JP2017176172A - 食味の改善された発芽玄米の製造方法 - Google Patents

食味の改善された発芽玄米の製造方法 Download PDF

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【課題】食味の優れた発芽玄米の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】あらかじめ水分10〜15質量%に調整した乾燥穀粒を、0.5〜2.0質量%/hの加水速度で水分を16〜20質量%になるまで加水し(加水工程)、さらに通気条件下で調質(テンパリング)を行い(調質・発芽工程)、玄米を発芽させた後、玄米の中心品温が40〜60℃になるように加温設定し(加温工程)、98〜100℃の蒸気で蒸煮し(蒸煮工程)、さらに乾燥させる工程(乾燥工程)を含む発芽玄米の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、食味の改善された発芽玄米の製造方法に関する。
米は、小麦などに比較して、栄養面においてきわめて優秀な食品であるとの評価が定着している。通常、米は、外皮を取り除き、精白した「白米」として食されるが、外皮を取り除かない「玄米」として食する場合がある。
玄米は、精白した白米に比べて栄養素を豊富に含んでおり、人間が必要とする栄養分の殆どを含んでいる。特に、近年生理的作用が注目されている食物繊維やビタミンB群、ビタミンEなどが玄米には多く含まれている。このように、食品素材として優れている玄米も、その表面を、油脂成分と繊維質成分に富む堅牢な外層部、いわゆる糠層により覆われているため、常圧による炊飯では、該外層部が熱の浸透や吸水を妨げるため、澱粉の糊化や外層部組織の柔軟化、分解等が十分に行われ難いという欠点がある。そのため、玄米を常圧で炊飯して得た玄米米飯は、硬くて粘りが少なく、精白米の米飯に比べて食味が著しく劣っている。このような欠点を回避するために、従来、玄米を加圧下で炊飯することが行われてきたが、この方法によると、高温高圧条件に弱いビタミン等の栄養素は一部が分解するほか、玄米外皮が軟らかくなるまで加熱すると、他の部分が糊状になってしまう。このため、口当たりがよく、消化吸収性に優れた良質の玄米米飯を製造することは極めて困難であった。
また、玄米を5〜50℃、好ましくは20〜40℃の温水に適当な時間浸漬することにより発芽させ、この発芽した玄米を常圧下又は加圧下で蒸煮することにより、軟らかな炊飯米が得られることが知られている(特許文献1)。この発芽した玄米を発芽玄米又は発芽米と呼び、玄米と明確に区別している。しかし、玄米の発芽過程において、玄米自身の代謝作用の他、玄米の外周面に存在する水によって米の食味に影響する成分が流出してしまうこと、或いは原料の玄米に付着する雑菌の繁殖等により、発酵状態となり、玄米に発酵臭や異臭が残留するという問題がある。さらに、この発芽玄米は日時を経るにつれて含有酵素の作用によって、澱粉等の分解が過度に進行し、食品素材としての品質が低下するという欠点がある。
上記の問題点を解決するため、玄米を発芽させるにあたり、殺菌剤を溶解させた温水や希薄な電解食塩水を用いる方法、流水を用いる方法、温水を定期的に交換する方法などが試みられている(特許文献2)。しかしながら、殺菌剤などの薬品を用いる方法は、残留成分の影響や薬品臭が残る等の問題がある。温水を交換し、流水中で発芽させる方法は、水やエネルギーの無駄が多く、製造管理が煩雑になる等の問題点がある。
特許文献4には、100%の湿度環境下において玄米を発芽させる技術が開示されているが、この技術を用いても発芽は容易ではなく、中間段階で特許文献4に記載されているように温水シャワーを玄米にかける必要があり、食味の改善、炊飯性の改善は実現されていない。
また発芽玄米は玄米を発芽させた後乾燥することも行なわれているが、市販されている乾燥発芽玄米は、発芽工程で吸水し、膨潤した発芽玄米は、乾燥工程において胴割れが生じており、これがさらに炊飯時の食味低減の原因ともなっていた。これを防止するために発
