JP4649929B2 - 圧力波発生素子 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、スピーカを対象とした音波や、超音波や単パルス的な粗密波などの圧力波を発生する圧力波発生素子に関するものである。
従来から、圧電効果による機械的振動を利用した超音波発生素子が広く知られている。この種の超音波発生素子としては、例えば、チタン酸バリウムのような圧電材料からなる結晶の両面に電極を設けた構成のものが知られており、この超音波発生素子では、両電極間に電気エネルギを与えて機械的振動を発生させることにより、空気を振動させて超音波を発生させることができる。
上述のような機械的振動を利用した超音波発生素子は、固有の共振周波数をもつので周波数帯域が狭い、外部の振動や外気圧の変動の影響を受けやすい、などの問題があった。
これに対して、機械的振動を伴わずに熱励起により超音波などの圧力波を発生させることができる圧力波発生装置として、図5に示すように、支持基板1’と、支持基板1’の一表面側に形成された支持基板1’に比べて熱伝導率および熱容量が十分に小さな断熱層2’と、断熱層2’上に形成された発熱体層3’とを備え、発熱体層3’への交流電流の通電に伴う発熱体層3’と空気との熱交換により圧力波を発生する圧力波発生素子が提案されている(特許文献1、2、3)。
図5に示した構成の圧力波発生素子では、発熱体層3’の直下に断熱層2’が形成されているので、発熱体層3’へ例えば交流電源から交流を通電することにより、発熱体層3’へ通電される入力波形に応じて発熱体層3’の温度が変化する一方で、発熱体層3’近傍の空気との間で効率的な熱交換が起こり、空気の膨張・圧縮の結果、超音波などの圧力波が発生する。なお、図5に示した構成の圧力波発生素子は、発熱体層3’へ通電する交流の周波数を調整することにより、発生する圧力波の周波数を広範囲にわたって変化させることができ、例えば、超音波音源やスピーカの音源として用いることができる。要するに、図5に示した構成の圧力波発生素子では、発熱体層3’へ与える電気的な入力(発熱体層3’へ印加する電圧または発熱体層3’へ供給する電流)の波形を周期波(例えば、正弦波、方形波など)として周期波の周期を変化させることで波形を変化させることによって、発生する圧力波の周波数を広範囲にわたって変化させることができ、また、発熱体層3’へ与える電気的な入力の波形を孤立波とすれば、圧力波として単パルス的な粗密波(インパルス音波)を発生させることができる。
ここにおいて、上記特許文献1、2に記載された圧力波発生素子では、支持基板1’が単結晶のシリコン基板により構成されるとともに、断熱層2’がシリコン基板の一部を陽極酸化処理にて多孔質化することにより形成された多孔質シリコン層により構成されている。なお、上記特許文献1には、断熱層2’の熱伝導度および熱容量を支持基板1’の熱伝導度および熱容量に比べて小さくすることが望ましく、断熱層2’の熱伝導度と熱容量との積を支持基板1’の熱伝導度と熱容量との積に比べて十分に小さくすることが好ましいことが記載されている。
また、上記特許文献1,2に記載された圧力波発生素子では、発熱体層3’が断熱層2’上で断熱層2’の外周よりも内側に位置しており、発熱体層3’の表面(図5における発熱体層3’の上面)および断熱層2’の一部(発熱体層3’が積層されていない部分)の表面が露出した構造を採用しており、さらに、上記特許文献2には、断熱層2’を多孔質シリコン層により構成する代わりに、多孔質シリコン層に対して急速熱酸化処理を施すことにより断熱層2’を形成した構造も記載されている。また、上記特許文献3に記載された圧力波発生素子では、発熱体層3’の表面がSiO2膜からなる絶縁保護層により覆われた構造を採用している。また、上記特許文献1,2には発熱体層3’をアルミニウム薄膜により構成した実施例が記載され、上記特許文献3には発熱体層3’を窒化タンタル膜により構成した実施例が記載されている。なお、上記特許文献3の実施例において、発熱体層3’を構成する窒化タンタル膜の膜厚は0.5μmに設定され、絶縁保護層を構成するSiO膜の膜厚は1.5μmに設定されている。
