JP2003100153A - 透明導電積層体 - Google Patents

透明導電積層体

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JP2003100153A
JP2003100153A JP2001288626A JP2001288626A JP2003100153A JP 2003100153 A JP2003100153 A JP 2003100153A JP 2001288626 A JP2001288626 A JP 2001288626A JP 2001288626 A JP2001288626 A JP 2001288626A JP 2003100153 A JP2003100153 A JP 2003100153A
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JP
Japan
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inorganic barrier
barrier film
transparent
transparent conductive
transparent inorganic
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Application number
JP2001288626A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Hara
寛 原
Yuuji Tamura
優次 田村
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、高分子を基板とした水蒸気
バリア性に優れた透明導電積層体を提供することにあ
る。 【解決手段】 高分子基板の少なくとも一方の面に透明
無機バリア膜が形成された透明積層体の少なくとも片方
の面に透明導電膜が形成されてなる透明導電積層体にお
いて、該透明無機バリア膜は示差走査型熱量計により毎
分20℃の昇温速度の30℃から550℃まで走査した
ときに、吸熱量が100J/g以下であることを特徴と
する透明導電積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子基板の少な
くとも一方の面に透明無機バリア膜及び透明導電膜を有
してなる透明導電積層体に関する。さらに詳しくは、水
の浸入を嫌う電子デバイスに好適で、中でも、有機発光
ダイオードの基板として好適な透明導電積層体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】各種表示素子に代表される電子デバイス
は、近年の携帯移動端末の急激な小型軽量化のトレンド
に伴って、当該デバイスの要素部品にも軽量化が望まれ
ている。そのため、要素部品として高分子材料を基材と
した高分子積層体が用いられることが多くなってきた。
一方で、電子デバイスの基板として高分子積層体を用い
ることを鑑みた場合、高分子基板が、従来用いられてい
るガラス基板に対して著しく透湿度の高いことが、その
応用範囲を狭めている根源的な問題として顕在化してい
る。より具体的には、液晶表示素子の場合、水蒸気バリ
ア性が良好でない場合には、最終的な液晶セルの信頼性
が芳しくなくなると言われている。また、有機発光ダイ
オードの場合には、当該有機発光材料が水の存在によ
り、発光効率を著しく低減させる、或いは発光寿命を短
時間化させると言われている。さらにダークスポットの
発生・成長といったことが起こると言われている。この
ため、素子中に水を取り込まない或いは取り込ませない
ような水蒸気バリア能を持った高分子基板よりなる透明
導電積層体が望まれている。
【0003】高分子基板よりなる透明導電積層体に水蒸
気バリア能を付与するためには、例えば金属膜を蒸着等
の薄膜形成技術によって形成することがなされている。
しかし、金属薄膜は、金属反射の影響のために、高い透
明性を維持することができない。また、透明性を維持す
るためには、水蒸気バリア機能を喪失する程度(1〜3
nm)の膜厚しか許されないというトレードオフの関係
となる。よって、高分子基板よりなる透明導電積層体の
ようにその透明性が重要視されるような電子デバイス用
部材を供給するためには、金属膜による水蒸気バリア性
の付与では、その目的を達成し得ないと考えることがで
きる。そのため、透明性に優れる金属酸化物・窒化物・
酸窒化物を水蒸気バリア機能の付与のために形成するこ
とがなされている。
【0004】また、電気デバイスの劣化には酸素透過量
が小さいことも重要であるが、酸素透過量は水蒸気透過
量に比べて遥かに小さい値であることは、酸素透過量の
検出単位にcc/m2・day・atmを用いているこ
とと、水蒸気透過量の検出単位にg/m2・day・a
tmを用いていることから容易に知ることができる。こ
のことより、酸素透過量は小さいことが望ましいが、よ
り電気デバイスの劣化に寄与している水蒸気透過量を抑
制することが、高分子を基板として用いた透明導電積層
体には必要になる。
【0005】ところで、金属酸化物等により、水蒸気バ
リア機能を高分子基板に付与する場合、その性能の評価
は水蒸気透過量を測定してなされている。水蒸気透過量
は、モダンコントロール社製のPermatran−W
等(以下MOCON法)により実施されることが多い。
これは、MOCON法が加圧をしない所謂等圧法で実施
されるのに対して、他の水蒸気透過量測定手法が、圧力
勾配下におけるガス透過量を測定するという方法をとっ
ているため、データの精度においてMOCON法が優位
な立場にあることに由来している。
【0006】電子デバイスが水を嫌うという事実が存在
し、その水をさえぎるための透明無機バリア膜が透明導
電積層体には重要であることは明らかであるが、水蒸気
透過量を規定する物理要因については明確には解明され
ていないのが現状である。このような背景により、透明
無機バリア膜のクオリティーはMOCON法による水蒸
気透過量のみで評価するのではなく、何らかの他の指標