芽直後の玄米を湿熱加熱する方法を本発明者らは開発し特許を取得している(特許文献3)。本発明者らは、さらに食味改善と炊飯性を改善した発芽玄米を提供するために鋭意研究開発を継続した結果、これらの問題を解決し、風味の良い発芽玄米の製造技術を提案した(特許文献5)。この技術の概略は、次のような方法である。
即ち、あらかじめ水分10〜15%に調整した乾燥穀粒を、水分20〜30%の範囲となるように0.5〜2.0%/hの加水速度で緩慢な加水を行い(加水工程)、次いでこの穀粒をタンクに投入して通気条件下で2〜10時間の調質(テンパリング)を行い(調質工程)、玄米を発芽させた(発芽工程)後、100℃の蒸気で5〜30分間蒸煮し(蒸煮工程)、さらに送風乾燥させる(乾燥工程)ものである。
このような操作と工程によって得ることのできる発芽玄米は、従来の玄米に比較して発芽玄米中の直接還元糖が100g中0.15g以上、α化澱粉が9〜40質量%となり、好ましい風味を得ることができるものである。
特開2000−050818号公報 特開2000−217520号公報 特許第3423931号公報 特開2002−291423号公報 特許第3738025号公報
本発明者らは、前記の特許文献5に開示された発芽玄米の製造方法を検討し、より美味な発芽玄米を得るため、加水工程、調質工程、発芽終了後の蒸煮工程と乾燥工程に改良の余地があることを見いだした。
すなわち、本発明は、食味の優れた発芽玄米の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の主な構成は以下の通りである。
1.あらかじめ水分10〜15質量%に調整した乾燥穀粒を、0.5〜2.0質量%/hの加水速度で水分16〜20質量%になるまで加水し(加水工程)、さらに通気条件下で調質(テンパリング)を行い(調質・発芽工程)、玄米を発芽させた後、玄米の中心品温が40〜60℃になるように加温設定し(加温工程)、98〜100℃の蒸気で蒸煮し(蒸煮工程)、さらに乾燥させる工程(乾燥工程)を含む発芽玄米の製造方法。
2.調質時間が8〜12時間、玄米の中心品温が40〜60℃になるように70〜80℃で加温する時間が6〜10分である1に記載の方法。
本発明の方法によって得られた発芽玄米は、従来の発芽玄米にはない優れた食味をもたらす。また調質による玄米中の含有水分量が低下するため、乾燥時間を従来の半分以下の時間とすることができる。このため製造時間が従来の半分の時間に短縮されるため、エネルギー収支が改善される。さらに本発明の方法で得た発芽玄米は、保存による劣化が少なく、長期保存が可能である。
玄米を発芽後加温することでγ−アミノ酪酸が増加することを示すグラフである。 実生産ライン(実機)でのγ−アミノ酪酸が増加することを示すグラフである。 本発明の方法で製造した実施例1、実施例2の発芽玄米と比較例の発芽玄米を対比した食味試験の結果を示す。 味認識装置による評価結果を示す。 匂い識別装置による評価結果を示す。
本発明は、あらかじめ水分10〜15質量%に調整した乾燥穀粒を、0.5〜2.0質量%/hの加水速度で水分16〜20質量%になるまで加水し(加水工程)、さらに通気条件下で調質(テンパリング)を行い、玄米を発芽させた後(調質・発芽工程)、98〜100℃の蒸気で蒸煮し(蒸煮工程)、さらに乾燥させる工程(乾燥工程)を含む発芽玄米の製造方法において、98〜100℃の蒸気で蒸煮する工程に先立ち、玄米の中心品温が40〜60℃になるように加温設定する工程を含むことを特徴とする発芽玄米の製造方法に係る発明である。すなわち本発明は、特許文献5に記載された発明の改良発明である。
従来技術である特許文献5の製造方法は、同文献実施例1の記載によれば次のような工程となる。以下に工程を分節して記載する。
<特許文献5の方法>
1)あらかじめ水分を14質量%前後に調整した玄米を50kg用いる。
2)これに水分20〜30質量%の範囲となるように緩慢な加水を行うため、直径100cm、長さ200cm、回転速度4rpmの横形ドラム内にて玄米を攪拌しながら、ドラム内側に設置された2流体式噴霧ノズルによって、毎分10gの供給水量にて、ノズルから霧状の水滴として玄米の表面に付着させた。玄米は攪拌されながらこの霧状の水滴に接触することによって均一に加水されるようにする。
