JP2003096308A - 撥水撥油性組成物およびその造形品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた撥水撥油性を有する撥水撥油性組成物、
および該組成物を用いたファイバ、フィルム等の造形品
の提供。 【解決手段】下式（１）で表される化合物とポリプロピ
レン等の熱可塑性ポリマを含む撥水撥油性組成物。式１
中のＲ^ｆはポリフルオロアルキル基、Ｘは−（ＣＨ_２）
_ｍ−（ｍは１〜１０の整数）、Ａ、Ａ^１、Ａ^２はＯ、Ｓ
またはＮ（Ｚ^３）（Ｚ^３は水素原子又はアルキル基）、
Ｚ^１はオクタデシル基、Ｚ^２はアルキル基又は置換アル
キル基、Ｗは３価の有機基、ａ、ｂは１又は２（ａ+ｂ
は２又は３）を示す。 【化１】

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ポリフルオロアル
キル基を有する特定の化合物および熱可塑性ポリマを含
有する撥水撥油性組成物および該組成物から形成された
ファイバ、フィルム等の造形品に関する。

【０００２】

【従来の技術】撥水撥油性を有するファイバ、フィルム
等の造形品、およびその製造に用いられる組成物として
は、フルオロ脂肪族基含有ピペラジン化合物と熱可塑性
ポリマを含む組成物および該組成物から形成された造形
品（特開平６−１８４３５４号公報）、フルオロ脂肪族
基含有アミノアルコールと熱可塑性ポリマを含む組成物
および該組成物から形成された造形品（特開平６−２０
００７３号公報）等が知られている。

【０００３】しかし、従来の撥水撥油性組成物では、撥
水撥油性が充分ではなく、より高度な撥水撥油性を発現
できる組成物が望まれていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た撥水撥油性を付与できる撥水撥油性組成物、および該
組成物を含む撥水撥油性に優れた造形品を提供すること
にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決するためになされたものであり、下式（１）で表さ
れる化合物（以下、化合物１とも記す。他の化合物につ
いても同様に記す。）および熱可塑性ポリマを必須成分
として含有することを特徴とする撥水撥油性組成物を提
供する。

【０００６】

【化２】

【０００７】ただし、式（１）中の記号は、以下の意味
を示す。 Ｒ^ｆ：炭素数１〜２０のポリフルオロアルキル基。 Ｘ：（ＣＨ_２）_ｍ（ただしｍは１〜１０の整数）。 Ａ、Ａ^１、Ａ^２：それぞれ独立して、Ｏ、ＳまたはＮ
（Ｚ^３）（ただしＺ^３は水素原子またはアルキル基）。 Ｚ^１：オクタデシル基。 Ｚ^２：アルキル基または水素原子の１個以上が置換され
たアルキル基。 Ｗ：３価の有機基。 ａ、ｂ：それぞれ独立に、１または２（ただし、ａ＋ｂ
は２または３）。

【０００８】また、本発明は、該撥水撥油性組成物を含
むことを特徴とする造形品を提供する。

【０００９】

【発明の実施の形態】本明細書において、ポリフルオロ
アルキル基をＲ^ｆ基と記す。化合物１において、Ｒ^ｆは
炭素数１〜２０の直鎖状または分岐状のＲ^ｆ基である。
Ｒ^ｆ基の炭素数は４〜２０が好ましく、特に４〜１６が
好ましい。Ｒ^ｆ基の炭素数が上記範囲にあると、化合物
１の撥水撥油性が優れるため好ましい。

【００１０】Ｒ^ｆ基中のフッ素原子数は、［（Ｒ^ｆ基中
のフッ素原子数）／（Ｒ^ｆ基と同一炭素数の対応するア
ルキル基中に含まれる水素原子数）］×１００（％）で
表すと、６０％以上が好ましく、特に８０％以上が好ま
しい。

【００１１】Ｒ^ｆ基は、フッ素原子以外の他のハロゲン
原子を含んでいてもよい。他のハロゲン原子としては、
塩素原子が好ましい。また、Ｒ^ｆ基中の炭素−炭素結合
間には、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄
原子が挿入されていてもよい。

