JP2003093007A - 大豆の発芽制御法およびそれにより得られた発芽処理大豆、並びにそれを用いた大豆加工食品およびその製法 - Google Patents

大豆の発芽制御法およびそれにより得られた発芽処理大豆、並びにそれを用いた大豆加工食品およびその製法

Info

Publication number
JP2003093007A
JP2003093007A JP2001292190A JP2001292190A JP2003093007A JP 2003093007 A JP2003093007 A JP 2003093007A JP 2001292190 A JP2001292190 A JP 2001292190A JP 2001292190 A JP2001292190 A JP 2001292190A JP 2003093007 A JP2003093007 A JP 2003093007A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soybean
germination
soybeans
bubbling
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001292190A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideki Kosaka
英樹 小阪
Toshiya Toda
登志也 戸田
Takenori Okudaira
武則 奥平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujicco Co Ltd
Original Assignee
Fujicco Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujicco Co Ltd filed Critical Fujicco Co Ltd
Priority to JP2001292190A priority Critical patent/JP2003093007A/ja
Publication of JP2003093007A publication Critical patent/JP2003093007A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cultivation Receptacles Or Flower-Pots, Or Pots For Seedlings (AREA)
  • Beans For Foods Or Fodder (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】栄養価および呈味性の改善効果を期待できる発
芽状態にある大豆を、簡便かつ効率よく得ることのでき
る、大豆の発芽制御法およびそれにより得られた発芽処
理大豆、並びにそれを用いた大豆加工食品およびその製
法を提供する。 【解決手段】浸漬槽1内の水2に、水洗された大豆原穀
(大豆収容用網かご3に入れられている)を浸漬し、上
記浸漬槽1内の底部に配設された製泡装置4(チューブ
を介して空気ポンプ5が連結されている)によって気泡
6を発生(バブリング)させ、大豆の発芽を促すように
し、上記バブリングにおける空気の総量を調節すること
により発芽の制御を行い、発芽直前から直後の任意の状
態にある発芽処理大豆を生産し、さらに、上記発芽処理
大豆を原料とし、特定の処理を施すことにより、納豆等
の大豆加工食品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所望する発芽(な
いし発芽直前)状態となるようにする大豆の発芽制御法
およびそれにより得られた発芽処理大豆、並びにそれを
用いた大豆加工食品およびその製法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】大豆は、タンパク質等の栄養分が豊富な
食品として親しまれており、例えば、煮豆、納豆、豆
腐、豆乳等のさまざまな食品の材料として、従来から用
いられている。一方、大豆は、発芽する直前の状態とな
ったとき、その栄養分が豊富になり、呈味性も良くなる
といったことが近年知られるようになり、それにともな
い、大豆を、原穀のまま用いずに、ある程度発芽を促
し、その大豆を、煮豆等に加工するといった試みが各種
なされている。具体的には、特開平11−123060
号公報に開示されているような方法、すなわち、まず、
水洗された大豆原穀を水中に一定時間浸漬した後、この
大豆原穀を水中から取り出し、水切りして発芽床に移
し、間欠的に散水したり、湿らせた布に包むといった発
