JP3137060B2 - コンデンサの良否判別方法 - Google Patents

コンデンサの良否判別方法

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  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
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  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンデンサの良否判
別方法、特にコンデンサに直流電圧を印加した時の充電
特性から、コンデンサの良否を判別する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、コンデンサの良否を判定するた
め、測定用の直流電圧をコンデンサに印加し、十分に充
電された後のコンデンサの漏れ電流(充電電流)を測定
することにより、コンデンサの絶縁抵抗を測定する方法
が知られている。当然ながら、良品は漏れ電流が少な
い。
【0003】従来、この種の充電電流測定方法として
は、JIS−C5102で規定された測定方式が知られ
ている。この方式は、コンデンサに十分に充電された状
態の電流値を測定する必要があるため、約60秒の測定
時間が必要であった。しかし、電子機器のコストダウ
ン、信頼性向上の要求に伴い、コンデンサなどの電子部
品もその生産能力向上と品質向上とが求められており、
コンデンサ1個当たりこのような長い測定時間を要する
従来の測定方法では、到底このような要求に応えること
ができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そのため、従来では簡
易な良否判別方法として、コンデンサに電圧を印加した
後、数秒後の電流値を測定し、その測定電流値を所定の
しきい値と比較することにより、コンデンサの良否を判
定していた。しかしながら、このようなポイントデータ
による良否判別方法では、測定時のデータは良品と同等
であったとしても、その後の変化が良品の特性を持つと
は限らないので、必ずしも正確で安定した良否判別が行
なえない。
【0005】そこで、本発明の目的は、コンデンサの良
否を正確でかつ安定して判別できるコンデンサの良否判
別方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、コンデンサに直流電圧を印加した時の充
電特性から、コンデンサの良否を判別する方法におい
て、コンデンサの誘電分極成分の規格選別値充電特性を
決定する工程と、コンデンサの誘電分極成分の実測電流
値特性と上記規格選別値充電特性とを比較することによ
ってコンデンサの良否を判別する工程と、を有するもの
である。
【0007】ここで、本発明を完成するに至った経緯を
説明する。本発明者は、セラミックコンデンサについ
て、充電時における電流値の変化を正確に測定し、その
電流値と時間とを対数電流−対数時間の座標にプロット
したところ、図1に実線で示すような特性があることを
発見した。つまり、充電初期の微小期間はほぼ一定の
大きな電流が流れるが、それに続く遷移期間で急激に
電流値が低下し、その後、ある傾きを持った線形の充電
特性で電流が低下した。この線形の充電特性は、充
電開始から1分〜2分後まで持続していた。
【0008】上記特性についてさらに検討してみると、
次のような事実が判明した。すなわち、コンデンサの等
価回路は、図2のように容量C0 、内部抵抗r、絶縁抵
抗R0 および誘電分極成分Dで構成されるが、初期の充
電特性は容量C0 の充電領域であるのに対し、線形の
充電特性は誘電分極成分Dの充電領域であるというこ
とである。
【0009】良品のコンデンサの場合には、当然ながら
充電特性が図1の線形の充電特性にほぼ沿った特性を
有する。これに対し、不良品のコンデンサの場合には、
図1に破線で示すように充電初期には線形の充電特性
にほぼ沿っているが、時間経過とともに電流値の低下速
度が小さくなる。一般に、良品と不良品の差異が明確に