を導き出すことが望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】水蒸気透過量のアレニ
ウスプロットにおける頻度因子が、ポテンシャル中での
鞍点を超えるための試行回数であるならば、透明無機バ
リア膜の構造欠陥を頻度因子の評価において実施できる
が、頻度因子の物理的意味は、統計物理学的に系内すべ
ての原子の基準振動数によって決まる量であって、原子
ジャンプが原子間の相互作用を反映した多体問題である
と説明されている。よって、頻度因子が単純な試行回数
でないことは明らかであり、頻度因子と構造欠陥を相関
付ける物理的根拠はなにもない。即ち、MOCON法か
らはガス透過量と透明無機バリア膜の化学ポテンシャル
を与えることができるが、それ以外の物性についてなに
も知ることができないのである。ところが、最近、透明
導電積層体を電気デバイスとして用いる際には、実際の
機能として水蒸気透過量以外に、透明無機バリア膜と水
との親和性が重要な機能であることがわかってきた。
【0008】この考え方は、透明無機バリア膜がX線回
折において所謂ハローと呼ばれる幅の広い回折線を与え
るに過ぎないという、構造差を求めにくいことにも由来
している。通常透明無機バリア膜として用いられている
材料である酸化珪素等を結晶化するためには、高分子基
板の実用的な温度範囲を遥かに超えたような温度におい
て形成しなければならないからである。このため、高分
子基板上には、非晶質な透明無機バリア膜が形成され、
結晶質な透明無機バリア膜を形成することは非常に困難
であり、構造的差異を観測しうる透明無機バリア膜を形
成することが、かなり困難であるからである。無論、何
らかの触媒的な作用を用いることによりこれを実施する
ことは不可能ではないと思われるが、100℃程度にて
気相を用いたPVD(Physical Vapour
Deposition)法やCVD(Chemical
Vapour Deposition)法では、今のと
ころ難しい。
【0009】本発明の目的は、高分子を基板とした水蒸
気バリア性に優れた透明導電積層体を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高分子基
板上に透明導電膜を設けてなる透明導電積層体の水蒸気
バリア性を高めるために、透明無機バリア膜を設けるこ
とを検討した。そして、透明無機バリア膜が、水蒸気を
通過させないためには、次の2つの要件が必要になると
考えた。1つは、水蒸気を透明無機バリア膜中に取り込
ませないこと、もう1つは、水蒸気を通過させないこと
である。ところが、膜の組成が決定されると化学ポテン
シャルが、ほぼ決定されるので水蒸気を通過させないと
いう観点における透明無機バリア膜のバリア機能は、化
学組成にてほぼ決定されてしまう。しかし、水蒸気を取
り込ませないということは、かかる膜が空気と接する表
面及び係る膜とその下の層、例えば高分子基板との界面
の問題であるので、これら表面及び界面の水に対する親
和性を制御することが重要と考えた。水との親和性は、
透明無機バリア膜に到達した水蒸気を積極的に膜中に受
け入れるか、それとも表面で膜中への水蒸気の浸入を防
ぐのかという透明無機バリア膜の表面の問題と関連付け
たものである。水蒸気透過量から観測される化学ポテン
シャルの差は、透明無機バリア膜の組成が決定付けてい
るのに対して、水蒸気透過の動的過程のイニシエーショ
ンともいえる界面・表面との関係は明らかでなく、今ま
での透明無機バリア膜の評価において見落とされていた
現象である。
【0011】本発明者らは、高分子基板上に形成された
透明無機バリア膜について、その熱力学的な特性を示差
走査型熱量計によって鋭意検討した結果、透明無機バリ
ア膜の水に対する親和性を吸着水の脱離挙動によって評
価できることを見出した。そして、吸着水が脱離する際
の吸熱量を小さくし、吸熱ピークの極小温度を低くする
ような透明無機バリア膜が、水との親和性が低く、なお
かつ驚くべきことに水蒸気透過量も抑制できるような透
明無機バリア膜であることを見出した。そして、そのよ
うな透明無機バリア膜が形成され、且つ透明導電膜が形
成されてなる透明積導電層体が電子デバイスとしても有
効であることを見出した。
【0012】即ち、本発明は高分子基板の少なくとも一
方の面に透明無機バリア膜が形成された透明積層体の少
なくとも片方の面に透明導電膜が形成されてなる透明導
電積層体において、該透明無機バリア膜は示差走査型熱
量計により毎分20℃の昇温速度の30℃から550℃
まで走査したときに、吸熱量が100J/g以下である
ことを特徴とし、該透明無機バリア膜は示差走査熱量計
により毎分20℃の昇温速度の示差走査熱量計で30℃
から550℃まで走査したときに、吸熱を示すピークの
極小温度が120℃以下であることを特徴とする透明導
電積層体である。また、該透明無機バリア膜が、珪素、
アルミニウム、タンタル及びチタンよりなる群より選ば
れてなる金属の少なくとも1種以上の酸化物、窒化物な
らびに酸窒化物からなる群から選ばれる少なくとも一種
の金属化合物を含むものであり、透明積層体における水
蒸気透過量が15g/m2・day・atmの範囲であ
ることを特徴としている。そして、該透明導電膜が、I
n、Sn及びZnからなる群より選ばれる少なくとも2
種類以上の金属酸化物からなり、透明無機バリア膜の厚
さが5〜200nmである透明導電積層体である。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て順次説明していく。
【0014】本発明に使用される透明導電積層体は、高
分子基板の少なくとも一方の面に透明無機バリア膜が形
成された透明積層体の少なくとも片方の面に透明導電膜
が形成されてなるものである。係る透明無機バリア膜
は、珪素、アルミニウム、タンタル及びチタンよりなる
群より選ばれてなる酸化物または窒化物または酸窒化物
からなら金属化合物を含む。酸化物、窒化物、酸窒化物
は2種以上組み合わせてもよい。代表的酸化物は、Si
Ox(1≦x≦2)、AlOy(0.75≦y≦1.
