JP2003100637A - 半導体膜の結晶化方法、薄膜トランジスタの製造方法、電気光学装置及び電子機器 - Google Patents

半導体膜の結晶化方法、薄膜トランジスタの製造方法、電気光学装置及び電子機器

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JP2003100637A
JP2003100637A JP2002070915A JP2002070915A JP2003100637A JP 2003100637 A JP2003100637 A JP 2003100637A JP 2002070915 A JP2002070915 A JP 2002070915A JP 2002070915 A JP2002070915 A JP 2002070915A JP 2003100637 A JP2003100637 A JP 2003100637A
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thin film
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Seiichiro Azuma
清一郎 東
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温プロセスにより、大粒径の結晶粒径を有
する半導体膜の結晶化を実現する。 【解決手段】 非晶質又は多結晶の半導体膜(103)
を下地保護膜(102)を介して基板(101)上に堆
積する。次いで、半導体膜(103)上に絶縁層(10
4)及び光吸収層(105)を積層する。光源(10
0)から照射光を照射し、露光面上に形成される照射領
域を走査する一方で、半導体膜(103)中に形成され
る溶融領域を照射領域の走査方向に沿って移動させつ
つ、半導体膜(103)を溶融結晶化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基板上に形成される
半導体膜の結晶化技術に関し、特に、ロジック回路やメ
モリ回路等の回路素子、液晶表示装置(LCD)や有機
EL表示装置等の表示画素の駆動素子として利用される
薄膜トランジスタ(TFT)や、太陽電池に好適な半導
体膜の製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多結晶シリコン(poly−S
i)等の半導体薄膜は薄膜トランジスタや太陽電池に広
く利用されている。とりわけ多結晶シリコンTFTは、
キャリア移動度が高い上、ガラス基板のような透明の絶
縁基板上に作製できるという特徴を生かして、液晶表示
装置や液晶プロジェクターなどのスイッチング素子、或
いは液晶駆動用ドライバの回路素子として広く用いら
れ、新しい市場の創出に成功している。
【0003】ガラス基板上に高性能なTFTを作製する
方法としては高温プロセスと呼ばれる製造方法がすでに
実用化されている。TFTの製造プロセスの中でも、最
高温度が1000℃程度の高温を用いるプロセスを一般
的に高温プロセスと呼んでいる。高温プロセスの特徴
は、シリコンの固相成長により比較的良質の多結晶シリ
コンを成膜する事ができる点、シリコンの熱酸化により
良質のゲート絶縁層を得ることができる点、及び清浄な
多結晶シリコンとゲート絶縁層との界面を形成できる点
である。高温プロセスではこれらの特徴により、高移動
度でしかも信頼性の高い高性能TFTを安定的に製造す
ることができる。
【0004】しかし、高温プロセスを用いてTFTを作
製するためには、基板の耐熱温度が1000℃以上であ
ることが必要である。この条件を満たす透明基板は現在
のところ石英ガラスしかない。このため昨今の多結晶シ
リコンTFTは総て高価で小さい石英ガラス基板上に作
製されており、コストの問題上、大型化には向かないと
されている。また、固相成長法では十数時間という長時
間の熱処理が必要であり、生産性が極めて低いとの課題
がある。また、この方法では基板全体が長時間加熱され
ている事に起因して基板の熱変形が大きな問題となる上
に、安価な大型ガラス基板を使用できないため、低コス
ト化を妨げる要因となっている。
【0005】一方、高温プロセスが持つ上記欠点を解消
し、尚且つ高移動度の多結晶シリコンTFTを実現する
ための技術が低温プロセスと呼ばれる技術である。TF
Tの製造プロセスの中でも、最高温度が概ね600℃以
下の温度環境下において、比較的安価な耐熱性ガラス基
板上に多結晶シリコンTFTを製造するプロセスは一般
に低温プロセスと呼ばれている。低温プロセスでは発振
時間が極短時間のパルスレーザーを用いてシリコン膜の
結晶化をおこなうレーザー結晶化技術が広く使われてい
る。レーザー結晶化とは、基板上のシリコン薄膜に高出
力のパルスレーザー光を照射することによって瞬時に溶
融させ、これが凝固する過程で結晶化する性質を利用す
る技術である。最近ではガラス基板上のアモルファスシ
リコン膜にエキシマレーザービームを繰り返し照射しな
がらスキャンすることによって大面積の多結晶シリコン
膜を作製する技術が広く使われるようになった。また、
ゲート絶縁層としてはプラズマCVDを用いた成膜方法
により二酸化珪素(SiO2)膜が大面積基板上に成膜
可能となった。これらの技術によって、現在では一辺が
数十センチほどもある大型のガラス基板上に多結晶シリ
コンTFTが作製可能となっている。
【0006】しかし、この低温プロセスで問題となるの
は、TFTの能動層(ドレイン、ソース、チャネル)と
なる多結晶シリコンをレーザ結晶化技術により形成した
場合、結晶粒径が高々0.5μmと小さいため、この多
結晶シリコンを用いて作製したTFTの閾値電圧が高
く、移動度が低い事である。この問題はひとえに多結晶
シリコン膜中の結晶粒界に存在する捕獲順位に起因する
ものである。TFTの場合、ゲート電極に電圧を印加す
るとMOSキャパシタ容量によって決まるキャリアが半
導体薄膜側に誘起される。しかし半導体薄膜側、すなわ
ち多結晶シリコン層に捕獲準位があると、誘起されたキ
ャリアがこれら捕獲準位に捕獲され伝導に寄与できな
い。結果として、より高いゲート電圧を印加し、捕獲準
位密度よりも多くのキャリアを誘起してやらないとドレ
イン電流が得られないことになる。これがTFTの閾値
電圧を高くしている原因である。これと同時に結晶粒界
に捕獲されたキャリアはポテンシャルバリアを形成する
ので、実効的移動度はこのバリア高さにより支配される
事になる。現状では結晶粒径が小さくTFTの能動層領
域内に結晶粒界が多数存在するので、TFTの移動度が
低い、閾値電圧が高いという結果を招き、これが現在の
製造プロセスでの最大の問題となっている。
【0007】現状として、低温プロセスで作製した多結
晶シリコンTFTの閾値は、概ね3〜4V程度、移動度
は100cm2-1-1である。閾値電圧を例えば1V
程度に下げることができれば、TFTで作製した回路の
駆動電圧を現在の3分の1以下に下げることができる。
回路の消費電力は駆動電圧の2乗に比例するので、駆動
電圧を3分の1以下に下げることができれば消費電力を
10分の1近くに飛躍的に下げることが可能となるので
ある。また移動度を500cm2-1-1程度に向上で
きれば、動作スピードが5倍の回路を実現する事ができ
る。こうすることによって、例えば携帯情報機器向けの
ディスプレイに適した超低消費電力の液晶ディスプレイ
が実現できるのである。
【0008】さらに、現在広く使われているエキシマレ
ーザーは装置単価が高く、レーザーチューブの交換によ
るランニングコストが高い上にスループットも低いの
で、製品の製造コストを下げられないという課題も抱え
ている。以上のような課題を解決するための手段とし
て、従来では下記の改良技術が提案されていた。
【0009】特開昭57−113217では、絶縁板の
一主面上に半導体膜を被着し、その半導体膜上に絶縁層
を被着した後、さらに絶縁層上に光吸収層を被着して、
光吸収層上からレーザー照射し加熱することにより、半
導体薄膜の結晶化を行う技術が開示されている。
【0010】特開昭59−158515では、非単結晶
