JP2003083435A - 変速比無限大無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

変速比無限大無段変速機の変速制御装置

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JP2003083435A JP2001271533A JP2001271533A JP2003083435A JP 2003083435 A JP2003083435 A JP 2003083435A JP 2001271533 A JP2001271533 A JP 2001271533A JP 2001271533 A JP2001271533 A JP 2001271533A JP 2003083435 A JP2003083435 A JP 2003083435A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 モード切り換えを伴う変速比変化幅の大きな
急変速時においてクラッチの掛け換え時間が長くなるこ
とのないようにし、変速時間の短縮と耐久性の向上を実
現する。 【解決手段】 A点からE点への変速に際し、従来は先
ずCVT変速比を保持してクラッチの掛け換えにより動
力循環モードから直結モードへモード切り換えしながら
A→A’変速を行い、その後に直結状態でCVT変速比
を変化させてA’点からE点に向かうよう変速させるた
め変速比変化幅A−A’が大きくクラッチの掛け換え時
間が長くなっていた。そこで、制限CVT変速比RAT
IOAよりも高速側のCVT変速比域では先ず、動力循
環モードでの通常の変速によりA→B変速を行わせ、C
VT変速比がRATIOAよりも低速側の大きな値にな
った時にCVT変速比を保持し、この状態でクラッチを
掛け換える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変速比無限大無段
変速機の変速制御装置、特に、動力循環モードと直結モ
ードとの間でのモード切り換えを回転同期点から外れた
変速比において行わせる変速制御装置の改良提案に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】変速比無限大無段変速機(本明細書では
IVTとも言う)は通常、例えば特開平11−6320
3号公報に記載され、図31に示すごとくトロイダル型
無段変速機やVベルト式無段変速機などの無段変速機構
(本明細書ではCVTとも言う)aと遊星歯車組bとの
組み合わせにより構成する。そして遊星歯車組bの3要
素の1つ(図31ではキャリア)に一定変速機構cおよ
びロークラッチdを経て無段変速機構aへの入力回転を
伝達することにより、遊星歯車組bの他の1要素(図3
1ではサンギヤ)を経て無段変速機構aの出力回転メン
バより入力回転メンバに動力を循環させつつ、この循環
動力の一部を無段変速機構aの変速状態に応じ遊星歯車
組aの残りの1要素(図31ではリングギヤ)から取り
出して出力回転となす(動力循環モード)よう構成し、
上記のロークラッチdを解放してその代わりにハイクラ
ッチeを締結することにより、このハイクラッチeを経
て無段変速機構aの出力回転メンバからの無段変速機構
aの動力をそのまま取り出す(CVT直結モード:本明
細書では単に直結モードとも言う)よう構成するのが普
通である。
【0003】かかる構成において変速比無限大無段変速
機の変速比(入力回転数Nin/出力回転数Nout)
は、該変速比の逆数である変速比無限大無段変速機(I
VT)の速度比Et(Nout/Nin)と無段変速機
構(CVT)aの変速比icvtとの関係として例示し
た図2のごとく、無段変速機構aの変速比icvtによ
り変速制御され得る。
【0004】更に付言するに、ロークラッチdおよびハ
イクラッチeの締結・解放切り換えにより行う動力循環
モードと直結モードとの間の伝動モード切り換えは、両
クラッチの駆動側回転メンバの回転数と被動側回転メン
バの回転数とが一致する回転同期点RSPにおいて実行
するが、IVT速度比Etがこの回転同期点RSPより
も低速側の速度比にされる動力循環モードでは無段変速
機構aの変速比icvtを中立点GNP対応の変速比G
NPRTOにすることで、遊星歯車組bのリングギヤへ
伝わる回転を0にして変速比無限大無段変速機の出力回
転数Noutを0になし、伝動経路が機械的に結合され
たままの状態でIVT変速比(変速機入力回転数/変速
機出力回転数)が無限大(IVT速度比Etが0)の中
立状態(Nレンジで要求される)を作り出すことがで
き、停車が可能である。
【0005】この動力循環モードで無段変速機構aが、
遊星歯車組bのリングギヤへの回転を0にするような変
速比GNPRTO(中立点GNP)よりも高速(ハイ)
側変速比である時は、変速比無限大無段変速機の出力回
転が逆向きとなってRレンジで要求される後退走行を可
能にし、無段変速機構aの変速比icvtが当該変速比
GNPRTO(中立点GNP)よりも低速(ロー)側変
速比であるほど、変速比無限大無段変速機の出力回転が
正転方向の回転数を増大されてD,Lレンジで要求され
る前進走行を可能にする。この前進走行中、無段変速機
構aの変速比icvtが上記回転同期点RSPに対応し
た変速比になると、動力循環モードにおいてハイクラッ
チeの駆動側および被駆動側回転メンバの回転数が相互
に一致し、この時にハイクラッチeを油圧の供給により
締結すると共にロークラッチdを油圧の排除により解放
することで、理論上ショックなしに動力循環モードから
直結モードに切り換えることができる。この直結モード
では、無段変速機構aのみによる変速が変速比無限大無
段変速機の変速に反映されることとなる。
【0006】なお、逆に直結モードから動力循環モード
への切り換えに際しても、上記の回転同期点RSPにお
いてロークラッチdの駆動側および被駆動側回転メンバ
の回転数が相互に一致し、この時にロークラッチdを締
結すると共にハイクラッチeを解放することで、理論上
ショックなしに当該モード切り換えを行うことができ
る。
【0007】ところで、上記したように必ず回転同期点
RSPにおいてロークラッチdおよびハイクラッチeの
締結、解放切り換えを行うというのでは、アクセルペダ
ルの急な踏み込みに伴う急なダウンシフトが必要になっ
たり、アクセルペダルの釈放に伴う急なアップシフトが
必要になった場合において、CVT変速比icvtを一
旦回転同期点RSP相当の変速比に変化させた後この変
速比に保持しておき、この状態でロークラッチdおよび
ハイクラッチeの締結、解放切り換えを行うことになる
ため、要求通りの変速応答を期待できないことがある。
また、CVT変速比icvtを回転同期点RSP相当の
変速比に保持しておいてロークラッチdおよびハイクラ
ッチeの締結、解放切り換えを行うことから、当該切り
換え時間中はIVT変速比が変化しないために無段変速
