JP2003100934A - 半導体素子収納用パッケージ - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
【課題】半導体素子が作動時に発する熱を外部に効率よ
く放散することができず、半導体素子に熱破壊が発生す
る。 【解決手段】基体1と、配線層6を有する枠状絶縁体2
と、蓋体3とから成る半導体素子収納用パッケージであ
って、枠状絶縁体2はSi成分がSiO2に換算して2
5〜80重量%、Ba成分がBaOに換算して15〜7
0重量%、B成分がB2O3に換算して1.5〜5重量
%、Al成分がAl2O3に換算して1〜30重量%、C
a成分がCaOに換算して0重量%を超えて30重量%
以下含まれる焼結体で形成されており、かつ前記基体1
は65乃至80重量%の炭化珪素と、20乃至35重量
%の銅とから成る。
く放散することができず、半導体素子に熱破壊が発生す
る。 【解決手段】基体1と、配線層6を有する枠状絶縁体2
と、蓋体3とから成る半導体素子収納用パッケージであ
って、枠状絶縁体2はSi成分がSiO2に換算して2
5〜80重量%、Ba成分がBaOに換算して15〜7
0重量%、B成分がB2O3に換算して1.5〜5重量
%、Al成分がAl2O3に換算して1〜30重量%、C
a成分がCaOに換算して0重量%を超えて30重量%
以下含まれる焼結体で形成されており、かつ前記基体1
は65乃至80重量%の炭化珪素と、20乃至35重量
%の銅とから成る。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はLSI(大規模集積
回路素子)や光半導体素子等の半導体素子を収容するた
めの半導体素子収納用パッケージに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、半導体素子を収容するための半導
体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子が載置さ
れる載置部を有する銅−タングステン合金や銅−モリブ
デン合金等の金属材料からなる基体と、該基体の上面に
前記載置部を囲繞するようにして取着された酸化アルミ
ニウム質焼結体等の電気絶縁材料からなる枠状絶縁体
と、該枠状絶縁体の内周部から外周部にかけて被着導出
されているタングステン、モリブデン、マンガン等の高
融点金属からなる複数個の配線層と、前記枠状絶縁体の
上面に取着され、絶縁体の内側の穴を塞ぐ蓋体とから構
成されており、基体の半導体素子載置部に半導体素子を
接着剤を介して接着固定するとともに該半導体素子の各
電極をボンディングワイヤを介して枠状絶縁体に形成し
た配線層に電気的に接続し、しかる後、枠状絶縁体に蓋
体を該枠状絶縁体の内側の穴を塞ぐようにしてガラス、
樹脂、ロウ材等から成る封止材を介して接合させ、基体
と枠状絶縁体と蓋体とからなる容器内部に半導体素子を
気密に収容することによって製品としての半導体装置と
なる。 【0003】なお上述の半導体素子収納用パッケージに
おいては、半導体素子が載置される基体が銅−タングス
テン合金や銅−モリブデン合金等の金属材料で形成され
ており、該銅−タングステン合金や銅−モリブデン合金
等は熱伝導率が約180W/m・Kと高く熱伝導性に優
れていることから基体は半導体素子の作動時に発する熱
を良好に吸収するとともに大気中に良好に放散させるこ
とができ、これによって半導体素子を常に適温とし半導
体素子に熱破壊が発生したり、特性に熱劣化が発生した
りするのを有効に防止している。 【0004】また上述の半導体素子収納用パッケージの
基体として使用されている銅−タングステン合金や銅−
モリブデン合金はタングステン粉末やモリブデン粉末を
焼成して焼結多孔体を得、次に前記焼結多孔体の空孔内
に溶融させることによって製作されており、例えば、タ
ングステンから成る焼結多孔体に銅を含浸させる場合は
焼結多孔体が75乃至90重量%、銅が10乃至25重
量%の範囲に、モリブデンから成る焼結多孔体に銅を含
浸させる場合は焼結多孔体が80乃至90重量%、銅が
10乃至20重量%の範囲となっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の半導体素子収納用パッケージにおいては、枠状絶縁
体に形成されている配線層はタングステンやモリブデ
ン、マンガン等の高融点金属材料により形成されてお
り、該タングステン等はその比電気抵抗が5.4μΩ・
cm(20℃)以上と高いことから配線層に電気信号を
伝搬させた場合、電気信号に大きな減衰が生じ、半導体
素子と外部電気回路との間で電気信号を正確、かつ確実
に入出力せることができないという欠点を有していた。 【0006】またこの従来の半導体素子収納用パッケー
ジにおいては、銅−タングステン合金あるいは銅−モリ
ブデン合金から成る基体の熱伝導率は最大でも約180
W/m・K程度であり、近時の高密度化、高集積化が大
きく進み、作動時に多量の熱を発する半導体素子を収容
した場合、半導体素子が作動時に発する熱は基体を介し
て外部に完全に放散させることができなくなり、その結
果、半導体素子が該素子自身の発する熱によって高温と
なり、半導体素子に熱破壊を招来させたり、特性にばら
つきを生じ安定に作動させることができないという欠点
も有していた。 【0007】本発明は上記欠点に鑑み案出されたもの
で、その目的は内部に収容する半導体素子に外部電気回
路から供給される電気信号を正確に入力することがで
き、同時に半導体素子が出力する電気信号を外部電気回
路に正確に供給することができる半導体素子収納用パッ
ケージを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、上面に半導体
素子が載置される載置部を有する基体と、前記基体上に
半導体素子載置部を囲繞するようにして取着され、半導
体素子の各電極が接続される配線層を有する枠状絶縁体
と、前記枠状絶縁体上に取着され、枠状絶縁体の内側を
気密に封止する蓋体とから成る半導体素子収納用パッケ