3)加水終了後はタンクに移し換えて玄米の水分が20〜30質量%になるように調質(テンパリング)を行う。
4)テンパリング終了後は、連続蒸米機を用いて2kg/h、100℃の蒸気中にて蒸煮する。
5)蒸煮終了後の玄米を常温の送風温度で水分減少率が毎時0.8%未満となる条件にて乾燥し、水分15%の発芽玄米50kgを得る。
一方本発明の方法は、従来技術と同様に玄米50kgを用いた場合、従来技術と対比するため分節すると、次のような工程を採用するものである。なお、本生産ライン規模の場合、加温工程と蒸煮が連続工程となるため、加温・蒸煮の工程が10tの玄米の処理時間は2時間程となる。
<本発明の方法>
1)あらかじめ水分を10〜15質量%前後に調整した玄米を50kg用いる。
2)これに0.5〜2.0質量%/hの加水速度で緩慢な加水を行いながら、水分を16〜20質量%になるまで同様にして加水する(加水工程)。
3)加水終了後、通気条件下で調質(テンパリング)を行い、玄米を発芽させる(調質・発芽工程)。
4)テンパリング終了後、連続蒸米機等を用いて、70〜80℃で6〜10分加温する(加温工程)。
5)次いで高温の水蒸気で蒸煮し、α化度がBAP法で測定したとき9〜40%になるまで加熱して終了させる(蒸煮工程)。
6)さらに送風機により水分が15質量%になるまで通風乾燥させ、水分含量15質量%の発芽玄米50kgを得る(乾燥工程)。
本発明の方法は、加水工程、調質・発芽工程、蒸煮工程、乾燥工程を備える点で従来技術と同じであるが、2)の加水工程における玄米水分を16〜20質量%にする点で相違し、さらに4)に新たに、発芽した玄米の中心品温が40〜60℃になるように70〜80℃で加温する工程が加わる点が異なる。
加水工程においては、玄米に十分に吸水させるため、0.5〜2.0質量%/hの加水速度で緩慢な加水を行う。加水に当たっては、具体的には、直径100cm、長さ200cm、回転速度4rpmの横形ドラム内にて玄米を攪拌しながら、ドラム内側に設置された2流体式噴霧ノズルによって、毎分10gの供給水量にて、水が垂れ落ちないようにして行う。水温は水道水の温度で、pH調整は行なう必要がない。ノズルからの噴霧は、水が玄米から垂れ落ちないように霧状の水滴として玄米の表面に付着するようにすることが望ましい。玄米は攪拌されながらこの霧状の水滴に接触することによって均一に加水される。加水に使用する水としては、上記のとおり水道水を用いることが微生物管理上好ましい。
調質工程は、加水終了後の玄米をタンクなどに移し換えて2〜10時間調質(テンパリング)を行うことができる。また同一のタンクで行ってもよい。このテンパリング時の最適環境温度は16〜24℃とし、タンク内に外気を取り入れて換気を行う。一連の工程は20℃程度の室温で行えばよい。
玄米の水分含量を測定し、水分量が16〜20質量%、好ましくは17質量%に到達した時点で、調質工程を終了とする。
調質と同時に玄米の発芽が進行しており、調質工程終了と同時に発芽工程終了とする。
調質・発芽工程終了後、玄米の中心品温が40〜60℃に保たれるように6〜10分加温する。この加温工程によって、発芽玄米中の酵素活性がさらに促進され、発芽玄米に含まれるγ−アミノ酪酸が増加する。加温は、従来技術で使用している連続蒸米機を用いて、蒸気流量を調整することで所定の温度とする。
蒸煮工程は、前記の加温工程に引き続いて、2kg/hの流量の高温水蒸気中で5〜30分の所定時間蒸煮することにより行う。なお蒸煮時間は、従来技術と同様にBAP法によるα化度を指標として、α化度が9〜40%に到達した時点で終了とする。
乾燥工程は、常温又は80℃の送風温度で送風しながら水分減少率が毎時0.8%未満となる条件にて乾燥し、水分14〜15%になるまで乾燥させる。
以上の方法により、優れた食味を有する発芽玄米が製造できる。
以下に試験例及び実施例を示し、本発明をさらに説明する。
<1.加水量及び加温時間の設定試験>
加水工程における加水量の変更、及び加温工程の追加操作が、発芽玄米の有効成分であるγ−アミノ酪酸の産生量に影響しないことを確認した。
