JP2003101140A - 面発光型半導体レーザ素子およびその製造方法および面発光型半導体レーザアレイおよび光送信モジュールおよび光送受信モジュールおよび光通信システム - Google Patents

面発光型半導体レーザ素子およびその製造方法および面発光型半導体レーザアレイおよび光送信モジュールおよび光送受信モジュールおよび光通信システム

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JP2003101140A JP2001284632A JP2001284632A JP2003101140A JP 2003101140 A JP2003101140 A JP 2003101140A JP 2001284632 A JP2001284632 A JP 2001284632A JP 2001284632 A JP2001284632 A JP 2001284632A JP 2003101140 A JP2003101140 A JP 2003101140A
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盛聖 上西
Akihiro Ito
彰浩 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 総厚を増加させることなく、作製が容易で、
信頼性に優れた面発光型半導体レーザ素子を提供する。 【解決手段】 半導体基板1上に、レーザ光を発生する
少なくとも1層の活性層2を含む活性領域3と、レーザ
光を得るために活性層2の上部および下部に設けられた
上部反射鏡4および下部反射鏡5を含む共振器構造を有
しており、下部反射鏡5は、屈折率が周期的に変化し入
射光を光波干渉によって反射する半導体分布ブラッグ反
射鏡を含み、半導体分布ブラッグ反射鏡の屈折率が小さ
い層はAl xGa1-xAs(0<x≦1)からなり、半導
体分布ブラッグ反射鏡の屈折率が大きい層はAlyGa
1-yAs(0≦y<x≦1)からなり、また、活性層2
と下部反射鏡5との間には非発光再結合防止層6が設け
られている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、面発光型半導体レ
ーザ素子およびその製造方法および面発光型半導体レー
ザアレイおよび光送信モジュールおよび光送受信モジュ
ールおよび光通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】面発光型半導体レーザは、基板に対して
垂直方向に光を出射する半導体レーザであり、光インタ
ーコネクションの光源、光ピックアップ用の光源等に用
いられている。
【0003】そして、面発光型半導体レーザは、レーザ
光を発生する活性層を含んだ活性領域を反射鏡で挟んだ
構造となっている。その反射鏡としては、低屈折率層と
高屈折率層を交互に積層した半導体分布ブラッグ反射鏡
が広く用いられている。半導体分布ブラッグ反射鏡の材
料としては、活性層から発生する光を吸収しない材料
(一般に活性層よりワイドバンドギャップの材料)であ
って、格子緩和を発生させないために基板に格子整合す
る材料が用いられる。
【0004】ところで、反射鏡の反射率は99%以上と
極めて高くする必要がある。反射率は積層数を増やすこ
とによって高くなる。しかし、積層数が増加すると、面
発光型半導体レーザの作製が困難になってしまう。この
ため、低屈折率層と高屈折率層の屈折率差が大きい方が
好ましい。AlGaAs系材料は、AlAsとGaAs
が終端物質であり、格子定数は基板であるGaAsとほ
ぼ同程度であり、屈折率差が大きく、少ない積層数で高
反射率を得ることができるので良く用いられている。
【0005】しかし、Alを含んだ材料は、化学的に非
常に活性であり、Alに起因する結晶欠陥を作りやす
い。例えば、原料中や成長雰囲気中の酸素や水分と反応
してこれらを結晶中に取り込み、結晶欠陥となって非発
光再結合が導入され発光効率を低下させたり、この結晶
欠陥が原因となって素子の信頼性を損なう恐れがある。
【0006】活性領域のみをAlを含まない層で構成し
ても、活性領域に接する反射鏡の低屈折率層(ワイドギ
ャップ層)にAlを含んだ構造としたのでは、キャリア
が注入され再結合する時、この界面で非発光再結合が生
じ発光効率は低下する。この影響を避けるために、装置
管理,原料純度管理,成長条件の最適化などを厳密に行
う必要があり、高品質の素子を作製するのは容易ではな
かった。
【0007】このため、特開平08−340146号や
特開平07−307525号には、Alを含まないGa
InPとGaAsとから半導体分布ブラッグ反射鏡を構
成する提案がなされている。しかしながら、GaInP
とGaAsとの屈折率差は、AlAsとGaAsとの屈
折率差に比べて約半分であり、反射鏡の積層数が非常に
増加してしまい、作製が困難になって、歩留まりが低下
し、素子抵抗が増加し、作製に時間がかかり、面発光レ
ーザの総厚が厚くなり、電気配線が困難になる等の問題
があった。
【0008】また、低しきい値化のためには電流狭さく
構造が用いられている。特開平7−240506号に
は、AlAs/GaAsからなる半導体分布ブラッグ反
射鏡による共振器と、イオン注入により高抵抗層を形成
した電流狭さく構造とを用いた構造が示されている。ま
た、特許第2917971号には、AlGaAs/Ga
Asからなる半導体分布ブラッグ反射鏡による共振器
と、Al(Ga)Asの一部を選択的に酸化した酸化膜
を用いた電流狭さく構造を用いた面発光レーザが示され
ている。ここで、酸化には、高温での水蒸気供給による
酸化が用いられている。高温での水蒸気供給による酸化
は、Alxyのような完全な絶縁体になること、また、
活性層と狭さく層との距離を結晶成長で厳密に制御でき
ること、電流通路を極めて狭くできることから、無効電
流の低減,活性領域の低減に向き、低消費電力化に適し
ており、最近良く用いられている。
【0009】特許第2917971号では、AlGaA
sのAl組成が大きくなるに従って酸化速度が激増して
いくことを利用しており、酸化したい層のAl組成を他
より大きくすることで、酸化したい層のみ酸化するよう
にしている。これにより、選択酸化による電流狭さく構
造を得ることができる。このため、半導体分布ブラッグ
反射鏡の低屈折率層のAlGaAs層のAl組成は、A
l(Ga)As酸化層のAl組成よりも小さくしている
(つまり、Ga組成を大きくしている)。特許第291
7971号では、被選択酸化層にAlyGa1-yAs(y
=0.97)を用い、半導体分布ブラッグ反射鏡の低屈
折率層にはAlxGa1-xAs(x=0.92)が用いら
れている。
【0010】選択酸化による電流狭さく技術は、AlA
s層の側面から酸化させる方法が用いられており、この
ために少なくとも被選択酸化層であるAlAs層の側面
が現れるまでメサエッチングして除去する必要がある。
しかしながら、エッチング速度にばらつきがあるため、
メサの高さの分布やロット間のばらつきが発生し、素子
特性のばらつきが発生する恐れがある。
【0011】また、現在の光ファイバー通信には、石英
系光ファイバーでの損失が小さい1.3μm,1.55
μm帯の長波長帯の半導体レーザが用いられている。今
後は各端末へも光ファイバー化(Fiber To The Home (F
TTH)等)が進み、更には各機器間,機器内においても光
による情報伝送が導入され光による情報伝送技術がます
ます重要になる。これらを実現するためには、光通信モ
ジュールの「桁違い」の低価格化が最重要課題の一つで
あり、消費電力が小さく、かつ冷却システムを必要とし
ない良好な温度特性の長波長帯半導体レーザが強く求め
られている。
【0012】この波長に対応するバンドギャップを有す
るIII−V族半導体であるInP基板上のGaInPA
s系材料が市場を独占している。しかし、InP系材料
は、クラッド層(スペーサ層)と発光層との間の伝導帯
バンド不連続が小さく、発光層への注入電子の閉じ込め
が温度上昇とともに悪い。更にInP基板に格子整合す
る材料では、屈折率差が大きくて半導体分布ブラッグ反
射鏡に適した材料がない。結果として実用に耐え得る良
好な性能の長波長面発光レーザは得られていない。
【0013】これを解決できる材料として、特開平6−
37355号では、GaAs基板上のGaInNAs系
材料が提案されている。GaInNAsは、Nと他のV
族元素を含んだIII−V族混晶半導体である。GaAs
より格子定数が大きいGaInAsにNを添加すること
で格子定数をGaAsに格子整合させることが可能であ
り、更にバンドギャップエネルギーが小さくなり、1.
3μm,1.5μm帯での発光が可能な材料である。文
献「Jpn.J.Appl.Phys.Vol.35
(1996)pp.1273−1275」では、近藤ら
によりバンドラインナップが計算されている。GaAs
格子整合系なのでAlGaAs等をクラッド層に用いる
ことで伝導帯のバンド不連続が大きくなる。このため高
特性温度半導体レーザが実現できると予想されている。
また、GaAs基板に形成できることから、半導体多層
膜反射鏡としてAl(Ga)As/GaAs系材料を用
いることができ、InP基板上に形成する場合に比べて
積層数を非常に低減できる。更にAlAs選択酸化層を
電流狭さく構造に用いることができるので低動作電流化
にも適している。
【0014】しかしながら、特開平10−303515
号,特開平11−145560号のように、Al(G
a)As/GaAs系材料を半導体多層膜反射鏡として
用いたり、AlAs選択酸化層を電流狭さく構造に用い
る場合は、上記と同様の問題が生じる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、総厚を増加
させることなく、作製が容易で、信頼性に優れた面発光
型半導体レーザ素子およびその製造方法および面発光型
半導体レーザアレイおよび光送信モジュールおよび光送
受信モジュールおよび光通信システムを提供することを
目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、半導体基板上に、レーザ光
を発生する少なくとも1層の活性層を含む活性領域と、
レーザ光を得るために活性層の上部および下部に設けら
れた上部反射鏡および下部反射鏡を含む共振器構造を有
する面発光型半導体レーザ素子において、前記下部反射
鏡は、屈折率が周期的に変化し入射光を光波干渉によっ
て反射する半導体分布ブラッグ反射鏡を含み、該半導体
分布ブラッグ反射鏡の屈折率が小さい層はAlxGa1-x
As(0<x≦1)からなり、半導体分布ブラッグ反射
鏡の屈折率が大きい層はAlyGa1-yAs(0≦y<x
≦1)からなり、また、前記活性層と前記下部反射鏡と
の間には、非発光再結合防止層が設けられていることを
特徴としている。
【0017】また、請求項2記載の発明は、半導体基板
上に、レーザ光を発生する少なくとも1層の活性層を含
む活性領域と、レーザ光を得るために活性層の上部およ
び下部に設けられた上部反射鏡および下部反射鏡を含む
共振器構造を有する面発光型半導体レーザ素子におい
て、前記上部反射鏡および下部反射鏡は、それぞれ、屈
折率が周期的に変化し入射光を光波干渉によって反射す
る半導体分布ブラッグ反射鏡を含み、半導体分布ブラッ
グ反射鏡の屈折率が小さい層はAlxGa1-xAs(0<
x≦1)からなり、半導体分布ブラッグ反射鏡の屈折率
が大きい層はAl yGa1-yAs(0≦y<x≦1)から
なり、また、前記活性層と前記上部反射鏡との間、およ
び、前記活性層と前記下部反射鏡との間には、それぞ
れ、非発光再結合防止層が設けられていることを特徴と
している。
【0018】また、請求項3記載の発明は、請求項1ま
たは請求項2記載の面発光型半導体レーザ素子におい
て、前記半導体基板はGaAsであり、前記非発光再結
合防止層はGaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<
y≦1)層であることを特徴としている。
【0019】また、請求項4記載の発明は、請求項3記
載の面発光型半導体レーザ素子において、前記Gax
1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層は、格
子定数がGaAsからなる半導体基板の格子定数よりも
小さく、引張り歪を有していることを特徴としている。
【0020】また、請求項5記載の発明は、請求項3記
載の面発光型半導体レーザ素子において、前記Gax
1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層は、格
子定数がGaAsからなる半導体基板の格子定数よりも
大きく、圧縮歪を有しており、また、前記活性層は、格
子定数が前記GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0
<y≦1)層の格子定数よりも大きく、圧縮歪を有して
いることを特徴としている。
【0021】また、請求項6記載の発明は、請求項3乃
至請求項5のいずれか一項に記載の面発光型半導体レー
ザ素子において、前記GaxIn1-xyAs1-y(0<x
≦1,0<y≦1)層よりも上部には、Al,Asを主
成分とした被選択酸化層を選択的に酸化してなる電流狭
さく層が設けられていることを特徴としている。
【0022】また、請求項7記載の発明は、請求項1乃
至請求項6のいずれか一項に記載の面発光型半導体レー
ザ素子において、前記活性層は、GaInNAs,Ga
InAsのいずれかの材料で形成されていることを特徴
としている。
【0023】また、請求項8記載の発明は、請求項1乃
至請求項7のいずれか一項に記載の面発光型半導体レー
ザ素子において、前記活性層は、歪量が2.0%以上の
圧縮歪を有していることを特徴としている。
【0024】また、請求項9記載の発明は、請求項6記
載の面発光型半導体レーザ素子が複数個配列されて構成
されていることを特徴としている。
【0025】また、請求項10記載の発明は、請求項1
乃至請求項8のいずれか一項に記載の面発光型半導体レ
ーザ素子、または、請求項9記載の面発光型半導体レー
ザアレイが光源として用いられていることを特徴として
いる。
【0026】また、請求項11記載の発明は、請求項1
乃至請求項8のいずれか一項に記載の面発光型半導体レ
ーザ素子、または、請求項9記載の面発光型半導体レー
ザアレイが光源として用いられていることを特徴として