ージであって、前記枠状絶縁体はSi成分がSiO2に
換算して25〜80重量%、Ba成分がBaOに換算し
て15〜70重量%、B成分がB2O3に換算して1.5
〜5重量%、Al成分がAl2O3に換算して1〜30重
量%、Ca成分がCaOに換算して0重量%を超えて3
0重量%以下含まれる焼結体で形成されており、かつ前
記基体は65乃至80重量%の炭化珪素と、20乃至3
5重量%の銅とから成ることを特徴とするものである。 【0009】本発明の半導体素子収納用パッケージによ
れば、枠状絶縁体をSi成分がSiO2に換算して25
〜80重量%、Ba成分がBaOに換算して15〜70
重量%、B成分がB2O3に換算して1.5〜5重量%、
Al成分がAl2O3に換算して1〜30重量%、Ca成
分がCaOに換算して0重量%を超えて30重量%以下
含まれる焼結体で形成し、かかる酸化物焼結体の焼成温
度が800℃〜1000℃と低いことから枠状絶縁体と
同時焼成により形成される配線層を比電気抵抗が2.5
μΩ・cm(20℃)以下と低い銅や銀、金で形成する
ことができ、その結果、配線層に電気信号を伝搬させた
場合、電気信号に大きな減衰が生じることはなく、電気
信号を正確、かつ確実に伝搬させることが可能となる。 【0010】また本発明の半導体素子収納用パッケージ
によれば、基体を65乃至80重量%の炭化珪素と、2
0乃至35重量%の銅とで形成し、熱伝導率を270W
/m・K以上の高いものとなしたことから、基体上に載
置される半導体素子が作動時に多量の熱を発したとして
もその熱は基体の半導体素子載置部平面方向に素早く広
がらせるとともに基体の厚さ方向を良好に伝搬させて外
部に効率よく確実に放散させることができ、これによっ
て半導体素子は常に適温となり、半導体素子を長期間に
わたり安定かつ正常に作動させることが可能となる。 【0011】更に本発明の半導体素子収納用パッケージ
によれば、基体を65乃至80重量%の炭化珪素と、2
0乃至35重量%の銅とで形成し、その線熱膨張係数を
枠状絶縁体の線熱膨張係数(6ppm/℃乃至8ppm
/℃:室温〜800℃)に近似するものとなしたことか
ら基体上に枠状絶縁体を取着させる際や半導体素子が作
動した際等において基体と枠状絶縁体の両者に熱が作用
したとしても基体と枠状絶縁体との間には両者の線熱膨
張係数の相違に起因する大きな熱応力が発生することは
なく、これによって半導体素子を収納する空所の気密封
止が常に完全となり、半導体素子を安定かつ正常に作動
させることが可能となる。 【0012】 【発明の実施の形態】次に、本発明を添付図面に示す実
施例に基づき詳細に説明する。図1は本発明の半導体素
子収納用パッケージの一実施例を示す断面図であり、図
1において、1は基体、2は枠状絶縁体、3は蓋体であ
る。この基体1と枠状絶縁体2と蓋体3とにより内部に
半導体素子4を気密に収容する容器5が構成される。 【0013】前記基体1はその上面に半導体素子4が載
置される載置部1aを有するとともに上面外周部に該基
体1の上面に設けた半導体素子4が載置される載置部1
aを囲繞するようにして枠状絶縁体2がロウ材やガラ
ス、樹脂等の接着剤を介して取着されている。 【0014】前記基体1は半導体素子4を支持する支持
部材として作用するとともに半導体素子4が作動時に発
する熱を良好に吸収するとともに大気中に効率よく放散
させ、半導体素子4を常に適温とする作用をなし、枠状
絶縁体2に囲まれた基体1の載置部1a上に半導体素子
4がガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して固定され
る。 【0015】なお前記基体1は炭化珪素と銅とから成
り、例えば溶融させた銅に平均粒径5μm程度の炭化珪
素粉末を分散混入させることによって、或いは炭化珪素
粉末を焼成して多孔質の焼結体を得、しかる後、焼結体
の空孔内に溶融させた銅を充填させることによって製作
されている。 【0016】また前記基体1の上面外周部には該基体1
の上面に設けた半導体素子4が載置される載置部1aを
囲繞するようにして枠状絶縁体2がロウ材やガラス、樹
脂等の接着剤を介して取着されており、基体1と枠状絶
縁体2とで半導体素子4を収容するための空所が内部に
形成される。 【0017】前記基体1に取着される枠状絶縁体2はS
iO2、BaO、B2O3、Al2O3、CaO等の原料粉
末にアクリル樹脂を主成分とするバインダー及び分散
剤、可塑剤、有機溶媒を加えて泥漿物を作るとともに該
泥漿物をドクターブレード法やカレンダーロール法を採
用することによってグリーンシート(生シート)とな
し、しかる後、前記グリーンシートに適当な打ち抜き加
工を施すとともにこれを複数枚積層し、約800℃〜1
000℃の温度で焼成することによって製作される。 【0018】また前記枠状絶縁体2はその内周部から上
部にかけて導出する複数の配線層6が被着形成されてお
り、枠状絶縁体2の内周部に露出する配線層6の一端に
は半導体素子4の各電極がボンディングワイヤ7を介し
て電気的に接続され、また枠状絶縁体2の上面に導出さ
れた部位には外部電気回路と接続される外部リードピン
8が銀ロウ等のロウ材を介してロウ付け取着されてい
る。 【0019】前記配線層6は半導体素子4の各電極を外
部電気回路に接続する際の導電路として作用し、銅、
銀、金等の金属粉末により形成されている。 【0020】前記配線層6は銅、銀、金等の金属粉末に
適当な有機バインダー、溶剤等を添加混合して得られた
金属ペーストを枠状絶縁体2となるグリーンシートに予
め従来周知のスクリーン印刷法等の印刷法を用いること
により所定パターンに印刷塗布しておくことによって枠
状絶縁体2の内周部から上面にかけて被着形成される。 【0021】なお、前記配線層6は銅や銀からなる場
合、その露出表面に耐蝕性に優れる金属をメッキ法によ
り1μm〜20μmの厚みに被着させておくと、配線層
6の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともに配