現れるのは、電圧印加して数秒を経過した後である。し
かし、その予兆は電圧印加から数十m秒の時点で既に現
れている。すなわち、不良品の実測電流値と良品の実測
電流値との差を取ると、時間経過とともに徐々に正の方
向に拡大する傾向を示す。
【0010】そこで、本発明では図1に二点鎖線で示す
ように、例えば良品コンデンサ(実線)と不良品コンデ
ンサ(破線)との中間的な領域に規格選別値充電特性を
設定しておき、被測定用コンデンサの誘電分極成分の実
測電流値特性と上記規格選別値充電特性とを比較するこ
とによってコンデンサの良否を判別するようにしたもの
である。つまり、従来では所定時間におけるしきい値よ
り上か下かで判別するポイントデータ比較であるのに対
し、本発明では誘電分極成分の連続データによって判別
している。
【0011】コンデンサの良否判別の具体的方法として
は、次のような評価関数n(t)を定義し、この評価関
数n(t)を2次曲線近似し、2次曲線近似式の2次係
数の正負によって良否を判別するのが簡単である。すな
わち、コンデンサの実測電流値をm(t)、上記規格選
別値充電特性から求めた計算電流値をj(t)とする
と、評価関数n(t)は例えば次のようなものが考えら
れる。 n(t)=log m(t)−log j(t) n(t)=log m(t)/log j(t) n(t)=m(t)/j(t) n(t)=m(t)−j(t) いずれ場合も、2次曲線近似式の2次係数の正負によっ
てコンデンサの良否を判別することができる。
【0012】図3はn(t)の時間変化を表したもので
あり、2次係数dの正負によってコンデンサの充電特性
を明瞭に判別できることがわかる。すなわち、2次係数
dが正の場合は、2次曲線近似式が下に凸の曲線を描く
こと、換言すれば時間が経過するに従い実測電流値の低
下速度が規格選別値充電特性より小さくなることを意味
するので、不良品と判定し、逆に2次係数dが負の場合
は良品と判定する。このような判別方法を用いれば、良
品と不良品との差が明確に現れる前の段階、つまり電圧
印加から数十m秒程度の非常に短い期間で確実に良否判
別ができるという特長がある。また、2次曲線近似法を
用いることにより、たとえノイズなどによってn(t)
の値が一時的に変動しても、全体的な傾向を把握するこ
とができるので、安定した良品判別を行うことができ
る。
【0013】上記規格選別値充電特性を決定する方法と
して、予め所定の特性曲線に設定しておいてもよいが、
これでは実際のコンデンサの誘電分極成分の特性に合致
しているとは限らない。そこで、コンデンサの等価回路
を用いて誘電分極成分の電流計算式を初期設定し、コン
デンサの実測電流値m(t)と、上記電流計算式から求
めた計算電流値j(t)とが一致するように、等価回路
の誘電分極成分である容量C1 ,C2 ・・・Cn と抵抗
1 ,R2 ・・・Rn とを決定して電流計算式を修正す
るようにしてもよい。この方法を用いれば、個々のコン
デンサについて、それぞれ誘電分極成分に合致した規格
選別値充電特性を決定できるので、精度のよい良品判別
が可能となる。
【0014】上記容量C1 ,C2 ・・・Cn と抵抗
1 ,R2 ・・・Rn を決定する場合、それらが所定の
関係式で表されれば、決定が簡単になる。そこで、容量
と抵抗をそれぞれ等比数列の関係におき、それぞれの初
項C1 ,R1 と公比p,qを求めれば、容量C1 ,C2
・・・Cn と抵抗R1 ,R2 ・・・Rn とを容易に決定
することができる。
【0015】さらに、コンデンサの実測電流値m(t)
と計算電流値j(t)との一致度を評価するため、次の
ような評価関数n(t)を定義し、この評価関数n
(t)を直線近似するようにすれば、電流計算式を容易
に修正できる。この場合も、2次曲線近似と同様に、評
価関数n(t)は例えば次のようなものが考えられる。 n(t)=log m(t)−log j(t) n(t)=log m(t)/log j(t) n(t)=m(t)/j(t) n(t)=m(t)−j(t) なお、本発明において用いられる対数(log )は、常用