半導体薄膜上に熱抵抗層を介してエネルギー吸収層を設
け、該エネルギー吸収層をエネルギー線照射により昇温
せしめることにより前記熱抵抗層を介して該半導体薄膜
を加熱溶融して単結晶化する技術が開示されている。
【0011】特開昭59−205712では、絶縁層上
に非単結晶半導体よりなる半導体領域を配設し、少なく
とも前記半導体領域及びその近傍を被覆する皮膜を形成
し、前記皮膜にエネルギー線を照射して該皮膜を加熱す
ることにより前記半導体領域の非単結晶半導体を融解し
て単結晶化する技術が開示されている。
【0012】特開昭60−18913では、絶縁基板上
に再結晶化される非晶質又は多結晶の化合物半導体薄膜
を設け、この化合物半導体薄膜上に化合物半導体より高
い融点を有する加熱層を設け、エネルギー線を加熱層に
照射し吸収させ、加熱層の熱を伝導して化合物半導体薄
膜を加熱し再結晶する、半導体装置の製造方法が開示さ
れている。
【0013】特開昭60−126815では、部分的に
単結晶シードに接した非単結晶半導体薄膜が絶縁層上に
設けられ、該非単結晶半導体薄膜が分離層を介して設け
られたエネルギー線吸収層によって被覆された試料の該
エネルギー線吸収層にエネルギー線を照射して加熱し、
これを熱源としたヒートフローにより、該非単結晶半導
体薄膜を溶融し、前記単結晶シードから横方向にエピタ
キシャル成長させることにより、該非単結晶半導体薄膜
を単結晶化する、半導体装置の製造方法が開示されてい
る。
【0014】特開昭60−231319では、絶縁物基
体上に熱伝導層として寄与する第一の層を設け、該第一
の層上に単結晶化しようとする半導体島状領域を形成
し、次いで該半導体島状領域の上表面及び側面を覆いエ
ネルギー線吸収体として寄与する第2の層を形成し、該
第2の層上からエネルギー線を照射して該半導体島状領
域を単結晶化する、半導体装置の製造方法が開示されて
いる。
【0015】特開昭61−30025では、少なくとも
その表面がアモルファス絶縁層で覆われた基板上に多結
晶或いは非晶質半導体膜を形成し、当該基板上に光吸収
係数の異なる少なくとも2種類のアモルファス絶縁層を
形成し、この基板に前記半導体が吸収できる波長成分を
持つ光を照射するとともに、電子線を照射することによ
り、半導体膜を溶融再結晶させる、単結晶半導体薄膜の
形成方法が開示されている。
【0016】特開平4−332120では、基板上にア
ニールされるべき半導体薄膜を形成し、該半導体薄膜上
に高融点金属膜を形成するに際して、半導体薄膜と高融
点金属膜との間に中間層を形成しておき、半導体薄膜上
に中間層、高融点金属膜を形成後、半導体薄膜をアニー
ルするためのエネルギービームを高融点金属膜側から照
射する、半導体結晶層の製造方法が開示されている。
【0017】特開平6−291034では、光照射によ
り薄膜を熱処理するようにした薄膜の熱処理方法におい
て、上記薄膜を加熱層上に積層した構造体を形成した
後、上記薄膜に対して実質的に透明でかつ上記加熱層に
よって吸収される第1の波長を有する第1の光を上記構
造体に照射し、次いで上記薄膜によって吸収される第2
の波長を有する第2の光を上記構造体に照射するように
した、薄膜の熱処理方法が開示されている。
【0018】特開平8−51076では、絶縁基板上に
光反射膜を形成し、光反射膜上にバッファ層を形成した
後、さらにバッファ層上に非晶質シリコン膜を形成し
て、非晶質シリコン膜にランプ光を極短時間で複数回照
射させ、シリコン膜を溶融再結晶化させることにより多
結晶シリコン膜を形成する技術が開示されている。
【0019】以上のような技術を用いることにより絶縁
基板上に結晶粒径が1μm以上の多結晶シリコン膜を形
成することが可能となるのでTFTの能動層領域内の結
晶粒界を劇的に低減でき、結果としてTFTの性能を向
上させることができる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の製造方
法では、光吸収層にふさわしい材料、照射光源、光照射
条件(照射光のパワー密度、ビームプロファイル、照射
時間、照射方法)等の具体的な条件が不明確であったた
め、大粒径多結晶シリコンを低温プロセスで形成するの
は極めて困難であった。このため、安価なガラス基板が
使用できず、良質な多結晶シリコンを大面積にしかも低
コストで形成することが極めて困難であった。
【0021】そこで本発明は上記の問題点に鑑み、低温
プロセスによる大粒径多結晶シリコン膜の形成に好適な
条件を提案することにより、良質な多結晶シリコン膜を
大面積に形成するための改良技術を提案することを課題
とする。また本発明は能動層に大粒径多結晶シリコンを
用いた薄膜トランジスタの製造方法を提案することを課
題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明では、非晶質又は多結晶の半導体膜を基板上
に堆積する工程と、前記半導体膜上に絶縁層を積層する
工程と、前記絶縁層上に光吸収層を積層する工程と、光
源から照射光を照射し、露光面上に形成される照射領域
を走査する一方で、前記半導体膜中に形成される溶融領
域を前記照射領域の走査方向に沿って移動させつつ、前
記半導体膜を溶融結晶化させる工程とを備える。かかる
方法により、低温プロセスにより、大粒径の結晶粒径を
備える半導体膜を結晶成長させることができる。ここ
で、溶融結晶化には、非晶質半導体膜の結晶化のみなら
ず、多結晶質や微結晶質の半導体膜の再結晶化も含まれ
るものとする。
【0023】好ましくは、光照射は、不活性ガス雰囲気
中にて行う。かかる方法により、光吸収層の酸化を防止
し、光吸収層としての機能を維持させることができる。
【0024】また、本発明の他の形態では、非晶質又は
多結晶の半導体膜を基板上に堆積する工程と、前記半導
体膜上に絶縁層を積層する工程と、前記絶縁層上に光吸
収層を積層する工程と、前記光吸収層上に酸化防止層を
積層する工程と、光源から照射光を照射し、露光面上に
形成される照射領域を走査する一方で、前記半導体膜中
に形成される溶融領域を前記照射領域の走査方向に沿っ
て移動させつつ、前記半導体膜を溶融結晶化させる工程
とを備える。かかる方法により、酸化防止層の機能によ
り、光吸収層の酸化を防止し、光吸収層の機能を維持さ
せることができる。
【0025】好ましくは、光照射は、基板上の任意点に
おいてパワー密度600W/cm2以上、且つ照射時間
500ミリ秒以下とし、さらに好ましくは、パワー密度
700W/cm2以上、且つ照射時間200ミリ秒以下
とし、より好ましくは、パワー密度1200W/cm2
以上、且つ照射時間100ミリ秒以下とし、さらにより
好ましくは、パワー密度1500W/cm2以上、且つ
照射時間50ミリ秒以下とする。かかる光照射条件の下
で半導体膜を結晶化させると、結晶粒径の大きい良質な
半導体薄膜を得ることができる。
【0026】好ましくは、光吸収層としてタンタル、タ
ングステン、モリブデンのうち何れかの薄膜を用いる。
かかる材料によれば、低反射率、高融点で大面積の成膜
に適した光吸収層を提供することができる。
【0027】好ましくは、光源として、露光面への照射
領域がライン状となるようにビーム整形されたランプ光
を用いる。ライン状の照射領域を形成することにより、
光源の1回のスキャンで大面積にわたって半導体膜の溶
融結晶化を実現することができる。
【0028】好ましくは、光照射は、基板を室温下に
て、又は冷却しながら行う。かかる方法により、低温プ
ロセスで半導体膜の結晶化を行うことができる。
【0029】好ましくは、照射は、複数の光源を用い
て、基板の表面及び裏面に対する2方向から行う。かか
る方法により、出力の小さい光源でも半導体膜を溶融結
晶化することができる。
【0030】好ましくは、基板の表面への照射領域位置
と、裏面への照射領域位置とを、相対的にずらして光照
射を行う。かかる方法により、半導体膜の溶融結晶化に
あたり、予備加熱や冷却速度の制御等が可能となる。
【0031】好ましくは、光照射は、基板と照射光を1
方向に相対的に移動させながら基板全面を少なくとも2
回以上走査する。かかる方法により、大面積の半導体膜
