JP3860968B2 - エンボス成形加工用アルミニウム合金板およびエンボス成形加工用アルミニウム合金塗装板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は塗装およびエンボス成形加工を施してサイディング材等の建材として用いられるアルミニウム合金板に関するものであり、特にエンボスロールによるエンボス成形加工時において割れが生じにくくかつ腰が強いエンボスロール成形加工用アルミニウム合金板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家屋等の各種建築物の外装材、例えばサイディング材には、デザインや装飾性の観点から、種々の模様をエンボス成形加工によって付与した金属板を使用することが多い。従来一般にこのようなエンボス成形加工金属板建材としては、鋼板を使用するのが通常であったが、地震等の災害時には軽量である方が家屋が倒壊しにくくなることから、最近では鋼板に代えてアルミニウム合金板をサイディング材等の建材用エンボス成形加工板として使用することが多くなっている。
【0003】
ところでエンボス加工は、薄い板材を表面の模様状の凹凸が互いに逆になっている一対のダイスの間で押圧して、板厚をほとんど変えずに表裏の凹凸が逆となっている製品板に成形加工するものであり、このエンボス成形加工では、ダイスの突起によって素材板(ブランク)が曲げ、絞り、あるいは張出し加工を受け、最後の段階になってはじめて表面が工具によって拘束される。またアルミニウム材料に対するエンボス加工としては、一対のエンボスロールを用いて連続的に模様を付ける方法も適用されており、このようなエンボスロールを用いた連続エンボス加工では、上下のロールにおける模様の一致が重要となる。
なおサイディング材等の建材として用いる場合のエンボス加工模様としては、六角模様、石垣模様、ピラミッド模様、木目模様、縮み模様、網目模様、レザー模様、縞目模様、スタッコ模様、踏み板模様など、種々のものが知られている。
【0004】
従来このようなサイディング材等の建材としてエンボス加工を施して用いられるアルミニウム合金としては、主として加工性および耐食性を重視して、Al−Mn系合金である3003合金や3005合金、あるいは3004合金を使用することが多かった。このようなアルミニウム合金を実際にエンボス加工してサイディング材等の建材とするにあたっては、板製造過程の最後に最終焼鈍を施して軟質材(O材)として仕上げ、その板に塗装を施してからエンボス加工を施すのが通常であり、また場合によってはエンボス加工後にロールフォーミング成形を行なうこともある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
サイディング材等の建材に形成されるエンボス模様としては、最近ではより高級感、立体感を増すために、彫りの深い模様が好まれるようになっている。すなわちエンボス加工における成形深さの深いものが好まれるようになっている。具体的には、板厚の数倍程度の深さが好まれ、例えば板厚0.4mmではエンボス深さとして2.5mm以上が望まれることが多くなっている。
【0006】
一方、サイディング材等の建材に対しては、省コストの観点から薄肉化が要求されるようになっており、エンボス加工建材についても従来より薄肉化することが強く望まれている。すなわち、エンボス加工建材の板厚は、従来は0.5〜2mm程度が標準であったが、最近では0.2mm程度まで薄肉化することが望まれるようになっている。
【0007】
しかしながら従来一般にサイディング材などの建材に使用されているAl−Mn系の3003合金や3004合金では、このような薄肉化の要求に充分に対応できない問題がある。すなわち、従来エンボス加工用に用いられていた3003合金を薄肉化した場合、強度が低いために板の腰が弱くなってエンボス成形加工時における板の取扱いや、エンボス成形加工後の製品板の取扱いが困難となるおそれがある。一方、3003合金よりも強度を高めた3004合金や3005合金の場合は、薄肉化してもある程度の腰の強さは維持することができる反面、エンボス成形加工時に割れが発生しやすくなってしまうという問題がある。
【0008】