線層6とボンディングワイヤ7との接続及び配線層6へ
の外部リードピン8の取着を強固となすことができる。
従って、前記配線層6は銅や銀からなる場合、配線層6
の酸化腐蝕を防止し、配線層6とボンディングワイヤ7
及び外部リードピン8との取着を強固とするには配線層
6の露出表面に金等の耐蝕性に優れる金属を1μm〜2
0μmの厚みに被着させておくことが好ましい。 【0022】また前記枠状絶縁体2に被着した配線層6
にロウ付けされる外部リードピン8は鉄−ニッケル−コ
バルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属材料から成り、
半導体素子4の各電極を外部電気回路に電気的に接続す
る作用をなす。 【0023】前記外部リードピン8は、例えば、鉄−ニ
ッケル−コバルト合金等の金属から成るインゴット
(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法等、従来周知の金
属加工法を施すことによって所定形状に形成される。 【0024】本発明においては、枠状絶縁体2をSi成
分がSiO2に換算して25〜80重量%、Ba成分が
BaOに換算して15〜70重量%、B成分がB2O3に
換算して1.5〜5重量%、Al成分がAl2O3に換算
して1〜30重量%、Ca成分がCaOに換算して0重
量%を超えて30重量%以下含まれる焼結体(線熱膨張
係数:6ppm/℃乃至8ppm/℃)で形成しておく
ことが重要である。 【0025】前記枠状絶縁体2をSi成分がSiO2に
換算して25〜80重量%、Ba成分がBaOに換算し
て15〜70重量%、B成分がB2O3に換算して1.5
〜5重量%、Al成分がAl2O3に換算して1〜30重
量%、Ca成分がCaOに換算して0重量%を超えて3
0重量%以下含まれる焼結体で形成すると、該焼結体の
焼成温度は800〜1000℃と低いことから枠状絶縁
体2と同時焼成により形成される配線層6を比抵抗が
2.5Ω・cm(20℃)以下と低い銅や銀、金で形成
することができ、その結果、配線層6に電気信号を伝搬
させた場合、電気信号に大きな減衰が生じることはな
く、電気信号を正確かつ確実に伝搬させることが可能と
なる。 【0026】前記焼結体から成る枠状絶縁体2は所定量
に秤量されたSiO2、BaO、B2O3、Al2O3、C
aOの各原料粉末にアクリル樹脂を主成分とするバイン
ダー及び分散剤、可塑剤、有機溶媒を加えて泥漿物を作
るとともに該泥漿物をドクターブレード法やカレンダー
ロール法を採用することによってグリーンシート(生シ
ート)となし、しかる後、前記グリーンシートに適当な
打ち抜き加工を施すとともにこれを複数枚積層し、約8
00℃〜1000℃の温度で焼成することによって製作
される。 【0027】なお、前記枠状絶縁体2を構成する焼結体
は、SiO2が25重量%未満であると誘電損失が大き
くなって配線層6を伝搬する電気信号に減衰や遅延を招
来してしまい、また80重量%を超えると枠状絶縁体2
の機械的強度が大きく低下してしまうと同時に焼成温度
が高いものとなって銅等の金属材料からなる配線層6と
同時焼成するのが困難となる。従って、SiO2の量は
25〜80重量%の範囲に特定される。 【0028】また前記枠状絶縁体2を構成する焼結体
は、BaOが15重量%未満であると焼成温度が高いも
のとなって銅等の金属材料からなる配線層6と同時焼成
するのが困難となる。また70重量%を超えると誘電損
失が大きくなって配線層6を伝搬する電気信号に減衰や
遅延を招来してしまう。従って、BaOの量は15〜7
0重量%の範囲に特定される。 【0029】更に前記枠状絶縁体2を構成する焼結体
は、B2O3が1.5重量%未満となると焼成温度が高い
ものとなって銅等の金属材料からなる配線層6と同時焼
成するのが困難となり、また5重量%を超えると枠状絶
縁体2の機械的強度が大きく低下してしまう。従って、
B2O3の量は1.5〜5重量%の範囲に特定される。 【0030】また更に前記枠状絶縁体2を構成する焼結
体は、Al2O3が1重量%未満となると焼成温度が高い
ものとなって銅等の金属材料からなる配線層6と同時焼
成するのが困難となり、また30重量%を超えると誘電
損失が大きくなって配線層6を伝搬する電気信号に減衰
や遅延を招来してしまう。従って、Al2O3の量は1〜
30重量%の範囲に特定される。 【0031】更にまた前記枠状絶縁体2を構成する焼結
体は、CaOが含有されない時には線熱膨張係数が半導
体素子の線熱膨張係数に近似させた基体1の線熱膨張係
数に対して大きく相違し、基体1に枠状絶縁体2を強固
に取着させることができなくなり、また30重量%を超
えると焼成温度が高いものとなって銅等の金属材料から
なる配線層6と同時焼成するのが困難となる。従って、
CaOの量は0重量%を超えて30重量%以下の範囲に
特定される。 【0032】また本発明の半導体素子収納用パッケージ
においては、基体1を65乃至80重量%の炭化珪素
と、20乃至35重量%の銅とで形成しておくことが重
要である。 【0033】前記基体1を65乃至80重量%の炭化珪
素と、20乃至35重量%の銅とで形成しておくと基体
1の熱伝導率が270W/m・K以上の高いものとな
り、その結果、基体1上に載置される半導体素子4が作
動時に多量の熱を発したとしてもその熱は基体1の半導
体素子載置部1a平面方向に素早く広がらせるとともに
基体1の厚さ方向を良好に伝搬させて外部に効率よく確
実に放散させることができ、これによって半導体素子4
は常に適温となり、半導体素子4を長期間にわたり安定
かつ正常に作動させることが可能となる。 【0034】また上述の65乃至80重量%の炭化珪素
と、20乃至35重量%の銅とからなる基体1はその線
熱膨張係数が枠状絶縁体2の線熱膨張係数(6ppm/
℃乃至8ppm/℃:室温〜800℃)に近似するもの
となり、その結果、基体1上に枠状絶縁体2を取着させ
る際や半導体素子4が作動した際において基体1と枠状
絶縁体2の両者に熱が作用したとしても基体1と枠状絶
