JP3925136B2 - コンデンサの良否判定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンデンサの良否判定方法に関するもので、特に、良否判定の能率化および信頼性の向上を図るための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば積層セラミックコンデンサは、その製造過程において、空隙や内部電極とセラミック層との剥がれなどの欠陥が生じるという問題に遭遇することがある。これらの欠陥の大部分は、得られた積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗を測定することによって検出することができ、したがって、このような絶縁抵抗の評価に基づいて、良品となるべき積層セラミックコンデンサを選別することが可能である。
【0003】
一般に、コンデンサの絶縁抵抗についての良否を判定するため、図9に示すような手順が採用されている。
【0004】
図9を参照して、まず、コンデンサに所定の測定用直流電圧を印加する測定電圧印加工程1が実施される。ついで、測定電圧印加工程1において十分に充電された後のコンデンサの漏れ電流を測定することによって、コンデンサの絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定工程2が実施される。この絶縁抵抗の測定方法としては、JIS−C5102で規定されている方法が知られている。
【0005】
しかしながら、図9に示した方法では、測定電圧印加工程1において、コンデンサを十分な充電状態とするため、比較的長い時間が必要であり、そのため、絶縁抵抗測定工程2を終えるまでの時間が比較的長くなるという問題がある。
【0006】
上記の充電時間についてより詳細に検討すると、コンデンサの等価回路は、良品では、図6に示すように、静電容量の主成分C0 、内部抵抗r、絶縁抵抗R0 および誘電吸収成分Dをもって構成される。誘電吸収成分Dは、静電容量C1 および抵抗r1 から構成される。
【0007】
コンデンサに備える誘電体として強誘電体を用い、さらに誘電吸収成分Dが大きい場合には、測定電圧印加工程1において十分な充電状態を得るには、たとえば2分間以上の長い時間を必要とする。
【0008】
この問題を解決するのに有効な方法が、特開平10−246746号公報に記載されている。この公報に記載された方法が、図10に示されている。
【0009】
この方法では、図10に示すように、予備充電工程3、放電工程4、測定電圧印加工程5および絶縁抵抗測定工程6が順次実施される。
【0010】
予備充電工程3では、後の測定電圧印加工程5において印加される測定用直流電圧より高い予備充電用直流電圧がコンデンサに印加される。これによって、図6に示した誘電吸収成分Dに対する充電を短時間のうちに達成し、それによって、測定電圧印加工程5において十分な充電状態を得るための時間の短縮を図っている。
【0011】
図10に示した方法では、予備充電工程3と測定電圧印加工程5との間に放電工程4を設けることが、充電の高速化にとって重要であり、このことが、特開平10−246746号公報において提案された発明の主要な特徴的構成となっている。このことを、図4を参照して説明する。
【0012】
図4は、簡単に言えば、放電工程4を実施する放電時間をパラメータとして、測定電圧印加工程を開始してからの時間に対する、コンデンサに流れる電流の変化を示したものである。
【0013】
図4において、「予備充電なし」は、図9に示した方法に対応している。この場合には、図4に示した範囲から右側に外れた領域で明確に現れるものであるが、この外れた領域で平坦となり、十分な充電状態が達成され、この平坦な部分で絶縁抵抗測定工程2が実施されることになる。
【0014】