芽処理を6〜18時間行うことによってある程度の発芽
を促し、その後、発芽床から取り出して、納豆や豆腐に
加工するといった方法があげられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法では、大豆原穀を水中に一定時間浸漬した後、この大
豆原穀を水中から取り出して発芽床に移し、外気に触れ
させるといった作業が必要であるため、その分だけ手間
がかかる。また、上記方法では、発芽床に移した大豆原
穀に対して、間欠的に散水したり、湿らせた布に包んだ
りすることにより、大豆の発芽に必要な水分を適度に補
給しているが、このような方法では大豆の発芽状態を制
御することが難しく、そのため、所望する発芽状態(発
芽する前の状態も含む)となった大豆を工業的に大量生
産するのが非常に困難である。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、栄養価および呈味性の改善効果を期待できる発
芽状態にある大豆を、簡便かつ効率よく得ることのでき
る、大豆の発芽制御法およびそれにより得られた発芽処
理大豆、並びにそれを用いた大豆加工食品およびその製
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、大豆原穀を水中に浸漬し、上記水中で空
気をバブリングすることによって大豆の発芽を促すよう
にし、このバブリングにおける空気の総量を調節するこ
とにより発芽の制御を行う大豆の発芽制御法を第1の要
旨とし、上記発芽制御法により得られた発芽処理大豆で
あって、発芽直前から直後の任意の状態にある発芽処理
大豆を第2の要旨とし、上記発芽処理大豆を原料として
用いる大豆加工食品を第3の要旨とし、上記発芽制御法
により大豆原穀を発芽処理し、さらに特定の処理を施す
ことにより、納豆等の大豆加工食品にする大豆加工食品
の製法を第4の要旨とする。
【0006】すなわち、本発明者らは、上記課題を解決
すべく、一連の研究を重ねた。その過程で、大豆は、玄
米等の穀物とは異なり、水浸漬を行っただけでは発芽せ
ず、酸素の供給が必要であるとの知見を得た。そして、
本発明者らは、この知見に基づき、さらに鋭意研究を重
ねた結果、大豆原穀を水中に浸漬し、上記水中で空気を
バブリングすることにより酸素の供給を行うと、本来で
は水中で生長しない大豆の発芽が促されるようになり、
バブリングを止めると、大豆の生長も止まることを見出
した。そして、上記バブリングにおける空気の総量を調
節することにより、容易に発芽の制御を行うことがで
き、その結果、所期の目的を達成できることを突き止
め、本発明に到達した。
【0007】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて詳しく説明する。
【0008】本発明の大豆の発芽制御法の一例を、図1
をもとに説明する。図において、1は浸漬槽であり、4
は製泡装置であり、5は空気ポンプである。上記浸漬槽
1内の底部には製泡装置4が配設されており、上記製泡
装置4には、チューブを介して空気ポンプ5が連結され
ている。そして、上記浸漬槽1内には、水洗された大豆
原穀の入った大豆収容用網かご3が入れられ、上記製泡
装置4の上に載置されている。また、上記浸漬槽1内に
は、上記大豆収容用網かご3内の大豆が完全に浸漬する
量(大豆原穀重量の2〜4倍量相当)の水2が注入され
ている。なお、上記水2の水温は常温(20〜30℃)
に設定されている。
【0009】そして、上記空気ポンプ5によって製泡装
置4に空気を送り込むと、上記製泡装置4から気泡6が
発生(バブリング)し、この気泡6が、大豆の生長に必
要な酸素を供給をする。そして、このことにより、本来
では水中で生長しない大豆に対し、発芽を促すことがで
きるようになる。一方、上記空気ポンプ5を止め、バブ
リングを行わなければ、酸素の供給も止まるため、大豆
は、それ以上生長しなくなる。この場合、バブリング
は、連続して行ってもよいし、間欠的に行ってもよい。
したがって、バブリングさせる空気の総量(間欠的にバ
ブリングさせる時には、各バブリング時における空気量
を合計した量)を調節することにより、大豆の生長度合
いを容易に調整することができ、その結果、生長のしす
ぎで完全に芽が出た状態となるのを防ぐことができる。
なお、バブリングを止めると、それ以上の発芽は促され
ないため、バブリングを止めた後、水浸漬を続行しても
構わない。
【0010】水中でバブリングさせる空気の単位時間あ
たりの量は、大豆原穀1kgに対し1〜20リットル/
minであると好ましく、より好ましくは6〜10リッ
トル/minである。すなわち、バブリングさせる空気
の単位時間あたりの量が、大豆原穀1kgに対し20リ