いる。
【0027】また、請求項12記載の発明は、請求項1
乃至請求項8のいずれか一項に記載の面発光型半導体レ
ーザ素子、または、請求項9記載の面発光型半導体レー
ザアレイが光源として用いられていることを特徴として
いる。
【0028】また、請求項13記載の発明は、請求項1
乃至請求項6のいずれか一項に記載の面発光型半導体レ
ーザ素子の製造方法において、前記活性層は、窒素を含
んだ半導体層で形成されており、Alを含んだ半導体層
の成長後、窒素を含む活性層の成長開始までの間に、窒
素化合物原料または窒素化合物原料中に含まれる不純物
が触れる場所となるガス供給ライン中もしくは成長室内
に残留したAl原料、または、Al反応物、または、A
l化合物、または、Alを除去する工程を設けることを
特徴としている。
【0029】また、請求項14記載の発明は、請求項1
3記載の面発光型半導体レーザ素子の製造方法におい
て、Alを含んだ半導体層の成長後、非発光再結合防止
層の成長終了後までの間に、窒素化合物原料または窒素
化合物原料中に含まれる不純物が触れる場所となるガス
供給ライン中もしくは成長室内に残留したAl原料、ま
たは、Al反応物、または、Al化合物、または、Al
をキャリアガスでパージする工程を設けることを特徴と
している。
【0030】また、請求項15記載の発明は、請求項1
3または請求項14記載の面発光型半導体レーザ素子の
製造方法において、少なくとも有機金属Al原料と窒素
化合物原料を用いたMOCVD法で面発光型半導体レー
ザ素子を結晶成長することを特徴としている。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0032】第1の実施形態 図1(a),(b)は本発明の第1の実施形態の面発光
型半導体レーザ素子の構成例を示す図である。なお、図
1(b)は図1(a)の活性領域の拡大図である。図1
(a),(b)を参照すると、本発明の第1の実施形態
の面発光型半導体レーザ素子は、半導体基板1上に、レ
ーザ光を発生する少なくとも1層の活性層2を含む活性
領域3と、レーザ光を得るために活性層2の上部および
下部に設けられた上部反射鏡4および下部反射鏡5を含
む共振器構造を有しており、下部反射鏡5は、屈折率が
周期的に変化し入射光を光波干渉によって反射する半導
体分布ブラッグ反射鏡を含み、半導体分布ブラッグ反射
鏡の屈折率が小さい層はAlxGa1-xAs(0<x≦
1)からなり、半導体分布ブラッグ反射鏡の屈折率が大
きい層はAlyGa1-yAs(0≦y<x≦1)からな
り、また、活性層2と下部反射鏡5との間には非発光再
結合防止層6が設けられていることを特徴としている。
【0033】第1の実施形態では、上部反射鏡4,下部
反射鏡5に挟まれた、キャリアが注入される活性領域3
(活性層2を含む)において、下部反射鏡5がAlを含
んだ半導体層を含む半導体分布ブラッグ反射鏡からなっ
ていても、活性層2と下部反射鏡5との間に非発光再結
合防止層6を設けることにより、結晶成長時に生じるA
lに起因する結晶欠陥の活性層2への這い上がりによる
悪影響が抑えられ、活性層2を高品質に結晶成長させる
ことができ、Alに起因する結晶欠陥が原因となる非発
光再結合が低減し、面発光レーザとして確実に動作させ
ることができる。さらに、発光効率や信頼性を向上させ
ることができる。また、下部反射鏡5は、半導体分布ブ
ラッグ反射鏡の低屈折率層のすべてをGaxIn1-xy
As1-y(0<x≦1,0<y≦1)層に変えた場合に
比べ、主に屈折率差が大きく少ない積層数で高反射率が
得られるAlGaAs系からなる反射鏡であるので、反
射鏡の積層数や素子全体の膜厚を大きく増加させること
なく、上記効果を得ることができる。
【0034】なお、上部反射鏡4は、誘電体多層膜反射
鏡で構成されても良く、この場合、上部反射鏡4と活性
層6との間に、キャリアを閉じ込めるためのクラッド層
を構成すれば良い。また、図1(a)では、上部反射鏡
4から光出力を取り出すようにしているが、基板1側か
ら光出力を取り出しても良い。
【0035】第2の実施形態 図2(a),(b)は本発明の第2の実施形態の面発光
型半導体レーザ素子の構成例を示す図である。なお、図
2(b)は図2(a)の活性領域の拡大図である。図2
(a),(b)を参照すると、本発明の第2の実施形態
の面発光型半導体レーザ素子は、半導体基板11上に、
レーザ光を発生する少なくとも1層の活性層12を含む
活性領域13と、レーザ光を得るために活性層12の上
部および下部に設けられた上部反射鏡14および下部反
射鏡15を含む共振器構造を有しており、上部反射鏡1
4および下部反射鏡15は、それぞれ、屈折率が周期的
に変化し入射光を光波干渉によって反射する半導体分布
ブラッグ反射鏡を含み、半導体分布ブラッグ反射鏡の屈
折率が小さい層はAlxGa1-xAs(0<x≦1)から
なり、半導体分布ブラッグ反射鏡の屈折率が大きい層は
AlyGa1-yAs(0≦y<x≦1)からなり、活性層
12と上部反射鏡14との間、および、活性層12と下
部反射鏡15との間には、それぞれ、非発光再結合防止
層16,17が設けられていることを特徴としている。
【0036】この第2の実施形態では、上下の半導体分
布ブラッグ反射鏡に挟まれた、キャリアが注入される活
性領域において、上下反射鏡14,15がAlを含んだ
半導体層を含む半導体分布ブラッグ反射鏡からなってい
ても、活性層12と反射鏡14,15との間に非発光再
結合防止層16,17を設けることにより、結晶成長時
に生じるAlに起因する結晶欠陥の活性層への這い上が
りによる悪影響が抑えられ、Alに起因する結晶欠陥の
導入が低減し、活性層12を高品質に結晶成長させるこ
とができる。さらに、キャリアが注入される活性領域1
3の上下ともに非発光再結合防止層16,17で挟まれ
ているので、Alに起因する結晶欠陥が原因となる非発
光再結合が低減し、容易に発光効率を高くでき、面発光
レーザとして確実に動作させることができる。同様に、
この結晶欠陥が原因となって素子の信頼性を損なうこと
がなくなる。第1の実施形態のように一方の反射鏡の片
側だけに非発光再結合防止層を入れてもこれらの効果は
あるが、第2の実施形態のように両方の反射鏡の側に非
発光再結合防止層を設けると、その効果は大きい。ま
た、上下反射鏡14,15は、半導体分布ブラッグ反射
鏡の低屈折率層のすべてをGaxIn1-xyAs1-y(0
<x≦1,0<y≦1)層に変えた場合に比べ、主に屈
折率差が大きく少ない積層数で高反射率が得られるAl
GaAs系からなる反射鏡なので、反射鏡の積層数や素
子全体の膜厚を大きく増加させることなく、上記効果を
得ることができる。
【0037】なお、図2(a)では、上部反射鏡14か
ら光出力を取り出すようにしているが、基板11側から
光出力を取り出しても良い。
【0038】第3の実施形態 本発明の第3の実施形態は、上記第1または第2の実施
形態の面発光型半導体レーザ素子において、半導体基板
1,11がGaAsであり、非発光再結合防止層6,1
6,17が、GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0
<y≦1)層であることを特徴としている。
【0039】GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0
<y≦1)層はAlを含まない構成(III族における組
成が1%以下)となっており、さらにバンドギャップは
GaAsより大きくできるので、非発光再結合防止層
6,16,17としてGaxIn1-xyAs1-y(0<x
≦1,0<y≦1)層を用いるときには、活性層材料の
バンドギャップが例えばGaAsより小さい材料を用い
た場合にGaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y
≦1)層を超えてAlを含む層に漏れるキャリアをほぼ
なくすことができ、非発光再結合を確実に防止できる。
【0040】第4の実施形態 また、本発明の第4の実施形態は、第3の実施形態の面
発光型半導体レーザ素子において、非発光再結合防止層
であるGaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦
1)層の格子定数がGaAsからなる半導体基板の格子
定数よりも小さく、引張り歪を有していることを特徴と
している。
【0041】エピタキシャル成長では下地の情報を反映
して成長するので、基板表面に欠陥があると成長層へ這
い上がっていく。しかし、歪層があると、そのような欠
陥の這い上がりが抑えられる効果があることが知られて
いる。上記欠陥が活性層に達すると発光効率を低減させ
てしまう。また、歪を有する活性層では、臨界膜厚が低
減し、必要な厚さの層を成長できないなどの問題が生じ
る。特に、活性層の圧縮歪量が例えば2%以上と大きい
場合や、歪層の厚さを臨界膜厚より厚く成長する場合、
低温成長などの非平衡成長を行っても欠陥の存在で成長
できないなど、特に問題となる。本発明では、非発光再
結合防止層であるGaxIn1-xyAs1 -y(0<x≦
1,0<y≦1)層の格子定数がGaAsからなる半導
体基板の格子定数よりも小さく、引張り歪を有している
ことにより、非発光再結合防止層であるGaxIn1-x
yAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層が歪層となり、
上記のような欠陥の這い上がりが抑えられるので、発光
効率を改善したり、活性層の圧縮歪量が例えば2%以上
の層を成長できたり、歪層の厚さを臨界膜厚より厚く成
長することが可能となる。
【0042】さらに、非発光再結合防止層であるGax
In1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層は、
活性領域に接しており、活性領域にキャリアを閉じ込め
る役割も持っているが、GaxIn1-xyAs1-s(0<
x≦1,0<y≦1)層は格子定数が小さくなるほどバ
ンドギャップエネルギーを大きく取れる。例えばGax
In1-xP(y=1)の場合、xが大きくなりGaPに
近づくと格子定数が大きくなり、バンドギャップは大き
くなる。バンドギャップEgは、直接遷移でEg(Γ)
=1.351+0.643x+0.786x2、間接遷移でEg(X)=
2.24+0.02xと与えられている。よって活性領域とGa
xIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層のヘ
テロ障壁は大きくなるので、キャリア閉じ込めが良好と
なり、しきい値電流低減、温度特性改善などの効果があ
る。
【0043】第5の実施形態 本発明の第5の実施形態は、第3の実施形態の面発光型
半導体レーザ素子において、非発光再結合防止層である
GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層
の格子定数がGaAsからなる半導体基板よりも大き
く、圧縮歪を有しており、また、活性層の格子定数が前
記GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)
層の格子定数よりも大きく、圧縮歪を有していることを
特徴としている。
【0044】前述のように、エピタキシャル成長では下
地の情報を反映して成長するので、基板表面に欠陥があ
ると成長層へ這い上がっていく。しかし、歪層がある
と、そのような欠陥の這い上がりが抑えられる効果があ
ることが知られている。上記欠陥が活性層に達すると発
光効率を低減させてしまう。また、歪を有する活性層で
は、臨界膜厚が低減し、必要な厚さの層を成長できない
などの問題が生じる。特に、活性層の圧縮歪量が例えば
2%以上と大きい場合や、歪層の厚さ臨界膜厚より厚く
成長する場合、低温成長などの非平衡成長を行っても欠
陥の存在で成長できないなど、特に問題となる。本発明
では、非発光再結合防止層であるGaxIn1-xyAs
1-y(0<x≦1,0<y≦1)層の格子定数がGaA
sからなる半導体基板よりも大きく、圧縮歪を有してい
ることにより、非発光再結合防止層であるGaxIn1-x
yAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層が歪層とな
り、上記のような欠陥の這い上がりが抑えられるので、
発光効率を改善したり、活性層の圧縮歪量が例えば2%
以上の層を成長できたり、歪層の厚さを臨界膜厚より厚
く成長することが可能となる。
【0045】さらにGaxIn1-xyAs1-y(0<x≦
1,0<y≦1)層の歪の方向は、活性層と同じ方向な
ので、活性層が感じる実質的な圧縮歪量を低減させる方
向に働く。歪が大きいほど外的要因の影響を受けやすい
ので、活性層の圧縮歪量が例えば2%以上と大きい場合
や、臨界膜厚を超えた場合に特に有効である。
【0046】例えば1.3μm帯面発光レーザはGaA
s基板上に形成されるのが好ましく、共振器には半導体
多層膜反射鏡を用いる場合が多く、トータル厚さが5〜
8μmで50〜80層の半導体層を活性層の成長前に成
長する必要がある。この場合、高品質のGaAs基板を
用いてもさまざまな原因(一度発生した欠陥は基本的に
は結晶成長方向に這い上がるし、ヘテロ界面での欠陥発
生などがある)で、GaAs基板表面の欠陥密度に比べ
て活性層成長直前の表面の欠陥密度はどうしても増えて
しまう。活性層成長以前に、歪層の挿入や、活性層が感
じる実質的な圧縮歪量が低減すると、活性層成長直前の
表面にある欠陥の影響を低減できるようになる。
【0047】第6の実施形態 図3(a),(b)は、本発明の第6の実施形態の面発
光型半導体レーザ素子の第1の構成例を示す図(図3
(b)は図3(a)の活性領域の拡大図)であり、ま
た、図4(a),(b)は、本発明の第6の実施形態の
面発光型半導体レーザ素子の第2の構成例を示す図(図
4(b)は図4(a)の活性領域の拡大図)である。な
お、図3,図4は、それぞれ、第1の実施形態(図
1),第2の実施形態(図2)の面発光型半導体レーザ
素子に対応したものとなっている。
【0048】図3,図4を参照すると、第6の実施形態
の面発光型半導体レーザ素子は、非発光再結合防止層で
あるGaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦
1)層(図3では符号6,図4では符号16)よりも上
部には、Al,Asを主成分とした被選択酸化層を選択
的に酸化してなる電流狭さく層8,18が設けられてい
