JP2003105210A - 注型成形用樹脂組成物 - Google Patents

注型成形用樹脂組成物

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JP2003105210A
JP2003105210A JP2001302462A JP2001302462A JP2003105210A JP 2003105210 A JP2003105210 A JP 2003105210A JP 2001302462 A JP2001302462 A JP 2001302462A JP 2001302462 A JP2001302462 A JP 2001302462A JP 2003105210 A JP2003105210 A JP 2003105210A
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meth
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Yuichi Kawada
雄一 川田
Akihiko Fukada
亮彦 深田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経時的に安定な揺変性を有し、特殊な装置を
要することなく、長期にわたり樹脂成分と充填剤との分
離を回避することができ、しかも耐水性、耐熱性、耐候
性等の諸物性についても充分な性能を発揮する、注型成
形用樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ラジカル硬化性樹脂(A)と充填剤
(B)とを含んでなる注型成形用樹脂組成物において、
前記ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部に対して
0.005〜1.0重量部の揺変性付与重合体(C)を
さらに含有し、前記揺変性付与重合体(C)は、前記ラ
ジカル硬化性樹脂(A)に対して相溶し、かつ、前記充
填剤(B)の表面に吸着可能な1種以上の官能基を有
し、かつ、ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部と結
晶性シリカ150重量部とにこれを0.005〜1.0
重量部配合してなる配合物の揺変性をみたときに、初期
揺変度(x1)および40℃で7日間保持する強制試験
において試験後の揺変度(x2)がともに1.5以上で
あり、かつ、(x1)/(x2)=0.75〜1.25
を満足するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば人工大理石
等の製造に好適な注型成形用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル樹脂等のラジカル硬化性樹脂に
シリカ等の充填剤を添加した樹脂組成物は、例えば、耐
水性、耐熱性、耐候性等の物性や外観に優れた人工大理
石を製造しうる材料として有用であることが知られてお
り、このような樹脂組成物を成形して得られた成形品
は、各種水回り用品等の幅広い用途で汎用されている。
前記樹脂組成物の成形方法としては、注型法、プレス法
に大別でき、生産量やコストに応じて使い分けされてい
る。注型成形を行う場合、注入時間や材料中の泡抜けの
問題から、用いる樹脂組成物の粘度は、例えば8000
mPa・S以下と低粘度に設定することが必要になるの
であるが、このような低粘度の樹脂組成物においては、
樹脂組成物の製造時から成形までの間に樹脂成分と充填
剤との分離が起こりやすく、しかも一旦分離が生じると
成形前に再混練しても均一な状態に戻らないといった問
題があった。
【0003】このような樹脂成分と充填剤との分離の問
題を解決する方法としては、例えば、特許286913
5号公報、特開平9−110498号公報等に、樹脂組
成物中にシリカ微粒子粉末を添加して揺変性を付与させ
る技術が提案されている。しかしながら、シリカ微粒子
粉末の添加により付与された揺変性は、経時的に大きく
変化する傾向があり、上記従来の技術では、樹脂組成物
を長期間保存した場合、やはり樹脂成分と充填剤との分
離が生じてしまったり、その都度、成形条件の微調整が
必要になったりするという問題が生じていた。また、シ
リカ微粒子粉末は、一般に使用されている通常の装置で
は均一に混練することが難しく、特殊な混練装置が必要
となるという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、経
時的に安定な揺変性を有し、特殊な装置を要することな
く、長期にわたり樹脂成分と充填剤との分離を回避する
ことができ、しかも耐水性、耐熱性、耐候性等の諸物性
についても充分な性能を発揮する、注型成形用樹脂組成
物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の重合体が、特
殊な装置を用いずとも容易に混練可能であり、経時的に
安定した揺変性を付与して、長期にわたり樹脂成分と充
填剤との分離を回避するのに有効であると同時に、耐水
性、耐熱性、耐候性等の諸物性を損なうこともないこと
を見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の注型
成形用樹脂組成物は、ラジカル硬化性樹脂(A)と充填
剤(B)とを含んでなる注型成形用樹脂組成物におい
て、前記ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部に対し
て0.005〜1.0重量部の揺変性付与重合体(C)
をさらに含有し、前記揺変性付与重合体(C)は、前記
ラジカル硬化性樹脂(A)に対して相溶し、かつ、前記
充填剤(B)の表面に吸着可能な1種以上の官能基を有
し、かつ、ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部と結
晶性シリカ150重量部とにこれを0.005〜1.0
重量部配合してなる配合物の揺変性をみたときに、初期
揺変度(x1)および40℃で7日間保持する強制試験
において試験後の揺変度(x2)がともに1.5以上で
あり、かつ、(x1)/(x2)=0.75〜1.25
を満足するものである、ことを特徴とする。
【0006】さらに、本発明の好ましい形態において
は、前記揺変性付与重合体(C)が、カルボキシル基、
水酸基、アミン基のうちの少なくとも1つを有し、酸
価、水酸基価、アミン価のうち少なくとも1つが5〜2