さらに、コスト削減のために、従来鋼板のエンボス加工に使用していたエンボスロールを、そのままアルミニウム合金板のエンボス加工に適用したいという強い要望があるが、この場合鋼板と同じ板厚のアルミニウム合金板であっても、従来のAl−Mn系のアルミニウム合金板ではエンボス成形加工時に割れが発生することが多く、そのため鋼板に使用されていたエンボスロールをそのままアルミニウム合金板に適用することがためらわれていたのが実情である。
【0009】
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、板厚0.5mm以下に薄肉化してもエンボスロール成形加工時における割れの発生が少なく、しかも強度も高くて腰が強いエンボスロール成形加工用アルミニウム合金板を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述のような課題を解決するため、本願発明者らが鋭意実験・検討を重ねた結果、合金の成分系を比較的少量のMgを含有するAl−Mg系の合金とするとともに不可避的不純物としてのFe量、Si量を少量に規制し、かつ板の圧延方向に直角方向の伸びと引張強さを適切に調整することによって、エンボスロール成形加工用のアルミニウム合金板として前述の目的を達成し得ることを見出し、この発明をなすに至った。
【0011】
具体的には、請求項1の発明のエンボスロール成形加工用アルミニウム合金板は、Mg1.3〜2.3%を含有し、かつSiが0.3%以下、Feが0.3%以下にそれぞれ規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ圧延方向に直角方向の伸びは27%以上で引張強さは140N/mm2以上の軟質材からなることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項2の発明のエンボスロール成形加工用アルミニウム合金板は、Mg1.3〜2.3%を含有し、かつCu0.06〜0.3%、Mn0.06〜0.3%、Cr0.06〜0.3%のうちの1種または2種以上を含有し、さらにSiが0.3%以下、Feが0.3%以下にそれぞれ規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ圧延方向に直角方向の伸びは27%以上で引張強さは140N/mm2以上の軟質材からなることを特徴とするものである。
【0013】
さらに前述のようなエンボスロール成形加工用アルミニウム合金板に塗装を施した塗装板について規定したのが請求項3である。
【0014】
【発明の実施の形態】
先ずこの発明のアルミニウム合金板の成分組成限定理由を説明する。
【0015】
Mg:
Mgはこの発明で用いている系のアルミニウム合金において必須の基本成分であり、強度および腰の強さに寄与する重要な元素である。ここで、Mg量が1.3%未満では強度が低くて板の腰が弱くなり、エンボスロール成形加工時やエンボスロール成形加工後における製品板の取扱いが困難となる。一方Mg量が2.3%を越えれば伸びが低下してエンボスロール成形加工時における耐割れ性が低下してしまう。したがってMg量は1.3〜2.3%の範囲内とした。
【0016】
Fe:
Feは通常のアルミニウム合金において不可避的に含有される不純物元素である。Feは、鋳造時にAl−Fe系あるいはAl−Fe−Si系の金属間化合物を生成し、また均質化処理時やその後の熱間圧延のための加熱時等においてこれらの金属間化合物を析出させ、これらの金属間化合物が破壊発生サイトとなって伸びの低下を招き、特にFe量が0.3%を越えて含有されれば、伸びが低下してエンボスロール成形加工時における耐割れ性が著しく低下してしまう。そこでFe量は0.3%以下に規制することとした。
【0017】
Si:
Siも通常のアルミニウム合金において不可避的に含有される不純物元素である。Siは、鋳造時にAl−Fe−Si系あるいはMg2 Si系の金属間化合物を生成し、また均質化処理時やその後の熱間圧延のための加熱時等においてこれらの金属間化合物を析出させ、これらの金属間化合物が破壊発生サイトとなって伸びの低下を招き、特にSi量が0.3%を越えて含有されれば、伸びが低下してエンボスロール成形加工時における耐割れ性が著しく低下してしまう。そこでSi量は0.3%以下に規制することとした。