特開平11−300274号公報 特開2002−186097号公報 特開平3−140100号公報
ところで、本願発明者らは、図5に示した構成の圧力波発生素子において例えば発熱体層3’のうち圧力波を発生する部分(パッドが形成されず表面が露出している部分)の平面サイズを5mm□として周波数が60kHzの超音波を発生させるような場合、圧力波発生素子から30cm離れた位置で、15Pa程度の音圧を得るには発熱体層3’の温度を400℃程度まで上昇させる必要があり、30Pa程度の音圧を得るには発熱体層3’の温度を1000℃を超えるような高温まで上昇させる必要があるという実験結果を得た。
そこで、上記特許文献1,2に記載された圧力波発生素子において、高出力化のために発熱体層3’の材料として、上記特許文献3の段落〔0030〕に列挙された多数(48種類)の金属材料のうちアルミニウム以外の材料を採用することが考えられるが、全ての材料について検討を行うのは、成膜に必要な成膜装置、成膜条件の条件出し、材料の入手などの観点から難しいので、本願発明者らは、手始めとして、アルミニウムに比べて高融点で耐酸化性に優れた金に着目し、発熱体層3’を断熱層2’上の10nmのクロム膜と当該クロム膜上の40nmの金膜とで構成して、発熱体層3’への入力電力と出力音圧との関係を調べた。その結果、上記平面サイズを20mm□とした場合に、最大出力音圧(絶縁破壊する直前の音圧)として48Paの音圧が得られた。
しかしながら、工業的な利用を考えた場合に、例えばコストの低減や指向性を低くする目的などで圧力波発生素子のチップサイズの小型化を図ると、圧力波を発生する部分の平面サイズも小さくなって音圧も低下する(例えば、圧力波を発生する部分の平面サイズを5mm□とすると20mm□の場合の16分の1の音圧となってしまう)ので、発熱体層3’として金を採用した圧力波発生素子に比べて、最大出力音圧の高い圧力波発生素子が必要となると考えられる(つまり、より高出力の圧力波発生素子が必要になると考えられる)。
また、上記特許文献3に記載された圧力波発生素子では、断熱層2’としてSiO2膜を採用するとともに、発熱体層3’の材料として窒化タンタルを採用しており、窒化タンタルはアルミニウムなどの金属に比べて抵抗が高いので、定電圧で駆動する場合、上記特許文献1,2に記載された圧力波発生素子に比べて発熱体層3’へ高電圧を印加する必要が生じて入力電力が高くなってしまう(つまり、低消費電力化が難しい)という不具合があった。また、上記特許文献3に記載された圧力波発生素子では、上記特許文献1,2に記載された圧力波発生素子に比べて発熱体層3’の熱容量が大きいので、発熱体層3’へ与える電気的な入力の波形に対する温度変化の応答が遅くなって発熱体層3’の温度が上昇しにくくなり、高出力化および応答速度の高速化が難しいという不具合があった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、発熱体層の材料として金を採用する場合に比べて高出力化を図れる圧力波発生素子を提供することにある。
請求項1の発明は、シリコン基板と当該シリコン基板の一表面側に設けられる発熱体層との間に多孔質シリコン層からなる断熱層が設けられ、前記発熱体層への通電による前記発熱体層の温度変化に伴って前記発熱体層と空気との熱交換により圧力波を発生する圧力波発生素子であって、前記発熱体層の材料として、ヤング率が170GPaを下回らない金属材料を用いてなり、前記断熱層が前記シリコン基板の前記一表面側の所定領域に形成されるとともに、前記発熱体層が前記断熱層上で前記断熱層の外周よりも内側に形成され、前記シリコン基板の前記一表面側で前記所定領域以外の部位に積層された絶縁膜と、前記シリコン基板の前記一表面側において前記発熱体層と絶縁膜との間に介在し前記断熱層の酸化を防止する保護膜とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、発熱体層の材料として金を採用する場合に比べて、耐破壊電力が高くなり、高出力化を図れる。また、この発明によれば、保護膜により前記断熱層の酸化を防止することができ、前記断熱層の酸化による出力低下を防止することができるとともに信頼性を向上させることができる。