ットル/minを超えると、発芽処理中に大豆の外皮が
破れるおそれがあり、逆に、1リットル/min未満で
あると、酸素の供給が不充分となり、大豆の発芽が促さ
れないためである。
【0011】上記バブリングによる処理時間(間欠的に
バブリングさせる時には、各バブリング時間の合計)
は、5〜36時間であると好ましく、より好ましくは1
2〜24時間である。すなわち、バブリングによる処理
時間が36時間を超えると、完全に発芽した状態(芽の
長さが1cm以上)となり、見栄えが悪かったり、呈味
性が劣るようになるおそれがあり、逆に、5時間未満で
あると、酸素の供給が不充分となるため、大豆の発芽が
促されず、所望する発芽状態にならないおそれがある。
【0012】なお、上記バブリングによる気泡6は、微
細なほど(直径1〜5mm程度)、隣り合った大豆同士
の隙間にも入っていきやすくなるため、大豆全体に酸素
をまんべんなく行き渡らせることができ、その結果、大
豆の生長むらがなくなるため、好ましい。また、上記の
説明では空気を用いているが、これに代えて、酸素ガス
を用いてもよい。したがって、本発明において、空気と
は、酸素ガスも含める趣旨である。
【0013】このようにして、バブリングさせる空気の
総量を所定の範囲に設定することにより、所望の発芽状
態にある発芽処理大豆、つまり、発芽直前から直後の任
意の状態にある発芽処理大豆が得られるようになる。こ
こで、本発明において、発芽直前の状態とは、肉眼では
確認しづらいが、各種分析により、栄養価および呈味性
の改善効果が充分得られている状態をいう。また、発芽
直後の状態とは、肉眼で、発芽がわずかに確認される程
度(芽の長さが6mm程度まで)の状態をいう。そし
て、発芽処理大豆が、発芽直前から直後の任意の状態に
あるとき、グルタミン酸含有量や、ショ糖等の糖含有量
が増加するため、旨味や甘味が増し、その結果、呈味性
が改善されるようになるとともに、ビタミン,ミネラル
分の増加、カロリーの減少、大豆タンパク質が吸収され
やすくなるといった栄養価の面でも改善が期待される。
さらに、上記発芽処理大豆は、そのフィチン酸含有量
が、大豆原穀のときよりも大幅に減少されているため、
大豆中にあるミネラル分の消化吸収阻害といった、フィ
チン酸による悪影響が、ほとんどない。なお、発芽処理
大豆が、上記所望の発芽状態にない場合では、呈味性の
改善効果が期待できず、特に、完全に発芽した状態(芽
の長さが1cm以上)では、呈味性が劣るようになるた
め、好ましくない。他方、大豆の形がそのまま現われる
食品(例えば、納豆や煮豆)に加工する場合には、発芽
する前の状態のものを用いた方が、見栄えの点で好まし
い。
【0014】そして、上記のように、所望の発芽状態と
なったところで、上記大豆収容用網かご3を浸漬槽1か
ら引き上げることにより(あるいは上記浸漬槽1から水
2を抜き取ることにより)、目的とする発芽処理大豆が
得られるようになる。このように、本発明では、目的と
する発芽処理大豆を得るまでの工程が、一つの水槽内で
行われ、しかも、従来行われていた方法における相当の
労力や設備(例えば、生育過程における大豆の引き上げ
作業や、雰囲気の湿度調整および散水に必要な設備)が
不要となるため、生産面において低コスト化がなされる
ようになる。
【0015】このようにして得られた発芽処理大豆を原
料として用いた大豆加工食品としては、特に限定される
ものではなく、例えば、煮豆,納豆,豆乳,豆腐および
これらを用いた加工食品があげられる。そして、これら
の大豆加工食品においても、栄養価および呈味性の改善
効果がみられるようになる。
【0016】特に、上記納豆に関しては、香気成分であ
るピラジン化合物の含有量が、水浸漬をしただけの大豆
を用いて製造した納豆と比べ、大幅に増加していること
が、分析により判っている。ピラジン化合物は、近年、
人体の血液流動性を向上させるものであるといった報告
があり(第55回日本栄養・食糧学会大会要旨集)、注
目されている。したがって、上記納豆は、通常の大豆を
そのまま用いて作製されたものに比べ、呈味性に優れ、
栄養価が改善されているだけでなく、生理活性向上にも
有効な機能を発揮しうるため、健康補助食品としても有
用である。
【0017】ここで、本発明の発芽処理がなされた大豆
を原料として用いた納豆の製法の一例を、以下に示す。
すなわち、まず、大豆原穀と、大豆原穀重量の3倍量の
水(水温は20〜30℃)を用意し、この水の中に上記
大豆原穀を浸漬させる。ついで、大豆原穀重量1kgに
対し6〜10リットル/minの量の空気を、12〜2
0時間の間、水中でバブリングさせ、大豆の発芽処理を
行う(図1参照)。そして、このようにして得られた大
豆を、納豆製造の常法に従い、加圧釜にてゲージ圧1.
