JP2003100152A - 透明導電積層体 - Google Patents
透明導電積層体Info
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Abstract
が形成されてなる透明導電積層体において、結晶化が容
易には起こらない透明導電積層体を提供することにあ
る。 【解決手段】 高分子基板上に透明導電膜が形成されて
なる透明導電積層体において、該透明導電膜は示差走査
型熱量計により毎分20℃の昇温速度で30℃から55
0℃まで走査したときに最大発熱温度が150〜300
℃の範囲にあることを特徴とする透明導電積層体。
Description
明導電膜が形成されてなる透明導電積層体に関し、さら
に詳しくは、高分子基板の上に非晶領域を持つ透明導電
膜を有する透明導電積層体に関する。
表示素子或いは薄膜太陽電池の電極部には、透明導電膜
が用いられている。また、一般にそのような透明導電膜
を有した基板にはガラスが用いられている。一方、近年
の携帯移動端末の急激な小型化・軽量化に伴って、透明
電極基板にも、さらなる軽量な部材が要求されている。
そのため、基板材料としては、ガラスに比べてより軽量
な透明高分子基板材料が用いられつつある。例えば、携
帯電話や情報携帯端末には、液晶表示素子としてフィル
ム液晶が用いられている。また、有機EL素子にもフィル
ム基板を用いより軽量で薄いディスプレイを形成しよう
とされている。
形成されてなる透明導電積層体は、かかるフィルム液晶
素子や有機EL素子への高次加工に際し様々な熱履歴を通
じた熱処理を受けている。特に、フィルム液晶素子にに
ついては、液晶セル加工工程において、150℃程度の
熱が透明導電膜にかかることがある。このような状況に
おいて、エッチング等の透明導電膜の加工性を保つため
には、透明導電膜が素子加工工程において受ける熱履歴
を通じた熱処理に対して、結晶化を起こさないことが必
要になってくる。これは、結晶化した透明導電膜のエッ
チング速度が、非晶質或いは非晶質と結晶質が混在した
透明導電膜のエッチング速度に比較して約1/10の速
さになってしまうことに起因している。
る透明導電積層体では、高分子基板の実用温度が高々2
00℃に満たないため、基板温度を通常ガラス上の透明
導電膜形成に用いられている200〜300℃といった
温度にできず、室温程度から100℃程度の低温にせざ
るを得ないという制約を背負いながらなされている。し
かし、非晶質或いは非晶質と結晶質が混在した透明導電
膜は、例えばエッチングといった加工性に富むため、そ
の必要性は非常に高い。よって、高温をかけられないと
いう基板温度に関する制約は、非晶質或いは非晶質と結
晶質が混在した状態の透明導電膜を形成する上では、む
しろ歓迎すべき制約であり、非晶質或いは非晶質と結晶
質が混在したような透明導電膜が形成されるという高分
子基板において特有の透明導電積層体を供給するのに適
したプロセスと考えることができる。
されてなる透明導電膜の望ましい状態は、その用途に強
く依存する。そのため、必ずしも結晶質な透明導電膜が
望ましいというわけではなく、非晶質が望まれることも
ある。しかし、非晶質或いは非晶質と結晶質が混在した
透明導電膜は、僅かな熱刺激に応答し結晶化を起こすも
のもある。即ち、非晶質という範疇にある透明導電膜
は、全く同じではなく、熱刺激に対する応答性を異にし
ていることがわかってきた。しかし、このような非晶質
の差異を決定付ける要因が何であるかは、係る現在にお
いても不明である。
されたIn−Sn−O系透明導電膜の結晶化温度は、電
気抵抗の不可逆な変化が起こる温度をもって、結晶化温
度と呼んでいるようである。しかし、この方法は、抵抗
値の観測により求められているにすぎず、本質的な膜の
熱挙動を解析したものとは言い難い。そして、そのため
に、透明導電膜の使用形態が限定されていることも事実
であり、予期せぬ工程不良を発生させる原因となってい
ると考えられる。
板上に透明導電膜を形成する際の基板の温度は、ガラス
基板上に透明導電膜を通常200〜300℃で形成する
ときとは大きく異なり、熱的に制約されるため通常、室
温以下程度から、高分子基板の軟化点温度程度の範囲が
用いられている。そのような低温基板上に形成された透
明導電膜は非晶質膜或いは非晶質と結晶質が混在した膜
となっている。特に、非晶質な透明導電膜は、X線回折
のような巨視的構造に関する検討を行っても、所謂ハロ
ーと呼ばれる線幅の広い回折線を与えるのみであり、種
々のプロセスパラメーターを変化させ、例えば抵抗値に
代表される電気的特性が大きく異なる膜を作製したとし