請求項2の発明は、シリコン基板と当該シリコン基板の一表面側に設けられる発熱体層との間に多孔質シリコン層からなる断熱層が設けられ、前記発熱体層への通電による前記発熱体層の温度変化に伴って前記発熱体層と空気との熱交換により圧力波を発生する圧力波発生素子であって、前記発熱体層の材料として、ヤング率が170GPaを下回らない金属材料を用いてなり、前記断熱層が前記シリコン基板の前記一表面側の所定領域に形成されるとともに、前記発熱体層が前記断熱層上で前記断熱層の外周よりも内側に形成され、前記シリコン基板の前記一表面側で前記所定領域以外の部位に積層された絶縁膜と、前記シリコン基板の前記一表面側で前記発熱体層の両端部それぞれと接する形で形成された一対のパッドとを備え、前記シリコン基板の前記一表面側において前記発熱体層の両端部それぞれと前記絶縁膜との間に前記パッドの一部が介在し、前記発熱体層の周囲であって前記パッドが形成されていない部位には前記シリコン基板の前記一表面側において前記発熱体層と絶縁膜との間に介在し前記断熱層の酸化を防止する保護膜が形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、発熱体層の材料として金を採用する場合に比べて、耐破壊電力が高くなり、高出力化を図れる。また、この発明によれば、各パッドそれぞれの一部および前記保護膜により前記断熱層の酸化を防止することができ、前記断熱層の酸化による出力低下を防止することができるとともに信頼性を向上させることができる。
請求項の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記金属材料は、ビッカース硬度が160Hvを下回らない金属であることを特徴とする。
この発明によれば、耐破壊電力がより高くなり、信頼性の向上を図れる。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記金属材料は、貴金属であることを特徴とする。
この発明によれば、前記発熱体層の酸化を防止することができるとともに寿命が長くなる。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記保護膜は、炭化物、窒化物、ホウ化物、シリサイドの群から選択される材料であって且つシリコンよりも高融点の材料により形成されてなることを特徴とする。ここにおいて、シリコンよりも高融点の炭化物としては、例えば、TaC、HfC、NbC、ZrC、TiC、VC、WC、ThC、SiCなどがあり、シリコンよりも高融点の窒化物としては、例えば、HfN、TiN、TaN、BN、Si34などがあり、シリコンよりも高融点のホウ化物としては、例えば、HfB、TaB、ZrB、TiB、NbB、WB、VB、MoB、CrBなどがあり、シリコンよりも高融点のシリサイドとしては、例えば、WSi2、MoSi2、TiSi2などがある。
この発明によれば、前記保護膜を、スパッタ法、蒸着法、CVD法などの半導体製造プロセスで利用される一般的な薄膜形成法により形成することができる。
請求項1,2の発明では、発熱体層の材料として金を採用する場合に比べて、耐破壊電力が高くなり、高出力化を図れるという効果がある。また、請求項1,2の発明では、断熱層の酸化による出力低下を防止することができるとともに信頼性を向上させることができるという効果がある。