機でありながらこの間に変速が停止するという違和感を
生ずる。
【0008】これがため従来、変速比無限大無段変速機
を特開2001−74131号公報に記載のごとくに変
速制御することが提案されている。つまり、図2と同様
なIVT変速比変化特性を示す図29をもとに、目標と
すべきIVT変速比がA点からE点上の変速比に変化す
るようなアクセルペダル操作を行った場合について説明
すると、先ずCVT変速比icvtを現在の変速比に保
持しておき、ロークラッチdを解放しつつハイクラッチ
eを締結させることによりIVT変速比がA点からA’
点上の変速比になるよう変速させ、その後IVT変速比
がA’点上の変速比からE点上の変速比になるよう無段
変速機構aを変速制御する。
【0009】かかる制御によれば、CVT変速比icv
tを一旦回転同期点RSP相当の変速比に変化させてこ
の変速比に保持し、この状態でロークラッチdおよびハ
イクラッチeの締結、解放切り換えを行った後、CVT
変速比icvtを回転同期点RSP相当の変速比からE
点の変速比に向かわせる制御よりも変速応答が高く、要
求通りの応答で変速を行わせることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし伝動モードの変
更を伴う変速に際し無条件に、上記のごとく先ずCVT
変速比を保持しておき、ロークラッチおよびハイクラッ
チの締結、解放切り換えを行い、その後IVT変速比が
目標とすべき変速比になるよう無段変速機構を変速制御
するというのでは、図29のA点からE点への変速のよ
うに変速比変化幅が大きな場合ロークラッチおよびハイ
クラッチの締結、解放切り換えによる変速比変化幅(A
点からA’点への変速比変化幅)も大きく、両クラッチ
のスリップ制御時間が長くなって長い変速時間が必要に
なったり、クラッチの発熱や耐久性に関する問題が発生
したり、或いは大きなクラッチ締結容量が必要になって
クラッチの大型化や、オイルポンプの大型化を伴うとい
う問題を生ずる。
【0011】請求項1に記載の第1発明は、上記の変速
比変化幅がCVT変速比に応じて変化するとの事実認識
にもとづき、ロークラッチおよびハイクラッチの締結、
解放切り換えによるモード切り換えを伴った変速をCV
T変速比が所定の範囲内にある時のみ許可して上記のよ
うな問題を生ずることのないようにした変速比無限大無
段変速機の変速制御装置を提案することを目的とする。
【0012】請求項2に記載の第2発明は、変速機入力
トルクの如何にかかわらず確実に第1発明の作用効果を
達成し得るようにした変速比無限大無段変速機の変速制
御装置を提案することを目的とする。
【0013】請求項3に記載の第3発明は、変速機入力
トルクの如何にかかわらず一層実情にマッチして更に確
実に第1発明の作用効果を達成し得るようにした変速比
無限大無段変速機の変速制御装置を提案することを目的
とする。
【0014】請求項4に記載の第4発明は、モード切り
換え中に定常的な目標とすべき到達IVT変速比が変化
した場合でもその目標値となるようにCVT変速比が制
御されて運転性が確保され得るようにした変速比無限大
無段変速機の変速制御装置を提案することを目的とす
る。
【0015】請求項5に記載の第5発明は、CVT変速
比の制御とクラッチ切り換え制御とによるIVT変速比
の変化が滑らかに行われると共に、これら制御のタイミ
ングがずれたりすることのないようにし、もって連続的
なIVT変速比の変化を実現することにより違和感を払
拭した変速比無限大無段変速機の変速制御装置を提案す
ることを目的とする。
【0016】請求項6に記載の第6発明は、CVT変速
比を保持した状態でクラッチの掛け換えにより行うモー
ド切り換えを伴った変速に当たり、IVT変速時間が適
切なものとなるようにすると共に、滑らかな変速が実行
されるようにした変速比無限大無段変速機の変速制御装
置を提案することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】これらの目的のため、先
ず第1発明による変速比無限大無段変速機の変速制御装
置は、変速比を無段階に変化させ得る無段変速機構およ
び遊星歯車組の組み合わせになり、無段変速機構への入
力回転をロークラッチの締結により遊星歯車組の1要素
に伝達する時、該遊星歯車組の他の1要素を経て無段変
速機構の出力回転メンバより入力回転メンバに動力を循
環させつつ、該循環動力の一部を無段変速機構の変速状
態に応じ前記遊星歯車組の残りの1要素から取り出し
て、無限大変速比と、その前後における後退変速比およ
び前進変速比とを選択可能な動力循環モードが選択され
るようにし、前記ロークラッチに代えハイクラッチを締
結する時、前記無段変速機構の出力回転をそのまま取り
出して高速側の前進変速比を選択可能な直結モードが選
択されるようにした変速比無限大無段変速機において、
前記動力循環モードおよび直結モード間でのモード切り
換えのためのロークラッチおよびハイクラッチの締結、
解放切り換えを、無段変速機構の変速比が入力トルクに
応じた所定の変速比幅内の値である時のみ許可するよう
構成したことを特徴とするものである。
【0018】第2発明による変速比無限大無段変速機の
変速制御装置は、第1発明において、前記所定の変速比
幅を前記入力トルクに応じ変化させたことを特徴とする
ものである。
【0019】第3発明による変速比無限大無段変速機の
変速制御装置は、第2発明において、前記所定の変速比
幅を前記入力トルクが大きい時ほど狭くしたことを特徴
とするものである。
【0020】第4発明による変速比無限大無段変速機の
変速制御装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかにお
いて、変速比無限大無段変速機の定常的な目標変速比で
ある到達IVT変速比を実現するための無段変速機構の
到達CVT変速比が到達IVT変速比を所定の変速応答
で実現するための無段変速機構の過渡的な目標CVT変
速比よりも大きいときは、目標CVT変速比を到達CV
T変速比に向かうよう決定し、到達CVT変速比が目標
CVT変速比よりも小さいときは、目標CVT変速比を
保持するよう構成したことを特徴とするものである。
【0021】第5発明による変速比無限大無段変速機の
変速制御装置は、第1発明乃至第4発明のいずれかにお
いて、少なくとも無段変速機構の変速比が保持状態とな
るまでは、締結すべき側のクラッチをロスストロークさ
せた状態で待機し、無段変速機構の変速比が保持状態と
なった後に前記クラッチの締結、解放切り換えを行い、
該クラッチの締結、解放切り換えにより到達IVT変速
比のための過渡的な目標IVT変速比が達成された後に
無段変速機構の変速比保持状態を解除するよう構成した
ことを特徴とするものである。
【0022】第6発明による変速比無限大無段変速機の
変速制御装置は、第5発明において、前記無段変速機構
の変速比保持状態での前記クラッチの締結、解放切り換
