JP2003096179A - 光学部品用成形材料 - Google Patents

光学部品用成形材料

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JP2003096179A
JP2003096179A JP2001385710A JP2001385710A JP2003096179A JP 2003096179 A JP2003096179 A JP 2003096179A JP 2001385710 A JP2001385710 A JP 2001385710A JP 2001385710 A JP2001385710 A JP 2001385710A JP 2003096179 A JP2003096179 A JP 2003096179A
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optical
polycarbonate
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molding
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Application number
JP2001385710A
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English (en)
Inventor
Kenichi Fujii
謙一 藤井
Atsuo Otsuji
淳夫 大辻
Kenichi Sugimoto
賢一 杉本
Tomoyuki Kawabata
朋之 川畑
Hiromasa Marubayashi
博雅 丸林
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】式(1−a)(化1)で表される繰り返し
構造単位を有するポリカーボネート(共)重合体からな
る光学部品用成形材料。 【効果】 本発明の特定の繰り返し構造単位を有するポ
リカーボネートからなる光学部品用成形材料は、透明性
に優れ、低吸水性、高屈折率、低複屈折性であって、か
つ、熱的特性(ガラス転移温度)、溶融流動性(成形加
工性)、機械的特性が良好である。かかる光学用成形材
料を用いることにより高精度、高品質の光学部品(例え
ば、撮像機器用光学プラスチックレンズ、ピックアップ
レンズ等に代表される光学プラスチックレンズなど)が
提供可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の繰り返し構
造単位を有するポリカーボネート(共)重合体からなる
光学部品用成形材料に関する。さらには該成形材料から
なる光学部品、具体的には、カメラ、VTRなどの撮像
機器用光学プラスチックレンズ、あるいは、光情報記録
に使用されるピックアップレンズなどのレーザー光学系
プラスチックレンズ等に代表される各種光学プラスチッ
クレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】無機ガラスは、透明性に優れ、光学異方
性が小さいなどの諸物性に優れていることから、透明性
光学材料として広い分野で使用されている。しかしなが
ら、重くて破損しやすいこと、生産性が悪い等の問題が
あり、近年、無機ガラスに代わる光学用樹脂(有機光学
用材料)の開発が盛んに行われている。光学用樹脂とし
て基本的に最も重要な特性の一つは透明性である。現在
までに透明性の良好な代表的な光学用樹脂として、ポリ
メチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネー
ト、ポリシクロオレフィン(COP)などが知られてい
る。近年では、カメラ、フイルム一体型カメラ(レンズ
付きフィルム)、ビデオカメラなどの撮影、撮像用の各
種カメラ; CD(コンパクトディスク)、CD−RO
M、CD−R、CD−RW、CD−VIDEO、MO、
DVD等の情報記録用媒体の記録読み取りに用いられる
光ピックアップ装置; コピー機、プリンター等の印刷
複写機器などの各種機器などに用いられる光学系に、前
述したような光学用樹脂を射出成形して製造された光学
プラスチックレンズが使用されている。
【0003】PMMAは透明性、耐候性に優れ、かつ成
形性も良好であり、代表的な光学用樹脂の一つとして広
く用いられている。しかしながら、屈折率(nd)が1.4
9と比較的低く、吸水性が大きいため、使用される分野
が限定される。ポリシクロオレフィン(COP)は透明
性、低吸水性、耐熱性に優れるものの、低屈折率(nd
=1.47〜1.53)である点で、光学部品としての利用に限
定される。2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)
プロパン (以下、ビスフェノールAと称する)を原料
としてより製造されるポリカーボネート(以下、汎用ポ
リカーボネートと称する)は、透明性、耐熱性、耐衝撃
性、寸法安定性等の特性をバランス良く備え、比較的高
屈折率(nd=1.59)であり、情報記録用光ディス
ク基板を代表とする光学用途において用いられている。
しかしながら、色収差(屈折率分散)、複屈折が比較的
大きく、また溶融粘度が高く成形性がやや困難である等
の欠点を有していることから、光学用樹脂としての利用
分野が限定されている。すなわち、例えば、汎用ポリカ
ーボネートを用いる場合には、射出成型時の樹脂の冷却
および流動過程において生じた熱応力、分子配向、ガラ
ス転移点付近の容積変化等による残留応力が原因となる
複屈折(配向複屈折および応力複屈折)が生じ、この複
屈折に起因する光学的不均一性が大きいことは、例え
ば、ピックアップレンズなどの光学部品にとっては重要
な問題となる。さらに、汎用ポリカーボネートは溶融時
の粘度が高いため、例えば、ピックアップレンズや、小
型または薄型な精密光学プラスチックレンズを射出成形
して得るには困難を伴うなど、成形加工性にも改善の余
地があった。上述したような種々の課題を解決する方法
として、新規なポリマーまたは成形材料が提案されてお
り、例えば、特定のビスフェノール類から誘導された特
定の繰り返し構造単位を含有してなるポリカーボネート
共重合体が光情報記録媒体基板用材料として有用である
こと等が開示されている(特開昭63−223034号
公報など)。しかしながら上記光学プラスチックレンズ
用材料としては、依然として改善の余地が残されてい
た。
【0004】一方、最近、VTRやデジタルスチルカメ
ラ(DSC)などの撮像機器は、より高解像度の画像を
求めて開発が推進されている。これらの機器において
は、CCD配列と撮影シーンの周波数の関係でモアレ縞
を生じ、撮像に縞模様が現れる場合があり、この現象を
防ぐために、ローパスフィルターが用いられている。撮
像機器のプラスチックレンズには汎用ポリカーボネート
が使用されている場合が多く、レンズ自体の光学異方性
が大きいため、1枚のローパスフィルターでは縞模様を
解消できず、2枚以上使用することで対応している。ロ
ーパスフィルターは水晶を用いて製造されているため高
価であるが、これを2枚以上用いるとなると一層コスト
高になるという課題があった。
【0005】従来の公知のポリマーまたは成形材料で
は、前述したような撮像機器用光学プラスチックレンズ
を代表とする各種光学プラスチックレンズなどに使用す
るには、透明性、吸水性、屈折率、複屈折率(光学異方
性)、熱的特性(ガラス転移温度)、溶融流動性(成形
加工性)、機械的特性などの諸物性面の全てを、実用
上、十分に満足する性能を有しているとは言い難く、こ
れらの特性を満たす光学用樹脂または光学部品用成形材
料の開発が強く望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上記の
問題点を克服し、光学部品用、特に光学プラスチックレ
ンズなどの用途において、透明性、吸水性、屈折率、複
屈折率、熱的特性(ガラス転移温度)、溶融流動性(成
形加工性)、機械的特性などの諸物性面でバランスのと
れた良好な性能を示す、特定繰り返し構造を有するポリ
カーボネート共重合体からなる光学部品用成形材料、な
らびに、該光学部品用成形材料を成形して得られる光学
部品を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するため、鋭意検討した結果、特定の繰り返し
構造単位を有するポリカーボネート(ホモポリマーまた
は共重合体)からなる成形材料が、透明性に優れ、かつ
低吸水性、低複屈折性であり、溶融流動性(成形加工
性)にも優れ、さらには高屈折率、熱的特性(ガラス転
移温度)、機械的特性が良好であることを見い出し、本
発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、 (1)式(1−a)(化3)で表される繰り返し構造単
位を有するポリカーボネート(共)重合体において、 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
分析による重量平均分子量が標準ポリスチレン換算で、
5×10以下の領域にあるオリゴマーの含有量が面積
比率で12%以下であり、かつ ASTM D−0570に準じた吸水率測定による吸
水率が0.25%以下である光学部品用成形材料。
【0009】
【化3】
【0010】(2)全繰り返し構造単位中に占める式
(1−a)で表される繰り返し構造単位の割合が90モ
ル%以上であり、かつポリカーボネートのゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)による分析にお
いて、重量平均分子量が標準ポリスチレン換算で、50
×10〜300×10である(1)記載の光学部品
用成形材料。 (3)式(1−a)に加えてさらに式(2−a)(化
4)で表される繰り返し構造単位を有し、かつ式(1−
a)および式(2−a)で表される繰り返し構造単位中
に占める、式(1−a)で表される繰り返し構造単位
と、式(2−a)で表される繰り返し構造単位のモル比
率が、10:90〜35:65である(1)記載の光学
部品用成形材料。
【0011】
【化4】
【0012】(4)ポリカーボネート共重合体の重量平
均分子量が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)による分析において標準ポリスチレン換算で
20×10〜200×10である(3)記載の光学
部品用成形材料。 (5)(1)〜(4)記載の光学部品用成形材料を成形
して得られる光学部品。 (6)(1)〜(4)記載の光学部品用成形材料を成形
して得られる光学プラスチックレンズ。 (7)(1)〜(4)記載の光学部品用成形材料を成形
して得られるピックアップレンズ。 (8)(1)〜(4)記載の光学部品用成形材料を成形
して得られる撮像機器用光学プラスチックレンズ。に関
するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。本発明の光学部品用成形材料は、下記式(1−
a)で表される繰り返し構造単位を有するポリカーボネ
ートを必須構成成分として含有するポリカーボネートか
らなる光学部品用成形材料に関するものである。本発明
の光学部品用成形材料は、前記ポリカーボネート共重合
体を必須構成成分として含有するほかに、リン原子含有
酸化防止剤または/およびフェノール系酸化防止剤を含
有することが好ましく、これらの含有成分からなる成形
材料である。本発明の光学部品用成形材料は、射出成
形、射出圧縮成形、押出し成形などの公知の各種成形方
法によって成形加工が可能である。
【0014】本発明に係るポリカーボネートは、下記式
(1)で表されるα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン(以下、BP
MまたはビスフェノールMと略す)を、カーボネート前
駆体(例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフ
ェニル等の炭酸ジエステル化合物、ホスゲン等のハロゲ
ン化カルボニル化合物など)と作用させて、重合するこ
とにより得られるものである。式(1−a)で表される
繰り返し構造単位のみからなるホモポリカーボネートそ
れ自体は、例えば、米国特許3466260号等に記載
されている公知のポリマーである。本発明者らはすで
に、ビスフェノールMのポリカーボネートが分散染料に
対して良好な染色性を示すことからプラスチック眼鏡レ
ンズ用の樹脂として非常に有用であることを見い出した
(特開平12−219755号)が、さらに種々検討を
加えた結果、特定の重量平均分子量を有する該ポリカー
ボネートがとりわけ低吸水性に優れ、併せて、低複屈折
性、高溶融流動性をも有していることを見い出すに至
り、特にピックアップレンズなどの光学プラスチックレ
ンズとして使用した場合、有用であることを見い出すに
至り、本発明に到達した。さらに本発明者らは、前述の
要求性能を満たして光学プラスチックレンズなどに好適
に使用される成形材料について、さらに鋭意検討した結
果、本発明の式(1−a)および式(2−a)で表され
る繰り返し構造単位を有し、一定の共重合比率のポリカ
ーボネート共重合体からなる光学部品用成形材料が、吸
水性、屈折率、複屈折率、溶融流動性(成形加工性)、
機械的物性を特異的にバランスよく満足し、とりわけ熱
的特性(ガラス転移温度)に優れていることを見い出す
に至り、本発明を完成した。
【0015】すなわち、本発明の光学部品用成形材料
は、(1)全繰り返し構造単位中に占める、式(1−
a)で表される繰り返し構造単位の割合が90モル%以
上であるポリカーボネートからなる光学部品用成形材料
[以下、光学部品成形用材料(I)と称する]、ならび
に、(2)式(1−a)および式(2−a)で表される
繰り返し構造単位を有し、かつ、式(1−a)および式
(2−a)で表される繰り返し構造単位中に占める、式
(1−a)で表される繰り返し構造単位と、式(2−
a)で表される繰り返し構造単位のモル比率が、10:
90〜35:65であるポリカーボネート共重合体から
なる光学部品用成形材料[以下、光学部品成形用材料
(II)と称する]の二つの好ましい態様に大別され、光
学部品成形用材料(I)はとりわけ低吸水性に優れ、光
学部品成形用材料(II)は熱的特性(高ガラス転移温
度)に優れていることを本発明者らは見出した。
【0016】まず前記の光学部品用成形材料(I)につ
いて説明する。本発明の光学部品成形用材料(I)に係
るポリカーボネート [以下、ポリカーボネート(I)と
称する]は、全繰り返し構造単位中に占める式(1−
a)で表される繰り返し構造単位の割合が、90モル%
以上であり、より好ましくは、95モル%以上であり、
式(1−a)で表される繰り返し構造単位のみからなる
ホモポリカーボネートは特に好ましい。
【0017】本発明の光学部品用成形材料(I)は、A
STM D−0570に準じた吸水率測定による吸水率
が0.25重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、
より好ましくは、0.18重量%以下、さらに好ましく
は0.15重量%以下である。
【0018】本発明の光学部品用成形材料(I)は、G
PC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)
で測定する標準ポリスチレン換算の分子量としての重量
平均分子量が5×10以下の領域にあるオリゴマーの
含有量(面積%)が12%以下であることが好ましく、
より好ましくは10%以下であり、8%以下は特に好ま
しい。該オリゴマーの含有量が多いと成形時に金型表面
を汚染したり、金型からの離型性が低下する。かかる成
形性の悪化の傾向は、含有量が12%を越えると著し
い。一方、該オリゴマーを完全に除去することは非常に
困難であるが、オリゴマーの含有量が、0.1%未満の
場合、本発明の光学部品用成形材料(I)の溶融流動性
が低下する傾向にあるので、オリゴマーの含有量が0.
1%以上であることが好ましく、0.5%以上がさらに
好ましい。
【0019】また、本発明に係るポリカーボネート
(I)の分子量としては、上記GPC分析による重量平
均分子量が、50×10〜300×10であり、好
ましくは、50×10〜250×10であり、より
好ましくは、50×10〜200×10である。重
量平均分子量が50×10未満であると、本発明のポ
リカーボネートを成形して得られる光学部品の吸水率が
増加し、本発明の特徴である低吸水性が損なわれる。こ
のため本発明において、低吸水性の効果を発揮するため
に、重量平均分子量は、50×10以上であり、60
×10以上が好ましく、70×10 以上であること
がさらに好ましい。一方、重量平均分子量が300×1
を超えると、樹脂の溶融流動性が増大するために、
ピックアップレンズなどの小型精密な光学部品を成形す
る際の成形加工性が損なわれ、さらに、得られた光学部
品の複屈折が高くなる等の問題が生じる。このため本発
明における特徴である良好な成形加工性、低複屈折を発
揮するために、重量平均分子量は、300×10以下
であり、250×10以下が好ましく、200×10
以下であることがさらに好ましい。コンパクトディス
ク(CD)などの光情報記録媒体基板などに用いられる
汎用ポリカーボネート(ビスフェノールAのポリカーボ
ネート)の重量平均分子量は、通常、重量平均分子量が
25×10〜50×10程度であるが、本発明に係
るポリカーボネート(I)をプラスチック光学プラスチ
ックレンズなどの光学部品に用いる場合、重量平均分子
量が50×10以下では上述したような不具合が生じ
るために好ましくないことは、予想し難い驚くべき事実
であった。
【0020】本発明に係るポリカーボネート(I)の、
重量平均分子量と数平均分子量の比として表される多分
散性インデックスは、通常1.5〜25.0であり、好
ましくは、1.5〜20.0であり、より好ましくは、
2.0〜15.0である。
【0021】本発明の光学部品用成形材料(I)は、高
度に精製されたものであることが好ましく、該成形材料
中には未溶解粒子が一定量以下であることが好ましい。
未溶解粒子が多いと、光の散乱、損失などが生じ、光学
部品としての品質低下をもたらすからである。具体的に
は、本発明の光学部品用成形材料(I)をジクロロメタ
ンに溶解させた溶液中で液体パーティクルカウンターを
用いて測定された未溶解粒子が、該成形材料1gあた
り、粒子換算直径0.5μm以上のものが3×104
以下であることが好ましく、より好ましくは、2.5×
104個以下であり、さらに好ましくは、2×104個以
下である。さらに該光学部品用成形材料(I)におい
て、粒子換算直径50μm以上の未溶解粒子は実質上検
出されないことが好ましい。また粒子換算直径0.5μ
m以下の未溶解粒子は3×104個以下であることが好
ましく、より好ましくは、3×104個以下である。
【0022】本発明に係るポリカーボネート(I)にお
いて、末端基は、ヒドロキシ基、ハロホーメート基、炭
酸エステル基等の反応性の末端基であってもよく、ま
た、後述するような分子量調節剤で封止された不活性な
末端基であってもよい。好ましくは、分子量調節剤で封
止された不活性な末端基である。
【0023】本発明に係るポリカーボネート(I)中の
末端基の量は、特に制限されないが、一般にポリマーの
分子量と関係があって、通常、構造単位の総モル数に対
して、0.001〜10モル%であり、好ましくは、
0.01〜5モル%であり、より好ましくは、0.05
〜3モル%である。本発明に係るポリカーボネート
(I)を製造する重合反応の方法としては、該米国特許
3466260号に記載の方法、あるいは、公知の各種
ポリカーボネート重合方法〔例えば、実験化学講座第4
版(28)高分子合成、231〜242頁、丸善出版
(1988年)に記載の溶液重合法、エステル交換法ま
たは界面重合法等〕等が挙げられる。
【0024】前記の方法に従い、本発明に係るポリカー
ボネート(I)を重合反応により製造する際に、分子量
を調節する目的で、分子量調節剤の存在下に重合を行う
ことは好ましいことである。分子量調節剤としては特に
限定されるものではなく、ポリカーボネート重合の際に
使用される公知の分子量調節剤が用いられる。例えば、
1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族
化合物、もしくはそれらの誘導体(例えば、1価のヒド
ロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物のア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、1価のヒドロキ
シ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物のハロホ
ーメート化合物、1価のヒドロキシ脂肪族化合物または
ヒドロキシ芳香族化合物の炭酸エステルなど)、1価の
カルボン酸もしくはその誘導体(例えば、1価のカルボ
ン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、1価の
カルボン酸の酸ハライド、1価のカルボン酸のエステル
など)等が挙げられる。
【0025】これらの分子量調節剤の中でも、好ましく
は、1価のヒドロキシ芳香族化合物またはそれらの誘導
体であり、より好ましくは、フェノールまたはアルキル
基で置換されたフェノールまたはそれらの誘導体であ
る。分子量調節剤の使用量は特に制限するものでなく、
目的の分子量に調節するために、所望に応じて用いれば
よい。通常、重合するジヒドロキシ化合物の総モル数に
対して、0.001〜10モル%であり、好ましくは
0.01〜5モル%である。
【0026】本発明に係るポリカーボネート(I)中に
おける未溶解粒子の量を上述したような光学部品用成形