本実施形態の圧力波発生素子は、図1に示すように、支持基板1の一表面側に発熱体層3が設けられるとともに、支持基板1と発熱体層3との間に断熱層2が設けられ、支持基板1の上記一表面側において発熱体層3の両端部(図1における左右両端部)それぞれと接する一対のパッド4,4が設けられている。
ここにおいて、本実施形態の圧力波発生素子では、断熱層2が支持基板1の上記一表面側の所定領域に形成されるとともに、発熱体層3が断熱層2上で断熱層2の外周よりも内側に形成されており、支持基板1の上記一表面側で上記所定領域以外の部位に積層されたSiO2膜からなる絶縁膜5と、支持基板1の上記一表面側において発熱体層3と絶縁膜5との間に一部が介在し断熱層2の酸化を防止する保護膜6とを備えている。保護膜6は、断熱層2において発熱体層3が積層されていない部位の表面および絶縁膜5を覆うように形成されており、パッド4は発熱体層3上と保護膜6上とに跨る形で形成されている。
本実施形態の圧力波発生素子は、発熱体層3へ与える電気的な入力(発熱体層3へ印加する電圧または発熱体層3へ供給する電流)の波形に応じた発熱体層3の温度変化に伴って発熱体層3と空気との熱交換により圧力波を発生する。なお、支持基板1の外周形状は矩形状であって、断熱層2、発熱体層3それぞれの外周形状も矩形状に形成してある。
ところで、本実施形態では、支持基板1として単結晶のシリコン基板を用いており、断熱層2を多孔度が略70%の多孔質シリコン層により構成しているので、支持基板1として用いるシリコン基板の一部である上記所定領域をフッ化水素水溶液中で陽極酸化処理することにより断熱層2となる多孔質シリコン層を形成することができる。ここに、陽極酸化処理の条件(例えば、電流密度、通電時間など)を適宜設定することにより、断熱層2となる多孔質シリコン層の多孔度や厚みそれぞれを所望の値とすることができる。多孔質シリコン層は、多孔度が高くなるにつれて熱伝導率および熱容量が小さくなり、例えば、熱伝導率が148W/(m・K)、熱容量が1.63×10J/(m・K)の単結晶のシリコン基板を陽極酸化して形成される多孔度が60%の多孔質シリコン層は、熱伝導率が1W/(m・K)、熱容量が0.7×10J/(m・K)であることが知られている。なお、本実施形態では、上述のように断熱層2を多孔度が略70%の多孔質シリコン層により構成してあり、断熱層2の熱伝導率が0.12W/(m・K)、熱容量が0.5×10J/(m・K)となっている。
保護膜6は、シリコンよりも高融点のHfCにより形成してあるが、保護膜6の材料は、炭化物、窒化物、ホウ化物、シリサイドの群から選択される材料であり且つシリコンよりも高融点の材料を採用すればよく、シリコンよりも高融点の炭化物としては、TaC、HfC、NbC、ZrC、TiC、VC、WC、ThC、SiCなどが採用可能であり、シリコンよりも高融点の窒化物としては、HfN、TiN、TaN、BN、Si34などが採用可能であり、シリコンよりも高融点のホウ化物としては、HfB、TaB、ZrB、TiB、NbB、WB、VB、MoB、CrBなどが採用可能であり、シリコンよりも高融点のシリサイドとしては、WSi2、MoSi2、TiSi2などが採用可能である。なお、発熱体層3の材料については後述する。また、本実施形態の圧力波発生素子では、断熱層2の厚さを2μm、発熱体層3の厚さを50nm、各パッド4,4の厚さを0.5μmとしてあるが、これらの厚さは一例であって特に限定するものではない。
以下、本実施形態の圧力波発生素子の製造方法について簡単に説明する。
まず、支持基板1として用いるシリコン基板の他表面(図1(b)における下面)側に陽極酸化処理時に用いる通電用電極(図示せず)を形成した後、シリコン基板の一表面側に上記所定領域に対応した部分が開孔された絶縁膜5を形成し、シリコン基板の上記所定領域を陽極酸化処理にて多孔質化することで多孔質シリコン層からなる断熱層2を形成する陽極酸化処理工程を行う。ここにおいて、陽極酸化処理工程では、電解液として55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した混合液を用い、シリコン基板を主構成とする被処理物を処理槽に入れられた電解液に浸漬し、通電用電極を陽極、シリコン基板の上記一表面側に対向配置された白金電極を陰極として、電源から陽極と陰極との間に所定の電流密度の電流を所定時間だけ流すことにより多孔質シリコン層からなる断熱層2を形成している。
