JP2002324941A - 光送受信システム - Google Patents

光送受信システム

Info

Publication number
JP2002324941A
JP2002324941A JP2002045462A JP2002045462A JP2002324941A JP 2002324941 A JP2002324941 A JP 2002324941A JP 2002045462 A JP2002045462 A JP 2002045462A JP 2002045462 A JP2002045462 A JP 2002045462A JP 2002324941 A JP2002324941 A JP 2002324941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
light
optical fiber
laser
semiconductor laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002045462A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002324941A5 (ja
Inventor
Takuro Sekiya
卓朗 関谷
Akira Sakurai
彰 桜井
Masayoshi Kato
正良 加藤
Teruyuki Furuta
輝幸 古田
Kazuya Miyagaki
一也 宮垣
Takeshi Kanai
健 金井
Atsuyuki Watada
篤行 和多田
Shunichi Sato
俊一 佐藤
Yukie Suzuki
幸栄 鈴木
Satoru Sugawara
悟 菅原
Shinji Sato
新治 佐藤
Shuichi Hikiji
秀一 曳地
Naoto Jikutani
直人 軸谷
Takashi Takahashi
孝志 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2002045462A priority Critical patent/JP2002324941A/ja
Publication of JP2002324941A publication Critical patent/JP2002324941A/ja
Publication of JP2002324941A5 publication Critical patent/JP2002324941A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)
  • Optical Couplings Of Light Guides (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 動作電圧、発振閾値電流等を低くできる面発
光型半導体レーザ素子チップを発光光源として利用し、
当該面発光型半導体レーザ素子チップ、もしくは当該チ
ップを収容するモジュールパッケージから引き出される
光ファイバーケーブルのファイバーケーブル長を一定長
以上とすることで当該パッケージのアセンブリ製作の生
産性の向上を図るとともに、容易に光通信システムを構
築できるようにすることにある。 【解決手段】 n−GaAs基板2上に、n−半導体分
布ブラッグ反射鏡3を形成し、その上にλ/4の厚さの
n−GaIn1−xAs1−y層11を積層し
た。そしてその上にアンドープ下部GaAsスペーサ層
4と、3層のGaIn1−xAs量子井戸層である活
性層(量子井戸活性層)12とGaAsバリア層(20
nm)13からなる多重量子井戸活性層と、アンドープ
上部GaAsスペーサ層4とが積層されて、媒質内にお
ける発振波長λの1波長分の厚さ(λの厚さ)の共振器
を形成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光通信などに用いら
れる半導体レーザならびにその光送受信システムに関
し、さらに詳しくは、半導体レーザとして製作に使用す
る半導体基板面に対して垂直方向に光を発するいわゆる
面発光レーザを用い複数のレーザ素子を形成して、大容
量の通信を可能にした光送受信システムに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】面発光半導体レーザは、基板の表面から
垂直方向にレーザ光を放射するので2次元並列集積が可
能であり、更に、その出力光の広がり角が比較的狭い
(10度前後)ので光ファイバとの結合が容易であるほ
か、素子の検査が容易であるという特徴を有している。
そのため、特に、並列伝送型の光送信モジュール(光イ
ンタコネクション装置)を構成するのに適した素子とし
て開発が盛んに行なわれている。光インタコネクション
装置の当面の応用対象は、コンピュータ等の筐体間やボ
ード間の並列接続のほか、短距離の光ファイバー通信で
あるが、将来の期待される応用として大規模なコンピュ
ータ・ネットワークや長距離大容量通信の幹線系があ
る。一般に、面発光半導体レーザは、GaAs又はGa
InAsからなる活性層と、当該活性層を上下に挟んで
配置された上部の半導体分布ブラッグ反射鏡と基板側の
下部の半導体分布ブラッグ反射鏡からなる光共振器をも
って構成するのが普通であるが、端面発光型半導体レー
ザの場合に比較して光共振器の長さが著しく短いため、
反射鏡の反射率を極めて高い値(99%以上)に設定す
ることによってレーザ発振を起こし易くする必要があ
る。このため、通常は、AlAsからなる低屈折率材料
とGaAsからなる高屈折率材料を1/4波長の周期で
交互に積層することによって形成した半導体分布ブラッ
グ反射鏡が使用されている。ところで上記のように、光
通信に使用されるようなレーザ波長が1.1μm以上の
長波長帯レーザ、例えばレーザ波長が1.3μm帯や
1.55μm帯であるような長波長帯レーザは、製作基
板にInPが用いられ、活性層にInGaAsPが用い
られるが、基板のInPの格子定数が大きく、これに整
合する反射鏡材料では屈折率差が大きく取れず、従って
積層数を40対以上とする必要がある。またInP基板
上に形成される半導体レーザには、別の問題として、温
度によって特性が大きく変化する点がある。そのため、
温度を一定にする装置を付加して使用する必要があり、
民生用等一般用に供することが困難であり、このような
積層数と温度特性の問題から、実用的な長波長帯面発光
半導体は、未だ実用化されるに至っていない。
【0003】このような問題を解決するためになされた
発明として、特開平9−237942号公報に開示され
たものが知られている。それによると、製作基板として
GaAs基板を用い、基板側の下部上部のうち少なくと
も一方の半導体分布ブラッグ反射鏡の低屈折率層に同基
板と格子整合が取れるAlInPからなる半導体層を用
い、さらに、下部上部のうち少なくとも一方の半導体分
布ブラッグ反射鏡の高屈折率層にGaInNAsからな
る半導体層を用い、従来よりも大きい屈折率差を得るよ
うにし、少ない積層数で高反射率の半導体分布ブラッグ
反射鏡を実現しようというものである。また、GaIn
NAsを活性層の材料として使用している。これは、N
組成を増加させることによってバンドギャップ(禁制帯
幅)を1.4eVから0eVへ向かって低下させること
ができるので、0.85μmよりも長い波長を発光する
材料として用いることが可能となるからである。しかも
GaAs基板と格子整合が可能なので、GaInNAs
からなる半導体層は、1.3μm帯及び1.55μm帯
の長波長帯面発光半導体レーザのための材料として好ま
しい点についても言及している。しかしながら、従来は
0.85μmよりも長い波長帯の面発光半導体レーザ実
現の可能性を示唆するにとどまっているだけであり、実
際にはそのようなものは実現していない。これは基本的
な構成は理論的にはほぼ決まってはいるものの、実際に
安定したレーザ発光が得られるようにするための、より
具体的な構成がまだ不明だからである。
【0004】一例を挙げると、上記のようにAlAsか
らなる低屈折率材料とGaAsからなる高屈折率材料を
1/4波長の周期で交互に積層することによって形成し
た半導体分布ブラッグ反射鏡を使用したものや、あるい
は特開平9−237942号公報に開示されたもののよ
うに、半導体分布ブラッグ反射鏡の低屈折率層に同基板
と格子整合が取れるAlInPからなる半導体層を用い
たものにおいては、レーザ素子が全く発光しなかった
り、あるいは、発光してもその発光効率が低く、実用レ
ベルには程遠いものであった。これは、Alを含んだ材
料が化学的に非常に活性であり、Alに起因する結晶欠
陥が生じ易いためである。これを解決するためには、特
開平8−340146号公報や特開平7−307525
号公報に開示された発明のようにAlを含まないGaI
nNPとGaAsとから半導体分布ブラッグ反射鏡を構
成する提案がある。しかしながら、GaInNPとGa
Asとの屈折率差はAlAsとGaAsとの屈折率差に
比べて約半分であり、反射鏡の積層数を非常に多くなり
製作が困難となる。すなわち現状では、コンピュータ・
ネットワークなどで光ファイバー通信が期待されている
が、それに使用できるレーザ波長が1.1μm〜1.7
μmの長波長帯面発光半導体レーザおよびそれを用いた
通信システムが存在せず、その出現が切望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる課題
に鑑み、光通信などに用いられるレーザ発振波長が1.
1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レーザなら
びにその光通信システムに関するものであり、その第1
の目的は、動作電圧、発振閾値電流等を低くできる面発
光型半導体レーザ素子チップを発光光源として利用した
省エネルギー、低コストの光送受信システムを提案する
ことにある。また第2の目的もレーザ発振波長が1.1
μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レーザならび
にその光通信システムに関するものであり、実用的な長
波長帯面発光半導体レーザおよびこれを用いた光送受信
システムを提案することにある。さらに第3の目的は、
安定して使用できるレーザ発振波長が1.1μm〜1.
7μmの長波長帯面発光半導体レーザ素子チップを発光
光源として利用した大容量の光送受信システムを提案す
ることにある。また第4の目的は、このような長波長帯
面発光半導体レーザの特徴を活かした大容量の光送受信
システムの半導体レーザ素子と光ファイバー群間の接続
を効率よくできるようにすることにある。さらに第5の
目的は、このような長波長帯面発光半導体レーザの特徴
を活かした大容量の光送受信システムの半導体レーザ素
子と光ファイバー間の光授受を効率よくできるようにす
ることにある。また第6の目的は、このような長波長帯
面発光半導体レーザの特徴を活かした大容量の光送受信
システムの半導体レーザ素子と光ファイバー群間の接続
を精度よくできるようにすることにある。さらに第7の
目的は、このような長波長帯面発光半導体レーザの特徴
を活かした大容量の光送受信システムの光ファイバー群
間どうしの接続を効率よくできるようにすることにあ
る。また第8の目的は、このような長波長帯面発光半導
体レーザの特徴を活かした大容量の光送受信システムの
光ファイバー群間どうしの接続を精度よくできるように
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題を解
決するために、請求項1は、レーザチップと、該レーザ
チップと接続され該レーザチップのレーザ光を受光する
第1の光ファイバーと、該第1の光ファイバーの光を伝
達する送信用の第2の光ファイバーと、該第2の光ファ
イバーの光を受光する第3の光ファイバーと、該第3の
光ファイバーの光を受光する受光手段を備えた光送受信
システムにおいて、前記レーザチップは発振波長が1.
1μm〜1.7μmであり、光を発生する活性層の主た
る元素がGa、In、N、Asからなる層、若しくはG
a、In、Asよりなる層とし、レーザ光を得るために
前記活性層の上部及び下部に設けられた反射鏡を含んだ
共振器構造を有する面発光型半導体レーザ素子チップで
あって、前記反射鏡は反射波長が1.1μm以上で、該
反射鏡を構成する材料層の屈折率が小大と異なる値に周
期的に変化し、入射光を光波干渉によって反射する半導
体分布ブラッグ反射鏡であるとともに、前記屈折率が小
の材料層はAlGa1−xAs(0<x≦1)とし、
前記屈折率が大の材料層はAlGa1−yAs(0≦
y<x≦1)とし、かつ前記屈折率が小と大の材料層の
間に該屈折率が小と大の間の値をとるAlGa1−z
As(0≦y<z<x≦1)よりなるヘテロスパイク緩
衝層を20nm〜50nmの厚さに設けた反射鏡である
ような面発光型半導体レーザ素子チップを発光光源とし
たことを特徴とする。コンピュータ・ネットワーク、長
距離大容量通信の幹線系など光ファイバー通信が期待さ
れているレーザ発振波長が1.1μm帯〜1.7μm帯
の分野において、動作電圧、発振閾値電流等を低くで
き、レーザ素子の発熱も少なく安定した発振ができる面
発光型半導体レーザおよびそれを用いた通信システムが
存在しなかったが、本発明のように半導体分布ブラッグ
反射鏡を工夫することにより、動作電圧、発振閾値電流
等を低くでき、レーザ素子の発熱も少なく安定した発振
ができ、また低コストで実用的な光通信システムが実現
できた。すなわち、従来このような用途に使用できるレ
ーザ発振波長が1.1μm帯〜1.7μm帯の長波長帯
面発光半導体レーザが存在しなかったが、本発明のよう
に半導体分布ブラッグ反射鏡を工夫した面発光型半導体
レーザ素子チップにより、動作電圧、発振閾値電流等を
低くでき、発熱も少ない省エネルギー、低コストの安定
した光送受信システム実現できた。かかる発明によれ
ば、半導体分布ブラッグ反射鏡を工夫した面発光型半導
体レーザ素子チップにより、動作電圧、発振閾値電流等
を低くでき、発熱も少ない省エネルギー、低コストの安
定した光送受信システム実現できた。
【0007】請求項2は、レーザチップと、該レーザチ
ップと接続され該レーザチップのレーザ光を受光する第
1の光ファイバーと、該第1の光ファイバーの光を伝達
する送信用の第2の光ファイバーと、該第2の光ファイ
バーの光を受光する第3の光ファイバーと、該第3の光
ファイバーの光を受光する受光手段よりなる光送受信シ
ステムにおいて、前記レーザチップは発振波長が1.1
μm〜1.7μmであり、光を発生する活性層を、主た
る元素がGa、In、N、Asからなる層、もしくはG
a、In、Asよりなる層とし、レーザ光を得るために
前記活性層の上部及び下部に設けられた反射鏡を含んだ
共振器構造を有する面発光型半導体レーザ素子チップで
あって、前記反射鏡は反射波長が1.1μm以上でそれ
を構成する材料層の屈折率が小大と異なる値に周期的に