30mgKOH/gである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の注型成形用樹脂組成物
は、ラジカル硬化性樹脂(A)と、充填剤(B)と、揺
変性を付与するための揺変性付与重合体(C)とを含ん
でなる。ラジカル硬化性樹脂(A)としては、特に制限
されるものではなく、例えば、不飽和ポリエステル、ビ
ニルエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエ
ステル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルシラッ
プ等が挙げられるが、本発明においては特に、成形した
際の成形物の耐水性、耐候性、耐熱性の観点から、(メ
タ)アクリルシラップであることが好ましい。ラジカル
硬化性樹脂(A)は、1種のみを用いてもよいし、2種
以上を併用してもよい。
【0008】前記(メタ)アクリルシラップは、熱可塑
性(メタ)アクリル系重合体および/または熱硬化性
(メタ)アクリル系重合体と単量体とから構成されるも
のである。前記熱可塑性(メタ)アクリル系重合体と
は、主鎖の50重量%以上が(メタ)アクリル酸エステ
ル単位からなる重合体、すなわち(メタ)アクリル酸エ
ステルを50重量%以上含む単量体成分を重合して得ら
れる重合体であって、一分子中に重合性二重結合を有さ
ない重合体である。好ましくは、主鎖の(メタ)アクリ
ル酸エステル単位は60重量%以上であるのがよく、よ
り好ましくは70重量%以上であるのがよい。
【0009】前記熱可塑性(メタ)アクリル系重合体を
得る際の単量体成分として必須である前記(メタ)アク
リル酸エステルとしては、特に限定されるものではない
が、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メ
タ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、
イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステ
ル;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート等の塩基性(メ
タ)アクリル酸エステル;等が挙げられる。これらのな
かでも、硬化したときの耐候性、耐水性、耐熱性等の諸
物性に優れる点で、メチルメタクリレートが特に好まし
い。なお、これら(メタ)アクリル酸エステルは、1種
のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
【0010】前記熱可塑性(メタ)アクリル系重合体を
得る際の単量体成分としては、前記(メタ)アクリル酸
エステルのほかに、必要に応じて、ビニル化合物を含ん
でいてもよい。ビニル化合物としては、特に限定される
ものではないが、具体的には、例えば、スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等の
スチレン系単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;ア
リルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテ
ル、プロピレングリコールモノアリルエーテル等のアリ
ル化合物;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロ
ニトリル;N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エ
トキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ置換
(メタ)アクリルアミド;不飽和塩基性単量体;N−フ
ェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N
−イソプロピルマレイミド等のマレイミド系単量体;等
が挙げられる。なお、これらビニル化合物は、1種のみ
を用いても、2種以上を併用してもよい。また、単量体
成分としてビニル化合物をも含む場合、その割合は、ビ
ニル化合物の種類や(メタ)アクリル酸エステルとの組
み合わせにもよるが、単量体成分中50重量%未満であ
ることが好ましく、20重量%未満であることがより好
ましい。
【0011】前記熱可塑性(メタ)アクリル系重合体を
得るに際し、前記単量体成分を重合させる方法として
は、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合
等の公知の重合方法を採用することができるが、製造上
の簡便性から、塊状重合が特に好ましい。また、前記重
合方法としては、前記単量体成分の重合を途中で停止さ
せる方法、すなわち部分重合が好ましい。部分重合によ
れば、熱可塑性(メタ)アクリル系重合体と未反応の単
量体との混合物が生成物として得られるので、これを
(メタ)アクリルシラップとしてそのまま利用すること
ができるからである。
【0012】前記熱可塑性(メタ)アクリル系重合体の
重量平均分子量は(Mw)は、1万〜200万であるこ
とが好ましく、3万〜100万であることがより好まし
く、5万〜80万であることが最も好ましい。熱可塑性
(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量が1万未満
であると、得られる樹脂組成物の耐熱性が低下する傾向
があり、一方、200万を越えると、ラジカル硬化性樹
脂(A)の粘度が高くなり、ひいては得られる樹脂組成
物の注型成形が困難になる恐れがある。前記熱硬化性
(メタ)アクリル系重合体とは、主鎖の50重量%以上
が(メタ)アクリル酸エステル単位からなる重合体、す
なわち(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上含
む単量体成分を重合して得られる重合体であって、一分
子中に少なくとも1個以上の重合性二重結合を有し、ビ
ニル化合物と共重合して前記熱可塑性(メタ)アクリル
系重合体と相溶な反応物を生成しうる重合体である。好
ましくは、主鎖の(メタ)アクリル酸エステル単位は6
0重量%以上であるのがよく、より好ましくは70重量
%以上であるのがよい。
【0013】前記熱硬化性(メタ)アクリル系重合体と
しては、重合性二重結合を有する側鎖がエステル結合を
介して主鎖に結合している重合体であることが、より好
ましい。このような重合体は、カルボキシル基を有する
