JP2003105469A - 建築用Al合金材とその製造方法 - Google Patents
建築用Al合金材とその製造方法Info
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Abstract
っても耐力低下が少なく、鋭角折り曲げ加工も可能な建
築用Al合金材とその製造方法を提供する。 【解決手段】 JISで規定するA3003の熱間圧延
材であって、温度300℃以下での焼き付け塗装後にお
ける組織が、ファイバ組織と面積比率20%以下の再結
晶粒組織とから成り、前記焼き付け塗装の前後における
耐力の低下率が10%以下であることを特徴とする建築
用Al合金材であり、このAl合金材は、圧延終了時の
温度を290〜340℃に管理する熱間圧延のみを行っ
て製造される。
Description
その製造方法に関し、更に詳しくは、260〜280℃
という高温域での焼き付け塗装が行われることを前提に
建築用資材として実使用されるAl合金材であって、焼
き付け塗装の前後にあっても耐力低下が小さく、また伸
びも充分に保持しているので折り曲げ加工性が優れてい
る建築用Al合金材とそれを製造する方法に関する。
ンウォール材などに軽量なAl合金材が使用されてい
る。その場合、例えば図5で示したように、Al合金板
1を90°折り曲げる加工が行われ、最近では図6で示
したように、90°超えて折り曲げる鋭角折り曲げ加工
が増加している。そして、このような折り曲げ加工にお
いては、曲げ部分2をシャープにして意匠性を高めるこ
とが追求されている。その1例として、図7で示したよ
うに、Al合金材1に切り欠き3を入れて折り曲げる方
法がある。
うに先立ち、そのAl合金材に例えばフッ素樹脂塗料、
アクリル樹脂塗料、ウレンタン樹脂塗料のような塗料を
所定の温度で焼き付け塗装して意匠性や耐食性を高める
ための処置が施される。このような態様で実使用される
建築用Al合金材には、したがって、次のような性能が
求められることになる。
にあっても適切な強度特性が必要である。具体的には、
例えばビル用の外壁材の場合、施工後においてもその耐
力が95N/mm2以上になっていなければならない。ま
た、適切な伸び特性を有していて、折り曲げ加工が円滑
に実施でき、しかも曲げ部分がシャープになることであ
る。
が重視されていて、A3004−H24材、A3004
−H32材などが使用されている。これらの材料の製造
に際しては、まず、所定規格のAl合金材が溶解され、
そのインゴット(鋳塊)が製造される。ついで、この鋳
塊に対して所定の温度で所定の時間加熱する均熱処理が
施されたのち、熱間圧延加工が所定の加工率で行われ
る。
織は圧延方向に押し延ばされてファイバ組織に転化す
る。その後、冷間圧延を行って結晶粒径の微細化と厚み
調整などが行われ、ついで焼鈍して加工歪みを除去し、
再度、冷間圧延、そしてそのときの加工歪み除去のため
の熱処理を行って、実使用に供されている。
はいずれも冷間圧延止まりの材料であり、その再結晶粒
は微細であり、ファイバ組織が残存しているということ
もあって、シャープな90°折り曲げ加工が可能であ
る。しかしながら、伸び特性は充分とはいえず、90°
を超える鋭角折り曲げ加工を行うと曲げ部分にクラック
が発生することがある。このようなクラックが発生した
場合、その部分を溶接して補修しなければならず、その
ため、生産性の低下とコストアップを招く。
熱間圧延加工、冷間圧延加工が終了した時点で、圧延材
には圧延歪みが蓄積されている。そして、その後に圧延
材が再結晶化温度以上の温度に加熱されると、加工歪み
エネルギーを起点にして組織の中には再結晶粒が成長す
る。この再結晶粒は、通常、ファイバ形状ではなくある
大きさの粒形状になっている。
−H32などの材料は、260〜280℃の高温の焼き
付け塗装を行うと、このときの熱で再結晶粒が成長し、
その結果、焼き付け塗装後の耐力は、塗装前に比べて3
0〜40%程度低下し、建築用資材として必ずしも信頼
性が高い材料とはいえない状況にある。このようにして
製造されている各種のAl合金材が前記した建築用資材
として選択されて使用されるわけであるが、例えば折り
曲げ性を重視する場合には、Al合金材としては、A3
004−O材やA3003−O材の使用も検討されてい
る。
が低いので曲げ部分がシャープにならないという問題
や、その組織が比較的粗大な再結晶粒を主体としている