変化し、入射光を光波干渉によって反射する半導体分布
ブラッグ反射鏡であるとともに、前記屈折率が小の材料
層はAlGa1−xAs(0<x≦1)とし、前記屈
折率が大の材料層はAlGa1−yAs(0≦y<x
≦1)とした反射鏡であり、前記活性層と前記反射鏡の
間に主たる組成がGaIn1−xAs1−y(0
<x≦1、0<y≦1)層よりなる非発光再結合防止層
を設けてなる面発光型半導体レーザ素子チップを発光光
源としたことを特徴とする。コンピュータ・ネットワー
ク、長距離大容量通信の幹線系など光ファイバー通信が
期待されているレーザ発振波長が1.1μm帯〜1.7
μm帯の分野において、安定して使用できる長波長帯面
発光半導体レーザおよびそれを用いた通信システムが存
在しなかったが、本発明のように、非発光再結合防止層
を設けてなる面発光型半導体レーザ素子チップを発光光
源とすることにより、実用的な光送受信システムが実現
できた。すなわち、従来このような用途に使用できるレ
ーザ発振波長が1.1μm帯〜1.7μm帯の長波長帯
面発光半導体レーザが存在しなかったが、本発明のよう
に非発光再結合防止層を設けた面発光型半導体レーザ素
子チップにより、半導体分布ブラッグ反射鏡構成材料の
Alに起因する結晶欠陥、発光効率低下をなくすことが
可能となり、安定したレーザ発振を行うことが可能な長
波長帯面発光半導体レーザが実現し、実用的な光送受信
システムが実現できた。かかる発明によれば、非発光再
結合防止層を設けた面発光型半導体レーザ素子チップに
より、半導体分布ブラッグ反射鏡構成材料のAlに起因
する結晶欠陥、発光効率低下をなくすことが可能とな
り、安定したレーザ発振を行うことが可能な長波長帯面
発光半導体レーザが実現し、実用的な光送受信システム
が実現できた。
【0008】請求項3は、前記レーザチップにはn個の
半導体レーザ素子が形成されているとともに、前記第1
の光ファイバー、第2の光ファイバー、第3の光ファイ
バーならびに受光手段をそれぞれn個ずつ有することも
本発明の有効な手段である。このような光送受信システ
ムにおいて、レーザ発振波長が1.1μm〜1.7μm
の長波長帯面発光半導体レーザの特徴を活かして、チッ
プ上に複数のレーザ発振素子を形成し、それに対応して
複数の光ファイバーを接続させた光送受信システムとし
たので、大容量、かつ高速のデータ送受信が可能となる
光送受信システムを実現できた。かかる発明によれば、
前記レーザチップにはn個の半導体レーザ素子が形成さ
れているとともに、前記第1の光ファイバー、第2の光
ファイバー、第3の光ファイバーならびに受光手段をそ
れぞれn個ずつ有するようにして、大容量、かつ高速の
データ送受信が可能となる光送受信システムを実現でき
た。
【0009】請求項4は、前記n個の半導体レーザ素子
の発光面とn個の第1の光ファイバー群の受光面が互い
に1対1に相対することを識別する手段を有することを
も本発明の有効な手段である。このようなレーザ発振波
長が1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レ
ーザの特徴を活かして、チップ上に複数のレーザ発振素
子を形成し、それに対応して複数の光ファイバーを接続
させた大容量の光送受信システムにおいて、複数個の半
導体レーザ素子の発光面と複数個の第1の光ファイバー
群の受光面が互いに1対1に相対することを識別する手
段を有するようにしたので、半導体レーザ素子と光ファ
イバー群間の接続を効率よくできるようになり、このよ
うなシステムを構築する際の工事が手際よく行えるよう
になった。かかる技術手段によれば、前記n個の半導体
レーザ素子の発光面とn個の第1の光ファイバー群の受
光面が互いに1対1に相対することを識別する手段を有
するので、半導体レーザ素子と光ファイバー群間の接続
を効率よくできるようになり、このようなシステムを構
築する際の工事が手際よく行えるようになった。請求項
5は、前記n個の半導体レーザ素子の発光面とn個の第
1の光ファイバー群の受光面が互いに1対1に相対する
ようにした位置決め/結合手段を有することも本発明の
有効な手段である。このようなレーザ発振波長が1.1
μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レーザの特徴
を活かして、チップ上に複数のレーザ発振素子を形成
し、それに対応して複数の光ファイバーを接続させた大
容量の光送受信システムにおいて、半導体レーザ素子の
発光面と光ファイバーの受光面が互いに平行であるよう
にしたので、半導体レーザ素子から出射したレーザ光が
効率よく光ファイバーに入射できるようになり、ロスの
少ない高効率の光送受信システムが実現できた。かかる
技術手段によれば、前記n個の半導体レーザ素子の発光
面とn個の第1の光ファイバー群の受光面が互いに1対
1に相対するようにした位置決め/結合手段を有するの
で、半導体レーザ素子から出射したレーザ光が効率よく
光ファイバーに入射できるようになり、ロスの少ない高
効率の光送受信システムが実現できた。
【0010】請求項6は、前記n個の半導体レーザ素子
の発光面とn個の第1の光ファイバー群の受光面が互い
に1対1に相対するようにした位置決め/結合手段を有
することも本発明の有効な手段である。このようなレー
ザ発振波長が1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発光
半導体レーザの特徴を活かして、チップ上に複数のレー
ザ発振素子を形成し、それに対応して複数の光ファイバ
ーを接続させた大容量の光送受信システムにおいて、複
数個の半導体レーザ素子の発光面と複数個の第1の光フ
ァイバー群の受光面が互いに1対1に相対するようにし
た位置決め/結合手段を有するようにしたので、半導体
レーザ素子と光ファイバー間の接続を高精度にできるよ
うになり、このようなシステムが長期にわたり安定して
稼動できるようになった。かかる技術手段によれば、前
記n個の半導体レーザ素子の発光面とn個の第1の光フ
ァイバー群の受光面が互いに1対1に相対するようにし
た位置決め/結合手段を有するので、半導体レーザ素子
と光ファイバー間の接続を高精度にできるようになり、
このようなシステムが長期にわたり安定して稼動できる
ようになった。請求項7は、前記n個の第1、第2、第
3のそれぞれの光ファイバー群の光送出面および受光面
が互いに1対1に相対することを識別する手段を有する
ことも本発明の有効な手段である。このようなレーザ発
振波長が1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導
体レーザの特徴を活かして、チップ上に複数のレーザ発
振素子を形成し、それに対応して複数の光ファイバーを
接続させた大容量の光送受信システムにおいて、それぞ
れの光ファイバー群の光送出面および受光面が互いに1
対1に相対することを識別する手段を有するようにした
ので、光ファイバー間どうしの接続を効率よくできるよ
うになり、このようなシステムを構築する際の工事が手
際よく行えるようになった。かかる技術手段によれば、
前記n個の第1、第2、第3のそれぞれの光ファイバー
群の光送出面および受光面が互いに1対1に相対するこ
とを識別する手段を有するので、光ファイバー間どうし
の接続を効率よくできるようになり、このようなシステ
ムを構築する際の工事が手際よく行えるようになった。
請求項8は、前記n個の第1、第2、第3のそれぞれの
光ファイバー群の光送出面および受光面が互いに1対1
に相対するようにした位置決め/結合手段を有すること
も本発明の有効な手段である。このようなレーザ発振波
長が1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レ
ーザの特徴を活かして、チップ上に複数のレーザ発振素
子を形成し、それに対応して複数の光ファイバーを接続
させた大容量の光送受信システムにおいて、それぞれの
光ファイバー群の光送出面および受光面が互いに1対1
に相対するようにした位置決め/結合手段を有するよう
にしたので、光ファイバー間どうしの接続を高精度にで
きるようになり、このようなシステムが長期にわたり安
定して稼動できるようになった。かかる技術手段によれ
ば、前記n個の第1、第2、第3のそれぞれの光ファイ
バー群の光送出面および受光面が互いに1対1に相対す
るようにした位置決め/結合手段を有するので、光ファ
イバー間どうしの接続を高精度にできるようになり、こ
のようなシステムが長期にわたり安定して稼動できるよ
うになった。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示した実施形
態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載
される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配
置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそ
れのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎな
い。まず最初に、本発明の光通信システムに適用される
発光素子である伝送ロスの少ないレーザ発振波長が1.
1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レーザの一
例について図1を用いて説明する。前述のように、従来
は本発明が適用しようとしているレーザ発振波長が1.
1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レーザに関
しては、その可能性の示唆があるのみで、実現のための
材料、ならびにより具体的、詳細な構成は不明であっ
た。本発明では、活性層としてGaInNAs等の材料
を使用し、さらに具体的な構成を明確にした。以下にそ
れを詳述する。
【0012】本発明では、面方位(100)のn−Ga
As基板2上に、それぞれの媒質内における発振波長λ
の1/4倍の厚さ(λ/4の厚さ)でn−AlGa
1−xAs(x=1.0)(低屈折率層〜屈折率小の
層)とn−AlGa1−yAs(y=0)(高屈折率
層〜屈折率大の層)を交互に35周期積層したn−半導
体分布ブラッグ反射鏡3(AlAs/GaAs下部半導
体分布ブラッグ反射鏡)を形成し、その上にλ/4の厚
さのn−GaIn1−xAs1−y(x=0.
5、y=1)層11を積層した。この例ではn−Ga
In1−xAs −y(x=0.5、y=1)層も
下部反射鏡の一部であり低屈折率層(屈折率小の層)と
なっている。そしてその上にアンドープ下部GaAsス
ペーサ層4と、3層のGaIn −xAs量子井戸層
である活性層(量子井戸活性層)12とGaAsバリア
層(20nm)13からなる多重量子井戸活性層と、ア
ンドープ上部GaAsスペーサ層とが積層されて、媒質
内における発振波長λの1波長分の厚さ(λの厚さ)の
共振器を形成している。さらにその上に、C(炭素)ド
ープのp−GaIn1−xAs1−y(x=0.
5、y=1)層とZnドープp−AlGa1−xAs
(x=0)をそれぞれの媒質内における発振波長λの1
/4倍の厚さで交互に積層した周期構造(1周期)を積
層し、その上にCドープのp−AlGa1−xAs
(x=0.9)とZnドープp−AlGa1−xAs
(x=0)をそれぞれの媒質内における発振波長λの1
/4倍の厚さで交互に積層した周期構造(25周期)と
からなる半導体分布ブラッグ反射鏡5(Al0.9Ga
0.1As/GaAs上部半導体分布ブラッグ反射鏡)
を形成している。この例ではp−GaIn1−x
As1−y(x=0.5、y=1)層も上部反射鏡の一
部であり、低屈折率層(屈折率小の層)となっている。
なおここで、上部/下部反射鏡ともそれぞれ低屈折率層
(屈折率小の層)/高屈折率層(屈折率大の層)を交互
に積層して形成するが、本発明ではこれらの間に、屈折
率が小と大の間の値をとるAlGa1−zAs(0≦
y<z<x≦1)よりなるヘテロスパイク緩衝層を設け
ている。
【0013】図2により本発明に適用される面発光半導
体レーザの反射波長が1.1μm以上の反射鏡について
より具体的に説明する。本発明に適用される反射波長が
1.1μm以上の反射鏡では、低屈折率層(屈折率小の
層)と高屈折率層(屈折率大の層)の間に、屈折率が小
と大の間の値をとるヘテロスパイク緩衝層AlGa
1−zAs(0≦y<z<x≦1)15を設けている。
図2は半導体分布ブラッグ反射鏡の一部を示したもので
ある(図1では図が複雑になるので図示することを省略
している)。従来レーザ波長が0.85μm帯の半導体
レーザに関して、このようなヘテロスパイク緩衝層15
を設けることも検討はされているが、まだ検討段階であ
り、その材料、あるいはその厚さなどまで詳細には検討
されていない。また本発明のようなレーザ発振波長が
1.1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レーザ
に関しては全く検討されていない。その理由はこの分野
(レーザ発振波長が1.1μm〜1.7μmの長波長帯
面発光半導体レーザ)が新しい分野であり、まだほとん
ど研究が進んでいないからである。本発明者はいち早く
この分野(レーザ発振波長が1.1μm〜1.7μmの
長波長帯面発光半導体レーザおよびそれを用いた光通
信)の有用性に気付き、それを実現するために鋭意検討
を行った。このようなヘテロスパイク緩衝層は形成時に
ガス流量をコントロールするなどして、そのAl組成を
連続的もしくは段階的に変えるようにしてその材料層の
屈折率が連続的もしくは段階的に変化するようにして形
成する。より具体的には、AlGa1−zAs(0≦
y<z<x≦1)層のzの値を0から1.0まで変わる
ように、つまりGaAs〜AlGaAs〜AlAsとい
う具合にAlとGaの比率が徐々に変わるようにして形
成する。これは前述のように層形成時にガス流量をコン
トロールすることによって作成される。また、AlとG
aの比率が前述のように連続的に変わるようにして形成
しても良いし、段階的にその比率が変わるようにしても
同等の効果がある。
【0014】このようなヘテロスパイク緩衝層を設ける
理由は、半導体分布ブラッグ反射鏡の持つ問題点の一つ
であるp−半導体分布ブラッグ反射鏡の電気抵抗が高い
という課題を解決するためである。これは半導体分布ブ
ラッグ反射鏡を構成する2種類の半導体層の界面に生じ
るヘテロ障壁が原因であるが、本発明のように低屈折率
層17と高屈折率層16の界面に一方の組成から他方の
組成へ次第にAl組成が変化するようにして、屈折率も
変化させることによってヘテロ障壁の発生を抑制するこ
とが可能である。このようなヘテロスパイク緩衝層につ
いてより具体的に説明する。図3は半導体分布ブラッグ
反射鏡を構成する2種類の半導体層の間にヘテロスパイ
ク緩衝層を設けた半導体分布ブラッグ反射鏡の例を示す
ものである。図では、半導体分布ブラッグ反射鏡の材料
の例としてAlGaAs系半導体材料(AlGa