ることを特徴としている。
【0049】Al,Asを主成分としたAlGaAs系
に対して、Pを含んだGaInPAs系,すなわち非発
光再結合防止層はエッチング停止層として機能すること
ができるため、GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,
0<y≦1)層(図3では、符号6,図4では符号1
6)よりも上部にAl,Asを主成分とした被選択酸化
層を選択的に酸化してなる電流狭さく層8,18を設け
る場合、選択酸化のためのメサエッチングの高さを厳密
に制御できる。これにより、第6の実施形態では、素子
作製における制御性が良好になるとともに、素子特性の
均一性,再現性を高められ、低コスト化が図れる。
【0050】第7の実施形態 本発明の第7の実施形態は、第1乃至第6のいずれかの
実施形態において、活性層2,12がGaInNAs,
GaInAsのいずれかの材料で形成されていることを
特徴としている。
【0051】すなわち、活性層2,12にGaInNA
s,GaInAsを用いると、GaAs基板上に0.9
μm以上の長波長帯面発光レーザを形成できる。屈折率
差の大きいAlAs/GaAs系の材料を用いることが
できるので、従来のInP基板上に形成した場合に比べ
て、半導体分布ブラッグ反射鏡の積総数の低減効果は大
きく、高反射率が得られる。また、GaAs基板にはワ
イドギャップの材料を形成できるので、活性層とのバン
ド不連続を大きく取れ、これにより、キャリアの閉じ込
めが良く温度特性の良い長波長帯面発光レーザを得るこ
とができる。また、下部反射鏡5,15,上部反射鏡1
4は、半導体分布ブラッグ反射鏡の低屈折率層のすべて
をGaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)
層に変えた場合に比べ、主に屈折率差が大きく少ない積
層数で高反射率が得られるAlGaAs系からなる反射
鏡であるので、反射鏡の積層数や素子全体の膜厚を大き
く増加させることなく、Alに起因する結晶欠陥が原因
となる非発光再結合を低減でき、信頼性を向上させるこ
とができる。
【0052】第8の実施形態 本発明の第8の実施形態は、第1乃至第7のいずれかの
実施形態において、活性層2,12が圧縮歪を有し、そ
の歪量が2.0%以上であることを特徴としている。
【0053】下地の基板に対して格子定数の違う材料を
成長すると、格子は弾性変形してそのエネルギーを吸収
する。しかし、下地の基板に対して格子定数の違う材料
を厚く成長していくと、弾性的な変形だけでは歪みエネ
ルギーを吸収できずにミスフィット転位が生じてしま
う。この膜厚を臨界膜厚という。ミスフィット転位が生
じてしまうと、良いデバイスを作製することは困難であ
る。
【0054】理論的には、力学的にミスフィット転位が
生じる厚さである臨界膜厚(hc)が、Matthew
s and Blakeslee (文献「J.Crys
tal Growth.27(1974 )pp.118
−125」を参照)によって次式により与えられてい
る。
【0055】
【数1】
【0056】ここで、νはポアソン比(ν=C12/(C
21+C12);C12,C21は弾性スティフネス定数であ
る)、αは界面でのバーガースベクトルと転位線の線分
とのなす角(cos α=1/2)、λは滑り面と界面
の交差線に垂直な界面内での方向とバーガースベクトル
とのなす角(cos λ=1 /2)、b=a/2
1/2(a;格子定数)、fは格子不整合度つまり歪量で
あり、f=Δa/aと表される。Δaは下地の基板との
格子定数の差であり、下地の基板の格子定数よりその上
に成長した材料の格子定数が大きい場合は圧縮歪を有し
ていると呼び、小さい場合は引張り歪を有していると呼
ぶ。なお、数1は無限大の厚さの基板上に単層膜を成長
する場合の式であり、以後、この数1によって与えられ
る臨界膜厚hcを、Matthews and Bla
kesleeの理論に基づく臨界膜厚と称す。
【0057】図5には、一般に支持されているMatt
hews and Blakeslee の理論に基づい
て計算されたGaAs基板上のGaInAs層の臨界膜
厚が示されている。なお、Ga1-xInxAsに窒素
(N)を添加したGa1-xInx yAs1-yの格子定数
は、窒素添加1%当たり、In組成xが3%小さいGa
1-xInxAs(y=x−0.03)とほぼ同じ格子定数
となる。GaAs基板上にGaInAsを形成する場
合、In組成を増加すると歪み量が大きくなるので、平
面に2次元で成長できる膜厚である臨界膜厚は薄くなっ
ていく。GaAs基板上のGaInAsの場合、In組
成の増加で半導体発光素子(半導体レーザ)の発振波長
を長波長化することができるが、歪み量の増加をともな
う。その限界歪み量は、約2%程度であり、発振波長は
1.1μmが限界であると言われていた(文献「IEE
E Photonics Technol. Let
t.Vol.9(1197)pp.1319−132
1」を参照)。
【0058】しかしながら、実際には、GaAs基板上
のGaInAs量子井戸層においてIn組成を30%を
超える値、つまり、GaAs基板に対する量子井戸層の
歪み量が2%以上となる材料を、非平衡成長法であるM
OCVD法やMBE法を用いて、更に例えば600℃程
度より低い温度での低温成長等の強い非平衡条件での成
長により実質的な臨界膜厚hc’を、Matthews
and Blakesleeの臨界膜厚hcを越えた厚
さとすることが可能であり、歪量を2%以上である高歪
のGaInAs量子井戸活性層であっても従来より厚く
コヒーレント成長することが可能となり、波長は1.2
μmを超える長波長が得られる。つまり従来得られない
波長の半導体レーザ等の半導体発光素子を得ることがで
きる。この波長はSi半導体基板に対して透明である。
これにより、Si基板上に電子素子と光素子を集積した
回路チップにおいて、Si基板を通した光伝送が可能と
なる。また、従来より高性能のHEMT(High e
lectron mobility transist
er)等の電子素子を得ることもできる。
【0059】図5には実験例も示されている。図5を参
照すると、例えば、In組成32%、厚さ8.6nmの
場合、PL(フォルトミネセンス)中心波長は1.13
μmであり、また、In組成36%、厚さ7.8nmの
場合、PL中心波長は1.16μmであり、また、In
組成39%、厚さ7.2nmの場合、PL中心波長は
1.2μmであった。これらは、Matthews a
nd Blakesleeの理論(数1)に基づいて計
算した臨界膜厚hcを越えた厚さとなっている。
【0060】また、図6には、GaInAs単一量子井
戸層からのPL中心波長とPL強度との関係が示されて
いる。GaInAs井戸層(図中実線部)のIn組成x
は31%〜42%とした。また、井戸層の厚さは、In
組成xの増加に合わせて、約9nm〜約6nmと薄くし
ていった。波長1.2μm程度までPL強度の強い量子
井戸層が得られた。波長1.2μmまではPL強度は徐
々に低下しているのに対して、1.2μmを越えると、
PL強度は急激に低下していることがわかる。これは表
面性にも対応しており1.2μmまでは鏡面であった。
これらの結果から、PL強度の上記急激な低下は量子井
戸層の厚さが実質的な臨界膜厚hc’を越えたためと考
えられる。一般にMOCVD 法やMBE 法において低
温成長、高い成長速度等の強い非平衡成長条件で、実験
的に得られる臨界膜厚が増加することが報告されてい
る。また成長条件(例えば高温成長)により、理論に基
づく臨界膜厚より薄い厚さでも三次元成長、表面荒れが
起こることも報告されている。よって本結果は、理論に
基づく臨界膜厚hcよりも低温成長等の非平衡条件での
成長による実質的な臨界膜厚hc’の方が厚いために、
ミスフィット転位が生じることなく、より厚い膜を二次
元に成長できたものと考えられる。
【0061】また、GaInNAs活性層の場合、歪量
を増加することは同一波長を得るのにIn組成が増加す
ることとなり、窒素組成を小さくできる。図7にはIn
組成10%のGaInNAs半導体レーザ(端面発光
型)の窒素組成に対するしきい値電流密度の例が示され
ている。図7から、窒素組成の増加でしきい値電流密度
は大きく増加することがわかる。この理由はGaInN
As層の結晶性が窒素組成増加に伴い劣化するためであ
る。
【0062】また、図8には、本発明による高圧縮歪G
aInAs/GaAs−DQWレーザの発振波長としき
い値電流密度との関係が示されている。従来報告されて
いるGaInAs/GaAsレーザの発振波長は1.1
μm程度までであったが、我々の実験結果によると最長
で1.225μmまでの動作が室温で得られた。しかも
1.2μm程度まで低しきい値であることがわかる。こ
れらの結果は図6に示したPL特性の結果を反映してい
る。窒素フリーで1.2μm程度で発振する高歪GaI
nAs量子井戸層に窒素を添加すれば、1.3μmを得
るためには、わずか0.5%程度の窒素組成で良い。図
7に示したIn組成が10%である格子整合厚膜活性層
では3%程度の窒素添加が必要であったのに対して大き
く低減でき、結晶性劣化が抑えられることによって高性
能の1.3μm帯レーザの実現が期待できる。このよう
に本発明によれば窒素組成を小さくすることができるの
で結晶性が改善し、GaInNAsレーザの特性を大き
く改善できる。
【0063】また、活性層に高歪GaAsSbを用いて
も、GaAs基板上に1.3μm帯の面発光型半導体レ
ーザを実現できる。
【0064】このように、波長1.1μm〜1.3μm
の半導体レーザは、従来適した材料がなかったが、高歪
GaInAs,GaInNAs,GaAsSbを用い、
歪量を2.0%以上とすることにより可能となるととも
に、GaInNAsを用いると、さらに長波長化が可能
となる。
【0065】ただしこのような大きな歪の材料は非常に
敏感であり、歪の小さい活性層では問題にならないよう
な影響であっても、複数の層からなる面発光レーザ素子
に適用すると他の層からの歪などの影響を受けやすい。
しかしながら、非発光再結合防止層であるGaxIn1-x
yAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層を挿入する
と、この影響を除外可能となる。例えばGaxIn1-x
yAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層は組成により歪
量を調整できるので、反射鏡と活性層の間に設けると上
記のような影響を補正できる。また、Alは非常に活性
で欠陥を取りこみやすいが、Inを含んだ層は下地(基
板側)から這い上がってくる欠陥をブロックする働きを
有するといわれており、Alを含んだ層を有する反射鏡
と活性層の間に設けるとこれを防止できると考えられ
る。
【0066】第9の実施形態 本発明の第9の実施形態は、第6の実施形態に示す面発
光型半導体レーザ素子が複数個配列されている面発光型
半導体レーザアレイである。
【0067】面発光型半導体レーザ素子をアレイ化した
場合、面内の均一性が各素子間の特性ばらつきに影響す
る。AlGaAs系に対してGaInPAs系はエッチ
ング停止層として用いることができるため、選択酸化の
ためのメサエッチングの高さをアレイ中の各素子間で厳
密に制御できる。このため、素子作製における制御性が
良好になるとともに、アレイ中の各素子間での素子特性
の均一性,再現性を高められる。
【0068】第10の実施形態 本発明の第10の実施形態は、第1乃至第9の実施形態
のいずれかの面発光型半導体レーザ素子を光源として用
いた光送信モジュールである。
【0069】第10の実施形態では、第1乃至第9のい
ずれかの実施形態の低コストかつ高品質で信頼性の高い
優れた面発光型半導体レーザ素子を用いることによっ
て、低コストかつ高性能で信頼性の高い光送信モジュー
ルを実現することができる。
【0070】第11の実施形態 本発明の第11の実施形態は、第1乃至第9の実施形態
のいずれかの面発光型半導体レーザ素子を光源として用
いた光送受信モジュールである。
【0071】第11の実施形態では、第1乃至第9のい
ずれかの実施形態の低コストかつ高品質で信頼性の高い
優れた面発光型半導体レーザ素子を用いることによっ
て、低コストかつ高性能で信頼性の高い光送受信モジュ
ールを実現することができる。
【0072】第12の実施形態 本発明の第12の実施形態は、第1乃至第9の実施形態
のいずれかの面発光型半導体レーザ素子を光源として用
いた光通信システムである。
【0073】第12の実施形態では、第1乃至第9のい
ずれかの実施形態の低コストかつ高品質で信頼性の高い
優れた面発光型半導体レーザ素子を用いることによっ
て、低コストかつ高性能で信頼性の高い光ファイバー通
信システム,光インターコネクションシステムなどの光
通信システムを実現することができる。
【0074】第13の実施形態 本発明の第13の実施形態は、上述した第1乃至第6の
実施形態のいずれかの面発光型半導体レーザ素子を製造
する面発光型半導体レーザ素子の製造方法であって、活
性層2,12が、窒素を含んだ半導体層で形成されてお
り、Alを含んだ半導体層の成長後、窒素を含む活性層
の成長開始までの間に、窒素化合物原料または窒素化合
物原料中に含まれる不純物が触れる場所となるガス供給
ライン中もしくは成長室内に残留したAl原料、また
は、Al反応物、または、Al化合物、または、Alを
除去する工程を設けることを特徴としている。
【0075】本発明は、活性層2,12がGaNAs,
GaPN,GaNPAs,GaInNAs,GaInN
P,GaNAsSb,GaInNAsSb等の窒素を含
む活性層の場合に特に効果があることがわかった。
【0076】図13は、本願の発明者のMOCVD装置
で作製したGaInNAs量子井戸層とGaAsバリア
層とからなるGaInNAs/GaAs2重量子井戸構
造からなる活性層からの室温フォトルミネッセンススペ
クトルを示す図である。図13において、符号AはAl
GaAsクラッド層上にGaAs中間層をはさんで2重
量子井戸構造を形成した試料であり、符号BはGaIn
Pクラッド層上にGaAs中間層をはさんで2重量子井
戸構造を連続的に形成した試料である。なお、図14に
は試料A,Bの基本構造が示されている。すなわち、図
14を参照すると、試料A,Bは、基本的には、GaA
s基板501上に、下部クラッド層502、中間層50
3、窒素を含む活性層504、中間層503、上部クラ