の溶融結晶化が可能となる。
【0032】本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、
上記の方法により形成した半導体膜を能動層として薄膜
トランジスタを製造する。かかる製造方法により、キャ
リア移動度の高い高性能な薄膜トランジスタを製造する
ことができる。
【0033】本発明の電気光学装置は、上記の方法によ
り製造された薄膜トランジスタを表示画素の駆動素子と
して備える。電気光学装置として、例えば、アクティブ
マトリクス型の駆動方式を採用する液晶表示装置や、エ
レクトロルミネセンスディスプレイ等が好適である。
【0034】本発明の電子機器は、上記の電気光学装置
を備える。このような電子機器として、例えば、携帯電
話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマ
ウントディスプレイ、プロジェクタ、ファックス装置、
デジタルカメラ、携帯型テレビ、情報携帯端末装置、電
子手帳等が好適である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、各図を参照して本実施の形
態について説明する。 (1.半導体薄膜の形成)図1は多結晶シリコン膜の製
造工程の断面図である。同図(A)に示すように、ま
ず、基板101上に下地保護膜102を介して半導体薄
膜103を形成する。基板101としては、金属等の導
電性物質、シリコン・カーバイト(SiC)やアルミナ
(Al23)や窒化アルミニウム(AlN)等のセラミ
ック材料、溶融石英やガラス等の透明または非透明絶縁
性物質、シリコン、ゲルマニウムウエハ等の半導体物
質、若しくはそれを加工したLSI基板等を用いること
ができる。半導体膜103は基板101上に直接又は下
地保護膜102や下部電極等を介して堆積する。
【0036】下地保護膜102としては酸化珪素膜(S
iOx:0<x≦2)や窒化硅素膜(Si3x:0<x
≦4)等の絶縁性物質が挙げられる。TFTなどの薄膜
半導体素子を通常のガラス基板上に作製する場合の様
に、半導体薄膜膜103への不純物制御が重要なときに
は、ガラス基板中に含まれているナトリウムイオン(N
+)等の可動イオンが半導体薄膜103中に混入しな
い様に、下地保護膜102を形成した後に半導体薄膜1
03を堆積する事が好ましい。同じ事情は各種セラミッ
ク材料を基板101として用いる場合にも通ずる。下地
保護膜102はセラミック中に添加されている焼結助材
原料などの不純物が半導体薄膜103に拡散及び混入す
るのを防止するのである。金属材料などの導電性材料を
基板101として用い、且つ半導体薄膜103が金属基
板と電気的に絶縁されていなければならない場合には、
絶縁性を確保する為に下地保護膜102は当然必要不可
欠である。更に半導体基板やLSI素子上に半導体薄膜
103を形成する時にはトランジスタ間や配線間の層間
絶縁層が同時に下地保護膜102の役割を担う。
【0037】下地保護膜102は、まず基板101を純
水やアルコールなどの有機溶剤で洗浄した後、基板10
1上に常圧化学気相堆積法(APCVD法)や低圧化学
気相堆積法(LPCVD法)、プラズマ化学気相堆積法
(PECVD法)等のCVD法或いはスパッタ法等で形
成する。下地保護膜102として酸化硅素膜を用いる場
合、常圧化学気相堆積法では基板温度を250℃程度か
ら450℃程度としてモノシラン(SiH4)や酸素を
原料として堆積し得る。プラズマ化学気相堆積法やスパ
ッタ法で下地保護膜102を形成するには、基板温度は
室温から400℃程度に温度調整する。下地保護膜10
2の膜厚は基板101からの不純物元素の拡散と混入を
防ぐのに十分な厚さが必要で、その値は最小で100n
m程度以上である。ロット間や基板間のばらつきを考慮
すると、200nm程度以上が好ましく、300nm程
度あれば保護膜としての機能を十分に果たし得る。下地
保護膜102がIC素子間やこれらを結ぶ配線等の層間
絶縁層を兼ねる場合には、通常400nmから600n
m程度の膜厚となる。絶縁層が余りにも厚くなると絶縁
層のストレスに起因するクラックが生ずる。その為、絶
縁層の最大膜厚は2μm程度が好ましい。生産性を考慮
する必要が強い場合、絶縁層厚は1μm程度が上限であ
る。
【0038】次に半導体薄膜103について説明する。
本発明が適用される半導体薄膜103としては、シリコ
ン(Si)やゲルマニウム(Ge)等の四族単体の半導
体膜の他に、シリコン・ゲルマニウム(SixGe1-x
0<x<1)やシリコン・カーバイド(Six1-x:0
<x<1)やゲルマニウム・カーバイド(Gex1-x
0<x<1)等の四族元素複合体の半導体膜、ガリウム
・ヒ素(GaAs)やインジウム・アンチモン(InS
b)等の三族元素と五族元素との複合体化合物半導体
膜、またはカドミウム・セレン(CdSe)等の二族元
素と六族元素との複合体化合物半導体膜等がある。或い
は、シリコン・ゲルマニウム・ガリウム・ヒ素(Six
GeyGazAsu:x+y+z+u=1)といった更な
る複合化合物半導体膜やこれらの半導体膜にリン
(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)などのドナ
ー元素を添加したN型半導体膜、或いはホウ素(B)、
アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム
(In)等のアクセプター元素を添加したP型半導体膜
に対しても本発明は適応可能である。
【0039】これら半導体薄膜103はAPCVD法や
LPCVD法、PECVD法等のCVD法、或いはスパ
ッタ法等や蒸着法等のPVD法で形成する。半導体薄膜
103としてシリコン膜を用いる場合、LPCVD法で
は基板温度を400℃程度から700℃程度としてジシ
ラン(Si26)などを原料として堆積し得る。PEC
VD法ではモノシラン(SiH4)などを原料として基
板温度が100℃程度から500℃程度で堆積可能であ
る。スパッタ法を用いる時には、基板温度は室温から4
00℃程度である。この様に堆積された半導体膜の初期
状態(as−deposited状態)は非晶質や混晶
質、微結晶質、或いは多結晶質等の様々な状態がある
が、本願発明の半導体薄膜の結晶化方法では、半導体薄
膜の初期状態はこれらいずれの状態であっても構わな
い。本明細書においては、非晶質半導体薄膜の結晶化の
みならず、多結晶質や微結晶質の半導体薄膜の再結晶化
をも含めて総て結晶化と称する。半導体薄膜103の膜
厚はそれをTFTに用いるときには、20nm程度から
100nm程度が適している。 (2.絶縁層の形成)次に、同図(B)に示すように、
半導体薄膜103上に絶縁層104を形成する。この絶
縁層104の役割は、次の工程で形成する光吸収層10
5と半導体薄膜103と分離することにある。後述する
熱処理工程で光吸収層105から半導体薄膜103への
不純物の拡散を防ぐためには、この絶縁層104には酸
化硅素膜(SiOx:0<x≦2)や窒化硅素膜(Si3
x:0<x≦4)等の絶縁性物質が適用しうる。絶縁
層104の形成は、半導体薄膜103上の自然酸化膜を
フッ酸でエッチングし、純水洗浄した後、APCVD法
やLPCVD法、PECVD法等のCVD法或いはスパ
ッタ法等で形成する。絶縁層104として酸化硅素膜を
用いる場合、常圧化学気相堆積法では基板温度を250
℃程度から450℃程度としてSiH4や酸素を原料と
して堆積し得る。プラズマ化学気相堆積法やスパッタ法
では、基板温度は室温から400℃程度である。絶縁層
104の膜厚は光吸収層105からの不純物元素の拡散
と混入を防ぐのに十分な厚さが必要である一方、半導体
薄膜103への光吸収層105からの熱伝導が効率的に
行える程度の近傍にある必要がある。このため絶縁層1
04の膜厚には自ずと最適範囲が存在し、その値は最小
で100nm程度であり、最大で熱拡散長と同程度の1
μm程度である。 (3.光吸収層の形成)次に、同図(B)に示すよう
に、絶縁層104上に光吸収層105を形成する。この
光吸収層105は次の工程で照射する光を効率的に吸収
