JP2003088331A - 海洋深層水を利用した発酵健康食品及びその製造方法 - Google Patents

海洋深層水を利用した発酵健康食品及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 苦みや臭みがあって食用に適していない原料
を、海洋深層水を媒体として発酵させることにより、苦
みや臭みを抑制するとともに海洋深層水に含まれている
多くの天然微量元素(ミネラル)を含み、まろやかな味
わいを持つ発酵健康食品を得ることを目的とする。 【解決手段】 海洋深層水中に、苦みや臭みがあって食
用に適していない原料と発酵源とを混合して所定時間発
酵させ、蒸気で蒸す蒸着工程、乾燥工程、冷却工程を実
施して作製した発酵健康食品とその製造方法を基本手段
としている。前記海洋深層水は、該海洋深層水の原水,
脱塩水,濃縮水の何れか1種又は複数種を用いる。前記
発酵源としての微生物に、乳酸菌,酵母菌,麹菌の中か
ら選択した1種又は複数の微生物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は海洋深層水を利用し
た発酵健康食品及びその製造方法に関し、特には効能が
認められているものの苦みや臭みがあって食用に適して
いない原料、例えばうこん,よもぎ,朝鮮人参,田三七
人参を海洋深層水を媒体として発酵させることにより、
苦みや臭みを抑制するとともに海洋深層水に含まれてい
るミネラル成分を有効に生かして、まろやかな味わいを
持つ発酵健康食品とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から成分の有用性の面で健康食品と
しての効能が認められているが、苦みや臭みがある原
料、例えばうこん,よもぎ,朝鮮人参,田三七人参をそ
のまま食品として製品化しても、苦みや臭みが障害とな
って多くの人に敬遠されてしまい、消費者の食用に供す
ることができないという問題がある。
【0003】一方、近時は海洋深層水の持つ清浄性と豊
富なミネラル成分が需要者の注目を浴びてブームを呼
び、該海洋深層水を脱塩処理した水が飲料水の分野に進
入している現状にある。上記の海洋深層水は室戸岬沖そ
の他の複数個所で実用的に取水されており、通常海洋表
層で見られる風波とか表層温度変化に伴う対流,混合も
生じない環境下にある海水で、地上で使用されている各
種の油類とか化学物質,農薬等の有害物質に起因する海
洋汚染の影響を受けることがなく、しかも海水中の溶存
有機物が非常に少なく、微生物的な観点から極めて清浄
であるという特徴を有している。水温は年間平均で13
℃以下という低温であり、人体が必要とする多くの天然
元素を含んでいる。
【0004】表1は海洋表層水と海洋深層水の各種項目
に関して分析した結果を示す一覧表であり、一般項目を
みると、水温平均は海洋表層水の21℃に対して海洋深
層水は13.1℃と低く、pHは同8.19に対して
7.87、DOは同8.33mg/Lに対して7.28
mg/L、TOCは1.60mg/Lに対して0.98
mg/Lで、ともに海洋深層水の方が低いが、生菌数は
海洋表層水の10〜10に対して海洋深層水は10
であり、一桁以上も低くなっている。
【0005】
【表1】
【0006】ミネラル成分としての栄養塩類の項目で
は、NO-Nは海洋表層水の1.49μg-at/Lに
対して海洋深層水では25.9μg-at/L、PO-
Pは同0.34μg-at/Lに対して1.65μg-a
t/L、SiO-Siは同13.6μg-at/Lに対
して64.2μg-at/Lと海洋深層水の方が遙かに
大きくなっている。他の微量元素の項目でも海洋表層水
よりも海洋深層水の方が含有量が高いという分析結果が
得られている。
【0007】また、海洋深層水の脱塩水を原子吸光光度
法により分析した結果、カルシウムが0.4mg/L、
マグネシウムが1.0mg/L含まれていることが判明
した。更に海洋深層水の濃縮水を同様に原子吸光光度法
により分析した結果、カルシウムが560mg/L、マ
グネシウムが1700mg/Lも含まれているという結
果が得られた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、うこ