ッド層505が順次積層されて構成されている。
【0077】図13に示すように、試料Aでは試料Bに
比べてフォトルミネッセンス強度が半分以下に低下して
いる。従って、1台のMOCVD装置を用いてAlGa
As等のAlを構成元素として含む半導体層上に、Ga
InNAs等の窒素を含む活性層を連続的に形成する
と、活性層の発光強度が劣化してしまうという問題が生
じた。そのため、AlGaAsクラッド層上に形成した
GaInNAs系レーザの閾電流密度は、GaInPク
ラッド層上に形成した場合に比べて2倍以上高くなって
しまう。
【0078】本発明の発明者は、この原因解明について
検討した。図15は、図14に示した半導体レーザ素子
の一例として、クラッド層502をAlGaAsとし、
中間層503をGaAsとし、活性層504をGaIn
NAs/GaAs2重量子井戸構造として構成した素子
を1台のエピタキシャル成長装置(MOCVD)を用い
て形成したときの、窒素(N)濃度と酸素(O)濃度の
深さ方向分布を示す図である。なお、この測定はSIM
Sによって行った。次表(表1)に測定条件を示す。
【0079】
【表1】
【0080】図15において、GaInNAs/GaA
s2重量子井戸構造に対応して、活性層504中に2つ
の窒素ピークが見られる。そして、活性層504におい
て、酸素のピークが検出されている。しかし、Alを含
まない中間層503における酸素濃度は、活性層504
の酸素濃度よりも約1桁低い濃度となっている。
【0081】一方、クラッド層502をGaInPと
し、中間層503をGaAsとし、活性層504をGa
InNAs/GaAs2重量子井戸構造として構成した
半導体レーザ素子について、酸素濃度の深さ方向分布を
測定した場合には、活性層504中の酸素濃度はバック
グラウンドレベルであった。
【0082】すなわち、窒素化合物原料と有機金属Al
原料を用いて、1台のエピタキシャル成長装置により、
基板(501)と窒素を含む活性層(504)との間に
Alを含む半導体層(502)を設けた半導体レーザ素
子を連続的に結晶成長すると、窒素を含む活性層(50
4)中に酸素が取り込まれることが本願の発明者の実験
により明らかとなった。活性層(504)に取り込まれ
た酸素は非発光再結合準位を形成するため、活性層(5
04)の発光効率を低下させてしまう。この活性層(5
04)に取り込まれた酸素が、基板(501)と窒素を
含む活性層(504)との間にAlを含む半導体層(5
02)を設けた半導体レーザ素子における発光効率を低
下させる原因であることが新たに判明した。この酸素の
起源は装置内に残留している酸素を含んだ物質、または
窒素化合物原料中に不純物として含まれる酸素を含んだ
物質と考えられる。
【0083】次に、酸素の取り込まれる原因について検
討した。図16は、図15と同じ試料でのAl濃度の深
さ方向分布を示す図である。なお、測定はSIMSによ
って行った。また、次表(表2)には測定条件を示す。
【0084】
【表2】
【0085】図16から、本来Al原料を導入していな
い活性層504において、Alが検出されている。しか
し、Alを含む半導体層(クラッド層)502,505
に隣接した中間層(GaAs層)503においては、A
l濃度は活性層504よりも約1桁低い濃度となってい
る。これは、活性層504中のAlがAlを含む半導体
層(クラッド層)502,505から拡散,置換して混
入したものではないことを示している。
【0086】一方、GaInPのようにAlを含まない
半導体層上に窒素を含む活性層を成長した場合には、活
性層中にAlは検出されなかった。
【0087】従って、図16において活性層504中に
検出されたAlは、成長室内またはガス供給ラインに残
留したAl原料、または、Al反応物、または、Al化
合物、または、Alが、窒素化合物原料または窒素化合
物原料中の不純物(水分等)と結合して活性層504中
に取り込まれたものである。すなわち、窒素化合物原料
と有機金属Al原料を用いて、1台のエピタキシャル成
長装置により、基板と窒素を含む活性層との間にAlを
含む半導体層を設けた半導体レーザ素子を連続的に結晶
成長すると、窒素を含む活性層中に自然にAlが取りこ
まてしまうことが本願の発明者により新たにわかった。
【0088】図15に示した同じ半導体レーザ素子にお
ける、窒素濃度と酸素濃度の深さ方向分布と比較する
と、2重量子井戸活性層504中の2つの酸素ピークプ
ロファイルは、窒素濃度のピークプロファイルと対応し
ておらず、図16のAl濃度プロファイルと対応してい
る。このことから、GaInNAs井戸層中の酸素不純
物は、窒素原料と共に取り込まれるというよりも、むし
ろ井戸層中に取り込まれたAlと結合して一緒に取り込
まれていることが明らかとなった。すなわち、成長室内
に残留したAl原料、または、Al反応物、または、A
l化合物、または、Alが窒素化合物原料と接触する
と、Alと窒素化合物原料中に含まれる水分またはガス
ラインや反応室中に残留する水分などの酸素を含んだ物
質とが結合して、活性層504中にAlと酸素が取り込
まれる。この活性層504に取り込まれた酸素が活性層
504の発光効率を低下させていたことが本願の発明者
の実験により初めて明らかとなった。
【0089】従って、これを改善するためには、少なく
とも成長室内の窒素化合物原料または窒素化合物原料中
に含まれる不純物が触れる場所に残留したAl原料、ま
たは、Al反応物、または、Al化合物、または、Al
を除去する工程を設けることが必要であることがわかっ
た。
【0090】Alを含んだ半導体層(502)の成長
後、窒素を含む活性層(504)の成長開始までの間に
この工程を設けると、窒素を含む活性層(504)を成
長するため成長室に窒素化合物原料を供給したときに、
残留したAl原料、または、Al反応物、または、Al
化合物、または、Alと、窒素化合物原料または窒素化
合物原料中に含まれる不純物及び装置内に残留する酸素
を含んだ物質とが反応して、活性層に取り込まれるAl
及び酸素不純物の濃度を低減することができる。更に、
非発光再結合防止層の成長終了後までに除去しておく
と、電流注入によって活性層(504)にキャリアが注
入される時、活性層(504)での非発光再結合への悪
影響を抑えられるので好ましい。
【0091】例えば、窒素を含む活性層(504)中の
Al濃度を1×1019cm-3以下に低減することによ
り、室温連続発振が可能となった。さらに、窒素を含む
活性層(504)中のAl濃度を2×1018cm-3以下
に低減することにより、Alを含まない半導体層上に形
成した場合と同等の発光特性が得られた。
【0092】次表(表3)は、AlGaAsをクラッド
層(Alを含む層)とし、GaInNAs2重量子井戸
構造(窒素を含む層)を活性層としたブロードストライ
プレーザを試作して閾電流密度を評価した結果を示して
いる。
【0093】
【表3】
【0094】表3から、Alを構成元素として含む半導
体層に、窒素を含む活性層を連続的に形成した構造にお
いては、活性層中に2×1019cm-3以上のAl、及
び、1×1018cm-3以上の酸素が取り込まれており、
閾電流密度は10kA/cm2以上と著しく高い値とな
った。しかし、活性層中のAl濃度を1×1019cm-3
以下に低減することにより、活性層中の酸素濃度が1×
1018cm-3以下に低減され、閾電流密度2〜3kA/
cm2でブロードストライプレーザが発振した。ブロー
ドストライプレーザの閾電流密度が数kA/cm2以下
の活性層品質であれば、室温連続発振が可能である。従
って、窒素を含む活性層中のAl濃度を1×1019cm
-3以下に抑制することにより、室温連続発振可能な半導
体レーザを作製することが可能である。
【0095】このように、第13の実施形態では、Al
を含んだ半導体層の成長後、窒素を含む活性層の成長開
始までの間に、窒素化合物原料または窒素化合物原料中
に含まれる不純物が触れる場所となるガス供給ライン中
もしくは成長室内に残留したAl原料、または、Al反
応物、または、Al化合物、または、Alを除去する工
程を設けたので、窒素を含んだ活性層の成長時に酸素が
取り込まれるのを低減でき、Alを含んだ半導体層の上
部に窒素を含んだ活性層が形成される半導体発光素子に
おいても発光効率を低減させることなく半導体発光素子
を結晶成長することができる。
【0096】第14の実施形態 本発明の第14の実施形態は、上述した第13の実施形
態の面発光型半導体レーザ素子の製造方法において、A
lを含んだ半導体層の成長後、非発光再結合防止層の成
長終了後までの間に、窒素化合物原料または窒素化合物
原料中に含まれる不純物が触れる場所となるガス供給ラ
イン中もしくは成長室内に残留したAl原料、または、
Al反応物、または、Al化合物、または、Alをキャ
リアガスでパージする工程を設けることを特徴としてい
る。
【0097】すなわち、第14の実施形態では、Alを
含む半導体層(502)の成長後と窒素を含む活性層
(504)の成長開始との間に、成長室内の窒素化合物
原料または窒素化合物原料中に含まれる不純物が触れる
場所に残留したAl原料、または、Al反応物、また
は、Al化合物、または、Alをキャリアガスでパージ
する工程を設けたことを特徴としている。
【0098】ここで、パージ工程の時間は、Alを含む
半導体層(502)の成長が終了して成長室へのAl原
料の供給を停止してから、窒素を含む活性層(504)
の成長を開始するために窒素化合物原料を成長室に供給
するまでの時間間隔をいう。
【0099】Alを構成元素として含む半導体層を成長
させると、前述のように、成長室内にAl原料、また
は、Al反応物、または、Al化合物、または、Alが
残留するが、キャリアガスでガスラインや成長室内をパ
ージすることにより、成長室内に残留したAlの濃度を
次第に低下させることが可能である。
【0100】具体的には、パージ時間10分程度で活性
層中のAl濃度を1×1019cm-3以下に低減すること
ができる。従って、10分間以上のパージ時間を設ける
ことにより、活性層の発光効率を改善して、室温連続発
振する半導体レーザ素子を形成することができる。
【0101】さらに、望ましくは30分以上のパージ時
間を設けることにより、Al濃度を1×1018cm-3
下まで低減することができる。
【0102】上記パージの方法として、Alを含まない
中間層中で成長中断をしてキャリアガスでパージする方
法がある。成長中断をしてパージする場合は、成長中断
する場所を、Alを含んだ半導体層の成長後から非発光
再結合防止層の途中までの間に設けることができる。
【0103】図17は、本発明の第14の実施形態によ
る半導体レーザ素子の一例を示す図である。図17の半
導体レーザ素子は、基板501上に、Alを構成元素と
して含む第1の半導体層502と、第1の下部中間層6
01と、第2の下部中間層602と、窒素を含む活性層
504と、上部中間層503と、第2の半導体層505
とが順次に積層されて構成されている。
【0104】図17の半導体レーザ素子の結晶成長に
は、有機金属Al原料と有機窒素原料を用いたエピタキ
シャル成長装置を用いている。そして、第1の下部中間
層601の成長後と第2の下部中間層602の成長開始
との間に成長中断工程を設け、成長中断中に、成長室内
の窒素化合物原料または窒素化合物原料中に含まれる不
純物が触れる場所に残留したAl原料、または、Al反
応物、または、Al化合物、または、Alを、キャリア
ガスである水素でパージして除去している。
【0105】図18は、第1の下部中間層601と第2
の下部中間層602との間で成長中断し、パージ時間を
60分設けた半導体レーザ素子におけるAl濃度の深さ
方向分布の測定結果を示す図である。この場合、図18
に示すように、活性層504中のAl濃度は3×1017
cm-3以下まで低減することができた。この値は、中間
層中のAl濃度と同程度となっている。
【0106】また、図19は、図18の場合と同じ素子
について、窒素(N)濃度と酸素(O)濃度の深さ方向
分布を測定した結果を示す図である。図19に示すよう
に、活性層504中の酸素濃度は、1×1017cm-3
バックグラウンドレベルまで低減できた。
【0107】なお、下部中間層(601,602)中で
酸素濃度にピークが現れているのは、成長中断界面に酸
素が偏析したためである。よって、成長中断をしてパー
ジする場合は、成長中断する場所を、Alを含んだ半導
体層の成長後から非発光再結合防止層の成長終了までの
間に設けることが好ましい。非発光再結合防止層は量子
井戸活性層や障壁層よりバンドギャップエネルギーを大
きくすることができ、電流注入によって活性層にキャリ
アが注入される時、成長中断界面に偏析した酸素による
非発光再結合による悪影響を抑えられるからである。
【0108】この半導体レーザ素子は、第1の下部中間
層601と第2の下部中間層602との間で成長中断
し、パージ時間を60分設けることにより、窒素を含む
活性層504中のAlや酸素等の不純物濃度を低減する
ことができた。これにより、窒素を含む活性層504の
発光効率を改善することができた。
【0109】なお、成長室内をキャリアガスでパージす
る工程において、サセプターを加熱しながらパージする
ことにより、サセプターまたはサセプター周辺に吸着し
たAl原料や反応生成物を脱ガスさせて、効率良く除去
することができる。
【0110】ただし、基板を同時に加熱する場合は、最
表面の半導体層505が熱分解するのを防止するため、
成長中断中においてもAsH3もしくはPH3等のV族原
料ガスを成長室に供給し続ける必要がある。
【0111】また、成長室内をキャリアガスでパージす
る際に、基板を成長室から別室に搬送しておくこともで
きる。基板を成長室から別室に搬送することにより、サ
セプターを加熱しながらパージを行う最に、AsH3
しくはPH3等のV族原料ガスを成長室に供給する必要
がない。従って、サセプターまたはサセプター周辺に堆
積したAlを含む反応生成物の熱分解をより促進させる
ことができる。これにより、効率よく成長室内のAl濃
度を低減することができる。
【0112】また、中間層を成長しながらパージを行う
方法もある。Alを含んだAlGaAs系からなる反射
鏡と窒素を含む活性層との間に非発光再結合防止層を設
けていることから、Alを含んだ層と窒素を含む活性層
との距離が長くなるため、成長しながらパージを行う場
合でもパージの時間を長くできるメリットがある。この
場合は成長速度を遅くして時間を長くすると良い。