え中、該切り換えを前記目標IVT変速比が逐一実現さ
れるよう進行制御するよう構成したことを特徴とするも
のである。
【0023】
【発明の効果】変速比無限大無段変速機は、ロークラッ
チの締結時これを経て、原動機から無段変速機構への入
力回転が遊星歯車組の1要素に伝達され、同遊星歯車組
の他の1要素を経て無段変速機構の出力回転メンバより
入力回転メンバに動力を循環させつつ、この循環動力の
一部を無段変速機構の変速状態に応じ遊星歯車組の残り
の1要素から取り出すことができ、無限大変速比と、そ
の前後における後退変速比および前進変速比とを選択可
能な動力循環モードで動力伝達を行い、ロークラッチに
代えハイクラッチを締結する時、無段変速機構の出力回
転をそのまま取り出して高速側の前進変速比を選択可能
な直結モードで動力伝達を行う。
【0024】ところで第1発明においては、動力循環モ
ードおよび直結モード間でのモード切り換えのためのロ
ークラッチおよびハイクラッチの締結、解放切り換え
を、無段変速機構の変速比(CVT変速比)が入力トル
クに応じた所定の変速比幅内の値である時のみ許可する
ため、当該所定の変速比幅の設定次第で、ロークラッチ
およびハイクラッチの締結、解放切り換えにより達成す
べき変速比変化幅を上記所定の変速比幅の設定により小
さくすることができ、これにより両クラッチのスリップ
制御時間が短縮されて変速時間が長くなるという従来の
問題を回避し得ると共に、クラッチの発熱や耐久性に関
する従来の懸念も回避することができ、更に要求される
クラッチ締結容量が小さいことによってクラッチの大型
化や、オイルポンプの大型化を伴うこともなくなる。
【0025】第2発明においては、第1発明における所
定の変速比幅を変速機入力トルクに応じ変化させため、
変速機入力トルクに応じて上記の問題や懸念が顕著にな
る事実に符合するようなロークラッチおよびハイクラッ
チの締結、解放切り換えによる変速の許可が可能とな
り、変速機入力トルクの如何にかかわらず確実に上記の
作用効果を達成し得る。
【0026】第3発明においては、第2発明のように所
定の変速比幅を変速機入力トルクに応じ変化させる時、
特に変速機入力トルクが大きい時ほど上記所定の変速比
幅を狭くしたため、変速機入力トルクが大きい時ほどロ
ークラッチおよびハイクラッチの締結、解放切り換えに
よる変速を狭いCVT変速比域でしか許可しないことと
なり、上記の問題や懸念が顕著になる大入力トルク時に
おいてもこれらの問題や懸念を解消することができ、変
速機入力トルクの如何にかかわらず確実に上記の作用効
果を達成し得る。
【0027】第4発明においては、変速比無限大無段変
速機の定常的な目標変速比である到達IVT変速比を実
現するための無段変速機構の到達CVT変速比が到達I
VT変速比を所定の変速応答で実現するための無段変速
機構の過渡的な目標CVT変速比よりも大きいときは、
目標CVT変速比を到達CVT変速比に向かうよう決定
し、到達CVT変速比が目標CVT変速比よりも小さい
ときは、目標CVT変速比を保持するよう構成したた
め、モード切り換え中に定常的な目標とすべき到達IV
T変速比が変化した場合でもその目標値となるようにC
VT変速比が制御されることとなり、運転性を確保する
ことができる。
【0028】第5発明においては、少なくとも無段変速
機構の変速比が保持状態となるまでは、締結すべき側の
クラッチをロスストロークさせた状態で待機し、無段変
速機構の変速比が保持状態となった後に上記クラッチの
締結、解放切り換えを行い、該クラッチの締結、解放切
り換えにより到達IVT変速比のための過渡的な目標I
VT変速比が達成された後に無段変速機構の変速比保持
状態を解除するため、CVT変速比の制御とクラッチ切
り換え制御とによるIVT変速比の変化が滑らかになる
と共にこれら制御のタイミングがずれることがなく、も
って連続的なIVT変速比の変化を実現し得ることとな
り、変速の違和感を生じなくすることができる。
【0029】第6発明においては、無段変速機構の変速
比保持状態での上記クラッチの締結、解放切り換え中、
該切り換えを上記目標IVT変速比が逐一実現されるよ
う進行制御するため、CVT変速比を保持した状態でク
ラッチの掛け換えにより行うモード切り換えを伴った変
速に当たり、IVT変速時間が適切なものとなると共に
滑らかな変速を実現することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形
態になる変速制御装置を具えた変速比無限大無段変速機
を示す。この変速比無限大無段変速機(IVT)は、エ
ンジンを横置きに搭載したフロントエンジン・フロント
ホイールドライブ車(FF車)用のトランスアクスルと
して構成したもので、エンジンENGから動力を伝達さ
れる入力軸1上に配したトロイダル型無段変速機構2
と、これに平行に配置した出力軸3上の遊星歯車組4と
を主たる構成要素とする。
【0031】トロイダル型無段変速機構2は、2個のト
ロイダル伝動ユニット5,6、つまり、フロント側トロ
イダル伝動ユニット5およびリヤ側トロイダル伝動ユニ
ット6を主たる構成要素とし、これらトロイダル伝動ユ
ニット5,6はそれぞれ、入力軸1に一体回転するよう
嵌合させた入力ディスク7と、これら入力ディスク間で
入力軸1上に回転自在に支持した出力ディスク8と、対
応する入出力ディスク7,8間で動力伝達を行うパワー
ローラ9とにより構成する。
【0032】パワーローラ9はトロイダル伝動ユニット
5,6ごとに2個ずつ設け、これらを入力軸1を挟んで
その両側に対向配置すると共に、図示せざる個々のトラ
ニオンにピボットシャフト11を介して回転自在に支持
し、トラニオンを後で詳述する変速制御のため図示せざ
るピストンによりトラニオン軸線方向(図1の図面直角
方向)にストローク可能とする。
【0033】図1において、エンジンENGから入力軸
1に伝達されたエンジン回転は両入力ディスク7に達
し、入力ディスク7へのエンジン回転(変速機入力回
転)はパワーローラ9を介し出力ディスク8に伝達され
て、両出力ディスク8に固設したCVT出力歯車12か
ら取り出される。かかる伝動中、上記のピストンにより
トラニオンを同期してパワーローラ回転軸線と直交する
トラニオン軸線(首振り軸線)の方向に同位相でストロ
ークさせ、パワーローラ回転軸線が入出力ディスク7,
8の回転軸線と交差した平衡位置(非変速位置)から、
パワーローラ回転軸線が入出力ディスク7,8の回転軸
線からオフセットした変速位置にすると、パワーローラ
9が回転分力により首振り軸線の周りに同期して同位相
で傾転される。これにより、入出力ディスク7,8に対
するパワーローラ9の接触軌跡円半径が連続的に変化
し、入出力ディスク7,8間の伝動比(CVT変速比i
cvt)を無段階に変化させることができる。
【0034】なお、この変速に当たってトラニオンを上
記のごとくストロークさせるためのピストン両側圧は、
図3に示すコントロールバルブボディー21内のステッ