【００１２】Ｒ^ｆ基の末端部分の構造は、−ＣＦ_３、−
ＣＦ_２Ｈ、−ＣＦＨ_２、−ＣＦ_２Ｃｌ等が挙げられ、−
ＣＦ_３が特に好ましい。Ｒ^ｆ基としては、直鎖状の基が
好ましく、特にペルフルオロアルキル基（以下、Ｒ^Ｆ基
とも記す。）であることが、化合物１の撥水撥油性に優
れるため好ましい。

【００１３】化合物１において、Ｘは−（ＣＨ_２）_ｍ−
（ただし、ｍは１〜１０の整数を示す。）である。ま
た、Ａ、Ａ^１、Ａ^２は−Ｏ−、−Ｓ−または−Ｎ
（Ｚ^３）−（ただし、Ｚ^３は水素原子、アルキル基を示
す。）である。Ａとしては−Ｏ−が好ましい。

【００１４】化合物１におけるＲ^ｆ−Ｘ−Ａ−として
は、以下の具体例が好ましく挙げられる。Ｆ（ＣＦ_２）
_４（ＣＨ_２）_２Ｏ−、Ｆ（ＣＦ_２）_６（ＣＨ_２）_２Ｏ
−、Ｆ（ＣＦ_２）_１０（ＣＨ_２）_２Ｏ−、Ｆ（ＣＦ_２）
_１２（ＣＨ_２）_２Ｏ−、Ｆ（ＣＦ_２）_１４（ＣＨ_２）_２
Ｏ−、Ｆ（ＣＦ_２）_１６（ＣＨ_２）_２Ｏ−、Ｆ（Ｃ
Ｆ_２）_{１ ８}（ＣＨ_２）_２Ｏ−、Ｆ（ＣＦ_２）_２０（ＣＨ
_２）_２Ｏ−、Ｆ（ＣＦ_２）_８（ＣＨ_２）_３Ｏ−、Ｆ（Ｃ
Ｆ_２）_１０（ＣＨ_２）_３Ｏ−、Ｆ（ＣＦ_２）_１２（ＣＨ
_２）_３Ｏ−、Ｆ（ＣＦ_２）_４（ＣＨ_２）_４Ｏ−、Ｆ（Ｃ
Ｆ_２）_６（ＣＨ_２）_４Ｏ−、Ｆ（ＣＦ_２）_８（ＣＨ_２）
_６Ｏ−、Ｆ（ＣＦ_２）_１０（ＣＨ_２）_６Ｏ−、Ｆ（ＣＦ
_２）_４（ＣＨ_２）_２Ｓ−、Ｈ（ＣＦ_２）_１２（ＣＨ_２）
_３Ｏ−。

【００１５】化合物１において、Ａ^１としては−Ｏ−ま
たは−Ｓ−が好ましい。また、Ｚ^１はオクタデシル基で
あり、撥水性に優れることから特に直鎖状オクタデシル
基が好ましい。

【００１６】化合物１において、Ａ^２としては−Ｏ−ま
たは−Ｎ（Ｚ^３）−が好ましい。Ｚ ^３としては、化合物
１の合成が容易であることから、水素原子または炭素数
１〜３のアルキル基が好ましい。また、Ｚ^２はアルキル
基または水素原子の１個以上が置換されたアルキル基で
ある。Ｚ^２としては、炭素数１以上の置換されたアルキ
ル基が好ましい。

【００１７】化合物１における−Ａ^２−Ｚ^２としては、
アルコキシ基、置換アルコキシ基、モノまたはジアルキ
ルアミノ基、置換アルキルアミノ基が好ましい。特に置
換アルコキシ基または置換アミノ基が好ましい。置換ア
ルコキシ基としては、２，３−エポキシプロポキシ基、
２−シアノエトキシ基、２−ニトロエトキシ基、２−ヒ
ドロキシエトキシ基が好ましい。置換アミノ基として
は、ヒドロキシメチルアミノ基、２−ヒドロキシエチル
アミノ基、アジリジニル基、ビス（２−ヒドロキシエチ
ル）アミノ基、２−（２，３−エポキシプロポキシ）エ
チルアミノ基が好ましい。