【0018】
以上の各元素のほか、強度の向上のために、必要に応じてCu、Mn、Crのうちから選ばれた1種または2種以上を添加しても良い。Cu、Mn、Crはいずれも0.06%未満では上述の効果が少なく、一方それぞれ0.3%を越えて含有されれば伸びが低下してエンボスロール成形加工時における耐割れ性も低下してしまう。そこで必要に応じてCu、Mn、Crの1種以上を添加する場合の添加量は、それぞれ0.06〜0.3%の範囲内とした。
【0019】
以上の各元素のほかは基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良い。ここでFe、Si以外の不可避的不純物は、それぞれ0.05%以下であれば特にエンボスロール成形加工用アルミニウム合金の性能を損なうおそれはない。
【0020】
なお一般のアルミニウム合金においては、鋳塊の結晶粒微細化のために少量のTiを単独で、あるいは微量のBと組合せて添加することがあり、この発明においても鋳塊結晶粒微細化のためにTiを単独であるいはBと組合せて添加することは許容される。但しTi量が0.2%を越えたり、またB量が0.04%を越えたりすれば、上述の効果が飽和するばかりでなく、粗大粒子が生じてエンボスロール成形加工時の耐割れ性を損なうから、Ti量は0.2%以下、B量は0.04%以下に規制することが好ましい。
【0021】
また、Al−Mg系合金には溶湯の酸化を防止するためにBeが添加されることが多いが、本合金でもBeを0.01%以下含有させてもよい。
【0022】
この発明のエンボスロール成形加工用アルミニウム合金板においては、圧延方向に直角方向の伸びは27%以上で引張強さは140N/mm2以上あることが必要である。
【0023】
エンボスロールで成形した時、圧延方向すなわちロール長手方向に対して直角の方向にはアルミニウム板は比較的自由に変形することができるが、圧延方向に直角の方向は上下のロールにより拘束されながら成形される。このために成形の進行に伴なって板の伸び(特に、圧延方向に直角方向の伸び)が不足して局所的な変形に板が抗しきれずに割れるものと考えられ、特に薄肉化することによって、より一層エンボスロール成形加工時の割れは発生しやすくなると考えられる。しかし、圧延方向に直角方向の伸びを27%以上とすれば、薄肉化したアルミニウム板に彫りの深いエンボス加工を施した場合においても、このロールの拘束による割れを防止することができる。
【0024】
単に伸びが27%以上であるだけでは不十分であり、引張強さが140N/mm2未満ではやはり割れの発生を防止できない。そこで引張強さが140N/mm2以上とする。
また、引張強さが140N/mm2未満では板の腰が弱くてエンボスロール成形加工時やエンボスロール成形加工後の製品板の取扱いが困難となるが、140N/mm2以上とすることにより、耐力も充分なものとなり、実用上支障のない程度の腰の強さを有するようになる。
したがってエンボスロール成形加工時の耐割れ性の優れた板とするためには圧延方向に直角方向の伸びは27%以上で引張強さは140N/mm2以上に規制することとした。
【0025】
また、最終焼鈍を施した軟質材とすることにより、充分な成形加工性を持たせて彫りの深い模様でも支障無くエンボス加工できるようにした。
【0026】
次にこの発明のエンボスロール成形加工用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
【0027】
先ず前述のような成分組成を有するアルミニウム合金溶湯を常法に従って鋳造する。鋳造法としては半連続鋳造法(DC鋳造法)が一般的であるが、省エネルギー、省コストの観点から薄板連続鋳造法(連続鋳造圧延法)を適用しても良い。得られた鋳塊に対しては、均質化処理−熱間圧延−一次冷間圧延−中間焼鈍−二次冷間圧延あるいは均質化処理−熱間圧延−冷間圧延を施して0.25〜2.0mm程度の製品板厚とし、最終焼鈍にて軟質材(O材)に仕上げる。この中間焼鈍は行った方が、圧延方向に直角方向の伸びに対して、より好ましい。
なお、薄板連続鋳造法を用いた場合は、均質化処理、熱間圧延を省略してもかまわない。
【0028】