他方、図4において、たとえば「放電1秒」は、図10に示した放電工程4が1秒間実施されたことを示しており、この場合には、上述した「予備充電なし」に比べて、より早く平坦になり、より早く十分な充電状態が達成されていることがわかる。したがって、絶縁抵抗測定工程6をより早い時点で実施することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述した図10に示した方法のように、予備充電工程3を実施し、測定電圧印加工程5における測定用直流電圧より高い予備充電用直流電圧を印加して、コンデンサの誘電吸収成分Dでの予備充電を行なうと、測定電圧印加工程5において、誘電吸収成分Dに測定用直流電圧より高い電圧が残っていると、絶縁抵抗測定工程6において、真の電流値より小さい電流値を測定してしまうことになり、不良品を良品と間違える可能性が高くなる。これを避けるためには、放電工程4において、放電を十分に行なう必要がある。
【0016】
しかしながら、誘電吸収成分Dの時定数が比較的大きいため、放電回路のインピーダンスを低く設定しても、放電にはある程度の時間を要し、したがって、測定電圧印加工程5に入るまでに比較的長い時間待たなければならない。このようなことから、結局、予備充電工程3において、誘電吸収成分Dへの過充電が生じない条件を選ばなければならないことになり、絶縁抵抗の測定時間の短縮化に対する制約となっている。
【0017】
また、絶縁抵抗測定工程6においては、微小な電流値を測定しなければならない。特に、対象となるコンデンサが積層セラミックコンデンサの場合、近年の積層セラミックコンデンサの大容量化に伴って、セラミック層の厚みが数μm、たとえば3μmというように薄層化され、それに従って、定格電圧が低くなり、そのため、測定電圧印加工程5における測定用直流電圧も低くしなければならず、この理由によっても、検出されるべき電流値が小さくなってきている。
【0018】
なお、低い定格電圧にかかわらず、高い電圧値で絶縁抵抗を測定することも考えられるが、測定用直流電圧が高くなると、セラミック層の厚みが薄いために電界強度も高くなり、良品のコンデンサであっても、破壊に至ることがある。
【0019】
このようなことから、測定用直流電圧をそれほど高くすることができず、したがって、微小な電流値を測定しなければならないため、良品と不良品との間での絶縁抵抗値の差が小さくなり、その結果、良品と不良品との判別が困難になっている。
【0020】
上述の問題は、図10に示した方法に限らず、図9に示した方法においても遭遇する。
【0021】
そこで、この発明の目的は、上述したような問題を解決し得る、コンデンサの良否判定方法を提供しようとすることである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
この発明は、コンデンサに所定の測定用直流電圧を印加する測定電圧印加工程と、測定電圧印加工程において、コンデンサに流れる電流を評価することによって、コンデンサの絶縁抵抗についての良否を判定する、電流挙動評価工程とを備える、コンデンサの良否判定方法に向けられるものであって、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0023】
この発明に係るコンデンサの良否判定方法では、上述した測定電圧印加工程の前に、測定用直流電圧の2倍以上かつ10倍以下の予備充電用直流電圧をコンデンサに印加して、コンデンサの誘電吸収成分を過充電状態にする予備充電工程と、次いで、コンデンサを放電する放電工程とが実施され、放電工程における放電度合いが次のように設定される。
【0024】
すなわち、放電工程における放電度合いは、放電時間を制御することにより、測定電圧印加工程において測定用直流電圧を印加したとき、予備充電工程において充電された電荷による電流と測定用直流電圧による電流との差し引きによって、良品のコンデンサに電流がほとんど流れないか、測定用直流電圧に対して負の電流が流れる、過充電状態が維持されるように設定される。
そして、電流挙動評価工程は、測定電圧印加工程の途中であって、良品のコンデンサに電流がほとんど流れないか、測定用直流電圧に対して負の電流が流れる、過充電状態にある時点で実施される。
【0025】
この発明において、電流挙動評価工程では、コンデンサに流れる電流の方向を判別することによって、測定用直流電圧に対して負の電流が流れているとき、良品と判定し、測定用直流電圧に対して正の電流が流れているとき、不良品と判定したり、あるいは、コンデンサに流れる電流値を測定することによって、不良品における電流値の1/10以下であるものを良品と判定したりすることができる。