【0113】第15の実施形態 本発明の第15の実施形態は、上述した第13,第14
の実施形態の面発光型半導体レーザ素子の製造方法にお
いて、少なくとも有機金属Al原料と窒素化合物原料を
用いたMOCVD法で面発光型半導体レーザ素子を結晶
成長することを特徴としている。
【0114】通常のMBE法のように、有機金属Al原
料と窒素化合物原料を用いない結晶成長方法で作製した
場合には、基板と窒素を含む活性層との間にAlを含む
半導体層を設けた半導体発光素子における著しい発光効
率低下については特に報告されていない。一方、MOC
VD法では、Alを含む半導体層上に形成したGaIn
NAs活性層の発光効率の低下が報告されている。例え
ば、文献「Electoron.Lett.,200
0,36(21),pp1776−1777」におい
て、同じMOCVD成長室でAlGaAsクラッド層上
にGaAsからなる中間層を設けた場合でも、連続的に
GaInNAs量子井戸層を成長すると、フォトルミネ
ッセンス強度が著しく劣化することが報告されている。
上記報告においては、フォトルミネッセンス強度を改善
するために、AlGaAsクラッド層とGaInNAs
活性層を異なるMOCVD成長装置で成長させている。
従って、MOCVD法のように、有機金属Al原料と窒
素化合物原料を用いる結晶成長方法の場合には少なくて
も起きる問題である。
【0115】MBE法は超減圧(高真空中)で結晶成長
が行われるのに対して、MOCVD法は通常数10To
rrから大気圧程度と、MBE法に比べて反応室の圧力
が高いため、平均自由行程が圧倒的に短く、供給された
原料やキャリアガスがガスラインや反応室等で他と接
触,反応するためと考えられる。よって、MOCVD法
のように、反応室やガスラインの圧力が高い成長方法の
場合、Alを含んだ半導体層の成長後、窒素を含んだ活
性層の成長前までに(更に好ましくは非発光再結合防止
層成長終了後までの間に)、成長室内の窒素化合物原料
または窒素化合物原料中に含まれる不純物が触れる場所
に残留したAl原料、または、Al反応物、または、A
l化合物、または、Alを除去する工程を設けると、窒
素を含んだ活性層へ酸素が取り込まれることを防止する
効果が高い。
【0116】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0117】実施例1 図9(a),(b)は実施例1の面発光型半導体レーザ
の構成例を示す図である。なお、図9(b)は図9
(a)の活性領域の拡大図である。図9(a),(b)
の面発光型半導体レーザは、面方位(100)のn−G
aAs基板101上に、それぞれの媒質内における発振
波長λの1/4倍の厚さ(λ/4の厚さ)でn−Alx
Ga1-xAs(x=1.0)とn−AlyGa1-yAs
(y=0)を交互に35周期積層したn−半導体分布ブ
ラッグ反射鏡(AlAs/GaAs下部反射鏡)104
を形成し、その上に、λ/4の厚さのn−GaxIn1-x
yAs1-y(x=0.5、y=1)層(非発光再結合防
止層)103を積層した。なお、この実施例1では、n
−GaxIn1-xyAs1-y(x=0.5、y=1)層1
03も下部反射鏡104の一部であり低屈折率層となっ
ている。
【0118】そして、その上に、アンドープ下部GaA
sスペーサ層105と、3層のGa xIn1-xAs量子井
戸層である活性層(量子井戸活性層)106aとGaA
sバリア層(20nm)106bからなる多重量子井戸
活性層106と、アンドープ上部GaAsスペーサ層1
07とが積層されて、媒質内における発振波長の1波長
分の厚さ(λの厚さ)の共振器を形成している。
【0119】そして、その上に、C(炭素)ドープのp
−GaxIn1-xyAs1-y(x=0.5、y=1)層
(非発光再結合防止層)108とZnドープp−Alx
Ga1-xAs(x=0)をそれぞれの媒質内における発
振波長の1/4倍の厚さで交互に積層した周期構造(1
周期)を積層し、その上にCドープのp−AlxGa1-x
As(x=0.9)とZnドープp−AlxGa1-xAs
(x=0)をそれぞれの媒質内における発振波長の1/
4倍の厚さで交互に積層した周期構造(25周期)とか
らなる半導体分布ブラッグ反射鏡(Al0.9Ga0.
1As/GaAs上部反射鏡)109が形成されてい
る。なお、この実施例1では、p−GaxIn1 -xy
1-y(x=0.5、y=1)層108も上部反射鏡1
09の一部であり低屈折率層となっている。
【0120】そして、最上部のp−AlxGa1-xAs
(x=0)層110は、p側電極112とコンタクトを
取るためのコンタクト層(p−コンタクト層)としての
役割も持っている。
【0121】ここで、量子井戸活性層106aのIn組
成xは39%(Ga0.61In0.39As)とした。また、
量子井戸活性層106aの厚さは7nmとした。また、
量子井戸活性層106aは、GaAs基板101に対し
て約2.8%の圧縮歪を有していた。
【0122】また、この面発光型半導体レーザ全体の成
長方法は、MOCVD法で行った。この場合、格子緩和
は見られなかった。半導体レーザの各層を構成する原料
には、TMA(トリメチルアルミニウム),TMG(ト
リメチルガリウム),TMI(トリメチルインジウ
ム),AsH3(アルシン),PH3(フォスフィン)を
用いた。また、キャリアガスにはH2を用いた。実施例
1の素子の活性層(量子井戸活性層)106aのように
歪が大きい場合は、非平衡となる低温成長が好ましい。
実施例1では、GaInAs層(量子井戸活性層)10
6aは550℃で成長した。MOCVD法は過飽和度が
高く高歪活性層の結晶成長に適している。また、MBE
法のような高真空を必要とせず、原料ガスの供給流量や
供給時間を制御すれば良いので量産性にも優れている。
【0123】また、実施例1では、電流経路外の部分を
プロトン(H+)照射によって絶縁層(高抵抗部)11
1を作って、電流狭さく部を形成した。
【0124】そして、実施例1では、上部反射鏡の最上
部の層であり、上部反射鏡の一部となっているp−コン
タクト層110上に、光出射部114を除いてp側電極
112を形成し、基板の裏面にn側電極113を形成し
た。
【0125】実施例1では、上下反射鏡104,109
に挟まれた、キャリアが注入され再結合する活性領域
(実施例1では、上部及び下部スペーサ層105,10
7と多重量子井戸活性層106とからなる共振器)にお
いて、活性領域内にはAlを含んだ材料(III族に占め
る割合が1%以上)を用いず、さらに、下部反射鏡10
4および上部反射鏡109の低屈折率層の最も活性層1
06に近い層103,108をGaxIn1-xyAs1-y
(0<x≦1,0<y≦1)としている。キャリアは、
活性層106に最も近くワイドギャップである上部反射
鏡109および下部反射鏡104の低屈折率層間に閉じ
込められるので、活性領域のみをAlを含まない層(II
I族に占める割合が1%以下)で構成しても活性領域に
接する反射鏡の低屈折率層(ワイドギャップ層)にAl
を含んだ構造としたのでは、キャリアが注入され再結合
する時、この界面で非発光再結合が生じ発光効率は低下
してしまう。本発明の主旨から活性領域はAlを含まな
い層で構成することが望ましい。
【0126】実施例1では、活性領域内、及び、反射鏡
104,109と活性領域との界面に、Alを含まない
構成としているので、キャリア注入時に、Alに起因し
ていた結晶欠陥が原因となる非発光再結合がなくなり、
非発光再結合が低減した。
【0127】実施例1のように、反射鏡と活性領域との
界面にAlを含まない構成を、上下反射鏡104,10
9ともに適用することが好ましいが、一方の反射鏡に適
用するだけでも効果がある。また、実施例1では、上下
反射鏡104,109とも半導体分布ブラッグ反射鏡と
したが、一方の反射鏡を半導体分布ブラッグ反射鏡と
し、他方の反射鏡を誘電体反射鏡としても良い。また、
上述の例では、反射鏡104,109の低屈折率層の最
も活性層106に近い層のみをGaxIn1-xyAs1-y
(0<x≦1,0<y≦1)としているが、反射鏡10
4,109の複数層をGaxIn1-xyAs1-y(0<x
≦1,0<y≦1)としても良い。
【0128】さらに、実施例1では、GaAs基板10
1と活性層106との間の下部反射鏡104に本発明を
適用しているので,活性層106の成長時に問題とな
る、Alに起因する結晶欠陥の活性層106への這い上
がりによる悪影響が抑えられ、活性層106を高品質に
結晶成長することができる。これらにより、発光効率は
高く、信頼性は実用上十分であった。また、半導体分布
ブラッグ反射鏡の低屈折率層のすべてではなく、少なく
とも活性領域に最も近い部分をAlを含まないGax
1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層とした
だけなので、反射鏡の積層数を特に増加させることな
く、上記効果を得ることができる。
【0129】このように作製した面発光型半導体レーザ
素子の発振波長は約1.2μmであった。GaAs基板
101上のGaInAsは、In組成の増加で長波長化
するが、歪み量の増加を伴ない、従来1.1μmまでが
長波長化の限界と考えられていた(文献「IEEE P
hotonics.Technol.Lett.Vo
l.9(1997)pp.1319−1321」参
照)。しかしながら、本発明では、600℃以下の低温
成長などの非平衡度の高い成長法により高歪のGaIn
As量子井戸活性層を従来より厚くコヒーレント成長す
ることが可能となり、波長は1.2μmまで到達でき
る。この波長はSi半導体基板に対して透明である。従
って、Si基板上に電子素子と光素子を集積した回路チ
ップにおいてSi基板を通した光伝送が可能となる。こ
のように、In組成が大きい高圧縮歪のGaInAsを
活性層に用いることにより、GaAs基板上に長波長帯
の面発光型半導体レーザを形成できた。
【0130】図9の面発光型半導体レーザ素子は、MO
CVD法で成長させることができるが、MBE法等の他
の成長方法を用いることもできる。また、実施例1で
は、活性層106の積層構造として、3重量子井戸構造
(TQW)の例を示したが、他の井戸数の量子井戸を用
いた構造(SQW,MQW)等を用いることもできる。
レーザの構造も他の構造のものにすることもできる。ま
た、共振器長はλの厚さとしたが、λ/2の整数倍、望
ましくはλの整数倍とすることができる。また半導体基
板101としてGaAsを用いた例を示したが、InP
などの他の半導体基板を用いた場合でも本発明を適用で
きる。また、反射鏡104,109の周期は他の周期で
も良い。
【0131】また、実施例1では、活性層106とし
て、GaInAsを用いたが、GaInNAsを用いる
こともできる。この場合、GaInNAs活性層の組成
を変えることで、1.3μm帯,1.55μm帯、更に
はもっと長波長の面発光型半導体レーザも可能となる。
また、活性層106にGaAsSbを用いても、GaA
s基板101上に1.3μm帯の面発光型半導体レーザ
を実現できる。このように、波長1.1μm〜1.3μ
mの半導体レーザは、従来適した材料がなかったが、高
歪GaInAs,GaInNAs,GaAsSbを用い
ることにより、GaAs基板101上に、波長1.1μ
m 〜1.3μmの半導体レーザが可能となる。更に、
従来高性能化が困難であった波長1.3μm帯,1.5
5μm帯等の長波長において、GaAs基板101上に
結晶成長可能な材料系を用いることで、高性能な面発光
型半導体レーザを実現できる。
【0132】実施例2 図10(a),(b)は実施例2の面発光型半導体レー
ザ素子の構成例を示す図である。なお、図10(b)は
図10(a)の活性領域の拡大図である。図10
(a),(b)の面発光型半導体レーザ素子は、面方位
(100)のn−GaAs基板201上に、それぞれの
媒質内における発振波長(λ)の1/4倍の厚さでn−
AlxGa1-xAs(x=0.9)とn−AlxGa1-x
s(x=0)を交互に35周期積層したn−半導体分布
ブラッグ反射鏡(Al0.9Ga0.1As/GaAs下部反
射鏡)204を形成し、その上にλ/4の厚さのn−G
xIn1 -xyAs1-y(x=0.5、y=1)層(非発
光再結合防止層)203を積層した。なお、この実施例
2では、n−GaxIn1-xyAs1-y(x=0.5、y
=1)層203も下部反射鏡204の一部であり低屈折
率層となっている。
【0133】そして、その上に、アンドープ下部GaA
sスペーサ層205と、3層のGa xIn1-xyAs1-y
量子井戸層である活性層(量子井戸活性層)206aと
GaAsバリア層206b(15nm)とから構成され
る多重量子井戸活性層(この実施例2では3重量子井戸
(TQW))206と、アンドープ上部GaAsスペーサ層
207とが積層されて、媒質内における発振波長の1波
長分の厚さ(λの厚さ)の共振器を形成している。
【0134】そして、その上に、p−半導体分布ブラッ
グ反射鏡(上部反射鏡)209が形成されている。すな
わち、上部反射鏡209は、被選択酸化層となるAlA
s層230をGaInP層208とAlGaAs層で挟
んだ3λ/4の厚さの低屈折率層(厚さが(λ/4−1
5nm)のCドープp−GaxIn1-xyAs1-y(x=
0.5、y=1)層(非発光再結合防止層)208、C
ドープp−AlzGa1 -zAs(z=1)被選択酸化層2
30(厚さ30nm)、厚さが(2λ/4−15nm)
のCドープp−AlxGa1-xAs層(x=0.9))と
厚さがλ/4のGaAs層(1周期)とCドープのp−
AlxGa1-xAs層(x=0.9)とp−AlxGa1-x
As(x=0)層をそれぞれの媒質内における発振波長
の1/4倍の厚さで交互に積層した周期構造(22周
期)とから構成されている半導体分布ブラッグ反射鏡
(Al0.9Ga0.1As/GaAs上部反射鏡)として、
形成されている。
【0135】そして、最上部のp−AlxGa1-xAs
(x=0)層210は、p側電極212とコンタクトを
取るためのコンタクト層(p−コンタクト層)としての
役割も持っている。
【0136】ここで、量子井戸活性層206aのIn組
成xは37%,N(窒素)組成は0.5%とした。ま
た、量子井戸活性層206aの厚さは7nmとした。ま
た、この面発光型半導体レーザ素子の成長方法は、MO
CVD法で行った。半導体レーザの各層を構成する原料
には、TMA(トリメチルアルミニウム),TMG(ト
