JP2003107118A - コンデンサの良否判定方法 - Google Patents

コンデンサの良否判定方法

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JP2003107118A JP2001304806A JP2001304806A JP2003107118A JP 2003107118 A JP2003107118 A JP 2003107118A JP 2001304806 A JP2001304806 A JP 2001304806A JP 2001304806 A JP2001304806 A JP 2001304806A JP 2003107118 A JP2003107118 A JP 2003107118A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 迅速でかつ信頼性の高い、コンデンサの良否
判定方法を提供する。 【解決手段】 予備充電工程11において、測定電圧印
加工程13における測定用直流電圧より高い予備充電用
直流電圧をコンデンサに印加して予備充電し、次いで、
放電工程12において、放電するが、過充電の状態を維
持したまま、測定電圧印加工程13において、測定用直
流電圧を印加しながら、コンデンサに流れる電流挙動を
評価する電流挙動評価工程14を実施する。この電流挙
動評価工程14では、予備充電工程11において充電さ
れた電荷による電流と測定用直流電圧による電流との差
し引きによって、コンデンサが良品の場合には、電流が
ほとんど流れないか、測定用直流電圧に対して負の電流
が流れ、コンデンサが不良品の場合には、測定用直流電
圧に対して正の電流が流れることに基づいて、コンデン
サの良否を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コンデンサの良
否判定方法に関するもので、特に、良否判定の能率化お
よび信頼性の向上を図るための改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】たとえば積層セラミックコンデンサは、
その製造過程において、空隙や内部電極とセラミック層
との剥がれなどの欠陥が生じるという問題に遭遇するこ
とがある。これらの欠陥の大部分は、得られた積層セラ
ミックコンデンサの絶縁抵抗を測定することによって検
出することができ、したがって、このような絶縁抵抗の
評価に基づいて、良品となるべき積層セラミックコンデ
ンサを選別することが可能である。
【0003】一般に、コンデンサの絶縁抵抗についての
良否を判定するため、図9に示すような手順が採用され
ている。
【0004】図9を参照して、まず、コンデンサに所定
の測定用直流電圧を印加する測定電圧印加工程1が実施
される。ついで、測定電圧印加工程1において十分に充
電された後のコンデンサの漏れ電流を測定することによ
って、コンデンサの絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定工
程2が実施される。この絶縁抵抗の測定方法としては、
JIS−C5102で規定されている方法が知られてい
る。
【0005】しかしながら、図9に示した方法では、測
定電圧印加工程1において、コンデンサを十分な充電状
態とするため、比較的長い時間が必要であり、そのた
め、絶縁抵抗測定工程2を終えるまでの時間が比較的長
くなるという問題がある。
【0006】上記の充電時間についてより詳細に検討す
ると、コンデンサの等価回路は、良品では、図6に示す
ように、静電容量の主成分C0 、内部抵抗r、絶縁抵抗
0および誘電吸収成分Dをもって構成される。誘電吸
収成分Dは、静電容量C1 および抵抗r1 から構成され
る。
【0007】コンデンサに備える誘電体として強誘電体
を用い、さらに誘電吸収成分Dが大きい場合には、測定
電圧印加工程1において十分な充電状態を得るには、た
とえば2分間以上の長い時間を必要とする。
【0008】この問題を解決するのに有効な方法が、特
開平10−246746号公報に記載されている。この
公報に記載された方法が、図10に示されている。
【0009】この方法では、図10に示すように、予備
充電工程3、放電工程4、測定電圧印加工程5および絶
縁抵抗測定工程6が順次実施される。
【0010】予備充電工程3では、後の測定電圧印加工
程5において印加される測定用直流電圧より高い予備充
電用直流電圧がコンデンサに印加される。これによっ
て、図6に示した誘電吸収成分Dに対する充電を短時間
のうちに達成し、それによって、測定電圧印加工程5に
