JP4649889B2 - 圧力波発生素子 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、スピーカを対象とした音波や、超音波や単パルス的な粗密波などの圧力波を発生する圧力波発生素子に関するものである。
従来から、圧電効果による機械的振動を利用した超音波発生素子が広く知られている。この種の超音波発生素子としては、例えば、チタン酸バリウムのような圧電材料からなる結晶の両面に電極を設けた構成のものが知られており、この超音波発生素子では、両電極間に電気エネルギを与えて機械的振動を発生させることにより、空気を振動させて超音波を発生させることができる。
上述のような機械的振動を利用した超音波発生素子は、固有の共振周波数をもつので周波数帯域が狭い、外部の振動や外気圧の変動の影響を受けやすい、などの問題があった。
これに対して、機械的振動を伴わずに熱励起により超音波などの圧力波を発生させることができる素子として、図4に示すように、支持基板1と、支持基板1の一表面側に形成された支持基板1に比べて熱伝導率および熱容量が十分に小さな断熱層2と、断熱層2上に形成された発熱体層3とを備え、発熱体層3への交流電流の通電に伴う発熱体層3と空気との熱交換により圧力波を発生する圧力波発生素子が提案されている(特許文献1、2、3)。
図4に示した構成の圧力波発生素子では、発熱体層3の直下には断熱層2が形成されているので、発熱体層3へ例えば交流電源から交流を通電することにより、発熱体層3へ通電される入力波形に応じて発熱体層3の温度が変化する一方で、発熱体層3近傍の空気との間で効率的な熱交換が起こり、空気の膨張・圧縮の結果、超音波などの圧力波が発生する。なお、図4に示した構成の圧力波発生素子は、発熱体層3へ通電する交流の周波数を調整することにより、発生する圧力波の周波数を広範囲にわたって変化させることができ、例えば、超音波音源やスピーカの音源として用いることができる。要するに、図4に示した構成の圧力波発生素子では、発熱体層3へ与える電気的な入力(発熱体層3へ印加する電圧または発熱体層3へ供給する電流)の波形を周期波(例えば、正弦波、方形波など)として周期波の周期を変化させることで波形を変化させることによって、発生する圧力波の周波数を広範囲にわたって変化させることができ、また、発熱体層3へ与える電気的な入力の波形を孤立波とすれば、圧力波として単パルス的な粗密波(インパルス音波)を発生させることができる。
ここにおいて、上記特許文献1、2に記載された赤外線放射素子では、支持基板1が単結晶のシリコン基板により構成されるとともに、断熱層2がシリコン基板の一部を陽極酸化処理にて多孔質化することにより形成された多孔質シリコン層により構成されている。また、上記特許文献1には、断熱層2の熱伝導度および熱容量を支持基板1の熱伝導度および熱容量に比べて小さくすることが望ましく、断熱層2の熱伝導度と熱容量との積を支持基板1の熱伝導度と熱容量との積に比べて十分に小さくすることが好ましいことが記載されている。
なお、上記特許文献1,2に記載された圧力波発生素子では、発熱体層3の表面(図4における発熱体層3の上面)が露出した構造を採用しており、上記特許文献3に記載された圧力波発生素子では、発熱体層3の表面がSiO膜からなる絶縁保護層により覆われた構造を採用している。また、上記特許文献1,2には発熱体層3をアルミニウム薄膜により構成した実施例が記載され、上記特許文献3には発熱体層3を窒化タンタル膜により構成した実施例が記載されている。なお、上記特許文献3の実施例において、発熱体層3を構成する窒化タンタル膜の膜厚は0.5μmに設定され、絶縁保護層を構成するSiO膜の膜厚は1.5μmに設定されている。
特開平11−300274号公報 特開2002−186097号公報 特開平3−140100号公報