(メタ)アクリル系重合体(以下、カルボキシル基含有
重合体と称す)と、不飽和エポキシ化合物とを反応させ
る方法によって効率良く得ることができる。該方法によ
れば、カルボキシル基含有重合体が有するカルボキシル
基に対し不飽和エポキシ化合物が有するエポキシ基が反
応してエポキシ基が開環し、重合性二重結合を有する側
鎖がエステル結合を介して主鎖に結合した熱硬化性(メ
タ)アクリル系重合体となるのである。
【0014】前記カルボキシル基含有重合体としては、
前記熱可塑性(メタ)アクリル系重合体を得る際の単量
体成分として前述した(メタ)アクリル酸エステルとカ
ルボキシル基含有単量体とを含む単量体成分を重合する
ことにより得られる熱可塑性(メタ)アクリル系重合体
を用いることができる。カルボキシル基含有単量体とし
ては、一分子中に重合可能な二重結合とカルボキシル基
とを有する化合物であればよく、具体的には、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香
酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;マ
レイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン
酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、フマル酸モノ
メチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フ
マル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等の上記
不飽和ジカルボン酸のモノエステル;長鎖カルボキシル
基含有単量体;等が挙げられる。なお、これらカルボキ
シル基含有単量体の使用量は、例えば、(メタ)アクリ
ル酸エステルとカルボキシル基含有単量体との合計量に
対して0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量
%、さらに好ましくは3〜10重量%の範囲内で、不飽
和エポキシ化合物と反応させることにより所定量の重合
性二重結合が導入されるように適宜調整すればよい。
【0015】前記不飽和エポキシ化合物としては、カル
ボキシル基と反応可能なエポキシ基と重合性の二重結合
とを有する化合物であればよく、具体的には、例えば、
アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリ
レート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、エポ
キシ樹脂のモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、これら不飽和エポキシ化合物の使用量は、カルボ
キシル基含有重合体との組み合わせ等に応じて適宜設定
すればよいが、カルボキシル基含有重合体の製造に用い
たカルボキシル基含有単量体に対して0.5〜2倍モル
とするのが好ましく、0.8〜1.5倍モルとするのが
より好ましい。
【0016】前記カルボキシル機含有重合体と前記不飽
和エポキシ化合物との反応は、触媒の存在下で行うこと
が好ましい。触媒としては、例えば、無機金属化合物、
オキソ酸金属塩、ポリオキソ酸金属塩、有機金属化合
物、有機酸金属塩、金属錯塩、3級アミン、4級アンモ
ニウム塩、4級ホスホニウム塩等を用いることができ
る。前記熱硬化性(メタ)アクリル系重合体の二重結合
当量、すなわち重合性二重結合1個当たりの分子量は、
500〜30,000であることが好ましく、2,00
0〜10,000であることがより好ましく、3,00
0〜8,000であることが最も好ましい。熱硬化性
(メタ)アクリル系重合体の二重結合当量が500未満
であると、得られる樹脂組成物を成形した際に、架橋密
度が高くなりすぎ、成形品が脆くなる傾向があり、一
方、30,000を超えると、架橋密度が低くなりす
ぎ、成形品の耐熱性が低下する恐れがある。
【0017】前記熱硬化性(メタ)アクリル系重合体の
重量平均分子量は(Mw)は、1万〜20万であること
が好ましく、2万〜15万であることがより好ましく、
3万〜10万であることが最も好ましい。熱硬化性(メ
タ)アクリル系重合体の重量平均分子量が1万未満であ
ると、得られる樹脂組成物の耐熱性が低下する傾向があ
り、一方、20万を越えると、ラジカル硬化性樹脂
(A)の粘度が高くなり、ひいては得られる樹脂組成物
の注型成形が困難になる恐れがある。熱硬化性(メタ)
アクリル系重合体の重量平均分子量が上記範囲である
と、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を向上させることが
できる。
【0018】前記(メタ)アクリルシラップを構成する
単量体としては、熱可塑性(メタ)アクリル系重合体ま
たは熱硬化性(メタ)アクリル系重合体と相溶もしくは
一部相溶なものであればよく、具体的には、例えば、前
記熱可塑性(メタ)アクリル系重合体を得る際の単量体
成分として前述した(メタ)アクリル酸エステルやビニ
ル化合物、前記熱硬化性(メタ)アクリル系重合体を得
る際の単量体成分として前述したカルボキシル基含有単
量体、架橋性単量体等のうちの1種もしくは2種以上を
用いることができる。架橋性単量体としては、具体的に
は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチル
グリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アク
リレート類;エポキシ(メタ)アクリレート類;ジビニ
ルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレ
ート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レート;等が挙げられる。前記単量体としては特に、熱
可塑性(メタ)アクリル系重合体または熱硬化性(メ
タ)アクリル系重合体との相溶性の点からは、全単量体
のうち80重量%以上が(メタ)アクリル酸エステルで
あることが好ましく、メチルメタクリレートであること
がより好ましい。
【0019】ラジカル硬化性樹脂(A)として(メタ)
アクリルシラップを用いる場合、得られる樹脂組成物の
粘度を後述する好ましい範囲とするためには、前記(メ
タ)アクリルシラップを構成する前記単量体の割合は、