プモータ(変速アクチュエータ)22が指令CVT変速
比icvtoに対応したステップ位置DSRSTPに駆
動して図示せざる変速制御弁を中立位置から作動させる
ことにより生じさせる。そして当該ピストン両側圧間の
差圧による変速進行状態をサーボ系により上記の変速制
御弁にフィードバックし、CVT変速比icvtが指令
CVT変速比icvtoになったところで変速制御弁を
中立位置に戻して、パワーローラ9を上記オフセットが
0の非変速位置に戻すことにより、CVT変速比icv
tを当該指令変速比icvtoに維持することができ
る。
【0035】次いで、図1の出力軸3上に設ける遊星歯
車組4と、上記したトロイダル型無段変速機構2との関
連構成を説明する。遊星歯車組4のエンジンに近い前側
に動力循環クラッチとしてのロークラッチ31を隣接配
置し、遊星歯車組4のエンジンから遠い後側に歯車32
および無段変速機構(CVT)直結クラッチとしてのハ
イクラッチ33を順次隣接配置する。歯車32は出力軸
3上に回転自在に支持し、この歯車32とCVT出力歯
車12との間にアイドラギヤ34を噛合させる。
【0036】遊星歯車組4はサンギヤ4sと、キャリア
4cと、リングギヤ4rとよりなる単純遊星歯車組と
し、サンギヤ4sを出力軸3上に回転自在に支持して歯
車32に結合する。キャリア4cは、入力軸1への変速
機入力回転が一定変速比の減速歯車組35およびローク
ラッチ31を経て入力されるようにし、リングギヤ4r
は出力軸3に結合し、歯車32をハイクラッチ33によ
り出力軸3に結合可能とする。そして、出力軸3にファ
イナルドライブギヤ組36を介してディファレンシャル
ギヤ装置37を駆動結合する。
【0037】上記の構成とした図1に示す変速比無限大
無段変速機IVTの作用を次に説明する。図3に示すコ
ントロールバルブボディー21内にはステップモータ2
2の他に、ロークラッチ31の締結・解放を司るローク
ラッチソレノイド24およびハイクラッチ33の締結・
解放を司るハイクラッチソレノイド25を具え、ローク
ラッチソレノイド24はON時にロークラッチ圧の発生
によりロークラッチ31を締結し、ハイクラッチソレノ
イド25はON時にハイクラッチ圧の発生によりハイク
ラッチ33を締結するものとする。
【0038】ロークラッチソレノイド24のONにより
ロークラッチ31を締結し、ハイクラッチソレノイド2
5のOFFによりハイクラッチ33を解放すると、入力
軸1への変速機入力回転が減速歯車組35およびローク
ラッチ31を経て遊星歯車組4のキャリア4cに伝達さ
れる。キャリア4cに伝達された変速機入力回転はサン
ギヤ4sおよびリングギヤ4rに分配され、サンギヤ4
sに至った回転は歯車32、アイドラギヤ34およびC
VT出力歯車12を経て両トロイダル伝動ユニット5,
6の出力ディスク8から入力ディスク7および入力軸1
に循環され、この循環動力の一部を無段変速機構2の変
速状態に応じリングギヤ4rから出力軸3に伝達する動
力循環モードでの動力伝達が可能になる。
【0039】ロークラッチソレノイド24のOFFによ
りロークラッチ31を解放し、ハイクラッチソレノイド
25のONによりハイクラッチ33を締結すると、入力
軸1から両トロイダル伝動ユニット5,6の入力ディス
ク7、パワーローラ9、および出力ディスク8を経由し
てCVT出力歯車12、アイドラギヤ34および歯車3
2に達したトロイダル型無段変速機構2の出力回転がハ
イクラッチ33を経て出力軸3に達することとなり、ト
ロイダル型無段変速機構2の出力回転を直接出力軸3よ
り取り出すCVT直結モードでの動力伝達が可能とな
る。出力軸3への回転は、ファイナルドライブギヤ組3
6およびディファレンシャルギヤ装置37を経て図示せ
ざる駆動輪に達し、車両を走行させる。
【0040】動力循環モードでは図2に示すように、ト
ロイダル型無段変速機構2のCVT変速比icvtを中
立点GNPに対応した変速比GNPRTOにしてリング
ギヤ4r(出力軸3)への回転が0になるようにするこ
とで、変速比無限大無段変速機の出力回転Noutが0
になり、伝動経路が機械的に結合されたままの状態で変
速比無限大無段変速機のIVT速度比(IVT変速比の
逆数)Et(変速機出力回転数Nout/変速機入力回
転数Nin)が0(IVT変速比Nin/Noutが無
限大)の状態(停車状態)を作り出すことができる。そ
して、この動力循環モードでトロイダル型無段変速機構
2がリングギヤ4r(出力軸3)への回転を0にするよ
うな変速比GNPRTO(中立点GNP)よりも高速
(ハイ)側変速比である時は、変速比無限大無段変速機
の出力回転数Noutが逆向きとなって後退走行(Rレ
ンジ)を可能にし、トロイダル型無段変速機構2のCV
T変速比icvtが当該変速比GNPRTO(中立点G
NP)よりも低速(ロー)側変速比であるほど、変速比
無限大無段変速機の出力回転数Noutが正転方向の回
転数を増大されて前進走行(D,Lレンジ)を可能にす
る。
【0041】従って、トロイダル型無段変速機構2のC
VT変速比icvtが上記低速側の或る変速比になる
と、動力循環モードにおいてサンギヤ4sおよびリング
ギヤ4rの回転数(ハイクラッチ33の駆動側および被
駆動側回転メンバの回転数)が相互に一致し(図2に回
転同期点RSPとして示す)、この時にハイクラッチ3
3を油圧の供給により締結すると共にロークラッチ31
を油圧の排除により解放することで、理論上ショックな
しに動力循環モードから直結モードに切り換えることが
できる。この直結モードでは、図2に示すようにトロイ
ダル型無段変速機構2のCVT変速比icvtを回転同
期点RSPよりも高速側変速比にするほど変速比無限大
無段変速機の出力回転数Noutが正転方向の回転数を
更に増大されて前進走行(Dレンジ)での高速前進が可
能になる。
【0042】なお、上記とは逆に直結モードから動力循
環モードへの切り換えに際しても、上記の回転同期点R
SPにおいてロークラッチ31の駆動側および被駆動側
回転メンバの回転数が相互に一致し、この時にロークラ
ッチ31を締結すると共にハイクラッチ33を解放する
ことで、理論上ショックなしに当該モード切り換えを行
うことができる。
【0043】ステップモータ22の駆動制御、ロークラ
ッチソレノイド24のON,OFF制御、およびハイク
ラッチソレノイド25のON,OFF制御は、図3に示
す変速機コントローラ41によりこれらを実行し、変速
機コントローラ41には入力軸1の回転数Ninを検出
する入力回転センサ42(図1参照)からの信号と、出
力軸3の回転数Noutを検出するIVT出力回転セン
サ43(図1参照)からの信号と、トロイダル型無段変
速機構2の出力回転数Ncvtを検出するCVT出力回
転センサ44(図1参照)からの信号と、エンジンスロ
ットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ45
からの信号と、車速VSPを検出する車速センサ46か