縁体2との間には両者の線熱膨張係数の相違に起因する
大きな熱応力が発生することはなく、これによって半導
体素子4を収納する空所の気密封止が常に完全となり、
半導体素子4を安定かつ正常に作動させることが可能と
なる。 【0035】なお前記基体1は炭化珪素の量が65重量
%未満となると、言い換えれば銅の量が35重量%を超
えると、基体1の線熱膨張係数が枠状絶縁体2の線熱膨
張係数に対して大きく相違することとなり、その結果、
基体1に枠状絶縁体2を強固に取着させておくことがで
きなくなってしまい、また炭化珪素の量が80重量%を
超える、言い換えれば銅の量が20重量%未満となると
基体1の熱伝導率が大きく劣化し、半導体素子4が作動
時に多量の熱を発した場合、その熱を基体1を介して外
部に完全に放散させることができなくなり、その結果、
半導体素子4を高温として、半導体素子4に熱破壊を招
来させたり、特性にばらつきが生じ安定に作動させるこ
とができなくなってしまう。従って、前記基体1は炭化
珪素の量が65乃至80重量%、銅の量が20乃至65
重量%の範囲に特定される。 【0036】また前記65乃至80重量%の炭化珪素
と、20乃至35重量%の銅とから成る基体1は炭化珪
素の表面に酸化物膜、例えばSiO2等の膜を0.05
μm乃至1μm程度の厚みに被着させておけば炭化珪素
と銅との密着強度が大きく向上して基体1としての信頼
性が大幅に向上する。従って前記基体1は表面に酸化物
膜を0.05μm乃至1μmの厚みに被着させた炭化珪
素と銅とで形成しておくことが好ましい。 【0037】前記炭化珪素の表面に酸化物膜を被着させ
る方法としては、例えば、炭化珪素の粉末を大気中で約
1200℃の温度で加熱することによって行われる。 【0038】更に、前記基体1は溶融させた銅に炭化珪
素粉末を分散混入させて形成した場合、基体1のヤング
率が銅のヤング率に依存する100GPa程度の軟質な
ものとなり、その結果基体1上に半導体素子4を載置さ
せた後、基体1と半導体素子4に熱が作用して両者間に
熱応力が発生したとしても、その熱応力は基体1を若干
変形させることによって効率よく吸収され、半導体素子
4が基体1より剥離したり、半導体素子4に割れやクラ
ックを発生したりすることがなく、半導体素子4を常に
正常かつ安定に作動させることができる。 【0039】かくして上述の半導体素子収納用パッケー
ジによれば、基体1の半導体素子載置部1a上に半導体
素子4をガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して接着
固定するとともに該半導体素子4の各電極をボンディン
グワイヤ7を介して所定の配線層6に接続させ、しかる
後、前記枠状絶縁体2の上面に蓋体3をガラス、樹脂、
ロウ材等から成る封止材を介して接合させ、基体1、枠
状絶縁体2及び蓋体3とから成る容器5内部に半導体素
子4を気密に収容することによって製品としての半導体
装置となる。 【0040】なお、本発明は上述の実施例に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば
種々の変更は可能である。 【0041】 【発明の効果】本発明の半導体素子収納用パッケージに
よれば、枠状絶縁体をSi成分がSiO2に換算して2
5〜80重量%、Ba成分がBaOに換算して15〜7
0重量%、B成分がB2O3に換算して1.5〜5重量
%、Al成分がAl2O3に換算して1〜30重量%、C
a成分がCaOに換算して0重量%を超えて30重量%
以下含まれる焼結体で形成し、かかる酸化物焼結体の焼
成温度が800℃〜1000℃と低いことから枠状絶縁
体と同時焼成により形成される配線層を比電気抵抗が
2.5μΩ・cm(20℃)以下と低い銅や銀、金で形
成することができ、その結果、配線層に電気信号を伝搬
させた場合、電気信号に大きな減衰が生じることはな
く、電気信号を正確、かつ確実に伝搬させることが可能
となる。 【0042】また本発明の半導体素子収納用パッケージ
によれば、基体を65乃至80重量%の炭化珪素と、2
0乃至35重量%の銅とで形成し、熱伝導率を270W
/m・K以上の高いものとなしたことから、基体上に載
置される半導体素子が作動時に多量の熱を発したとして
もその熱は基体の半導体素子載置部平面方向に素早く広
がらせるとともに基体の厚さ方向を良好に伝搬させて外
部に効率よく確実に放散させることができ、これによっ
て半導体素子は常に適温となり、半導体素子を長期間に
わたり安定かつ正常に作動させることが可能となる。 【0043】更に本発明の半導体素子収納用パッケージ
によれば、基体を65乃至80重量%の炭化珪素と、2
0乃至35重量%の銅とで形成し、その線熱膨張係数を
枠状絶縁体の線熱膨張係数(6ppm/℃乃至8ppm
/℃:室温〜800℃)に近似するものとなしたことか
ら基体上に枠状絶縁体を取着させる際や半導体素子が作
動した際等において基体と枠状絶縁体の両者に熱が作用
したとしても基体と枠状絶縁体との間には両者の線熱膨
張係数の相違に起因する大きな熱応力が発生することは
なく、これによって半導体素子を収納する空所の気密封
止が常に完全となり、半導体素子を安定かつ正常に作動
させることが可能となる。
回路素子)や光半導体素子等の半導体素子を収容するた
めの半導体素子収納用パッケージに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、半導体素子を収容するための半導
体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子が載置さ
れる載置部を有する銅−タングステン合金や銅−モリブ
デン合金等の金属材料からなる基体と、該基体の上面に
前記載置部を囲繞するようにして取着された酸化アルミ
ニウム質焼結体等の電気絶縁材料からなる枠状絶縁体
と、該枠状絶縁体の内周部から外周部にかけて被着導出
されているタングステン、モリブデン、マンガン等の高
融点金属からなる複数個の配線層と、前記枠状絶縁体の