対数や自然対数の他、任意の対数を用いることができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】図4は本発明方法を実施するため
の電流測定装置の一例を示す。この測定装置は、本願出
願人が特願平7−293442号で提案したものであ
る。この測定装置は、直流測定電源10、スイッチ1
1、被測定物であるコンデンサ12、制限抵抗13、対
数増幅器14、計測用アンプ15、A/D変換器16,
18、演算処理回路(CPU)17を備えている。充電
初期は計測用アンプ15で電流値を計測し、所定の閾値
で対数増幅器14に切り換え、それ以後は対数増幅器1
4で電流値を計測する。この測定装置は、コンデンサ1
2の充電電流が幅広いレンジで変化しても正確に測定す
ることができるので、従来の測定装置では計測困難であ
った充電初期から充電終期までの電流値を連続的に計測
できるという特徴がある。なお、本発明方法は図4に示
された測定装置を用いる必要はなく、他の公知の測定装
置を用いてもよい。
【0017】ここで、本発明にかかる良否判別方法の一
例を以下に説明する。まず、コンデンサの等価回路が図
2で表されることは既に述べた。ここで、図2に示した
等価回路の誘電分極成分である容量C1 ,C2 ・・・C
n と抵抗R1,R2 ・・・Rn を、以下に示すように等
比数列の関係におく。 Ck =pk-1 1 , Rk =qk-1 1 但し、k=1,2・・・n、C1 ,R1 ,p,qは定数
である。等価回路に流れる電流式は以下のとおりであ
る。
【0018】
【数1】 但し、Eはコンデンサへの印加電圧、tは時間、R0
絶縁抵抗である。(1)式において、第1項は絶縁抵抗
0 を流れる電流、第2項は誘電分極成分Dを流れる電
流である。なお、充電初期には容量C0 と内部抵抗rと
の直列回路にも電流が流れるが、これは本発明における
電流計算式に直接関係がないので、省略した。上記のよ
うに設定した計算電流値j(t)と図4の電流測定装置
で実測された実測電流値m(t)とがほぼ一致するよう
に、パラメータC1 ,R1 ,p,qを決定する。なお、
0 は初期に設定した後、修正は行わない。
【0019】個々のコンデンサによって、パラメータC
1 ,R1 ,p,qの値は異なるので、次のようにして電
流計算式(1)を修正する。そのため、計算電流値j
(t)と実測電流値m(t)との一致度を以下のように
して評価する。まず、評価関数n(t)を次のように設
定する。 n(t)=log m(t)−log j(t) 上式で求めた評価関数n(t)を直線近似する。近似式
は一次式y=ax+bで表されるが、この式の傾きaと
切片bとが0に近い程、一致度が高いと判断する。この
とき、傾きaと切片bを0に近づけておくと、次の2次
曲線近似での精度が上がる。なお、評価時刻tは図1の
誘電分極成分Dの充電領域の初期(例えば数m秒〜数
十m秒)とする。この期間は、一致度の評価を高速で行
なうことを目的とするか、あるいは高精度で行なうこと
を目的とするかによって異なり、その目的に応じて任意
に選択できる。
【0020】図5は直線近似法を用いてパラメータ
1 ,R1 ,p,qを修正する一例を示す。まず、パラ
メータC1 ,R1 ,p,qを初期設定する(ステップS
1)。次に、初期設定されたパラメータを用いて、計算
式(1)により、誘電分極成分の充電領域(例えば充
電開始後10m秒付近)における計算電流値j(t)を
求める(ステップS2)。続いて、同時点における実測
値m(t)を測定し、実測値m(t)と計算値j(t)
との対数値の差により評価関数n(t)を求める(ステ
ップS3)。次に、評価関数n(t)を直線近似する
(ステップS4)。次に、直線近似式y=ax+bの切
片bの絶対値が所定値β(例えば、β=0.01)より
小さいか否かを判定する(ステップS5)。このステッ
プは、切片bが0に近いかどうかを判定するものであ
る。ステップS5で、|b|≧βの場合には、近似計算
回数が所定回数N1 以内であるか否かを判定する(ステ
ップS6)。これは、無限ループを回避するための処理
である。近似計算回数がN1 回以下であれば、bの正負
によってC1 を一定値だけ増加もしくは減少させる(ス
テップS7)。近似計算回数がN1 回以上になれば、C