らの信号を入力する。変速機コントローラ41には更
に、セレクタレバーにより運転者が選択した後退走行
(R)レンジ、中立(N)レンジ、前進走行(D)レン
ジ、エンジンブレーキ(L)レンジに係わる選択レンジ
信号とを入力する。
【0044】図3の変速機コントローラ41は、上記し
た各種入力情報をもとに図4に示す制御プログラムを、
例えば10msec毎の定時割り込みにより繰り返し実
行して、本発明による変速制御を含む変速比無限大無段
変速機(IVT)の変速制御を以下のごとくに遂行す
る。まず、ステップSlで上記各種入力情報を読み込
み、次に、ステップS2で図5に示すようにして図3に
示すレンジ信号をもとに、現在の選択レンジが後退走行
(R)レンジ、中立(N)レンジ、前進走行(D)レン
ジ、エンジンブレーキ(L)レンジのどれかを判定す
る。
【0045】ここで、レンジ信号が複数個ある場合や存
在しない場合は異常であるとして最後の正常な判断時の
判定レンジが選択されていると判定する。ちなみに選択
レンジがNレンジのときは、ロークラッチ31およびハ
イクラッチ33の締結を行わないで停車状態を達成し、
R,D,Lレンジのときは、ロークラッチ31を締結し
た動力循環モードで中立点GNP(図2参照)を保つこ
とにより停車状態を達成するものとする。
【0046】次のステップS3では図6に示すサブルー
チンの実行により、先ずステップS17において、変速
機入力回転数NinとCVT出力回転数Ncvtの比
(Nin/Ncvt)である実CVT変速比icvtを
演算し、次いでステップS18において、変速機出力回
転数Noutと変速機入力回転数Ninとの比(Nout/N
in)である実IVT速度比Etを算出し、更にステッ
プS19において、IVT速度比Etの逆数、つまり変
速機入力回転数Ninと変速機出力回転数Noutとの比
(Nin/Nout)である実IVT変速比iIVTを算
出する。
【0047】図4のステップS4においては、図7の処
理により過渡的な目標値である目標CVT変速比RAT
IO0を算出する。この算出に当たっては、先ず図7の
ステップS20において図8の実行により、選択レンジ
に応じた変速マップを選択する。図8の次のステップに
おいては、選択マップ(Dレンジの場合につき代表的に
示すと図9に例示するような変速マップ)に基づきスロ
ットル開度TVOおよび変速機出力回転数Nout(また
は車速VSP)から到達入力回転数DSRREVを検索
により求める。
【0048】図7の次のステップS21においては、図
10のごとくに、この到達入力回転数DSRREVを変
速機出力回転数Noutで除算して変速比無限大無段変
速機の定常的な目標である到達IVT変速比DIVTR
TOを求めると共に、その逆数である到達IVT速度比
INVDIVTRTOを求める。
【0049】次いで図7のステップS22において、こ
れら到達IVT変速比DIVTRTOおよび到達IVT
速度比INVDIVTRTOを所定時定数のフィルター
に通して過渡的な目標である時々刻々の目標IVT変速
比IVTRTOおよびその逆数である目標IVT速度比
INVIVTRTOを求める。
【0050】上記ステップS22で行われる目標IVT
変速比IVTRTOおよび目標IVT速度比INVIV
TRTOの演算は、図11に示すサブルーチンにより以
下の如くに行われる。まず最初のステップで、スロット
ル開度TVOや車速VSPなどの運転状態に基づいて、
図示しないマップや関数等から、到達IVT変速比DI
VTRTOおよび到達IVT速度比INVDIVTRT
Oをどのような変速応答で達成するかを定めるための変
速時定数TgTMを演算する。
【0051】次のステップでは、到達IVT変速比DI
VTRTOと前回の目標IVT変速比IVTRTOとの
偏差に上記の変速時定数TgTMを乗じたものから、次
のようにして目標IVT変速比IVTRTOを演算す
る。 IVTRTO=IVTRTO+TgTM(DIVTRT0 −IVTRTO) 次のステップでは、同様にして目標IVT変速比の逆数
である目標IVT速度比INVIVTRTOを、 INVIVTRTO =INVIVTRTO+TgTM×(INVDIVTRT0−INVIVTR
TO ) により演算する。なお、上記変速時定数TgTMは1次
のローパスフィルタで構成されるが、2次などのローパ
スフィルタであってもよい。
【0052】上記のようにして求めた到達IVT速度比
INVDIVTRTOおよび目標IVT速度比INVI
VTRTOは、図2に示すIVT速度比Etの定常的お
よび過渡的な目標値であり、これら速度比の目標値を決
定した後に図7のステップS23およびステップS24
で、図2のマップをもとに到達IVT速度比INVDI
VTRTOおよび目標IVT速度比INVIVTRTO
から到達CVT変速比DRATIOおよび目標CVT変
速比RATIO0を検索して求める。
【0053】図7のステップS25およびステップS2
6においては、図12に例示するマップを基にスロット
ル開度TVOから第1制限CVT変速比RATIOAお
よび第2制限CVT変速比RATIOBをそれぞれ図2
9に示すごとくに求める。ここで図12から明らかなよ
うに、第1および第2制限CVT変速比RATIOA,
RATIOBは、小さい方の第1制限CVT変速比RA
TIOAが大きい方の第2制限CVT変速比RATIO
Bよりもスロットル開度TVO(エンジン出力トルク、
従って変速機入力トルクを表す)の増大に対して急勾配
で上昇するように定め、従って第1制限CVT変速比R
ATIOAおよび第2制限CVT変速比RATIOB間
のCVT変速比幅(図12および図29参照)をスロッ
トル開度TVO(変速機入力トルク)が大きいときほど
狭くなるように定める。
【0054】次いでステップS27およびステップS2
9において、到達CVT変速比DRATIOまたは目標
CVT変速比RATIO0が第2制限CVT変速比RA
TIOB以上(ロー側)か否かをチェックする。ステッ
プS27で到達CVT変速比DRATIOが第2制限C
VT変速比RATIOBよりもロー側であると判定する
時は、ステップS28において到達CVT変速比DRA
TIOを第2制限CVT変速比RATIOBとなし、ス
テップS29で目標CVT変速比RATIO0が第2制
限CVT変速比RATIOBよりもロー側であると判定
する時は、ステップS30において目標CVT変速比R
ATIO0を第2制限CVT変速比RATIOBとす
る。
【0055】かように到達CVT変速比DRATIOま
たは目標CVT変速比RATIO0を第2制限CVT変
速比RATIOBよりもロー側にならないよう制限する
ことで、無段変速機構2のCVT変速比は回転同期点
(RSP)相当値に達することがなくなってその手前の
変速比に制限される。従って無段変速機構2の変速によ
るIVT変速比の変化は、回転同期点(RSP)相当の
IVT変速比に関して動力循環モードではロー側に制限
され、直結モードではハイ側に制限され、この間の変速