[試験法及び結果]
水分量14質量%の玄米320gに水を0.5〜2.0質量%/hの加水速度でスプレーしながら、玄米の米の水分値が17質量%となるまで加水した。
次いで蒸し器を用い、電磁調理器で蒸し器下段に張った水を沸騰させ、蒸し器に蓋をした状態で蒸し器内部温度が70〜80℃を維持するよう出力を調整し6分間又は10分間加温した。その後電磁調理器の出力を強めて沸騰させ、90秒間加熱し、玄米を蒸煮した。
さらに、55℃〜60℃に設定した恒温機中に、上記の玄米を広げて乾燥させ米の水分値が15質量%になるまで1〜3時間乾燥させた。
得られた発芽玄米の蒸煮直後、乾燥後のγ−アミノ酪酸含有量を常法により測定し、加水量及び加温工程が発芽玄米に及ぼす影響を評価した。
測定結果を表1及び図1に示す。
Figure 2017176172
表1、図1から明らかなように、17質量%加水直後の玄米は、γ―アミノ酪酸の含有量が4.15mgであった。この玄米を70℃で加温することでγ−アミノ酪酸は8.06〜8.81mgに増加した。蒸煮乾燥後はさらに9.78〜10.14mgに増加した。すなわち70℃で加温する工程は、調質・発芽工程を経なくともγ−アミノ酪酸を増加させることが判明した。また加水量を17質量%にすることによる発芽玄米中のγ−アミノ酪酸量は、従来法と比べ差は認められなかった。
<2.実生産装置を用いた製造例>
特許文献5に記載の生産方法を最適化した連続生産装置(株式会社ファンケル発芽玄米 長野工場に設置)を用いて製造を行った。なお本装置は加水と調質・発芽工程を同一タンクの中で連続的に進行させる機能を有している。
原料玄米(水分含量14質量%)10tを用いて、下記の表の設定条件で操作した。
Figure 2017176172
設定温度70〜80℃での加温処理時間が6分の発芽玄米10t(以下「実施例1」)、加温処理時間が10分の発芽玄米10t(以下「実施例2」)を得た。
<3.参考例>
参考例1として従来技術の製造条件を下記表3に示す。
Figure 2017176172
実施例1、2と同じ玄米10tを用いて発芽玄米を製造し、発芽玄米10tを得た。この参考例の方法で製造した発芽玄米を比較例とする。
実施例の10tの発芽玄米の製造時間は約19時間を必要とするが、比較例の発芽玄米の製造時間は42時間を必要とする。これは、加温工程を設けることにより、調質後の玄米の水分量を従来法より10質量%低く設定できたため、調質時間及び乾燥時間の大幅な低減が可能となった。すなわち本発明の方法を採用することで発芽玄米の製造に要する時間を半分にすることが可能である。
<4.評価試験>
1.発芽玄米特有成分
発芽玄米で特有に増加する成分であるγ−アミノ酪酸、総イノシトール、フィチン酸、総フェルラ酸、オリザノールの含有量を測定したところ、実施例1、実施例2、比較例で大きな差は認められなかった。
実施例1、2の発芽玄米の加水直後、蒸煮直後、乾燥後のγ−アミノ酪酸含有量を常法により測定した。
測定結果を表4及び図2に示す。
Figure 2017176172
2.食味評価試験
実施例、比較例の発芽玄米を炊飯し、これを試験試料として専門の官能評価員6名による食味評価試験を実施した。比較例の発芽玄米に対して、実施例の発芽玄米が優れている場合、+1〜3点、同等の場合0点、劣る場合を−1〜3点とした7段階で評点付けし、平均値を求めた。結果を図3に示す。実施例1、実施例2ともに、比較例よりも香り、食味、甘みが優れていた。特に実施例1は食味が優れていた。
3.味覚評価
味認識装置SA402B(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー)を用いた評価試験を実施した。試験操作は装置のマニュアルにしたがって実施した。
(1)苦味雑味及び渋味刺激
実施例1、2、比較例の発芽玄米及び参考例2として白米を対照とし、炊飯後測定した。味認識装置による評価結果を図4に示す。
白米は、味認識装置による評価では苦味雑味値が低く、渋味刺激値も低かった。一方発芽玄米間では、実施例1、実施例2、比較例の順で味認識装置による評価値が白米の数値にやや近づくことがわかった。この結果は、上記の官能評価試験の結果を裏付けるものであった。