材料として好ましい範囲にするためには、重合反応過
程、単離工程およびペレット化工程(造粒工程)におい
て、未溶解粒子が混入しないか、あるいは、除去し得る
操作、方法を実施する必要がある。かかる操作、方法と
して、例えば、重合反応後または/およびポリマー単離
工程の前にポリマー溶液または液体状ポリマーを、公知
の各種フィルター等を用いて濾過する操作を行う操作、
未溶解粒子の除去装置を備えた造粒装置(ペレッタイザ
ーなど)を使用する方法、前述の一連の操作をクリーン
ルーム内で実施する方法などが例示されるが、これらに
限定されるものではない。
【0027】本発明に係るポリカーボネート(I)は、
所望の効果を損なわない範囲において、式(1−a)で
表される繰り返し構造単位を必須成分として含有してな
るポリカーボネートであって、式(1−a)で表される
繰り返し構造単位以外に、他の繰り返し構造単位を含有
していてもよい。この場合、全繰り返し構造単位中の式
(1−a)で表される繰り返し構造単位の占める割合
は、特に低吸水性を損なわせないために、90モル%以
上であり、より好ましくは、95モル%以上、さらに好
ましくは、98モル%以上である。かかるポリカーボネ
ートで用いられる式(1−a)以外の他の繰り返し構造
単位は、式(1)で表されるビスフェノールM以外の他
のジヒドロキシ化合物から誘導される繰り返し構造単位
であって、該ジヒドロキシ化合物として、各種公知の芳
香族ジヒドロキシ化合物または脂肪族ジヒドロキシ化合
物を例示することができる。
【0028】該芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例とし
ては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2-ビス
(4'−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキ
シフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)-1-ナフチルメタン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェ
ニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(略称、ビスフェノールA)、2-(4'−
ヒドロキシフェニル)-2-(3'−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス
(4'−ヒドロキシフェニル)-3−メチルブタン、2,2-ビ
ス(4'-ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3-ビス(4'-ヒ
ドロキシフェニル) ペンタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシ
フェニル) ヘキサン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニ
ル)オクタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)-4-メ
チルペンタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル) ヘプ
タン、4,4-ビス(4'-ヒドロキシフェニル) ヘプタン、2,
2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル) トリデカン、2,2-ビス
(4'−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(3'−
メチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス
(3'−エチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2-ビス(3'−n−プロピル−4'−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2-ビス(3'−イソプロピル−4'−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−sec−ブチル
−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−
tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2-ビス(3'−シクロヘキシル−4'−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−アリル−4'−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−メトキシ−4'
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3',5'-ジ
メチル−4'−ヒドロキシフェニル) プロパン、2,2-ビス
(2',3',5',6'-テトラメチル−4'−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シアノ
メタン、1-シアノ-3,3−ビス(4'−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ヘキ
サフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)ア
ルカン類;
【0029】1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シク
ロペンタン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘプタン、1,1-ビス(3'−メチル−4'−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3',5'-ジメチル−
4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス
(3',5'-ジクロロ−4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、1,1-ビス(3'−メチル−4'−ヒドロキシフェニ
ル)−4−メチルシクロヘキサン、1,1-ビス (4'−ヒド
ロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,
2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、2,2-
ビス(4'−ヒドロキシフェニル)アダマンタン等のビス
(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4'- ジヒ
ドロキシジフェニルエーテル、4,4'- ジヒドロキシ-3,
3'-ジメチルジフェニルエーテル、エチレングリコール
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(ヒ
ドロキシアリール)エーテル類;
【0030】4,4'- ジヒドロキシジフェニルスルフィ
ド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、3,3'−ジシクロヘキシル−4,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルフィド、3,3'−ジフェニル−4,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルフィド等のビス(ヒドロキシ
アリール)スルフィド類;
【0031】4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホキシド等のビス(ヒドロキシアリール)スルホキシ
ド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'-
ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホン等のビ
ス(ヒドロキシアリール)スルホン類;ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)ケトン等のビス(ヒドロキシアリー
ル)ケトン類;
【0032】その他、α、α’−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(ビスフ
ェノールP)、6,6'-ジヒドロキシ-3,3,3',3'-テトラメ
チル-1,1'-スピロビインダン、7,7'−ジヒドロキシ−3,
3',4,4'-テトラヒドロ−4,4,4',4'-テトラメチル-2,2'-
スピロビ(2H−1−ベンゾピラン)、トランス-2,3-
ビス(4'−ヒドロキシフェニル)-2- ブテン、9,9-ビス
(4'−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3-ビス(4'
−ヒドロキシフェニル)-2- ブタノン、1,6-ビス(4'−
ヒドロキシフェニル)-1,6- ヘキサンジオン、4,4'−ジ
ヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン等
のジヒドロキシ化合物が挙げられる。また、例えばビス
フェノールA2モルとイソフタロイルクロライドまたは
テレフタロイルクロライド1モルとを反応させることに
より製造することができるエステル結合を含む芳香族ジ
ヒドロキシ化合物も包含される。
【0033】該脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例とし
ては、1,2−ジヒドロキシエタン、1,3−ジヒドロ
キシプロパン、1,4−ジヒドロキシブタン、1,5−
ジヒドロキシペンタン、3−メチル−1,5−ジヒドロ
キシペンタン、1,6−ジヒドロキシヘキサン、1,7
−ジヒドロキシヘプタン、1,8−ジヒドロキシオクタ
ン、1,9−ジヒドロキシノナン、1,10−ジヒドロ
キシデカン、1,11−ジヒドロキシウンデカン、1,
12−ジヒドロキシドデカン、ジヒドロキシネオペンチ
ル、2−エチル−1,2−ジヒドロキシヘキサン、2−
メチル−1,3−ジヒドロキシプロパン等のジヒドロキ
シアルカン;1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン、
1,4−ジヒドロキ シシクロヘキサン及び2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシルシクロヘキシル)プロパン等の
ジヒドロキシシクロアルカンを挙げることができる。
【0034】さらに、o−ジヒドロキシキシリレン、m
−ジヒドロキシキシリレン、p−ジヒドロキシキシリレ