おいて十分な充電状態を得るための時間の短縮を図って
いる。
【0011】図10に示した方法では、予備充電工程3
と測定電圧印加工程5との間に放電工程4を設けること
が、充電の高速化にとって重要であり、このことが、特
開平10−246746号公報において提案された発明
の主要な特徴的構成となっている。このことを、図4を
参照して説明する。
【0012】図4は、簡単に言えば、放電工程4を実施
する放電時間をパラメータとして、測定電圧印加工程を
開始してからの時間に対する、コンデンサに流れる電流
の変化を示したものである。
【0013】図4において、「予備充電なし」は、図9
に示した方法に対応している。この場合には、図4に示
した範囲から右側に外れた領域で明確に現れるものであ
るが、この外れた領域で平坦となり、十分な充電状態が
達成され、この平坦な部分で絶縁抵抗測定工程2が実施
されることになる。
【0014】他方、図4において、たとえば「放電1
秒」は、図10に示した放電工程4が1秒間実施された
ことを示しており、この場合には、上述した「予備充電
なし」に比べて、より早く平坦になり、より早く十分な
充電状態が達成されていることがわかる。したがって、
絶縁抵抗測定工程6をより早い時点で実施することがで
きる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述した図10に示し
た方法のように、予備充電工程3を実施し、測定電圧印
加工程5における測定用直流電圧より高い予備充電用直
流電圧を印加して、コンデンサの誘電吸収成分Dでの予
備充電を行なうと、測定電圧印加工程5において、誘電
吸収成分Dに測定用直流電圧より高い電圧が残っている
と、絶縁抵抗測定工程6において、真の電流値より小さ
い電流値を測定してしまうことになり、不良品を良品と
間違える可能性が高くなる。これを避けるためには、放
電工程4において、放電を十分に行なう必要がある。
【0016】しかしながら、誘電吸収成分Dの時定数が
比較的大きいため、放電回路のインピーダンスを低く設
定しても、放電にはある程度の時間を要し、したがっ
て、測定電圧印加工程5に入るまでに比較的長い時間待
たなければならない。このようなことから、結局、予備
充電工程3において、誘電吸収成分Dへの過充電が生じ
ない条件を選ばなければならないことになり、絶縁抵抗
の測定時間の短縮化に対する制約となっている。
【0017】また、絶縁抵抗測定工程6においては、微
小な電流値を測定しなければならない。特に、対象とな
るコンデンサが積層セラミックコンデンサの場合、近年
の積層セラミックコンデンサの大容量化に伴って、セラ
ミック層の厚みが数μm、たとえば3μmというように
薄層化され、それに従って、定格電圧が低くなり、その
ため、測定電圧印加工程5における測定用直流電圧も低
くしなければならず、この理由によっても、検出される
べき電流値が小さくなってきている。
【0018】なお、低い定格電圧にかかわらず、高い電
圧値で絶縁抵抗を測定することも考えられるが、測定用
直流電圧が高くなると、セラミック層の厚みが薄いため
に電界強度も高くなり、良品のコンデンサであっても、
破壊に至ることがある。
【0019】このようなことから、測定用直流電圧をそ
れほど高くすることができず、したがって、微小な電流
値を測定しなければならないため、良品と不良品との間
での絶縁抵抗値の差が小さくなり、その結果、良品と不
良品との判別が困難になっている。
【0020】上述の問題は、図10に示した方法に限ら
ず、図9に示した方法においても遭遇する。
【0021】そこで、この発明の目的は、上述したよう
な問題を解決し得る、コンデンサの良否判定方法を提供
しようとすることである。
【0022】
【課題を解決するための手段】この発明は、コンデンサ
に所定の測定用直流電圧を印加する測定電圧印加工程
と、測定電圧印加工程において、コンデンサに流れる電
流を評価することによって、コンデンサの絶縁抵抗につ
いての良否を判定する、電流挙動評価工程とを備える、
コンデンサの良否判定方法に向けられるものであって、
次のような構成を備えることを特徴としている。
【0023】この発明に係るコンデンサの良否判定方法
では、上述した測定電圧印加工程の前に、測定用直流電
圧より高い予備充電用直流電圧をコンデンサに印加する
予備充電工程と、次いで、コンデンサを放電する放電工
程とが実施され、放電工程における放電度合いが次のよ
うに設定される。
【0024】すなわち、測定電圧印加工程において測定
用直流電圧を印加したとき、予備充電工程において充電