前記熱硬化性(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子
量にもよるが、(メタ)アクリルシラップ中、50〜9
5重量%であることが好ましく、60〜95重量%であ
ることがより好ましく、65〜95重量%であることが
さらに好ましい。前記単量体の割合が50重量%未満で
あると、粘度が高くなりすぎ、得られる樹脂組成物の成
形性に劣る恐れがあり、一方、95重量%を越えると、
成形時の硬化収縮が大きくなる傾向があり、いずれも好
ましくない。
【0020】なお、前記(メタ)アクリルシラップ以外
のラジカル硬化性樹脂(A)においても、必要に応じ
て、(メタ)アクリルシラップを構成する前記単量体
を、前記の割合で含有していてもよい。ラジカル硬化性
樹脂(A)の粘度は、樹脂組成物の粘度が後述する範囲
になるように適宜設定すればよく、特に制限されない
が、例えば、25℃において5〜1000mPa・S、
好ましくは20〜500mPa・Sであるのがよい。ラ
ジカル硬化性樹脂(A)の粘度が前記範囲より低すぎる
と、樹脂中の単量体比率が多くなるので、収縮が大きく
なり、成形性が低下する傾向があり、一方、高すぎる
と、充填剤(B)を添加したときに高粘度になり、注型
が困難となるか、注型できたとしても泡抜けが悪く、成
形性に劣る恐れがある。
【0021】充填剤(B)としては、特に制限はない
が、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫
酸バリウム、アルミナ、結晶性シリカ、溶融シリカ、タ
ルク、クレー、ミルドファイバー、川砂、珪藻土、雲母
粉末、石膏、寒水石、アスベスト粉、ガラス粉、ガラス
球、ポリマービーズ等の無機充填剤や有機充填剤が挙げ
られる。これらの中でも、強度、耐水性、耐熱性等の諸
物性に比較的優れ、表面硬度が高く傷がつきにくい成形
品が得られる点から、結晶性シリカや溶融シリカが特に
好ましい。充填剤(B)は、1種のみを用いてもよい
し、2種以上を併用してもよい。なお、充填剤(B)の
平均粒径等の形態は、特に限定されるものではない。
【0022】充填剤(B)の含有量は、その粒径等に応
じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例え
ば、ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部に対して5
0〜300重量部、好ましくは100〜250重量部と
するのがよい。充填剤(B)の含有量が前記範囲より少
なすぎると、所望する物性を発揮しにくくなると同時
に、収縮が大きくなり、成形性が低下する恐れがあり、
一方、多すぎると、粘度が高くなり、注型が困難となる
か、注型できたとしても泡抜けが悪く、成形性に劣る恐
れがあるので、いずれも好ましくない。揺変性付与重合
体(C)は、前記ラジカル硬化性樹脂(A)に対して相
溶することが重要である。前記ラジカル硬化性樹脂
(A)に対して相溶するとは、少なくとも硬化前におい
てラジカル硬化性樹脂(A)に溶解し、均一に分散して
いることである。
【0023】前記揺変性付与重合体(C)は、さらに、
前記充填剤(B)の表面に吸着可能な1種以上の官能基
を有していることが重要である。充填剤(B)の表面に
吸着可能な官能基としては、例えば、カルボキシル基、
水酸基、アミン基、スルホン酸基、シアノ基等が挙げら
れる。これらの中でも特に、カルボキシル基、水酸基、
アミン基が好ましい。また、重合体(C)中の各官能基
の量は、重合体1000gあたり0.1〜4.0モル、
好ましくは0.3〜3.5モルであるのがよい。重合体
1000gあたりの官能基の量が0.1モル未満である
と、充分な揺変性を発揮できなくなり、一方、4.0モ
ルを越えると、耐水性、耐熱性、耐候性等の物性が低下
する傾向がある。
【0024】前記揺変性付与重合体(C)は、さらに、
ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部と結晶性シリカ
150重量部とにこれを0.005〜1.0重量部配合
してなる配合物の揺変性をみたときに、初期揺変度(x
1)および40℃で7日間保持する強制試験において試
験後の揺変度(x2)がともに1.5以上であり、か
つ、(x1)/(x2)=0.75〜1.25を満足す
るものであることが重要である。前記の特定配合の配合
物における初期揺変度(x1)または強制試験後の揺変
度(x2)が1.5未満であると、揺変性が不十分で、
経時的に樹脂成分と充填剤とが分離しやすくなる。ま
た、初期揺変度(x1)/強制試験後の揺変度(x2)
の値が0.75未満であると、経時的に粘度が上昇し、
注型できなくなる恐れがあり、一方、1.25を超える
と、経時的にラジカル硬化性樹脂(A)と充填剤(B)
との分離が起こる恐れがある。このように、40℃で7
日間保持する強制試験を行い、初期揺変度(x1)/強
制試験後の揺変度(x2)の値をみることにより、実際
に樹脂組成物を2,3ヶ月保存した場合に使用可能かど
うかを判断することができるのである。なお、揺変性を
みるときの前記特定配合の配合物に用いるラジカル硬化
性樹脂(A)としては、具体的には、メタクリルシラッ
プ50重量部、メチルメタクリレ−ト48.5重量部、
トリメチロ−ルプロパントリメタクリレ−ト1.5重量
部からなるものを用いればよい。さらに詳しくは、この
うちメタクリルシラップは、後述する製造例10または
製造例11で合成されるものを用いればよい。また、揺
変性をみるときには、前記特定配合の配合物に、さらに
消泡剤0.2重量部と紫外線吸収剤0.1重量部とを配
合して測定しても差し支えない。なお、本発明におい
て、揺変度は、揺変度=25℃、6rpmでの粘度/2
5℃、60rpmでの粘度、として求めるものとする。
【0025】以上のように、前記ラジカル硬化性樹脂
(A)に対して相溶し、前記充填剤(B)の表面に吸着
可能な1種以上の官能基を有し、さらに、特定配合の配
合物における初期揺変度(x1)および強制試験後の揺
変度(x2)と、(x1)/(x2)の値とが一定の範
囲である、重合体(C)を含有することにより、本発明
の樹脂組成物は、経時的に安定した揺変性を有し、樹脂
成分と充填剤との分離を長期にわたり回避することがで
きる。これは、このような重合体(C)がラジカル硬化
性樹脂(A)に分散すると同時に、重合体(C)中の官
能基が分子間および/または分子内において静電引力に
よる弱い結合で結ばれ、充填剤(B)の表面に吸着しう
るからであると推測される。
【0026】本発明の好ましい形態においては、前記揺
