。
【0065】また、本発明の潤滑剤によれば、潤滑剤層
を薄く形成した場合においても、水分の吸着を効果的に
回避し、耐候性に優れた磁気記録媒体を得ることができ
た。
【0066】また、本発明の潤滑剤により潤滑剤層を形
成した磁気記録媒体は、高温高湿環境下等の厳しい条件
で長期間、継続して使用した場合においても潤滑剤の効
果が持続し、媒体表面の磨耗を効果的に回避できた。
【0067】本発明の磁気記録媒体によれば、磁性層と
潤滑剤層との密着性が良好であるため、耐磨耗性、耐久
性の向上が図られた。
【0068】また、本発明の磁気記録媒体によれば、潤
滑剤層が極めて薄く形成されたものとしても、水分の吸
着が効果的に回避され、耐候性に優れたものとすること
ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】[実施例]により作製した、パーフルオロポリ
エーテル系化合物の赤外吸収スペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C10N 30:00 C10N 30:00 Z 30:06 30:06 40:18 40:18 (72)発明者 亀井 隆広 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 栗原 研一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 小林 健 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 岩本 浩 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA03 AB60 4H104 BE02A CE19A LA03 LA20 PA16 5D006 AA00 DA03 FA02 FA05 FA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[化1]または[化2]で表
    されることを特徴とするパーフルオロポリエーテル系化
    合物を含有する磁気記録媒体用の潤滑剤。 【化1】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示し、R
    は水素、部分フッ素化された炭化水素基、またはフッ
    化炭素基のいずれかであり、Rは部分フッ素化された
    炭化水素基、またはフッ化炭素基であるものとする。) 【化2】 (式中、Rはパーフルオロポリエーテル基を示し、R
    、Rは水素、部分フッ素化された炭化水素基、また
    はフッ化炭素基のいずれかであり、R、Rは、部分
    フッ素化された炭化水素基、またはフッ化炭素基である
    ものとする。)
  2. 【請求項2】 上記一般式[化1]、[化2]中の、パ
    ーフルオロポリエーテル基が部分水素化されていること
    を特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用の潤滑
    剤。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に、少なくとも磁性層が
    形成されている磁気記録媒体であって、 上記一般式[化1]または[化2]で表されるパーフル
    オロポリエーテル化合物を含有する潤滑剤が、上記磁性
    層上に塗布、あるいは上記磁性層中に内添されているこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記一般式[化1]または[化2]中
    の、パーフルオロポリエーテル基が部分水素化されてい
    ることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記磁気記録媒体が、磁気ディスクであ
    ることを特徴とする請求項1、2に記載の潤滑剤。
  6. 【請求項6】 上記磁気記録媒体が、磁気ディスクであ
    ることを特徴とする請求項3、4に記載の磁気記録媒
    体。
JP2001308541A 2001-10-04 2001-10-04 パーフルオロポリエーテル系化合物を含有する潤滑剤、および該潤滑剤を用いた磁気記録媒体。 Pending JP2003113389A (ja)

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