リメチルガリウム),TMI(トリメチルインジウ
ム),AsH3(アルシン),PH3(フォスフィン),
そして窒素の原料にはDMHy(ジメチルヒドラジン)
を用いた。DMHyは低温で分解するので、600℃以
下のような低温成長に適しており,特に低温成長の必要
な歪みの大きい量子井戸層を成長する場合に好ましい。
なお、キャリアガスにはH2を用いた。また、実施例2
では、GaInNAs層(量子井戸活性層)206aは
540℃で成長した。MOCVD法は過飽和度が高く、
Nと他のV族を同時に含んだ材料の結晶成長に適してい
る。また、MBE法のような高真空を必要とせず、原料
ガスの供給流量や供給時間を制御すれば良いので、量産
性にも優れている。
【0137】また、実施例2では、所定の大きさのメサ
をp−GaxIn1-xyAs1-y(x=0.5、y=1)
層208に達するまで、p−AlzGa1-zAs(z=
1)被選択酸化層230の側面を露出させて形成し、側
面の現れたAlzGa1-zAs(z=1)層230を水蒸
気で側面から酸化してAlxy電流狭さく部220を形
成した。そして、次に、ポリイミド(絶縁膜)221で
エッチング部を埋め込んで平坦化し、上部反射鏡209
上のポリイミドを除去し、p−コンタクト層210上に
光出射部214を除いてp側電極212を形成し、Ga
As基板201の裏面にn側電極213を形成した。
【0138】実施例2では、被選択酸化層230の下部
に上部反射鏡209の一部としてGaxIn1-xyAs
1-y(0<x≦1,0<y≦1)層208が挿入されて
いる。例えばウエットエッチングの場合では、硫酸系エ
ッチャントを用いれば、AlGaAs系に対してGaI
nPAs系はエッチング停止層として用いることができ
るため、GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y
≦1)層208が挿入されていることで、選択酸化のた
めのメサエッチングの高さを厳密に制御できる。このた
め、均一性,再現性を高められ、低コスト化が図れる。
【0139】また、実施例2の面発光型半導体レーザ素
子を一次元または二次元に集積した場合、素子作製にお
ける制御性が良好になるとともに、アレイ内の各素子の
素子特性の均一性,再現性も極めて良好になるという効
果がある。
【0140】なお、実施例2では、エッチングストップ
層を兼ねるGaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<
y≦1)層208を上部反射鏡209側に設けたが、下
部反射鏡204側に設けても良い。
【0141】また、実施例2では、上下反射鏡204,
209に挟まれた、キャリアが注入され再結合する活性
領域(この実施例2では、上部スペーサ層207と下部
スペーサ層205と多重量子井戸活性層206とからな
る共振器)において、活性領域内にはAlを含んだ材料
を用いず、さらに、下部反射鏡204および上部反射鏡
209の低屈折率層の最も活性層に近い層をGaxIn
1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)としてい
る。つまり、実施例2では、活性領域内、及び、反射鏡
と活性領域との界面に、Alを含まない構成としている
ので、キャリア注入時に、Alに起因していた結晶欠陥
が原因となる非発光再結合を低減させることができる。
本発明の主旨から活性領域はAlを含まない層で構成す
ることが望ましい。
【0142】反射鏡204,209と活性領域との界面
にAlを含まない構成を、実施例2のように上下反射鏡
204,209に適用することが好ましいが、いずれか
一方の反射鏡に適用するだけでも効果がある。また、実
施例2では、上下反射鏡204,209とも半導体分布
ブラッグ反射鏡としたが、一方の反射鏡を半導体分布ブ
ラッグ反射鏡とし、他方の反射鏡を誘電体反射鏡として
も良い。
【0143】さらに、実施例2では、GaAs基板20
1と活性層206との間の下部反射鏡204に本発明を
適用しているので,活性層206の成長時に問題となる
Alに起因する結晶欠陥の活性層206への這い上がり
による悪影響が抑えられ、活性層206を高品質に結晶
成長することができる。これらにより、発光効率は高
く、信頼性は実用上十分であった。また、半導体分布ブ
ラッグ反射鏡204,209の低屈折率層のすべてでは
なく、少なくとも活性領域に最も近い部分をAlを含ま
ないGaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦
1)層203,208としただけなので、反射鏡の積層
数を特に増加させることなく、上記効果を得ることがで
きた。このため、ポリイミドの埋め込みは容易であり、
配線(実施例2ではp側電極212)が段切れしにく
く、特に素子の歩留まりは低下しなかった。
【0144】このように作製した面発光型半導体レーザ
の発振波長は約1.3μmであった。実施例2では、G
aInNAsを活性層206に用いたので、GaAs基
板201上に長波長帯の面発光型半導体レーザを形成で
きた。また、AlとAsを主成分とした被選択酸化層2
30の選択酸化により電流狭さくを行ったので、しきい
値電流は低かった。被選択酸化層230を選択酸化した
Al酸化膜からなる電流狭さく部220を用いた電流狭
さく構造によると、電流狭さく部220を活性層206
に近づけて形成することで電流の広がりを抑えられ、大
気に触れない微小領域に効率良くキャリアを閉じ込める
ことができる。更に酸化してAl酸化膜となることで屈
折率が小さくなり凸レンズの効果でキャリアの閉じ込め
られた微小領域に効率良く光を閉じ込めることができ、
極めて効率が良くなり、しきい値電流は低減される。ま
た、容易に電流狭さく構造を形成できることから製造コ
ストを低減できる。これらのように低消費電力で低コス
トの1.3μm帯の面発光型半導体レーザを実現でき
た。
【0145】図10の面発光型半導体レーザ素子は、M
OCVD法で成長させることができるが、MBE法等の
他の成長方法を用いることもできる。また、実施例2で
は、窒素の原料に、DMHyを用いたが、活性化した窒
素やNH3等他の窒素化合物を用いることもできる。ま
た、実施例2では、活性層206の積層構造として、3
重量子井戸構造(TQW)の例を示したが、他の井戸数
の量子井戸を用いた構造(SQW,DQW,MQW)等
を用いることもできる。レーザの構造も他の構造のもの
にすることもできる。
【0146】また、図10の面発光型半導体レーザ素子
において、GaInNAs活性層206aの組成を変え
ることで、1.55μm帯、更にはもっと長波長の面発
光型半導体レーザも可能となる。また、GaInNAs
活性層206aにTl、Sb、Pなど他のIII−V元素
が含まれていても良い。また、活性層206aにGaA
sSbを用いても、GaAs基板201上に1.3μm
帯の面発光型半導体レーザを実現できる。更に、活性層
206aにGaInAsを用いた場合、従来1.1μm
までが長波長化の限界と考えられていたが、600℃以
下の低温成長により高歪のGaInAs量子井戸活性層
を従来よりも厚く成長することが可能となり、波長は
1.2μmまで到達できる。このように、波長1.1μ
m 〜1.3μmの半導体レーザには、従来適した材料
がなかったが、高歪GaInAs,GaInNAs,G
aAsSbを用いることにより、波長1.1μm 〜
1.3μmの半導体レーザが可能となる。更に、従来高
性能化が困難であった波長1.3μm帯,1.55μm
帯等の長波長において、高性能な面発光型半導体レーザ
を実現できる。
【0147】実施例3 実施例3は、光送信モジュールに関するものである。図
11は実施例2の1.3μm帯GaInNAs面発光型
半導体レーザと石英系光ファイバーとを組み合わせた光
送信モジュールの概要を示す図である。図11を参照す
ると、半導体レーザから光信号(レーザ光)が光ファイ
バーに入力され、伝送される。この場合、発振波長の異
なる複数の半導体レーザを1次元または2次元にアレイ
状に配置して、波長多重送信により伝送速度を増加でき
る。また、半導体レーザを1次元または2次元にアレイ
状に配置し、それぞれに対応する複数の光ファイバーか
らなる光ファイバー束とを結合させて、伝送速度を増加
できる。
【0148】また、本発明による面発光型半導体レーザ
を光通信システムに用いる場合、本発明による面発光型
半導体レーザは低コストのものであるので、送信用半導
体レーザと光ファイバーとを組み合わせた光送信モジュ
ールを用いた低コストの光通信システムを実現できる。
また、GaInNAs面発光型半導体レーザの温度特性
が良いこと、及び、低しきい値であることにより、発熱
が少なく、高温まで冷却なしで使えるシステムを実現で
きる。更に1.3μm等の長波長帯で低損失となるフッ
素添加POF(プラスチックファイバ)とGaInNA
s面発光型レーザとを組み合わせるとファイバが低コス
トであること、ファイバの径が大きくてファイバとのカ
ップリングが容易で実装コストを低減できることから、
極めて低コストのモジュールを実現できる。
【0149】実施例4 実施例4は、光送受信モジュールに関するものである。
図12は実施例2の1.3μm帯GaInNAs面発光
型半導体レーザと受信用フォトダイオードと光ファイバ
ーとを組み合わせた光送受信モジュールの概要を示す図
である。
【0150】本発明による面発光型半導体レーザを光通
信システムに用いる場合、本発明による面発光型半導体
レーザは低コストのものであるので、送信用半導体レー
ザと受信用フォトダイオードと光ファイバーとを組み合
わせた光送信モジュールを用いた低コストの光通信シス
テムを実現できる。また、GaInNAs面発光型半導
体レーザの温度特性が良いこと、及び、低しきい値であ
ることにより、発熱が少なく、高温まで冷却なしで使え
るシステムを実現できる。更に1.3μm等の長波長帯
で低損失となるフッ素添加POF(プラスチックファイ
バ)とGaInNAs面発光型レーザとを組み合わせる
とファイバが低コストであること、ファイバの径が大き
くてファイバとのカップリングが容易で実装コストを低
減できることから、極めて低コストのモジュールを実現
できる。
【0151】本発明による面発光型半導体レーザを用い
た光通信システムとしては、光ファイバーを用いた長距
離通信に用いることができるのみならず、LAN(Lo
cal Area Network)などのコンピュータ
等の機器間伝送、さらにはボード間のデータ伝送、ボー
ド内のLSI間、LSI内の素子間等、光インターコネ
クションとして短距離通信に用いることができる。近年
LSI等の処理性能は向上しているが、これらを接続す
る部分の伝送速度が今後ボトルネックとなる。システム
内の信号接続を従来の電気接続から光インターコネクト
で行うと、例えばコンピュータシステムのボード間、ボ
ード内のLSI間、LSI内の素子間等を光送信モジュ
ールや光送受信モジュールを用いて接続した場合、超高
速コンピュータシステムが可能となる。また、複数のコ
ンピュータシステム等を上記光送信モジュールや光送受
信モジュールを用いて接続した場合、超高速ネットワー
クシステムができる。
【0152】特に面発光型半導体レーザは、端面発光型
レーザに比べて、桁違いに低消費電力化ができ、2次元
アレイ化が容易なので、並列伝送型の光通信システムに
適している。
【0153】実施例5 実施例5の面発光型半導体レーザ素子は、図10の構成
において、非発光再結合防止層であるGaxIn1-xy
As1-y(0<x≦1,0<y≦1)層203,208
がGaxIn1-xyAs1-y(x=0.55、y=1)と
なっている点で、実施例2と相違している。
【0154】実施例5の面発光型半導体レーザ素子で
は、実施例2の効果の他に、GaxIn1-xyAs
1-y(0<x≦1,0<y≦1)層203,208が歪
を有しているので、成長中に生じた欠陥や、基板の欠陥
の成長層へ這い上がりを一部この層で抑えることがで
き、発光効率を改善することができた。また、そこそこ
の結晶品質のn側多層膜反射鏡(下部反射鏡)204で
も容易に高歪を有する活性層を成長できた。このよう
に、活性層の圧縮歪量が例えば2%以上の層を成長でき
たり、歪層の厚さを臨界膜厚より厚く成長することが可
能となった。
【0155】さらに、このGaxIn1-xyAs1-y(0
<x≦1,0<y≦1)層203,208は活性領域に
接しており、GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0
<y≦1)層203,208は格子定数が小さくなるほ
どバンドギャップエネルギーを大きく取れるので、活性
領域とGaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦
1)層のヘテロ障壁は大きくなり、キャリア閉じ込めが
良好となり、しきい値電流低減、温度特性改善などの効
果があった。具体的に、実施例5では、バンドギャップ
は実施例2の素子(Ga0.5In0.5P)に比べて、70
meV程度大きくなった。
【0156】実施例6 実施例6の面発光型半導体レーザ素子は、図10の構成
において、非発光再結合防止層であるGaxIn1-xy
As1-y(0<x≦1,0<y≦1)層203,208
がGaxIn1-xyAs1-y(x=0.45、y=1)と
なっている点で、実施例2と相違している。
【0157】実施例6の面発光型半導体レーザ素子で
は、実施例2の効果の他に、GaxIn1-xyAs
1-y(0<x≦1,0<y≦1)層203,208が歪
を有しているので、成長中に生じた欠陥や、基板の欠陥
の成長層へ這い上がりを一部この層で抑えることがで
き、発光効率を改善することができた。また、そこそこ
の結晶品質のn側多層膜反射鏡(下部反射鏡)204で
も容易に高歪を有する活性層を成長できた。このよう
に、活性層の圧縮歪量が例えば2%以上の層を成長でき
たり、歪層の厚さを臨界膜厚より厚く成長することが可
能となった。
【0158】さらに、実施例6では、GaxIn1-xy
As1-y(0<x≦1,0<y≦1)層203,208
の歪の方向が活性層206aと同じ方向なので、歪層の
挿入効果のほかに、活性層206aが感じる実質的な圧
縮歪量を低減する方向に働き、活性層成長直前の表面に
ある欠陥の影響を低減できた。このため更に高品質に活
性層を成長でき、特性が向上した。
【0159】特に、厚膜成長が必要な長波長帯の面発光
レーザの場合、有効であることがわかった。例えば1.