変性付与重合体(C)が、カルボキシル基、水酸基、ア
ミン基のうちの少なくとも1つを有し、酸価、水酸基
価、アミン価のうち少なくとも1つが5〜230mgK
OH/gである重合体であることが好ましい。酸価、水
酸基価、もしくはアミン価が5mgKOH/g未満であ
ると、充分な揺変性を発揮できなくなり、一方、230
mgKOH/gを超えると、耐水性、耐熱性、耐候性等
の物性が低下する傾向がある。前記揺変性付与重合体
(C)は、例えば、充填剤(B)の表面に吸着可能な官
能基がカルボキシル基である場合であれば、前記熱硬化
性(メタ)アクリル系重合体を得る際の単量体成分とし
て前述したカルボキシル基含有単量体を含む単量体成分
を、水酸基である場合であれば、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレートへのε―カプロラクトン開環付加物やγ―
ブチロラクトン開環付加物等の水酸基含有単量体を含む
単量体成分を、アミン基である場合であれば、ジメチル
アミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)
アクリレート等のアミン基含有単量体を含む単量体成分
を、それぞれ重合させて、直接的に官能基を導入するこ
とにより得ることができる。また、例えば、充填剤
(B)の表面に吸着可能な官能基がアミン基である場
合、カルボキシル基含有重合体にジメチルアミノエチレ
ンオキサイドやエチレンアミン等を反応させて、間接的
に官能基を導入することにより得ることもできる。な
お、重合方法は特に制限されるものではなく、例えば、
塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の方
法を採用することができる。また、例えば、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリウレタン等を重合体(C)とす
る場合には、重縮合反応、重付加反応等を採用すること
もできる。なお、重合体(C)の配列状態は、特に限定
されず、ブロック形態、グラフト形態等のように多分岐
の鎖状を有していてもよい。
【0027】前記揺変性付与重合体(C)の具体例とし
ては、例えば、市販のポリマーで、ビックケミージャパ
ン社製「BYK−W935」、「BYK−W940」、
「BYK−W965」、「BYK−W972」、「BY
K−W990」、「BYK−W995」、「BYK−W
9010」等が挙げられる。なお、重合体(C)は、1
種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記揺変性付与重合体(C)の重量平均分子量は、30
00以上であることが好ましい。重合体(C)の重量平
均分子量が3000未満であると、充分な揺変性を付与
できない恐れがある。
【0028】前記揺変性付与重合体(C)の含有量は、
ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.0
05〜1.0重量部であることが重要である。好ましく
は、ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部に対して
0.01〜0.5重量部であるのがよい。重合体(C)
の含有量がラジカル硬化性樹脂(A)100重量部に対
して0.005重量部未満であると、充分な揺変性を付
与できず、ラジカル硬化性樹脂(A)と充填剤(B)と
の分離が起こることとなり、一方、1.0重量部を超え
ると、粘度が高くなり、注型が困難になると同時に、耐
候性、耐水性、耐熱性等の物性が低下することとなる。
【0029】本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、例
えば、可塑剤、カップリング剤、顔料(着色剤)、消泡
剤、補強剤、低収縮化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、
離型剤、難燃化剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、改質剤、
分散剤、核剤、中和剤等の従来公知の添加剤を含有して
いてもよい。これら添加剤を含有する場合、その含有量
は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すればよ
い。本発明の樹脂組成物の粘度は、25℃、60rpm
において8000mPa・S以下であることが好まし
く、より好ましくは5000mPa・S以下であるのが
よい。粘度が5000mPa・Sを超えると、注型成形
に適用することが困難となる。
【0030】
【実施例】以下、具体的に実施例と比較例を挙げて本発
明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定さ
れるものではない。なお、例中、特にことわりのない限
り、「%」は重量%を、「部」は重量部を表すものとす
る。 <重合体(C)の合成> (製造例1:カルボキシル基含有ポリマーの合成)温度
計、冷却管、ガス導入管、滴下ロ−トおよび攪拌機を備
えた反応器に、トルエン100部、メチルメタクリレ−
ト95部、メタクリル酸5部、n−ドデシルメルカプタ
ン0.3部を仕込み、反応容内を窒素ガスで置換した。
次に、攪拌しながら80℃に昇温し、同温度に維持しな
がら、アゾビスイソブチロニトリル0.5部、トルエン
25部を混合したものを約3時間かけて適下し、重合さ
せた。滴下終了後、アゾビスイソブチロニトリル0.5
部を加え、さらに3時間反応させた。次に、系内に空気
を吹き込むと同時にハイドロキノン0.05部を加え、
重合を終了させた。次いで、得られた重合生成物を減圧
加熱してトルエンをある程度除去した後、多量のメタノ
−ル中に少量ずつ滴下し、重合物を沈殿させた。沈殿し
た重合物をメタノ−ルで数回洗浄し、さらに60℃で1
20分減圧乾燥し、目的とする重合体(C1)を得た。
【0031】得られた重合体(C1)の、GPCを用い
て測定した分子量は、数平均分子量(Mn)4.5万、
重量平均分子量(Mw)9.2万であった。また、KO
H滴定により測定した酸価は32mgKOH/gであ
り、重合体1000g中に含まれるカルボキシル基は
0.58モルであった。 (製造例2:カルボキシル基含有ポリマーの合成)製造
例1において、メチルメタクリレ−トの量を90部に変
更し、メタクリル酸の量を10部に変更したこと以外
は、製造例1と同様にして、重合体(C2)を得た。
【0032】得られた重合体(C2)の、GPCを用い