ても、同様なハローを与えるに過ぎず、構造的には全く
等価な状態になっていると評価されてしまう。そのた
め、各種素子の製造工程での透明導電膜の状態の見極め
が困難であった。
高分子基板上に透明導電膜が形成されてなる透明導電積
層体において、結晶化が容易には起こらない透明導電積
層体を提供することにある。即ち、ある温度での熱量の
供給に対する挙動が明確な透明導電膜を有する透明導電
積層体を提供することにある。そして、これは、非晶質
という構造が不確定で非晶質という以外に分類のできな
かった透明導電膜の状態を熱力学的な手法により明確に
分類しようとするものである。より具体的には、高分子
基板の軟化点温度以下の熱処理により、非晶から結晶へ
の構造転移を起こし難い透明導電膜を形成してなる透明
導電積層体を供給することにある。
が室温程度で形成された非晶質或いは非晶質と結晶質が
混在するような透明導電膜を有する透明導電積層体につ
いて、その熱力学的な特性について示差走査型熱量計を
用いて鋭意検討した結果、透明導電膜の熱力学的な特性
が透明導電膜の製造条件によって変化することにより、
特に熱処理に伴う構造相転移の転移温度特性に対して大
きな違いを生じていることを見出した。これは以下のよ
うなメカニズムに基づくものである。
は、高分子基板が充分な耐熱性を有さないために、ガラ
ス上に結晶性の良好な透明導電膜を形成するために必要
な200℃以上の温度に加熱することは通常困難であ
る。透明導電膜を高分子基板の軟化点温度以下で形成し
た場合、その構造は殆どが非晶質である。あるいは、非
晶質と結晶質が混在した状態である。非晶質透明導電膜
の構造特性は、代表的な構造解析手法であるX線回折に
よれば、ハローと呼ばれるブロードな回折線を与えるの
みである。よって製造条件を変調した際の非晶質の状態
が同じなのか、異なっているのかはこの手法ではわから
ない。
る透明導電積層体は、各種素子に加工される際に、高分
子基板の軟化点温度を超えない程度の様々な熱履歴を受
けることがわかっている。このとき、透明導電膜は受け
る熱履歴を通じた熱処理によって、結晶化を起こすこと
がある。即ち、非晶から結晶への構造相転移が起こって
しまうのである。しかし、電極加工工程では、このよう
な構造相転移がエッチング残渣として、工程トラブルの
原因になりやすい。そして、このような状態の変化は、
工程を想定した一定温度での熱処理による透明導電膜の
抵抗値の変化や、さらには高分子基板の反り量の変化に
よって、間接的に評価されているのが現状である。これ
は、非晶質という状態が、まったく同じ状態であるとい
うことではなく、異なった状態になっているということ
を示している。本発明者らは、製造条件の違いに起因す
る非晶質或いは非晶質と結晶質が混在した透明導電膜間
の違いを解明することこそが、素子加工に際し繰り返し
再現性を与える高分子基板上に透明導電膜を有する透明
導電積層体を供給する方法であると考えた。
ず、非晶質透明導電膜の差異について具体的に解析した
例は見当たらず、特に透明導電膜の熱力学的な特性の直
接的な観測を示差走査型熱量計で実施したという報告は
無い。
的構造が非晶質或いは非晶質と結晶質が混在した状態で
ある透明導電膜において、外部からの熱刺激に対してそ
の応答の程度を定量的に解析した。そして透明導電膜の
熱的な特性を詳細に検討することにより、高分子基板か
らなる透明導電積層体を用いた各種素子形成過程に使用
される温度領域において、透明導電膜がどのような状態
にあるかを判断するのに有効な知見を得た。さらに、示
差走査型熱量計において特定の条件で測定したときの発
熱量及び最大発熱温度を示す透明導電膜が、外部からの
熱刺激に対して反応し難い即ち、結晶化を起こし難いも
のであることを見出し、本発明を完成するに至った。
が形成されてなる透明導電積層体において、該透明導電
膜は示差走査型熱量計により毎分20℃の昇温速度で3
0℃から550℃まで走査したときに最大発熱温度が1
50〜300℃の範囲にあることを特徴とし、該透明導
電膜は示差走査型熱量計により毎分20℃の昇温速度で
30℃から550℃まで走査したときに発熱量が10〜
140J/gの範囲であることを特徴とする透明導電積
層体である。また、該透明導電膜が酸化インジウムを主
とし、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化チタン及
び酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる1種以上の
酸化物を含むことを特徴とし、該透明導電膜の厚さが1
0〜350nmであることを特徴とする透明導電積層体