3μm帯GaInNAs面発光レーザはGaAs基板上
に形成し、共振器には半導体多層膜反射鏡を用いる場合
が多く、全体の厚さが5〜8μmで50〜80層の半導
体層を活性層成長前に成長する必要がある。一方、端面
型の場合、活性層成長前の全体の厚さは2μm程度で3
層程度の半導体層を成長するだけで良い。この場合、高
品質のGaAs基板を用いてもさまざまな原因で(一度
発生した欠陥は基本的には結晶成長方向に這い上がる
し、ヘテロ界面での欠陥発生などがある)、GaAs基
板表面の欠陥密度に比べて活性層成長直前の表面の欠陥
密度はどうしても増えてしまう。活性層成長以前に、歪
層の挿入や、活性層が感じる実質的な圧縮歪量が低減す
ると、活性層成長直前の表面にある欠陥の影響を低減で
きるので、面発光レーザなどの厚膜成長層を高品質に得
ることが容易になる。
【0160】実施例7 図20(a),(b)は実施例7の面発光型半導体レー
ザ素子の構成例を示す図である。なお、図20(b)は
図20(a)の活性領域の拡大図である。
【0161】図20(a),(b)を参照すると、実施
例7の面発光型半導体レーザ素子は、n−GaAs基板
301上に、下部反射鏡302と、非発光再結合防止層
303と、多重量子井戸活性層306と、上部反射鏡3
09とが積層されて形成されている。ここで、下部反射
鏡302は、n−AlxGa1-xAs(x=0.9)とn
−AlxGa1-xAs(x=0)を交互に積層して形成さ
れている。また、多重量子井戸活性層306は、3層の
GaxIn1-xyAs1-y量子井戸層である活性層(量子
井戸活性層)306aとGaAsバリア層306bとか
ら構成されている。すなわち、実施例7の面発光型半導
体レーザ素子では、下部反射鏡302がAlを含んだ層
であり、活性層306が窒素を含んだ層である。また、
図20(a),(b)において、符号340は3λ/4
の厚さの低屈折率層である。
【0162】図20(a),(b)の面発光型半導体レ
ーザ素子の結晶成長は、MOCVD法で行った。この
際、Alを含んだ層のAl原料としてTMAを用い、窒
素を含んだ層(GaInNAs)の窒素の原料にはDM
Hyを用いた。
【0163】実施例7の素子の実施例2の素子との違い
は、非発光再結合防止層303の下のGaAs層310
の途中(破線Bで示す部分)で成長中断して、成長中断
中に、成長室内の窒素化合物原料または窒素化合物原料
中に含まれる不純物が触れる場所に残留したAl原料、
または、Al反応物、または、Al化合物、または、A
lを、キャリアガスである水素でパージして除去してい
る点である。ここで、パージ時間は60分とした。ま
た、この実施例7では、成長中断中、ウエハは反応室に
入れたままとした。
【0164】これにより、GaInNAs活性層306
中のAl濃度を3×1017cm-3以下まで低減すること
ができ、GaInNAs活性層306中の酸素濃度を1
×1017cm-3とバックグラウンドレベルまで低減でき
た。この結果、窒素を含む活性層306の発光効率を改
善することができ、素子のしきい値を低減することがで
きた。
【0165】なお、実施例7では、成長中断を非発光再
結合防止層303の下のGaAs層310で行ったが、
成長中断を非発光再結合防止層303の途中で行なって
も良い。
【0166】また、実施例7では、成長中断してAl原
料、または、Al反応物、または、Al化合物、また
は、Alをパージしたが、成長中断をせずに成長速度を
遅くし、Alを含んだ層と窒素を含んだ活性層との間の
成長時間を長くして、成長させながらパージしても良
い。
【0167】また、実施例7では、実施例2と異なり、
上部非発光再結合防止層は設けておらず、また非発光再
結合防止層をエッチングストップ層としても用いていな
いが、実施例2のように用いても良い。
【0168】実施例8 図21(a),(b)は実施例8の面発光型半導体レー
ザ素子の構成例を示す図である。なお、図21(b)は
図21(a)の活性領域の拡大図である。
【0169】図21(a),(b)を参照すると、実施
例8の面発光型半導体レーザ素子は、n−GaAs基板
401上に、n−半導体分布ブラッグ反射鏡(下部反射
鏡)410と、共振器部413と、p−半導体分布ブラ
ッグ反射鏡(上部反射鏡)412とが積層されて構成さ
れている。ここで、下部反射鏡410の最上層は、Al
GaAs低屈折率層409となっており、また、上部反
射鏡412の最下層は、AlGaAs低屈折率層411
となつている。また、共振器部413は、3層のGaI
nNAs量子井戸層406aとGaAs障壁層406b
とからなる活性層406と、GaAs第一障壁層40
5,407と、GaxIn1-xyAs1-y(x=0.5,
y=1)非発光再結合防止層(第二障壁層)403,4
08とからなっている。
【0170】実施例8の面発光型半導体レーザ素子の実
施例2の素子との違いは、非発光再結合防止層403,
408が共振器部413の中にあることである。また、
実施例8では、共振器部413の厚さは1波長分の厚さ
となっている。
【0171】図21(a),(b)の構造において、G
xIn1-xyAs1-y(x=0.5,y=1)非発光再
結合防止層(第二障壁層)403,408のバンドギャ
ップはGaAs第一障壁層405,407のバンドギャ
ップよりも大きく、キャリアが注入される活性領域は実
質GaAs第一障壁層405,407までとなるので、
実施例2の素子と同様な効果が得られる。
【0172】また、実施例7の素子のように成長中断を
設ける場合は、下部非発光再結合防止層403の途中に
設けたり、下部非発光再結合防止層403とAlを含ん
だ層(例えば、409)との間にGaAs層を設けてそ
の層の途中などで行うことができる。
【0173】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1記載の
発明によれば、上下反射鏡に挟まれた、キャリアが注入
される活性領域(活性層を含む)において、下部反射鏡
がAlを含んだ半導体層を含む半導体分布ブラッグ反射
鏡からなっていても、活性層と前記反射鏡との間に非発
光再結合防止層を設けたことにより、結晶成長時に生じ
るAlに起因する結晶欠陥の活性層への這い上がりによ
る悪影響が抑えられ、活性層を高品質に結晶成長させる
ことができ、Alに起因する結晶欠陥が原因となる非発
光再結合が低減し、面発光レーザとして動作させること
ができる。さらに、発光効率や信頼性を向上させること
ができる。また、半導体分布ブラッグ反射鏡の低屈折率
層のすべてをGaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0
<y≦1)層に変えた場合に比べ、主に屈折率差が大き
く少ない積層数で高反射率が得られるAlGaAs系か
らなる反射鏡なので、反射鏡の積層数や素子全体の膜厚
を大きく増加させることなく、上記効果を得ることがで
きる。すなわち、請求項1記載の発明によれば、総厚を
増加させることなく、作製が容易で、動作電流が小さ
く、信頼性に優れた面発光型半導体レーザ素子を提供す
ることができる。
【0174】また、請求項2記載の発明によれば、上下
の半導体分布ブラッグ反射鏡に挟まれた、キャリアが注
入される活性領域において、上下反射鏡がAlを含んだ
半導体層を含む半導体分布ブラッグ反射鏡からなってい
ても、活性層と前記反射鏡との間に非発光再結合防止層
を設けたことにより、結晶成長時に生じるAlに起因す
る結晶欠陥の活性層への這い上がりによる悪影響が抑え
られ、Alに起因する結晶欠陥の導入が低減し、活性層
を高品質に結晶成長させることができる。さらに、キャ
リアが注入される活性領域の上下ともに非発光再結合防
止層で挟まれているので、Alに起因する結晶欠陥が原
因となる非発光再結合が低減し、容易に発光効率を高く
でき、面発光レーザとしてより信頼性良く動作させるこ
とができる。同様に、この結晶欠陥が原因となって素子
の信頼性を損なうことがなくなる。一方の反射鏡の片側
だけに非発光再結合防止層を入れてもこれらの効果はあ
るが、両方の反射鏡の側に非発光再結合防止層を用いる
と、その効果は大きい。また、半導体分布ブラッグ反射
鏡の低屈折率層のすべてをGaxIn1-xyAs1-y(0
<x≦1,0<y≦1)層に変えた場合に比べ、主に屈
折率差が大きく少ない積層数で高反射率が得られるAl
GaAs系からなる反射鏡なので、反射鏡の積層数や素
子全体の膜厚を大きく増加させることなく、上記効果を
得ることができる。すなわち、請求項2記載の発明によ
れば、総厚を増加させることなく、作製が容易で、動作
電流が小さく、より一層信頼性に優れた面発光型半導体
レーザ素子を提供することができる。
【0175】また、請求項3記載の発明によれば、非発
光再結合防止層としてGaxIn1-xyAs1-y(0<x
≦1,0<y≦1)層を用いているので、次のような効
果を奏することができる。すなわち、GaxIn1-xy
As1-y(0<x≦1,0<y≦1)層はAlを含まな
い構成(III族における組成が1%以下)となってお
り、さらにバンドギャップはGaAsより大きくできる
ので、活性層材料のバンドギャップが例えばGaAsよ
り小さい材料を用いた場合に、GaxIn1-xyAs1-y
(0<x≦1,0<y≦1)層を超えてAlを含んだ層
に漏れるキャリアをほぼなくすことができ、非発光再結
合を防止できる。このため、動作電流が小さく信頼性に
優れた面発光型半導体レーザ素子を提供することができ
る。
【0176】また、請求項4記載の発明によれば、前記
GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層
の格子定数はGaAs基板よりも小さく、引張り歪を有
しているので、次のような効果を奏することができる。
すなわち、GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<
y≦1)層が歪層となるので、成長中に生じた欠陥や、
基板の欠陥の成長層へ這い上がりを抑えられ、発光効率
が改善されたり、活性層の圧縮歪量が例えば2%以上の
層を成長できたり、歪層の厚さを臨界膜厚より厚く成長
することが可能となる。
【0177】さらに、このGaxIn1-xyAs1-y(0
<x≦1,0<y≦1)層は活性領域に接しており、G
xIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層は
格子定数が小さくなるほどバンドギャップエネルギーを
大きく取れるので、活性領域とGaxIn1-xyAs1-y
(0<x≦1,0<y≦1)層のヘテロ障壁は大きくな
り、キャリア閉じ込めが良好となり、しきい値電流低
減、温度特性改善などの効果がある。
【0178】また、請求項5記載の発明によれば、前記
GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層
は、格子定数がGaAsからなる半導体基板の格子定数
よりも大きく、圧縮歪を有しているので、次のような効
果を奏することができる。すなわち、GaxIn1-xy
As1-y(0<x≦1,0<y≦1)層が歪層となるの
で、成長中に生じた欠陥や、基板の欠陥の成長層へ這い
上がりを抑えられ、発光効率が改善されたり、活性層の
圧縮歪量が例えば2%以上の層を成長できたり、歪層の
厚さを臨界膜厚より厚く成長することが可能となる。
【0179】さらに、GaxIn1-xyAs1-y(0<x
≦1,0<y≦1)層の歪の方向が活性層と同じ方向な
ので、歪層の挿入効果の他に、活性層が感じる実質的な
圧縮歪量を低減する方向に働き、活性層成長直前の表面
にある欠陥の影響を低減できるようになり、高品質に活
性層を成長でき特性が向上する。特に、厚膜成長が必要
な長波長帯の面発光レーザの場合に有効である。
【0180】また、請求項6記載の発明では、Al,A
sを主成分としたAlGaAs系に対して、Pを含んだ
GaInPAs系,すなわち非発光再結合防止層はエッ
チング停止層として機能することができるため、非発光
再結合防止層よりも上部にAl,Asを主成分とした被
選択酸化層を選択的に酸化してなる電流狭さく層を設け
る場合、選択酸化のためのメサエッチングの高さを厳密
に制御できる。これにより、素子作製における制御性が
良好になるとともに、素子特性の均一性,再現性を高め
られ、歩留まりは高くなり低コスト化できる。
【0181】また、請求項7記載の発明によれば、活性
層にGaInNAs,GaInAsのいずれかの材料を
用いることにより、GaAs基板上に0.9μm以上の
長波長帯面発光レーザを形成できる。
【0182】また、請求項8記載の発明によれば、活性
層は、歪量が2.0%以上の圧縮歪を有していることに
より、従来できなかった波長の面発光レーザの実現が可
能となる。例えばGaInAsを活性層に用いた場合
は、1.1μmよりも長波長の面発光型半導体レーザを
提供することができる。また、GaInNAsを活性層
に用いると、活性層の結晶性に優れ、しきい値電流密度
が小さく、信頼性に優れた1.3μmよりも長波長の面
発光型半導体レーザを提供することができる。
【0183】また、請求項9記載の発明によれば、請求
項6記載の面発光型半導体レーザが一次元または二次元
に集積されて構成されているので、均一性,再現性に優
れた面発光型半導体レーザアレイを提供することができ
る。すなわち、アレイ化した場合、面内の均一性が各素
子間の特性ばらつきに影響する。前述のようにAlGa
As系に対してGaInPAs系はエッチング停止層と
して用いることができるため、選択酸化のためのメサエ
ッチングの高さをアレイ中の各素子間で厳密に制御でき
る。このため、素子作製における制御性が良好になると
ともに、アレイ中の各素子間での素子特性の均一性,再
現性に優れた面発光型半導体レーザアレイを提供でき
る。
【0184】また、請求項10記載の発明によれば、請
求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の面発光型半
導体レーザ、または、請求項9記載の面発光型半導体レ
ーザアレイが光源として用いられているので(すなわ
ち、低コストかつ高品質で信頼性の高い優れた面発光型
半導体レーザを用いることによって)、低コストかつ高
性能で信頼性の高い光送信モジュールを提供することが
できる。
【0185】また、請求項11記載の発明によれば、請
求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の面発光型半
導体レーザ、または、請求項9記載の面発光型半導体レ
ーザアレイが光源として用いられているので(すなわ
ち、低コストかつ高品質で信頼性の高い優れた面発光型
半導体レーザを用いることによって)、低コストかつ高
性能で信頼性の高い光送受信モジュールを提供すること
ができる。
【0186】また、請求項12記載の発明によれば、請
求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の面発光型半
導体レーザ、または、請求項9記載の面発光型半導体レ
ーザアレイが光源として用いられているので(すなわ
ち、低コストかつ高品質で信頼性の高い優れた面発光型
半導体レーザを用いることによって)、低コストかつ高
性能で信頼性の高い光ファイバー通信システム,光イン