て測定した分子量は、数平均分子量(Mn)5.0万、
重量平均分子量(Mw)10.1万であった。また、K
OH滴定により測定した酸価は65mgKOH/gであ
り、重合体1000g中に含まれるカルボキシル基は
1.20モルであった。 (製造例3:カルボキシル基含有ポリマーの合成)製造
例1において、メチルメタクリレ−トの量を85部に変
更し、メタクリル酸の量を15部に変更したこと以外
は、製造例1と同様にして、重合体(C3)を得た。
【0033】得られた重合体(C3)の、GPCを用い
て測定した分子量は、数平均分子量(Mn)5.5万、
重量平均分子量(Mw)10.8万であった。また、K
OH滴定により測定した酸価は95mgKOH/gであ
り、重合体1000g中に含まれるカルボキシル基は
1.70モルであった。 (製造例4:カルボキシル基含有ポリマーの合成)製造
例1において、メチルメタクリレ−トの量を70部に変
更し、メタクリル酸の量を30部に変更したこと以外
は、製造例1と同様にして、重合体(C4)を得た。
【0034】得られた重合体(C4)の、GPCを用い
て測定した分子量は、数平均分子量(Mn)5.9万、
重量平均分子量(Mw)11.9万であった。また、K
OH滴定により測定した酸価は187mgKOH/gで
あり、重合体1000g中に含まれるカルボキシル基は
3.30モルであった。 (製造例5:アミン基含有ポリマーの合成)製造例1に
おいて、メタクリル酸5部をジメチルアミノエチルメタ
クリレ−ト5部に変更したこと以外は、製造例1と同様
にして、重合体(C5)を得た。得られた重合体(C
5)の、GPCを用いて測定した分子量は、数平均分子
量(Mn)4.9万、重量平均分子量(Mw)10.9
万であった。また、元素分析により求めた重合体100
0g中に含まれるアミン基は0.32モルであり、アミ
ン価としては18mgKOH/gであった。
【0035】(製造例6:アミン基含有ポリマーの合
成)製造例5において、メチルメタクリレ−トの量を7
5部に変更し、ジメチルアミノエチルメタクリレ−トの
量を25部に変更したこと以外は、製造例5と同様にし
て、重合体(C6)を得た。得られた重合体(C6)
の、GPCを用いて測定した分子量は、数平均分子量
(Mn)4.2万、重量平均分子量(Mw)9.5万で
あった。また、元素分析により求めた重合体1000g
中に含まれるアミン基は1.80モルであり、アミン価
としては101mgKOH/gであった。
【0036】(製造例7:アミン基含有ポリマーの合
成)製造例5において、ジメチルアミノエチルメタクリ
レ−ト5部をN−(t−ブチル)アミノエチルメタクリ
レ−ト5部に変更したこと以外は、製造例5と同様にし
て、重合体(C7)を得た。得られた重合体(C7)
の、GPCを用いて測定した分子量は、数平均分子量
(Mn)4.0万、重量平均分子量(Mw)10.0万
であった。また、元素分析により求めた重合体1000
g中に含まれるアミン基は0.45モルであり、アミン
価としては25mgKOH/gであった。
【0037】(製造例8:水酸基含有ポリマーの合成)
製造例1において、メタクリル酸5部を2−ヒドロキシ
エチルメタクリレ−ト5部に変更したこと以外は、製造
例1と同様にして、重合体(C8)を得た。得られた重
合体(C8)の、GPCを用いて測定した分子量は、数
平均分子量(Mn)5.0万、重量平均分子量(Mw)
10.9万であった。また、滴定により測定した水酸基
価は22mgKOH/gであり、重合体1000g中に
含まれる水酸基は0.40モルであった。 (製造例9:水酸基含有ポリマーの合成)製造例8にお
いて、メチルメタクリレ−トの量を80部に変更し、2
−ヒドロキシエチルメタクリレ−トの量を20部に変更
したこと以外は、製造例8と同様にして、重合体(C
9)を得た。
【0038】得られた重合体(C9)の、GPCを用い
て測定した分子量は、数平均分子量(Mn)5.5万、
重量平均分子量(Mw)11.0万であった。また、滴
定により測定した水酸基価は90mgKOH/gであ
り、重合体1000g中に含まれる水酸基は1.60モ
ルであった。 (比較製造例1:カルボキシル基含有ポリマーの合成)
製造例1において、メチルメタクリレ−トの量を99.
5部に変更し、メタクリル酸の量を0.5部に変更した
こと以外は、製造例1と同様にして、比較用重合体
(C’1)を得た。
【0039】得られた重合体(C’1)の、GPCを用
いて測定した分子量は、数平均分子量(Mn)4.0
万、重量平均分子量(Mw)9.2万であった。また、
KOH滴定により測定した酸価は3.0mgKOH/g
であり、重合体1000g中に含まれるカルボキシル基
は0.06モルであった。 (比較製造例2:カルボキシル基含有ポリマーの合成)
製造例1において、メチルメタクリレ−トの量を50部
に変更し、メタクリル酸の量を50部に変更したこと以
外は、製造例1と同様にして、比較用重合体(C’2)
を得た。
【0040】得られた重合体(C’2)の、GPCを用
いて測定した分子量は、数平均分子量(Mn)5.0
万、重量平均分子量(Mw)10.1万であった。ま
た、KOH滴定により測定した酸価は301mgKOH
/gであり、重合体1000g中に含まれるカルボキシ
ル基は5.37モルであった。 (比較製造例3:水酸基含有ポリマーの合成)製造例8
において、メチルメタクリレ−トの量を99.5部に変
更し、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トの量を0.
5部に変更したこと以外は、製造例8と同様にして、比
較用重合体(C’3)を得た。
【0041】得られた重合体(C’3)の、GPCを用
いて測定した分子量は、数平均分子量(Mn)5.2
万、重量平均分子量(Mw)10.3万であった。ま
た、滴定により測定した水酸基価は2.0mgKOH/
gであり、重合体1000g中に含まれる水酸基は0.
04モルであった。 (比較製造例4:水酸基含有ポリマーの合成)製造例8
において、メチルメタクリレ−トの量を50部に変更
し、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トの量を50部
に変更したこと以外は、製造例8と同様にして、比較用
重合体(C’4)を得た。
【0042】得られた重合体(C’4)の、GPCを用
いて測定した分子量は、数平均分子量(Mn)5.2
万、重量平均分子量(Mw)12.5万であった。ま
た、滴定により測定した水酸基価は244mgKOH/
gであり、重合体1000g中に含まれる水酸基は4.