上面に取着され、絶縁体の内側の穴を塞ぐ蓋体とから構
成されており、基体の半導体素子載置部に半導体素子を
接着剤を介して接着固定するとともに該半導体素子の各
電極をボンディングワイヤを介して枠状絶縁体に形成し
た配線層に電気的に接続し、しかる後、枠状絶縁体に蓋
体を該枠状絶縁体の内側の穴を塞ぐようにしてガラス、
樹脂、ロウ材等から成る封止材を介して接合させ、基体
と枠状絶縁体と蓋体とからなる容器内部に半導体素子を
気密に収容することによって製品としての半導体装置と
なる。 【0003】なお上述の半導体素子収納用パッケージに
おいては、半導体素子が載置される基体が銅−タングス
テン合金や銅−モリブデン合金等の金属材料で形成され
ており、該銅−タングステン合金や銅−モリブデン合金
等は熱伝導率が約180W/m・Kと高く熱伝導性に優
れていることから基体は半導体素子の作動時に発する熱
を良好に吸収するとともに大気中に良好に放散させるこ
とができ、これによって半導体素子を常に適温とし半導
体素子に熱破壊が発生したり、特性に熱劣化が発生した
りするのを有効に防止している。 【0004】また上述の半導体素子収納用パッケージの
基体として使用されている銅−タングステン合金や銅−
モリブデン合金はタングステン粉末やモリブデン粉末を
焼成して焼結多孔体を得、次に前記焼結多孔体の空孔内
に溶融させることによって製作されており、例えば、タ
ングステンから成る焼結多孔体に銅を含浸させる場合は
焼結多孔体が75乃至90重量%、銅が10乃至25重
量%の範囲に、モリブデンから成る焼結多孔体に銅を含
浸させる場合は焼結多孔体が80乃至90重量%、銅が
10乃至20重量%の範囲となっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の半導体素子収納用パッケージにおいては、枠状絶縁
体に形成されている配線層はタングステンやモリブデ
ン、マンガン等の高融点金属材料により形成されてお
り、該タングステン等はその比電気抵抗が5.4μΩ・
cm(20℃)以上と高いことから配線層に電気信号を
伝搬させた場合、電気信号に大きな減衰が生じ、半導体
素子と外部電気回路との間で電気信号を正確、かつ確実
に入出力せることができないという欠点を有していた。 【0006】またこの従来の半導体素子収納用パッケー
ジにおいては、銅−タングステン合金あるいは銅−モリ
ブデン合金から成る基体の熱伝導率は最大でも約180
W/m・K程度であり、近時の高密度化、高集積化が大
きく進み、作動時に多量の熱を発する半導体素子を収容
した場合、半導体素子が作動時に発する熱は基体を介し
て外部に完全に放散させることができなくなり、その結
果、半導体素子が該素子自身の発する熱によって高温と
なり、半導体素子に熱破壊を招来させたり、特性にばら
つきを生じ安定に作動させることができないという欠点
も有していた。 【0007】本発明は上記欠点に鑑み案出されたもの
で、その目的は内部に収容する半導体素子に外部電気回
路から供給される電気信号を正確に入力することがで
き、同時に半導体素子が出力する電気信号を外部電気回
路に正確に供給することができる半導体素子収納用パッ
ケージを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、上面に半導体
素子が載置される載置部を有する基体と、前記基体上に
半導体素子載置部を囲繞するようにして取着され、半導
体素子の各電極が接続される配線層を有する枠状絶縁体
と、前記枠状絶縁体上に取着され、枠状絶縁体の内側を
気密に封止する蓋体とから成る半導体素子収納用パッケ
ージであって、前記枠状絶縁体はSi成分がSiO2に
換算して25〜80重量%、Ba成分がBaOに換算し
て15〜70重量%、B成分がB2O3に換算して1.5
〜5重量%、Al成分がAl2O3に換算して1〜30重
量%、Ca成分がCaOに換算して0重量%を超えて3
0重量%以下含まれる焼結体で形成されており、かつ前
記基体は65乃至80重量%の炭化珪素と、20乃至3
5重量%の銅とから成ることを特徴とするものである。 【0009】本発明の半導体素子収納用パッケージによ
れば、枠状絶縁体をSi成分がSiO2に換算して25
〜80重量%、Ba成分がBaOに換算して15〜70
重量%、B成分がB2O3に換算して1.5〜5重量%、
Al成分がAl2O3に換算して1〜30重量%、Ca成
分がCaOに換算して0重量%を超えて30重量%以下
含まれる焼結体で形成し、かかる酸化物焼結体の焼成温
度が800℃〜1000℃と低いことから枠状絶縁体と
同時焼成により形成される配線層を比電気抵抗が2.5
μΩ・cm(20℃)以下と低い銅や銀、金で形成する
ことができ、その結果、配線層に電気信号を伝搬させた
場合、電気信号に大きな減衰が生じることはなく、電気
信号を正確、かつ確実に伝搬させることが可能となる。 【0010】また本発明の半導体素子収納用パッケージ
によれば、基体を65乃至80重量%の炭化珪素と、2
0乃至35重量%の銅とで形成し、熱伝導率を270W
/m・K以上の高いものとなしたことから、基体上に載
置される半導体素子が作動時に多量の熱を発したとして
もその熱は基体の半導体素子載置部平面方向に素早く広
がらせるとともに基体の厚さ方向を良好に伝搬させて外
部に効率よく確実に放散させることができ、これによっ
て半導体素子は常に適温となり、半導体素子を長期間に
わたり安定かつ正常に作動させることが可能となる。 【0011】更に本発明の半導体素子収納用パッケージ
によれば、基体を65乃至80重量%の炭化珪素と、2
0乃至35重量%の銅とで形成し、その線熱膨張係数を
枠状絶縁体の線熱膨張係数(6ppm/℃乃至8ppm
/℃:室温〜800℃)に近似するものとなしたことか
ら基体上に枠状絶縁体を取着させる際や半導体素子が作
動した際等において基体と枠状絶縁体の両者に熱が作用
したとしても基体と枠状絶縁体との間には両者の線熱膨
張係数の相違に起因する大きな熱応力が発生することは
なく、これによって半導体素子を収納する空所の気密封