ここで、鋳塊に対する均質化処理は、中間焼鈍時および最終焼鈍時における再結晶粒の微細化と、成形性の向上に有効であり、450〜580℃の範囲内の温度で1〜24時間の加熱条件とすることが好ましい。均質化処理の後には熱間圧延を行なうが、均質化処理後に改めて鋳塊加熱を行なってから熱間圧延を行なっても、あるいは均質化処理後、直ちに熱間圧延を開始しても良く、いずれの場合も熱間圧延開始温度は400〜530℃の範囲内が好ましい。
【0029】
熱間圧延終了後一次冷間圧延を施してから、あるいは熱間圧延上りの板厚が比較的薄いものは一次冷間圧延を省略して中間焼鈍を行う。この中間焼鈍は連続焼鈍で行って一次再結晶粒をより粒状化させることで、圧延方向に直角方向の伸びの向上を図るために行う。この連続焼鈍は350〜560℃で保持なしもしくは3分以下の保持とすることが好ましい。
【0030】
中間焼鈍後には、二次冷間圧延(一次冷間圧延を省略したものは一次冷間圧延)を行う。この二次冷間圧延は冷間圧延率が小さいと最終焼鈍で再結晶粒が粗大化して本発明で規定する強度を下回る恐れがあるので二次冷間圧延率は35%以上とするのが好ましい。
二次冷間圧延後には、板を再結晶させて軟質板(O材)とするために最終焼鈍を行なう。この最終焼鈍は連続焼鈍あるいはバッチ焼鈍のどちらでも良い。熱間圧延後の冷間圧延率が35%以上のものは連続焼鈍を施して最終焼鈍としても良い。この最終焼鈍の温度は280〜560℃の範囲内が好ましい。焼鈍温度が280℃未満では充分に再結晶させることが困難となり、一方560℃を越えれば表面の酸化が激しくなって表面が変色し、また再結晶粒が粗大化してしまうおそれがある。なおこの最終焼鈍は平均加熱速度が数℃/h〜数十℃/hのバッチ焼鈍の場合は、焼鈍温度280〜560℃で保持0.5〜5時間が好ましい。、また平均加熱速度が数℃/sec〜数十℃/secの連続焼鈍の場合は、焼鈍温度は350〜560℃とすることが好ましく、また焼鈍温度に到達した後の保持はなくても、また3分以下保持しても良い。
【0031】
以上のようにして最終焼鈍により軟質材となったアルミニウム合金板は、これをそのままエンボスロール成形加工に供しても良いが、サイディング材などの建材に用いる場合は、耐食性と美観を付与するためにエンボスロール成形加工前に予め塗装を行なっておくのが通常である。塗装皮膜の種類は特に限定されるものではないが、一般にはフッ素樹脂皮膜、エポキシ樹脂皮膜、アクリル樹脂皮膜、ポリエステル樹脂皮膜等、あるいはこれらを組合せた2層以上の皮膜が用いられる。またこのような塗装樹脂皮膜の厚みは、一般には5〜30μm程度である。
【0032】
このようにして塗装された板(塗装板)はエンボスロール成形加工に供される。このエンボスロール成形加工は一般に潤滑剤を用いずに塗装のままで行なう。なおエンボスロール成形加工後にはロールフォーミングを行なうこともある。
【0033】
【実施例】
表1の合金No.1〜No.15に示す種々の合金を用い、常法に従って溶解し、DC鋳造法によって鋳造した。得られた鋳塊に対し、表2の製造工程符号A〜Eに示す種々の条件で均質化処理−熱間圧延−一次冷間圧延−中間焼鈍−二次冷間圧延−最終焼鈍を行なって最終的に板厚0.4mmのO材のアルミニウム合金板とした。なお、製造工程符号A,B,D,E,の中間焼鈍は連続焼鈍炉で行い、Cのみバッチ焼鈍炉で行った。また、最終焼鈍は製造工程符号A〜Eすべて薄板のためバッチ焼鈍炉で行った。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
得られた各アルミニウム合金板O材について、JIS5号引張試験片にて圧延方向に直角方向の強度(引張強さ)と伸びを調べたのでその結果を表3に示す。
【0037】
さらに各アルミニウム合金板O材について、常法に従って化成処理を施した後、表側の面にポリエステル系樹脂を厚さ5μmで塗装し、さらにその上に20μm厚のフッ素系樹脂の塗装を行ない、一方裏側の面にはエポキシ系の樹脂を5μm塗装したものを作成した。その後、エンボスロールを用いて最大高さ約3mmの岩肌状の凹凸模様を形成した。なおこの模様は、幅500mm、長さ650mmを1パターンとし、この模様パターンを連続して形成した。このように連続してエンボスロール成形加工を施した板を、2500mmの長さに切出して、腰の強さを調べるとともに、エンボスロール成形加工における耐割れ性を調べたので、その結果を表3中に併せて示す。ここで、腰の強さについては、耐力が55N/mm2 以上であれば取扱い等に支障がないことが判明したので、その場合について○印を付し、それ未満の場合に×印を付した。またエンボスロール成形加工における耐割れ性については、暗室中において表面側から強い光をあて、幅500mm×長さ650mmの1パターン中を観察し、割れにより光が漏れている箇所の数を数えた。そして割れの発生箇所がない場合に合格として○印を付し、一箇所でも割れが発生している場合に不合格として×印を付した。