ところで、本願発明者らは、図4に示した構成の圧力波発生素子において例えば周波数が60kHzの超音波を発生させるような場合、圧力波発生素子から30cm離れた位置で、15Pa程度の音圧を得るには発熱体層3の温度を400℃程度まで上昇させる必要があり、30Pa程度の音圧を得るには発熱体層3の温度を1000℃を超えるような高温まで上昇させる必要があるという実験結果を得た。しかしながら、上記特許文献1,2に記載された圧力波発生素子では、高出力化のために発熱体層3の材料としてアルミニウムに比べて高融点の金属を採用したとしても、発熱体層3の表面が露出して空気に曝されているので、発熱体層3の温度が数百℃を超えると発熱体層3が酸化されて発熱体層3の抵抗値が増加してしまうという不具合があった。ここにおいて、上述の圧力波発生素子を例えば定電圧で駆動する場合、発熱体層3の抵抗値をR、発熱体層3への印加電圧をVとすると、発熱体層3への入力電力をPとすると、P=V/Rとなるので、発熱体層3の酸化によって発熱体層3の抵抗値が増加すると、発熱体層3への入力電力が低下し、出力(発生音圧のような圧力)が低下してしまうから、信頼性の向上が望まれている。
また、上記特許文献3に記載された圧力波発生素子では、発熱体層3の材料として窒化タンタルを採用しており、発熱体層3が酸化するのを防止することができるが、窒化タンタルはアルミニウムなどの金属に比べて抵抗が高いので、定電圧で駆動する場合、上記特許文献1,2に記載された圧力波発生素子に比べて発熱体層3へ高電圧を印加する必要が生じて入力電力が高くなってしまう(つまり、低消費電力化が難しい)という不具合があった。また、上記特許文献3に記載された圧力波発生素子では、上記特許文献1,2に記載された圧力波発生素子に比べて発熱体層3の熱容量が大きいので、発熱体層3へ与える電気的な入力の波形に対する温度変化の応答が遅くなって発熱体層3の温度が上昇しにくくなり、高出力化および応答速度の高速化が難しいという不具合があった。ここにおいて、上記特許文献3に記載された圧力波発生素子における発熱体層3を高融点の金属により形成することも考えられるが、発熱体層3の表面を覆っている絶縁保護層がSiO膜により構成されているので、発熱体層3の温度が高温になると空気中の酸素が絶縁保護層中へ拡散して発熱体層3と絶縁保護層との界面に到達し、発熱体層3が酸化されてしまい、発熱体層3の抵抗値が増加してしまう。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、高出力化を図りつつ発熱体層の酸化を防止することができる圧力波発生素子を提供することにある。
請求項1の発明は、シリコン基板の一表面側に金属膜からなる発熱体層が設けられるとともに、シリコン基板と発熱体層との間に多孔質シリコン層からなる断熱層が設けられ、発熱体層へ与える電気的な入力の波形に応じた発熱体層の温度変化に伴って発熱体層と空気との熱交換により圧力波を発生する圧力波発生素子であって、シリコンよりも高融点の材料により形成された高融点膜からなるとともに、膜厚が、前記高融点膜の熱伝導率と、前記高融点膜の熱容量と、前記波形の周波数とで決まる熱拡散長以下に設定された酸化防止層を発熱体層の表面に被着してなることを特徴とする。ここにおいて、発熱体層へ与える電気的な入力とは、発熱体層へ印加する電圧または発熱体層へ供給する電流を意味している。
この発明によれば、発熱体層がシリコンよりも高融点の材料により形成されていることにより、発熱体層の温度をシリコンの最高使用温度まで上昇させることができる(シリコンの融点は1410℃)から、発熱体層をアルミニウムなどの比較的低融点の金属材料により形成する場合に比べて高出力化を図ることができ、しかも、発熱体層の表面に酸化防止層が被着されていることにより、発熱体層の酸化を防止することができる一方で、酸化防止層の膜厚を熱拡散長以下としてあるので、発熱体層の表面に酸化防止層が被着されていることによる出力の低下を少なくすることができるから、高出力化を図りつつ発熱体層の酸化を防止することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記酸化防止層は、炭化物、窒化物、ホウ化物、シリサイドの群から選択される材料により形成されてなることを特徴とする。ここにおいて、炭化物としては、例えば、TaC、HfC、NbC、ZrC、TiC、VC、WC、ThC、SiCなどがあり、窒化物としては、例えば、HfN、TiN、TaN、BN、Siなどがあり、ホウ化物としては、例えば、HfB、TaB、ZrB、TiB、NbB、WB、VB、MoB、CrBなどがあり、シリサイドとしては、例えば、WSi、MoSi、TiSiなどがある。