5)、TaOz(1.25≦z≦2.5)、TiOw
(1≦w≦2)である。また、代表的窒化物は、SiN
x’(0.65≦x’≦1.33)やAlNy’(0.
5≦y’≦1)である。また、代表的酸窒化物は、Si
Ox”Ny”(0<x”<2、0<y”<1.33かつ
0<x”+y”<2))や、SimAlnOz’Nw’
(0<m<1、0<n<1かつ0<m+n<1そして0
<z’<2、0<w’<1.33かつ0<z’+w’<
2)である。
【0015】これらの酸化物、窒化物、酸窒化物は本発
明における形成法で作成した場合、酸素量、窒素量が化
学量論組成からはずれることが多い。即ち酸素量、窒素
量に若干量の過不足が生じていることがある。また、窒
素量、酸素量は用途や水蒸気バリア性の違いやコストに
応じて適宜変更することが望ましい。
【0016】上記透明無機バリア膜は珪素、アルミニウ
ム、タンタル又はチタンから主としてなり、30原子%
以下で例えばMgF2、CaF2等の金属フッ化物を含ん
でいてもよい。
【0017】上記透明無機バリア膜は、透過率が80%
以上と高いことが望ましいが、用途によっては若干の着
色があっても構わない。
【0018】本発明に使用される高分子基板としては、
例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,
6ナフタレートといったポリエステル系高分子、ポリオ
レフィン系高分子や、ポリカーボネイト、ポリエーテル
スルホン、ポリアリレート等の単一成分の高分子、ある
いは光学的機能または熱力学的機能を付与するために、
これらの高分子に第二、第三成分を共重合した、共重合
高分子を用いることができる。
【0019】特に、光学用途にはビスフェノール成分を
有する透明性が良好なポリカーボネイトが望ましい。
【0020】かかるビスフェノール成分としては、例え
ば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを挙げることがで
きる。
【0021】これらは2種類以上組み合わせてもよい。
即ち係るポリカーボネイトは共重合ポリカーボネイトで
もブレンド体でもよい。
【0022】さらに、新規機能を発現させるために複数
の高分子をブレンドした高分子を用いることもできる。
さらには、多層の共押出し高分子フィルムを用いること
もできる。
【0023】また、高分子基板の厚みは、0.01〜
0.4mmのものを使用することができるが、0.1〜
0.2mm程度が液晶等の光学用途としては視認性の観
点より望ましい。また、0.01mm程度の高分子基板
に形成した後、厚い高分子フィルムに貼り合わせても構
わない。
【0024】さらに高分子基板は光学等方性が優れるも
のが好ましく、リターデーデョンが30nm以下、好ま
しくは15nm以下のものが好適である。しかし、光学
等方性が必要でないような用途には、ポリエチレンテレ
フタレートやポリエチレンナフタレートといった安価な
高分子基板が望ましい。ただし、ポリエチレンテレフタ
レートやポリエチレンナフタレートは、フィルムの巻き
取りを容易に行うために、フィルム中にフィラーと呼ば
れる微粒子が混入されている。よって、電子デバイスに
適応するようなガスバリア性を必要とするときには、フ
ィラーが無いポリエチレンテレフタレートやポリエチレ
ンナフタレートを用いることが望ましい。無論、フィラ
ーによる凹凸をコーティング層等の後加工で埋め、表面
平坦性を確保できるなら、フィラーの入ったポリエチレ
ンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを基板材
料にした、水蒸気バリア性に優れる透明導電積層体を形
成することは十分可能である。
【0025】本発明の透明導電積層体は高分子基板と、
その少なくとも一方の面に形成される透明無機バリア膜
との密着性の向上、高分子基板の耐久性の向上或いは、
高分子基板の光学特性を向上させるために、高分子基板
と透明無機バリア膜との間、及び/または透明無機バリ
ア膜の上に、少なくとも一層以上からなるコーティング
層を有していても構わない。さらに、最外層に形成され
てなる透明導電膜の密着性の向上を目的とした、少なく
とも一層以上からなるコーティング層を有していても構
わない。このコーティング層は、無機物または有機物ま
たはそれらの複合材料からなり、その膜厚は好ましくは
0.01〜20μmである。より望ましくは、10μm
程度に抑制されることが望ましい。コーティング層の形
成にはコーターを用いた塗布法や、スプレー法、スピン
コート法、インラインコート法等が用いられることが多