1 の修正では切片bが0に近づかないことを意味するの
で、qおよび/またはR1 をbの正負によって一定値だ
け増加もしくは減少させる(ステップS8)。ステップ
S7またはS8で、C1 またはq,R1 を修正した後、
ステップS2〜S3〜S4〜S5を繰り返す。ステップ
S5で|b|<βとなった場合は、続いて近似式の傾き
aの絶対値が所定値α(例えば、α=0.05)より小
さいか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9
で、|a|≧αの場合には、近似計算回数が所定回数N
2 以内であるか否かを判定する(ステップS10)。こ
れも、無限ループを回避するための処理である。近似計
算回数がN2 回以下であれば、aの正負によってpを一
定値だけ増加もしくは減少させる(ステップS11)。
近似計算回数がN2 回以上になれば、pの修正では傾き
aが0に近づかないことを意味するので、qおよび/ま
たはR1 をaの正負によって一定値だけ増加もしくは減
少させる(ステップS12)。ステップS11またはS
12で、pまたはqおよび/またはR1 を修正した後、
ステップS2〜S3〜S4〜S5〜S9を繰り返し、|
b|<βでかつ|a|<αとなった場合に、一致が完了
したと判断する(ステップS13)。つまり、パラメー
タC1 ,R1 ,p,qを最終的に決定する。
【0021】上記のように直線近似法によってパラメー
タC1 ,R1 ,p,qを決定する、つまり規格選別値充
電特性を規定する電流計算式(1)を決定した後、実測
電流値m(t)と計算電流値j(t)とのそれぞれの対
数値の差n(t)=log m(t)−log j(t)を公知
の2次曲線近似法で近似する。すなわち、評価関数n
(t)の近似式をy=dx2 +ex+fとし、2次係数
dの正負によってコンデンサの良否を判別する。2次係
数dが正の場合は、時間が経過するに従い実測電流値m
(t)の低下が規格選別値に比べて小さくなることを意
味するので、不良品と判定し、逆に2次係数dが負の場
合は良品と判定する。
【0022】図6(a)は不良品における実測データと
規格選別値充電特性とを表したものである。すなわち、
不良品であっても初期の特性は良品の場合と殆ど差異が
ないが、1秒〜10秒経過すると、規格選別値充電特性
より電流値の低下が小さくなることがわかる。図6
(b)は評価関数n(t)を直線近似した結果を示し、
破線は近似直線を示す。近似式は以下の通り傾きaと切
片bとが共に0に近く、一致度が高い。 y=−0.0259x−0.0063 図6(c)は、上記のように直線近似を行って規格選別
値充電特性の電流計算式(1)を修正した後、n(t)
を2次曲線近似した結果である。図6(c)から明らか
なように、近似2次曲線は下に凸の曲線、つまり2次係
数dが正であり、このような場合に不良品であることが
わかる。なお、図6(c)から明らかなように、10m
秒付近でノイズによってn(t)の値が大きく変動して
いるが、本発明の2次曲線近似法を用いることにより、
n(t)の全体の傾向を把握できるので、ノイズに影響
されない安定した良否判別が可能である。
【0023】図7(a)は良品における実測データと規
格選別値充電特性とを表したものである。すなわち、良
品の場合も初期の特性は不良品の場合と殆ど差異がない
が、1秒〜10秒経過すると、規格選別値充電特性より
電流値の低下が大きくなっている。図7(b)は評価関
数n(t)を直線近似した結果を示し、破線は近似直線
を示す。近似式は以下の通り傾きaと切片bとが共に0
に近く、一致度が高い。y=−0.0205x+0.0
064図7(c)は、上記のように直線近似を行って規
格選別値充電特性の電流計算式(1)を修正した後、n
(t)を2次曲線近似した結果である。図7(c)から
明らかなように、近似2次曲線は上に凸の曲線、つまり
2次係数dが負であり、良品であることがわかる。以上
の良否の判別を、電圧印加から数十m秒の間に行うこと
ができた。
【0024】ここで、本発明の良否判別方法の全体の流
れを図8にしたがって説明する。まず、予め絶縁抵抗R