をロークラッチ31およびハイクラッチ33の掛け換え
制御によるイナーシャフェーズにより補佐することにな
り、回転同期点(RSP)でロークラッチ31およびハ
イクラッチ33の掛け換えによるモード切り換えが行わ
れるのを回避することができる。
【0056】以上の処理を終えた後は図4のステップS
5において、変速比無限大無段変速機の伝動モードが動
力循環モード、CVT直結モード、モード切り換え中の
いずれであるかを判定し、伝動モードが動力循環モード
ならSFTMODEに1をセットし、直結モードならS
FTMODEに3をセットし、モード切り換え中ならS
FTMODEに2をセットする。この伝動モード判定処
理は図13に示す如きもので、先ずステップS41にお
いて選択レンジがNレンジであるか否かを判定し、Nレ
ンジ以外であれば制御をステップS42に、またNレン
ジであれば制御をステップS43に進める。
【0057】Nレンジ以外で実行されるステップS42
では、D,L(前進)レンジまたはR(後退)レンジに
なってから、つまり走行レンジになってから所定時間以
上が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していな
ければステップS44で、このことを示すようにSFT
MODEに5をセットしてNレンジ→Dレンジ制御また
はNレンジ→Rレンジ制御に設定し、サブルーチンを終
了する。ステップS42で走行レンジになってから所定
時間以上が経過したと判定する場合、ステップS45以
後の後述する制御を実行する。
【0058】ステップS41でNレンジと判定した時に
選択されるステップS43では、選択レンジがNレンジ
になってから所定時間以上が経過したか否かを判定し、
所定時間が経過していなければステップS52で、この
ことを示すようにSFTMODEに6をセットしてDレ
ンジ→Nレンジ制御またはRレンジ→Nレンジ制御に設
定した後サブルーチンを終了し、Nレンジになってから
所定時間以上が経過している場合、ステップS53でこ
のことを示すようにSFTMODEに0をセットしてN
レンジ制御に設定した後サブルーチンを終了する。
【0059】ステップS42でD,LレンジまたはRレ
ンジになってから所定時間が経過したと判定する場合ス
テップS45において、前記したSFTMODEをもと
に以下のごとく伝動モードの判定が行われる。つまりス
テップS45では、現在の伝動モードがSFTMODE
=1(動力循環モード)か、SFTMODE=3(直結
モード)のいずれであるかを判定し、判定結果に応じて
動力循環モードならステップS46に制御を進め、直結
モードなら制御をステップS47に進める。
【0060】動力循環モード(SFTMODE=1)の
ときは、図2から明らかなように動力循環モードから直
結モードへの切り換え(アップシフト)が発生し得るた
め、ステップS46で、図9と同じような変速線を示す
図14上に例示したアップシフト線αを選択し、当該選
択したアップシフト線αをもとに到達入力回転数DSR
REVから、上記モード切り換えを行うべきアップシフ
ト判定用の判定出力回転数を検索して求める。
【0061】上記のようにモード切り換えアップシフト
判定出力回転数を求めた後は、図13のステップS48
で変速機出力回転数Noutが、このモード切り換えア
ップシフト判定出力回転数以上となったか否かを判定す
る。変速機出力回転数Noutがこのモード切り換えア
ップシフト判定出力回転数以上になると、モード切り換
えを行う領域に入っているため、ステップS49でこの
こと(モード切り換え中)を示すようにSFTMODE
を2に変更すると共にSFTフラグを1(アップシフ
ト)にセットしてサブルーチンを終了する。なおSFT
フラグは、1のときに動力循環モードから直結モードへ
のアップシフトを示し、2のときに直結モードから動力
循環モードへのダウンシフトを示し、0のときには伝動
モード(SFTMODE)の維持を示すものとする。
【0062】一方、ステップS48で変速機出力回転数
Noutがアップシフト判定出力回転数未満と判定する
場合には、動力循環モードから直結モードへのモード切
り換えを指令する領域に入っていないため、モード切り
換え不要としてそのままサブルーチンを終了する。
【0063】ステップS45でSFTMODE=3(直
結モード)と判定する時に選択されるステップS47で
は、図2から明らかなように直結モードから動力循環モ
ードへの切り換え(ダウンシフト)が発生し得るため、
ステップS47で、図14上に例示したダウンシフト線
βを選択し、当該選択したダウンシフト線βをもとに到
達入力回転数DSRREVから、上記モード切り換えを
行うべきダウンシフト判定用の判定出力回転数を検索し
て求める。
【0064】上記のようにモード切り換えダウンシフト
判定出力回転数を求めた後は、図13のステップS50
で変速機出力回転数Noutが、このモード切り換えダ
ウンシフト判定出力回転数未満になったか否かを判定す
る。変速機出力回転数Noutがこのモード切り換えダ
ウンシフト判定出力回転数未満になると、モード切り換
えを行う領域に入っているため、ステップS51でこの
こと(モード切り換え中)を示すようにSFTMODE
を2に変更すると共にSFTフラグを2(ダウンシフ
ト)にセットしてサブルーチンを終了する。
【0065】一方、ステップS50で変速機出力回転数
Noutがダウンシフト判定出力回転数以上と判定する
場合には、直結モードから動力循環モードへのモード切
り換えを指令する領域に入っていないため、モード切り
換え不要としてそのままサブルーチンを終了する。
【0066】以上のごとく図13に基づいて図4のステ
ップS5が実行された後は、同図のステップS6におい
て前記のSFTMODEが1か、2か、3か、それ以外
かにより、伝動モードが動力循環モード(SFTMOD
E=1)か、モード切り換え中(SFTMODE=2)
か、直結モード(SFTMODE=3)か、それ以外の
いずれであるかを判定する。動力循環モードなら制御を
ステップS7に進めて動力循環モード制御を行い、モー
ド切り換え中なら制御をステップS9に進めてモード切
り換え制御を行い、直結モードなら制御をステップS8
に進めて直結モード制御を行い、これら以外なら制御を
ステップS10に進めて対応するその他の制御を行う。
【0067】図4のステップS7における動力循環モー
ド制御は図15に示すごときもので、先ずステップS6
1において、目標ロークラッチ圧を最大値に、また目標
ハイクラッチ圧を最低値にして、ロークラッチ31の締
結を指令すると共にハイクラッチ33の解放を指令す
る。次のステップS62ではCVT比制御モードを判定
し、このCVT比制御モードは通常制御の時0にされ、
CVT変速比を保持する時1にされ、通常制御への遷移
中2にされ、モード切り換え中の通常制御時3にされる
ものとする。
【0068】ステップS62でCVT比制御モードが0
または3であると判定される時、ステップS63におい