ため曲げ部分に、例えば焼き付け塗装の剥離などの肌荒
れが生じやすいという問題がある。また、この材料の耐
力は95N/mm2よりも大幅に小さいため、ビル外壁材
の必要条件を満たさない。そのため、多くの補強材でそ
の耐力不足をファイナンスすることが必要となり、結
局、建築に要するコストを高めることになる。
して使用され、しかも焼き付け塗装を前提として使用さ
れているAl合金材における上記した問題を解決し、焼
き付け塗装後にあっても耐力の低下が非常に小さく、ま
た伸び特性も適切であるためシャープな折り曲げ加工、
例えば鋭角曲げ加工も可能である建築用Al合金材とそ
の製造方法の提供を目的とする。
ために、本発明においては、JISで規定するA300
3の熱間圧延材であって、温度300℃以下での焼き付
け塗装後における組織が、ファイバ組織と面積比率20
%以下の再結晶粒組織とから成り、前記焼き付け塗装の
前後における耐力の低下率が10%以下であることを特
徴とする建築用Al合金材が提供される。
るA3003の鋳塊に均熱処理を施し、ついで、圧延終
了時の温度が290〜340℃である熱間圧延加工を行
うのみで実使用に供することを特徴とする建築用Al合
金材の製造方法が提供される。
が優れているA3003材に後述する条件の熱間圧延加
工のみを行ってただちに実使用に供される材料である。
すなわち、従来のAl合金材の場合のように、熱間圧延
後に、更に続けて冷間圧延−中間焼鈍−冷間圧延−熱処
理という工程を経て製造されたものではない。
まず、所定組成のA3003材を溶解し、その鋳塊を製
造する。ついで、この鋳塊に均熱処理を施したのち熱間
圧延加工を行う。均熱処理は、500〜630℃の温度
域で1〜15時間程度実施することが好ましい。処理温
度を500℃より低くすると、例えばAlMnを主体と
する金属間化合物の生成量が減少して鋳造組織(凝固組
織)からの再結晶粒は粗大化するため、材料の曲げ加工
性の低下や外観不良が発生しやすくなる。また、処理温
度を630℃より高くすると、鋳塊の変形や膨れなどが
発生し、以後の工程(熱間圧延)を経る過程で組織欠陥
を引き起こすようになる。好ましい処理温度は600〜
630℃である。
は鋳塊全体を均熱化することができないので均質な熱間
圧延加工が困難になる。また15時間より長くしても均
熱効果は飽和に達し、徒に熱エネルギーを浪費してコス
ト的に不利となる。望ましい処理時間は2〜6時間であ
る。このようにして均熱化された鋳塊には、次に、ただ
ちに熱間圧延が施されてその鋳造組織をファイバ組織に
すると同時に、微細な2次組織(サブグレイン)を成長
させる。
た熱間圧延を終了して、そのまま、建築用資材として実
使用に供される。したがって、実使用に供された時点
で、この熱間圧延材であるA3003材の組織は圧延加
工によって形成された組織であるファイバ組織が主体と
なっており、そこに微細な2次組織の所定量が分散した
状態になっている。
になっているので、次のような効果を発揮する。まず、
例えば鋭角折り曲げ加工を行ったとき、組織がファイバ
組織のみである場合、曲げ部分にはファイバ組織の粒界
に沿って割れなどが発生するが、この材料では微細な2
次組織も共存しているので、上記した割れの発生は抑制
される。すなわち、鋭角曲げ加工が可能になる。
度300℃以下、より具体的には260〜280℃とい
う高温域で焼き付け塗装を施したとしても、焼き付け塗
装の前後において、A3003材の耐力の低下率は10
%以下の値になる。そして、焼き付け塗装後にあって
も、その耐力の絶対値は95N/mm2以上が確保されて
いて、ビルの外壁材としての必要条件を満たしている。
また伸び値も27%以上になっていて良好な折り曲げ加
工ができる。
の耐力低下率が10%以下になるという特性は、前記し
た微細な2次組織がファイバ組織と共存していることに
よってもたらされる効果である。この2次組織は、当然
のこととして、高温域での焼き付け塗装時に、再結晶粒
組織に成長してその粒径は大きくなり、またその析出量
も増加する。
合、高温域での焼き付け塗装後にあってもこの再結晶粒
組織の存在量は、組織全体に占める面積比率20%以下
となり、残りはファイバ組織のままであるように制御さ
れていて、そのことにより焼き付け塗装前後における耐
力低下率が10%以下に規制されているのである。この
ような特性は、上記した熱間圧延加工において、圧延終
了時の材料温度を290〜340℃に管理することによ