である。
て順次説明していく。
分子基板の少なくとも一方の面上に透明導電膜が形成さ
れてなるものである。係る透明導電膜は、酸化インジウ
ムを主とし、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化チ
タン及び酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれてなる
1種以上の酸化物を含むことを特徴としている。より具
体的には、酸化インジウムの80〜98重量%に対し
て、2〜20重量%の酸化錫、酸化亜鉛、酸化ガリウ
ム、酸化チタン及び酸化ゲルマニウムからなる群より選
ばれてなる1種以上の酸化物を含むものである。
例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,
6ナフタレートといったポリエステル系高分子、ポリオ
レフィン系高分子や、ポリカーボネイト、ポリエーテル
スルホン、ポリアリレート等の単一成分の高分子、ある
いは光学的機能または熱力学的機能を付与するために、
これらの高分子に第二、第三成分を共重合した、共重合
高分子を用いることができる。
有する透明性が良好なポリカーボネイトが望ましい。
ば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを挙げることがで
きる。
即ちかかるポリカーボネイトは共重合ポリカーボネイト
でもブレンド体でもよい。
の高分子体をブレンドした高分子を用いることもでき
る。さらには、多層の共押出し高分子フィルムを用いる
こともできる。
0.4mmのものを使用することができるが、0.1〜
0.2mm程度が液晶等の光学用途としては視認性の観
点より望ましい。また、0.01mm程度の高分子基板
に形成した後、厚い高分子フィルムに貼り合わせても構
わない。
のが好ましく、リターデーデョンが30nm以下、好ま
しくは15nm以下のものが好適である。
の少なくとも一方の面に形成される透明導電膜との密着
性の向上、高分子基板の耐久性の向上或いは、高分子基
板のガスバリア能を向上させるために、高分子基板と透
明導電膜との間、及び/または高分子基板の電極として
用いられる透明導電膜が形成された面とは反対の面に、
少なくとも一層以上からなるコーティング層を有してい
ても構わない。このコーティング層は、無機物または有
機物またはそれらの複合材料からなり、その膜厚は好ま
しくは0.01〜20μmである。より望ましくは、1
0μm程度に抑制されることが望ましい。コーティング
層の形成にはコーターを用いた塗布法や、スプレー法、
スピンコート法、インラインコート法等が用いられるこ
とが多いが、この限りではない。また、スパッタ法、蒸
着法といった、PhysicalVapor Depo
sition(以下PVD)、Chemical Va
por Deposition(以下CVD)の手法が
用いられても構わない。コーティング層としては、アク
リル系樹脂、ウレタン系樹脂、UV硬化系樹脂、エポキ
シ系樹脂等の樹脂成分やこれらとアルミナ、シリカ、マ
イカ等の無機粒子の混合物が使われても良い。或いは、
高分子基板を二層以上の共押し出しによりコーティング
層の機能を持たせても構わない。PVD、CVDの手法
では、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪
素、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化錫、酸化イン
ジウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化
物や、窒化珪素、窒化チタン、窒化タンタル等の窒化
物、酸化窒化珪素のような酸窒化物、あるいは、弗化マ
グネシウム、弗化カルシウム等の弗化物を単体あるいは
混合したものを形成して用いることができる。このよう
なコーティング層を有する透明導電積層体は、光学特性
としてレターデーションが低く、尚且つ透過率が高いこ
とが望ましい。無論、PVD、CVDの手法で形成され
るコーティング層の下地には、密着性の向上や透過率の
調整、各種耐久性の向上のために、各種有機材料・無機
材料、それらの混合体が用いられても良い。
は、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネト
ロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空
蒸着法、パルスレーザーデポジション法、これらを複合
した形成法等を用いることができるが、大面積に対して