【００１８】化合物１におけるＷは、３官能イソシアネ
ート化合物から３個の−ＮＣＯ基を除去した３価の有機
残基である。３官能イソシアネート化合物としては、ヘ
キサメチレンジイソシアネート（以下、ＨＤＩと記
す。）のビュレット変性体、トリメチロールプロパンと
トリレンジイソシアネート（以下、ＴＤＩと記す。）と
のアダクト体、トリメチロールプロパンとＨＤＩとのア
ダクト体、ＴＤＩ、ＨＤＩまたはイソホロンジイソシア
ネートのイソシアヌレート変性体等が挙げられる。

【００１９】ａ、ｂは、それぞれ独立に１または２であ
る。

【００２０】化合物１は、前記３官能イソシアネート化
合物に、Ｒ^ｆ−Ｘ−Ａ−ＨおよびＺ ^１−Ａ^１−Ｈ、ま
た、必要に応じてＺ^２−Ａ^２−Ｈ、を反応させることに
よって合成できる。化合物１としては、以下の具体例が
好ましく挙げられる。

【００２１】

【化３】

【００２２】

【化４】

【００２３】

【化５】

【００２４】本発明の撥水撥油性組成物において、化合
物１は１種だけ用いてもよく、２種以上を用いてもよ
い。その際のＲ^ｆ基としては１種でもよく、２種以上で
もよい。撥水撥油性組成物における化合物１の含有量
は、１００〜１０，０００ｐｐｍが好ましい。

【００２５】本発明における熱可塑性ポリマとしては、
ナイロン６、ナイロン６６等のポリアミド、ポリエチレ
ンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィンまたはポリウレタンが
好ましく挙げられる。

【００２６】本発明の撥水撥油性組成物は、化合物１と
粉末状またはペレット状の熱可塑性ポリマとを混合して
得られる。該混合は１段階で行ってもよく、マスターバ
ッチと呼ばれる濃縮物を経由して２段階で行ってもよ
い。また、溶媒に溶解または分散した状態の化合物１
を、乾燥により溶媒を除去した後、熱可塑性ポリマと混
合してもよい。混合は均質になるように行われるのが好
ましい。

【００２７】得られた撥水撥油性組成物を溶融押出しす
ることにより、ファイバ、フィルム等の造形品を形成で
きる。そして、ファイバ、フィルム等を溶融押出した
後、撥水撥油性をさらに向上させる目的で、アニーリン
グを行ってもよい。アニーリングは、熱可塑性ポリマの
融点以下の温度において、数十秒間から数分間行うのが
好ましい。

【００２８】

【実施例】本発明を合成例（例１〜３）、実施例（例４
〜６）、比較例（例７）を用いて具体的に説明するが、
本発明はこれらに限定されない。

【００２９】［例１］滴下ロート、温度計、冷却管およ
び撹拌機を装着した内容量１Ｌの４口フラスコに、ＨＤ
Ｉのビュレット変性体（分子量４７８）の９６ｇ、ジブ
チルスズジラウレートの０．０５ｇおよびメチルイソブ
チルケトン（以下、ＭＩＢＫと記す。）の１００ｇを仕
込み、撹拌を開始した。

【００３０】そして、前記フラスコ内の空気を乾燥窒素
で置換した後、フラスコ内液温を８０℃に保持して、オ
クタデシルアルコール（分子量２７０）の５４ｇ、グリ
シドール（分子量７４）の１５ｇおよびＣ_４Ｆ_９ＣＨ_２
ＣＨ_２ＯＨ（分子量２６４）の５３ｇを、滴下ロートを
用いて１時間でフラスコ内に滴下し、さらに撹拌を３時
間継続した。