ん,よもぎ,朝鮮人参,田三七人参などの原料は、成分
の有用性から健康食品としての効能が認められている
が、従来は原料をそのまま、もしくは加熱処理と味付け
処理を施して食品用に供していたため、原料の持つ苦み
や臭みが強烈であってきわめて食し難く、健康に良いこ
とが分かっていても多くの人に敬遠されてしまうという
課題がある。
【0009】一方、近時は天然に存在する微量元素の重
要性が見直されてきており、健康食品においても、この
微量元素を供給することのできるものの提供が期待され
ている。
【0010】他方で海水は微量元素を多く含んでおり、
飲料その他の食品に添加する塩として優れているが、海
洋汚染の進んだ現代では海水中の表層水はそのままでは
添加することはできない。そこで近時では海洋深層水を
脱塩処理した水が多く利用されているが、脱塩作業時に
各種の栄養塩類及び微量元素等のミネラル成分の多くが
除去されてしまうことが多く、前記表1中の海洋深層水
の持つミネラルバランスを実現しているとはいい難いと
いう問題がある。
【0011】そこで本発明はこのような従来の健康食品
が有している課題を解消して、苦みや臭みがあって食用
に適していない原料を、海洋深層水を媒体として発酵さ
せることにより、苦みや臭みを抑制するとともに海洋深
層水に含まれている多くの天然微量元素(ミネラル)を
含み、まろやかな味わいを持つ発酵健康食品を得ること
を目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、海洋深層水中に原料と発酵源とを混合して
所定時間発酵させ、蒸気で蒸す蒸着工程、乾燥工程、冷
却工程を実施して作製した海洋深層水を利用した発酵健
康食品とその製造方法を基本手段としている。上記発酵
工程、蒸着工程、冷却工程の終了後に粉砕して、粉状の
食品とするか、発酵工程、蒸着工程、冷却工程の終了後
にスライスして、平板状の食品とする。
【0013】前記海洋深層水は、該海洋深層水の原水,
脱塩水,濃縮水の何れか1種又は複数種を用いる。ま
た、前記発酵源としての微生物に、乳酸菌,酵母菌,麹
菌の中から選択した1種又は複数の微生物を用いる。
【0014】かかる海洋深層水を利用した発酵健康食品
によれば、うこん,よもぎ,朝鮮人参,田三七人参など
の成分の有用性から、健康食品としての効能が認められ
ていても原料の持つ苦みや臭みが強烈であって食し難
く、多くの人に敬遠されてしまう食品から苦みや臭みを
緩和して食用に適した健康食品が提供可能となる。上記
発酵工程、蒸着工程、冷却工程の終了後に粉砕して粉状
の食品とするか、スライスして平板状の食品とすること
により、食品の使用目的に応じて使い分けることができ
る。また、発酵の媒体として海洋深層水の原水,脱塩
水,濃縮水の何れか1種又は複数種を用いることによっ
て発酵効率が高められるとともに、健康用としても好ま
しい発酵健康食品が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明にかか
る海洋深層水を利用した発酵健康食品及びその製造方法
の具体的な実施形態を説明する。本発明で用いる苦みや
独特の臭みがあって味覚の強い原料として、前記うこ
ん,よもぎ,朝鮮人参,田三七人参の外、ギムネマ,目
薬の木,アケビ,アガリスク,アマチャズル,柿草子,
ガルシニア,黒カリン,ショウブ,サラシアオブロン
ガ,センナ,冬虫夏草,はぶ草,ヤーコン,アンデスマ
カ人参等が挙げられる。
【0016】図1は本実施形態にかかる発酵健康食品の
製造工程例を示すフロー図であり、先ずステップ1でう
こん、よもぎ,朝鮮人参,田三七人参等の苦みや独特の
臭みがあって味覚の強い原料を用意し、ステップ2で原
料の殺菌処理を行う。この殺菌処理は原料に付着してい
る雑菌をなくして、後段の微生物による発酵が行いやす
い状態を作るためである。上記のステップと並行してス
テップ3で海面下200メートル以深の深海から取水し
た海洋深層水を用意し、ステップ4で該海洋深層水の濾
過を行ってから海洋深層水の脱塩水16、濃縮水17を
得る。15は海洋深層水の原水であり、前記ステップ3
で用意した海洋深層水と同一のものである。この原水1