1−zAs(0≦y<z<x≦1))について示してい
る。半導体分布ブラッグ反射鏡を構成する2種類の半導
体層はAlAs、GaAsであり、AlAs、GaAs
の中間の価電子帯エネルギーを持つヘテロスパイク緩衝
層として、これの間にAl組成を変化させた組成傾斜層
を設けている。すなわち、AlGa1−zAs(0≦
y<z<x≦1)層のzの値を0から1.0まで変わる
ように、つまりGaAs〜AlGaAs〜AlAsとい
う具合にAlとGaの比率が徐々に変わるようにしてい
る。
【0015】AlGaAs系半導体材料は、Al組成の
増加と伴に、バンドギャップエネルギーが大きくなり、
屈折率が低下する。またこの際、伝導帯では、Al組成
0.43まで、エネルギーが増加した後減少を始める
が、価電子帯では単調に、略Al組成の増加量に比例し
て価電子帯エネルギーが低下する(トータルとして、バ
ンドギャップエネルギーは組成に対して増加してい
る。)。この他にもAlGaInP系材料を例に挙げる
と、この材料は4元材料であるが、AlInP組成の増
加に伴い、AlGaAs系におけるAl組成の増加と同
様の傾向を示す。伝導帯エネルギーは、AlInP組成
0.7まで増加した後減少を始める。しかし価電子帯エ
ネルギーは、AlInP組成の増加に対し同様に単調に
減少する。
【0016】図3の例では、GaAs層の近くの領域の
(図3では、領域I)組成傾斜率(バンドギャップエネ
ルギーの増加率)を、AlAs層の近くの領域の(図3
では領域II)組成傾斜率に比べて大きくしている。比較
のために、単に線形にAl組成を変化させた線形組成傾
斜層をヘテロスパイク緩衝層とした構造を図4に示す。
図5は、反射波長1.3μmのAlAs・GaAsの界
面に厚さ20nmの図3のヘテロスパイク緩衝層を設け
た4ペアp−DBRの電気抵抗を見積もった結果であ
る。図5では、ヘテロスパイク緩衝層を含むDBRの各
層のキャリア密度を1E18[cm−3]のP型として
おり、縦軸にゼロバイアス付近における微分シート抵抗
値を示している。横軸は、領域IのAl組成傾斜率であ
り、異なる領域Iの厚さ(図中に示している)について
それぞれ示している。領域Iと領域IIの和は常に20n
mであり、領域IIの厚さ及び組成傾斜率は、領域Iの厚
さと組成傾斜率から決まる。単純にGaAs層とAlA
s層間に線形組成傾斜層を設けた場合のAl組成傾斜率
は0.05[nm−1]であり、これは、図のA点に当
たる。図5のように、領域IのAl組成傾斜度を大きく
していくことにより、従来のように単に組成傾斜率を線
形とした場合に比べ、抵抗値が減少する。また、極小と
なる最適なAl組成傾斜率が存在していることが分か
る。例えば、領域Iの厚さが10nm(領域IIと同じ厚
さ)では、Al組成傾斜率0.09[nm−1]で従来
の80%程度に低抵抗化している(また、この傾向は印
加電圧に依らない。)。
【0017】次にこの理由について説明する。図6は、
AlAs/GaAsによるDBRヘテロ界面の熱平衡状
態のバンド図を表すものである。図のように、バンド不
連続に起因するヘテロスパイクはおもに禁則帯幅の広い
AlAs層側で顕著に現れており、ほとんどGaAs層
側ではノッチが発生しない。GaAs層側に発生するノ
ッチは、本来、高抵抗化の原因とはならないのでAlA
s層側に発生するスパイクを、限られたヘテロスパイク
緩衝層の厚さで効率良く平坦にすることが、低抵抗化に
対し重要である。図3の構造では、ノッチが発生するG
aAs側で急激に組成を増加させて、スパイクが発生す
るAlAs側の組成傾斜を緩やかに変化させたことに対
応している。これによって、ヘテロスパイク緩衝層の組
成変化を単純に線形とした場合に比べてスパイクの発生
を低減させる事ができる(従って、逆に領域IのAl組
成傾斜率を領域IIより小さくすると、抵抗値が増加す
る。)。図7に、図3の熱平衡状態のバンド図の模式図
を示す。従来の単純な組成傾斜層に比べ、同じ厚さでA
lAs側の組成傾斜率を緩やかにすることができる。以
上より、領域Iの組成傾斜率を大きくすることで、従来
よりも電気抵抗を低減することができることがわかる。
【0018】次にこのような屈折率が小と大の間の値を
とるヘテロスパイク緩衝層AlGa1−zAs(0≦
y<z<x≦1)の最適厚さについて、検討した結果を
説明する。図8は、1.3μmに反射中心波長を持つA
lAs/GaAsによる4ペアDBRについて、ヘテロ
スパイク緩衝層厚さを変えて、ゼロバイアス付近での微
分電気抵抗率を計算した結果である。DBR層のドーピ
ング密度は1E18cm とし、ヘテロスパイク緩衝
層を含む各層のドーピング密度は一様としている。ま
た、破線で示す値は、各半導体層のバルク抵抗から求め
た抵抗率であり、ヘテロ界面の影響が全く無いとした場
合に得られるDBRの抵抗率を示したものである。図8
の様にヘテロスパイク緩衝層を設けないDBR(ヘテロ
スパイク緩衝層厚さが0)では抵抗率が1Ωcmと非
常に高抵抗であり、現実的な問題として20ペア以上積
層したDBRを通し素子に通電させる事自体が困難であ
り、更に通電させる為には非常に高い電圧を必要とす
る。従って、この様なDBRを備えた面発光レーザ素子
は現実に発振させる事は困難である。しかしながら、5
nmのヘテロスパイク緩衝層を設けた場合には、ヘテロ
スパイク緩衝層を設けない場合に比べて、約2桁程度抵
抗率を低減する事が可能であり、素子の通電が容易にな
って発振を得る事が可能となる。更に、通電に必要な電
圧も低減するので、素子の破壊、故障等、信頼性に関す
る諸問題も大きく改善する。更に、ヘテロスパイク緩衝
層を厚くするに従って抵抗率は急激に低減しており、特
に20nm以上では、抵抗率はほぼ一定の値となる。図
8はヘテロスパイク緩衝層、及び各層のp型ドーピング
密度を1E18cm −3として一様のドープした場合の
構造について示したものである。なお、このドーピング
濃度は通常DBRに用いられる標準的な値である。図8
のDBRの構造では抵抗率の減少が飽和し始めるヘテロ
スパイク緩衝層の厚さは約20nmであり、この時の抵
抗率は、バルク抵抗率のおよそ2.5倍程度と非常に低
い値まで低減されている。つまり、テロスパイク緩衝層
厚さの下限値を20nmとし、それ以上の厚さにすれば
素子の動作電圧を最も低い値とすることができ、素子発
熱も最小限にすることができる。従って発振を維持でき
る温度、並びに得られる光出力が増加する。
【0019】しかしながら、これに反してDBRの光学
的特性には、ヘテロスパイク緩衝層が厚くなるに従って
反射率が低下するという問題がある。図9は、ヘテロス
パイク緩衝層厚さの変化に対するDBRの反射率の減少
の様子を詳しく示したものである。図に示した直線と比
較すると、ヘテロスパイク緩衝層の厚さが50nm以上
から急激に反射率の変化率が大きくなる様子が分かる。
素子の発振閾値電流はこれに対応して急激に増加し始め
る。従って、ヘテロスパイク緩衝層の厚さの上限は50
nmとするのが適当である。以上の様に20nm以上、
50nm以下のヘテロスパイク緩衝層を設けたDBRで
は、ヘテロ界面の影響による抵抗を有効に低減する事が
可能であり、また、高い反射率を同時に得る事ができ
る。これを用いた面発光レーザ素子では、現実的な駆動
条件において、容易に低閾値電流での発振を得る事が可
能である。
【0020】本発明のようなレーザ発振波長が1.1μ
m〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レーザの場合、
20nm〜50nmの厚さとするのが良く、これより薄
いと抵抗が大となり電流が流れにくく、素子が発熱した
り、駆動エネルギーが高くなるという不具合がある。ま
た厚いと抵抗が小となり、素子の発熱や、駆動エネルギ
ーの面で有利になるが、今度は反射率がとれないという
不具合があり、前述のように最適の範囲(20nm〜5
0nmの厚さ)を選ぶ必要がある。なお、前述のように
従来のレーザ波長が0.85μm帯の半導体レーザに関
してこのようなヘテロスパイク緩衝層を設けることも検
討されているが、本発明のようなレーザ発振波長が1.
1μm〜1.7μmの長波長帯面発光半導体レーザの場
合は、より効果的である。なぜなら、例えば同等の反射
率(例えば99.5%以上)を得るためには、0.85
μm帯よりも1.1μm帯〜1.7μm帯の場合、この
ような材料層を約2倍程度にすることができるので、半
導体分布ブラッグ反射鏡の抵抗値を低減させることがで
き、動作電圧、発振閾値電流等が低くなり、レーザ素子
の発熱防止ならびに安定発振、少エネルギー駆動の面で
有利となる。つまり半導体分布ブラッグ反射鏡にこのよ
うなヘテロスパイク緩衝層を設けることは、本発明のよ
うなレーザ発振波長が1.1μm〜1.7μmの長波長
帯面発光半導体レーザの場合に特に効果的な工夫といえ
る。なお効果的な反射率を得るためのより詳細な検討結
果の一例を挙げると、例えば1.3μm帯面発光型レー
ザ素子では、AlGa1−xAs(x=1.0)(低
屈折率層〜屈折率小の層)とAlGa1−yAs(y
=0)(高屈折率層〜屈折率大の層)を20周期積層し
た場合においては、半導体分布ブラッグ反射鏡の反射率
が99.7%以下となるAlGa1−zAs(0≦y
<z<x≦1)層の厚さは30nmである.また、反射
率が99.5%以上となる波長帯域は53nmであり、
反射率を99.5%以上と設計した場合、±2%の膜厚
制御ができればよい.そこでこれと同等およびこれより
薄い、10nm、20nm、30nmのものを試作した
ところ、反射率を実用上問題のない程度に保つことがで
き、半導体分布ブラッグ反射鏡の抵抗値を低減させるこ
とができた1.3μm帯面発光型レーザ素子を実現、レ
ーザ発振に成功した。なお試作したレーザ素子の他の構
成は後述のとおりである。なお多層膜反射鏡においては
設計波長(膜厚制御が完全にできたとして)を含んで反
射率の高い帯域がある。高反射率の帯域(反射率が狙い
の波長に対して必要値以上である領域を含む)と呼ぶ。
設計波長の反射率が最も高く、波長が離れるにしたがっ
てごくわずかずつ低下している領域である。これはある
領域から急激に低下する。そして狙いの波長に対して必
要な反射率以上となるように、本来、多層膜反射鏡の膜
厚を原子層レベルで完全に制御する必要がある。しかし
実際には±1%程度の膜厚誤差は生じるので狙いの波長
と最も反射率の高い波長はずれてしまう。例えば狙いの
波長が1.3μmの場合、膜厚制御が1%ずれたとき、
最も反射率の高い波長は13nmずれてしまう。よって
この高反射率の帯域(ここでは反射率が狙いの波長に対
して必要値以上である領域)は広い方が望ましい。この
ように本発明のようなレーザ発振波長が1.1μm〜
1.7μmの長波長帯面発光半導体レーザにおいて、こ
のような半導体分布ブラッグ反射鏡の構成を工夫、最適
化することにより、反射率を高く維持したまま抵抗値を
低減させることができるので、動作電圧、発振閾値電流
等を低くでき、レーザ素子の発熱防止ならびに安定発
振、少エネルギー駆動が可能となる。
【0021】再び図1に戻り、最上部の、p−Al
1−xAs(x=0)層は、電極とコンタクトを取る
ためのコンタクト層(p−コンタクト層)としての役割
も持っている。ここで、量子井戸活性層のIn組成xは
39%(Ga0.61In0.39As)とした。また
量子井戸活性層の厚さは7nmとした。なお量子井戸活
性層は、GaAs基板に対して約2.8%の圧縮歪を有
していた。またこの面発光型半導体レーザ全体の成長方
法はMOCVD法で行った。この場合、格子緩和は見ら
れなかった。半導体レーザの各層を構成する原料には、
TMA(トリメチルアルミニウム)、TMG(トリメチ
ルガリウム)、TMI(トリメチルインジウム)、As
(アルシン)、PH(フォスフィン)を用いた。
また、キャリアガスにはHを用いた。図1に示した素
子の活性層(量子井戸活性層)のように歪が大きい場合
は、非平衡となる低温成長が好ましい。ここでは、Ga
InAs層(量子井戸活性層)は550℃で成長させて
いる。ここで使用したMOCVD法は過飽和度が高く高
歪活性層の結晶成長に適している。またMBE法のよう
な高真空を必要とせず、原料ガスの供給流量や供給時間
を制御すれば良いので量産性にも優れている。またこの
例では、電流経路外の部分をプロトン(H)照射によ
って絶縁層(高抵抗部)を作って、電流狭さく部を形成
した。そしてこの例では、上部反射鏡の最上部の層であ
り上部反射鏡一部となっているp−コンタクト層上に光
出射部を除いてp側電極を形成し、基板の裏面にn側電
極を形成した。この例では、上下反射鏡に挟まれた、キ
ャリアが注入され再結合する活性領域(本実施例では上
部及び下部スペーサ層と多重量子井戸活性層とからなる
共振器)において、活性領域内にはAlを含んだ材料
(III族に占める割合が1%以上)を用いず、さらに、
下部及び上部反射鏡の低屈折率層の最も活性層に近い層
をGaIn1−xAs1−y(0<x≦1、0<
y≦1)の非発光再結合防止層としている。すなわちx
あるいはyの値を適宜選ぶことにより、GaInPもし
くはGaInPAsもしくはGaPAsが非発光再結合
防止層とされる。なおこの層には、Al以外の他の材料
を微量添加する場合もあるが、主たる材料は、Ga
1−xAs1−y(0<x≦1、0<y≦1)で
ある。
【0022】キャリアは、活性層に最も近くワイドギャ
ップである上部及び下部反射鏡の低屈折率層間に閉じ込
められるので、活性領域のみをAlを含まない層(III
族に占める割合が1%以下)で構成しても活性領域に接
する反射鏡の低屈折率層(ワイドギャップ層)にAlを
含んだ構造としたのでは、キャリアが注入され再結合す
る時、この界面で非発光再結合が生じ発光効率は低下し
てしまう。よって活性領域はAlを含まない層で構成す
ることが望ましい。またこの主たる組成がGaIn
1−xAs1−y(0<x≦1、0<y≦1)より
なる非発光再結合防止層は、その格子定数がGaAs基
板よりも小さく、引張り歪を有している。エピタキシャ
ル成長では下地の情報を反映して成長するので基板表面
に欠陥があると成長層へ這い上がっていく。しかし歪層
があるとそのような欠陥の這い上がりが抑えられ効果が
あることが知られている。上記欠陥が活性層に達すると
発光効率を低減させてしまう。また、歪を有する活性層
では臨界膜厚が低減し必要な厚さの層を成長できないな
どの問題が生じる。特に活性層の圧縮歪量が例えば2%
以上と大きい場合や、歪層の厚さ臨界膜厚より厚く成長
する場合、低温成長などの非平衡成長を行っても欠陥の
存在で成長できないなど、特に問題となる。歪層がある
とそのような欠陥の這い上がりが抑えられるので、発光
効率を改善したり、活性層の圧縮歪量が例えば2%以上
の層を成長できたり、歪層の厚さを臨界膜厚より厚く成
長することが可能となる。
【0023】このGaIn1−xAs1−y(0
<x≦1、0<y≦1)層は活性領域に接しており活性
領域にキャリアを閉じ込める役割も持っているが、Ga
In1−xAs1−y(0<x≦1、0<y≦