(2)におい成分量による評価
匂い識別装置FF−2A(株式会社島津製作所)を用いた試験を実施した。
実施例1、2、比較例の従来法の発芽玄米、及び参考例2の白米を対照とし、炊飯後測定した。匂い識別装置による評価結果を図5に示す。
匂い識別装置による評価では、実施例1、2ともに比較例より参考例2の白米の数値に近づくことが示された。この結果より、本発明の方法が従来法に比べて玄米の発芽による発酵臭や異臭が低減されたことが示唆された。
4.一般細菌数による評価
発芽玄米の食味に影響する因子として、加水・調質中の細菌数の増加が考えられている。原料玄米の一般細菌数、本発明の方法による加水・調質終了後の玄米の一般細菌数、比較例の加水・調質終了後の一般細菌数を測定した。測定結果を下記表5に示す。
Figure 2017176172
表5に示すように、実施例1、2の加水・調質終了後の一般細菌数は、原料玄米より減少し、比較例の約1/6であった。
以上の評価試験の結果、本発明の方法によれば食味が改善するとともに、一般細菌数を減らすことが可能であることがわかった。
<5.劣化加速試験>
上記の<2.実生産装置を用いた製造例>に記載の発芽玄米(実施例2)及び参考例1の製造例の発芽玄米を用いて保存に伴う劣化の評価を行った。
1.保存条件
各発芽玄米300gと脱酸素剤1個をバリアナイロン袋に密封充填し、40℃湿度75%のインキュベータ中で1ヶ月、1.5ヶ月、2ヶ月間保存し、風味等に及ぼす影響を試験した。なお40℃湿度75%の保存環境下では、1ヶ月保存は室温6ヶ月保存、1.5ヶ月保存は室温9ヶ月保存、2ヶ月保存は室温12ヶ月保存に相当する。
2.食味試験
それぞれの期間保存した実施例2の発芽玄米及び参考例1の発芽玄米を炊飯し、製造直後の参考例1の発芽玄米と比較した食味試験を行った。
食味試験は専門の官能評価員7名による従来製品との対照比較試験法で行った。評価項目は、外観、香り、食味、食感、粘り、甘味、総合の7項目とし、次の基準で評価を行った。
5:同等
4:殆ど同じ(変化はわずかであり、商品価値は十分保たれている)
3:やや差がある(変化が見られるが、商品価値は保たれている)
2:かなり差がある(明らかに変化しており、商品価値がない)
1:非常に大きな差がある(明らかに異質)
また官能評価員の外観、風味についてのコメントを付記してもらった。
3.官能評価結果
実施例2の発芽玄米の評価結果を表6、参考例1の評価結果を表7に示す。
Figure 2017176172
Figure 2017176172
いずれの試験試料も2ヶ月経過後も商品価値を維持していた。
本発明品である実施例2の発芽玄米は、40℃湿度75%2ヶ月保存(常温12ヶ月相当)しても、官能評価の評点は殆ど低下しなかった。一方参考例1の発芽玄米の評点は1ヶ月経過すると評点が著しく低下した。
参考例1の2ヶ月経過後の試験品について、官能評価員のコメントは、外観変化について多く記載されており、褐色化などの変色は、全ての評価員によって指摘されていた。また粘りの低下も指摘が多かった。
この試験により、本発明の方法で製造された発芽玄米は、食味が向上するだけでなく保存期間を延長できることが明らかとなった。

Claims (2)

  1. あらかじめ水分10〜15質量%に調整した乾燥穀粒を、0.5〜2.0質量%/hの加水速度で水分16〜20質量%になるまで加水し(加水工程)、さらに通気条件下で調質(テンパリング)を行い(調質・発芽工程)、玄米を発芽させた後、玄米の中心品温が40〜60℃になるように加温設定し(加温工程)、98〜100℃の蒸気で蒸煮し(蒸煮工程)、さらに乾燥させる工程(乾燥工程)を含む発芽玄米の製造方法。
  2. 調質時間が8〜12時間、玄米の中心品温が40〜60℃になるように70〜80℃で加温する時間が6〜10分である請求項1に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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