ン、1,4−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(3’−ヒドロキシプロピル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(4’−ヒドロキシブチル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(5’−ヒドロキシペンチル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(6’−ヒドロキシヘキシル)ベンゼ
ン、2,2−ビス[4’−(2”−ヒドロキシエチルオ
キシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4’−
(2”−ヒドロキシエプロピルオキシ)フェニル]プロ
パン、6,6'-ビス(2“−ヒドロキシエチルオキシ)-3,
3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビインダン、6,6'-
ビス(2“−ヒドロキシプロピルオキシ)-3,3,3',3'-
テトラメチル-1,1'-スピロビインダン等のジヒドロキシ
化合物を挙げることができる。
【0035】光学部品用成形材料(I)の所望の効果
(特に低吸水性)を最大限に得るためには、前記式(1
−a)で表される繰り返し構造単位のみからなる、他の
繰り返し構造単位を含有しないホモポリカーボネート
は、特に好ましい。ポリマー鎖の末端基の構造単位とし
ては、前述したような分子量調節剤から誘導される構造
単位が挙げられる。
【0036】次に、前記の光学部品用成形材料(II)に
ついて説明する。本発明の光学部品成形用材料(II)に
係るポリカーボネート共重合体[以下、ポリカーボネー
ト(I)と称する]は、式(1−a)および式(2−
a)で表される繰り返し構造単位を有し、かつ、式(1
−a)および式(2−a)で表される繰り返し構造単位
中に占める、式(1−a)で表される繰り返し構造単位
と、式(2−a)で表される繰り返し構造単位のモル比
率が、10:90〜35:65である。ビスフェノール
MとビスフェノールAとのポリカーボネート共重合体そ
れ自体は、例えば、特開昭63−89539号公報、特
開平2−99521号公報、特開平2−208840号
公報等に示唆されている。しかしながら、本発明者らが
検討したところによると、これらの公報等に示唆されて
いる種々のポリカーボネート共重合体を光学プラスチッ
クレンズ用の成形材料として使用した場合には、前述し
たような、吸水性、屈折率、複屈折率、熱的特性(ガラ
ス転移温度)、溶融流動性(成形加工性)、機械的物性
の全ての性能面を満足するバランスのとれた物性を示す
とは言い難かった。
【0037】本発明者らが、前述の要求性能を満たして
光学プラスチックレンズなどに好適に使用される成形材
料について、さらに鋭意検討した結果、本発明の特定の
繰り返し構造単位を有するポリカーボネート共重合体か
らなる光学部品用成形材料が、特異的に、前記諸物性面
をバランスよく満足し、とりわけ熱的特性(ガラス転移
温度)の改善が著しいことを見い出した。すなわち、本
発明のポリカーボネート共重合体(II)において、式
(1−a)で表される繰り返し構造単位と、式(2−
a)で表される繰り返し構造単位のモル比率は、10:
90〜35:65であり、より好ましくは10:90〜
30:70であり、さらに好ましくは、15:85〜3
0:70である。本発明に係るポリカーボネート共重合
体(II)の分子量としては、GPC(ゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィー)で測定する標準ポリスチ
レン換算の分子量として重量平均分子量が、10×10
〜300×10であり、好ましくは20×10
200×10であり、より好ましくは、25×10
〜150×10であり、さらに好ましくは、30×1
〜100×10である。
【0038】重量平均分子量が10×10未満である
と、本発明のポリカーボネートを成形して得られる光学
部品の吸水率が増加し、機械的特性が脆弱で不十分であ
り、本発明の所望の効果が損なわれ、好ましくない。一
方、重量平均分子量が300×10を超えると、樹脂
の溶融流動性が増大するために、ピックアップレンズな
どの小型精密な光学部品を成形する際の成形加工性が損
なわれ、さらに、得られた光学部品の複屈折が高くなる
等の問題が生じるため、好ましくない。
【0039】本発明に係るポリカーボネート共重合体
(II)の、重量平均分子量と数平均分子量の比として表
される多分散性インデックスは、通常1.5〜25.0
であり、好ましくは、1.5〜20.0であり、より好
ましくは、2.0〜15.0である。
【0040】本発明の光学部品用成形材料(II)は、上
記GPC分析おいて重量平均分子量が5×10以下の
領域にあるオリゴマーの含有量(面積%)が12%以下
であることが好ましい。オリゴマーの含有量が12%を
越えると成形時に金型表面を汚染したり、金型からの離
型性を低下させるなど成形性が損なわれる傾向があるた
めである。一方、該オリゴマーを完全に除去することは
非常に困難であるが、オリゴマーの含有量が、0.1%
未満の場合、本発明の光学部品用成形材料の溶融流動性
が低下する傾向にあり、本発明の効果が十分に得られな
いので好ましくない。本発明の光学部品用成形材料(I
I)は、より好ましくは、前記オリゴマーの含有量が
0.1%〜10%であり、さらに好ましくは、0.5〜
8%である。
【0041】本発明の光学部品用成形材料(II)は、A
STM D−0570に準じた吸水率測定による吸水率
が0.35重量%以下であることが好ましく、より好ま
しくは、0.3重量%以下であり、さらに好ましくは、
0.25重量%以下であり、該吸水率が0.2重量%以
下であることは、特に好ましい。
【0042】本発明の光学部品用成形材料(II)は、高
度に精製されたものであることが望ましく、該成形材料
中には不溶性粒子が一定量以上存在しないことが好まし
い。不溶性粒子とは、成形材料中に含まれる、塵、粉
塵、異物などの不純物の総称であって、成形材料と相溶
しないで成形材料または成形体(光学部品)中にあって
は、光の散乱などを引き起こして透明性低下の原因とな
るためである。
【0043】具体的には、本発明の光学部品用成形材料
(II)をジクロロメタンに溶解させた溶液中で液体パー
ティクルカウンターを用いて測定された不溶性粒子が、
該成形材料1gあたり、粒子換算直径0.5μm以上の
ものが3×104個以下であることが好ましく、より好
ましくは、2.5×104個以下であり、さらに好まし
くは、2×104個以下である。さらに該光学部品用成
形材料(II)において、粒子換算直径50μm以上の不
溶性粒子は実質上検出されないことが好ましい。また粒
子換算直径0.5μm以下の不溶性粒子は3×104
以下であることが好ましく、より好ましくは、3×10
4個以下である。
【0044】本発明に係るポリカーボネート共重合体
(II)において、末端基は、ヒドロキシ基、ハロホーメ
ート基、炭酸エステル基等の反応性の末端基であっても
よく、また、後述するような分子量調節剤で封止された
不活性な末端基であってもよい。好ましくは、分子量調
節剤で封止された不活性な末端基である。末端基の構造
単位としては、後述するような分子量調節剤から誘導さ
れる構造単位が挙げられる。
【0045】本発明に係るポリカーボネート(II)中の
末端基の量は、特に制限されないが、一般にポリマーの
分子量と関係があって、通常、構造単位の総モル数に対
して、0.001〜10モル%であり、好ましくは、
0.01〜5モル%であり、より好ましくは、0.05
〜3モル%である。
【0046】本発明に係るポリカーボネート共重合体
(II)それ自体は、公知の各種ポリカーボネート重合方
法〔例えば、実験化学講座第4版(28)高分子合成、
231〜242頁、丸善出版(1988年)に記載の溶
液重合法、エステル交換法または界面重合法等〕などに
より、好適に、製造される。
【0047】前記の方法に従い、本発明に係るポリカー
ボネート共重合体(II)を重合反応により製造する際
に、分子量を調節する目的で、分子量調節剤の存在下に
重合を行うことは好ましいことである。分子量調節剤と
しては特に限定されるものではなく、ポリカーボネート
重合の際に使用される公知の分子量調節剤が用いられ
る。例えば、1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒド
ロキシ芳香族化合物、もしくはそれらの誘導体(例え
ば、1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳
香族化合物のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、
1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族
化合物のハロホーメート化合物、1価のヒドロキシ脂肪
族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物の炭酸エステル
など)、1価のカルボン酸もしくはその誘導体(例え
ば、1価のカルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土
類金属塩、1価のカルボン酸の酸ハライド、1価のカル
ボン酸のエステルなど)等が挙げられる。
【0048】これらの分子量調節剤の中でも、好ましく
は、1価のヒドロキシ芳香族化合物またはそれらの誘導
体であり、より好ましくは、フェノールまたはアルキル
基で置換されたフェノールまたはそれらの誘導体であ
る。
【0049】分子量調節剤の使用量は特に制限するもの
でなく、目的の分子量に調節するために、所望に応じて
用いればよい。通常、重合するジヒドロキシ化合物の総
モル数に対して、0.001〜10モル%であり、好ま
しくは0.01〜5モル%である。
【0050】本発明のポリカーボネート共重合体(II)
は、本発明の所望の効果を損なわない範囲において、式
(1−a)および式(2−a)で表される繰り返し構造
単位以外に、他の繰り返し構造単位を含有していてもよ
い。
【0051】この場合、全繰り返し構造単位中の式(1
−a)および式(2−a)で表される繰り返し構造単位
の占める割合は、通常、50モル%以上であり、好まし
くは、70モル%であり、より好ましくは、80モル%
以上であり、さらに好ましくは、90モル%以上であ
る。
【0052】本発明で用いられる式(1−a)および式
(2−a)以外の他の繰り返し構造単位とは、式(1)
で表されるビスフェノールMおよび式(2)で表される
ビスフェノールA以外の他のジヒドロキシ化合物から誘
導される繰り返し構造単位である。かかるジヒドロキシ
化合物として、上記ポリカーボネート(I)の説明にお