5〜2.0kg/cm2 で30分程度蒸煮した後、納豆
菌を接種し、発酵室に移して30〜50℃、湿度70〜
80%RHで16〜20時間発酵させることにより、栄
養価および呈味性が改善され、かつ生理活性向上に有効
な納豆を、安定して得ることができるようになる。
【0018】他方、本発明の発芽処理がなされた大豆を
原料として用いた煮豆の製法の一例を、以下に示す。す
なわち、まず、大豆原穀と、大豆原穀重量の3倍量の水
(水温は20〜30℃)を用意し、この水の中に上記大
豆原穀を浸漬させる。ついで、大豆原穀重量1kgに対
し6〜10リットル/minの量の空気を、12〜20
時間の間、水中でバブリングさせ、大豆の発芽処理を行
う(図1参照)。そして、このようにして得られた大豆
を、煮豆製造の常法に従い、水煮、蒸煮した後、調味料
で煮熟することにより、栄養価および呈味性が改善され
た煮豆を、安定して得ることができるようになる。
【0019】また、本発明の発芽処理がなされた大豆を
原料として用いた豆乳の製法の一例を、以下に示す。す
なわち、まず、大豆原穀と、大豆原穀重量の3倍量の水
(水温は20〜30℃)を用意し、この水の中に上記大
豆原穀を浸漬させる。ついで、大豆原穀重量1kgに対
し6〜10リットル/minの量の空気を、12〜20
時間の間、水中でバブリングさせ、大豆の発芽処理を行
う(図1参照)。そして、このようにして得られた大豆
を、豆乳製造の常法に従い、摩砕し、105℃で3分程
度加熱した後、搾汁することにより、栄養価および呈味
性が改善された豆乳を、安定して得ることができるよう
になる。さらに、上記のようにして得られた豆乳に、凝
固剤(塩化マグネシウム)を添加して凝固させることに
より、栄養価および呈味性が改善された豆腐が得られる
ようになる。
【0020】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0021】
【実施例1〜10、比較例1】大豆原穀を1kg用意
し、これを水洗後、大豆原穀重量のおよそ3倍量の水
(水温25℃)が入った水槽中に浸漬させた(図1参
照)。そして、下記の〜に示す条件に従い、空気の
単位時間あたりのバブリング量を2通り(7.5リット
ル/minあるいは15リットル/min)に設定し、
バブリングによる発芽処理を行った(実施例1〜1
0)。一方、上記と同様に水中に浸漬させた大豆原穀に
対し、バブリングによる発芽処理を全く行わず、24時
間水中に浸漬させたものも用意した(比較例1)。そし
て、これらの処理を行った大豆を水中から引き上げ、発
芽した芽の長さ、大豆中のグルタミン酸含有量および外
皮の破れの状況を、後記の表1に示した。なお、表1に
おける外皮の破れの評価において、◎は外皮の破れが全
くみられない状況を示し、○は外皮の破れがほとんどみ
られない状況を示し、△は外皮の破れが多少みられる状
況を示している。 バブリングしながら水浸漬12時間実施後、続けてバ
ブリングなしで水浸漬12時間実施する(実施例1、
2)。 バブリングしながら水浸漬16時間実施後、続けてバ
ブリングなしで水浸漬8時間実施する(実施例3、
4)。 バブリングしながら水浸漬20時間実施後、続けてバ
ブリングなしで水浸漬4時間実施する(実施例5、
6)。 バブリングしながら水浸漬24時間実施する(実施例
7、8)。 バブリングしながら水浸漬20時間実施する(実施例
9、10)。
【0022】
【表1】
【0023】上記表1に示すように、バブリングによる
発芽処理を行っていない比較例1では、24時間水浸漬
を行っても、全く発芽していないことがわかる。これに
対し、バブリングによる発芽処理を行った実施例1〜1
0では、いずれも、比較例1で得られた大豆に比べ、大
豆中のグルタミン酸含有量が増加しており、また、その
バブリングにおける空気の総量(バブリング時間および
単位時間あたりのバブリング量に依存する)が多いほ
ど、上記グルタミン酸含有量が増加し、しかも、より発
芽が促されていることがわかる。
【0024】ここで、実施例5(実施例6)と実施例9
(実施例10)とを比較すると、バブリングの条件は同
じであるものの、実施例5(実施例6)では、20時間
バブリングした後、4時間水に浸漬したまま放置してい
るのに対し、実施例9(実施例10)では、20時間の
バブリング終了とともに、水浸漬を終了している。しか
しながら、芽の長さおよびグルタミン酸含有量はほとん
ど変化していないことがわかる。したがって、バブリン
グを止めれば、発芽も止めることができ、その後必要な
分の水浸漬を続行したとしても発芽は促進されないた
め、水浸漬する時間に関係なく、バブリングを制御する
だけで、容易に、かつ安定して、所望の発芽状態となる
よう発芽を制御することができることがわかる。
【0025】また、上記表1より、実施例1(実施例
2)では発芽はしていないが、グルタミン酸含有量は比