いが、この限りではない。
【0026】コーティング層としては、例えばアクリル
系樹脂、ウレタン系樹脂、UV硬化系樹脂、エポキシ系
樹脂、シロキサン系樹脂等の樹脂成分やこれらとアルミ
ナ、シリカ、マイカ等の無機粒子の混合物が使われても
良い。或いは、高分子基板を二層以上の共押し出しによ
りコーティング層の機能を持たせても構わない。このよ
うなコーティング層を有する透明導電積層体は、光学特
性としてレターデーションが低く、尚且つ透過率が高い
ことが望ましい。
【0027】また、高分子基板の屈折率より大きな屈折
率を持つ透明無機バリア膜が形成されてなる透明導電積
層体において、透明無機バリア膜の上にコーティング層
を形成する場合には、該コーティング層の屈折率が、形
成されてなる透明無機バリア膜の屈折率より小さいこと
が望ましい。このような屈折率の制御を行うことで、反
射防止の効果が発生し、透過率の向上に寄与する。
【0028】本発明における、透明無機バリア膜の形成
手法としては、例えばDCマグネトロンスパッタリング
法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンプレー
ティング法、真空蒸着法、パルスレーザーデポジション
法、CVD法及びこれらを複合した形成法等を用いるこ
とができるが、大面積に対して均一な膜厚の透明無機バ
リア膜を形成するという工業生産性に着目すると、DC
マグネトロンスパッタリング法が望ましい。特に本発明
における、透明無機バリア膜は、DCマグネトロンスパ
ッタリング法における、反応性DCマグネトロンスパッ
タリング法が望ましい。
【0029】スパッタリングに用いるターゲットは珪
素、アルミニウム、タンタル及びチタンからなる群の少
なくとも一種以上の材料よりなる金属ターゲットあるい
は合金ターゲットを用いることが望ましい。金属あるい
は合金ターゲットには、導電性を向上させるために、硼
素あるいは燐を数10から数1000ppmドーズする
ことが必要となる。係るターゲット材料を金属の酸化物
・窒化物・酸窒化物にすると、これらに導電性が無いた
め、DCマグネトロンスパッタリングでは、透明無機バ
リア膜の形成ができない。このような材料を出発物質と
する場合には、RFマグネトロンスパッタにより透明無
機バリア膜を形成することができる。
【0030】本発明の透明導電積層体は、加熱処理を実
施してもよい。このときの環境は、通常大気下を想定し
ているが、素子形成工程において減圧と呼ばれる程度、
或いは真空と呼ばれる程度の大気が存在しない状態でも
構わない。加熱処理により、透明無機バリア膜と高分子
基板及び又は透明無機バリア膜と高分子基板の間に形成
されたコーティング層との密着性が向上することが期待
できる。
【0031】本発明では、珪素、アルミニウム、タンタ
ル及びチタンからなる群の少なくとも一種以上の材料よ
りなる金属ターゲットあるいは合金ターゲットを用いて
DCマグネトロンスパッタリング法により透明無機バリ
ア膜を製膜する場合は、該透明無機バリア膜を製膜する
真空槽中の圧力を一旦1.3×10-4Pa以下とし、次
いで不活性ガス及び酸素等の反応性ガスを導入する製造
方法にて形成することができる。透明無機バリア膜を製
膜する真空槽中の圧力は一旦1.3×10-4Pa以下に
することが、真空槽中に残留し、且つ透明無機バリア膜
の特性に影響を与えることが懸念される分子種の影響を
低減できるので望ましい。より望ましくは、5×10-5
Pa以下、さらに望ましくは2×10-5Pa以下であ
る。
【0032】次いで導入される不活性ガスとしては、H
e、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子
量の大きな不活性ガスほど形成される膜へのダメージが
少なく表面平坦性が向上すると言われている。しかし、
コスト面から考えてArが望ましい。
【0033】透明無機バリア膜を酸化物からなるものに
するときには、この不活性ガスに、酸素を添加すること
ができる。これは、透明無機バリア膜の酸素量を調整す
るために行う。導入する酸素量は分圧に換算して、1.
3×10-3〜1.3×10-1Pa台の量を反応ガスとし
て添加することができる。また、酸素の他、或いは替わ
りにオゾン及び/または水及び/または過酸化水素を添
加し、製造マージンの拡大を図ることができる。
【0034】透明無機バリア膜を窒化物からなるものに
するときには、この不活性ガスに、窒素を添加すること
ができる。これは、透明無機バリア膜の窒素量を調整す
るために行う。導入する窒素量は分圧に換算して、1.