1)層は格子定数が小さくなるほどバンドギャップエネ
ルギーを大きく取り得る。例えばGaIn1−x
(y=1の場合)の場合、xが大きくなりGaPに近づ
くと格子定数が大きくなり、バンドギャップは大きくな
る。バンドギャップEgは、直接遷移でEg(Γ)=
1.351+0.643x+0.786x、間接遷移
でEg(X)=2.24+0.02xと与えられてい
る。よって活性領域とGaIn1−xAs 1−y
(0<x≦1、0<y≦1)層のヘテロ障壁は大きくな
るのでキャリア閉じ込めが良好となり、しきい値電流低
減、温度特性改善などの効果がある。さらにこのGa
In1−xAs1−y(0<x≦1、0<y≦1)
層よりなる非発光再結合防止層は、その格子定数がGa
As基板よりも大きく、圧縮歪を有しており、かつ前記
活性層の格子定数が前記GaIn1−xAs
−y(0<x≦1、0<y≦1)層よりも大きく圧縮歪
を有している。またこのGaIn1−xAs
1−y(0<x≦1、0<y≦1)層の歪の方向が活性
層と同じ方向なので、活性層が感じる実質的な圧縮歪量
を低減する方向に働く。歪が大きいほど外的要因の影響
を受けやすいので、活性層の圧縮歪量が例えば2%以上
と大きい場合や、臨界膜厚を超えた場合に特に有効であ
る。例えば発振波長が1.3μm帯の面発光型レーザは
GaAs基板上に形成するのが好ましく、共振器には半
導体多層膜反射鏡を用いる場合が多く、トータル厚さが
5〜8μmで50〜80層の半導体層を活性層成長前に
成長する必要がある(一方、端面発光型レーザの場合、
活性層成長前のトータル厚さは2μm程度で3層程度の
半導体層を成長するだけで良い)。この場合、高品質の
GaAs基板を用いてもさまざまな原因(一度発生した
欠陥は基本的には結晶成長方向に這い上がるし、ヘテロ
界面での欠陥発生などがある)でGaAs基板表面の欠
陥密度に比べて活性層成長直前の表面の欠陥密度はどう
しても増えてしまう。活性層成長以前に、歪層の挿入
や、活性層が感じる実質的な圧縮歪量が低減すると、活
性層成長直前の表面にある欠陥の影響を低減できるよう
になる。この例では、活性領域内及び反射鏡と活性領域
との界面にAlを含まない構成としたので、キャリア注
入時にAlに起因していた結晶欠陥が原因となる非発光
再結合がなくなり、非発光再結合が低減した。
【0024】前述のように、反射鏡と活性領域との界面
にAlを含まない構成とする、すなわち非発光再結合防
止層を設けることを、上下反射鏡ともに適用することが
好ましいが、一方の反射鏡に適用するだけでも効果があ
る。またこの例では、上下反射鏡とも半導体分布ブラッ
グ反射鏡としたが、一方の反射鏡を半導体分布ブラッグ
反射鏡とし、他方の反射鏡を誘電体反射鏡としても良
い。また前述の例では、反射鏡低屈折率層の最も活性層
に近い層のみをGaIn1−xAs1−y(0<
x≦1、0<y≦1)の非発光再結合防止層としている
が、複数層のGa In1−xAs1−y(0<x
≦1、0<y≦1)を非発光再結合防止層としても良
い。さらにこの例では、GaAs基板と活性層との間の
下部反射鏡にこの考えを適用し、活性層の成長時に問題
となる、Alに起因する結晶欠陥の活性層への這い上が
りによる悪影響が押さえられ、活性層を高品質に結晶成
長することができる。これらにより、発光効率は高く、
信頼性は実用上十分な面発光型半導体レーザが得られ
た。また、半導体分布ブラッグ反射鏡の低屈折率層のす
べてではなく、少なくとも活性領域に最も近い部分をA
lを含まないGaIn1−xAs 1−y(0<x
≦1、0<y≦1)層としただけなので、反射鏡の積層
数を特に増加させることなく、上記効果を得ることがで
きている。このようにして製作した面発光型半導体レー
ザの発振波長は約1.2μmであった。GaAs基板上
のGaInAsは、In組成の増加で長波長化するが歪
み量の増加をともない、従来1.1μmまでが長波長化
の限界と考えられていた(文献「IEEE Photonics.Techn
ol.Lett.Vol.9(1997)pp.1319-1321」参照)。
【0025】しかしながら今回発明者が製作したよう
に、600℃以下の低温成長などの非平衡度の高い成長
法により高歪のGaInAs量子井戸活性層を従来より
厚くコヒーレント成長することが可能となり、波長は
1.2μmまで到達できた。なおこの波長はSi半導体
基板に対して透明である。従ってSi基板上に電子素子
と光素子を集積した回路チップにおいてSi基板を通し
た光伝送が可能となる。以上の説明より明らかなように
In組成が大きい高圧縮歪のGaInAsを活性層に用
いることにより、GaAs基板上に長波長帯の面発光型
半導体レーザを形成できることがわかった。なお前述の
ように、このような面発光型半導体レーザは、MOCV
D法で成長させることができるが、MBE法等の他の成
長方法を用いることもできる。また活性層の積層構造と
して、3重量子井戸構造(TQW)の例を示したが、他
の井戸数の量子井戸を用いた構造(SQW、MQW)等
を用いることもできる。レーザの構造も他の構造にして
もかまわない。また共振器長はλの厚さとしたがλ/2
の整数倍とすることができる。望ましくはλの整数倍で
ある。また半導体基板としてGaAsを用いた例を示し
たが、InPなどの他の半導体基板を用いた場合でも上
記の考え方を適用できる。反射鏡の周期は他の周期でも
良い。なおこの例では活性層として、主たる元素がG
a、In、Asよりなる層、すなわちGaIn1−x
As(GaInAs活性層)の例を示したが、より長波
長のレーザ発振を行うためには、Nを添加し主たる元素
がGa、In、N、Asからなる層(GaInNAs活
性層)とすればよい。実際にGaInNAs活性層の組
成を変えることにより、1.3μm帯、1.55μm帯
のそれぞれにおいて、レーザ発振を行うことが可能であ
った。組成を検討することにより、さらに長波長の例え
ば1.7μm帯の面発光レーザも可能となる。また、活
性層にGaAsSbを用いてもGaAs基板上に1.3
μm帯面発光レーザを実現できる。このように波長1.
1μm〜1.7μmの半導体レーザは従来適した材料が
なかったが、活性層に高歪のGaInAs、GaInN
As、GaAsSbを用い、かつ、非発光再結合防止層
を設けることにより、従来安定発振が困難であった波長
1.1μm〜1.7μm帯の長波長領域において、高性
能な面発光レーザを実現できるようになった。
【0026】次に本発明の光送受信システムに適用され
る発光素子である長波長帯面発光型半導体レーザの他の
構成について、図10を用いて説明する。この場合も図
1の場合と同様に面方位(100)のn−GaAs基板
21を使用している。それぞれの媒質内における発振波
長λの1/4倍の厚さ(λ/4の厚さ)でn−Al
1−xAs(x=0.9)とn−AlGa1−x
s(x=0)を交互に35周期積層したn−半導体分布
ブラッグ反射鏡24(Al 0.9Ga0.1As/Ga
As下部反射鏡)を形成し、その上にλ/4の厚さのn
−GaIn1−xAs1−y(x=0.5、y=
1)層を積層した。この例ではn−GaIn1−x
As1−y(x=0.5、y=1)層も下部反射鏡の
一部であり低屈折率層となっている。そしてその上に、
アンドープ下部GaAsスペーサ層23と、3層のGa
In1−xAs1−y量子井戸層である活性層3
3(量子井戸活性層)とGaAsバリア層34(15n
m)から構成される多重量子井戸活性層(この例では3
重量子井戸(TQW))と、アンドープ上部GaAsス
ペーサ層23とが積層されて、媒質内における発振波長
の1波長分の厚さ(λの厚さ)の共振器を形成してい
る。さらにその上に、p−半導体分布ブラッグ反射鏡
(上部反射鏡)24が形成されている。上部反射鏡は、
被選択酸化層となるAlAs層27を、GaInP層と
AlGaAs層で挟んだ3λ/4の厚さの低屈折率層
(厚さが(λ/4−15nm)のCドープp−Ga
1−xAs1−y(x=0.5、y=1)層、C
ドープp−AlGa1−zAs(z=1)被選択酸化
層(厚さ30nm)、厚さが(2λ/4−15nm)の
Cドープp−AlGa1−xAs層(x=0.9))
と、厚さがλ/4のGaAs層(1周期)と、Cドープ
のp−AlGa −xAs層(x=0.9)とp−A
Ga1−xAs(x=0)層をそれぞれの媒質内に
おける発振波長の1/4倍の厚さで交互に積層した周期
構造(22周期)とから構成されている半導体分布ブラ
ッグ反射鏡(Al0.9Ga0.1As/GaAs上部
反射鏡)である。なおこの例においても、図10では複
雑になるので図示することは省略しているが、半導体分
布ブラッグ反射鏡の構造は、図2に示したような低屈折
率層(屈折率小の層)と高屈折率層(屈折率大の層)の
間に、屈折率が小と大の間の値をとるAlGa1−z
As(0≦y<z<x≦1)よりなるヘテロスパイク緩
衝層を設けたものである。そして、最上部の、p−Al
Ga1−xAs(x=0)層は、電極とコンタクトを
取るためのコンタクト層(p−コンタクト層)としての
役割も持たせている。
【0027】ここで量子井戸活性層のIn組成xは37
%、N(窒素)組成は0.5%とした。また量子井戸活
性層の厚さは7nmとした。またこの面発光型半導体レ
ーザの成長方法はMOCVD法で行った。半導体レーザ
の各層を構成する原料には、TMA(トリメチルアルミ
ニウム)、TMG(トリメチルガリウム)、TMI(ト
リメチルインジウム)、AsH(アルシン)、PH
(フォスフィン)、そして窒素の原料にはDMHy(ジ
メチルヒドラジン)を用いた。DMHyは低温で分解す
るので600℃以下のような低温成長に適しており、特
に低温成長の必要な歪みの大きい量子井戸層を成長する
場合に好ましい。なおキャリアガスにはHを用いた。
またこの例では、GaInNAs層(量子井戸活性層)
は540℃で成長した。MOCVD法は過飽和度が高く
Nと他のV族を同時に含んだ材料の結晶成長に適してい
る。またMBE法のような高真空を必要とせず、原料ガ
スの供給流量や供給時間を制御すれば良いので量産性に
も優れている。さらにこの例では、所定の大きさのメサ
部分をp−GaIn1−xAs 1−y(x=0.
5、y=1)層に達するまで、p−AlGa1−z
s(z=1)被選択酸化層の側面を露出させて形成し、
側面の現れたAlGa1−zAs(z=1)層を水蒸
気で側面から酸化してAl電流狭さく層を形成し
ている。
【0028】最後にポリイミド(絶縁膜)でメサエッチ
ングで除去した部分を埋め込んで平坦化し、上部反射鏡
上のポリイミドを除去し、p−コンタクト層上に光出射
部を除いてp側電極を形成し、GaAs基板の裏面にn
側電極を形成した。この例においては、被選択酸化層の
下部に上部反射鏡の一部としてGaIn 1−x
1−y(0<x≦1、0<y≦1)層を挿入してい
る。例えばウェットエッチングの場合では、硫酸系エッ
チャントを用いれば、AlGaAs系に対してGaIn
PAs系はエッチング停止層として用いることができる
ため、GaIn1−xAs1−y(0<x≦1、
0<y≦1)層が挿入されていることで、選択酸化のた
めのメサエッチングの高さを厳密に制御できる。このた
め、均一性、再現性を高められ、低コスト化が図れる。
またこの例の面発光型半導体レーザ(素子)を一次元ま
たは二次元に集積した場合、素子製作時における制御性
が良好になることにより、アレイ内の各素子の素子特性
の均一性、再現性も極めて良好になるという効果があ
る。なおこの例では、エッチングストップ層を兼ねるG
In1−xAs −y(0<x≦1、0<y≦
1)層を上部反射鏡側に設けたが、下部反射鏡側に設け
ても良い。またこの例においても、上下反射鏡に挟まれ
た、キャリアが注入され再結合する活性領域(本実施例
では上部及び下部スペーサ層と多重量子井戸活性層とか
らなる共振器)において、活性領域内にはAlを含んだ
材料を用いず、さらに下部及び上部反射鏡の低屈折率層
の最も活性層に近い層をGaIn1−xAs
1−y(0<x≦1、0<y≦1)の非発光再結合防止
層としている。つまりこの例では、活性領域内及び反射
鏡と活性領域との界面に、Alを含まない構成としてい
るので、キャリア注入時に、Alに起因していた結晶欠
陥が原因となる非発光再結合を低減させることができ
る。
【0029】なお反射鏡と活性領域との界面にAlを含
まない構成を、この例のように上下反射鏡に適用するこ
とが好ましいが、いずれか一方の反射鏡に適用するだけ
でも効果がある。またこの例では、上下反射鏡とも半導
体分布ブラッグ反射鏡としたが、一方の反射鏡を半導体
分布ブラッグ反射鏡とし、他方の反射鏡を誘電体反射鏡
としても良い。さらにこの例でも、GaAs基板と活性
層との間の下部反射鏡に図1の例の場合と同様の考えを
適用したので、活性層の成長時に問題となるAlに起因
する結晶欠陥の活性層への這い上がりによる悪影響が押
さえられ、活性層を高品質に結晶成長することができ
る。なお、このような非発光再結合防止層は、図1、図
10のいずれの構成においても半導体分布ブラッグ反射
鏡の一部を構成するので、その厚さは、媒質内における
発振波長λの1/4倍の厚さ(λ/4の厚さ)としてい
る。あるいはそれを複数層も設けても良い。以上、半導
体ブラッグ反射鏡の一部に非発光再結合防止層を設けた
例について示してきたが、非発光再結合防止層を共振器
の中に設けても良い。例えば、共振器部をGaInNA
s量子井戸層とGaAs障壁層とからなる活性層と、G
aAsを第1の障壁層、GaInPAs、GaAsP、
GaInPからなる非発光再結合防止層を第二の障壁層
とした構造があげられる。共振器部の厚さは1波長分の
厚さとすることができる。非発光再結合防止層はGaA
s第1の障壁層よりバンドギャップが大きいのでキャリ
アが注入される活性領域は実質GaAs障壁層までとな
る。また、残留したAl原料、またはAl反応物、また
はAl化合物、またはAlを除去する工程を設ける場合
は、非発光再結合防止層の途中で設けたり、非発光再結
合防止層とAlを含んだ層との間にGaAs層を設けて
その層の途中などで行うことができる。
【0030】以上の説明より明らかなように、このよう
な構成により、発光効率は高く、信頼性は実用上十分な
面発光型半導体レーザが得られた。また、半導体分布ブ
ラッグ反射鏡の低屈折率層のすべてではなく、少なくと
も活性領域に最も近い部分をAlを含まないGaIn
1−xAs1−y(0<x≦1、0<y≦1)の非
発光再結合防止層としただけなので、反射鏡の積層数を
特に増加させることなく、上記効果を得ることができ
た。またこのような構成にしても、ポリイミドの埋め込
みは容易であるので、配線(この例ではp側電極)が段
切れしにくく、素子の信頼性は高いものが得られる。こ
のように製作した面発光型半導体レーザの発振波長は約
1.3μmであった。この例では、主たる元素がGa、
In、N、Asからなる層を活性層に用いた(GaIn
NAs活性層)ので、GaAs基板上に長波長帯の面発
光型半導体レーザを形成できた。またAlとAsを主成
分とした被選択酸化層の選択酸化により電流狭さくを行