て最終目標CVT変速比RATIO1に、図7のステッ
プS24で求め、同図のステップS30で制限した目標
CVT変速比RATIO0をセットする。ステップS6
2でCVT比制御モードが1または2であると判定され
る時、ステップS64において、最終目標CVT変速比
RATIO1を所定時定数TgTMSFTのローパスフ
ィルターに通して、RATIO1=RATIO1+Tg
TMSFT(RATIO0−RATIO1)を求める。
【0069】次いでステップS65において、最終目標
CVT変速比RATIO1および目標CVT変速比RA
TIO0間における偏差の絶対値が所定値未満になった
か否かをチェックし、未満になったところでステップS
66においてCVT比制御モードを0にすることにより
ステップS62がステップS63を選択するようにな
す。以上のようにステップS63またはステップS64
で最終目標CVT変速比RATIO1を求めた後はステ
ップS67において、CVT変速比フィードバック補償
量FBRTOを図16のようにして求める。
【0070】図16では、先ず最終目標CVT変速比R
ATIO1と実CVT変速比icv との偏差errを
求め、次いでこの偏差errに比例定数KP(運転条件
に応じて任意に与え得る)を掛けて求めた比例制御分
と、偏差errに積分定数KI(運転条件に応じて任意
に与え得る)を掛けて求めた積分制御分IntgRとの
和値をもってCVT変速比フィードバック補償量FBR
TOとする。図15のステップS68では、最終目標C
VT変速比RATIO1にCVT変速比フィードバック
補償量FBRTOを加算して指令CVT変速比i
cvt0とする。
【0071】図4のステップS8における直結モード制
御は図17に示すごときもので、先ずステップS71に
おいて、目標ロークラッチ圧を最低値に、また目標ハイ
クラッチ圧を最大値にして、ロークラッチ31の解放を
指令すると共にハイクラッチ33の締結を指令する。次
のステップS72ではCVT比制御モードを判定し、C
VT比制御モードが0または3であると判定される時、
ステップS73において最終目標CVT変速比RATI
O1に図7のステップS24で求め、ステップS30で
制限した目標CVT変速比RATIO0をセットする。
ステップS72でCVT比制御モードが1または2であ
ると判定される時、ステップS74において、最終目標
CVT変速比RATIO1を所定時定数TgTMSFT
のローパスフィルターに通して、RATIO1=RAT
IO1+TgTMSFT(RATIO0−RATIO
1)を求める。
【0072】次いでステップS75において、最終目標
CVT変速比RATIO1および目標CVT変速比RA
TIO0間における偏差の絶対値が所定値未満になった
か否かをチェックし、未満になったところでステップS
76においてCVT比制御モードを0にすることにより
ステップS72がステップS73を選択するようにな
す。以上のようにステップS73またはステップS74
で最終目標CVT変速比RATIO1を求めた後はステ
ップS77において、CVT変速比フィードバック補償
量FBRTOを図16につき前述したように求め、ステ
ップS78で、最終目標CVT変速比RATIO1にC
VT変速比フィードバック補償量FBRTOを加算して
指令CVT変速比icvt0とする。
【0073】図4のステップS9におけるモード切り換
え制御は図18に示すごときもので、先ずステップS8
1において、当該モード切り換えに際して行うべきイニ
シャライズが終了しているか否かを判定し、終了してい
ないと判定する時ステップS82において変速タイマを
クリアすると共にCVT比制御モードを0にするイニシ
ャライズを実行し、イニシャライズが終了していると判
定する時はステップS82をスキップする。次のステッ
プS83では、モード切り換え制御が開始されてから所
定時間が経過したか否かをチェックし、所定時間が経過
するまでの間は制御をステップS84〜ステップS90
に進める。
【0074】ステップS84では、図19のようにして
モード切り換え制御中の最終目標CVT変速比RATI
O1を算出する。つまり図19のステップS111にお
いて、CVT比制御モードが0(CVT比の通常制御
中)か、1(CVT比を保持する制御中)か、2(CV
T比の通常制御への移行中)か、3(CVT比をモード
切り換え中ながら通常制御すべき状態)かをチェック
し、ステップS112において、最終目標CVT変速比
RATIO1が図7のステップS25で求めた第1制限
CVT変速比RATIOA(図29参照)以上(ロー
側)であるか否かを判定し、ステップS113において
最終目標CVT変速比RATIO1が、図7のステップ
S23で求めると共に同図のステップS28で制限した
到達CVT変速比DRATIO以上か否かを判定する。
【0075】ステップS111でCVT比制御モードが
3(CVT比をモード切り換え中ながら通常制御すべき
状態)であると判定する時は、ステップS114におい
て最終目標CVT変速比RATIO1を、図7のステッ
プS24で求めると共に同図のステップS30で制限し
た目標CVT変速比RATIO0にし、これにより無段
変速機構2を変速比が目標CVT変速比RATIO0と
なるよう通常通りに変速制御する。またステップS11
1でCVT比制御モードが0(CVT比の通常制御中)
または1(CVT比を保持する制御中)と判別し、ステ
ップS112で最終目標CVT変速比RATIO1が第
1制限CVT変速比RATIOAよりも小さい(ハイ
側)と判定する時も、ステップS114において最終目
標CVT変速比RATIO1を目標CVT変速比RAT
IO0にして無段変速機構2を通常通りに変速制御す
る。これにより、図29のA点からE点への変速時に先
ず通常制御によるA点からB点方向への変速が保証され
ることになる。
【0076】ステップS112で最終目標CVT変速比
RATIO1が第1制限CVT変速比RATIOA以上
(ロー側)と判定し、且つ、ステップS113で最終目
標CVT変速比RATIO1が到達CVT変速比DRA
TIO(図29のA点からE点への変速時はE点のCV
T変速比)以上と判定する時は、ステップS115にお
いてCVT比制御モードを1にしてCVT変速比の保持
を指令し、制御をそのまま終了することにより最終目標
CVT変速比RATIO1を修正しないことでCVT変
速比の保持を実行する。
【0077】ステップS113で最終目標CVT変速比
RATIO1が到達CVT変速比DRATIO(図29
のA点からE点への変速時はE点のCVT変速比)未満
(ハイ側)と判定する時は、ステップS116におい
て、最終目標CVT変速比RATIO1を目標CVT変
速比RATIO0にして無段変速機構2を通常通りに変
速制御すると共にCVT比制御モードを0にしてCVT
変速比の保持を解除し、通常制御に移行するよう指令す
る。
【0078】ステップS111でCVT比制御モードが
2(CVT比の通常制御への移行中)と判別する時はス