【0027】
また、この発明にかかるコンデンサの良否判定方法は、積層セラミックコンデンサの良否判定方法において特に有利に適用される。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態によるコンデンサの良否判定方法に備える工程を示す、図9または図10に相当する図である。
【0029】
この実施形態による良否判定方法は、図1に示すように、予備充電工程11、放電工程12、測定電圧印加工程13および電流挙動評価工程14を備えている。
【0030】
図2は、この実施形態において印加される電圧と時間との関係を示している。図2において、Epは予備充電用直流電圧を示し、Emは測定用直流電圧を示している。また、Tpは、予備充電工程11を実施する予備充電時間を示し、Tdは、放電工程12を実施する放電時間を示し、Tmは、測定電圧印加工程13を実施する測定電圧印加時間を示している。
【0031】
図1および図2に示すような良否判定方法を実施するため、たとえば、図3に示すような電流測定装置15が用いられる。この電流測定装置15は、本件特許出願人が特願平7−293442号(特開平9−113545号)において提案したものである。
【0032】
電流特定装置15は、直流測定電源16および17、スイッチ18、測定されるべきコンデンサ19、制限抵抗20、対数増幅器21、計測用増幅器22、A/D変換器23および24、ならびに演算処理装置(CPU)25を備えている。
【0033】
充電初期においては、計測用増幅器22によって電流値を計測し、所定のしきい値に達すると、対数増幅器21に切り替え、それ以後は、対数増幅器21によって電流値を計測する。
【0034】
この電流測定装置15は、コンデンサ19の充電電流が幅広いレンジで変化しても、正確に電流値を測定することができるので、充電初期から充電終期までの電流値を連続的に計測することができる。
【0035】
スイッチ18は、CPU25によって切り替えられ、コンデンサ19には、直流測定電源16および17のいずれか一方からの直流電圧が印加される。ここで、直流測定電源16からの電圧は、予備充電用直流電圧Epに設定され、直流測定電源17からの電圧は、測定用直流電圧Emに設定される。
【0036】
また、スイッチ18は、放電工程12を実施するときには、アースに接続された接点に導通するように切り替えられる。
【0037】
なお、図1および図2に示した方法を実施するため、図3に示した電流測定装置15以外の電流測定装置を用いることもできる。すなわち、互いに異なる少なくとも2つの直流電圧をコンデンサに印加するための回路とコンデンサを放電するための回路とを備えるものであれば、どのような電流測定装置であって、これを用いることができる。
【0038】
この実施形態では、図1および図2に示すように、まず、測定電圧印加工程13において印加される測定用直流電圧Emの2倍以上かつ10倍以下の予備充電用直流電圧Epをコンデンサに印加する予備充電工程11が実施される。これによって、図6に示した誘電吸収成分Dが意図的に過充電の状態にされる。
【0039】
次に、放電工程12が実施される。この放電工程12では、放電時間Tdを制御することにより、次の測定電圧印加工程13においても、上述の過充電の状態を維持するようにされる。
【0040】
次に、測定電圧印加工程13において、コンデンサに測定用直流電圧Emが印加され、この測定電圧印加工程13の途中の適当な段階で、電流挙動評価工程14が実施される。
【0041】
電流挙動評価工程14では、誘電吸収成分Dの過充電状態を利用して、コンデンサに流れる電流が評価される。すなわち、コンデンサの誘電吸収成分Dにおいて充電された電荷による電流は、測定用直流電圧Emに対して負の電流であり、そのため、予備充電工程11において充電された電荷による電流と測定用直流電圧Emによる電流との差し引きによって、測定電圧印加工程13では、コンデンサに電流がほとんど流れないか、測定用直流電圧Emに対して負の電流が流れる状態が得られる。