された電荷による電流と測定用直流電圧による電流との
差し引きによって、コンデンサが良品の場合には、電流
がほとんど流れないか、測定用直流電圧に対して負の電
流が流れ、コンデンサが不良品の場合には、測定用直流
電圧に対して正の電流が流れるように、放電工程におけ
る放電度合いが設定される。
【0025】この発明において、電流挙動評価工程で
は、コンデンサに流れる電流の方向を判別することによ
って、測定用直流電圧に対して負の電流が流れていると
き、良品と判定し、測定用直流電圧に対して正の電流が
流れているとき、不良品と判定したり、あるいは、コン
デンサに流れる電流値を測定することによって、不良品
における電流値の1/10以下であるものを良品と判定
したりすることができる。
【0026】上述した放電工程における放電度合いは、
好ましくは、放電時間によって制御される。
【0027】また、この発明にかかるコンデンサの良否
判定方法は、積層セラミックコンデンサの良否判定方法
において特に有利に適用される。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の一実施形態に
よるコンデンサの良否判定方法に備える工程を示す、図
9または図10に相当する図である。
【0029】この実施形態による良否判定方法は、図1
に示すように、予備充電工程11、放電工程12、測定
電圧印加工程13および電流挙動評価工程14を備えて
いる。
【0030】図2は、この実施形態において印加される
電圧と時間との関係を示している。図2において、Ep
は予備充電用直流電圧を示し、Emは測定用直流電圧を
示している。また、Tpは、予備充電工程11を実施す
る予備充電時間を示し、Tdは、放電工程12を実施す
る放電時間を示し、Tmは、測定電圧印加工程13を実
施する測定電圧印加時間を示している。
【0031】図1および図2に示すような良否判定方法
を実施するため、たとえば、図3に示すような電流測定
装置15が用いられる。この電流測定装置15は、本件
特許出願人が特願平7−293442号(特開平9−1
13545号)において提案したものである。
【0032】電流特定装置15は、直流測定電源16お
よび17、スイッチ18、測定されるべきコンデンサ1
9、制限抵抗20、対数増幅器21、計測用増幅器2
2、A/D変換器23および24、ならびに演算処理装
置(CPU)25を備えている。
【0033】充電初期においては、計測用増幅器22に
よって電流値を計測し、所定のしきい値に達すると、対
数増幅器21に切り替え、それ以後は、対数増幅器21
によって電流値を計測する。
【0034】この電流測定装置15は、コンデンサ19
の充電電流が幅広いレンジで変化しても、正確に電流値
を測定することができるので、充電初期から充電終期ま
での電流値を連続的に計測することができる。
【0035】スイッチ18は、CPU25によって切り
替えられ、コンデンサ19には、直流測定電源16およ
び17のいずれか一方からの直流電圧が印加される。こ
こで、直流測定電源16からの電圧は、予備充電用直流
電圧Epに設定され、直流測定電源17からの電圧は、
測定用直流電圧Emに設定される。
【0036】また、スイッチ18は、放電工程12を実
施するときには、アースに接続された接点に導通するよ
うに切り替えられる。
【0037】なお、図1および図2に示した方法を実施
するため、図3に示した電流測定装置15以外の電流測
定装置を用いることもできる。すなわち、互いに異なる
少なくとも2つの直流電圧をコンデンサに印加するため
の回路とコンデンサを放電するための回路とを備えるも
のであれば、どのような電流測定装置であって、これを
用いることができる。
【0038】この実施形態では、図1および図2に示す
ように、まず、測定電圧印加工程13において印加され
る測定用直流電圧Emより高い予備充電用直流電圧Ep
をコンデンサに印加する予備充電工程11が実施され
る。これによって、図6に示した誘電吸収成分Dが意図
的に過充電の状態にされる。
【0039】次に、放電工程12が実施される。この放
電工程12では、放電時間Tdを制御することにより、
次の測定電圧印加工程13においても、上述の過充電の
状態を維持するようにされる。
【0040】次に、測定電圧印加工程13において、コ
ンデンサに測定用直流電圧Emが印加され、この測定電
圧印加工程13の途中の適当な段階で、電流挙動評価工
程14が実施される。
【0041】電流挙動評価工程14では、誘電吸収成分
Dの過充電状態を利用して、コンデンサに流れる電流が
評価される。すなわち、コンデンサの誘電吸収成分Dに