し、これによる発熱で半導体薄膜103を溶融せしめる
という役割を有する。したがって、照射する光の波長領
域と、その波長領域における反射率、吸収係数の関係が
重要となる。光吸収という点では金属膜が圧倒的に有利
である。金属膜中には高濃度のフリーキャリア(電子)
が存在するため、可視光領域の光は高効率で吸収され
る。100nm程度の厚さの金属薄膜でも光の透過率は
ほぼ0%であるので、金属膜に光を照射した場合、照射
光の反射成分以外は完全に吸収されると考えることがで
きる。このため、金属薄膜によって効率的に光吸収をさ
せるためには反射率の低い金属薄膜を用いることが重要
となる。図2はスパッタリング法ににより形成したタン
タル(Ta)膜の反射率スペクトルを示す。例えば、ア
ルミニウム(Al)膜では反射率が93%以上あるが、
Ta膜の場合、可視光領域である380nm〜770n
mの広い波長範囲において反射率が30〜40%と極め
て低い。よってこのような低反射率の材料を用いること
によって照射した光のエネルギーは効率的に吸収され、
熱変換される。
【0040】光吸収層105のもうひとつの重要な性質
として、融点が半導体薄膜103の材料よりも十分に高
い必要がある。溶融状態では多くの物質の反射率が固体
のそれと比較して劇的に変化するからである。本発明で
は、光吸収層105で発生した熱の熱伝導で半導体薄膜
103を溶融させる必要があるので、光吸収層105の
材料が高融点材料であることが必要条件となる。上記の
低反射率、高融点の金属という条件を満たしうる材料と
してはタンタル(Ta)の他に、タングステン(W)、
モリブデン(Mo)等がある。これら材料を光吸収層1
05として絶縁層104上に形成する方法としては真空
蒸着法やスパッタリング法がある。これら材料は高融点
金属なのでスパッタリング方が最も有効で、大面積に形
成しうるという点においてもスパッタリング法が有利で
ある。光吸収層105の膜厚は光を十分に吸収しうる膜
厚があればよく、おおむね100nm以上あれば十分で
ある。 (4.光照射)次に、図1(C)に示すように、光吸収
層105に対して光照射を行う。先にも述べたように、
照射光は光吸収層105に効率的に吸収されることが求
められるので、そのスペクトルが重要である。換言すれ
ば、どのような種類の光源を用いるかがその光源の波長
を大きく左右する。本発明に適用し得る光源100とし
ては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、水銀ラ
ンプ、Xeランプ等がある。図2に示すように、Ta膜
の反射率は短波長ほど低いため、短波長に光強度のピー
クを持つ光源が本発明の光照射光源100としては適し
ている。また大面積での処理を可能にするためには出力
が高いことも要求される。このような理由から、光源1
00としてXeランプが最も適している。Xeランプは
ピーク波長を400nm付近に有し、出力も20kW以
上を達成し得る。光吸収層105として、例えばTa膜
を用い、光照射の光源100としてXeランプを用いる
と、一辺50cmの大面積ガラス基板上の半導体薄膜1
03の結晶化が1回の照射光スキャンで可能となる。
【0041】図3はライン状にビーム整形されたXeラ
ンプ光源からの照射光301を光吸収層105へ照射す
る様子を模式的に示す図である。光吸収層105として
用いられるTa膜の実効反射率を40%、Xeランプの
出力を25kW、照射光301のビーム長(ビーム長軸
302の長さ)を500mm、ビーム幅(ビーム短軸3
03の長さ)を10mm、Xeランプ光源と基板101
の相対移動速度を毎秒20mmとし、光吸収層105上
にライン状の光照射領域を形成すると、光吸収層105
及び半導体薄膜103の温度は急激に昇温する。図4に
示すように、照射光301のパワー密度プロファイル3
04はトップフラットなパワー密度プロファイルを有し
ている。上記の方法により光ビーム照射をおこなうと、
基板上の任意点における光照射強度の時間プロファイル
は図5に示すような台形となる。基板上の任意点におけ
る実効光照射時間は、上記プロファイルの上底部分が照
射される500msとなり、照射光のパワー密度は50
0W/cm2となる。基板101の予備加熱を行い、初
期基板温度を700Kにて前記条件で光照射と同時に光
源100と基板101の相対移動を行うと、光吸収層1
05及び半導体薄膜103は図6に示すような温度とな
る。すなわち、光吸収層105と半導体薄膜103は5
00ms程度の短時間で急激に温度上昇し、最高196
0Kまで達する。これはTaの融点3269Kよりは十
分低いが、アモルファスシリコン(a−Si)の融点
(約1400K)より高いので、半導体薄膜103であ
るa−Si膜は溶融する。
【0042】ここで輻射損失や固相から液相へ相変化に
伴うエンタルピー差を考慮しても、半導体薄膜103の
温度は融点以上の温度に上昇しうる。照射光と基板10
1は相対的に移動するので、光照射領域(照射スポッ
ト)が通りすぎる直後に溶融半導体薄膜の温度は低下
し、凝固点にて固化する際に結晶化する。ここで重要な
ことは、照射光と基板101が相対的に毎秒20mmで
移動するので、溶融シリコンから多結晶シリコンへの相
変化も光照射領域の後ろエッジ付近(図1の108の位
置)で毎秒20mmの速度で行われる。この相変化にと
もなう結晶成長は照射光が連続光であるので、照射光の
移動とともに光照射領域の走査方向に連続的に行われ、
結果として光照射領域の走査方向に極めて大きな結晶サ
イズを有する多結晶半導体膜が大面積に、かつ短時間に
形成し得る。例えば、基板サイズが500mm×600
mmの場合、500mmの辺と光照射領域の長手方向を
平行に配置し、20mm毎秒で相対移動させれば、わず
か30秒でこの大面積基板上に大粒径多結晶半導体薄膜
を形成し得る。本発明の方法により結晶化した多結晶半
導体薄膜は結晶粒径が極めて大きいので、これを例え
ば、薄膜トランジスタの能動層として用いた場合、移動
度が高い高性能トランジスタを実現し得る。ここで示し
た条件では最終的に基板温度が1000℃程度にも達す
るので適用し得る基板としては石英基板が望ましい。
【0043】本発明の半導体薄膜の結晶化方法は照射光
源の出力パワーがkWオーダーのハイパワーで、且つミ
リ秒オーダーの熱処理時間なので、被処理半導体薄膜1
03の膜厚が100nmを超える厚さでも結晶化が可能
である。従来のレーザー結晶化法では、1パルスの照射
時間がナノ秒と短く、且つ投入するエネルギー密度とし
て1cm2あたり1Jが実用上の上限なので、100n
m以上の膜厚の半導体薄膜を結晶化するのは原理的に不
可能であった。これに対して本発明の半導体薄膜の結晶
化方法は、1μm程度の膜厚の半導体薄膜でも十分結晶
化ができるので、太陽電池の用途に用いる多結晶シリコ
ン膜の形成にも適用し得るという特徴を有する。
【0044】更に、本発明の半導体薄膜の結晶化方法を
低温プロセスに適用するためには、初期基板温度、基板
厚さ、基板上任意点における照射光の時間プロファイル
とパワー密度(例えば図5)の関係が極めて重要であ
る。照射光の吸収により光吸収層、半導体薄膜のみでな
く基板温度も上昇するので、たとえば図5の条件では基
板温度が1000℃程度にまで上昇し、低温プロセス用
のガラス基板には適用し得ない。基板温度が歪点よりも
十分低いことが低温プロセスの条件であるから、このよ
うな条件を満足するような照射方法が本質的に重要であ
る。
【0045】本発明の半導体薄膜の結晶化方法を低温プ
ロセスに適用するには、初期基板温度を室温にするか、
もしくは処理中に基板冷却をおこなうのが有効である。
但し、大気中にて基板冷却をすると結露の問題があるの
で、これを回避するには基板101を真空中にセットし
光照射を行うか、光照射部分のみを冷却するか、あるい
は初期基板温度を室温とし、最終的な基板温度が概ね6
00℃以下になるような照射条件を選定することが重要
となる。
【0046】図8は基板温度を室温に保持し、600W
/cm2のパワー密度で500ミリ秒間光照射される条
件にて処理を行った場合の光吸収層105/半導体薄膜
103(深さz=0mm)及びガラス基板101(1.