5については濾過等の処理を行わない。
【0017】ステップ5では、前記海洋深層水の原水1
5、脱塩水16もしくは濃縮水17の何れか1種又は複
数種を調合タンクに入れて、この水中にステップ2で殺
菌処理した原料とともに乳酸菌,酵母菌,麹菌の中から
選択した1種又は複数の微生物である発酵源18を加え
て混合し、ステップ6で任意の時間発酵させる。この発
酵により原料から食品特有の成分が逃げることがなくな
り、海洋深層水は発酵を促進する作用とともに原料の持
っている苦みとか臭みを和らげ、かつ、海洋深層水に含
まれているミネラル成分を浸透させる作用がある。
【0018】上記発酵後に調合タンクから原料を取り出
して、ステップ7で蒸気で蒸す蒸着工程を実施して発酵
を停止させる。蒸着時間は約30分とする。次にステッ
プ8で乾燥工程を行って原料が持っている水分値まで乾
燥し、ステップ9で冷却工程を行い、更にステップ10
で粉砕工程を行ってからステップ11で袋詰め等の包装
工程を行ってステップ12で製品が完成する。ステップ
10の粉砕工程に代えてスライス工程を行って、平板状
の食品とすることもできる。
【0019】製品に塩分とミネラルを補給するため、前
記ステップ9の冷却工程で用いる水は従来の水道水等を
用いずに海洋深層水の原水15もしくは該海洋深層水の
濃縮水17を冷却水として使用して、噴射、混合後に冷
却して塩入り発酵健康食品に仕上げることもできる。
【0020】表2は本実施形態を適用した発酵うこん
と、通常のうこんの100g当たりの成分を分析した結
果である。発酵うこんは糖質,食物繊維,タンニン,ク
ルクミン,ビタミンEが通常のうこんよりも多く含まれ
ており、タンパク質,脂質,灰分,ナトリウム,カリウ
ム,マンガン,亜鉛,鉄,マグネシウムは通常のうこん
の方が若干多く含まれていることが分かる。表3は発酵
うこんと通常のうこんから抽出した成分を分析した結果
であるが、両者間には大差がない。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】表2,表3から本実施形態を採用した発酵
うこんと通常のうこんの成分値には若干の相違がある
が、両者はほぼ近似した成分値を保持しているものと言
える。
【0024】本発明で採用した海洋深層水は、室戸岬沖
の水深320メートル地点から取水した海水であり、深
層水中に含まれている三態窒素のうち、アンモニア態窒
素,亜硝酸態窒素はごく僅かであり、生物に与える影響
は小さく、硝酸態窒素についても表層部では微量であっ
たが、水深が増加するにつれて濃度が高まり、水深20
0メートル以深の水中での無機溶存態窒素の95%以上
が硝酸態窒素で24μM存在している。その他リン酸態
リンが1.7μM、珪酸態珪素が41μM溶存してお
り、いずれも表層部の5〜10倍以上の栄養塩濃度を有
している。
【0025】海洋深層水中に含まれている生体の発育上
で必須の天然元素とは、Fe(鉄)、I(沃素)、Cu
(銅)、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Co(コバ
ルト)、Mo(モリブデン)、Se(セレン)、Cr
(クロム)、Sn(スズ)、V(バナジウム)、F(フ
ッ素)、Si(ケイ素)、Ni(ニッケル)、As(ヒ
素)の15元素であり、これらの元素が海洋深層水に全
てバランス良く含まれていることが大きな特徴となって
いる。従って海洋深層水は海洋生物の生長とか増殖に対
しても大きな潜在能力を秘めた海水であるといえる。こ
のような潜在能力は、近年メダイやコンブ、深海サンゴ
等の養殖実験に利用されて大きな成果を上げていること
からも実証されている。特にノルウエー沖の海洋深層水
は、フィヨルド深層水と呼ばれてサケ養殖に適している
ことが報告されている。
【0026】海洋深層水中の生菌数は、前記表1中に示
したように表層水中のそれと比較して、1桁又はそれ以
上少なくなっており、しかも病原生物はほとんど含まれ
ていないため、海水に由来する魚病菌による病気に関す
る惧れは全くなく、発酵健康食品に採用した際の安全性
が極めて高いという大きな特徴がある。本発明はこのよ
うな海洋深層水に含まれている天然元素を発酵健康食品