おいて充電された電荷による電流は、測定用直流電圧E
mに対して負の電流であり、そのため、予備充電工程1
1において充電された電荷による電流と測定用直流電圧
Emによる電流との差し引きによって、測定電圧印加工
程13では、コンデンサに電流がほとんど流れないか、
測定用直流電圧Emに対して負の電流が流れる状態が得
られる。
【0042】上述のことは、コンデンサが良品である場
合に当てはまるものが、コンデンサが不良品の場合に
は、図7に示すように、不良部分による抵抗Rd が並列
に挿入された等価回路が構成される。したがって、不良
品の場合には、不良部分による抵抗Rd を流れる電流が
大きくなるため、測定電圧印加工程13において、コン
デンサには、測定用直流電圧Emに対して正の電流が流
れる。
【0043】このようなことから、測定電圧印加工程1
3において、コンデンサが良品の場合に測定用直流電圧
Emに対して負の電流が流れる場合には、電流挙動評価
工程14において、コンデンサに流れる電流の方向を判
定するようにすれば、測定用直流電圧Emに対して負の
電流が流れているとき、良品と判定し、測定用直流電圧
Emに対して正の電流が流れているとき、不良品と判定
することができる。
【0044】他方、測定電圧印加工程13において、コ
ンデンサが良品の場合に、測定用直流電圧Emに対して
負の電流が流れるだけでなく、正の電流がわずかに流れ
ることがある状況の下では、電流挙動評価工程14にお
いて、コンデンサに流れる電流値を測定し、この測定結
果から、たとえば、不良品における電流値の1/10以
下であるものを良品と判定すればよい。
【0045】上述したいずれの判定方法によっても、判
定の感度を上げることが容易であり、誤り率の低い判定
が可能である。
【0046】図1および図2に示した各工程において、
好ましい特定的な実施例では、予備充電用直流電圧Ep
は、測定用直流電圧Emの2倍以上かつ10倍以下とさ
れ、放電時間Tdは予備充電時間Tpの50%以下とさ
れ、かつ10秒間以下とされ、また、測定用直流電圧E
mは20V以下とされる。
【0047】前述した図4を再び参照する。図4は、E
p=40VDC、Tp=1.0秒、Em=6.3VDC
とした条件下で、放電時間Tdをパラメータとして、測
定電圧印加時間Tmに対する、測定電圧印加工程13に
おけるコンデンサに流れる電流Imの変化を示したもの
である。ここで用いたコンデンサは、ニッケルを主成分
とする内部電極を備え、JISによる温度特性Bの積層
セラミックコンデンサであって、静電容量が10μFの
ものである。
【0048】図4を参照して、前述したように、「予備
充電なし」は図9に示した方法に対応し、「放電1秒」
は、図10に示した方法に対応している。
【0049】これに対して、放電時間Tdを、「放電
0.5秒」、「放電0.2秒」、「放電0.1秒」とい
うように、より短くしていくと、電流Imはより急激に
低下していることがわかる。図4において、縦軸の電流
Imは、対数目盛で示しているが、「放電0.5秒」以
下の場合、実際には、測定用直流電圧Emとは逆方向の
負の電流が現れている。
【0050】図6を再び参照して、静電容量の主成分C
0 を有するコンデンサの充電時間は、この等価回路のイ
ンピーダンスによって決まる。通常、コンデンサの充電
は50mAの電流に制限されるので、これを基準に適当
な回路インピーダンスを設定すると、時定数は数m秒程
度となる。他方、C1 −r1 成分すなわち誘電吸収成分
Dは、前述したように、強誘電体特有のものであり、時
定数は十数秒から数十秒に達し、充電するのに非常に長
い時間を要する。
【0051】図4において「放電0.5秒」以下のパラ
メータにおいて、電流Imが急激な減少を示している理
由は、図6の誘電吸収成分Dが、測定用直流電圧Emよ
り高い予備充電用直流電圧Epで充電され、その後の放
電工程12において、測定用直流電圧Emと同レベルに
なる前に放電が終了されたためである。
【0052】図5は、積層セラミックコンデンサの特定
のセラミック層に欠陥を有する不良品と良品とについ
て、図4と同様の方法で測定電圧印加時間Tmとコンデ
ンサに流れる電流Imとの関係を示したものである。図
5に示したデータは、Ep=40VDC、Td=0.2
5秒、Em=6.3VDCの条件の下で求められたもの
である。
【0053】図5からわかるように、良品と不良品とを
比較すれば、約1秒以降において大きな差が現れてい
る。したがって、このように現れた大きな差を利用すれ
ば、良品と不良品とを誤ることなく判別することができ
る。
【0054】たとえば図5において、良品は約1秒を越