1mm厚)の各深さにおける温度の時間変化を示す。外
部から基板温度制御を行っていないので、吸収された光
エネルギーは熱に変換され、最終的な基板温度はある一
定値に達する。ここで重要なのは、ガラス基板101の
極表面付近のみがある短時間に半導体薄膜103の融点
以上の高温であっても、その他の部分が600℃を超え
ないような温度であれば実効的にこのプロセスは低温プ
ロセスとしてガラス基板に適用し得るとうことである。
よって照射時間をできる限り短時間に、且つパワー密度
を高くすることが低温プロセス適用条件となる。この条
件を満たすためには、図7に示すように、基板上の任意
点における光照射時間が500ミリ秒以下且つ照射パワ
ー密度が600W/cm2であることが条件である。こ
れより長時間の照射を行うと、到達基板温度が600℃
を超えるし、これより低いパワー密度で照射をおこなう
と半導体薄膜103の温度が融点に達し得ない。更に、
基板101への熱ダメージを低減せしめ、基板101の
熱収縮や反りを低減させるためには、図9に示すよう
に、基板上任意点におけるパワー密度が700W/cm
2以上、且つ照射時間が200ミリ秒以下であることが
望ましい。これにより、図10に示すように到達基板温
度が400℃に抑えられ、基板101へのダメージを低
減し得るので、フォトリソグラフィ工程などにおいても
基板101の反りが問題にならない。このような条件を
満足するためには、ランプ光を反射光学系及びレンズ光
学系により集光する必要が生ずる場合がある。反射光学
系によりランプ光源から平行光を発生し、これをレンズ
光学系によりビーム幅1mm程度の細いライン状ビーム
に整形することが可能である。これにより、基板上での
光ビームパワー密度を600W/cm2以上に向上させるこ
とが可能である。
【0047】更に、完成デバイスの軽量化を目的として
薄いガラス基板を使用しなければならない場合、たとえ
ば0.5mm厚のガラス基板を用いる場合は、基板上任
意点にけるパワー密度が1200W/cm2以上、且つ
照射時間が100ミリ秒以下であることが要求される。
これは基板厚みが半分以下になると熱容量もこれに比例
して小さくなり、結果、同じ投入パワーでも基板が薄い
ほど到達基板温度が上昇するためである。以上のように
本発明の半導体薄膜の結晶化方法は使用する基板によっ
て光照射条件を精密に制御することが肝要である。更
に、プラスチック基板を使用し、耐熱性が200℃程度
しか確保できない場合は、照射パワー密度を1500W
/cm2以上以上、且つ照射時間が50ミリ秒以下であ
ることが要求される。
【0048】以上述べたように、本発明の半導体薄膜の
結晶化方法では照射パワー密度を増加させ、照射時間を
短くするほど熱処理は非熱平衡的になり、基板101の
極表面部分のみが局所的に短時間加熱されることにな
る。照射時間は実際上のプロセス条件としては照射光の
短軸方向の長さと、照射光の基板に対する相対移動速度
で決まる。より非平衡度を高めるためには照射光の短軸
長さを短くするか、速い速度で照射光を移動させればよ
い。一方、照射パワー密度を増加させるには照射光を極
狭い領域に集光させる方法がある。本発明の光源は可視
光であるので、ごく普通のレンズ等の光学系を用いるこ
とが可能である。ただし照射光パワーが強烈なので石英
を用いた光学部品が耐熱性に優れるので望ましい。また
は反射鏡を用いて光を集光させてもよい。
【0049】照射パワー密度を増加させるもうひとつの
方法としては、図11に示すように、2つの光源を基板
101の表面側及び裏面側に配置し、表面側及び裏面側
の2方向から光照射を行う方法がある。1つのランプ光
源の出力には限界があるので、上下2つのランプ光から
の光照射領域を同一箇所に位置制御することで、実効的
に照射パワー密度を増加させることができる。これら2
つのランプ光の照射位置は完全に同一であってもよい
し、両者を相対的にわずかにずらすことにより、予備加
熱効果や冷却速度制御効果を得るように工夫することも
できる。例えば、図11に示すように、基板表面を光照
射するランプ706が形成する光照射領域に対して、基
板裏面を光照射するランプ707が形成する光照射領域
をランプ706,707の走査方向に対してわずかに後
ろよりに位置するよう制御する。上述したように、光照
射では照射領域の後方エッジ付近で最も半導体薄膜温度
が上昇する。よって、溶融半導体薄膜708は同図に示
す位置に発生する。一旦溶融した半導体薄膜103は金
属的になるので、基板101の裏面側からの照射光の吸
収が起こり、また光吸収層705も基板裏面側からの光
照射によって加熱される。この方法によって結晶成長が
おこるポイント、すなわち溶融シリコン708と多結晶
シリコン106の冷却速度を制御し得るため、多結晶シ
リコン106の結晶粒径の制御が可能となる。この場合
のランプ706,707の各々の光強度プロファイル
を、図14の711,712のようにすることができ
る。また、ランプ706,707の各々の光強度プロフ
ァイルを、図13の709,710のようにすれば、ラ
ンプ707を予備加熱に用いることも可能である。
【0050】本発明の半導体薄膜の結晶化方法における
処理時間を短縮するには、照射光源を異なる場所に複数
設置することが効果的である。例えば、図12に示すよ
うに、照射光源806、807を基板端および中心に位
置する間隔にて配置し、基板と光源806,807を相
対的に移動させると同時に2ヶ所の溶融半導体薄膜80
4、805が基板上を移動することになり、これで処理
時間が半分になる。複数の光源を配置することにより、
本発明の半導体薄膜の結晶化方法における処理時間をさ
らに3分の1、4分の1と短縮しうることは明白であ
る。
【0051】本発明の半導体薄膜の結晶化方法における
特徴として、半導体薄膜の精製効果がある。一般的にC
VD法やスパッタリング法により形成した半導体薄膜中
には多くの不純物が含まれる。本発明の半導体薄膜の形
成方法では溶融半導体薄膜が光源の走査方向に移動する
ので、半導体中の不純物は偏析により除去され、結果的
に半導体薄膜の純度を高める事ができるのである。した
がって、溶融半導体薄膜が半導体薄膜中を複数回移動す
ることにより、結晶純度を高めることができる。ここで
照射光を複数回照射する場合でも処理時間を増加させな
いためには、上述したように、複数の光源を用い、基板
上の複数箇所で半導体薄膜の溶融、再結晶化を行うのが
有効である。但し、膜中不純物は最終的に光照射を停止
した位置に偏析するので、例えば、基板上の半導体素子
形成領域以外の位置に光照射の停止位置がくるように光
源の移動を制御するのが望ましい。不純物の偏析位置を
より精密に制御したい場合は、光吸収層をパターニング
する方法が有効である。すなわち、あらかじめ不純物を
偏析させる場所の上部に位置する光吸収層をフォトリソ
グラフィーとエッチング等の手段により除去しておけば
よいのである。フォトリソグラフィーではミクロンオー
ダーでのパターン形成が可能であるから、半導体薄膜中
の不純物が光吸収層の途切れる位置にはき集められるの
であるが、その位置を精密に制御できる。不純物が偏析
により掃き集められる位置を半導体素子形成領域以外に
しておけば、半導体素子として用いられる半導体薄膜は
高純度で、不純物領域はエッチングで除去されることに
なり、高品質の多結晶半導体膜を得る事ができるのであ
る。
【0052】本発明の半導体薄膜の結晶化方法において
は、光照射を行う際に光吸収層105が変質しないよう
に注意することが必要である。短時間ではあるものの、
光吸収層105は高温になるため、酸化性雰囲気では光
吸収層105の金属が容易に酸化してしまう。たとえば
大気雰囲気中で光吸収層にTaを用いて光照射をおこな
うと、光吸収層105は酸化されてTa25になってし
まう。同酸化膜は光を吸収しないので、光吸収層105
としての役割を果たさなくなってしまうのである。よっ
て、光照射中に酸化した部分は光吸収が起こらず、結果
として光吸収層105やその下の半導体薄膜103の温
度が上昇しなくなる。これを防止するには2通りの方法
がある。第1の方法は、光照射をArガスなどの不活性
ガス雰囲気中で行う方法である。これにより、光吸収層
105の酸化は完全に抑えられるので、上述の問題は起
こらない。但し、この方法を実行するには雰囲気制御の
ために処理装置にロードロック室を設ける必要があり、
装置コストの上昇を招く。これを鑑み、第2の方法は、
図16に示すように、光吸収層105上に酸化防止層1
20を設ける方法である。たとえば100nm以上の厚
さのSiO2膜を光吸収層105の上に設けることによ
り、光照射中の光吸収層105の酸化は完全に防止する