上述の陽極酸化処理工程の後、保護膜6を形成する保護膜形成工程、発熱体層3を形成する発熱体層形成工程、パッド4,4を形成するパッド形成工程を順次行い、最後にダイシング工程を行うことによって、圧力波発生素子が完成する。なお、保護膜形成工程、発熱体層形成工程、およびパッド形成工程では、例えば、各種のスパッタ法、各種の蒸着法、各種のCVD法などによって膜形成を行えばよく、パターニングは例えばリソグラフィ技術およびエッチング技術を適宜利用すればよい。
次に、発熱体層3の材料について検討した結果について説明する。
図1の構成の圧力波発生素子に関して、発熱体層3のうち圧力波を発生する部分の平面サイズを20mm□とし、発熱体層3の材料として下記表1に示した金属材料のうちAu、Pt、Mo、Ir、Wそれぞれを採用した圧力波発生素子を試作した。ただし、Auを採用した圧力波発生素子については、発熱体層3を断熱層2上の10nmのクロム膜と当該クロム膜上の40nmの金膜とで構成して、Pt、Mo、Ir、Wそれぞれを採用した圧力波発生素子では、発熱体層3を厚さが50nmで単一の金属材料からなる金属薄膜により構成してある。なお、表1の各数値は、日本金属学会編「金属データブック」(丸善株式会社、1984年1月30日発行、改訂2版)に基づく値である。
Figure 0004649929
試作した各圧力波発生素子について、発熱体層3への入力電力を種々変化させた場合の出力音圧を測定した結果を図2に示す。図2は、横軸を、周波数が30kHzの正弦波の電圧を入力としてピーク値を種々変化させた場合の入力電力のピーク値(最大入力)とし、縦軸を、発熱体層3の表面から30cmだけ離れた位置で測定した周波数が60kHzの超音波の音圧(出力音圧)としてある。
ここにおいて、発熱体層3の材料を、Au/Cr、Pt、Mo、Ir、Wそれぞれとした場合、最大出力音圧は、それぞれ、48Pa、150Pa、236Pa、226Pa、264Paであった。
上述の結果をまとめると下記表2のようになる。表2には、上記平面サイズを5mm□にしたと仮定した場合の最大出力音圧の換算値も併せて示してある。
Figure 0004649929
表2から、発熱体層3の材料として、PtまたはMoまたはIrまたはWを採用することにより、発熱体層3の材料として金を採用する場合に比べて、耐破壊電力が高くなり、高出力化を図れることが分かる。
ところで、圧力波発生素子から発生する圧力波の指向性を抑えて広い領域に超音波を放出させるには、上記平面サイズを小さくする必要があるが、発生音圧は上記平面サイズに比例するので、上記平面サイズを小さくしすぎると、音圧の絶対量が小さくなってしまう。
音源から発生した圧力波であって対象物にて反射された反射波を検出して対象物までの距離や方向を検出しようとすると、最低でも数Pa程度の音圧が必要であり、例えば、感度が数mV/Paのディテクタを用いて反射波を検出するには、音源から最低でも8Pa程度の音圧が得られる圧力波を出力させる必要がある。ここで、表2から分かるように、発熱体層3の材料として、Pt、Mo、Ir、Wを採用した圧力波発生素子では、上記平面サイズを5mm□としても、8Paを超える音圧が得られることが分かる。そこで、本願発明者らは、上記表1の各物理的性質について、Pt、Mo、Ir、WとAuとの相対的な大小関係を比較した結果、Pt、Mo、Ir、Wの全てについてAuとの大小関係が同じになる物理的性質としてヤング率が挙げられるという知見を得た。すなわち、Pt、Mo、Ir、Wそれぞれのヤング率はいずれも、Auのヤング率よりも高い値であり、Auのヤング率が88GPaであるのに対して、Pt、Mo、Ir、Wのヤング率はそれぞれ、170GPa、327GPa、570GPa、403GPaである。したがって、発熱体層3の材料として、ヤング率がPtのヤング率である170GPaを下回らない金属材料を用いることにより、発熱体層3の材料としてAuを採用する場合に比べて、耐破壊電力が高くなり、高出力化を図れる。