いて挙げたような、各種公知の芳香族ジヒドロキシ化合
物または脂肪族ジヒドロキシ化合物を例示することがで
きる。
【0053】本発明の所望の効果を最大限に得るために
は、前記式(1−a)および式(2−a)で表される繰
り返し構造単位のみからなる、他の繰り返し構造単位を
含有しないポリカーボネート二元共重合体は、特に好ま
しい。
【0054】本発明に係るポリカーボネート共重合体
(II)中における不溶性粒子の量を、上述したような光
学部品用成形材料として好ましい範囲にするためには、
重合反応過程、単離工程およびペレット化工程(造粒工
程)において、不溶性粒子が混入しないか、あるいは、
除去し得る操作、方法を実施する必要がある。
【0055】かかる操作、方法として、例えば、重合反
応後または/およびポリマー単離工程の前にポリマー溶
液または液体状ポリマーを、公知の各種フィルター等を
用いて濾過する操作を行う操作、不溶性粒子の除去装置
を備えた造粒装置(ペレッタイザーなど)を使用する方
法、前述の一連の操作をクリーンルーム内で実施する方
法などが例示されるが、これら例示に限定されるもので
はない。
【0056】以上詳述したように、本発明の光学部品用
成形材料は、本発明に係るポリカーボネート(I)また
はポリカーボネート共重合体(II)を必須構成成分とし
て含有するほかに、リン原子含有化合物または/および
フェノール系酸化防止剤を添加して含有させることが好
ましく、これらの構成成分からなる成形材料である。本
発明の光学部品用成形材料中に配合させるリン系原子含
有化合物の添加量は、本発明に係るポリカーボネート
(I)またはポリカーボネート共重合体(II)100重
量部に対して、通常、0.01〜5重量部であり、好ま
しくは、0.02〜2重量部であり、より好ましくは、
0.05〜1重量部である。
【0057】かかるリン原子含有化合物としては、亜リ
ン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれら
のエステル誘導体が挙げられる。かかる化合物の具体例
としては、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチ
ルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリオクチ
ルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシルホスファ
イト)、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファ
イト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオクタ
デシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、ト
リス(2−クロロエチル)ホスファイト、トリス(2,
3−ジクロロプロピルホスファイト)、トリシクロヘキ
シルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリク
レジルホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
フェニル−ジデシルホスファイト、ジフェニル−イソオ
クチルホスファイト、ジフェニル−2−エチルヘキシル
ホスファイト、ジフェニル−デシルホスファイト、ジフ
ェニル−トリデシルホスファイト、ビス(トリデシル)
−ペンタエリスチリル−ジホスファイト、ジステアリル
−ペンタエリスチリル−ジホスファイト、ジフェニル−
ペンタエリスチリル−ジホスファイト、ビス(ノニルフ
ェニル)−ペンタエリスチリル−ジホスファイト、ビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ペンタエ
リスチリル−ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−te
rt−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスチ
リル−ジホスファイト、テトラフェニル−ジプロピレン
グリコール−ジホスファイト、テトラ(トリデシル)−
4,4’−イソプロピリデンジフェニル−ジホスファイ
ト、テトラ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
−4,4’−ジフェニルホスファイト、テトラフェニル
テトラ(トリデシル)ペンタエリスチリルテトラホスフ
ァイト、トリラウリルトリチオホスファイトなどの亜リ
ン酸類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェ
ート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェ
ート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジ
ブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソ
プロピルホスフェートなどのリン酸類;テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−
ジフェニレンホスホナイトなどの亜ホスホン酸類;ベン
ゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチ
ル、ベンゼンホスホン酸ジイソプロピルなどのホスホン
酸類が例示されるが、これらに限定されるものではな
い。これらのリン原子含有化合物の中でも、亜リン酸誘
導体であり、リン酸エステル誘導体は、好ましい。これ
らのリン系化合物は、単独で用いてもよく、あるいは、
2種類以上併用しても差し支えない。
【0058】本発明の光学部品用成形材料中に配合させ
るフェノール系酸化防止剤の添加量は、本発明に係るポ
リカーボネート(I)またはポリカーボネート共重合体
(II)100重量部に対して、通常、0.0001〜2
重量部であり、好ましくは、0.001〜1重量部であ
り、より好ましくは、0.01〜0.5重量部である。
【0059】また、フェノール系酸化防止剤としては、
例えば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−
tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビ
ス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−5−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタ
エリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−te
rt−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビ
ス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−
ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステ
ル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)イソシアヌレートなどの公知の各種フ
ェノール系酸化防止剤が例示されるが、これらに限定さ
れるものではない。これらのフェノール系酸化防止剤
は、単独で用いてもよく、あるいは、2種類以上併用し
ても差し支えない。
【0060】さらに本発明の光学部品用成形材料は、溶
融成形時の金型からの離型性などを改良する目的で、必
要に応じて一価または多価アルコールの高級脂肪酸エス
テル類を添加することは好ましいことである。本発明の
光学部品用成形材料中に添加する高級脂肪酸エステル類
の添加量は、本発明に係るポリカーボネート(I)また
はポリカーボネート共重合体(II) 100重量部に対
して、通常、0.0001〜2重量部であり、好ましく
は、0.001〜1重量部であり、より好ましくは、
0.01〜0.5重量部である。かかる高級脂肪酸エス
テル類として、より好ましくは、炭素数1〜20の一価
または多価アルコールと炭素数10〜30の飽和脂肪酸
の部分エステルまたは全エステルである。該高級脂肪酸
エステル類として具体的には、例えば、ステアリン酸モ
ノグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヒニ
ン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステア
レート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、プ
ロピレングリコールモノステアレート、ステリルステア
レート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレー
ト、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、2
―エチルヘキシルステアレート等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。これらの高級脂肪酸エス
テル類は、単独で用いてもよく、あるいは、2種類以上
併用しても差し支えない。
【0061】本発明の光学部品用成形材料は、本発明の
所望の効果を損なわない範囲で、製造時あるいは成形時
に、前述の酸化防止剤以外にも公知の各種添加剤、例え
ば、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、難燃剤(例えば、有
機ハロゲン系化合物、リン系化合物など)、流動性改良
剤、帯電防止剤、熱安定剤(例えば、フェノール系、硫
黄系、リン酸金属塩、亜リン酸金属塩など)などを含有
していても差し支えない。
【0062】本発明の光学部品用成形材料に、上述した
ような添加剤を添加するには、任意の方法で行うことが
できる。かかる方法として、例えば、タンブラーミル、
V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサ
ー、混錬ロール、押出機等で混合する方法が挙げられ
る。
【0063】本発明の光学部品用成形材料は熱可塑性で
あって、溶融状態で射出成形、射出圧縮成形、押出成
形、ブロー成形が可能であり、さらには、圧縮成形、溶
液キャスティングなど各種公知の成形方法によって成形
可能である。本発明の光学プラスチックレンズなどの光
学部品は、これらの成形方法によって好適に製造され
る。
【0064】本発明の光学部品用成形材料を成形して得
られる光学部品としては、代表的には、カメラ、VTR
などの撮像機器用光学プラスチックレンズ、ピックアッ
プ用対物レンズ、コリメトリーレンズ、フレネルレン
ズ、fΘレンズなどの各種光学用のプラスチックレンズ