えたところで電流が下降して消えているが、この後、一
旦、0より下のところで平坦になり、負の電流がなくな
ったところで、正の電流位置に回復して、そこで再び平
坦になる。この0より下のところで平坦になった時点で
電流Imを測定すれば、良品では負の電流が流れている
ことから、正の電流が流れている不良品との判別をより
確実に行なうことができる。
【0055】不良品において、誘電吸収成分Dでの十分
な放電を行なわなくても、ほぼ正しい絶縁抵抗の評価が
可能である理由を説明する。
【0056】不良品は、前述したように、図7に示すよ
うな等価回路で表される。誘電吸収成分Dでの放電が測
定用直流電圧Emに達しない条件で、測定電圧印加工程
13において測定用直流電圧Emを印加しながら、電流
挙動評価工程14において電流を評価しても、不良部分
に流れる電流値が誘電吸収成分Dにおける負の電流値よ
り十分大きければ、不良品を判別することが可能であ
る。
【0057】すなわち、図2に示した予備充電用直流電
圧Ep、予備充電時間Tp、放電時間Tdおよび測定用
直流電圧Emを、上述のように、不良品の絶縁抵抗の評
価に影響しない範囲であって、良品に対してのみ誘電吸
収成分Dにおける負の電流が影響する範囲で設定するこ
とにより、図5に示すように、良品と不良品との間での
特性差を拡大することができる。
【0058】上述した予備充電用直流電圧Ep、予備充
電時間Tp、放電時間Tdおよび測定用直流電圧Emの
各々の好ましい条件は、実験によって求めることがで
き、図8には、その一例が示されている。
【0059】図8は、良品に対してのみ誘電吸収成分D
における負の電流が影響し得る範囲を示すもので、より
具体的には、測定用直流電圧Emをパラメータとし、予
備充電用電圧Epに対する、好ましい放電時間Tdの上
限値を示している。この図8に示したデータを得るため
の実験において、予備充電時間Tpは1.0秒間とし
た。
【0060】図8に示すような上限値を超える放電時間
Tdを採用すると、図10を参照して説明した特開平1
0−246746号公報に記載されたように、測定電圧
印加工程5を時間短縮しながら、絶縁抵抗測定工程6を
実施することができる。
【0061】逆に、図8に示した上限値以下の放電時間
Tdを採用すれば、この発明に係る良否判定方法を実施
でき、良品と不良品とを、より短時間で、かつより正確
に判別することができる。
【0062】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、測定
電圧印加工程の前に測定用直流電圧より高い予備充電用
直流電圧をコンデンサに印加する予備充電工程と、次い
で、コンデンサを放電する放電工程とを実施しながら、
測定電圧印加工程において測定用直流電圧を印加したと
き、予備充電工程において充電された電荷による電流と
測定用直流電圧による電流との差し引きによって、コン
デンサが良品の場合には、電流がほとんど流れないか、
測定用直流電圧に対して負の電流が流れ、コンデンサが
不良品の場合には、測定用直流電圧に対して正の電流が
流れるように、放電工程における放電度合いが設定され
るので、微小な電流値を測定して絶縁抵抗値を求めるの
ではなく、測定電圧印加工程における負の電流による電
流の挙動の差によって、良品と不良品との判別を行なう
ことができ、したがって、誤りなく確実にコンデンサの
良否判定を行なうことができる。
【0063】また、絶縁抵抗値の測定の場合には、測定
電圧印加工程において充電が十分に進むまで、絶縁抵抗
値の測定を待たなければならないが、この発明によれ
ば、充電が十分に進なくても、電流の挙動差を生じさせ
ることができるので、早い段階で良否判定を行なうこと
ができる。
【0064】電流挙動評価工程において、コンデンサに
流れる電流の方向を判定するようにし、測定用直流電圧
に対して負の電流が流れているとき、良品と判定し、測
定用直流電圧に対して正の電流が流れているとき、不良
品と判定するようにすれば、微小な電流値を高精度に測
定する必要がないので、たとえば、電流増幅回路やS/
N比の向上のためのフィルタ回路等を必要とせず、簡単
なコンパレータ回路等によって、誤りなく正確に良否を
判定することが可能となる。
【0065】他方、電流挙動評価工程において、コンデ
ンサに流れる電流値を測定し、不良品における電流値の
1/10以下であるものを良品と判定するようにした場
合であっても、良品と不良品との差が大きいため、微小
な電流値を高精度に測定する必要がなく、上述の場合と
同様、簡単なコンパレータ回路等を用いて、誤りなく正