この発明によれば、前記酸化防止層を、スパッタ法、蒸着法、CVD法などの半導体製造プロセスで利用される一般的な薄膜形成法により形成することができる。
請求項1の発明では、高出力化を図りつつ発熱体層の酸化を防止することができるという効果がある。
(実施形態1)
本実施形態の圧力波発生素子は、図1(a),(b)に示すように、単結晶のシリコン基板からなる支持基板1の一表面側に金属膜からなる発熱体層3が設けられるとともに、支持基板1と発熱体層3との間に断熱層2が設けられ、支持基板1の上記一表面側に発熱体層3の両端部(図1(b)における左右両端部)それぞれと接する形で一対のパッド4,4が形成されており、発熱体層3の表面に酸化防止層5が被着されている。ここにおいて、本実施形態の圧力波発生素子は、発熱体層3へ与える電気的な入力(発熱体層3へ印加する電圧または発熱体層3へ供給する電流)の波形に応じた発熱体層3の温度変化に伴って発熱体層3と空気との熱交換により圧力波を発生する。なお、支持基板1の平面形状は長方形状であって、断熱層2、発熱体層3、酸化防止層5それぞれの平面形状も長方形状に形成してある。
ところで、本実施形態では、上述のように支持基板1として単結晶のシリコン基板を用いており、断熱層2を多孔度が略70%の多孔質シリコン層により構成しているので、支持基板1として用いるシリコン基板の一部をフッ化水素水溶液中で陽極酸化処理することにより断熱層2となる多孔質シリコン層を形成することができる。ここに、陽極酸化処理の条件(例えば、電流密度、通電時間など)を適宜設定することにより、断熱層2となる多孔質シリコン層の多孔度や厚みそれぞれを所望の値とすることができる。多孔質シリコン層は、多孔度が高くなるにつれて熱伝導率および熱容量が小さくなり、例えば、熱伝導率が148W/(m・K)、熱容量が1.63×10J/(m・K)の単結晶のシリコン基板を陽極酸化して形成される多孔度が60%の多孔質シリコン層は、熱伝導率が1W/(m・K)、熱容量が0.7×10J/(m・K)であることが知られている。なお、本実施形態では、上述のように断熱層2を多孔度が略70%の多孔質シリコン層により構成してあり、断熱層2の熱伝導率が0.12W/(m・K)、熱容量が0.5×10J/(m・K)となっている。
また、発熱体層3は、高融点金属の一種であるタングステンにより形成してあり、発熱体層3は、熱伝導率が174W/(m・K)、熱容量が2.5×10J/(m・K)となっている。発熱体層3の材料はタングステンに限らず、シリコンよりも高融点の金属であればよく、例えば、タンタル、モリブデン、イリジウムなどを採用してもよい。
酸化防止層5は、シリコンよりも高融点のHfCにより形成してあるが、酸化防止層5の材料は、炭化物、窒化物、ホウ化物、シリサイドの群から選択される材料を採用すればよく、シリコンよりも高融点の炭化物としては、TaC、HfC、NbC、ZrC、TiC、VC、WC、ThC、SiCなどが採用可能であり、シリコンよりも高融点の窒化物としては、HfN、TiN、TaN、BN、Siなどが採用可能であり、シリコンよりも高融点のホウ化物としては、HfB、TaB、ZrB、TiB、NbB、WB、VB、MoB、CrBなどが採用可能であり、シリコンよりも高融点のシリサイドとしては、WSi、MoSi、TiSiなどが採用可能である。
なお、本実施形態の圧力波発生素子では、断熱層2の形成前のシリコン基板の厚さを525μm、断熱層2の厚さを2μm、発熱体層3の厚さを50nm、各パッド4,4の厚さを0.5μm、酸化防止層5の厚さを50nmとしてあるが、これらの厚さは一例であって特に限定するものではない。
以下、本実施形態の圧力波発生素子の製造方法について簡単に説明する。
まず、支持基板1として用いるシリコン基板の他表面(図1(b)における下面)側に陽極酸化処理時に用いる通電用電極(図示せず)を形成した後、シリコン基板の一表面側における断熱層2の形成予定部位を陽極酸化処理にて多孔質化することで多孔質シリコンからなる断熱層2を形成する陽極酸化処理工程を行う。ここにおいて、陽極酸化処理工程では、電解液として55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した混合液を用い、シリコン基板を主構成とする被処理物を処理槽に入れられた電解液に浸漬し、通電用電極を陽極、シリコン基板の上記一表面側に対向配置された白金電極を陰極として、電源から陽極と陰極との間に所定の電流密度の電流を所定時間だけ流すことにより多孔質シリコンからなる断熱層2を形成している。