3×10-3〜1.3×10-1Pa台の量を反応ガスとし
て添加することができる。また、窒素の他、或いは替わ
りにアンモニア及び/またはヒドラジンを添加し、製造
マージンの拡大を図ることができる。
【0035】透明無機バリア膜を酸窒化物からなるもの
にするときには、この不活性ガスに、酸素と窒素を添加
することができる。これは、透明無機バリア膜の酸素・
窒素量を調整するために行う。導入する酸素・窒素量は
分圧に換算して、1.3×10-3〜1.3×10-1Pa
台の量を反応ガスとして添加することができる。酸素と
窒素の配合比を制御すると、透明無機バリア膜中の酸素
量と窒素量を任意に調整することができる。また、酸素
の替わりに水をもちいると、水が酸素の供給源として作
用し酸窒化膜が形成できる。また、窒素の変わりに、ア
ンモニア及び/またはヒドラジンを用いるとアンモニア
及び/またはヒドラジンが窒素の供給源になる。
【0036】このように、酸素供給源・窒素供給源を適
切に選択することで、金属化合物即ち酸化物・窒化物・
酸窒化物の組成を自在に調整することができる。
【0037】本発明における金属化合物即ち金属酸化物
・窒化物・酸窒化物の組成は、誘導結合型プラズマ分光
法のような湿式法やオージェ電子分光法、X線光電子分
光法、二次イオン質量分析計、ラザフォード後方散乱法
といった分析手法によって決定できる。しかし本発明で
は、M(MはSi,Al,Ta,Tiの群より選ばれて
なる1種以上の酸化物、窒化物及び酸窒化物からなる群
から選ばれてなる少なくとも1種の金属化合物の金属を
代表してMと記している)Ox、MNx、MOxNyと
いう表記の仕方をする。また、xの範囲は既に述べたよ
うな範囲に入ることが多い。
【0038】本発明における反応ガス分圧を決定すると
きには、差動排気型のインプロセスモニターを用いても
良い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa台
の圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用
いても良い。また、一般的に、1.3×10-5Pa程度
の真空度においては、その圧力を形成しているのは主と
して水である。よって、水を添加する系においては、真
空計によって計測された値をそのまま水分圧と考えても
構わない。さらに、複数のガスを添加するような系にお
いては、添加しているガスの圧力を電離真空計によって
多い方から順じ読み取り、その他のガスの圧力を引き算
にて求めることができる。混合ガスボンベを用いている
場合には、得られた圧力をガスの混合比により内分する
ことで分圧を得ることができる。
【0039】本発明においては、高分子基板を用いるた
め、基板温度を過度に上昇させることはできない。よっ
て、透明無機バリア膜を形成するためには、高分子基板
の温度は室温程度から軟化点温度以下とする必要があ
る。代表的な高分子基板であるポリエチレンテレフタレ
ートの場合、特別な処理を行わないときはガラス転移温
度が80℃程度であるため、基板温度を80℃以下の温
度に保ったまま透明無機バリア膜を形成することが望ま
しい。より望ましくは室温以下の温度にて透明無機バリ
ア膜を形成することが望ましい。
【0040】本発明における透明積層体は、水蒸気透過
量が15g/m2・day・atm以下であり、優れた
水蒸気バリア性を示す。なお、水蒸気透過量の下限は特
に制限が無いが、例えば、MOCON法では、0.00
01g/m2・day・atmが測定限界である。一般
に、水蒸気透過量は小さいほどよいとされているが、当
該透明積層体は好ましくは10g/m2・day・at
m以下であり、さらに好ましくは5g/m2・day・
atm以下であり、特に好ましくは1g/m2・day
・atm以下とすることで、少なくとも液晶素子の高い
信頼性が達成できる。従って、この透明積層体を用いた
本発明の透明導電積層体も極めて水蒸気バリア性に優れ
ており、水蒸気透過量は1g/m2・day・atm以
下、より好ましくは0.5g/m2・day・atm以
下であるが、さらにこの特性を高め、例えば、有機発光
ダイオードに適応する場合には、複数の透明無機バリア
膜を積層したり、高分子基板の両面に形成する方法や、
これらを組み合わせた構成をとることができる。例え
ば、高分子基板の一方の面に酸化珪素膜を形成し、かか
る酸化珪素膜の上或いは他方の面に酸窒化珪素膜を形成
してもよい。
【0041】透明無機バリア膜の膜厚は、水蒸気透過量
を制御する上で重要であるが、可撓性が悪化するため、
200nmを超える膜厚の透明無機バリア膜を有するこ
とは望ましくない。また、5nmより薄い膜厚では、不
連続な膜となってしまうことが懸念され、透明無機バリ
ア膜としての機能を果たさなくなるため、5nmより薄
い膜厚は望ましくない。よって、本発明の透明無機バリ
ア膜の膜厚は透明積層体の全体の光学特性を最大にでき
るように5nmから200nmの範囲の膜厚とすること
が望ましい。
【0042】本発明では、上記透明積層体の少なくとも
一方の面に透明導電膜が形成されている。かかる透明導
電膜としてはIn、Sn、Znのうち少なくとも2種以
上からなる透明導電膜を用いることができる。透明導電
膜は、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネ
トロンスパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、イオ
ンプレーティング法、パルスレーザーデポジション法等
の、薄膜形成技術を用いることができる。透明導電膜は
これらの金属の少なくとも1種以上からなる酸化物から
構成することができる。中でも、酸化物ターゲットを出
発物質とした、DCマグネトロンスパッタリング法が望
ましい。透明導電膜の組成は、In−Sn−O(以下I
TO)或いはIn−Zn−O(以下IZO)あるいはS
n−Zn−O(以下ZTO)からなり、ITOの場合、
Snは3〜20%にすることが、透明性と導電性を両立
する上で望ましい。IZOの場合、Znは3〜25%に
することが、ZTOの場合、Snは3〜50%にするこ
とが、夫々望ましい組成である。
【0043】そして、透明導電膜の形成方法は、上述し
た透明無機バリア膜の形成法に順ずる。即ち、一旦透明
導電膜を製膜する真空槽中の水の分圧を1.3×10-4
Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する製
造方法にて形成することができる。水の分圧は、より望
ましくは、4×10-5Pa以下、さらに望ましくは2×
10-5Pa以下に水分圧を制御した真空槽中で形成する
ことが望ましいのである。透明導電膜を形成する場合に
は、Ar等の不活性ガスに、1×10-4Pa〜7×10
-3Paの酸素を添加することができる。さらに酸素のほ
かに水を添加することができる。透明導電膜は、透明無
機バリア膜の上に直接形成しても構わないし、高分子基
板を挟んで透明無機バリア膜の反対側にあっても構わな
い。通常は本発明の積層体の最外面に形成される。ま
た、高分子基板上に直接あるいは、コーティング層を介
して形成されていても良い。該コーティング層として
は、前記したものを用いることができる。
【0044】本発明における、透明無機バリア膜の熱特
性は、TA instruments社製DSC292
0Modulated DSCを用いて解析した。熱特
性の計測は30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速
度で測定した。また、試料はアルミニウムのパンに入れ
て測定した。この際、試料の重量は2〜20mgとし、
マイクロ天秤にて1μgのオーダーまで計測した。ま
た、測定時のリファレンスには空のアルミニウムパンを
用いた。DSC2920Modulated DSCは熱
流速型の測定装置であるため、窒素ガスを50cc毎分
セル内に流した。
【0045】上記解析にあたり透明無機バリア膜は、高
分子基板の一方の面に形成された部分から分離して行
う。その分離方法としては、鋭利な刃物で、注意深く削
り落とす方法や、化学的な処理をする方法が挙げられ
る。化学的な処理方法としては、クロロホルム、メチレ
ンクロライド、オルソクロロフェノール、ヘキサフルオ
ロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸等の溶媒に基板
である高分子基板を溶解させ、ガラスフィルターで溶媒
不溶物である透明無機バリア膜を濾過し試料として利用
する方法である。試料の採取に当たっては、溶媒に不溶
の成分を目の粗いフィルターで濾過し、透明無機バリア
膜のみを別のガラスフィルターで濾過するといった手法
が適切である。
【0046】このように採取した透明無機バリア膜から
は例えば図1に示すような示差走査型熱量計のプロファ
イルが計測される。TA instruments社製
DSC2920Modulated DSCにおいて
は、試料から吸熱が起こる場合に、熱量が図1における
縦軸Heat Flowの減少として記録されるように
なっている。また、横軸は、温度になっているが、昇温
速度が20℃/分であることより、横軸には時間の単位
が含まれている。よって、縦軸にW/gという仕事率の
単位を持つDSCプロファイルのピーク面積から仕事の
単位であるJ/gが算出できるのである。
【0047】本発明では、吸熱量を以下のように定義す
る。図1に示すようなDSCプロファイルにおいて、下
向きのピークを吸熱量と呼んでいる。そして、吸熱量は
吸熱が開始する温度と吸熱が終了する温度付近に図1に
示すようなベースライン1を引きDSCプロファイルと
ベースライン1で囲まれた面積より算出すように定義し
た。また、上述した吸熱を示すDSCプロファイルにお
いて極小値を示す温度を極小温度と定義している。これ
は、図1における極小温度2で示した温度を指す。
【0048】本発明における透明無機バリア膜は、示差
走査型熱量計による温度走査に対して、図1に示すよう
な明確な吸熱が起こっている。この吸熱量が小さけれ
ば、小さいだけ透明無機バリア膜と水との親和性が低い
ということになり、水蒸気透過量以外の透明無機バリア
膜の特徴を知ることができるのである。
【0049】一般に、電気デバイスは、外部からの水の
浸入に対して非常に弱い。本発明者らは、このようなデ
バイスにおいて外部からの水の浸入を阻止するために
は、係る透明無機バリア膜の水との親和性が小さいこと
が望ましいことを明らかにした。本発明では特に、上記
定義による吸熱量が100J/g以下である透明無機バ
リア膜が電気デバイスには好ましい。より好ましくは5
0J/g以下、さらに望ましくは10J/g以下に制御
すると、電気デバイスの水蒸気による劣化を防ぐことが
できる。
【0050】また、吸熱を示すピークの極小温度は12
0℃以下であると、水との親和性が低いと考えられ、透
明無機バリア膜のバリア効果が大きい。この温度が高い
ということは、透明無機バリア膜が、より強固に水と結
合を作るということを意味しており、120℃以上で
は、むしろ水を透明無機バリア膜中に誘い込んでしまう
方向に作用すると考えている。よって、この温度は低け
れば低いほど良いが、100℃以下、或いは80℃以下
が透明無機バリア膜の水浸入阻止作用を高める上で望ま
しい。
【0051】図2には、本発明における実施例1〜4及
び比較例1で得られたDSCにおける吸熱量と水蒸気透
過量の相関を示した。DSCにおける吸熱量の低減に伴
い、水蒸気透過量が低減していることがわかる。水蒸気
透過量とDSCにおける吸熱量との間には、大局的には
相関が存在することがわかる。このように、本発明は、
透明無機バリア膜への吸着水の吸着のしやすさを指標に
しているものであるが、驚くべきことに透明無機バリア
膜の水蒸気透過量と吸熱量とが相関をもっていることが
わかる。即ち、透明無機バリア膜の表面・界面における
水との親和性を制御することで、水蒸気透過性が制御で
きる。
【0052】また、本発明とは、直接的な関係を持たな
いものの、DSCプロファイルには300〜500℃の
範囲に発熱の極大が観測されている。これは、透明無機
バリア膜の酸化が進行するときの酸化反応に伴うものと
推測している。これは、窒化物や酸窒化物においても同
様に起こっており、微量な酸素を含む雰囲気化での加熱
の結果であると推察している。
【0053】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明は、これらに
制限されるものではない。
【0054】[実施例1]真空槽の背圧を1.3×10
-5Paとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活
性ガスとして、Arを導入し、全圧を0.4Paとし