に採り入れることによって、生体の発育を促進するとい
う従来の健康食品では実現することができない特性を持
つ食品を提供することができる。
【0027】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、うこん,よもぎ,朝鮮人参,田三七人参などの健
康食品としての効能が認められていても原料の持つ苦み
や臭みが強烈であって多くの人に敬遠されてしまう原料
を、海洋深層水中に発酵源としての微生物とともに混合
して所定時間発酵させてから蒸着工程、乾燥工程、冷却
工程を実施して発酵健康食品を得たことにより、原料の
持つ苦みや臭みを緩和して食用に適したまろやかな味わ
いを持つ健康食品を提供することができる。上記発酵工
程、蒸着工程、冷却工程の終了後に粉砕して粉状の食品
とするか、又はスライスして平板状の食品とすることに
よって使用目的に応じて使い分けることができる。
【0028】特に発酵の媒体として海洋深層水の原水,
脱塩水,濃縮水の何れか1種又は複数種を用いることに
よって発酵効率が高められ、しかも得られた食品の中に
海洋深層水に含まれている各種の栄養塩類及び微量元素
等のミネラル成分の多くが補給され、海洋深層水のミネ
ラルバランスを再現した発酵健康食品が得られる。ま
た、人体に必須の塩として海水中の天然塩が微量元素を
多く含んでおり、健康食品に添加する塩としても最適で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかる発酵健康食品の製造工程例
を示すフロー図。
【符号の説明】
1…原料 3…海洋深層水 5…調合タンク 6…発酵工程 7…蒸着工程 9…冷却工程 10…粉砕工程 11…包装工程 12…製品 15…原水 16…脱塩水 17…濃縮水 18…発酵源 整理番号 P3311
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B018 LB10 MD01 MD61 MD81 MD85 MD86 ME02 MF04 MF06 MF07 MF13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海洋深層水中に原料と発酵源とを混合し
    て所定時間発酵させ、蒸気で蒸す蒸着工程、乾燥工程、
    冷却工程を実施して作製したことを特徴とする海洋深層
    水を利用した発酵健康食品。
  2. 【請求項2】 発酵工程、蒸着工程、冷却工程の終了後
    に粉砕して、粉状の食品とした請求項1に記載の海洋深
    層水を利用した発酵健康食品。
  3. 【請求項3】 発酵工程、蒸着工程、冷却工程の終了後
    にスライスして、平板状の食品とした請求項1に記載の
    海洋深層水を利用した発酵健康食品。
  4. 【請求項4】 前記海洋深層水は、該海洋深層水の原
    水,脱塩水,濃縮水の何れか1種又は複数種を用いた請
    求項1,2又は3に記載の海洋深層水を利用した発酵健
    康食品。
  5. 【請求項5】 前記発酵源としての微生物に、乳酸菌,
    酵母菌,麹菌の中から選択した1種又は複数の微生物を
    用いた請求項1,2,3又は4に記載の海洋深層水を利
    用した発酵健康食品。
  6. 【請求項6】 原料として、うこん,よもぎ,朝鮮人
    参,田三七人参,ギムネマ,目薬の木,アケビ,アガリ
    スク,アマチャズル,柿草子,ガルシニア,黒カリン,
    ショウブ,サラシアオブロンガ,センナ,冬虫夏草,は
    ぶ草,ヤーコン,アンデスマカ人参を用いた請求項1,
    2,3,4又は5に記載の海洋深層水を利用した発酵健
    康食品。
  7. 【請求項7】 苦みや独特の臭みがあって味覚の強い原
    料を殺菌処理してから、海洋深層水中に該原料と発酵源
    としての微生物を混合して所定時間発酵させ、蒸気で蒸
    す蒸着工程、乾燥工程、冷却工程を実施して作製したこ
    とを特徴とする海洋深層水を利用した発酵健康食品の製
    造方法。
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