【００３１】反応終了後、ＭＩＢＫを留去した。ＨＤＩ
のビュレット変性体の反応率は１００％であった。赤外
吸収スペクトルおよびＮＭＲの分析結果から、下式（１
４）で表される化合物が２１６ｇ得られたことを確認し
た。

【００３２】

【化６】

【００３３】［例２］例１において、グリシドールを用
いないで、オクタデシルアルコールの１０８ｇを用い、
また、Ｃ_４Ｆ_９ＣＨ_２ＣＨ_２ＯＨの５３ｇの代わりにＣ
_８Ｆ_１７ＣＨ _２ＣＨ_２ＯＨ（分子量４６４）の９３ｇを
用いる以外は、例１と同様にして下記化合物（１５）を
合成した。

【００３４】

【化７】

【００３５】［例３］例１において、Ｃ_４Ｆ_９ＣＨ_２Ｃ
Ｈ_２ＯＨの５３ｇの代わりにＣ₈Ｆ₁₇ＣＨ_２ＣＨ_２ＯＨ
（分子量４６４）の９３ｇを用いる以外は、例１と同様
にして下記化合物（１６）を合成した。

【００３６】

【化８】

【００３７】［例４］化合物１４の１質量部と、ポリプ
ロピレン樹脂ペレット（メルトフローレート８００）の
９９質量部とを混合した。次に、該混合物の５０ｇを混
練機に投入し、２００℃で５分間混ぜ合わせた後、プレ
ス成形機でフィルムを加工した。

【００３８】そして、該フィルムの表面における、ヘキ
サデカン（以下、ＨＤと記す。）、水、イソプロピルア
ルコール（以下、ＩＰＡと記す。）の接触角を測定し、
撥油性および撥水性について評価した。結果を表１に示
す。また、上記フィルムについて、１２０℃にて１０分
間のアニ−リングを行った後、同様にして接触角を測定
し、評価した。

【００３９】［例５、例６］化合物１４の代わりに、化
合物１５または化合物１６を用いること以外は、例４と
同様にして接触角を測定し、評価した。

【００４０】［例７］ポリプロピレン樹脂ペレットのみ
を用いて、例４と同様にして評価した。

【００４１】

【表１】

【００４２】

【発明の効果】本発明の撥水撥油性組成物は撥水撥油性
に優れ、該組成物を含むファイバ、フィルム等の造形品
もまた優れた撥水撥油性を有する。

フロントページの続き Ｆターム(参考） 4F071 AA14 AA15 AA20 AA43 AA46 AA53 AA54 AA55 AC12 AF04 AF09 BA01 BB06 BC01 BC07 BC17 4H020 BA21 4J002 BB001 BB021 BB111 CF001 CF061 CL031 CL051 EB066 EN046 EN086 EN096 FD20

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下式（１）で表される化合物および熱可塑
   性ポリマを必須成分として含有することを特徴とする撥
   水撥油性組成物。 【化１】 ただし、式（１）中の記号は、以下の意味を示す。 Ｒ^ｆ：炭素数１〜２０のポリフルオロアルキル基。 Ｘ：（ＣＨ_２）_ｍ（ただしｍは１〜１０の整数）。 Ａ、Ａ^１、Ａ^２：それぞれ独立して、Ｏ、ＳまたはＮ
   （Ｚ^３）（ただしＺ^３は水素原子またはアルキル基）。 Ｚ^１：オクタデシル基。 Ｚ^２：アルキル基または水素原子の１個以上が置換され
   たアルキル基。 Ｗ：３価の有機基。 ａ、ｂ：それぞれ独立に、１または２（ただしａ＋ｂは
   ２または３）。
2. 【請求項２】前記熱可塑性ポリマが、ポリオレフィン、
   ポリアミド、ポリエステルまたはポリウレタンである請
   求項１に記載の撥水撥油性組成物。
3. 【請求項３】請求項１または２に記載の撥水撥油性組成
   物から形成されてなることを特徴とする造形品。