ことができるのである。以上の方法により、安定した熱
処理が可能となるのである。 (5.欠陥終端処理)上述の製法によって形成した多結
晶半導体薄膜106を、例えば、薄膜トランジスタの能
動層として用いるために、酸化防止層120、光吸収層
105及び絶縁層104をエッチングで除去する。する
と、図15(D)に示すように、多結晶シリコン膜10
6が表面に露出する。図15(A)〜(C)は各々図1
(A)〜(C)に対応している。この様にして多結晶シ
リコン膜106が露出した状態で、次にこの多結晶シリ
コン膜106中の欠陥終端処理を行う。上述の光照射に
より結晶化した多結晶シリコン膜106は極めて大きな
結晶粒径を有するが、結晶粒界には高濃度の欠陥が発生
している。これらは主にダングリングボンドである。こ
の欠陥を水素終端しておかないと、キャリア捕獲準位と
して働き、結果として薄膜トランジスタの閾値電圧の上
昇を招く。これを防止するため、水素プラズマ又は酸素
プラズマ処理によりシリコンの未結合手を水素で終端さ
せる。基板温度250〜300℃、ガス圧力を1Tor
r程度とし、RF放電のパワー密度を0.1〜0.5W
/cm2として、水素プラズマならば50nm程度の多
結晶シリコン膜に対して2分、酸素プラズマならば20
分程度の処理時間が必要である。 (6.以降のプロセス)上述の製造プロセスにより極め
て高品質の多結晶シリコン膜106を得る事ができる。
次に、図15(E)に示すように、この多結晶半導体膜
106をエッチングによりパターニングする。引き続い
て、プラズマCVD、スパッタリング法等を用いてゲー
ト絶縁層110を成膜する。次いで、図15(F)に示
すように、ゲート電極112となる薄膜をPVD法或い
はCVD法などで堆積する。この材質は電気抵抗が低
く、350℃程度の熱工程に対して安定である事が望ま
れ、例えば、タンタル、タングステン、クロム等の高融
点金属がふさわしい。後述するイオン注入によって、ソ
ース、ドレインを形成する場合、水素のチャネリングを
防止するためにゲート電極112の膜厚がおよそ700
nm程度必要になる。上述の高融点金属の中で、700
nmもの膜厚で成膜しても膜ストレスによるクラックが
生じない材料となると、タンタルが最もふさわしい。ゲ
ート電極112となる薄膜を堆積後、パターニングを行
い、引き続いて多結晶シリコン膜106に不純物イオン
注入を行ってソース/ドレイン領域111を形成する。
このとき、ゲート電極112がイオン注入のマスクとな
っているので、チャネルはゲート電極112下のみに形
成される自己整合構造となる。
【0053】不純物イオン注入は質量非分離型イオン注
入装置を用いて注入不純物元素の水素化物と水素を注入
するイオン・ドーピング法と、質量分離型イオン注入装
置を用いて所望の不純物元素のみを注入するイオン打ち
込み法の二種類が適応され得る。イオン・ドーピング法
の原料ガスとしては水素中に希釈された濃度0.1%程
度から10%程度のホスフィン(PH3)やジボラン
(B26)等の注入不純物元素の水素化物を用いる。イ
オン打ち込み法では、所望の不純物元素のみを注入した
後に引き続いて水素イオン(プロトンや水素分子イオ
ン)を注入する。前述の如くMOS界面やゲート絶縁層
を安定に保つ為には、イオン・ドーピング法にしろイオ
ン打ち込み法にしろイオン注入時の基板温度は350℃
以下である事が好ましい。
【0054】一方、注入不純物の活性化を350℃以下
の低温にて常に安定的に行うには(本明細書ではこれを
低温活性化と称する)、イオン注入時の基板温度は20
0℃以上である事が望ましい。トランジスタのしきい値
電圧を調整する為にチャンネル・ドープ行うとか、或い
はLDD構造を作製すると云った様に低濃度に注入され
た不純物イオンを低温で確実に活性化するには、イオン
注入時の基板温度は250℃以上である事が必要とな
る。この様に基板温度が高い状態でイオン注入を行う
と、半導体膜のイオン注入に伴う結晶壊破の際に再結晶
化も同時に生じ、結果としてイオン注入部の非晶質化を
防ぐ事が出来るのである。即ちイオン注入された領域は
注入後も依然として結晶質として残り、その後の活性化
温度が350℃程度以下と低温で有っても注入イオンの
活性化が可能に成る訳である。CMOS TFTを作製
する時はポリイミド樹脂等の適当なマスク材を用いてN
MOS又はPMOSの一方を交互にマスクで覆い、上述
の方法にてそれぞれのイオン注入を行う。
【0055】また、不純物の効率的な活性化法としてエ
キシマレーザーなどを照射するレーザー活性化がある。
これは絶縁層110を通してレーザー照射することによ
り、ソース/ドレイン領域111のドープ多結晶シリコ
ンを溶融、固化させ、不純物を活性化させる方法であ
る。次に、図15(G)に示すように、ソース/ドレイ
ン領域111上にコンタクトホールを開孔し、ソース/
ドレイン引き出し電極113をPVD法やCVD法など
で形成して薄膜トランジスタが完成する。 (実施例1)本発明の第1の実施例を図1を参照して説
明する。本実施例で用いられる基板101及び下地保護
膜102に関しては前述の説明に準ずるが、ここでは基
板101の一例として、300mm×300mmの正方
形状汎用無アルカリガラスを用いた。まず、基板101
上に絶縁性物質である下地保護膜102を形成する。こ
こでは基板温度を150℃としてECR−PECVD法
にて200nm程度の膜厚を有する酸化硅素膜を堆積し
た。次に、後に薄膜トランジスタの能動層となる真性シ
リコン膜等の半導体薄膜103を50nm程度の膜厚に
堆積した。本実施例では、高真空型LPCVD装置を用
いて、原料ガスであるジシラン(Si26)を200S
CCM流し、425℃の堆積温度で非晶質シリコン膜を
堆積した。
【0056】半導体薄膜103を堆積するため、まず高
真空型LPCVD装置の反応室を250℃とした状態で
反応室の内部に複数枚(例えば17枚)の基板101を
表側を下向きとして配置し、ターボ分子ポンプの運転を
開始した。ターボ分子ポンプが定常回転に達した後、反
応室内の温度を約1時間掛けて250℃から425℃の
堆積温度に迄上昇させ、昇温開始後の最初の10分間は
反応室にガスを全く導入せず真空中で昇温を行い、しか
る後、純度が99.9999%以上の窒素ガスを300
SCCM流し続けた。この時の反応室内における平衡圧
力は、3.0×10-3Torrであった。堆積温度に到
達した後、原料ガスであるジシラン(Si26)を20
0SCCM流すと共に、純度が99.9999%以上の
希釈用ヘリウム(He)を1000SCCM流した。堆
積開始直後の反応室内圧力はおおよそ0.85Torr
である。堆積の進行と共に反応室内の圧力は徐々に上昇
し、堆積終了直前の圧力はおおよそ1.25Torrと
成った。このようにして堆積した半導体薄膜103は基
板の周辺部約7mmを除いた286mm角の領域内に於
いて、その膜厚変動は±5%以内である。
【0057】次に、絶縁層104を形成した。ここで
は、ECR−PECVD法にて200nm程度の膜厚を
有する酸化硅素膜を堆積した。原料ガスとしてSiH4
とO2をそれぞれ30sccmおよび40sccm流
し、基板を100℃に加熱した状態でプラズマ放電を開
始し、成膜を行った。次に、光吸収層105として、T
aN/Ta積層膜をスパッタリングにより150nm形
成した。密着性を向上させるために、Ta膜の下には窒
素雰囲気中でTaスパッタリングすることによってTa
Nを50nm形成し、真空中連続でTa膜を100nm
形成した。この後、1μm付近に強度ピークを持つハロ
ゲンランプ光100を長軸300mm、短軸5mmのラ
イン状に整形し、パワー密度700W/cm2にて光吸
収層105側から照射した。光吸収層105の酸化を防
ぐために、光照射はArガス雰囲気中にて行った。基板
温度の上昇を抑えるため、基板101を毎秒20mmの
速度で照射光の短軸方向にスキャンした。任意点におけ
る光照射時間は200msである。これにより照射領域
後方エッジ付近に溶融シリコン層107が形成され、基
板101とともに固液界面108にて結晶成長が起こ
り、最終的には基板全面に多結晶シリコン層106を形
成した。このような方法により、幅が20〜50μm、
長さが100μm以上の大粒径多結晶シリコン膜を形成
できる。本発明の半導体薄膜の結晶化方法では基板温度
はたかだか400℃程度にまでしか上昇せず、従来の無
アルカリガラスでも十分耐え得る。よって、低温プロセ
スで結晶粒径の大きな多結晶シリコン膜を容易に形成し
うるのである。 (実施例2)本発明の第2の実施例を図16を参照して
説明する。光吸収層105を形成する方法は実施例1と