ったので、しきい値電流は低かった。被選択酸化層を選
択酸化したAl酸化膜からなる電流狭さく層を用いた電
流狭さく構造によると、電流狭さく層を活性層に近づけ
て形成することで電流の広がりを抑えられ、大気に触れ
ない微小領域に効率良くキャリアを閉じ込めることがで
きる。更に酸化してAl酸化膜となることで屈折率が小
さくなり凸レンズの効果でキャリアの閉じ込められた微
小領域に効率良く光を閉じ込めることができ、極めて効
率が良くなり、しきい値電流は低減できる。また容易に
電流狭さく構造を形成できることから、製造コストを低
減できる。以上の説明から明らかなように図10のよう
な構成においても図1の場合と同様に、1.3μm帯の
面発光型半導体レーザを実現でき、しかも低消費電力で
低コストの素子が得られる。
【0031】なお、図10の面発光型半導体レーザも図
1の場合と同様にMOCVD法で成長させることができ
るが、MBE法等の他の成長方法を用いることもでき
る。また窒素の原料に、DMHyを用いたが、活性化し
た窒素やNH等他の窒素化合物を用いることもでき
る。さらに活性層の積層構造として3重量子井戸構造
(TQW)の例を示したが、他の井戸数の量子井戸を用
いた構造(SQW、DQW、MQW)等を用いることも
できる。レーザの構造も他の構造にしてもかまわない。
また図10の面発光型半導体レーザにおいて、GaIn
NAs活性層の組成を変えることで、1.55μm帯、
更にはもっと長波長の1.7μm帯の面発光型半導体レ
ーザも可能となる。GaInNAs活性層にTl、S
b、Pなど他のIII−V族元素が含まれていてもかまわ
ない。また活性層にGaAsSbを用いても、GaAs
基板上に1.3μm帯の面発光型半導体レーザを実現で
きる。なお本発明では活性層として、主たる元素がG
a、In、Asよりなる層(GaInAs活性層)、あ
るいはNを添加し主たる元素がGa、In、N、Asか
らなる層(GaInNAs活性層)を用いる説明をして
きたが、他にGaNAs、GaPN、GaNPAs、G
aInNP、GaNAsSb、GaInNAsSb等も
好適に使用できる。特にこれらの例のように、窒素を含
む活性層の場合、本発明の非発光再結合防止層は特に効
果的である。以下にそれを説明する。
【0032】図11は、我々のMOCVD装置で作製し
たGaInNAs量子井戸層とGaAsバリア層とから
なるGaInNAs/GaAs2重量子井戸構造からな
る活性層の室温フォトルミネッセンススペクトルを示し
ている。図12は試料構造である。GaAs基板上20
1に、下部クラッド層202、中間層203、窒素を含
む活性層204、中間層203、上部クラッド層205
が順次積層されている。図11において、AはAlGa
Asクラッド層上にGaAs中間層をはさんで2重量子
井戸構造を形成した試料であり、BはGaInPクラッ
ド層上にGaAs中間層をはさんで2重量子井戸構造を
連続的に形成した試料である。図11に示すように、試
料Aでは試料Bに比べてフォトルミネッセンス強度が半
分以下に低下している。従って、1台のMOCVD装置
を用いてAlGaAs等のAlを構成元素として含む半
導体層上に、GaInNAs等の窒素を含む活性層を連
続的に形成すると、活性層の発光強度が劣化してしまう
という問題が生じた。そのため、AlGaAsクラッド
層上に形成したGaInNAs系レーザの閾電流密度
は、GaInPクラッド層上に形成した場合に比べて2
倍以上高くなってしまう。
【0033】この原因解明について検討した。図13は
クラッド層をAlGaAsとし、中間層をGaAsと
し、活性層をGaInNAs/GaAs2重量子井戸構
造として構成した素子を1台のエピタキシャル成長装置
(MOCVD)を用いて形成したときの、窒素と酸素濃
度の深さ方向分布を示した図である。測定はSIMSに
よって行った。表1に測定条件を示す。
【表1】 図13において、GaInNAs/GaAs2重量子井
戸構造に対応して、活性層中に2つの窒素ピークが見ら
れる。そして、活性層において、酸素のピークが検出さ
れている。しかし、NとAlを含まない中間層における
酸素濃度は活性層の酸素濃度よりも約1桁低い濃度とな
っている。一方、クラッド層をGaInPとし、中間層
をGaAsとし、活性層をGaInNAs/GaAs2
重量子井戸構造として構成した素子について、酸素濃度
の深さ方向分布を測定した場合には、活性層中の酸素濃
度はバックグラウンドレベルであった。即ち、窒素化合
物原料と有機金属Al原料を用いて、1台のエピタキシ
ャル成長装置により、基板と窒素を含む活性層との間に
Alを含む半導体層を設けた半導体発光素子を連続的に
結晶成長すると、窒素を含む活性層中に酸素が取りこま
れることが我々の実験により明らかとなった。活性層に
取りこまれた酸素は非発光再結合準位を形成するため、
活性層の発光効率を低下させてしまう。この活性層に取
りこまれた酸素が、基板と窒素を含む活性層との間にA
lを含む半導体層を設けた半導体発光素子における発光
効率を低下させる原因であることが新たに判明した。こ
の酸素の起源は装置内に残留している酸素を含んだ物
質、または窒素化合物原料中に不純物として含まれる酸
素を含んだ物質と考えられる。
【0034】次に酸素の取りこまれる原因について検討
した。図14は、図13と同じ試料のAl濃度の深さ方
向分布を示した図である。測定はSIMSによって行っ
た。表2に測定条件を示す。
【表2】 図14より、本来Al原料を導入していない活性層にお
いて、Alが検出されている。しかし、Alを含む半導
体層(クラッド層)に隣接した中間層(GaAs層)に
おいては、Al濃度は活性層よりも約1桁低い濃度とな
っている。これは、活性層中のAlがAlを含む半導体
層(クラッド層)から拡散、置換して混入したものでは
ないことを示している。一方、GaInPのようにAl
を含まない半導体層上に窒素を含む活性層を成長した場
合には、活性層中にAlは検出されなかった。従って、
活性層中に検出されたAlは、成長室内またはガス供給
ラインに残留したAl原料、またはAl反応物、または
Al化合物、またはAlが、窒素化合物原料または窒素
化合物原料中の不純物(水分等)と結合して活性層中に
取りこまれたものである。すなわち、窒素化合物原料と
有機金属Al原料を用いて、1台のエピタキシャル成長
装置により、基板と窒素を含む活性層との間にAlを含
む半導体層を設けた半導体発光素子を連続的に結晶成長
すると、窒素を含む活性層中に自然にAlが取りこまれ
てしまうことが新たにわかった。図14に示した同じ素
子における窒素と酸素濃度の深さ方向分布と比較する
と、2重量子井戸活性層中の2つの酸素ピークプロファ
イルは、窒素濃度のピークプロファイルと対応しておら
ず、図14のAl濃度プロファイルと対応している。こ
のことから、GaInNAs井戸層中の酸素不純物は、
窒素原料と共に取りこまれるというよりも、むしろ井戸
層中に取りこまれたAlと結合して一緒に取りこまれて
いることが明らかとなった。即ち、成長室内に残留した
Al原料、またはAl反応物、またはAl化合物、また
はAlが窒素化合物原料と接触すると、Alと窒素化合
物原料中に含まれる水分またはガスラインや反応室中に
残留する水分などの酸素を含んだ物質とが結合して、活
性層中にAlと酸素が取りこまれる。この活性層に取り
込まれた酸素が活性層の発光効率を低下させていたこと
が我々の実験により初めて明らかとなった。よってこれ
を改善するためには、少なくとも成長室内の窒素化合物
原料または窒素化合物原料中に含まれる不純物が触れる
場所に残留したAl原料、またはAl反応物、またはA
l化合物、またはAlを除去する工程を設けることが必
要であることがわかった。
【0035】Alを含んだ半導体層成長後、窒素を含む
活性層成長開始までの間にこの工程を設けると、窒素を
含む活性層を成長するため成長室に窒素化合物原料を供
給したときに、残留したAl原料、またはAl反応物、
またはAl化合物、またはAlと、窒素化合物原料また
は窒素化合物原料中に含まれる不純物及び装置内に残留
する酸素を含んだ物質とが反応して、活性層に取り込ま
れるAl及び酸素不純物の濃度を低減することができ
た。更に、非発光再結合防止層成長終了後までに除去し
ておくと、電流注入によって活性層にキャリアが注入さ
れる時、活性層での非発光再結合への悪影響を抑えられ
るので好ましい。例えば、窒素を含む活性層中のAl濃
度を1×1019cm−3以下に低減することにより、
室温連続発振が可能となった。さらに、窒素を含む活性
層中のAl濃度を2×1018cm−3以下に低減する
ことにより、Alを含まない半導体層上に形成した場合
と同等の発光特性が得られた。成長室内の窒素化合物原
料または窒素化合物原料中に含まれる不純物が触れる場
所に残留したAl原料、またはAl反応物、またはAl
化合物、またはAlを除去する工程とは例えば、キャリ
アガスでパージする工程を設けることがあげられる。こ
こで、パージ工程の時間は、Alを含む半導体層の成長
が終了して成長室へのAl原料の供給が停止してから、
窒素を含む半導体層の成長を開始するために窒素化合物
原料を成長室に供給するまでの間隔をいう。上記パージ
の方法として、Alと窒素のいずれも含まない中間層中
で成長中断をしてキャリアガスでパージする方法があ
る。成長中断をしてパージする場合は、成長中断する場
所を、Alを含んだ半導体層成長後から非発光再結合防
止層の途中までの間に設けることができる。
【0036】図15は、本発明におけるキャリアガスで
パージする工程を設けることを説明するための半導体発
光素子の断面構造図の1例を示している。図15におい
て、基板上201にAlを構成元素として含む第1の半
導体層202、第1の下部中間層601、第2の下部中
間層602、窒素を含む活性層204、上部中間層20
3、第2の半導体層205が順次積層されている。結晶
成長は有機金属Al原料と有機窒素原料を用いたエピタ
キシャル成長装置を用いている。そして、第1の下部中
間層成長後と第2の下部中間層の成長開始との間に成長
中断工程を設けたことを特徴としている。成長中断中
に、成長室内の窒素化合物原料または窒素化合物原料中
に含まれる不純物が触れる場所に残留したAl原料、ま
たはAl反応物、またはAl化合物、またはAlを、キ
ャリアガスである水素でパージして除去している。図1
6は、第1の下部中間層601と第2の下部中間層60
2の間で成長中断し、パージ時間を60分設けた半導体
発光素子におけるAl濃度の深さ方向分布の測定結果で
ある。図16に示すように、活性層中のAl濃度は3×
1017cm−3以下まで低減することができた。この
値は、中間層中のAl濃度と同程度となっている。図1
7は、同じ素子について、窒素と酸素濃度の深さ方向分
布を測定した結果である。図17に示すように、活性層
中の酸素濃度は、1×1017cm−3とバックグラウ
ンドレベルまで低減できた。なお、下部中間層中で酸素
濃度にピークが現れているのは、成長中断界面に酸素が
偏析したためである。よって、成長中断をしてパージす
る場合は、成長中断する場所を、Alを含んだ半導体層
成長後から非発光再結合防止層成長終了までの間に設け
ることが好ましい。非発光再結合防止層は量子井戸活性
層や障壁層よりバンドギャップエネルギーを大きくする
ことができ、電流注入によって活性層にキャリアが注入
される時、成長中断界面に偏析した酸素による非発光再
結合による悪影響を抑えられるからである。このように
窒素を含む活性層を用いる場合は非発光再結合防止層を
設けることは特に効果がある。
【0037】この半導体発光素子は、第1の下部中間層
と第2の下部中間層の間で成長中断し、パージ時間を6
0分設けることにより、窒素を含む活性層中のAlやO
等の不純物濃度を低減することができた。これにより、
窒素を含む活性層の発光効率を改善することができた。
なお、成長室内をキャリアガスでパージする工程におい
て、サセプターを加熱しながらパージすることにより、
サセプターまたはサセプター周辺に吸着したAl原料や
反応生成物を脱ガスさせて、効率良く除去することがで
きる。ただし、基板を同時に加熱する場合は、最表面の
半導体層が熱分解するのを防止するため、成長中断中に
おいてもAsHもしくはPH等のV族原料ガスを成
長室に供給し続ける必要がある。また、成長室内をキャ
リアガスでパージする際に、基板を成長室から別室に搬
送しておくこともできる。基板を成長室から別室に搬送
することにより、サセプターを加熱しながらパージを行
う最に、AsHもしくはPH等のV族原料ガスを成
長室に供給する必要がない。従って、サセプターまたは
サセプター周辺に堆積したAlを含む反応生成物の熱分
解をより促進させることができる。これにより、効率よ
く成長室内のAl濃度を低減することができる。また、
中間層を成長しながらパージを行う方法がある。Alを
含んだAlGaAs系からなる反射鏡と窒素を含む活性
層との間に非発光再結合防止層を設けていることから、
Alを含んだ層と窒素を含む活性層との距離が長くなる
ため、成長しながらパージを行う場合でもパージの時間
を長くできるメリットがある。この場合は成長速度を遅
くして時間を長くすると良い。また、Alを含んだAl
GaAs系からなる反射鏡と窒素を含む活性層とを別装
置で形成する方法もある。この場合でも再成長界面を非
発光再結合防止層の下部に設けると、窒素を含む活性層
のAlやO等の不純物濃度を低減することができる。通
常のMBE法のように、有機金属Al原料と窒素化合物
原料を用いない結晶成長方法で作製した場合には、基板
と窒素を含む活性層との間にAlを含む半導体層を設け
た半導体発光素子における発光効率低下については報告
されていない。一方、MOCVD法では、Alを含む半
導体層上に形成したGaInNAs活性層の発光効率の
低下が報告されている。Electron.Lett.、 2000、 36 (2
1)、 pp1776-1777において、同じMOCVD成長室でA
lGaAsクラッド層上にGaAsからなる中間層を設
けた場合でも、連続的にGaInNAs量子井戸層を成
長すると、フォトルミネッセンス強度が著しく劣化する
ことが報告されている。上記報告においては、フォトル
ミネッセンス強度を改善するために、AlGaAsクラ
ッド層とGaInNAs活性層を異なるMOCVD成長
室で成長させている。従って、MOCVD法のように、
有機金属Al原料と窒素化合物原料を用いる結晶成長方
法の場合には少なくても起きる問題である。
【0038】MBE法は超減圧(高真空中)で結晶成長
が行われるのに対して、MOCVD法は通常数10To
rrから大気圧程度と、MBE法に比べて反応室の圧力
が高いため、平均自由行程が圧倒的に短く、供給された
原料やキャリアガスがガスラインや反応室等で他と接
触、反応するためと考えられる。よって、MOCVD法
のように、反応室やガスラインの圧力が高い成長方法の
場合、Alを含んだ半導体層成長後、窒素を含んだ活性
層成長前までに、更に好ましくは非発光再結合防止層成
長終了後までの間に、成長室内の窒素化合物原料または