均一な膜厚の透明導電膜を形成するという工業生産性に
着目すると、DCマグネトロンスパッタリング法が望ま
しい。
インジウムを主成分とする焼結ターゲットを用いること
が望ましいが、金属Inを主成分とする合金ターゲット
を用いて、反応性スパッタ等の手法を用いても構わな
い。
てDCマグネトロンスパッタリング法により上記透明導
電膜を製膜する場合は、該透明導電膜を製膜する真空槽
中の圧力を一旦1.3×10-4Pa以下とし、次いで不
活性ガス及び酸素を導入する製造方法にて形成すること
ができる。透明導電膜を製膜する真空槽中の圧力は一旦
1.3×10-4Pa以下にすることが、真空槽中に残留
し、且つ透明導電膜の特性に影響を与えることが懸念さ
れる分子種の影響を低減できるので望ましい。より望ま
しくは、5×10-5Pa以下、さらに望ましくは2×1
0-5Pa以下である。
e、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子
量の大きな不活性ガスほど形成される膜へのダメージが
少なく表面平坦性が向上すると言われている。しかし、
コスト面から考えてArが望ましい。この不活性ガスに
は膜中に取り込まれる酸素濃度を調整するために、分圧
に換算して1.3×10-4〜7×10-2Pa台の酸素を
添加しても構わない。さらに、酸素の他にO3、N2、N
2O、H2O、NH3等を目的に応じて用いることができ
る。
真空槽中の水の分圧を1.3×10 -4Pa以下とし、次
いで不活性ガス及び酸素を導入する製造方法にて形成す
ることができる。水の分圧は、より望ましくは、4×1
0-5Pa以下、さらに望ましくは2×10-5Pa以下に
制御できる。しかし、非晶質の状態を変化させるため
に、水を意図的に1.3×10-4〜3×10-2Paの範
囲で導入しても構わない。この調整は、一旦真空を形成
した後に、バリアブルリークバルブやマスフローコント
ローラーを用いて水を導入することで行っても良い。ま
た、真空槽の背圧を制御することによっても実施するこ
とができる。
は、差動排気型のインプロセスモニターを用いても良
い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa台の
圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用い
ても良い。また、一般的に、1.3×10-5Pa程度の
真空度においては、その圧力を形成しているのは水であ
る。よって、真空計によって計測された値をそのまま水
分圧と考えても構わない。
め、基板温度を当該高分子基板の軟化点温度より上昇さ
せることはできない。よって、透明導電膜を形成するた
めには、高分子基板の温度は室温以下程度から軟化点温
度以下とする必要がある。代表的な高分子基板であるポ
リエチレンテレフタレートの場合、特別な処理を行わな
いときは基板温度を80℃以下の温度に保ったまま導電
膜を形成することが望ましい。より望ましくは50℃以
下の基板温度にて、さらに望ましくは20℃以下であ
る。
れる。しかし、可撓性が悪化するため、350nm以上
の透明導電膜を有することは望ましくない。また、10
nm以下の膜厚では、不連続な膜となってしまうことが
懸念され、透明導電膜としての機能が著しく悪化する。
よって、本発明の透明導電膜の膜厚は用途に応じて10
〜350nmとすることが望ましい。例えば、液晶表示
素子用の場合は30〜330nm程度が望ましい。
TA instruments社製DSC2920Mo
dulated DSCを用いて解析した。熱特性の計
測は30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速度で測
定した。また、試料はアルミニウムのパンに入れて測定
した。この際、試料の重量は2〜20mgとし、マイク
ロ天秤にて1μgのオーダーまで計測した。また、測定
時のリファレンスには空のアルミニウムパンを用いた。
DSC2920Modulated DSCは熱流速型の
測定装置であるため、窒素ガスを50cc毎分セル内に
流した。
ら分離し採取する。その方法としては、鋭利な刃物で、
注意深く削り落とす方法や、化学的な処理をする方法が
挙げられる。化学的な処理方法としては、クロロホル
ム、メチレンクロライド、オルソクロロフェノール、ヘ
キサフルオロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸等の
溶媒に高分子基板を溶解させ、次いでガラスフィルター
で不溶物として残る透明導電膜を濾過し試料として用い