が例示される。これらの光学部品は、上述したような従
来公知の各種成形方法(好ましくは、射出成形、射出圧
縮成形など)により、好適に成形され製造される。
【0065】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。下記製造例および実施例で製造したポリカーボ
ネート(共)重合体、ならびに、該ポリカーボネート
(共)重合体を含有してなる光学部品用成形材料の物性
の測定は、以下の方法により行った。 〔重量平均分子量およびオリゴマー量の測定〕後述の製
造例、実施例ならびに比較例において得られたポリカー
ボネートの0.2重量%クロロホルム溶液を、GPC
(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)〔昭
和電工(株)製、System−11〕により測定し、
重量平均分子量(Mw)を求めた。尚、測定値は、標準
ポリスチレン換算の値である。また、GPC分析チャー
トにおいて、ポリマーの全ピーク面積に対する重量平均
分子量が5×10以下を示すピーク面積の割合(百分
率)を算出して、オリゴマー量を求めた。 [ジクロロメタン溶液中の不溶性粒子]光学部品用成形
材料20gをジクロロメタン 1リットルに溶解した溶
液を、液体パーティクルカウンター(ハイアックロイコ
社製モデル4100)を用いたレーザーセンサー法に
て、散乱光をラテックス粒子の散乱光に換算する方法で
求めた。 [吸水率の測定]ASTM D−0570に従って測定し
た。 [屈折率、アッベ数]得られた成形材料を260℃でプ
レス機によりプレス成形してシート状試験片を作成し、
プルフリッヒ屈折計を用いて、20℃で測定した。 [複屈折率]得られた成形材料の厚さ5μmの薄膜をシリ
コンウエハー上に作成した。すなわち、各成形材料の
1,1,1−トリクロロエタン溶液(20%濃度)を孔
径0.45μmのテフロン(登録商標)製フィルターで
濾過した後、シリコンウエハー(直径5インチ)上に回
転数2000rpm、5秒間の条件下でスピンコートし
た。その後、70℃で15分間乾燥して、溶媒を留去さ
せて、厚さ5μmの該成形材料の薄膜を作成した。プリ
ズムカプラ(メトリコン社製モデル2020)を使用し
て632nmレーザー光源を用いて、該薄膜のTEモー
ド光およびTMモード光での屈折率を測定し、それらの
差として複屈折率を求めた。 [ガラス転移温度の測定]示差走査熱量分析計(DSC−
3100、マックサイエンス社製)で、0℃〜300℃
の温度範囲で示差熱分析(DSC法)を行ない、測定し
た。 [溶融流動性;メルトフローレートの測定]光学部品用
成形材料のペレットを用いて、JIS K−7210に
従って測定した。すなわちセミオートメルトインデクサ
ー(東洋精機製)により、280℃、荷重2.16kg
の条件下、10分間で流出したポリマーの重量(g)を
求めた。
【0066】製造例1(GPC分析による重量平均分子
量が170×10であるビスフェノールMポリカーボ
ネートの製造) 内容量2リットルのバッフル付きフラスコに、格子翼を
備えた撹拌機、還流冷却管、ホスゲン吹き込み用浸漬管
を設けた。このフラスコに、α、α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン
(ビスフェノールM) 173g(0.50モル)、水
酸化ナトリウム 56g(1.40モル)の水酸化ナト
リウム、フェノール 0.471g(0.005モル)
および600ミリリットルの脱イオン水を装入し、ナト
リウム塩スラリー溶液を調製した。その後、該スラリー
溶液に600ミリリットルのジクロロメタンを添加して
混合物に、この2相混合物を撹拌しながら、該混合物に
59.4g(0.60モル)の塩化カルボニルを9.9
g/分の供給速度で供給した。塩化カルボニルの供給終
了後、0.08gのトリエチルアミンを反応混合物に添
加し、さらに90分間撹拌混合した。その後、撹拌を停
止し、反応混合物を分液し、ジクロロメタン相を塩酸水
溶液により中和し、脱イオン水を使用して、水性洗浄液
に電界質が実質的に検出されなくなるまで洗浄した。そ
の後、該ジクロロメタン溶液からポリカーボネートの単
離および該ポリカーボネートの造粒(ペレット化)を、
クリーンルーム(クラス1000)内で実施した。使用
する溶媒(メタノール、アセトンなど)および脱イオン
水は、ポア径0.45μmのフィルターで濾過すること
により浮遊物、異物などを除去した。さらに使用する器
具、装置などは、前記方法で精製された溶媒または水を
用いて洗浄した。前述したジクロロメタン溶液をテフロ
ン(登録商標)製フィルター(ポアサイズ0.45μ
m)で濾過した後、1リットルのイオン交換水に45℃
で非常にゆっくりと滴下し、析出した白色粉末状のポリ
マーを濾過して集めて、減圧乾燥した。式(1−a)で
表される繰り返し構造単位を含有してなるポリカーボネ
ート170gを得た。得られたポリカーボネートの前記
方法に従い、GPC分析を行ったところ、標準ポリスチ
レン換算で重量平均分子量は170×10であり、重
量平均分子量が5×10以下のオリゴマー量(面積
%)は、6.5%であった。示差走査熱量分析計(DS
C−3100、マックサイエンス社製)で、0℃〜30
0℃の温度範囲で示差熱分析を行ったところ、ガラス転
移温度(Tg)は102℃であった。得られたポリカー
ボネートの1重量%重水素化クロロホルム溶液1H−N
MR、ならびに、IR測定結果を以下に示した。 1H−NMR δ(CDCl3): 1.4(s,12
H)、6.3〜7.2(m,12H) IR(KBr法):1780cm-1[−O−C(=O)
−O−]
【0067】製造例2 製造例1において、分子量調節剤(末端停止剤)として
フェノール 0.471g(0.005モル)を使用す
る代わりに、tert−ブチルフェノール1.50g
(0.01モル)を使用する以外は、製造例1と同様に
して行った。GPC分析の測定により、標準ポリスチレ
ン換算で重量平均分子量は80×10であり、また重
量平均分子量が5×10以下のオリゴマー量(面積
%)は、7.5%であった。
【0068】実施例1(製造例1で製造したビスフェノ
ールMポリカーボネートを用いた本発明の光学部品用成
形材料の製造) 製造例1で製造したビスフェノールMポリカーボネート
100重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチル
フェニル)ホスファイト0.1重量部およびペンタエリ
スチリル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部
を、ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機
(65mm)にてシリンダー温度220℃で脱気しなが
ら溶融混練し、押し出しペレット化して、本発明の光学
部品成形材料(ペレット状物)を得た。
【0069】実施例2(製造例2で製造したビスフェノ
ールMポリカーボネートを用いた本発明の光学部品用成
形材料の製造) 製造例2で製造したビスフェノールMポリカーボネート
100重量部、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペ
ンタエリスチリルテトラホスファイト0.2重量部およ
びペンタエリスチリル[3−(3,5−ジ-tert−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
0.1重量部を、ヘンシェルミキサーにて混合した後、
単軸押出機(65mm)にてシリンダー温度215℃で
脱気しながら溶融混練し、押し出しペレット化して、本
発明の光学部品成形材料(ペレット状物)を得た。
【0070】実施例3 製造例1において、分子量調節剤(末端停止剤)として
フェノール 0.471g(0.005モル)を使用す
る代わりに、フェノール2.35g(0.025モル)
を使用する以外は、製造例1と同様にして行った。重量
平均分子量は40×10であった。また該GPC分析
において、重量平均分子量が5×10以下のオリゴマ
ー量(面積%)は8.5%であった。得られたポリカー
ボネートを用いて上記実施例2と同様にして、酸化防止
剤の添加、混合および押出しペレット化を行い、上記ビ
スフェノールMポリカーボネートからなる成形材料を得
た。
【0071】実施例4 実施例3において、ビスフェノールMポリカーボネート
のジクロロメタン溶液からポリカーボネートの単離およ
び該ポリカーボネートの造粒(ペレット化)を、クリー
ンルーム(クラス1000)内で実施せず、通常クリー
ンレベルである実験室および作業室内で行った。得られ
たポリカーボネートを用いて上記実施例2と同様にし
て、酸化防止剤の添加、混合および押出しペレット化を
行い、上記ビスフェノールMポリカーボネートからなる
成形材料を得た。
【0072】比較例1 製造例1において、ビスフェノールMの代わりに、ビス
フェノールA(BPA)を使用する以外は、実施例1に
記載の方法と同様にして、ビスフェノールAのポリカー
ボネートを製造した。重量平均分子量は30×10
あった。得られたポリカーボネートを用いて上記実施例
2と同様にして、酸化防止剤の添加、混合および押出し
ペレット化を行い、ビスフェノールAポリカーボネート
からなる成形材料を得た。上記実施例で得られた本発明
の光学部品用成形材料ならびに比較例で製造したポリカ
ーボネート(成形材料)の物性評価を前記方法に従って
行った。結果を下記第1表(表1)に示した。
【0073】
【表1】
【0074】実施例5(本発明の光学部品用成形材料を
用いたレンズの製造) 実施例2で製造した光学部品用成形材料のペレットを3
0t直圧式成形機にて、成形温度270℃、金型温度7
0℃で射出成形して、無色透明、プラスレンズ(凸レン
ズ;直径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚1.0m
m、+2.00D)形状の成形体を得た。なお、成形体
の金型からの離型性は良好であり、問題なかった。この
成形体を偏光板の間において観察したところ、脈理、歪
みなどは観察されず、複屈折の低い光学的に均質なもの
であった。このように本発明の成形材料を使用すること
により、汎用ポリカーボネートと比較して低い温度(2
60℃)で成形が可能で、かつ、光学的に均質なレンズ
を好適に製造することができた。また、こうして得られ
た本発明のプラスチックレンズは、透明性、機械物性、
耐候性(耐熱性、耐湿性、耐光性など)等の特性面にお
いて、実用上、良好な特性を示した。
【0075】比較例2(汎用ポリカーボネートを用いた
レンズの製造) 比較例1で製造した汎用ポリカーボネートのペレットを
30t直圧式成形機にて、成形温度280℃、金型温度
100℃で射出成形して、無色透明、プラスレンズ(凸
レンズ;直径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚1.