窒素化合物原料中に含まれる不純物が触れる場所に残留
したAl原料、またはAl反応物、またはAl化合物、
またはAlを除去する工程を設けると、窒素を含んだ活
性層へ酸素が取りこまれることを防止する効果が高い。
たとえばAlを含んだ半導体層を成長後、窒素を含む活
性層を成長する前に、ガスラインや成長室を真空引きす
る方法もある。この場合加熱して行うと効果が高い。ま
た、Alを含んだ半導体層を成長後、窒素を含む活性層
を成長する前に、エッチングガスを流して除去する方法
もある。Al系残留物と反応し除去することのできるガ
スの一例として有機系化合物ガスが上げられる。上述の
ように窒素を含んだ活性層成長時に有機系化合物ガスの
一つであるDMHyガスをDMHyシリンダーを用いて
供給するとAl系残留物と反応することは明らかであ
る。よってAlを含んだ半導体層成長後、窒素を含んだ
活性層成長の前までに、有機系化合物ガスシリンダーを
用いて有機系化合物ガスを供給すると反応室側壁、加熱
帯、基板を保持する治具等に残留しているAl系残留物
と反応し除去することのできるので、活性層への酸素の
取り込みを抑えることができる。更に窒素を含む活性層
の窒素原料と同じガスを用いると、特別にガスラインを
追加する必要がないので好ましい。この工程は成長中断
して行っても良く、GaNAs、GaInNAs、Ga
InNP層など窒素を含む層を活性層とは別にダミー層
として結晶成長して行っても良い。成長中断して行う場
合に比べて、結晶成長でAl除去工程を行うと時間的ロ
スがなくなり好ましい。なお活性層にGaInAsを用
いた場合、従来1.1μmまでが長波長化の限界と考え
られていたが、600℃以下の低温成長により高歪のG
aInAs量子井戸活性層を従来よりも厚く成長するこ
とが可能となり、波長は1.2μmまで到達できる。こ
のように、波長1.1μm〜1.7μmの半導体レーザ
は従来適した材料がなかったが、活性層に高歪のGaI
nAs、GaInNAs、GaAsSbを用い、かつ非
発光再結合防止層を設けることにより、従来安定発振が
困難であった波長1.1μm〜1.7μm帯の長波長領
域において、高性能な面発光レーザを実現できるように
なり、光通信システムへの応用ができるようになった。
【0039】図18はこのような長波長帯面発光半導体
レーザ素子を、面方位(100)のn−GaAsウエハ
40に多数のチップとして形成した例、ならびにレーザ
素子チップを示したものである。ここで示したレーザ素
子チップには、1〜n個のレーザ素子41が形成されて
いるが、その個数nはその用途に応じて、数ならびに配
列方法が決められる。図19はレーザ発振波長が1.1
μm帯〜1.7μm帯の長波長帯面発光半導体レーザを
用いた光送受信システムの一例である。この例では発光
光源であるレーザ素子発光部50はA地点に設置されて
いる。出射された光信号は光ファイバー51に光カップ
リングされ、図中太矢印52で示した送信方向に伝送さ
れる。そして光ファイバーの終端部であるB地点に設置
された受光ユニットであるフォトダイオード等の受光素
子の光ディテクタ部53に光カップリングされ、光送受
信システムとして機能する。この例は発光光源の設置場
所Aと受光ユニットの設置場所Bは、光ファイバー51
によって直線で結ばれる例である。
【0040】図20はレーザ発振波長が1.1μm帯〜
1.7μm帯の長波長帯面発光半導体レーザを用いた光
送受信システムの他の例であり、実際にはこのように間
に複数本(この例では3本)の光ファイバーが介在す
る。従来よりレーザ発振波長が0.85μm帯では光通
信システムが検討されていたが、光ファイバーの伝送ロ
スが大きくて実用的ではなかった。また伝送ロスが小さ
い実用的な長波長帯においては安定したレーザ素子がで
きなかったが、本発明では前述のように半導体分布ブラ
ッグ反射鏡の工夫、あるいは非発光再結合防止層を設け
るような工夫により、レーザ発振波長が1.1μm帯〜
1.7μm帯の面発光型半導体レーザを省エネルギー、
低発熱、安定駆動ができるようになり、実用的な長波長
帯光通信システムが可能となった。この例は、上記のよ
うな長波長帯面発光型半導体レーザLDチップ55とそ
のレーザ素子発光部56から出たレーザ光を受光しそれ
を送信するための伝送経路として作用する第1の光ファ
イバーFG1と、この第1の光ファイバーFG1から出
たレーザ光を受光しそれを送信するための伝送経路とし
て作用する第2の光ファイバーFG2と、この第2の光
ファイバーFG2から出たレーザ光を受光しそれを送信
するための伝送経路として作用する第3の光ファイバー
FG3と、この第3の光ファイバーFG3から出たレー
ザ光を受光するための光ディテクタ部57を有するフォ
トダイオードチップ58とからなっている。そして、半
導体レーザLDチップ55と第1の光ファイバーFG1
との間にはLD−FG1接続モジュールMG1があり、
両者を光カップリングさせている。また同様に各光ファ
イバー間、光ファイバーとフォトダイオードチップ58
間にも同様に、FG1−FG2接続モジュールMG2、
FG2−FG3接続モジュールMG3、FG3−フォト
ダイオード接続モジュールMG4が間に入り光カップリ
ングさせている。
【0041】ここで本発明では、半導体レーザLDチッ
プ55の発光面と、それに対向する第1の光ファイバー
FG1の受光面とを平行になるようにしている。これは
両面が平行ではないような場合には、出射したレーザ光
が、効率よく光ファイバーに入射されず、光利用効率が
落ちるからである。これは後述(図22)のように複数
個(図22では5個)の半導体レーザLDチップおよび
複数本の光ファイバーとした場合も同様である。すなわ
ち、各半導体レーザLDチップの発光面によって形成さ
れる幾何学的な仮想平面と、複数の光ファイバーの入射
端面によって形成される幾何学的な仮想平面とは、互い
に平行になるように構成される。このような互いに平行
な平面を得るための具体的手段としては、後述のような
チップホルダー、ファイバーホルダーおよびストッパー
機構が良好に用いられる。なお、今、半導体レーザLD
チップと光ファイバーの関係において論じているが、こ
の互いの平行関係は、光ファイバー―光ファイバー間、
光ファイバー―光ディテクタ部においても適用すること
が、高効率送受信システムを得るためには望ましい。
【0042】図21は、上記図20のシステムを上に、
そしてその下に上記図20のシステムを上左右反対にし
たものをならべて示したシステムであり、それにより双
方向の光送受信システムを構成したものである。図21
の下の部分は、向かって右から順に、面発光型半導体レ
ーザLDチップとそのレーザ素子発光部から出たレーザ
光を受光しそれを送信するための伝送経路として作用す
る第3の光ファイバーFR3と、この第3の光ファイバ
ーFR3から出たレーザ光を受光しそれを送信するため
の伝送経路として作用する第2の光ファイバーFR2
と、この第2の光ファイバーFR2から出たレーザ光を
受光しそれを送信するための伝送経路として作用する第
1の光ファイバーFR1と、この第1の光ファイバーF
R1から出たレーザ光を受光するための光ディテクタ部
を有するフォトダイオードチップとからなっている。そ
して、半導体レーザLDチップと第3の光ファイバーF
R3との間にはFR3−LD接続モジュールMR4があ
り、両者を光カップリングさせている。また同様に各光
ファイバー間、光ファイバーとフォトダイオードチップ
間にも同様に、FR2−FR3接続モジュールMR3、
FR1−FR2接続モジュールMR2、フォトダイオー
ド−FR1接続モジュールMR1が間に入り光カップリ
ングさせている。なお、光ファイバーや接続モジュール
に付けたFG1、MG1、あるいは、FR1、MR1等
のG、Rはそれぞれ光の送信方向を考慮し、Go、Re
turnの頭文字を付けたものである。
【0043】図22は、図20に示したシングルLDに
よる通信システムを複数個(n個)にしたシステムの例
である。すなわち1つの半導体レーザLDチップに複数
個(この例では5個)のレーザ素子発光部が設けられた
例であり、この複数個に対応して、第1、第2、第3の
光ファイバー群もそれぞれ複数本の光ファイバーとした
ものである。またそれに対応して、フォトダイオードチ
ップも複数個の光ディテクタ部としている。本発明では
面発光型半導体レーザLDチップを利用しているので、
このように1つの半導体レーザLDチップに複数個のレ
ーザ素子発光部を設けることは容易であり、レーザ素子
発光部を複数個(n個)とすることにより、簡単に大容
量の通信システムが実現できる。なお図示しないが、こ
のような複数本のファイバーを用いた大容量の通信シス
テムも、上記図6に示した双方向の光送受信システムの
考え方を取り入れ、複数本のファイバーを用いた双方向
の大容量光送受信システムも本発明の範疇にはいるもの
である。
【0044】次に本発明の他の特徴について説明する。
図23は、図22の左側部すなわち面発光型半導体レー
ザLDチップと第1の光ファイバー群MFG1とそれら
を光カップリングさせるためのLD−MFG1接続モジ
ュールMG1を示している。なおLD−MFG1接続モ
ジュールMG1は概念的に長方形点線で示している。こ
の概念的長方形点線部分のより具体的構成について、図
24〜図27を用いて説明する。図24と図25はそれ
ぞれ面発光型半導体レーザLDチップと第1の光ファイ
バー群MFG1とを光カップリングさせる前の状態(図
24)と光カップリングさせた後の状態(図25)を示
している。すなわち、図23で概念的に長方形点線部分
で示したLD−MFG1接続モジュールMG1は具体的
には、LDチップホルダー60とファイバーホルダー6
1の組合せからなるものである。そして両者は、図24
に示した矢印のように挿入することにより、レーザ素子
発光面と光ファイバーの端面(受光面)が互いに1対1
に相対するように配置され光カップリングができる状態
になる。つまりLDチップホルダー60とファイバーホ
ルダー61が結合される。その際本発明では、レーザ素
子発光面と光ファイバーの端面(受光面)が左右あるい
は上下の方向において間違わずに互いに1対1に相対す
るようにするための位置、方向を識別するための手段を
有している。図では、LDチップホルダーとファイバー
ホルダーのそれぞれに、矢印のマークを入れた例を示し
たが、このような識別手段を設けることにより、本発明
のような光送受信システムを構築する際、半導体レーザ
素子と光ファイバー群間の接続持に瞬時に互いの方向な
どを間違えることなく認識、接続ができるので、効率よ
くを行うことができる。なおこの識別手段は、このよう
な視認できる矢印のマークに限定されるものではなく、
色の違いを利用するようなものでもよい。さらに必ずし
も視認できるものに限定されるものではなく、形状の凹
凸などを利用して、触覚により認識できるようなもので
あってもよい。なおこのような触覚により認識できるよ
うなものとすると、暗闇とか夜間に工事を行う場合であ
っても簡単に認識できるというメリットがある。
【0045】図26と図27は、LDチップホルダーと
ファイバーホルダーの組合せからなるLD−MFG1接
続モジュールMG1の他の例である。この例の場合も、
図24、図25に示した場合と同様に、LDチップホル
ダーとファイバーホルダーのそれぞれに識別手段を設け
ているが、それに加えて、両者が精度良く位置決め、結
合できるような工夫もなされている。この例では、LD
チップホルダーのA部とB部の端面において両者が固定
されることにより、図の左右方向に精度良く位置決め、
結合させることができる。
【0046】次に本発明の他の特徴について説明する。
図24〜図27に示した識別手段、位置決め/結合手段
は、面発光型半導体レーザLDチップと第1の光ファイ
バー群MFG1とを光カップリングさせるLD−MFG
1接続モジュールMG1に関するものである。しかし本
発明のこの考え方は、面発光型半導体レーザLDチップ
と第1の光ファイバー群MFG1とを光カップリングさ
せるLD−MFG1接続モジュールMG1のみに適用さ
れるものではなく、第1の光ファイバー群MFG1と第
2の光ファイバー群MFG2とを光カップリングさせる
MFG1−MFG2接続モジュールMG2にも適用でき
る。図28はその例を示したものである。この場合も、
第1の光ファイバー群MFG1の端面(光送信面)と第
2の光ファイバー群MFG2の端面(受光面)が左右あ
るいは上下の方向において間違わずに互いに1対1に相
対するようにするための位置、方向を識別するための手
段を有している。図では、上記図24〜図27の例と同
様に第1のファイバー群ホルダーと第2のファイバーホ
ルダーのそれぞれに、矢印のマークを入れた例を示し
た。このような識別手段を設けることにより、本発明の
ような光送受信システムを構築する際、第1の光ファイ
バー群と第2の光ファイバー群間の接続持に瞬時に互い
の方向などを間違えることなく認識、接続ができるの
で、効率よくを行うことができる。なおこの識別手段
は、上記図24〜図27の例と同様に、このような視認
できる矢印のマークに限定されるものではなく、色の違
いを利用するようなものでもよい。特に単に色をつける
だけではなく、蛍光塗料を利用すると夜間、暗闇でも認
識できるのでより効果的である。さらに必ずしも視認で
きるものに限定されるものではなく、形状の凹凸などを
利用して、触覚により認識できるようなものであっても
よい。またこのような触覚により認識できるようなもの
とすると、暗闇とか夜間に工事を行う場合であっても簡
単に認識できるというメリットがある。
【0047】さらに、この場合(図28)も第1のファ
イバー群ホルダーと第2のファイバーホルダーのそれぞ
れに識別手段を設けるのみならず、それに加えて、両者
が精度良く位置決め、結合できるような工夫もなされて
いる。すなわち、図28では、その一例として、第1の
ファイバー群ホルダーのA部と第2のファイバーホルダ
ーのB部において、両者の端面が互いに面接触し、その
部分がストッパーとなって、図の左右方向に精度良く位
置決め、結合させることができる。さらにこのような関
係(識別手段、位置決め/結合手段)は、第2の光ファ
イバー群MFG2と第3の光ファイバー群MFG3およ
びそれらを光カップリングさせるMFG2−MFG3接
続モジュールMG3においても、また第3の光ファイバ
ー群MFG3とフォトダイオードチップおよびそれらを
光カップリングさせるMFG3−フォトダイオード接続
モジュールMG4においても同様に適用され、本発明の
ような光送受信システムを構築する際、互いの光ファイ
バー群間、あるいはフォトダイオードチップ間との接続
持に瞬時に互いの方向などを間違えることなく認識、接
続ができ、さらに精度良く位置決め、結合させることが
できる。なお本発明のような接続モジュールを用いて複
数本のファイバーを接続し、数cm〜数100kmにわ
たる光送受信システムが簡単に構築できるようになった
のは、前述のように本発明の素子構造の工夫により、発
振波長1.1μm〜1.7μmの面発光型半導体レーザ