止が常に完全となり、半導体素子を安定かつ正常に作動
させることが可能となる。 【0012】 【発明の実施の形態】次に、本発明を添付図面に示す実
施例に基づき詳細に説明する。図1は本発明の半導体素
子収納用パッケージの一実施例を示す断面図であり、図
1において、1は基体、2は枠状絶縁体、3は蓋体であ
る。この基体1と枠状絶縁体2と蓋体3とにより内部に
半導体素子4を気密に収容する容器5が構成される。 【0013】前記基体1はその上面に半導体素子4が載
置される載置部1aを有するとともに上面外周部に該基
体1の上面に設けた半導体素子4が載置される載置部1
aを囲繞するようにして枠状絶縁体2がロウ材やガラ
ス、樹脂等の接着剤を介して取着されている。 【0014】前記基体1は半導体素子4を支持する支持
部材として作用するとともに半導体素子4が作動時に発
する熱を良好に吸収するとともに大気中に効率よく放散
させ、半導体素子4を常に適温とする作用をなし、枠状
絶縁体2に囲まれた基体1の載置部1a上に半導体素子
4がガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して固定され
る。 【0015】なお前記基体1は炭化珪素と銅とから成
り、例えば溶融させた銅に平均粒径5μm程度の炭化珪
素粉末を分散混入させることによって、或いは炭化珪素
粉末を焼成して多孔質の焼結体を得、しかる後、焼結体
の空孔内に溶融させた銅を充填させることによって製作
されている。 【0016】また前記基体1の上面外周部には該基体1
の上面に設けた半導体素子4が載置される載置部1aを
囲繞するようにして枠状絶縁体2がロウ材やガラス、樹
脂等の接着剤を介して取着されており、基体1と枠状絶
縁体2とで半導体素子4を収容するための空所が内部に
形成される。 【0017】前記基体1に取着される枠状絶縁体2はS
iO2、BaO、B2O3、Al2O3、CaO等の原料粉
末にアクリル樹脂を主成分とするバインダー及び分散
剤、可塑剤、有機溶媒を加えて泥漿物を作るとともに該
泥漿物をドクターブレード法やカレンダーロール法を採
用することによってグリーンシート(生シート)とな
し、しかる後、前記グリーンシートに適当な打ち抜き加
工を施すとともにこれを複数枚積層し、約800℃〜1
000℃の温度で焼成することによって製作される。 【0018】また前記枠状絶縁体2はその内周部から上
部にかけて導出する複数の配線層6が被着形成されてお
り、枠状絶縁体2の内周部に露出する配線層6の一端に
は半導体素子4の各電極がボンディングワイヤ7を介し
て電気的に接続され、また枠状絶縁体2の上面に導出さ
れた部位には外部電気回路と接続される外部リードピン
8が銀ロウ等のロウ材を介してロウ付け取着されてい
る。 【0019】前記配線層6は半導体素子4の各電極を外
部電気回路に接続する際の導電路として作用し、銅、
銀、金等の金属粉末により形成されている。 【0020】前記配線層6は銅、銀、金等の金属粉末に
適当な有機バインダー、溶剤等を添加混合して得られた
金属ペーストを枠状絶縁体2となるグリーンシートに予
め従来周知のスクリーン印刷法等の印刷法を用いること
により所定パターンに印刷塗布しておくことによって枠
状絶縁体2の内周部から上面にかけて被着形成される。 【0021】なお、前記配線層6は銅や銀からなる場
合、その露出表面に耐蝕性に優れる金属をメッキ法によ
り1μm〜20μmの厚みに被着させておくと、配線層
6の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともに配
線層6とボンディングワイヤ7との接続及び配線層6へ
の外部リードピン8の取着を強固となすことができる。
従って、前記配線層6は銅や銀からなる場合、配線層6
の酸化腐蝕を防止し、配線層6とボンディングワイヤ7
及び外部リードピン8との取着を強固とするには配線層
6の露出表面に金等の耐蝕性に優れる金属を1μm〜2
0μmの厚みに被着させておくことが好ましい。 【0022】また前記枠状絶縁体2に被着した配線層6
にロウ付けされる外部リードピン8は鉄−ニッケル−コ
バルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属材料から成り、
半導体素子4の各電極を外部電気回路に電気的に接続す
る作用をなす。 【0023】前記外部リードピン8は、例えば、鉄−ニ
ッケル−コバルト合金等の金属から成るインゴット
(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法等、従来周知の金
属加工法を施すことによって所定形状に形成される。 【0024】本発明においては、枠状絶縁体2をSi成
分がSiO2に換算して25〜80重量%、Ba成分が
BaOに換算して15〜70重量%、B成分がB2O3に
換算して1.5〜5重量%、Al成分がAl2O3に換算
して1〜30重量%、Ca成分がCaOに換算して0重
量%を超えて30重量%以下含まれる焼結体(線熱膨張
係数:6ppm/℃乃至8ppm/℃)で形成しておく
ことが重要である。 【0025】前記枠状絶縁体2をSi成分がSiO2に
換算して25〜80重量%、Ba成分がBaOに換算し
て15〜70重量%、B成分がB2O3に換算して1.5
〜5重量%、Al成分がAl2O3に換算して1〜30重
量%、Ca成分がCaOに換算して0重量%を超えて3
0重量%以下含まれる焼結体で形成すると、該焼結体の
焼成温度は800〜1000℃と低いことから枠状絶縁
体2と同時焼成により形成される配線層6を比抵抗が
2.5Ω・cm(20℃)以下と低い銅や銀、金で形成
することができ、その結果、配線層6に電気信号を伝搬
させた場合、電気信号に大きな減衰が生じることはな
く、電気信号を正確かつ確実に伝搬させることが可能と
なる。 【0026】前記焼結体から成る枠状絶縁体2は所定量
に秤量されたSiO2、BaO、B2O3、Al2O3、C
aOの各原料粉末にアクリル樹脂を主成分とするバイン
ダー及び分散剤、可塑剤、有機溶媒を加えて泥漿物を作