ターコネクションシステムなどの光通信システムを提供
することができる。
【0187】また、請求項13記載の発明によれば、請
求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の面発光型半
導体レーザ素子の製造方法において、前記活性層は、窒
素を含んだ半導体層で形成されており、Alを含んだ半
導体層の成長後、窒素を含む活性層の成長開始までの間
に、窒素化合物原料または窒素化合物原料中に含まれる
不純物が触れる場所となるガス供給ライン中もしくは成
長室内に残留したAl原料、または、Al反応物、また
は、Al化合物、または、Alを除去する工程を設けた
ので、窒素を含んだ活性層の成長時に酸素が取り込まれ
るのを低減でき、Alを含んだ半導体層の上部に窒素を
含んだ活性層が形成される半導体発光素子においても発
光効率を低減させることなく半導体発光素子を結晶成長
することができる。
【0188】また、請求項14記載の発明によれば、請
求項13記載の面発光型半導体レーザ素子の製造方法に
おいて、Alを含んだ半導体層の成長後、非発光再結合
防止層の成長終了後までの間に、窒素化合物原料または
窒素化合物原料中に含まれる不純物が触れる場所となる
ガス供給ライン中もしくは成長室内に残留したAl原
料、または、Al反応物、または、Al化合物、また
は、Alをキャリアガスでパージする工程を設けるの
で、窒素を含んだ活性層の成長時に酸素が取り込まれる
のを低減できるとともに、素子動作時に電流注入させた
とき、成長中断界面に取り込まれる酸素に起因した非発
光再結合の悪影響を受けることが無くなり、Alを含ん
だ半導体層の上部に窒素を含んだ活性層が形成される半
導体発光素子においても更に、発光効率の高い半導体発
光素子を得ることができる。
【0189】また、請求項15記載の発明によれば、請
求項13または請求項14記載の面発光型半導体レーザ
素子の製造方法において、少なくとも有機金属Al原料
と窒素化合物原料を用いたMOCVD法で面発光型半導
体レーザ素子を結晶成長するので、窒素化合物原料また
は窒素化合物原料中に含まれる不純物が触れる場所とな
るガス供給ライン中もしくは成長室内に残留したAl原
料、または、Al反応物、または、Al化合物、また
は、Alを除去することにより、除去しない場合に比べ
て、半導体発光素子の発光効率を極めて高くすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の面発光型半導体レー
ザ素子の構成例を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の面発光型半導体レー
ザ素子の構成例を示す図である。
【図3】本発明の第6の実施形態の面発光型半導体レー
ザ素子の第1の構成例を示す図である。
【図4】本発明の第6の実施形態の面発光型半導体レー
ザ素子の第2の構成例を示す図である。
【図5】GaAs基板上のGaInAs層の臨界膜厚の
理論値と実験値とを示す図である。
【図6】GaInAs単一量子井戸層からのPL中心波
長とPL強度との関係を示す図である。
【図7】In組成10%のGaInNAs半導体レーザ
(端面発光型)の窒素組成に対するしきい値電流密度の
例を示す図である。
【図8】本発明による高圧縮歪GaInAs/GaAs
−DQWレーザの発振波長としきい値電流密度との関係
を示す図である。
【図9】実施例1の面発光型半導体レーザの構成を示す
図である。
【図10】実施例2の面発光型半導体レーザの構成を示
す図である。
【図11】実施例2の1.3μm帯GaInNAs面発
光型半導体レーザと石英系光ファイバーとを組み合わせ
た光送信モジュールの概要を示す図である。
【図12】実施例2の1.3μm帯GaInNAs面発
光型半導体レーザと受信用フォトダイオードと光ファイ
バーとを組み合わせた光送受信モジュールの概要を示す
図である。
【図13】GaInNAs/GaAs2重量子井戸構造
からなる活性層からの室温フォトルミネッセンススペク
トルを示す図である。
【図14】第13の実施形態を説明するのに用いられた
試料の基本構造を示す図である。
【図15】図14に示した半導体レーザ素子の一例とし
て、クラッド層をAlGaAsとし、中間層をGaAs
とし、活性層をGaInNAs/GaAs2重量子井戸
構造として構成した素子を1台のエピタキシャル成長装
置(MOCVD)を用いて形成したときの、窒素(N)
濃度と酸素(O)濃度の深さ方向分布を示す図である。
【図16】図15と同じ試料でのAl濃度の深さ方向分
布を示す図である。
【図17】第14の実施形態による半導体レーザ素子の
一例を示す図である。
【図18】図17の半導体レーザ素子の第1の下部中間
層と第2の下部中間層の間で成長中断し、パージ時間を
60分設けた半導体レーザ素子におけるAl濃度の深さ
方向分布の測定結果を示す図である。
【図19】図18の場合と同じ素子について、窒素
(N)濃度と酸素(O)濃度の深さ方向分布を測定した
結果を示す図である。
【図20】実施例7の面発光型半導体レーザ素子の構成
例を示す図である。
【図21】実施例8の面発光型半導体レーザ素子の構成
例を示す図である。
【符号の説明】
1,11 半導体基板 2,12 活性層 3,13 活性領域 4,14 上部反射鏡 5,15 下部反射鏡 6,16,17 非発光再結合防止層 8,18 電流狭さく層 101 n−GaAs基板 102 n−AlGaAs/n−GaAs層 103 n−GaInP層 104 下部反射鏡 105 下部GaAsスペーサ層 106 多重量子井戸活性層 106a 量子井戸活性層 106b GaAsバリア層 107 上部GaAsスペーサ層 108 CドープP−GaInP層 109 上部反射鏡 110 コンタクト層 111 高抵抗部 112 p側電極 113 n側電極 114 光出射部 201 n−GaAs基板 202 n−AlGaAs/n−GaAs層 203 n−GaInP層 204 下部反射鏡 205 下部GaAsスペーサ層 206 多重量子井戸活性層 207 上部GaAsスペーサ層 208 GaInP層 209 上部反射鏡 230 AlAs層 210 コンタクト層 220 電流狭さく部 221 ポリイミド(絶縁膜) 214 光出射部 212 p側電極 213 n側電極 501 GaAs基板 502 下部クラッド層(第1の半導体層) 503 中間層 504 活性層 505 上部クラッド層(第2の半導体層) 601 第1下部中間層 602 第2下部中間層 301 n−GaAs基板 302 下部反射鏡 303 非発光再結合防止層 306 活性層 309 上部反射鏡 340 低屈折率層 401 n−GaAs基板 410 下部反射鏡 413 共振器部 412 上部反射鏡 409,411 AlGaAs低屈折率層 406 活性層 405,407 GaAs第一障壁層 403,408 非発光再結合防止層(第二障壁層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 軸谷 直人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 上西 盛聖 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 伊藤 彰浩 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 5F073 AA51 AA53 AA74 AB17 BA01 BA04 CA07 CB02 DA05 EA15 EA28 5K002 BA13 BA15 FA01

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に、レーザ光を発生する少
    なくとも1層の活性層を含む活性領域と、レーザ光を得
    るために活性層の上部および下部に設けられた上部反射
    鏡および下部反射鏡を含む共振器構造を有する面発光型
    半導体レーザ素子において、前記下部反射鏡は、屈折率
    が周期的に変化し入射光を光波干渉によって反射する半
    導体分布ブラッグ反射鏡を含み、該半導体分布ブラッグ
    反射鏡の屈折率が小さい層はAlxGa1-xAs(0<x
    ≦1)からなり、半導体分布ブラッグ反射鏡の屈折率が
    大きい層はAlyGa1-yAs(0≦y<x≦1)からな
    り、また、前記活性層と前記下部反射鏡との間には、非
    発光再結合防止層が設けられていることを特徴とする面
    発光型半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 半導体基板上に、レーザ光を発生する少
    なくとも1層の活性層を含む活性領域と、レーザ光を得
    るために活性層の上部および下部に設けられた上部反射
    鏡および下部反射鏡を含む共振器構造を有する面発光型
    半導体レーザ素子において、前記上部反射鏡および下部
    反射鏡は、それぞれ、屈折率が周期的に変化し入射光を
    光波干渉によって反射する半導体分布ブラッグ反射鏡を
    含み、半導体分布ブラッグ反射鏡の屈折率が小さい層は
    AlxGa1-xAs(0<x≦1)からなり、半導体分布
    ブラッグ反射鏡の屈折率が大きい層はAlyGa1-yAs
    (0≦y<x≦1)からなり、また、前記活性層と前記
    上部反射鏡との間、および、前記活性層と前記下部反射
    鏡との間には、それぞれ、非発光再結合防止層が設けら
    れていることを特徴とする面発光型半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の面発光型
    半導体レーザ素子において、前記半導体基板はGaAs
    であり、前記非発光再結合防止層はGaxIn1-xy
    1-y(0<x≦1,0<y≦1)層であることを特徴
    とする面発光型半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の面発光型半導体レーザ素
    子において、前記GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦
    1,0<y≦1)層は、格子定数がGaAsからなる半
    導体基板の格子定数よりも小さく、引張り歪を有してい
    ることを特徴とする面発光型半導体レーザ素子。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の面発光型半導体レーザ素
    子において、前記GaxIn1-xyAs1-y(0<x≦
    1,0<y≦1)層は、格子定数がGaAsからなる半
    導体基板の格子定数よりも大きく、圧縮歪を有してお
    り、また、前記活性層は、格子定数が前記GaxIn1-x
    yAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層の格子定数よ
    りも大きく、圧縮歪を有していることを特徴とする面発
    光型半導体レーザ素子。
  6. 【請求項6】 請求項3乃至請求項5のいずれか一項に
    記載の面発光型半導体レーザ素子において、前記Gax
    In1-xyAs1-y(0<x≦1,0<y≦1)層より
    も上部には、Al,Asを主成分とした被選択酸化層を
    選択的に酸化してなる電流狭さく層が設けられているこ
    とを特徴とする面発光型半導体レーザ素子。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に
    記載の面発光型半導体レーザ素子において、前記活性層
    は、GaInNAs,GaInAsのいずれかの材料で
    形成されていることを特徴とする面発光型半導体レーザ
    素子。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に
    記載の面発光型半導体レーザ素子において、前記活性層
    は、歪量が2.0%以上の圧縮歪を有していることを特
    徴とする面発光型半導体レーザ素子。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の面発光型半導体レーザ素
    子が複数個配列されて構成されていることを特徴とする
    面発光型半導体レーザアレイ。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項8のいずれか一項
    に記載の面発光型半導体レーザ素子、または、請求項9
    記載の面発光型半導体レーザアレイが光源として用いら
    れていることを特徴とする光送信モジュール。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至請求項8のいずれか一項
    に記載の面発光型半導体レーザ素子、または、請求項9
    記載の面発光型半導体レーザアレイが光源として用いら
    れていることを特徴とする光送受信モジュール。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項8のいずれか一項
    に記載の面発光型半導体レーザ素子、または、請求項9
    記載の面発光型半導体レーザアレイが光源として用いら
    れていることを特徴とする光通信システム。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至請求項6のいずれか一項
    に記載の面発光型半導体レーザ素子の製造方法におい
    て、前記活性層は、窒素を含んだ半導体層で形成されて
    おり、Alを含んだ半導体層の成長後、窒素を含む活性
    層の成長開始までの間に、窒素化合物原料または窒素化
    合物原料中に含まれる不純物が触れる場所となるガス供
    給ライン中もしくは成長室内に残留したAl原料、また
    は、Al反応物、または、Al化合物、または、Alを
    除去する工程を設けることを特徴とする面発光型半導体
    レーザ素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の面発光型半導体レー
    ザ素子の製造方法において、Alを含んだ半導体層の成
    長後、非発光再結合防止層の成長終了後までの間に、窒
    素化合物原料または窒素化合物原料中に含まれる不純物
    が触れる場所となるガス供給ライン中もしくは成長室内
    に残留したAl原料、または、Al反応物、または、A
    l化合物、または、Alをキャリアガスでパージする工
    程を設けることを特徴とする面発光型半導体レーザ素子
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項13または請求項14記載の面
    発光型半導体レーザ素子の製造方法において、少なくと
    も有機金属Al原料と窒素化合物原料を用いたMOCV
    D法で面発光型半導体レーザ素子を結晶成長することを
    特徴とする面発光型半導体レーザ素子の製造方法。
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