35モルであった。 <重合体(C)として用いた市販品>以下の市販の重合
体(全てビックケミージャパン社製)をそれぞれ重合体
(C10)〜(C16)として用いた。 重合体(C10):不飽和ポリカルボン酸ポリマー「B
YK−W935」(不揮発分51%、酸価180mgK
OH/g) 重合体(C11):不飽和ポリカルボン酸ポリマーとポ
リシロキサンコポリマー「BYK−W940」(不揮発
分50%、酸価150mgKOH/g) 重合体(C12):長鎖ポリアミンアミドと極性酸エス
テルとの塩「BYK−W965」(不揮発分51%、酸
価30mgKOH/g、アミン価14mgKOH/g) 重合体(C13):顔料に親和性のある高分子ブロック
コポリマー「BYK−W972」(不揮発分30%、ア
ミン価11mgKOH/g) 重合体(C14):酸性ポリエステルの部分塩「BYK
−W990」(不揮発分64%、酸価60mgKOH/
g、アミン価8mgKOH/g) 重合体(C15):酸基をもつコポリマー「BYK−W
995」(不揮発分53%、酸価53mgKOH/g) 重合体(C16):酸基をもつコポリマー「BYK−W
9010」(不揮発分100%、酸価129mgKOH
/g) <製造例10:メタクリルシラップ(1)の合成>温度
計、冷却管、ガス導入管および攪拌機を備えた反応器
に、メタクリル酸メチル100部を仕込み、反応器内を
窒素ガスで置換した。次に、攪拌しながら80℃に昇温
し、n−ドデシルメルカプタン0.05部、アゾビスイ
ソブチロニトリル0.002部を添加して4時間重合さ
せた。次に、系内に空気を吹き込むと同時にハイドロキ
ノン0.01部を加え、重合を終了させて、メタクリル
シラップ(1)を得た。
【0043】得られたメタクリルシラップ(1)の樹脂
固形分は15.0%であり、25℃での粘度は3100
mPa・Sであった。また、GPCを用いて測定した分
子量は、数平均分子量(Mn)20.5万、重量平均分
子量(Mw)41.0万であった。 <製造例11:メタクリルシラップ(2)の合成>温度
計、冷却管、ガス導入管および攪拌機を備えた反応器
に、メタクリル酸メチル96.5部、メタクリル酸3.
5部を仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。次に、
攪拌しながら80℃に昇温し、n−ドデシルメルカプタ
ン0.6部、アゾビスイソブチロニトリル0.08部を
添加して4時間重合させた。次に、系内に空気を吹き込
むと同時にハイドロキノン0.03部を加え、重合を終
了させた。次いで、グリシジルメタクリレート3.2
部、オクチル酸亜鉛0.2部を添加した後、90℃に昇
温し、空気雰囲気下で5時間反応させ、酸価が7mgK
OH/gになった時点で反応を停止させて、メタクリル
シラップ(2)を得た。
【0044】得られたメタクリルシラップ(2)の樹脂
固形分は35.0%であり、25℃での粘度は3200
mPa・Sであった。また、GPCを用いて測定した分
子量は、数平均分子量(Mn)3.5万、重量平均分子
量(Mw)6.8万であった。また、グリシジル基とカ
ルボキシル基との反応による酸価の低下分から求めた二
重結合当量は5700であった。 [実施例1〜31]メタクリルシラップ(1)50部、
メチルメタクリレ−ト48.5部、トリメチロ−ルプロ
パントリメタクリレ−ト1.5部からなるラジカル硬化
性樹脂(A)(25℃における粘度:40mPa・S)
100部に対して、充填剤(B)としての結晶性シリカ
(ヘップワ−ス・ムネラルズ・アンド・ケミカルズ・リ
ミテッド社製「クリストバライトXPF6SM」)15
0部、消泡剤(ビックケミ−ジャパン社製「A−51
5」)0.2部、紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ
・ケミカルズ社製「チヌビン234」)0.1部を添加
し、さらに重合体(C)として上記重合体(C1)〜
(C16)のいずれかを表1〜表3に示す種類、添加量
で添加し、スリ−ワンモ−タ−(新東科学社製)にて1
時間混練して、本発明の注型成形用樹脂組成物を得た。
【0045】得られた樹脂組成物について、直ちに60
rpmおよび6rpmでの初期粘度を測定し、引き続き
40℃で7日間保持する強制試験にかけた。試験後、1
時間攪拌し、直ちに60rpmおよび6rpmでの試験
後粘度を測定するとともに、目視により樹脂成分と結晶
性シリカの分離状態を観察した。なお、粘度は、粘度計
(東機産業社製「RB80L」)を用いて測定した。そ
して、初期および試験後の粘度からそれぞれ、初期揺変
度(x1)、試験後の揺変度(x2)を計算し(揺変度
=6rpmでの粘度/60rpmでの粘度)、(x1)
/(x2)を求めた。また、樹脂成分と結晶性シリカの
分離状態は、以下のように評価した。結果を表1〜表3
に示す。
【0046】分離状態;○:分離層が認められない、
×:分離層が認められる [実施例32〜39]メタクリルシラップ(2)50
部、メチルメタクリレ−ト48.5部、トリメチロ−ル
プロパントリメタクリレ−ト1.5部からなるラジカル
硬化性樹脂(A)(25℃における粘度:50mPa・
S)100部に対して、充填剤(B)としての結晶性シ
リカ(ヘップワ−ス・ムネラルズ・アンド・ケミカルズ
・リミテッド社製「クリストバライトXPF6SM」)
150部、消泡剤(ビックケミ−ジャパン社製「A−5
15」)0.2部、紫外線吸収剤(チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ社製「チヌビン234」)0.1部を添
加し、さらに重合体(C)として上記重合体(C1)〜
(C16)のいずれかを表4に示す種類、添加量で添加
し、スリ−ワンモ−タ−(新東科学社製)にて1時間混
練して、本発明の注型成形用樹脂組成物を得た。
【0047】得られた樹脂組成物について、実施例1〜
31と同様の評価を行なった。結果を表4に示す。 [比較例1〜9]重合体(C)に変えて、比較用重合体
(C’1)〜(C’4)を表5に示す種類、量で用いた
こと以外、実施例1と同様にして、比較注型成形用樹脂
組成物を得た。得られた樹脂組成物について、実施例と
同様の評価を行った。結果を表5に示す。