るとともに該泥漿物をドクターブレード法やカレンダー
ロール法を採用することによってグリーンシート(生シ
ート)となし、しかる後、前記グリーンシートに適当な
打ち抜き加工を施すとともにこれを複数枚積層し、約8
00℃〜1000℃の温度で焼成することによって製作
される。 【0027】なお、前記枠状絶縁体2を構成する焼結体
は、SiO2が25重量%未満であると誘電損失が大き
くなって配線層6を伝搬する電気信号に減衰や遅延を招
来してしまい、また80重量%を超えると枠状絶縁体2
の機械的強度が大きく低下してしまうと同時に焼成温度
が高いものとなって銅等の金属材料からなる配線層6と
同時焼成するのが困難となる。従って、SiO2の量は
25〜80重量%の範囲に特定される。 【0028】また前記枠状絶縁体2を構成する焼結体
は、BaOが15重量%未満であると焼成温度が高いも
のとなって銅等の金属材料からなる配線層6と同時焼成
するのが困難となる。また70重量%を超えると誘電損
失が大きくなって配線層6を伝搬する電気信号に減衰や
遅延を招来してしまう。従って、BaOの量は15〜7
0重量%の範囲に特定される。 【0029】更に前記枠状絶縁体2を構成する焼結体
は、B2O3が1.5重量%未満となると焼成温度が高い
ものとなって銅等の金属材料からなる配線層6と同時焼
成するのが困難となり、また5重量%を超えると枠状絶
縁体2の機械的強度が大きく低下してしまう。従って、
B2O3の量は1.5〜5重量%の範囲に特定される。 【0030】また更に前記枠状絶縁体2を構成する焼結
体は、Al2O3が1重量%未満となると焼成温度が高い
ものとなって銅等の金属材料からなる配線層6と同時焼
成するのが困難となり、また30重量%を超えると誘電
損失が大きくなって配線層6を伝搬する電気信号に減衰
や遅延を招来してしまう。従って、Al2O3の量は1〜
30重量%の範囲に特定される。 【0031】更にまた前記枠状絶縁体2を構成する焼結
体は、CaOが含有されない時には線熱膨張係数が半導
体素子の線熱膨張係数に近似させた基体1の線熱膨張係
数に対して大きく相違し、基体1に枠状絶縁体2を強固
に取着させることができなくなり、また30重量%を超
えると焼成温度が高いものとなって銅等の金属材料から
なる配線層6と同時焼成するのが困難となる。従って、
CaOの量は0重量%を超えて30重量%以下の範囲に
特定される。 【0032】また本発明の半導体素子収納用パッケージ
においては、基体1を65乃至80重量%の炭化珪素
と、20乃至35重量%の銅とで形成しておくことが重
要である。 【0033】前記基体1を65乃至80重量%の炭化珪
素と、20乃至35重量%の銅とで形成しておくと基体
1の熱伝導率が270W/m・K以上の高いものとな
り、その結果、基体1上に載置される半導体素子4が作
動時に多量の熱を発したとしてもその熱は基体1の半導
体素子載置部1a平面方向に素早く広がらせるとともに
基体1の厚さ方向を良好に伝搬させて外部に効率よく確
実に放散させることができ、これによって半導体素子4
は常に適温となり、半導体素子4を長期間にわたり安定
かつ正常に作動させることが可能となる。 【0034】また上述の65乃至80重量%の炭化珪素
と、20乃至35重量%の銅とからなる基体1はその線
熱膨張係数が枠状絶縁体2の線熱膨張係数(6ppm/
℃乃至8ppm/℃:室温〜800℃)に近似するもの
となり、その結果、基体1上に枠状絶縁体2を取着させ
る際や半導体素子4が作動した際において基体1と枠状
絶縁体2の両者に熱が作用したとしても基体1と枠状絶
縁体2との間には両者の線熱膨張係数の相違に起因する
大きな熱応力が発生することはなく、これによって半導
体素子4を収納する空所の気密封止が常に完全となり、
半導体素子4を安定かつ正常に作動させることが可能と
なる。 【0035】なお前記基体1は炭化珪素の量が65重量
%未満となると、言い換えれば銅の量が35重量%を超
えると、基体1の線熱膨張係数が枠状絶縁体2の線熱膨
張係数に対して大きく相違することとなり、その結果、
基体1に枠状絶縁体2を強固に取着させておくことがで
きなくなってしまい、また炭化珪素の量が80重量%を
超える、言い換えれば銅の量が20重量%未満となると
基体1の熱伝導率が大きく劣化し、半導体素子4が作動
時に多量の熱を発した場合、その熱を基体1を介して外
部に完全に放散させることができなくなり、その結果、
半導体素子4を高温として、半導体素子4に熱破壊を招
来させたり、特性にばらつきが生じ安定に作動させるこ
とができなくなってしまう。従って、前記基体1は炭化
珪素の量が65乃至80重量%、銅の量が20乃至65
重量%の範囲に特定される。 【0036】また前記65乃至80重量%の炭化珪素
と、20乃至35重量%の銅とから成る基体1は炭化珪
素の表面に酸化物膜、例えばSiO2等の膜を0.05
μm乃至1μm程度の厚みに被着させておけば炭化珪素
と銅との密着強度が大きく向上して基体1としての信頼
性が大幅に向上する。従って前記基体1は表面に酸化物
膜を0.05μm乃至1μmの厚みに被着させた炭化珪
素と銅とで形成しておくことが好ましい。 【0037】前記炭化珪素の表面に酸化物膜を被着させ
る方法としては、例えば、炭化珪素の粉末を大気中で約
1200℃の温度で加熱することによって行われる。 【0038】更に、前記基体1は溶融させた銅に炭化珪
素粉末を分散混入させて形成した場合、基体1のヤング
率が銅のヤング率に依存する100GPa程度の軟質な
ものとなり、その結果基体1上に半導体素子4を載置さ
せた後、基体1と半導体素子4に熱が作用して両者間に
熱応力が発生したとしても、その熱応力は基体1を若干
変形させることによって効率よく吸収され、半導体素子
4が基体1より剥離したり、半導体素子4に割れやクラ
ックを発生したりすることがなく、半導体素子4を常に
正常かつ安定に作動させることができる。 【0039】かくして上述の半導体素子収納用パッケー
ジによれば、基体1の半導体素子載置部1a上に半導体