ることができる。試料の採取に当たっては、溶媒に不溶
の成分を目の粗いフィルターで濾過し、透明導電膜のみ
を別のガラスフィルターで濾過するといった手法が適切
である。
ば図1に示すような示差走査型熱量計のプロファイルが
計測される。TA instruments社製DSC
2920Modulated DSCにおいては、試料
から発熱が起こる場合に、熱量が図1における縦軸He
at Flowの増大として観測されるようになってい
る。
は、図1に矢印で示したような、発熱量が極大を迎え、
その後発熱量が減少する、所謂ピーク形状において最も
発熱量が最も大きい温度として定義している。
50〜300℃の範囲に有する。より好ましくは、17
0〜250℃の範囲に有する。また、発熱の開始は、1
00℃以上が好ましいものの、必ずしもこの限りではな
い。このような膜は、130℃程度の熱処理では、結晶
化を起こさせるために、1時間以上の長い時間が必要で
あることがわかった。
ないものの、300〜400℃の範囲に発熱の極大を有
するDSCチャートが得られている。これは、150〜
300℃に現れるピークとは物理的意味が異なり、透明
導電膜の結晶化のみならず酸化されることに由来するピ
ークである。300〜400℃という温度は、一般にガ
ラス基板上に形成されてなる透明導電膜を熱処理すると
きに用いられている温度である。ガラス基板上に形成さ
れてなる透明導電膜を完全に結晶へ相転移させるために
は、300〜400℃の温度が必要であることを示唆し
ていると考えられる。
度で、示差走査型熱量計で30℃から550℃の範囲を走査
したときに、図1に図示したようなベースライン11に
よって囲まれた発熱が開始する温度から450℃程度の
温度範囲におけるピーク状のプロファイルの面積として
定義される。そして、発熱量が10〜140J/gの範囲
であること、より好ましくは、30〜140J/gである
ことが好ましい。10J/gより小さい発熱量では、結晶
化が130℃程度の温度で容易に起こってしまう可能性が
ある。また、140J/gより大きい発熱量では、結晶化
は起こり難いものの、抵抗値の制御がやや困難になる傾
向にある。
成工程における熱履歴によって、容易には結晶化しない
のみならず、非晶質透明導電膜に特有の表面平坦性が確
保されている。したがって、液晶表示素子を鑑みた場
合、並びに有機EL素子を鑑みた場合、特に優れた加工性
能を発揮できる。
限されるものではない。
-5Paとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活
性ガスとして、Arを導入し、全圧を0.4Paとし
た。四重極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入
する前の水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背
圧と同じであった。酸素分圧は4.6×10-3Paであ
った。
らなる焼結ターゲットに1W/cm 2の電力密度でDC
マグネトロンスパッタリング法により、基板温度5℃、
0.1mm厚みのポリカーボネイト基板上へ、330n
mの膜厚の透明導電膜を形成し透明導電積層体を製造し
た。
ンクロライドに浸積しポリカーボネイト基板を溶解さ
せ、残った透明導電膜をガラスフィルターにて濾過し採
取した。
計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速度で測
定したところ、図1に示すように発熱は80℃から始ま
った。また、最大発熱温度は260℃であった。また、
発熱量は22J/gであった。
たところ、透明導電体は4時間後にも、ほとんど結晶化
を起こしていなかった。
-5Paとし、反応ガスとして酸素を導入せず、不活性ガ
スとしてArを導入し、全圧を0.4Paとした。四重
極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入する前の
水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背圧と同じ
であった。
らなる焼結ターゲットに1W/cm 2の電力密度でDC
マグネトロンスパッタリング法により、基板温度5℃、
0.1mm厚みのポリカーボネイト基板上へ、330n
mの膜厚の透明導電膜を形成し透明導電積層体を製造し
た。
ンクロライドに浸積しポリカーボネイト基板を溶解さ
せ、残った透明導電膜をガラスフィルターにて濾過し採
取した。
計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速度で測