【0042】
上述のことは、コンデンサが良品である場合に当てはまるものが、コンデンサが不良品の場合には、図7に示すように、不良部分による抵抗Rd が並列に挿入された等価回路が構成される。したがって、不良品の場合には、不良部分による抵抗Rd を流れる電流が大きくなるため、測定電圧印加工程13において、コンデンサには、測定用直流電圧Emに対して正の電流が流れる。
【0043】
このようなことから、測定電圧印加工程13において、コンデンサが良品の場合に測定用直流電圧Emに対して負の電流が流れる場合には、電流挙動評価工程14において、コンデンサに流れる電流の方向を判定するようにすれば、測定用直流電圧Emに対して負の電流が流れているとき、良品と判定し、測定用直流電圧Emに対して正の電流が流れているとき、不良品と判定することができる。
【0044】
他方、測定電圧印加工程13において、コンデンサが良品の場合に、測定用直流電圧Emに対して負の電流が流れるだけでなく、正の電流がわずかに流れることがある状況の下では、電流挙動評価工程14において、コンデンサに流れる電流値を測定し、この測定結果から、たとえば、不良品における電流値の1/10以下であるものを良品と判定すればよい。
【0045】
上述したいずれの判定方法によっても、判定の感度を上げることが容易であり、誤り率の低い判定が可能である。
【0046】
図1および図2に示した各工程において、好ましい特定的な実施例では、予備充電用直流電圧Epは、測定用直流電圧Emの2倍以上かつ10倍以下とされ、放電時間Tdは予備充電時間Tpの50%以下とされ、かつ10秒間以下とされ、また、測定用直流電圧Emは20V以下とされる。
【0047】
前述した図4を再び参照する。図4は、Ep=40VDC、Tp=1.0秒、Em=6.3VDCとした条件下で、放電時間Tdをパラメータとして、測定電圧印加時間Tmに対する、測定電圧印加工程13におけるコンデンサに流れる電流Imの変化を示したものである。ここで用いたコンデンサは、ニッケルを主成分とする内部電極を備え、JISによる温度特性Bの積層セラミックコンデンサであって、静電容量が10μFのものである。
【0048】
図4を参照して、前述したように、「予備充電なし」は図9に示した方法に対応し、「放電1秒」は、図10に示した方法に対応している。
【0049】
これに対して、放電時間Tdを、「放電0.5秒」、「放電0.2秒」、「放電0.1秒」というように、より短くしていくと、電流Imはより急激に低下していることがわかる。図4において、縦軸の電流Imは、対数目盛で示しているが、「放電0.5秒」以下の場合、実際には、測定用直流電圧Emとは逆方向の負の電流が現れている。
【0050】
図6を再び参照して、静電容量の主成分C0 を有するコンデンサの充電時間は、この等価回路のインピーダンスによって決まる。通常、コンデンサの充電は50mAの電流に制限されるので、これを基準に適当な回路インピーダンスを設定すると、時定数は数m秒程度となる。他方、C1 −r1 成分すなわち誘電吸収成分Dは、前述したように、強誘電体特有のものであり、時定数は十数秒から数十秒に達し、充電するのに非常に長い時間を要する。
【0051】
図4において「放電0.5秒」以下のパラメータにおいて、電流Imが急激な減少を示している理由は、図6の誘電吸収成分Dが、測定用直流電圧Emより高い予備充電用直流電圧Epで充電され、その後の放電工程12において、測定用直流電圧Emと同レベルになる前に放電が終了されたためである。
【0052】
図5は、積層セラミックコンデンサの特定のセラミック層に欠陥を有する不良品と良品とについて、図4と同様の方法で測定電圧印加時間Tmとコンデンサに流れる電流Imとの関係を示したものである。図5に示したデータは、Ep=40VDC、Td=0.25秒、Em=6.3VDCの条件の下で求められたものである。
【0053】
図5からわかるように、良品と不良品とを比較すれば、約1秒以降において大きな差が現れている。したがって、このように現れた大きな差を利用すれば、良品と不良品とを誤ることなく判別することができる。
【0054】