また、従来からJIS規格(JIS C 2524)において「電熱線及び帯の寿命試験方法」が規格化されており、この規格では、寿命試験を定格の1.2倍の出力で行うことが記載されているので、この寿命試験方法に準拠するとすれば、圧力波発生素子の音圧の定格を8Paとした場合、音圧を9.6Paとして寿命試験を行う必要がある。ここにおいて、上記平面サイズが5mm□の圧力波発生素子についてみれば、最大出力音圧が9.6Paよりも大きな圧力波発生素子における発熱体層3の材料は、Mo、Ir、Wであり、上記表1から、Mo、Ir、Wの全てについてPtとの大小関係が同じになる物理的性質として硬さ(ここでは、ビッカース硬度)が挙げられるという知見を得た。すなわち、Mo、Ir、Wそれぞれのビッカース硬度はいずれも、Ptのビッカース硬度よりも高い値であり、Ptのビッカース硬度が39Hvであるのに対して、Mo、Ir、Wそれぞれのビッカース硬度はそれぞれ、160Hv、200Hv、360Hvである。したがって、発熱体層3の材料として、ヤング率が170GPaを下回らず且つビッカース硬度が160Hvを下回らない金属材料を用いることにより、発熱体層3の材料としてAu,Ptを採用する場合に比べて、耐破壊電力が高くなって高出力化を図れ、しかも、信頼性を向上させることができる。
ここにおいて、Mo、Ir、Wのうち最大出力音圧が最小であったIrを用いた圧力波発生素子、最大であったWを用いた圧力波発生素子それぞれについて、初期駆動時の音圧を12Paとして数サンプルの寿命試験を行った結果を図3に示す。図3は、横軸が駆動回数、縦軸が音圧(出力音圧)であり、同図中のa1〜a5が発熱体層3の金属材料としてIrを用いたサンプルの連続駆動寿命特性、同図中のb1〜b3が発熱体層3の金属材料としてWを用いたサンプルの寿命特性を示している。なお、図3中の下向きの矢印は、b1〜b3それぞれが断線したタイミングを示している。
図3から、寿命特性で比較すれば、最大出力音圧が大きなWを用いた圧力波発生素子では最大駆動回数が8000万回であったのに対して、Irを用いた圧力波発生素子では全てのサンプルについて3億回駆動しても発熱体層3が断線せず音圧が安定していることが分かり、最大出力音圧が大きなWを用いた圧力波発生素子に比べて、Irを用いた圧力波発生素子の方がはるかに連続駆動寿命特性が優れていることが分かる。
圧力波発生素子の駆動条件として種々の条件が考えられるが、例えば、1秒間に1回、日中/夜間を問わず連続駆動するような製品の寿命を10年とすると、3億回程度の駆動回数保証が必要となる。ここで、上述のWを用いた圧力波発生素子では8000万回程度しか駆動できなかったのに対して、Irを用いた圧力波発生素子では、全てのサンプルについて3億6000万回まで駆動しても断線しないことが確認されている。連続駆動寿命特性に関して、発熱体層3の材料としてIrを用いた圧力波発生素子の方がWを用いた圧力波発生素子に比べて優れている要因としては、Wは高融点金属ではあるものの数百℃で酸化が起こりやすいのに対して、Irは貴金属であり、Wに比べて耐酸化性が高く発熱体層3の酸化を防止されることが考えられる。
なお、本実施形態の圧力波発生素子では、支持基板1の上記一表面側に上述の保護膜6を備えているので、断熱層2の酸化を防止することができ、断熱層2の酸化による出力低下を防止することができるとともに信頼性を向上させることができる。ここに、保護膜6の材料として、炭化物、窒化物、ホウ化物、シリサイドの群から選択される材料であって且つシリコンよりも高融点の材料を用いることにより、保護膜6を、スパッタ法、蒸着法、CVD法などの半導体製造プロセスで利用される一般的な薄膜形成法により形成することができる。