って実現させることができる。
なると、伸びは35%程度の値になるが、その組織はほ
とんど再結晶粒組織になってしまい、そのため、折り曲
げ加工時の曲げ部分の肌荒れが発生するようになる。ま
た、圧延終了時の温度を290℃より低くすると、前記
した微細な2次組織の生成量は少なくなり、また伸びは
27%より小さくなって鋭角折り曲げ加工時に割れが発
生するようになる。
理するために、本発明においては、圧延開始時の温度は
350〜450℃に設定される。この温度を350℃よ
り低くすると、圧延終了時の温度を290℃以上に確保
することができず、強度は高くなるものの伸びが小さく
なるため、折り曲げ加工時に割れなどが発生してくる。
の温度を340℃以下にすることが困難となって、圧延
終了時の組織においては、粗大な再結晶粒組織が主体と
なり、折り曲げ加工時の曲げ部分の肌荒れが発生する。
そして、耐力は95N/mm2より小さくなる。
0mm)を製造した。 A3003材:Si0.58質量%,Fe0.68質量
%,Cu0.18質量%,Mn1.48質量%,Mg0.
02質量%,Zn0.09質量%、残りはAlと不可避
的不純物。 A3004材:Si0.58質量%,Fe0.68質量
%,Cu0.20質量%,Mn1.48質量%,Mg1.
01質量%,Zn0.23質量%、残りはAlと不可避
的不純物。
造した。 本発明方法(A):鋳塊に温度600℃の均熱炉で6時
間の均熱処理を行ったのち、圧延開始時の温度を550
℃とし、圧延終了時の温度を表1で示した温度となるよ
うな温度管理下で熱間圧延加工を実施。そのまま板材と
して使用。 従来方法(B):鋳塊に温度600℃の均熱炉で6時間
の均熱処理を行ったのち、圧延開始時の温度を550
℃、圧延終了時の温度310℃の熱間圧延を行い、つい
で、温度80℃の冷間圧延を行った。 ついで、温度360℃で3時間の中間焼鈍を行い、更に
温度80℃の冷間圧延を行ったのち温度230℃で3時
間の熱処理を行った。その後、板材として使用。
における各板材の耐力(Γ0)と伸びを測定した。つい
で、各板材にフッ素樹脂塗料を塗布し、表1で示した温
度の焼き付け塗装を行い、そのときの耐力(Γ)と伸び
を測定した。100×(Γ0−Γ)/Γ0を計算し、焼き
付け塗装前後の耐力低下率とした。結果を表1に示す。
晶組織を観察した。具体的には、各板材の表面を研削加
工し、その加工面を電解研磨し、研磨面に対しHBF4
液を用いたエッチング処理を行い、偏光を用いた画像処
理で再結晶粒組織の面積を積算した。そして、視野(5
mm×5mm)内の上記積算値の割合(百分率)を求めた。
その結果を表1に示した。また、実施例9と比較例8の
板材については、その組織の顕微鏡写真(倍率×50)
を、それぞれ図1と図2に示した。
げ部分の肌荒れ(塗装の剥離)と割れの有無を目視観察
した。肌荒れに関しては、図3に示すように圧延方向4
に直交する方向と、図4で示したように、圧延方向4に
平行な方向の2態様で行い、肌荒れの観察されたときの
曲げ角度を求めた。また、割れに関しては、図4に示す
ように圧延方向に平行な方向に90°折り曲げ加工と1
80°折り曲げ加工を行い、割れ発生の有無を観察し
た。割れのない場合を○、微小な割れが発生しているが
実用上問題のない場合を△、明らかな割れが発生した場
合×で示した。
ある。 (1)実施例9と比較例6を対比して明らかなように、
材料が同じで、圧延終了時の温度が同じでかつ板厚が同
じであっても、熱間圧延に続けて冷間圧延や中間焼鈍な
どを経て製造した比較例6の場合、塗装温度が同じ26
0℃であるにもかかわらず、塗装後の耐力は実施例9に
比べて小さく、95N/mm2に満たない。そして、曲げ
試験においても、実施例9に比べて肌荒れを起こしやす
くなっている。これは、比較例6の組織が熱間圧延後の
一連の工程、更には焼き付け塗装時において再結晶粒組
織になっているからである。このようなことから、焼き
付け塗装によっても再結晶粒組織を成長させることのな
いような条件の熱間圧延のみで製造する本発明方法の有
効性は明らかである。
装後の組織はファイバ組織と微細な2次組織(サブグレ
イン)が混在している。そして、焼き付け塗装後の耐力
と伸びは、それぞれ、122N/mm2、29.5%と高い
値を示し、しかも耐力低下率は1.6%と非常に小さ
い。そのため、優れた曲げ試験の結果が得られている。
一方、図2で示した比較例8の焼き付け塗装後の組織に