素子4をガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して接着
固定するとともに該半導体素子4の各電極をボンディン
グワイヤ7を介して所定の配線層6に接続させ、しかる
後、前記枠状絶縁体2の上面に蓋体3をガラス、樹脂、
ロウ材等から成る封止材を介して接合させ、基体1、枠
状絶縁体2及び蓋体3とから成る容器5内部に半導体素
子4を気密に収容することによって製品としての半導体
装置となる。 【0040】なお、本発明は上述の実施例に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば
種々の変更は可能である。 【0041】 【発明の効果】本発明の半導体素子収納用パッケージに
よれば、枠状絶縁体をSi成分がSiO2に換算して2
5〜80重量%、Ba成分がBaOに換算して15〜7
0重量%、B成分がB2O3に換算して1.5〜5重量
%、Al成分がAl2O3に換算して1〜30重量%、C
a成分がCaOに換算して0重量%を超えて30重量%
以下含まれる焼結体で形成し、かかる酸化物焼結体の焼
成温度が800℃〜1000℃と低いことから枠状絶縁
体と同時焼成により形成される配線層を比電気抵抗が
2.5μΩ・cm(20℃)以下と低い銅や銀、金で形
成することができ、その結果、配線層に電気信号を伝搬
させた場合、電気信号に大きな減衰が生じることはな
く、電気信号を正確、かつ確実に伝搬させることが可能
となる。 【0042】また本発明の半導体素子収納用パッケージ
によれば、基体を65乃至80重量%の炭化珪素と、2
0乃至35重量%の銅とで形成し、熱伝導率を270W
/m・K以上の高いものとなしたことから、基体上に載
置される半導体素子が作動時に多量の熱を発したとして
もその熱は基体の半導体素子載置部平面方向に素早く広
がらせるとともに基体の厚さ方向を良好に伝搬させて外
部に効率よく確実に放散させることができ、これによっ
て半導体素子は常に適温となり、半導体素子を長期間に
わたり安定かつ正常に作動させることが可能となる。 【0043】更に本発明の半導体素子収納用パッケージ
によれば、基体を65乃至80重量%の炭化珪素と、2
0乃至35重量%の銅とで形成し、その線熱膨張係数を
枠状絶縁体の線熱膨張係数(6ppm/℃乃至8ppm
/℃:室温〜800℃)に近似するものとなしたことか
ら基体上に枠状絶縁体を取着させる際や半導体素子が作
動した際等において基体と枠状絶縁体の両者に熱が作用
したとしても基体と枠状絶縁体との間には両者の線熱膨
張係数の相違に起因する大きな熱応力が発生することは
なく、これによって半導体素子を収納する空所の気密封
止が常に完全となり、半導体素子を安定かつ正常に作動
させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子収納用パッケージの一実施
例を示す断面図である。 【符号の説明】 1・・・・・基体 1a・・・・載置部 1b・・・・上層 1c・・・・中間層 1d・・・・下層 2・・・・・枠状絶縁体 3・・・・・蓋体 4・・・・・半導体素子 5・・・・・容器 6・・・・・配線層 7・・・・・ボンディングワイヤ 8・・・・・外部リードピン
例を示す断面図である。 【符号の説明】 1・・・・・基体 1a・・・・載置部 1b・・・・上層 1c・・・・中間層 1d・・・・下層 2・・・・・枠状絶縁体 3・・・・・蓋体 4・・・・・半導体素子 5・・・・・容器 6・・・・・配線層 7・・・・・ボンディングワイヤ 8・・・・・外部リードピン
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】上面に半導体素子が載置される載置部を有
する基体と、前記基体上に半導体素子載置部を囲繞する
ようにして取着され、半導体素子の各電極が接続される
配線層を有する枠状絶縁体と、前記枠状絶縁体上に取着
され、枠状絶縁体の内側を気密に封止する蓋体とから成
る半導体素子収納用パッケージであって、前記枠状絶縁
体はSi成分がSiO2に換算して25〜80重量%、
Ba成分がBaOに換算して15〜70重量%、B成分
がB2O3に換算して1.5〜5重量%、Al成分がAl
2O3に換算して1〜30重量%、Ca成分がCaOに換
算して0重量%を超えて30重量%以下含まれる焼結体
で形成されており、かつ前記基体は65乃至80重量%
の炭化珪素と、20乃至35重量%の銅とから成ること
を特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001289876A JP2003100934A (ja) | 2001-09-21 | 2001-09-21 | 半導体素子収納用パッケージ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001289876A JP2003100934A (ja) | 2001-09-21 | 2001-09-21 | 半導体素子収納用パッケージ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003100934A true JP2003100934A (ja) | 2003-04-04 |
Family
ID=19112308
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001289876A Pending JP2003100934A (ja) | 2001-09-21 | 2001-09-21 | 半導体素子収納用パッケージ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003100934A (ja) |
-
2001
- 2001-09-21 JP JP2001289876A patent/JP2003100934A/ja active Pending
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