確に良否判定を行なうことができる。
【0066】この発明において、放電工程における放電
度合いを制御するため、放電時間を制御するようにすれ
ば、放電度合いの制御を簡易にかつ高い信頼性をもって
行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態によるコンデンサの良否
判定方法に備える工程を順次示す図である。
【図2】図1に示した予備充電工程11、放電工程12
および測定電圧印加工程13の各々においてコンデンサ
に印加される電圧と時間との関係を説明するための図で
ある。
【図3】この発明において用いられる電流測定装置の一
例を示す回路図である。
【図4】図2に示した放電時間Tdをパラメータとし
て、測定電圧印加時間Tmに対する、コンデンサに流れ
る電流Imの変化を示す図である。
【図5】図4に相当する図であって、特定の放電時間T
dを採用したときの測定電圧印加時間Tmに対する、コ
ンデンサに流れる電流Imの変化を示す図である。
【図6】良品としてのコンデンサの等価回路図である。
【図7】不良品としてのコンデンサの等価回路図であ
る。
【図8】測定用直流電圧Emをパラメータとして、この
発明において採用される予備充電用電圧Epと放電時間
Tdの上限値との関係を示す図である。
【図9】この発明にとって興味ある第1の従来技術によ
るコンデンサの良否判定方法に備える工程を示す図であ
る。
【図10】この発明にとって興味ある第2の従来技術に
よるコンデンサの良否判定方法に備える工程を示す図で
ある。
【符号の説明】
11 予備充電工程 12 放電工程 13 測定電圧印加工程 14 電流挙動評価工程 Ep 予備充電用直流電圧 Em 測定用直流電圧 Tp 予備充電時間 Td 放電時間 Tm 測定電圧印加時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G028 AA01 BB06 CG03 DH03 FK08 JP03 LR02 2G035 AA12 AB02 AC02 AC12 AC16 AD10 AD20 AD28 AD44 AD56 AD65 2G036 AA27 BB02 CA10 5E082 AB03 EE04 EE35 FF05 FG26 MM31

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンデンサに所定の測定用直流電圧を印
    加する測定電圧印加工程と、測定電圧印加工程におい
    て、コンデンサに流れる電流を評価することによって、
    コンデンサの絶縁抵抗についての良否を判定する、電流
    挙動評価工程とを備える、コンデンサの良否判定方法で
    あって、 測定電圧印加工程の前に、測定用直流電圧より高い予備
    充電用直流電圧をコンデンサに印加する予備充電工程
    と、次いで、コンデンサを放電する放電工程とをさらに
    備え、 測定電圧印加工程において測定用直流電圧を印加したと
    き、予備充電工程において充電された電荷による電流と
    測定用直流電圧による電流との差し引きによって、コン
    デンサが良品の場合には、電流がほとんど流れないか、
    測定用直流電圧に対して負の電流が流れ、コンデンサが
    不良品の場合には、測定用直流電圧に対して正の電流が
    流れるように、放電工程における放電度合いが設定され
    る、コンデンサの良否判定方法。
  2. 【請求項2】 電流挙動評価工程は、コンデンサに流れ
    る電流の方向を判定する工程を備え、測定用直流電圧に
    対して負の電流が流れているとき、良品と判定し、測定
    用直流電圧に対して正の電流が流れているとき、不良品
    と判定する、請求項1に記載のコンデンサの良否判定方
    法。
  3. 【請求項3】 電流挙動評価工程は、コンデンサに流れ
    る電流値を測定する工程を備え、不良品における電流値
    の1/10以下であるものを良品と判定する、請求項1
    に記載のコンデンサ良否判定方法。
  4. 【請求項4】 放電工程における放電度合いは、放電時
    間によって制御される、請求項1ないし3のいずれかに
    記載のコンデンサの良否判定方法。
  5. 【請求項5】 コンデンサは積層セラミックコンデンサ
    である、請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデン
    サの良否判定方法。
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