0mm、+2.00D)形状の成形体を得た。この成形
体を偏光板の間において観察したところ、成形時の樹脂
配向、応力歪みなどに由来すると思われる複屈折が観察
され、光学的には不均質なものであった。
【0076】製造例3(ポリカーボネート共重合体の製
造) 内容量2リットルのバッフル付きフラスコに、格子翼を
備えた撹拌機、還流冷却管、ホスゲン吹き込み用浸漬管
を設けた。このフラスコに、α、α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン
(ビスフェノールM) 34.65g(0.10モ
ル)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロ
パン (ビスフェノールA)91.32g(0.40モ
ル)、水酸化ナトリウム 56g(1.40モル)、フ
ェノール 0.942g(0.010モル;ジヒドロキ
シ化合物の総モル数に対して、2モル%)およびイオン
交換水 600gを装入し、前記ビスフェノールの混合
物のナトリウム塩スラリー溶液を調製した。該スラリー
溶液にジクロロメタン 600mlを添加して得られた
混合物を激しく撹拌しながら、該混合物に対して、5
9.4g(0.60モル)の塩化カルボニルを10g/
分の供給速度で供給した。塩化カルボニルの供給終了
後、0.08gのトリエチルアミンを反応混合物に添加
し、さらに90分間撹拌混合した。その後、撹拌を停止
し、反応混合物を分液し、ジクロロメタン相を塩酸水溶
液により中和し、イオン交換水を使用して、水性洗浄液
に電解質が実質的に検出されなくなるまで、洗浄した。
その後、該ジクロロメタン溶液からポリカーボネートの
単離および該ポリカーボネートの造粒(ペレット化)
を、クリーンルーム(クラス1000)内で実施した。
使用する溶媒(メタノール、アセトンなど)およびイオ
ン交換水は、ポア径0.45μmのフィルターで濾過す
ることにより浮遊物、異物などを除去した。さらに使用
する器具、装置などは、前記方法で精製された溶媒また
は水を用いて洗浄した。前述したジクロロメタン溶液を
テフロン(登録商標)製フィルター(ポアサイズ0.4
5μm)で濾過した後、1リットルのイオン交換水に4
5℃で非常にゆっくりと滴下し、析出した白色粉末状の
ポリマーを濾過して集めて、減圧乾燥した。前記式(1
−a)で表される繰り返し構造単位を含有してなるポリ
カーボネート170gを得た。得られたポリカーボネー
トの前記方法に従い、GPC分析を行ったところ、標準
ポリスチレン換算で重量平均分子量は72×103であ
り、重量平均分子量が5×103以下のオリゴマー量
(面積%)は、6.0%であった。示差走査熱量分析計
(DSC−3100、マックサイエンス社製)で、0℃
〜300℃の温度範囲で示差熱分析を行ったところ、ガ
ラス転移温度(Tg)は133℃であった。得られたポ
リカーボネートの1H−NMR(1重量%重水素化クロ
ロホルム溶液)およびIRの測定結果を以下に示した。 IR(KBr法): 1780cm-1[−O−C(=
O)−O−] 1H−NMRを測定結果で、ビスフェノールM構造中の
イソプロピリデン基のプロトンとビスフェノールA構造
中のプロピリデン基のプロトンとの積分比から、共重合
体中に含まれる式(1−a)で表される構造単位と、式
(2−a)で表される構造単位の比(モル比)は、2
0:80であることが確認された。
【0077】製造例4 製造例3において、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェ
ノールM) 34.65g(0.10モル)、2,2−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン (ビスフ
ェノールA)91.32g(0.40モル)を使用する
代りに、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)
51.97g(0.15モル)、2,2−ビス(4’
−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)
79.90g(0.35モル)を使用する以外は、製造
例1に記載の方法と同様にして行った。GPCの分析に
より、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は75×
103であり、また重量平均分子量が5×103以下のオ
リゴマー量(面積%)は、6.5%であった。また、D
SC法による、ガラス転移温度(Tg)は126℃であ
った。1H−NMRを測定結果で、共重合体中に含まれ
る式(1−a)で表される構造単位と、式(2−a)で
表される構造単位の比(モル比)は、30:70である
ことが確認された。
【0078】製造例5 製造例3において、分子量調節剤(末端停止剤)として
フェノール 0.942g(0.010モル)を使用す
る代わりに、tert−ブチルフェノール2.25g
(0.015モル)を使用する以外は、製造例3と同様
にして行った。GPC分析の測定により、標準ポリスチ
レン換算で重量平均分子量は55×103であり、また
重量平均分子量が5×103以下のオリゴマー量(面積
%)は、6.0%であった。また、DSC法による、ガ
ラス転移温度(Tg)は133℃であった。1H−NM
Rを測定結果で、共重合体中に含まれる式(1−a)で
表される構造単位と、式(2−a)で表される構造単位
の比(モル比)は、20:80であることが確認され
た。
【0079】比較製造例1 公知の汎用ポリカーボネートを製造する方法に従って、
ビスフェノールAのポリカーボネートを製造した。すな
わち、製造例3において、α、α’−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビ
スフェノールM)34.65g(0.10モル)、2,
2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン (ビ
スフェノールA)91.32g(0.40モル)を使用
する代りに、ビスフェノールA114.2g(0.50
モル)を使用する以外は、製造例3に記載の方法と同様
にして、ビスフェノールAのポリカーボネートを製造し
た。重量平均分子量は50×103であった。また、D
SC法による、ガラス転移温度(Tg)は150℃であ
った。
【0080】比較製造例2 製造例3において、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェ
ノールM) 34.65g(0.10モル)、2,2−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン (ビスフ
ェノールA)91.32g(0.40モル)を使用する
代りに、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)
8.66g(0.025モル)、2,2−ビス(4’
−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)
108.44g(0.475モル)を使用する以外は、
製造例3に記載の方法と同様にして行った。GPCの分
析により、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は5
5×103であり、また重量平均分子量が5×103以下
のオリゴマー量(面積%)は、5.0%であった。ま
た、DSC法による、ガラス転移温度(Tg)は144
℃であった。1H−NMRを測定結果で、共重合体中に
含まれる式(1−a)で表される構造単位と、式(2−
a)で表される構造単位の比(モル比)は、5:95で
あることが確認された。
【0081】比較製造例3 製造例3において、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェ
ノールM) 34.65g(0.10モル)、2,2−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン (ビスフ
ェノールA)91.32g(0.40モル)を使用する
代りに、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)
69.29g(0.20モル)、2,2−ビス(4’
−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)
68.49g(0.30モル)を使用する以外は、製造
例3に記載の方法と同様にして行った。GPCの分析に
より、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量は78×
103であり、また重量平均分子量が5×103以下のオ
リゴマー量(面積%)は、7.5%であった。また、D
SC法による、ガラス転移温度(Tg)は118℃であ
った。1H−NMRを測定結果で、共重合体中に含まれ
る式(1−a)で表される構造単位と、式(2−a)で
表される構造単位の比(モル比)は、40:60である
ことが確認された。
【0082】実施例6 (製造例3で製造したポリカー
ボネート共重合体を用いた、本発明の光学部品用成形材
料の製造) 製造例3で製造したポリカーボネート共重合体 100
重量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフェニ
ル)ホスファイト 0.1重量部およびペンタエリスチ
リル[3−(3,5−ジ-tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート] 0.1重量部を、
ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65
mm)にてシリンダー温度235℃で脱気しながら溶融
混練し、押し出しペレット化して、本発明の光学部品用
成形材料(ペレット状物)を得た。
【0083】実施例7 (製造例4で製造したポリカー
ボネート共重合体を用いた、本発明の光学部品用成形材
料の製造) 製造例4で製造したポリカーボネート共重合体 100