上述の陽極酸化処理工程の後、発熱体層3を形成する発熱体層形成工程、酸化防止層5を形成する酸化防止層形成工程、パッド4,4を形成するパッド形成工程を順次行うことによって、圧力波発生素子が完成する。なお、発熱体層形成工程、酸化防止層形成工程、およびパッド形成工程では、例えば、各種のスパッタ法、各種の蒸着法、各種のCVD法などによって膜形成を行えばよい。
ところで、本施形態の圧力波発生素子の比較例として、図1の構造において酸化防止層5を設けない素子を試作して、発熱体層3への入力電力を種々変化させた場合の出力音圧および発熱体層3の温度それぞれを測定した結果を図2に示す。ここに、図2の横軸は周波数が30kHzの正弦波の電圧を入力としてピーク値を種々変化させた場合の入力電力のピーク値を、左側の縦軸は発熱体層3の表面から30〔cm〕だけ離れた位置で測定した周波数が60kHzの超音波の音圧(出力音圧)を、右側の縦軸は発熱体層3の表面の温度を、それぞれ示しており、同図中の「イ」が音圧の変化を示し、「ロ」が発熱体層3の温度の変化を示している。
図2から、発熱体層3への入力電力の増加に伴って音圧および発熱体層3の温度が上昇する傾向にあり、15Pa程度の音圧を得るには発熱体層3の温度を400℃程度まで上昇させる必要があり、30Pa程度の音圧を得るには発熱体層3の温度を1000℃を超えるような高温まで上昇させる必要があることが分かる。しかしながら、この比較例のように発熱体層3の表面が露出している構造では、発熱体層3の温度が400℃程度になると、空気中で酸化が起こり始めるので、発熱体層3の抵抗値が増加してしまう。
これに対して、本実施形態の圧力波発生素子では、シリコンよりも高融点の材料により形成された高融点膜からなる酸化防止層5を発熱体層3の表面に被着してある。ここにおいて、酸化防止層5を構成する高融点膜の膜厚が厚すぎると、発熱体層3近傍の熱容量の増大を招き、発熱体層3の温度上昇を妨げてしまい、また、上記高融点膜の熱伝導率が小さすぎると、発熱体層3で発生した熱が空気へ伝わりにくくなって出力が低下してしまう。そこで、本実施形態では、酸化防止層5として許容される高融点膜の膜厚を、熱伝導率と熱容量と発熱体層3へ与える電気的な入力の波形とで決まる熱拡散長以下に設定してある。ここにおいて、熱拡散長Lは、発熱体層3へ与える電気的な入力の波形を例えば周波数がf’〔Hz〕の交流の正弦波とするときには、発熱体層3の温度変化の波形の周波数をf(=2f’)、発熱体層3の温度変化の波形の角周波数をω(=2πf)、酸化防止層5の熱伝導率および熱容量をそれぞれα〔W/(m・K)〕、C〔J/(m・K)〕とすれば、熱伝導方程式から導出される下記の数式で表される。
Figure 0004649889
なお、上述の熱拡散長Lは、酸化防止層5の厚み方向の温度分布に関して、酸化防止層5における発熱体層3との界面の温度の1/e倍(eは自然対数の底)となる位置と上記界面との間の距離である。また、発熱体層3から発生する圧力波の周波数は上記周波数fに等しい。
ここで、本実施形態の圧力波発生素子から超音波を発生させる場合の数値例を挙げれば、酸化防止層5の材料がHfCの場合、周波数fが20kHzのとき(つまり、周波数が20kHzの超音波を発生するとき)には熱拡散長L=11μmとなるので酸化防止層5の厚みを11μm以下とすればよく、周波数fが100kHzのとき(つまり、周波数が100kHzの超音波を発生するとき)には熱拡散長Lが5.1μmとなるので酸化防止層5の厚みを5.1μm以下とすればよい(本実施形態では、上述のように酸化防止層5の材料としてHfCを採用し、酸化防止層5の厚みを50nmに設定してある)。また、酸化防止層5がTaNの場合、周波数fが20kHzのときには熱拡散長L=5.9μmとなるので酸化防止層5の厚みを5.9μm以下とすればよく、周波数fが100kHzのときには熱拡散長Lが2.6μmとなるので酸化防止層5の厚みを2.6μm以下とすればよい。要するに、本実施形態の圧力波発生素子でも、発熱体層3へ与える電気的な入力の波形を周期波(例えば、正弦波、方形波など)として周期波の周期を変化させることで波形を変化させることによって、発生する圧力波の周波数を広範囲にわたって変化させることができ、また、発熱体層3へ与える電気的な入力の波形を孤立波とすれば、圧力波として単パルス的な粗密波(インパルス音波)を発生させることができる。