たとえば図5において、良品は約1秒を越えたところで電流が下降して消えているが、この後、一旦、0より下のところで平坦になり、負の電流がなくなったところで、正の電流位置に回復して、そこで再び平坦になる。この0より下のところで平坦になった時点で電流Imを測定すれば、良品では負の電流が流れていることから、正の電流が流れている不良品との判別をより確実に行なうことができる。
【0055】
不良品において、誘電吸収成分Dでの十分な放電を行なわなくても、ほぼ正しい絶縁抵抗の評価が可能である理由を説明する。
【0056】
不良品は、前述したように、図7に示すような等価回路で表される。誘電吸収成分Dでの放電が測定用直流電圧Emに達しない条件で、測定電圧印加工程13において測定用直流電圧Emを印加しながら、電流挙動評価工程14において電流を評価しても、不良部分に流れる電流値が誘電吸収成分Dにおける負の電流値より十分大きければ、不良品を判別することが可能である。
【0057】
すなわち、図2に示した予備充電用直流電圧Ep、予備充電時間Tp、放電時間Tdおよび測定用直流電圧Emを、上述のように、不良品の絶縁抵抗の評価に影響しない範囲であって、良品に対してのみ誘電吸収成分Dにおける負の電流が影響する範囲で設定することにより、図5に示すように、良品と不良品との間での特性差を拡大することができる。
【0058】
上述した予備充電用直流電圧Ep、予備充電時間Tp、放電時間Tdおよび測定用直流電圧Emの各々の好ましい条件は、実験によって求めることができ、図8には、その一例が示されている。
【0059】
図8は、良品に対してのみ誘電吸収成分Dにおける負の電流が影響し得る範囲を示すもので、より具体的には、測定用直流電圧Emをパラメータとし、予備充電用電圧Epに対する、好ましい放電時間Tdの上限値を示している。この図8に示したデータを得るための実験において、予備充電時間Tpは1.0秒間とした。
【0060】
図8に示すような上限値を超える放電時間Tdを採用すると、図10を参照して説明した特開平10−246746号公報に記載されたように、測定電圧印加工程5を時間短縮しながら、絶縁抵抗測定工程6を実施することができる。
【0061】
逆に、図8に示した上限値以下の放電時間Tdを採用すれば、この発明に係る良否判定方法を実施でき、良品と不良品とを、より短時間で、かつより正確に判別することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、測定電圧印加工程の前に測定用直流電圧より高い予備充電用直流電圧をコンデンサに印加して、コンデンサの誘電吸収成分を過充電状態にする予備充電工程と、次いで、コンデンサを放電する放電工程とを実施しながら、測定電圧印加工程において測定用直流電圧を印加したとき、予備充電工程において充電された電荷による電流と測定用直流電圧による電流との差し引きによって、良品のコンデンサに電流がほとんど流れないか、測定用直流電圧に対して負の電流が流れる、過充電状態が維持されるように、放電工程における放電度合いが設定されるので、微小な電流値を測定して絶縁抵抗値を求めるのではなく、測定電圧印加工程における負の電流による電流の挙動の差によって、良品と不良品との判別を行なうことができ、したがって、誤りなく確実にコンデンサの良否判定を行なうことができる。
【0063】
また、この発明によれば、電流挙動評価工程は、測定電圧印加工程の途中であって、良品のコンデンサに電流がほとんど流れないか、測定用直流電圧に対して負の電流が流れる、過充電状態にある時点で実施される。したがって、従来の絶縁抵抗値の測定の場合には、測定電圧印加工程において充電が十分に進むまで、絶縁抵抗値の測定を待たなければならないが、この発明によれば、充電が十分に進なくても、電流の挙動差を生じさせることができるので、早い段階で良否判定を行なうことができる。
【0064】
電流挙動評価工程において、コンデンサに流れる電流の方向を判定するようにし、測定用直流電圧に対して負の電流が流れているとき、良品と判定し、測定用直流電圧に対して正の電流が流れているとき、不良品と判定するようにすれば、微小な電流値を高精度に測定する必要がないので、たとえば、電流増幅回路やS/N比の向上のためのフィルタ回路等を必要とせず、簡単なコンパレータ回路等によって、誤りなく正確に良否を判定することが可能となる。