【0048】[比較例10]重合体(C)を添加しない
こと以外、実施例1と同様にして、比較注型成形用樹脂
組成物を得た。得られた樹脂組成物について、実施例と
同様の評価を行った。結果を表6に示す。 [比較例11および12]重合体(C4)の量を0.0
03部または1.5部としたこと以外、実施例9と同様
にして、比較注型成形用樹脂組成物を得た。
【0049】得られた樹脂組成物について、実施例と同
様の評価を行った。結果を表6に示す。 [比較例13〜15]重合体(C)に変えて、無機系揺
変性付与剤としてシリカ微粒子(日本アエロジル社製
「アエロジル200」)を表6に示す量で用いたこと以
外、実施例1と同様にして、比較注型成形用樹脂組成物
を得た。得られた樹脂組成物は、攪拌した後もシリカ微
粒子の集塊粒子が目視で確認できるもので、シリカ微粒
子の分散状態は不良であった。
【0050】得られた樹脂組成物について、実施例と同
様の評価を行った。結果を表6に示す。 [比較例16]メタクリルシラップ(1)50部、メチ
ルメタクリレ−ト48.5部、トリメチロ−ルプロパン
トリメタクリレ−ト1.5部からなるラジカル硬化性樹
脂(A)(25℃における粘度:40mPa・S)10
0部に対して、シリカ微粒子(日本アエロジル社製「ア
エロジル200」)0.05部を添加し、ホモジナイザ
ー(ハイドフル社製、型式DIAX―9000)を用い
て15000rpmで5分間攪拌した。攪拌後、シリカ
微粒子の集塊粒子は認められず、シリカ微粒子の分散状
態は良好であった。その後、充填剤(B)としての結晶
性シリカ(ヘップワ−ス・ムネラルズ・アンド・ケミカ
ルズ・リミテッド社製「クリストバライトXPF6S
M」)150部、消泡剤(ビックケミ−ジャパン社製
「A−515」)0.2部、紫外線吸収剤(チバ・スペ
シャルティ・ケミカルズ社製「チヌビン234」)0.
1部を添加し、スリ−ワンモ−タ−(新東科学社製)に
て1時間混練して、比較注型成形用樹脂組成物を得た。
【0051】得られた樹脂組成物について、実施例と同
様の評価を行った。結果を表6に示す。 [参考例]各実施例および比較例で得られた樹脂組成物
を用いて、注型成形による成形品を製造し、得られた各
成形品の耐水性、耐候性および耐熱性を評価した。結果
は表1〜表6に示す。まず、樹脂組成物100部に、硬
化剤(化薬アクゾ社製「パ−カドックス16」)0.4
部、硬化剤(化薬アクゾ社製「ラウロックス」)0.2
部を添加し、真空脱泡したものを注型用コンパウンドと
した。次に、10mm厚のガラスセルに該コンパウンド
を注入し、70℃の温水中で1時間硬化させた。さら
に、90℃で1時間、引き続き110℃で2時間、オ−
ブン中でアフタ−キュアして、成形品を得た。
【0052】得られた各成形品について、以下のように
して耐水性、耐候性、および耐熱性を評価した。 耐水性;得られた成形品を80℃の温水中に500時間
浸漬させ、浸漬前後の色差(△E)を測定した。色差
(△E)の値が小さいほど耐水性に優れる。 耐候性;得られた成形品について、JIS−A1415
に準じサンシャインウエザーメーターによる500時間
の促進試験を行い、促進試験前後の色差(△E)を測定
した。色差(△E)の値が小さいほど耐候性に優れる。 耐熱性;得られた成形品を150℃のオーブン中で2時
間加熱保持し、加熱前後の色差(△E)を測定した。色
差(△E)の値が小さいほど耐熱性に優れる。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【発明の効果】本発明の注型成形用樹脂組成物は、経時
的に安定な揺変性を有し、特殊な装置を要することな
く、長期にわたり樹脂成分と充填剤との分離を回避する
ことができ、しかも耐水性、耐熱性、耐候性等の諸物性
についても充分な性能を発揮する、注型成形用樹脂組成
物を提供する。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BG021 BG071 BG072 CD201 CF001 CF211 CK021 DE147 DE237 DG047 DJ007 DJ017 DJ057 DL007 EA046 EC036 EH076 EP016 EU026 GL02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラジカル硬化性樹脂(A)と充填剤(B)
    とを含んでなる注型成形用樹脂組成物において、 前記ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部に対して
    0.005〜1.0重量部の揺変性付与重合体(C)を
    さらに含有し、 前記揺変性付与重合体(C)は、前記ラジカル硬化性樹
    脂(A)に対して相溶し、 かつ、前記充填剤(B)の表面に吸着可能な1種以上の
    官能基を有し、 かつ、ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部と結晶性
    シリカ150重量部とにこれを0.005〜1.0重量
    部配合してなる配合物の揺変性をみたときに、初期揺変
    度(x1)および40℃で7日間保持する強制試験にお
    いて試験後の揺変度(x2)がともに1.5以上であ
    り、かつ、(x1)/(x2)=0.75〜1.25を
    満足するものである、ことを特徴とする注型成形用樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】前記揺変性付与重合体(C)が、カルボキ
    シル基、水酸基、アミン基のうちの少なくとも1つを有
    し、酸価、水酸基価、アミン価のうち少なくとも1つが
    5〜230mgKOH/gである、請求項1に記載の注
    型成形用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記ラジカル硬化性樹脂(A)が(メタ)
    アクリルシラップを含む、請求項1または2に記載の注
    型成形用樹脂組成物。
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