0 をコンデンサの品種により所定の値(例えば500M
Ωや1GΩなど)に決定しておく(ステップS14)。
次に、充電初期(例えば5〜20m秒)における電流値
m(t)を測定する(ステップS15)。次に、パタメ
ータC1 ,R1 ,p,qを決定する(ステップS1
6)。これらパラメータの初期値は図5と同様に経験的
に知られた値とすればよい。次に、決定されたパラメー
タを用いて電流計算式(1)により計算電流値j(t)
を求める(ステップS17)。次に、実測した電流値m
(t)と計算で求めた計算電流値j(t)との対数値の
差により評価関数n(t)を求める(ステップS1
8)。次に、評価関数n(t)を直線近似する(ステッ
プS19)。次に、直線近似による一致度が高いか否か
を判定する(ステップS20)。判定方法は、傾きaと
切片bが共に0に近いかどうかで判定する。一致度が低
い場合は、パタメータC1 ,R1 ,p,qを修正し、ス
テップS16以下の処理を繰り返す。なお、ステップS
16〜S20の処理は、図5と同様である。直線近似の
一致度が高い場合には、続いて評価関数n(t)を2次
曲線近似する(ステップS21)。そして、2次曲線近
似式の2次係数dが正か負かを判別する(ステップS2
2)。dが正の場合には不良品と判定し(ステップ2
3)、dが負の値の場合には良品と判定する(ステップ
24)。
【0025】上記実施例では、評価関数n(t)を実測
値m(t)と計算値j(t)との対数値の差で定義した
が、これに限るものではなく、実測値m(t)と計算値
j(t)との対数値の比、実測値m(t)と計算値j
(t)との比、あるいは実測値m(t)と計算値j
(t)との差で定義し、2次曲線近似することも可能で
ある。すなわち、 n(t)=log m(t)/log j(t) または n(t)=m(t)/j(t) または n(t)=m(t)−j(t) さらに、上記評価関数n(t)を用いて直線近似するこ
とも可能である。但し、評価関数n(t)をlog m
(t)−log j(t)またはm(t)−j(t)で定義
した場合には、直線近似式y=ax+bの傾きaが0に
近く、かつ切片bが0に近いか否かで直線近似の一致度
を評価できるのに対し、log m(t)/logj(t)ま
たはm(t)/j(t)で定義した場合には、傾きaが
0に近くかつ切片bが1に近いか否かで直線近似の一致
度を評価できる。
【0026】上記実施例では、誘電分極成分の規格選別
値充電特性を決定する方法として、コンデンサの等価回
路を用いて誘電分極成分の電流計算式を初期設定した
後、実測電流値m(t)と計算電流値j(t)とが一致
するように、容量C1 ,C2 ・・・Cn と抵抗R1 ,R
2 ・・・Rn とを修正して電流計算式を修正したが、規
格選別値充電特性が予め既知である場合には、このよう
な修正処理を行う必要はない。また、等価回路の誘電分
極成分である容量C1 ,C2 ・・・Cn と抵抗R1 ,R
2 ・・・Rn を等比数列の関係に設定したが、等比数列
以外の関係に設定してもよい。いずれにしても、実測電
流値m(t)と計算電流値j(t)の一致度から、容量
1 ,C2 ・・・Cn と抵抗R1 ,R2 ・・・Rn を決
定できる方法であればよい。
【0027】なお、本発明はセラミックコンデンサに限
らず、電解コンデンサやフィルムコンデンサなど、誘電
分極成分を有するコンデンサであれば、如何なるコンデ
ンサであっても適用可能である。
【0028】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、コンデンサの誘電分極成分の実測電流値特性と
規格選別値充電特性との連続データを比較することによ
って、コンデンサの良否を判別するようにしたので、従
来のようなポイントデータによる比較に比べて正確で安
定した良否判別を行なうことができる。また、請求項2
のように電圧印加時におけるコンデンサの実測電流値と
規格選別値充電特性から求めた計算電流値との比、その
差、それぞれの対数値の差、それぞれの対数値の比のい
ずれかを2次曲線近似し、2次曲線近似式の2次係数の
正負によってコンデンサの良否を判別するようにすれ