た。四重極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入
する前の水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背
圧と同じであった。酸素分圧は1.6×10-2Paであ
った。
【0055】硼素をドーピングして導電性を付与したS
iターゲットに2W/cm2の電力密度でDCマグネト
ロンスパッタリング法により、基板温度5℃の0.1m
mのポリカーボネイト基板上へ、100nmの膜厚のS
iOxなる透明無機バリア膜を形成した。
【0056】当該膜の基板であるポリカーボネイトをメ
チレンクロライドに溶解し、透明無機バリア膜のみをガ
ラスフィルターにて濾過し採取した。
【0057】この透明無機バリア膜の熱特性を示差走査
型熱量計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速
度で計測したところ、図1のDSCプロファイルが得ら
れ、吸熱量は43J/gであった。極小温度は86℃で
あった。また、MOCON法で測定した水蒸気透過量は
40℃・100%相対湿度の環境下から8g/m2・day・a
tmを透過していた。
【0058】この実施例1で形成した透明無機バリア膜
上に7.5wt%ZnOを含むIn−Zn−Oからなる
透明導電膜を120nmの膜厚で形成した。この透明導
電積層体を用いてモデル的に有機発光ダイオード素子を
形成し、40℃・90%RHの環境下においたところ、
素子の劣化が抑制された。
【0059】[実施例2]真空槽の背圧を1.3×10
-5Paとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活
性ガスとして、Arを導入し、全圧を0.4Paとし
た。四重極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入
する前の水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背
圧と同じであった。酸素分圧は1.6×10-2Paであ
った。この真空槽にさらに、2.7×10-3Paの水を
導入した。
【0060】硼素をドーピングして導電性を付与したS
iターゲットに2W/cm2の電力密度でDCマグネト
ロンスパッタリング法により、基板温度5℃の0.1m
mのポリカーボネイト基板上へ、100nmの膜厚のS
iOxなる透明無機バリア膜を形成した。
【0061】当該膜の基板であるポリカーボネイトをメ
チレンクロライドに溶解し、透明無機バリア膜のみをガ
ラスフィルターにて濾過し採取した。
【0062】この透明無機バリア膜の熱特性を示差走査
型熱量計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速
度で計測したところ、吸熱量は4J/gであった。極小
温度は79℃であった。また、MOCON法で測定した
水蒸気透過量は40℃・100%相対湿度の環境下から
0.1g/m2・day・atmを透過していた。
【0063】この実施例2で形成した透明無機バリア膜
上に5wt%SnOを含むIn−Sn−Oからなる透明導
電膜を125nmの膜厚で形成した。この透明導電積層
体を用いてモデル的に有機発光ダイオード素子を形成
し、40℃・90%RHの環境下においたところ、素子
の劣化が抑制された。
【0064】[実施例3]真空槽の背圧を1.3×10
-5Paとし、反応ガスとして窒素を導入し、さらに不活
性ガスとして、Arを導入し、全圧を0.4Paとし
た。四重極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入
する前の水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背
圧と同じであった。窒素分圧は3.9×10-2Paであ
った。
【0065】硼素をドーピングして導電性を付与したS
iターゲットに2W/cm2の電力密度でDCマグネト
ロンスパッタリング法により、基板温度5℃の0.1m
mのポリカーボネイト基板上へ、100nmの膜厚のS
iNxなる透明無機バリア膜を形成した。
【0066】当該膜の基板であるポリカーボネイトをメ
チレンクロライドに溶解し、透明無機バリア膜のみをガ
ラスフィルターにて濾過し採取した。
【0067】この透明無機バリア膜の熱特性を示差走査
型熱量計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速
度で計測したところ、吸熱量は5J/gであった。極小
温度は65℃であった。また、MOCON法で測定した
水蒸気透過量は40℃・100%相対湿度の環境下から
0.1g/m2・day・atmを透過していた。
【0068】この実施例3で形成した透明無機バリア膜
上に7.5wt%ZnOを含むIn−Zn−Oからなる
透明導電膜を120nmの膜厚で形成した。この透明導
電積層体を用いてモデル的に有機発光ダイオード素子を
形成し、40℃・90%RHの環境下においたところ、
素子の劣化が抑制された。
【0069】[実施例4]真空槽の背圧を1.3×10
-5Paとし、反応ガスとして窒素を導入し、さらに不活
性ガスとして、Arを導入し、全圧を0.4Paとし
た。四重極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入
する前の水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背
圧と同じであった。窒素分圧は3.9×10-2Paであ
った。この真空槽にさらに、7.2×10-3Paの水を
導入した。
【0070】硼素をドーピングして導電性を付与したS
iターゲットに2W/cm2の電力密度でDCマグネト
ロンスパッタリング法により、基板温度5℃の0.1m
mのポリカーボネイト基板上へ、100nmの膜厚のS
iOxNyなる透明無機バリア膜を形成した。
【0071】当該膜の基板であるポリカーボネイトをメ
チレンクロライドに溶解し、透明無機バリア膜のみをガ
ラスフィルターにて濾過し採取した。
【0072】この透明無機バリア膜の熱特性を示差走査
型熱量計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速
度で計測したところ、吸熱量は3J/gであった。極小
温度は65℃であった。また、MOCON法で測定した