【0038】
【表3】
【0039】
表1〜表3において、試料No.1A,2A,2E,3A,5A,5E,6Aのアルミニウム合金板は、いずれも成分組成がこの発明で規定する範囲を満たし、かつ圧延方向に直角方向の伸びは27%以上で引張強さは140N/mm2の条件を満たしたものであり、これらの場合は未塗装でも塗装したものでもエンボスロール成形加工における耐割れ性が良好で割れの発生がなく、また耐力も55N/mm2 以上で、実用上支障のない程度の腰の強さを有していることが判明した。
【0040】
一方、試料No.1D,5Dの板は、成分組成はこの発明で規定する範囲内であるが、二次冷間圧延率が低かったため、強度が低すぎて腰が弱くなってしまった。また試料No.4C,5Cの板は、成分組成はこの発明の範囲内であるが、中間焼鈍をバッチ炉で行ったため伸びが不足して、エンボスロール成形加工時に割れが発生してしまった。
【0041】
さらに試料No.7Bの板は、従来の3003合金を従来の条件で均質化処理後熱間圧延し、その後の製造工程は本アルミニウム合金板の製造方法で製造したものであり、この場合は伸びが良好なためエンボスロール成形加工において割れは発生しないが、強度が低すぎて腰が弱くなってしまった。また試料No.8Bの板は、同じく従来の3004合金を従来の条件で均質化処理後熱間圧延し、その後の製造工程は、本アルミニウム合金板の製造方法で製造したものであり、この場合は強度、腰の強さは問題ないが、伸びが不足したためエンボスロール成形加工において割れが発生した。
【0042】
また試料No.9Aの板は、Mg含有量の少ない比較合金を用いたものであり、この場合は強度が低すぎて腰が弱くなってしまった。一方試料No.10A,11A,12A,13A,14A,15Aの各板は、各々Si、Fe、Mn、Cr、Cu、Mgの含有量が過剰な比較合金を用いたものであり、これらの場合は強度は充分であったが、伸びが不足してエンボスロール成形加工時に割れが発生してしまった。
【0043】
【発明の効果】
前述の実施例からも明らかなように、この発明のエンボスロール成形加工用アルミニウム合金板は、板厚が0.5mm以下に薄肉化されたとしてもエンボスロール成形加工時において割れが発生しにくく、耐割れ性が優れていると同時に、強度が適度に高くて板の腰が強く、そのためサイディング材などの主として建材に使用されるエンボスロール成形加工用の板材として、薄肉化に充分に対応することができる。
Claims (3)
- Mg1.3〜2.3%(mass%、以下同じ)を含有し、かつSiが0.3%以下、Feが0.3%以下にそれぞれ規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ圧延方向に直角方向の伸びは27%以上で引張強さは140N/mm2以上の軟質材からなることを特徴とする、耐エンボス成形割れ性に優れたエンボスロール成形加工用アルミニウム合金板。
- Mg1.3〜2.3%を含有し、かつCu0.06〜0.3%、Mn0.06〜0.3%、Cr0.06〜0.3%のうちの1種または2種以上を含有し、さらにSiが0.3%以下、Feが0.3%以下にそれぞれ規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ圧延方向に直角方向の伸びは27%以上で引張強さは140N/mm2以上の軟質材からなることを特徴とする、耐エンボス成形割れ性に優れたエンボスロール成形加工用アルミニウム合金板。
- 請求項1又は2記載の軟質材の表面に塗装が施されてなることを特徴とする、エンボスロール成形加工用アルミニウム合金塗装板。
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