重量部、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエ
リスチリルテトラホスファイト0.1重量部およびペン
タエリスチリル[3−(3,5−ジ-tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重
量部を、ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出
機(65mm)にてシリンダー温度230℃で脱気しな
がら溶融混練し、押し出しペレット化して、本発明の光
学部品用成形材料(ペレット状物)を得た。
【0084】実施例8 (製造例5で製造したポリカー
ボネート共重合体を用いた本発明の光学部品用成形材料
の製造) 製造例5で製造したポリカーボネート共重合体 100
重量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフェニ
ル)ホスファイト 0.2重量部およびペンタエリスチ
リル[3−(3,5−ジ-tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]0.2重量部を、ヘ
ンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65m
m)にてシリンダー温度235℃で脱気しながら溶融混
練し、押し出しペレット化して、本発明の光学部品用成
形材料(ペレット状物)を得た。
【0085】比較例3 (比較製造例1で製造した汎用
ポリカーボネートを用いた、本発明の光学部品用成形材
料の製造) 比較製造例1で製造した汎用ポリカーボネート100重
量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフェニ
ル)ホスファイト 0.1重量部およびペンタエリスチ
リル[3−(3,5−ジ-tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部を、ヘ
ンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65m
m)にてシリンダー温度260℃で脱気しながら溶融混
練し、押し出しペレット化して、成形材料(ペレット状
物)を得た。
【0086】比較例4 (比較製造例2で製造したポリ
カーボネート共重合体を用いた、本発明の光学部品用成
形材料の製造) 比較製造例2で製造したポリカーボネート共重合体 1
00重量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフ
ェニル)ホスファイト 0.1重量部およびペンタエリ
スチリル[3−(3,5−ジ-tert−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部
を、ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機
(65mm)にてシリンダー温度250℃で脱気しなが
ら溶融混練し、押し出しペレット化して、成形材料(ペ
レット状物)を得た。
【0087】比較例5 (比較製造例3で製造したポリ
カーボネート共重合体を用いた、本発明の光学部品用成
形材料の製造) 比較製造例3で製造したポリカーボネート共重合体 1
00重量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフ
ェニル)ホスファイト 0.1重量部およびペンタエリ
スチリル[3−(3,5−ジ-tert−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部
を、ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機
(65mm)にてシリンダー温度220℃で脱気しなが
ら溶融混練し、押し出しペレット化して、成形材料(ペ
レット状物)を得た。上記実施例で製造した本発明の光
学部品用成形材料、ならびに、比較製造例で製造したポ
リカーボネートを用いた成形材料の物性評価を前記方法
に従って行った。結果を下記第2表(表2)に示した。
【0088】
【表2】
【0089】実施例9(本発明の光学部品用成形材料を
用いたレンズの製造) 実施例6で製造した光学部品用成形材料のペレットを3
0t直圧式成形機にて、成形温度270℃、金型温度7
0℃で射出成形して、無色透明、プラスレンズ(凸レン
ズ;直径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚1.0m
m、+2.00D)形状の成形体を得た。なお、成形体
の金型からの離型性は良好であり、問題なかった。この
成形体を偏光板の間において観察したところ、脈理、歪
みなどは観察されず、複屈折の低い光学的に均質なもの
であった。このように本発明の成形材料を使用すること
により、汎用ポリカーボネートと比較して低い温度(2
60℃)で成形が可能で、かつ、光学的に均質なレンズ
を好適に製造することができた。また、こうして得られ
た本発明のプラスチックレンズは、透明性、機械物性、
耐候性(耐熱性、耐湿性、耐光性など)等の特性面にお
いて、実用上、良好な特性を示した。
【0090】比較例6(汎用の成形材料を用いたレンズ
の製造) 比較例3で製造した汎用ポリカーボネートからなる成形
材料(ペレット)を、30t直圧式成形機にて、成形温
度300℃、金型温度110℃で射出成形して、無色透
明、プラスレンズ(凸レンズ;直径75mm、中心厚
4.2mm、コバ厚1.0mm、+2.00D)形状の
成形体を得た。この成形体を偏光板の間において観察し
たところ、成形時の樹脂配向、応力歪みなどに由来する
と思われる複屈折が観察され、光学的には不均質なもの
であった。
【0091】比較例7(公知の成形材料を用いたレンズ
の製造) 比較例5で製造した成形材料(ペレット)を、30t直
圧式成形機にて、成形温度260℃、金型温度80℃で
射出成形して、無色透明、プラスレンズ(凸レンズ;直
径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚1.0mm、+
2.00D)形状の成形体を得た。本発明の成形体と比
較して、得られた成形体の加熱変形温度は低く、また、
機械的特性(耐衝撃性)が劣っていた。
【0092】
【発明の効果】本発明の光学部品用成形材料(I)は、
低吸水性であり、かつ、透明性、低複屈折性、溶融流動
性に優れている。また、本発明の光学部品用成形材料
(II)は、透明性に優れ、低吸水性、高屈折率、低複屈
折性であって、かつ、熱的特性(ガラス転移温度)、溶
融流動性(成形加工性)、機械的特性が良好である。要
望される諸物性、諸特性に応じて、これら光学部品用成
形材料を適宜使用することにより、高精度、高品質の光
学部品(例えば、カメラ、VTRなどの撮像機器用の光
学プラスチックレンズ、光情報記録媒体などで使用され
るピックアップレンズなどのレーザー光学系プラスチッ
クレンズ等に代表される光学プラスチックレンズなど)
が、好適に製造され提供可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川畑 朋之 千葉県袖ヶ浦市長浦580番地32 三井化学 株式会社内 (72)発明者 丸林 博雅 千葉県袖ヶ浦市長浦580番地32 三井化学 株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA50 AA81 AF10Y AF30 AF31 AH12 4J029 AA09 AB07 AC01 AC02 AD01 AD10 AE04 AE05 BB12A BB13A BB16A HA01 HC01 HC04 HC05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1−a)(化1)で表される繰り返
    し構造単位を有するポリカーボネート(共)重合体にお
    いて、 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
    分析による重量平均分子量が標準ポリスチレン換算で、
    5×10以下の領域にあるオリゴマーの含有量が面積
    比率で12%以下であり、かつ ASTM D−0570に準じた吸水率測定による吸
    水率が0.25%以下である光学部品用成形材料。 【化1】
  2. 【請求項2】全繰り返し構造単位中に占める式(1−
    a)で表される繰り返し構造単位の割合が90モル%以
    上であり、かつポリカーボネートのゲルパーミエーショ
    ンクロマトグラフィー(GPC)による分析において、
    重量平均分子量が標準ポリスチレン換算で、50×10
    〜300×10である請求項1記載の光学部品用成
    形材料。
  3. 【請求項3】式(1−a)に加えてさらに式(2−a)
    (化2)で表される繰り返し構造単位を有し、かつ式
    (1−a)および式(2−a)で表される繰り返し構造
    単位中に占める、式(1−a)で表される繰り返し構造
    単位と、式(2−a)で表される繰り返し構造単位のモ
    ル比率が、10:90〜35:65である請求項1記載
    の光学部品用成形材料。 【化2】
  4. 【請求項4】 ポリカーボネート共重合体の重量平均分
    子量が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
    PC)による分析において標準ポリスチレン換算で20
    ×10〜200×10である請求項3記載の光学部
    品用成形材料。
  5. 【請求項5】請求項1〜4記載の光学部品用成形材料を
    成形して得られる光学部品。
  6. 【請求項6】請求項1〜4記載の光学部品用成形材料を
    成形して得られる光学プラスチックレンズ。
  7. 【請求項7】請求項1〜4記載の光学部品用成形材料を
    成形して得られるピックアップレンズ。
  8. 【請求項8】請求項1〜4記載の光学部品用成形材料を
    成形して得られる撮像機器用光学プラスチックレンズ。
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