較例1に比べてかなり増加していることがわかる。した
がって、肉眼で発芽の確認がしづらいものであっても、
処理された大豆がこの状態にあるときは、グルタミン酸
含有量の増加が充分なされていることがわかる。
【0026】さらに、上記表1より、単位時間あたりの
バブリング量が多いほど、またバブリング時間が長いほ
ど、大豆の外皮に破れがみられ、品質面に劣るようにな
るため、12〜24時間で、6〜10リットル/min
程度にバブリング処理を制御しておくほうが、外皮の破
れを生じさせない点においては好ましいことがわかる。
【0027】また、このようにして得られた実施例の発
芽処理大豆を、煮豆,豆乳および豆腐に加工したもの
を、実際に、20人の被験者に試食させたところ、平均
して、その中の19人が、比較例1の大豆を加工したも
の(煮豆,豆乳および豆腐)に比べ、旨味が増している
と答えた。
【0028】なお、上記各実施例の空気に代えて、酸素
ガスを空気量の1/5だけ用いた以外は、上記各実施例
と同様に処理を行った。その結果、上記各実施例と同様
の効果(表1)が得られた。
【0029】
【実施例11〜12、比較例2】大豆原穀と、大豆原穀
重量の3倍量の水(水温25℃)を用意し、この水の中
に上記大豆原穀を浸漬させた(図1参照)。そして、下
記のおよびに示す条件に従い、大豆原穀重量1kg
に対し7.5リットル/minの空気をバブリングする
ことにより、発芽処理を行った(実施例11〜12)。
一方、上記と同様に水中に浸漬させた大豆原穀に対し、
バブリングによる発芽処理を全く行わず、24時間水中
に浸漬させたものも用意した(比較例2)。そして、こ
れらの処理を行った大豆を水中から引き上げ、加圧釜に
てゲージ圧1.5kg/cm2 で30分蒸煮した後、納
豆菌(蒸煮前の発芽処理大豆1gあたり103 ミリリッ
トル)を接種し、発酵室に移して40℃、湿度80%R
Hで18時間発酵させた。 バブリングしながら水浸漬12時間実施後、続けてバ
ブリングなしで水浸漬12時間実施する(実施例1
1)。 バブリングしながら水浸漬24時間実施する(実施例
12)。
【0030】このようにして得られた実施例品および比
較例品の納豆について、下記の基準に従い、測定および
評価を行った。そして、これらの結果を、後記の表2に
示した。
【0031】〔糸引き性、呈味性〕得られた納豆を、実
際に、20人の被験者に試食させた。そして、上記被験
者に、糸引き性および呈味性の評価を、1から5までの
5段階評価で提示させ(基準値は3)、それらを集計し
て平均値を示した。なお、上記評価において、糸引き性
では、糸引きの強いものほど大きな値で示しており、呈
味性では、旨味や甘味を強く感じたものほど大きな値で
示している。
【0032】〔ピラジン含有量〕得られた納豆を凍結乾
燥して粉砕し、これを蒸留水にて抽出したものを、蒸留
装置に入れ、ジエチルエーテルにて連続的に香気成分
(ピラジン)を取り出した。そして、ガスクロマトグラ
フィーによってピラジン含有量を定量した。
【0033】
【表2】
【0034】上記表2の結果から、糸引き性および呈味
性の評価において、バブリング処理を12時間行った実
施例11は、バブリング処理を全く行わなかった比較例
2と比べて、若干良くなっており、バブリング処理を2
4時間行った実施例12では、著しく高い評価が得られ
ていることがわかる。さらに、上記実施例12における
糸引き性および呈味性の評価は、比較例2における評価
と比べ、1%以下の危険率で有意差がみられる。これら
の結果より、バブリング処理をした大豆を使用した納豆
は、通常の大豆を使用した場合よりも品質改善がなされ
ていることがわかる。一方、ピラジン含有量も、実施例
品のほうが多いため、バブリング処理を行うことによっ
て、ピラジンの増加も促されていることがわかる。その
ため、実施例11,12の納豆は、糸引き性や呈味性が
向上しているだけでなく、血液流動性の向上効果が期待
されるものであることがわかる。
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明の大豆の発芽制御
法は、大豆原穀を水中に浸漬し、上記水中で空気をバブ
リングすることによって大豆の発芽を促すようにし、こ
のバブリングにおける空気の総量を調節することにより
発芽の制御を行うものである。このように、上記バブリ
ングの調節により、容易に発芽の制御を行うことがで
き、その結果、栄養価および呈味性の改善効果を期待で
きる発芽状態にある大豆を、簡便かつ効率よく得ること
ができる。また、上記発芽制御法により得られた発芽処
理大豆であって、発芽直前から直後の任意の状態にある
発芽処理大豆は、その栄養分が豊富になるとともに呈味
性が改善され、しかもフィチン酸含有量も大幅に減少さ
れているために、ミネラル分の消化吸収も良好である。
さらに、上記発芽処理大豆を原料として用いる大豆加工