定したところ、発熱が80℃から始まった。最大発熱温
度は240℃となっていた。また、発熱量は36J/gで
あった。この積層体は、実施例1と同様の熱処理におい
て透明導電体は4時間後にも、ほとんど結晶化を起こし
ていなかった。
-3Paとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活
性ガスとして、Arを導入し、全圧を0.4Paとし
た。四重極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入
する前の水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背
圧と同じであった。酸素分圧は2.7×10-3Paであ
った。
らなる焼結ターゲットに1W/cm 2の電力密度でDC
マグネトロンスパッタリング法により、基板温度5℃、
0.1mm厚みのポリカーボネイト基板上へ、330n
mの膜厚の透明導電膜を形成し透明導電積層体を製造し
た。
ンクロライドに浸積しポリカーボネイト基板を溶解さ
せ、残った透明導電膜をガラスフィルターにて濾過し採
取した。
計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速度で測
定したところ、発熱が110℃から始まった。最大発熱
温度は200℃であった。また、発熱量は130J/gで
あった。この積層体は、実施例1と同様の熱処理におい
て透明導電体は4時間後にも、ほとんど結晶化を起こし
ていなかった。
-5Paとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活
性ガスとして、Arを導入し、全圧を0.4Paとし
た。四重極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入
する前の水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背
圧と同じであった。酸素分圧は2.7×10-3Paであ
った。
らなる焼結ターゲットに1W/cm 2の電力密度でDC
マグネトロンスパッタリング法により、基板温度5℃、
0.1mm厚みのポリカーボネイト基板上へ、330n
mの膜厚の透明導電膜を形成し透明導電積層体を製造し
た。
ンクロライドに浸積しポリカーボネイト基板を溶解さ
せ、残った透明導電膜をガラスフィルターにて濾過し採
取した。
計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速度で計
測したところ、発熱が80℃から始まった。また、最大
発熱温度は130℃であった。発熱量は18J/gであっ
た。なお、この積層体は、実施例1と同様の熱処理にお
いて1時間以内に結晶化した。
高分子基板上に低温プロセスにて形成した非晶質、或い
は、非晶質と結晶質が混在した透明導電膜を有する透明
導電積層体において、熱処理に対し、例えば100〜1
50℃程度の温度による熱処理により容易に結晶化を起
こし難い透明導電膜を有する透明導電積層体を供給する
ことができる。そして、本発明による透明導電積層体
は、エッチング工程を含む液晶表示素子形成や有機EL
素子形成に好適である。
測定図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 高分子基板上に透明導電膜が形成されて
なる透明導電積層体において、該透明導電膜は示差走査
型熱量計により毎分20℃の昇温速度で30℃から55
0℃まで走査したときに最大発熱温度が150〜300
℃の範囲にあることを特徴とする透明導電積層体。 - 【請求項2】 透明導電膜は示差走査型熱量計により毎
分20℃の昇温速度で30℃から550℃まで走査した
ときに発熱量が10〜140J/gの範囲にあることを
特徴とする請求項1記載の透明導電積層体。 - 【請求項3】 透明導電膜が酸化インジウムを主とし、
酸化錫、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化チタン及び酸化
ゲルマニウムからなる群より選ばれる1種以上の酸化物
を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の透明導電
積層体。 - 【請求項4】 透明導電膜の厚さが10〜350nmで
あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
透明導電積層体。
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