【0065】
他方、電流挙動評価工程において、コンデンサに流れる電流値を測定し、不良品における電流値の1/10以下であるものを良品と判定するようにした場合であっても、良品と不良品との差が大きいため、微小な電流値を高精度に測定する必要がなく、上述の場合と同様、簡単なコンパレータ回路等を用いて、誤りなく正確に良否判定を行なうことができる。
【0066】
また、この発明によれば、放電工程における放電度合いを制御するため、放電時間を制御するようにしているので、放電度合いの制御を簡易にかつ高い信頼性をもって行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態によるコンデンサの良否判定方法に備える工程を順次示す図である。
【図2】図1に示した予備充電工程11、放電工程12および測定電圧印加工程13の各々においてコンデンサに印加される電圧と時間との関係を説明するための図である。
【図3】この発明において用いられる電流測定装置の一例を示す回路図である。
【図4】図2に示した放電時間Tdをパラメータとして、測定電圧印加時間Tmに対する、コンデンサに流れる電流Imの変化を示す図である。
【図5】図4に相当する図であって、特定の放電時間Tdを採用したときの測定電圧印加時間Tmに対する、コンデンサに流れる電流Imの変化を示す図である。
【図6】良品としてのコンデンサの等価回路図である。
【図7】不良品としてのコンデンサの等価回路図である。
【図8】測定用直流電圧Emをパラメータとして、この発明において採用される予備充電用電圧Epと放電時間Tdの上限値との関係を示す図である。
【図9】この発明にとって興味ある第1の従来技術によるコンデンサの良否判定方法に備える工程を示す図である。
【図10】この発明にとって興味ある第2の従来技術によるコンデンサの良否判定方法に備える工程を示す図である。
【符号の説明】
11 予備充電工程
12 放電工程
13 測定電圧印加工程
14 電流挙動評価工程
Ep 予備充電用直流電圧
Em 測定用直流電圧
Tp 予備充電時間
Td 放電時間
Tm 測定電圧印加時間

Claims (4)

  1. コンデンサに所定の測定用直流電圧を印加する測定電圧印加工程と、測定電圧印加工程において、コンデンサに流れる電流を評価することによって、コンデンサの絶縁抵抗についての良否を判定する、電流挙動評価工程とを備える、コンデンサの良否判定方法であって、
    測定電圧印加工程の前に、測定用直流電圧の2倍以上かつ10倍以下の予備充電用直流電圧をコンデンサに印加して、コンデンサの誘電吸収成分を過充電状態にする予備充電工程と、次いで、コンデンサを放電する放電工程とをさらに備え、
    放電工程における放電度合いは、放電時間を制御することにより、測定電圧印加工程において測定用直流電圧を印加したとき、予備充電工程において充電された電荷による電流と測定用直流電圧による電流との差し引きによって、良品のコンデンサに電流がほとんど流れないか、測定用直流電圧に対して負の電流が流れる、過充電状態が維持されるように設定され
    電流挙動評価工程は、測定電圧印加工程の途中であって、良品のコンデンサに電流がほとんど流れないか、測定用直流電圧に対して負の電流が流れる、過充電状態にある時点で実施される、コンデンサの良否判定方法。
  2. 電流挙動評価工程は、コンデンサに流れる電流の方向を判定する工程を備え、測定用直流電圧に対して負の電流が流れているとき、良品と判定し、測定用直流電圧に対して正の電流が流れているとき、不良品と判定する、請求項1に記載のコンデンサの良否判定方法。
  3. 電流挙動評価工程は、コンデンサに流れる電流値を測定する工程を備え、不良品における電流値の1/10以下であるものを良品と判定する、請求項1に記載のコンデンサ良否判定方法
  4. コンデンサは積層セラミックコンデンサである、請求項1ないしのいずれかに記載のコンデンサの良否判定方法。
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