まったく同様である。しかる後に、光吸収層105上に
酸化防止層120としてSiO2膜を100nm形成し
た。これは絶縁層104を形成した方法とまったく同様
の方法にて行った。このような試料構造を用いることに
より、不活性ガス雰囲気にてランプ光源100による光
照射を行う必要がなくなり、雰囲気を制御する必要がな
くなる。本実施例では、大気中にて実施例1と全く同様
の光照射条件にて光照射を行った。この方法によっても
実施例1とまったく同様の大粒径多結晶シリコン膜を得
ることができた。 (実施例3)本発明の第3の実施例では、光照射条件を
変えて半導体薄膜の結晶化を行った。被処理基板の作製
方法は実施例2とまったく同じである。光源100とし
て、波長1μm付近に強度ピークを持つハロゲンランプ
光を長軸300mm、短軸1mmのライン状に整形し、
パワー密度1500W/cm2にて光吸収層105側か
ら照射した。基板101の温度上昇を抑えるため、光源
100を毎秒20mmの速度で照射光の短軸方向にスキ
ャンした。任意点における光照射時間は50msであ
る。これにより、基板101の温度上昇は更に低下で
き、たかだか180℃までしか上昇しない。なお且つ、
大粒径多結晶シリコン膜は実施例1、2と同品質のもの
が形成し得る。本実施例では基板101としてガラス基
板を用いたが、この結果からガラスの代わりにプラステ
ィック基板を用いても本発明の半導体薄膜の結晶化法方
が適用し得ることを確認できた。 (実施例4)本発明の第4の実施例を説明する。本実施
例で用いる試料構造は実施例1又はは2のいずれの構造
でも構わないが、ここでは実施例2の構造を用いた。光
照射は実施例2と同様、光源100として、1μm付近
に強度ピークを持つハロゲンランプを用い、長軸300
mm、短軸5mmのライン状に整形し、パワー密度70
0W/cm2にて光吸収層105側から移動速度毎秒2
0mmにて照射した。但し、本実施例では、半導体薄膜
の純度を上げるために、この光照射を基板全面に対して
10回繰り返した。 (実施例5)本発明の薄膜トランジスタの製造方法の実
施例を図15を参照して説明する。本実施例では実施例
1乃至4の方法により形成した多結晶シリコン膜を能動
層として用いた。実施例1乃至4の光照射を行った後、
光吸収層105及び絶縁層104をエッチングにより除
去した。光吸収層105であるTa若しくはTaN層は
CF4とO2混合ガスをリモートプラズマ放電させ、発生
するラジカルを用いてドライエッチングにより除去し
た。絶縁層104であるSiO2膜のエッチングには5
%HF液を用いた。またこのようにして、多結晶シリコ
ン膜106が露出した基板をプラズマ処理チャンバーへ
セットする。プラズマ処理チャンバーでは基板温度は2
50℃とし、水素ガスを80sccm流し、圧力1To
rrで平行平板RF電極を用いて1kWのパワーでプラ
ズマ放電を行った。これにより多結晶シリコン膜106
の捕獲準位(欠陥)不活性化処理および表面の水素終端
処理を160秒行った。この後、多結晶シリコン膜10
6上にフォトリソグラフィによりフォトレジストパター
ンを形成し、CF4とO2混合ガスを用いたリモートプラ
ズマ放電によるドライエッチングを行った。
【0058】島状にパターニングされた多結晶シリコン
膜106上にゲート絶縁層110を形成するために、基
板を絶縁層形成チャンバーへセットした。チャンバー内
を10-6Torr台の真空度に排気した後、シランガス
と酸素ガスを流量比1:6で導入し、チャンバー圧力を
2×10-3Torrに調節した。チャンバー内のガス圧
力が安定したらECR放電を開始し、ゲート絶縁層11
0の成膜を開始した。投入したマイクロ波パワーは1k
Wで、マイクロ波は磁力線に平行に導入窓から導入し
た。導入窓から14cmの位置にECRポイントがあ
る。成膜は10(nm/min)の成膜速度で行った。
これにより、ゲート絶縁層110を100nm形成し
た。引き続いてゲート電極112となる薄膜をPVD法
或いはCVD法などで堆積した。
【0059】通常はゲート電極とゲート配線は同一材料
にて同一工程で作られる為、この材質は電気抵抗が低
く、350℃程度の熱工程に対して安定である事が望ま
れる。本例では膜厚が600nmのタンタル薄膜をスパ
ッタ法により形成した。タンタル薄膜を形成する際の基
板温度は180℃であり、スパッタガスとして窒素ガス
を6.7%含むアルゴンガスを用いた。このように形成
したタンタル薄膜は結晶構造がα構造と成っており、そ
の比抵抗はおおよそ40μΩcmである。ゲート電極1
12となる薄膜を堆積後パターニングを行い、引き続い
て多結晶シリコン膜106に不純物イオン注入を行って
ソース/ドレイン領域111及びチャネル領域を形成し
た。このとき、ゲート電極112がイオン注入のマスク
となっているため、チャネルはゲート電極112下のみ
に形成される自己整合構造となる。イオン・ドーピング
法の原料ガスとしては水素中に希釈された濃度0.1%
程度から10%程度のホスフィン(PH3)やジボラン
(B26)等の注入不純物元素の水素化物を用いる。本
例ではNMOS形成を目指し、イオン・ドーピング装置
を用いて、水素中に希釈された濃度5%のホスフィン
(PH3)を加速電圧100keVで注入した。PH3
やH2 イオンを含む全イオン注入量量は1×1016
-2である。次に、ソース/ドレイン領域111上にコ
ンタクトホールを開孔し、ソース/ドレイン引き出し電
極113と配線をPVD法やCVD法などで形成して薄
膜トランジスタが完成する。
【0060】従来の技術では、結晶粒径が大きく、且つ
捕獲準位(欠陥)密度の低い高品質な多結晶シリコン膜
を低温で、且つ高いスループットで形成する有効なプロ
セスが明確でなかった。しかし、上述したように、本発
明の半導体薄膜の結晶化方法及び薄膜トランジスタの製
造方法を用いることによって、極めて高品質な多結晶シ
リコン膜形成が可能となる。結果として高移動度、低し
きい値電圧でなお且つバラツキの極めて少ない薄膜トラ
ンジスタの製造が可能となり、超低消費電力回路の実現
が可能となる。
【0061】尚、本発明の製造方法により得られた薄膜
トランジスタは、液晶表示装置のスイッチング素子とし
て、或いはエレクトロルミネセンスディスプレイの駆動
素子として利用することができる。図17はアクティブ
マトリクス方式で駆動する電気光学装置10の画素領域
の回路構成図であり、各画素は、電界発光効果により発
光可能な発光層OLED、それを駆動するための電流を
記憶する保持容量C、本発明の製造方法で製造される薄
膜トランジスタT1及びT2を備えて構成されている。
走査線ドライバ20からは、選択信号線Vselが各画素
に供給されている。データ線ドライバ30からは、信号
線Vsig及び電源線Vddが各画素に供給されている。選
択信号線Vselと信号線Vsigを制御することにより、各
画素に対する電流プログラムが行われ、発光部OLED
による発光が制御される。
【0062】本発明の製造方法により得られた薄膜トラ
ンジスタは電気光学装置を備える各種の電子機器に適用
可能である。図18に電気光学装置を適用可能な電子機
器の例を挙げる。同図(a)は携帯電話への適用例であ
り、携帯電話230は、アンテナ部231、音声出力部
232、音声入力部233、操作部234、及び本発明
の電気光学装置10を備えている。このように本発明の
電気光学装置10を携帯電話230の表示部として利用
可能である。同図(b)はビデオカメラへの適用例であ
り、ビデオカメラ240は、受像部241、操作部24
2、音声入力部243、及び本発明の電気光学装置10
を備えている。このように本発明の電気光学装置は、フ
ァインダーや表示部として利用可能である。同図(c)
は携帯型パーソナルコンピュータへの適用例であり、コ
ンピュータ250は、カメラ部251、操作部252、
及び本発明の電気光学装置10を備えている。このよう
に本発明の電気光学装置は、表示部として利用可能であ
る。
【0063】同図(d)はヘッドマウントディスプレイ
への適用例であり、ヘッドマウントディスプレイ260
は、バンド261、光学系収納部262及び本発明の電
気光学装置10を備えている。このように本発明の電気
光学装置は画像表示源として利用可能である。同図
(e)はリア型プロジェクターへの適用例であり、プロ
ジェクター270は、筐体271に、光源272、合成
光学系273、ミラー274、ミラー275、スクリー
ン276、及び本発明の電気光学装置10を備えてい
る。このように本発明の電気光学装置は画像表示源とし
て利用可能である。同図(f)はフロント型プロジェク
ターへの適用例であり、プロジェクター280は、筐体