食品においても、栄養価および呈味性の改善効果を得る
ことができる。そして、上記発芽制御法により大豆原穀
を発芽処理し、さらに特定の処理を施すことにより、納
豆等の大豆加工食品にする大豆加工食品の製法により、
栄養価および呈味性が改善された納豆等を、安定して得
ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の大豆の発芽制御法の一例を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 浸漬槽 2 水 3 大豆収容用網かご 4 製泡装置 5 空気ポンプ 6 気泡
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A01G 9/00 A01G 9/00 E Fターム(参考) 2B027 NA02 NB01 4B020 LB02 LB14 LB18 LG02 LP02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大豆原穀を水中に浸漬し、上記水中で空
    気をバブリングすることによって大豆の発芽を促すよう
    にし、このバブリングにおける空気の総量を調節するこ
    とにより発芽の制御を行うことを特徴とする大豆の発芽
    制御法。
  2. 【請求項2】 水中でバブリングさせる空気の単位時間
    あたりの量が、大豆原穀1kgに対し1〜20リットル
    /minである請求項1記載の発芽制御法。
  3. 【請求項3】 上記バブリングによる処理時間が、5〜
    36時間の範囲に設定されている請求項1または2記載
    の発芽制御法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の発
    芽制御法により得られた発芽処理大豆であって、発芽直
    前から直後の任意の状態にあることを特徴とする発芽処
    理大豆。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の発芽処理大豆を原料とし
    て用いることを特徴とする大豆加工食品。
  6. 【請求項6】 上記大豆加工食品が、納豆,煮豆,豆
    乳,豆腐およびこれらを用いた加工品からなる群から選
    ばれた少なくとも一つである請求項5記載の大豆加工食
    品。
  7. 【請求項7】 上記納豆の製法であって、請求項4記載
    の発芽処理大豆を蒸煮し、納豆菌を接種して発酵させる
    ことを特徴とする納豆の製法。
  8. 【請求項8】 上記煮豆の製法であって、請求項4記載
    の発芽処理大豆を蒸煮あるいは水煮し、調味料で煮熟す
    ることを特徴とする煮豆の製法。
  9. 【請求項9】 上記豆乳の製法であって、請求項4記載
    の発芽処理大豆を摩砕して加熱し、搾汁することを特徴
    とする豆乳の製法。
  10. 【請求項10】 上記豆腐の製法であって、請求項9記
    載の豆乳に凝固剤を添加して凝固させることを特徴とす
    る豆腐の製法。
JP2001292190A 2001-09-25 2001-09-25 大豆の発芽制御法およびそれにより得られた発芽処理大豆、並びにそれを用いた大豆加工食品およびその製法 Pending JP2003093007A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001292190A JP2003093007A (ja) 2001-09-25 2001-09-25 大豆の発芽制御法およびそれにより得られた発芽処理大豆、並びにそれを用いた大豆加工食品およびその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001292190A JP2003093007A (ja) 2001-09-25 2001-09-25 大豆の発芽制御法およびそれにより得られた発芽処理大豆、並びにそれを用いた大豆加工食品およびその製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003093007A true JP2003093007A (ja) 2003-04-02

Family

ID=19114202

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001292190A Pending JP2003093007A (ja) 2001-09-25 2001-09-25 大豆の発芽制御法およびそれにより得られた発芽処理大豆、並びにそれを用いた大豆加工食品およびその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003093007A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006075640A1 (ja) * 2005-01-17 2006-07-20 The Nisshin Oillio Group, Ltd. 湯葉