はファイバ組織は認められず、粗大な再結晶粒組織にな
っている。そして、焼き付け塗装後の耐力は160N/
mm2と高い値を示しているが、その伸びは15.2%と小
さく、また耐力低下率は28.9%と極めて大きい。そ
の結果、曲げ試験時の肌荒れ、割れは極めて劣悪になっ
ている。このようなことから、ファイバ組織と微細な2
次組織が共存する組織を備えた本発明の建築用Al合金
材の有用性は明らかである。
時の温度を290〜340℃に管理するA3003材の
熱間圧延材は、焼き付け塗装後にあっても再結晶粒組織
が成長せずにファイバ組織を主体とする状態を維持し、
耐力低下率が10%以下になっており、また耐力の絶対
値95N/mm2以上、伸びも27%以上を確保してい
る。したがって、本発明のAl合金材は、焼き付け塗装
を行っても、折り曲げ加工性が優れ、しかも耐力低下を
起こさない建築用資材としてその工業的価値は大であ
る。
温度が260〜280℃である場合について行ったが、
本発明の建築用Al合金材は、焼き付け塗装時の温度が
260℃以下であっても、280〜300℃であっても
好適に使用することができる。
略図である。
図である。
る。
略図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 JISで規定するA3003の熱間圧延
材であって、温度300℃以下での焼き付け塗装後にお
ける組織が、ファイバ組織と面積比率20%以下の再結
晶粒組織とから成り、前記焼き付け塗装の前後における
耐力の低下率が10%以下であることを特徴とする建築
用Al合金材。 - 【請求項2】 前記焼き付け塗装後における耐力が95
N/mm2以上であり、かつ、伸びが27%以上である請
求項1の建築用Al合金材。 - 【請求項3】 前記焼き付け塗装時の温度が260〜2
80℃である請求項1または2の建築用Al合金材。 - 【請求項4】 JISで規定するA3003の鋳塊に均
熱処理を施し、ついで、圧延終了時の温度が290〜3
40℃である熱間圧延加工を行うのみで実使用に供する
ことを特徴とする建築用Al合金材の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001236160A JP4632588B2 (ja) | 2000-08-09 | 2001-08-03 | 建築用Al合金材とその製造方法 |
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JP2000241031 | 2000-08-09 | ||
JP2001224329 | 2001-07-25 | ||
JP2001-224329 | 2001-07-25 | ||
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102912191A (zh) * | 2011-08-01 | 2013-02-06 | 江阴新仁科技有限公司 | 一种3003反射箔铝合金及其加工工艺 |
WO2015155911A1 (ja) * | 2014-04-09 | 2015-10-15 | 日本軽金属株式会社 | 曲げ加工性と形状凍結性に優れた高強度アルミニウム合金板およびその製造方法 |
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JPH1025555A (ja) * | 1996-07-08 | 1998-01-27 | Sky Alum Co Ltd | 強度と曲げ加工性に優れた樹脂塗装建材用アルミニウム合金圧延板の製造方法 |
-
2001
- 2001-08-03 JP JP2001236160A patent/JP4632588B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US10221471B2 (en) | 2014-04-09 | 2019-03-05 | Nippon Light Metal Company, Ltd. | High strength aluminum alloy sheet excellent in bendability and shape freezability and method of production of same |
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