ところで、図1に示した例では、保護膜6が支持基板1の上記一表面側において発熱体層3を全周に亙って囲むように形成してあるが、図4に示すように、支持基板1の上記一表面側において発熱体層3の両端部(図4(b)における左右両端部)それぞれと絶縁膜5との間にパッド4,4の一部を介在させ、発熱体層3の周囲であってパッド4,4が形成されていない部位に上述の保護膜6を形成するようにしてもよい。この図4の構成を採用した場合には、各パッド4,4それぞれの一部および保護膜6により断熱層2の酸化を防止することができ、断熱層2の酸化による出力低下を防止することができるとともに信頼性を向上させることができる。
実施形態を示す概略断面図である。 同上の出力特性図である。 同上の寿命特性図である。 同上の他の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のA−A’断面図、(c)は(a)のB−B’断面図である。 従来例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 支持基板
2 断熱層
3 発熱体層
4 パッド
5 絶縁膜
6 保護膜

Claims (5)

  1. シリコン基板と当該シリコン基板の一表面側に設けられる発熱体層との間に多孔質シリコン層からなる断熱層が設けられ、前記発熱体層への通電による前記発熱体層の温度変化に伴って前記発熱体層と空気との熱交換により圧力波を発生する圧力波発生素子であって、前記発熱体層の材料として、ヤング率が170GPaを下回らない金属材料を用いてなり、前記断熱層が前記シリコン基板の前記一表面側の所定領域に形成されるとともに、前記発熱体層が前記断熱層上で前記断熱層の外周よりも内側に形成され、前記シリコン基板の前記一表面側で前記所定領域以外の部位に積層された絶縁膜と、前記シリコン基板の前記一表面側において前記発熱体層と絶縁膜との間に介在し前記断熱層の酸化を防止する保護膜とを備えることを特徴とする圧力波発生素子。
  2. シリコン基板と当該シリコン基板の一表面側に設けられる発熱体層との間に多孔質シリコン層からなる断熱層が設けられ、前記発熱体層への通電による前記発熱体層の温度変化に伴って前記発熱体層と空気との熱交換により圧力波を発生する圧力波発生素子であって、前記発熱体層の材料として、ヤング率が170GPaを下回らない金属材料を用いてなり、前記断熱層が前記シリコン基板の前記一表面側の所定領域に形成されるとともに、前記発熱体層が前記断熱層上で前記断熱層の外周よりも内側に形成され、前記シリコン基板の前記一表面側で前記所定領域以外の部位に積層された絶縁膜と、前記シリコン基板の前記一表面側で前記発熱体層の両端部それぞれと接する形で形成された一対のパッドとを備え、前記シリコン基板の前記一表面側において前記発熱体層の両端部それぞれと前記絶縁膜との間に前記パッドの一部が介在し、前記発熱体層の周囲であって前記パッドが形成されていない部位には前記シリコン基板の前記一表面側において前記発熱体層と絶縁膜との間に介在し前記断熱層の酸化を防止する保護膜が形成されてなることを特徴とする圧力波発生素子。
  3. 前記金属材料は、ビッカース硬度が160Hvを下回らない金属であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の圧力波発生素子。
  4. 前記金属材料は、貴金属であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧力波発生素子。
  5. 前記保護膜は、炭化物、窒化物、ホウ化物、シリサイドの群から選択される材料であって且つシリコンよりも高融点の材料により形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の圧力波発生素子
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