JPWO2005004633A1 (ja) * 2003-07-11 2006-08-24 日清オイリオグループ株式会社 風味良好な発芽処理豆類及びそれを加工原料とした豆類加工食品並びにそれらを含有する食品
JP2007143453A (ja) * 2005-11-25 2007-06-14 Sapporo Breweries Ltd 穀物の水浸漬方法及び浸漬装置
KR101102206B1 (ko) * 2005-11-30 2012-01-05 대상에프앤에프 주식회사 발아대두를 이용한 두유 및 두부의 제조방법
JP2021101660A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 株式会社テンペ家 発芽大豆のテンペ発酵食材の製造方法
JP2022027315A (ja) * 2020-07-31 2022-02-10 会津天宝醸造株式会社 高含有量のγ-アミノブタン酸を含有する大豆加工食品の製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2005004633A1 (ja) * 2003-07-11 2006-08-24 日清オイリオグループ株式会社 風味良好な発芽処理豆類及びそれを加工原料とした豆類加工食品並びにそれらを含有する食品
WO2006075640A1 (ja) * 2005-01-17 2006-07-20 The Nisshin Oillio Group, Ltd. 湯葉
JPWO2006075640A1 (ja) * 2005-01-17 2008-06-12 日清オイリオグループ株式会社 湯葉
JP2007143453A (ja) * 2005-11-25 2007-06-14 Sapporo Breweries Ltd 穀物の水浸漬方法及び浸漬装置
KR101102206B1 (ko) * 2005-11-30 2012-01-05 대상에프앤에프 주식회사 발아대두를 이용한 두유 및 두부의 제조방법
JP2021101660A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 株式会社テンペ家 発芽大豆のテンペ発酵食材の製造方法
JP2022027315A (ja) * 2020-07-31 2022-02-10 会津天宝醸造株式会社 高含有量のγ-アミノブタン酸を含有する大豆加工食品の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102266031B (zh) 酱磨茄的制备方法
KR101097392B1 (ko) 풍미 양호한 발아처리 콩류 및 그것을 가공원료로 하는콩류 가공식품 및 그것들을 함유하는 식품
CN111728039A (zh) 一种酱油发酵腐乳及其制备方法
CN105661330A (zh) 一种甜面酱调料的制作方法
CN107410508A (zh) 一种富含γ‑氨基丁酸的发酵豆乳的生产方法
CN107028096A (zh) 一种水豆豉的制作方法
CN107927703A (zh) 一种全黄豆酱油的大周酱法工艺
JP2003093007A (ja) 大豆の発芽制御法およびそれにより得られた発芽処理大豆、並びにそれを用いた大豆加工食品およびその製法
JP4233573B2 (ja) 発酵発芽玄米の製造方法および発酵発芽玄米
CN108142579A (zh) 南乳及其制备方法
JP3527062B2 (ja) 味噌の製造法
CN112998204B (zh) 一种即食腐乳及其制备方法
JP4204171B2 (ja) 粳米麹、その製造方法及び用途
CN108384689A (zh) 一种海水稻发酵生产高含量gaba保健型甜米酒的生产方法
CN110122104A (zh) 一种高γ-氨基丁酸和低植酸大豆芽菜及其生产方法
JP3766906B2 (ja) 発芽玄米入り納豆及びその製造方法
CN107811248A (zh) 一种低糖草莓果酱的制备方法
KR20130054880A (ko) 탄산 막걸리 및 그 제조방법
JPS62181737A (ja) 豆類チ−ズ様食品及びその製造法
JP2005013205A (ja) 大豆麹によるγ−アミノ酪酸高生産法
CN105010910A (zh) 一种果酱及其加工工艺
KR101689800B1 (ko) 발아 발효 커피 원두 제조 방법
KR20180048124A (ko) 재배수율과 관능특성이 향상된 숙주나물의 생산 방법
JP2017176172A (ja) 食味の改善された発芽玄米の製造方法
CN107095230A (zh) 一种芥末扁桃仁及生产方法