水蒸気透過量は40℃・100%相対湿度の環境下から
0.2g/m2・day・atmを透過していた。
【0073】この実施例4で形成した透明無機バリア膜
上に5wt%SnOを含むIn−Sn−Oからなる透明導
電膜を125nmの膜厚で形成した。この透明導電積層
体を用いてモデル的に有機発光ダイオード素子を形成
し、40℃・90%RHの環境下においたところ、素子
の劣化が抑制された。
【0074】[比較例1]真空槽の背圧を1.3×10
-5Paとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活
性ガスとして、Arを導入し、全圧を0.4Paとし
た。四重極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入
する前の水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背
圧と同じであった。酸素分圧は3.9×10-2Paであ
った。
【0075】硼素をドーピングして導電性を付与したS
iターゲットに2W/cm2の電力密度でDCマグネト
ロンスパッタリング法により、基板温度5℃の0.1m
mのポリカーボネイト基板上へ、100nmの膜厚のS
iOxなる透明無機バリア膜を形成した。
【0076】当該膜の基板であるポリカーボネイトをメ
チレンクロライドに溶解し、透明無機バリア膜のみをガ
ラスフィルターにて濾過し採取した。
【0077】この透明無機バリア膜の熱特性を示差走査
型熱量計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速
度で計測したところ、吸熱量は110J/gであった。
極小温度は125℃であった。また、MOCON法で測
定した水蒸気透過量は40℃・100%相対湿度の環境
下から30g/m2・day・atmを透過していた。
【0078】比較例1で形成した透明無機バリア膜上に
7.5wt%ZnOを含むIn−Zn−Oからなる透明
導電膜を120nmの膜厚で形成した。この透明導電積
層体を用いてモデル的に有機発光ダイオード素子を形成
し、40℃・90%RHの環境下においたところ、著し
い素子の劣化が起こった。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
透明無機バリア膜を有する透明導電積層体において、M
OCON法での水蒸気透過量が、ほぼ等しいような透明
無機バリア膜について、当該膜の水に対する親和性をD
SCにより観測することにより、電気デバイスにとって
避けたい、水の浸入を防ぐ効果のある、即ち親水性の低
い透明無機バリア膜を得ることができ、信頼性の高い透
明導電積層体を供給することが可能になる。そして、特
に有機発光ダイオード素子に好適な透明導電積層体を供
給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1にて観測されたDSC曲線の
測定図である。
【図2】本発明の実施例1〜4及び比較例1にて観測さ
れた吸熱量と水蒸気透過量の相関図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/28 H05B 33/28 Fターム(参考) 3K007 AB13 AB18 CA06 CB01 DB03 EA01 EB00 4F100 AA01B AA01D AA12B AA12D AA13B AA13D AA17B AA17C AA17D AA17E AA19B AA19D AA20B AA20D AA21B AA21D AA25C AA25E AA28C AA28E AK01A AR00C AR00E BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA10A BA10B BA10C BA10D BA10E JD04 JD04B JD04D JG01C JG01E JJ05B JJ05D JN01B JN01C JN01E YY00B YY00D 4K029 AA11 BA41 BA43 BA44 BA45 BA46 BA47 BA48 BA49 BA58 BB02 BC00 BC09 BD01 CA06 DC03 DC04 DC05 DC33 DC39 EA00 5G307 FA02 FB01 FC10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子基板の少なくとも一方の面に透明
    無機バリア膜が形成された透明積層体の少なくとも片方
    の面に透明導電膜が形成されてなる透明導電積層体にお
    いて、該透明無機バリア膜は示差走査型熱量計により毎
    分20℃の昇温速度の30℃から550℃まで走査した
    ときに、吸熱量が100J/g以下であることを特徴と
    する透明導電積層体。
  2. 【請求項2】 透明無機バリア膜は示差走査熱量計によ
    り毎分20℃の昇温速度の示差走査熱量計で30℃から
    550℃まで走査したときに、吸熱を示すピークの極小
    温度が120℃以下であることを特徴とする請求項1記
    載の透明導電積層体。
  3. 【請求項3】 該透明無機バリア膜が、珪素、アルミニ
    ウム、タンタル及びチタンよりなる群より選ばれる金属
    の少なくとも1種以上の酸化物、窒化物ならびに酸窒化
    物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物
    を含むものである請求項1または2記載の透明導電積層
    体。
  4. 【請求項4】 透明積層体における水蒸気透過量が15
    g/m2・day・atm以下であることを特徴とする
    請求項1、2または3記載の透明導電積層体。
  5. 【請求項5】 該透明導電膜が、In、Sn及びZnか
    らなる群より選ばれる少なくとも2種類以上の金属酸化
    物から構成される請求項1〜4のいずれかに記載の透明
    導電積層体。
  6. 【請求項6】 透明無機バリア膜の厚さが5〜200n
    mである請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電積層
    体。
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