ば、電圧印加から数秒待たずに、数十m秒程度の非常に
短い期間で良否判別ができる。しかも、2次曲線近似法
を用いれば、全体的な傾向を知ることができるので、一
時的なノイズによって判別結果が左右されず、安定した
良品判別を行うことができる。さらに、請求項3のよう
にコンデンサの等価回路から電流計算式を求め、電圧の
印加初期における誘電分極成分の充電領域の実測電流値
と計算電流値との比較によって計算式を修正し、この修
正計算式で求めた計算電流値を用いて2次曲線近似を行
えば、個々のコンデンサの特性にばらつきがあっても、
正確に良品判別を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】良品コンデンサと不良品コンデンサにおける充
電電流の変化を示す図である。
【図2】コンデンサの等価回路を示す回路図である。
【図3】良品と不良品のn(t)の時間変化を示す図で
ある。
【図4】電流測定装置の一例の回路図である。
【図5】直線近似法を用いてパラメータを決定する方法
を示すフローチャート図である。
【図6】不良品コンデンサにおける特性図である。
【図7】良品コンデンサにおける特性図である。
【図8】良否判別方法の全体の流れを示すフローチャー
ト図である。
【符号の説明】 10 直流測定電源 12 コンデンサ 13 抵抗 14 対数増幅器 15 計測用アンプ 16,18 A/D変換器 17 CPU
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/00 G01R 27/00 - 27/32 H01G 13/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンデンサに直流電圧を印加した時の充電
    特性から、コンデンサの良否を判別する方法において、 コンデンサの誘電分極成分の規格選別値充電特性を決定
    する工程と、 コンデンサの誘電分極成分の実測電流値特性と上記規格
    選別値充電特性とを比較することによってコンデンサの
    良否を判別する工程と、を有するコンデンサの良否判別
    方法。
  2. 【請求項2】上記コンデンサの良否を判別する工程は、 コンデンサの実測電流値m(t)と上記規格選別値充電
    特性から求めた計算電流値j(t)との比、その差、そ
    れぞれの対数値の差、それぞれの対数値の比のいずれか
    を2次曲線近似する工程と、 2次曲線近似式の2次係数の正負によってコンデンサの
    良否を判別する工程と、を有する請求項1に記載のコン
    デンサの良否判別方法。
  3. 【請求項3】上記規格選別値充電特性を決定する工程
    は、 コンデンサの等価回路を用いて、誘電分極成分の規格選
    別値充電特性を規定する電流計算式を初期設定する工程
    と、 誘電分極成分の初期の充電期間における実測電流値m
    (t)と、上記電流計算式から求めた計算電流値j
    (t)とが一致するように、等価回路の誘電分極成分で
    ある容量C1 ,C2 ・・・Cn と抵抗R1 ,R2 ・・・
    n とを決定して電流計算式を修正する工程と、を含む
    請求項1または2に記載のコンデンサの良否判別方法。
  4. 【請求項4】上記電流計算式を修正する工程は、 等価回路の誘電分極成分である容量C1 ,C2 ・・・C
    n と抵抗R1 ,R2 ・・・Rn とをそれぞれ等比数列の
    関係におき、それぞれの初項C1 ,R1 と公比p,qを
    修正することにより、容量C1 ,C2 ・・・Cn と抵抗
    1 ,R2 ・・・Rn とを決定する工程を含む請求項3
    に記載のコンデンサの良否判別方法。
  5. 【請求項5】上記コンデンサの実測電流値m(t)と計
    算電流値j(t)との一致度を評価するため、その比、
    その差、それぞれの対数値の差、それぞれの対数値の比
    のいずれかを直線近似することを特徴とする請求項3ま
    たは4に記載のコンデンサの良否判別方法。
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