以上説明した本実施形態の圧力波発生素子では、発熱体層3がシリコンよりも高融点の材料により形成されていることにより、発熱体層3の温度をシリコンの最高使用温度まで上昇させることができる(シリコンの融点は1410℃)から、発熱体層3をアルミニウムなどの比較的低融点の金属材料により形成する場合に比べて高出力化を図ることができ、しかも、発熱体層3の表面に酸化防止層5が被着されていることにより、発熱体層3の酸化を防止することができる一方で、酸化防止層5の膜厚を上述の熱拡散長L以下としてあるので、発熱体層3の表面に酸化防止層5が被着されていることによる出力の低下を少なくすることができるから、高出力化を図りつつ発熱体層3の酸化を防止することができる(発熱体層3の酸化による信頼性低下を抑制することができる)。また、上述のように発熱体層3がタングステンなどの高融点の金属により形成されていることにより、上記特許文献3のように発熱体層3が窒化タンタル膜により形成されている場合に比べて、発熱体層3の抵抗値および熱量量を小さくできるので、定電圧で駆動する場合の駆動電圧の低電圧化を図れるとともに、応答速度を速めることができる。
また、酸化防止層5の材料として上述の炭化物、窒化物、ホウ化物、シリサイドのいずれかを採用することにより、酸化防止層5を、スパッタ法、蒸着法、CVD法などの半導体製造プロセスで利用される一般的な薄膜形成法により形成することができる。
また、本実施形態の圧力波発生素子では、上述のように発熱体層3、断熱層2、酸化防止層5のいずれの平面形状も長方形状となっているが、酸化防止層5の平面形状における長辺、短辺それぞれの長さ寸法を断熱層2の平面形状における長辺、短辺それぞれの長さ寸法よりも大きく設定してあり、断熱層2において発熱体層3が積層されていない部位の表面が酸化防止層5により覆われているので、酸化防止層5によって断熱層2の酸化も防止することができ、断熱層2の酸化による断熱層2の熱容量増加に起因した出力低下を防止することができる。
(実施形態2)
本実施形態の圧力波発生素子の基本構成は実施形態1と略同じであり、実施形態1で酸化防止層5の両端部それぞれの一部がパッド4,4により覆われていたのに対して、図3(a),(b)に示すように、各パッド4,4の一部が酸化防止層5により覆われている点が相違するだけである。他の構成は実施形態1と同じである。
しかして、本実施形態の圧力波発生素子においても、実施形態1と同様に、高出力化を図りつつ発熱体層3および断熱層2の酸化を防止することができる
実施形態1を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図である。 同上の比較例の特性説明図である。 実施形態2を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図である。 従来例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 支持基板
2 断熱層
3 発熱体層
4 パッド
5 酸化防止層

Claims (2)

  1. シリコン基板の一表面側に金属膜からなる発熱体層が設けられるとともに、シリコン基板と発熱体層との間に多孔質シリコン層からなる断熱層が設けられ、発熱体層へ与える電気的な入力の波形に応じた発熱体層の温度変化に伴って発熱体層と空気との熱交換により圧力波を発生する圧力波発生素子であって、シリコンよりも高融点の材料により形成された高融点膜からなるとともに、膜厚が、前記高融点膜の熱伝導率と、前記高融点膜の熱容量と、前記波形の周波数とで決まる熱拡散長以下に設定された酸化防止層を発熱体層の表面に被着してなることを特徴とする圧力波発生素子。
  2. 前記酸化防止層は、炭化物、窒化物、ホウ化物、シリサイドの群から選択される材料により形成されてなることを特徴とする請求項1記載の圧力波発生素子。
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