282に光学系281及び本発明の電気光学装置10を
備え、画像をスクリーン283に表示可能になってい
る。このように本発明の電気光学装置は画像表示源とし
て利用可能である。
【0064】上記例に限らず本発明の電気光学装置10
は、アクティブマトリクス型の表示装置を適用可能なあ
らゆる電子機器に適用可能である。例えば、この他に、
表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファイ
ンダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電
光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイなどにも活用するこ
とができる。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、結晶粒径の大きい高品
質の多結晶半導体膜を低温プロセスを用いて大面積に形
成することが可能となる。また、本発明の薄膜トランジ
スタの製造方法によれば、高品質の多結晶半導体膜を薄
膜トランジスタの能動層に用いることにより、高性能な
薄膜トランジスタの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体薄膜の結晶化方法を示した製造
工程断面図である。
【図2】Ta膜の反射率スペクトルを示した図である。
【図3】光照射方法の説明図である。
【図4】照射光の短軸方向のパワー密度プロファイルを
示した図である。
【図5】照射光の照射時間プロファイルの説明図であ
る。
【図6】光吸収層及び半導体層の温度上昇のを示す図で
ある。
【図7】照射光の照射時間プロファイルの説明図であ
る。
【図8】光吸収層及び半導体層の温度上昇のを示す図で
ある。
【図9】照射光の照射時間プロファイルの説明図であ
る。
【図10】光吸収層及び半導体層の温度上昇のを示す図
である。
【図11】光照射方法の説明図である。
【図12】光照射方法の説明図である。
【図13】照射光のパワー密度プロファイルの説明図で
ある。
【図14】照射光のパワー密度プロファイルの説明図で
ある。
【図15】本発明の薄膜トランジスタの製造方法を示し
た製造工程断面図である。
【図16】本発明の半導体薄膜の結晶化方法の他の形態
の説明図である。
【図17】本発明の電気光学装置の回路構成図である。
【図18】本発明の電気光学装置を備える電子機器の例
示を示す図である。
【符号の説明】
101…基板 102…下地絶縁層 103…半導体膜 104…絶縁層 105…光吸収層 106…多結晶シリコン膜 107…溶融シリコン層 108…固液界面(結晶成長点) 100…ランプ光源 110…ゲート絶縁層 111…ソース/ドレイン領域 112…ゲート電極 113…ソース/ドレイン電極 120…酸化防止層 301…ライン状照射光 302…ビーム長軸 303…ビーム短軸
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/786 H01L 21/26 J Fターム(参考) 2H088 EA12 EA22 EA25 MA09 MA20 2H092 JA24 JA28 KA04 KA05 MA28 NA21 NA25 NA27 RA05 RA10 5F052 AA28 CA04 DA01 DA02 DA03 DA04 DA05 DA06 DB02 DB03 DB04 DB07 EA02 JA01 JA09 5F110 AA30 BB01 BB04 CC02 DD01 DD02 DD03 DD05 DD13 DD14 EE04 EE43 EE44 EE45 FF02 FF28 FF30 GG01 GG02 GG03 GG04 GG13 GG25 GG42 GG43 GG45 GG47 GG58 HJ01 HJ12 HJ13 HJ23 HL23 HL24 HM15 PP02 PP05 PP11 QQ11 QQ25

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶質又は多結晶の半導体膜を基板上に
    堆積する工程と、 前記半導体膜上に絶縁層を積層する工程と、 前記絶縁層上に光吸収層を積層する工程と、 光源から照射光を照射し、露光面上に形成される照射領
    域を走査する一方で、前記半導体膜中に形成される溶融
    領域を前記照射領域の走査方向に沿って移動させつつ、
    前記半導体膜を溶融結晶化させる工程とを備える、半導
    体膜の結晶化方法。
  2. 【請求項2】 前記光照射は、不活性ガス雰囲気中にて
    行う、請求項1に記載の半導体膜の結晶化方法。
  3. 【請求項3】 非晶質又は多結晶の半導体膜を基板上に
    堆積する工程と、 前記半導体膜上に絶縁層を積層する工程と、 前記絶縁層上に光吸収層を積層する工程と、 前記光吸収層上に酸化防止層を積層する工程と、 光源から照射光を照射し、露光面上に形成される照射領
    域を走査する一方で、前記半導体膜中に形成される溶融
    領域を前記照射領域の走査方向に沿って移動させつつ、
    前記半導体膜を溶融結晶化させる工程とを備える、半導
    体膜の結晶化方法。
  4. 【請求項4】 前記光照射は、基板上の任意点において
    パワー密度が600W/cm2以上、且つ照射時間が5
    00ミリ秒以下である、請求項1乃至請求項3のうち何
    れか1項に記載の半導体膜の結晶化方法。
  5. 【請求項5】 前記光照射は、基板上の任意点において
    パワー密度が700W/cm2以上、且つ照射時間が2
    00ミリ秒以下である、請求項1乃至請求項3のうち何
    れか1項に記載の半導体膜の結晶化方法。
  6. 【請求項6】 前記光照射は、基板上の任意点にけるパ
    ワー密度が1200W/cm2以上、且つ照射時間が1
    00ミリ秒以下である、請求項1乃至請求項3のうち何
    れか1項に記載の半導体膜の結晶化方法。
  7. 【請求項7】 前記光照射は、基板上の任意点において
    パワー密度が1500W/cm2以上、且つ照射時間が
    50ミリ秒以下である、請求項1乃至請求項3のうち何
    れか1項に記載の半導体膜の結晶化方法。
  8. 【請求項8】 前記光吸収層としてタンタル、タングス
    テン、モリブデンのうち何れかの薄膜を用いる、請求項
    1乃至請求項7のうち何れか1項に記載の半導体膜の結
    晶化方法。
  9. 【請求項9】 前記光源として、露光面への照射領域が
    ライン状となるようにビーム整形されたランプ光を用い
    る、請求項1乃至請求項8のうち何れか1項に記載の半
    導体膜の結晶化方法。
  10. 【請求項10】 前記光照射は、基板を室温下にて、又
    は冷却しながら行う、請求項1乃至請求項9のうち何れ
    か1項に記載の半導体膜の結晶化方法。
  11. 【請求項11】 前記光照射は、複数の光源を用いて、
    前記基板の表面及び裏面に対する2方向から行う、請求
    項1乃至請求項10のうち何れか1項に記載の半導体膜
    の結晶化方法。
  12. 【請求項12】 前記基板の表面への照射領域位置と、
    裏面への照射領域位置とを、相対的にずらして光照射を
    行う、請求項11に記載の半導体膜の結晶化方法。
  13. 【請求項13】 前記光照射は、基板と照射光を1方向
    に相対的に移動させながら基板全面を少なくとも2回以
    上走査する、請求項1乃至請求項12のうち何れか1項
    に記載の半導体膜の結晶化方法。
  14. 【請求項14】 前記光照射は、前記光吸収層の一部を
    除去した後に行う、請求項1乃至請求項13のうち何れ
    か1項に記載の半導体膜の結晶化方法。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至請求項14のうち何れか
    1項に記載の方法により形成した半導体膜を能動層とし
    て薄膜トランジスタを製造する、薄膜トランジスタの製
    造方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の方法により製造さ
    れた薄膜トランジスタを表示画素の駆動素子として備え
    る、電気光学装置。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の電気光学装置を備
    える、電子機器。
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