素子の安定発振が可能となったためである。また発振波
長1.1μm〜1.7μmにおいて、従来実現できなか
った面発光型半導体レーザ素子が本発明の素子構造の工
夫により実現でき、レーザの素子の検査が大変楽にな
り、生産性が著しく向上したことも大きく寄与してい
る。つまり、従来の0.85μmのレーザ素子では、こ
のような光送受信システムの構築は困難であったが、本
発明の発振波長1.1μm〜1.7μmの面発光型半導
体レーザ素子の出現により、初めて商業ベースの光送受
信システムが実現できたのである。
【0048】
【発明の効果】以上記載のごとく請求項1の発明によれ
ば、半導体分布ブラッグ反射鏡を工夫した面発光型半導
体レーザ素子チップにより、動作電圧、発振閾値電流等
を低くでき、発熱も少ない省エネルギー、低コストの安
定した光送受信システム実現できた。また請求項2で
は、非発光再結合防止層を設けた面発光型半導体レーザ
素子チップにより、半導体分布ブラッグ反射鏡構成材料
のAlに起因する結晶欠陥、発光効率低下をなくすこと
が可能となり、安定したレーザ発振を行うことが可能な
長波長帯面発光半導体レーザが実現し、実用的な光送受
信システムが実現できた。また請求項3では、前記レー
ザチップにはn個の半導体レーザ素子が形成されている
とともに、前記第1の光ファイバー、第2の光ファイバ
ー、第3の光ファイバーならびに受光手段をそれぞれn
個ずつ有するようにして、大容量、かつ高速のデータ送
受信が可能となる光送受信システムを実現できた。また
請求項4では、前記n個の半導体レーザ素子の発光面と
n個の第1の光ファイバー群の受光面が互いに1対1に
相対することを識別する手段を有するので、半導体レー
ザ素子と光ファイバー群間の接続を効率よくできるよう
になり、このようなシステムを構築する際の工事が手際
よく行えるようになった。
【0049】また請求項5では、前記n個の半導体レー
ザ素子の発光面とn個の第1の光ファイバー群の受光面
が互いに1対1に相対するようにした位置決め/結合手
段を有するので、半導体レーザ素子から出射したレーザ
光が効率よく光ファイバーに入射できるようになり、ロ
スの少ない高効率の光送受信システムが実現できた。ま
た請求項6では、前記n個の半導体レーザ素子の発光面
とn個の第1の光ファイバー群の受光面が互いに1対1
に相対するようにした位置決め/結合手段を有するの
で、半導体レーザ素子と光ファイバー間の接続を高精度
にできるようになり、このようなシステムが長期にわた
り安定して稼動できるようになった。また請求項7で
は、前記n個の第1、第2、第3のそれぞれの光ファイ
バー群の光送出面および受光面が互いに1対1に相対す
ることを識別する手段を有するので、光ファイバー間ど
うしの接続を効率よくできるようになり、このようなシ
ステムを構築する際の工事が手際よく行えるようになっ
た。また請求項8では、前記n個の第1、第2、第3の
それぞれの光ファイバー群の光送出面および受光面が互
いに1対1に相対するようにした位置決め/結合手段を
有するので、光ファイバー間どうしの接続を高精度にで
きるようになり、このようなシステムが長期にわたり安
定して稼動できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半導
体レーザの素子部断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半導
体レーザの半導体分布ブラッグ反射鏡の構成の部分断面
図である。
【図3】本発明に適用される半導体分布ブラッグ反射鏡
のヘテロスパイク緩衝層の組成傾斜率をAlAs層より
もGaAs層の近くで大きくした例を示す図である。
【図4】ヘテロスパイク緩衝層のAl組成を線形に変化
させた例を示す図である。
【図5】図3のヘテロスパイク緩衝層の微分シート抵抗
を見積った結果を示す図である。
【図6】AlAs/GaAsによる半導体分布ブラッグ
反射鏡のDBRヘテロ界面の熱平衡状態のバンド図であ
る。
【図7】図3のヘテロスパイク緩衝層の熱平衡状態のバ
ンド図である。
【図8】AlAs/GaAs(p=1E18cm−3
4ペアの抵抗率を示す図である。
【図9】AlAs/GaAs半導体分布ブラッグ反射鏡
の反射率の変化率を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザの他の構成の素子部断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るGaInNAs/
GaAs2重量子井戸構造からなる活性層の室温フォト
ルミネッセンススペクトル図である。
【図12】試料構造図である。
【図13】窒素と酸素濃度の深さ方向分布を示す図であ
る。
【図14】Al濃度の深さ方向分布を示す図である。
【図15】キャリアガスパージで成長中断する場合の説
明構造図である。
【図16】成長中断工程を設けて水素でパージした場合
のAl濃度の深さ方向分布を示す図である。
【図17】成長中断工程を設けて水素でパージした場合
の窒素と酸素濃度の深さ方向分布を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザ素子を形成したウエハ基板ならびにレーザ素
子チップを示す平面図である。
【図19】発光光源と受光ユニットを伝送路で直線的に
結んだ光送受信システムの例を示す図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザおよび接続する光通信システムの例を示す図
である。
【図21】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザおよび接続する光通信システムの双方向シス
テムを示す図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザおよび接続する光通信システムで、複数のフ
ァイバー群を利用した大容量光通信システムの例を示す
図である。
【図23】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザおよび接続する光通信システムの面発光型半
導体レーザLDチップと第1の光ファイバー群MFG1
とそれらを光カップリングさせるためのLD−MFG1
接続モジュールMG1を示す図である。
【図24】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザおよび接続する光通信システムのLD−MF
G1接続モジュールMG1の構造を説明する図(カップ
リング前)である。
【図25】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザおよび接続する光通信システムのLD−MF
G1接続モジュールMG1の構造を説明する図(カップ
リング時)である。
【図26】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザおよび接続する光通信システムのLD−MF
G1接続モジュールMG1の他の構造を説明する図(カ
ップリング前)である。
【図27】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザおよび接続する光通信システムのLD−MF
G1接続モジュールMG1の他の構造を説明する図(カ
ップリング後)である。
【図28】本発明の一実施形態に係る長波長帯面発光半
導体レーザおよび接続する光通信システムのMFG1−
MFG2接続モジュールMG2の構造を説明する図(カ
ップリング後)である。
【符号の説明】
1 n側電極、2 n−GaAs基板、3 下部半導体
分布ブラッグ反射鏡、4 GaAsスペーサ層、5 上
部半導体分布ブラッグ反射鏡、6 p−コンタクト層、
12 TQW活性層、13 GaAsバリア層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古田 輝幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 宮垣 一也 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 金井 健 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 和多田 篤行 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 佐藤 俊一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 鈴木 幸栄 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 菅原 悟 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 佐藤 新治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 曳地 秀一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 軸谷 直人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 高橋 孝志 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H037 AA01 BA02 BA11 DA03 DA04 DA06 DA16 5F073 AA07 AA08 AA51 AA65 AA74 AB04 AB17 BA02 CA07 CA17 DA05 DA27 EA23 EA29 FA07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザチップと、該レーザチップと接続
    され該レーザチップのレーザ光を受光する第1の光ファ
    イバーと、該第1の光ファイバーの光を伝達する送信用
    の第2の光ファイバーと、該第2の光ファイバーの光を
    受光する第3の光ファイバーと、該第3の光ファイバー
    の光を受光する受光手段を備えた光送受信システムにお
    いて、 前記レーザチップは発振波長が1.1μm〜1.7μm
    であり、光を発生する活性層の主たる元素がGa、I
    n、N、Asからなる層、若しくはGa、In、Asよ
    りなる層とし、レーザ光を得るために前記活性層の上部
    及び下部に設けられた反射鏡を含んだ共振器構造を有す
    る面発光型半導体レーザ素子チップであって、前記反射
    鏡は反射波長が1.1μm以上で、該反射鏡を構成する
    材料層の屈折率が小大と異なる値に周期的に変化し、入
    射光を光波干渉によって反射する半導体分布ブラッグ反
    射鏡であるとともに、前記屈折率が小の材料層はAl
    Ga 1−xAs(0<x≦1)とし、前記屈折率が大の
    材料層はAlGa1−yAs(0≦y<x≦1)と
    し、かつ前記屈折率が小と大の材料層の間に該屈折率が
    小と大の間の値をとるAlGa1−zAs(0≦y<
    z<x≦1)よりなるヘテロスパイク緩衝層を20nm
    〜50nmの厚さに設けた反射鏡であるような面発光型
    半導体レーザ素子チップを発光光源としたことを特徴と
    する光送受信システム。
  2. 【請求項2】 レーザチップと、該レーザチップと接続
    され該レーザチップのレーザ光を受光する第1の光ファ
    イバーと、該第1の光ファイバーの光を伝達する送信用
    の第2の光ファイバーと、該第2の光ファイバーの光を
    受光する第3の光ファイバーと、該第3の光ファイバー
    の光を受光する受光手段よりなる光送受信システムにお
    いて、 前記レーザチップは発振波長が1.1μm〜1.7μm
    であり、光を発生する活性層を、主たる元素がGa、I
    n、N、Asからなる層、もしくはGa、In、Asよ
    りなる層とし、レーザ光を得るために前記活性層の上部
    及び下部に設けられた反射鏡を含んだ共振器構造を有す
    る面発光型半導体レーザ素子チップであって、前記反射
    鏡は反射波長が1.1μm以上でそれを構成する材料層
    の屈折率が小大と異なる値に周期的に変化し、入射光を
    光波干渉によって反射する半導体分布ブラッグ反射鏡で
    あるとともに、前記屈折率が小の材料層はAlGa
    1− As(0<x≦1)とし、前記屈折率が大の材料
    層はAlGa1−yAs(0≦y<x≦1)とした反
    射鏡であり、前記活性層と前記反射鏡の間に主たる組成
    がGaIn1−xAs1−y(0<x≦1、0<
    y≦1)層よりなる非発光再結合防止層を設けてなる面
    発光型半導体レーザ素子チップを発光光源としたことを
    特徴とする光送受信システム。
  3. 【請求項3】 前記レーザチップにはn個の半導体レー
    ザ素子が形成されているとともに、前記第1の光ファイ
    バー、第2の光ファイバー、第3の光ファイバーならび
    に受光手段をそれぞれn個ずつ有することを特徴とする
    請求項1、2に記載の光送受信システム。
  4. 【請求項4】 前記n個の半導体レーザ素子の発光面と
    n個の第1の光ファイバー群の受光面が互いに1対1に
    相対することを識別する手段を有することを特徴とする
    請求項3に記載の光送受信システム。
  5. 【請求項5】 前記半導体レーザ素子の発光面と光ファ
    イバーの受光面が互いに平行であることを特徴とする請
    求項4に記載の光送受信システム。
  6. 【請求項6】 前記n個の半導体レーザ素子の発光面と
    n個の第1の光ファイバー群の受光面が互いに1対1に
    相対するようにした位置決め/結合手段を有することを
    特徴とする請求項3に記載の光送受信システム。
  7. 【請求項7】 前記n個の第1、第2、第3のそれぞれ
    の光ファイバー群の光送出面および受光面が互いに1対
    1に相対することを識別する手段を有することを特徴と
    する請求項3に記載の光送受信システム。
  8. 【請求項8】 前記n個の第1、第2、第3のそれぞれ
    の光ファイバー群の光送出面および受光面が互いに1対
    1に相対するようにした位置決め/結合手段を有するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の光送受信システム。
JP2002045462A 2001-02-26 2002-02-21 光送受信システム Pending JP2002324941A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002045462A JP2002324941A (ja) 2001-02-26 2002-02-21 光送受信システム

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-50145 2001-02-26
JP2001050145 2001-02-26
JP2002045462A JP2002324941A (ja) 2001-02-26 2002-02-21 光送受信システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002324941A true JP2002324941A (ja) 2002-11-08
JP2002324941A5 JP2002324941A5 (ja) 2005-07-07

Family

ID=26610085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002045462A Pending JP2002324941A (ja) 2001-02-26 2002-02-21 光送受信システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002324941A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004081630A1 (ja) * 2003-03-13 2004-09-23 Fujitsu Limited 光伝送モジュール及びその製造方法
WO2013130784A1 (en) * 2012-03-01 2013-09-06 Tyco Electronics Corporation Keying for mpo systems
WO2016143044A1 (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 オリンパス株式会社 光ファイバ保持構造体、光伝送モジュール、および光ファイバ保持構造体の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004081630A1 (ja) * 2003-03-13 2004-09-23 Fujitsu Limited 光伝送モジュール及びその製造方法
US7137746B2 (en) 2003-03-13 2006-11-21 Fujitsu Limited Optical transmission module and manufacturing method therefor
WO2013130784A1 (en) * 2012-03-01 2013-09-06 Tyco Electronics Corporation Keying for mpo systems
CN104272153A (zh) * 2012-03-01 2015-01-07 蒂科电子公司 用于mpo系统的键控
US9739971B2 (en) 2012-03-01 2017-08-22 Commscope Technologies Llc Keying for MPO systems
WO2016143044A1 (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 オリンパス株式会社 光ファイバ保持構造体、光伝送モジュール、および光ファイバ保持構造体の製造方法
JPWO2016143044A1 (ja) * 2015-03-09 2017-12-21 オリンパス株式会社 光ファイバ保持構造体、光伝送モジュール、および光ファイバ保持構造体の製造方法
US10088640B2 (en) 2015-03-09 2018-10-02 Olympus Corporation Optical fiber holding structure, optical transmission module, and method of manufacturing optical fiber holding structure

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7940827B2 (en) Vertical-cavity, surface-emission type laser diode and fabrication process thereof
JP2002329928A (ja) 光通信システム
JP2002324941A (ja) 光送受信システム
JP2002261400A (ja) レーザ、レーザ装置および光通信システム
JP4046466B2 (ja) 半導体分布ブラッグ反射鏡、面発光型半導体レーザ並びにこれを用いた光送信モジュール、光送受信モジュール及び光通信システム
JP2002324940A (ja) 光通信システム
JP2002252418A (ja) 光通信システム
JP2002324935A (ja) 光通信システム
JP2003101140A (ja) 面発光型半導体レーザ素子およびその製造方法および面発光型半導体レーザアレイおよび光送信モジュールおよび光送受信モジュールおよび光通信システム
JP2002329923A (ja) 光通信システム
JP2002329930A (ja) 光送受信システム
JP2002252416A (ja) 光通信システム
JP4281987B2 (ja) 半導体発光素子の製造方法
JP2002261401A (ja) 光通信モジュール
JP2002323646A (ja) 光通信システム
JP2002324939A (ja) 光通信システム
JP2002261398A (ja) 光通信システム
JP2002324945A (ja) 光通信システム
JP2002261399A (ja) 光通信システム
JP4136369B2 (ja) 半導体発光素子の製造方法および面発光型半導体レーザ素子の製造方法
JP2002252419A (ja) 光通信システムおよびモジュール
JP2005011995A (ja) 半導体発光素子および光送信モジュールおよび光送受信モジュールおよび光通信システム
JP2002261384A (ja) 光通信システム
JP2005347482A (ja) 面発光レーザ及び面発光レーザアレイ及び光送信モジュール及び光送受信モジュール及び光通信システム
JP2002359433A (ja) 半導体分布ブラッグ反射器、面発光レーザ素子、面発光レーザアレイ、光インターコネクションシステム、および光通信システム

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041028

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041028

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20041028

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041028

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070717

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20070918

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20071218

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080204

A02 Decision of refusal

Effective date: 20080722

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02