テップS117において、最終目標CVT変速比RAT
IO1を所定時定数TgTMSFTのローパスフィルタ
ーに通して、RATIO1=RATIO1+TgTMS
FT(RATIO0−RATIO1)を求める。次いで
ステップS118において、最終目標CVT変速比RA
TIO1および目標CVT変速比RATIO0間におけ
る偏差の絶対値が所定値未満になったか否かをチェック
し、未満になったところでステップS119においてC
VT比制御モードを3にすることによりステップS11
1がステップS114を選択するようになす。
【0079】以上のようにステップS114、またはス
テップS116、或いはステップS117で最終目標C
VT変速比RATIO1を求めた(ステップS115を
通る時RATIO1は不変に保たれる)後は、図18の
ステップS85において、前記のSFTフラグが1か否
かにより動力循環モードから直結モードへのアップシフ
トか、逆に直結モードから動力循環モードへのダウンシ
フトかを判定する。アップシフトである場合ステップS
86において、アップシフトのシークエンスに従ってロ
ークラッチ圧の計算を行うと共にハイクラッチ圧の計算
を行い、ダウンシフトである場合ステップS87におい
てダウンシフトのシークエンスに従ってロークラッチ圧
の計算を行うと共にハイクラッチ圧の計算を行う。な
お、アップシフト時におけるクラッチ圧の計算とダウン
シフト時におけるクラッチ圧の計算とは、ロークラッチ
およびハイクラッチの締結、解放が逆転するのみで、同
様な手順によることから、ここではクラッチ圧の計算を
アップシフト時について図20により詳述する。
【0080】図20のステップS121においては、C
VT変速比icvtおよび周知の方法で算出しておいた
変速機入力トルクから、ロークラッチ圧マップに基づき
ロークラッチ圧指令値を算出し、次のステップS122
では、CVT変速比icvtおよび周知の方法で算出し
ておいた変速機入力トルクから、ハイクラッチ圧マップ
に基づきハイクラッチ圧指令値を算出する。次いでステ
ップS123、ステップS124、ステップS12
4’、ステップS125、ステップS126において、
変速タイマが順次に大きいUP所定値1未満か、UP所
定値2未満か、UP所定値2’未満か、UP所定値3未
満か、UP所定値4未満かどうかを判定する。
【0081】変速タイマがUP所定値1未満である間は
ステップS127において、ロークラッチ圧指令値を、
ロークラッチ圧マップから算出されたロークラッチ圧に
クラッチ内部のリターンスプリング力に対向する圧力で
あるLCsprを足した圧とし、次いでステップS12
8においてハイクラッチ圧指令値をプリチャージ圧であ
る所定値HCprchに保持し、その後ステップS12
9でIVT比制御モードを1にする。ここでIVT比制
御モードは、IVT変速比の通常制御時0にされ、モー
ド切り換え開始時1にされ、イナーシャフェーズ中2に
され、イナーシャフェーズ終了時3にされるものとす
る。
【0082】変速タイマがUP所定値1以上、UP所定
値2’(ロークラッチのピストンストロークに必要な最
低時間とする)未満である間はステップS130におい
て、ロークラッチ圧指令値をステップS127と同様
に、ロークラッチ圧マップから算出されたロークラッチ
圧にクラッチ内部のリターンスプリング力に対向する圧
力であるLCsprを足した圧とし、次いでステップS
131においてハイクラッチ圧指令値をハイクラッチ内
部におけるリターンスプリング力に対向する圧である所
定値HCsprに増圧する。
【0083】変速タイマがUP所定値2’以上、UP所
定値2未満である間は、ステップS125’においてC
VT比制御モードが1(CVT比保持制御)か否かを判
定し、CVT比制御モードが1(CVT比保持制御)で
なければ制御をステップS130およびステップS13
1に進めてクラッチ制御待機状態となし、この待機状態
をCVT比制御モードが1(CVT比保持制御)になっ
てステップS125’が制御をステップS130’に進
めるまで継続する。ステップS130’では、CVT比
保持状態になったのを受けて変速タイマにUP所定値2
をセットすることでこれを更新し、その後、制御を次の
フェーズであるステップS125に進める。
【0084】ステップS125で変速タイマがUP所定
値3未満であると判定する間、つまりUP所定値2以
上、UP所定値3未満である間はステップS132にお
いて、締結ゲイン1を変速タイマ値からUP所定値2を
差し引いた差値と、UP所定値3からUP所定値2を差
し引いた差値との比により求めると共に、締結ゲイン2
を1から締結ゲイン1を差し引いた差値とする。次いで
ステップS133において、ロークラッチ圧を以下の演
算、 ロークラッチ圧=所定値LCspr+ロークラッチ圧×
締結ゲイン2 により求める。ここでロークラッチ圧は、ロークラッチ
圧マップから算出したロークラッチ圧に1よりも小さい
値である締結ゲイン2を掛けることで低下されることと
なる。次にステップS134で、ハイクラッチ圧を以下
の演算、 ハイクラッチ圧=所定値HCspr+(ハイクラッチ圧
+所定値)×締結ゲイン1 により求める。ここで(ハイクラッチ圧+所定値)にお
ける所定値は、イナーシャフェーズで回転変化を生じさ
せるための余裕分で、車速VSPやスロットル開度TV
Oに応じて適宜に与える。そしてステップS135にお
いて、詳しくは図21につき後述するがハイクラッチ圧
指令値のフィードバック量計算を行う。
【0085】ステップS126で変速タイマがUP所定
値4未満と判定する間、つまりUP所定値3以上、UP
所定値4未満である間はステップS136において、ロ
ークラッチ圧指令値をロークラッチリターンスプリング
力相当の所定値LCsprに保持し、次いでステップS
137においてIVT比制御モードをイナーシャフェー
ズ中であることを示すように2にした後、制御をステッ
プS134、ステップS135に進める。変速タイマが
UP所定値4以上になったらステップS138におい
て、ロークラッチ圧指令値を最低値にし、次いでステッ
プS139においてハイクラッチ圧指令値を前回計算値
と所定値HCdeltaとの和値とする。
【0086】図20のステップS135で行うハイクラ
ッチ圧指令値のフィードバック量計算は図21に示すご
ときもので、先ずステップS141において、例えば図
22のマップをもとに最終目標CVT変速比RATIO
1から変速前IVT変速比IVTRATIOAを求め、
更にステップS142において、例えば図23のマップ
をもとに最終目標CVT変速比RATIO1から変速後
IVT変速比IVTRATIOBを求める。ここで図2
9のA点からE点への変速時における変速前IVT変速
比IVTRATIOAおよび変速後IVT変速比IVT
RATIOBを考察するにこの場合、図19につき前述
したごとくA点から先ずB点に向かうよう通常通りの制
御がなされ、その後CVT変速比が保持された状態でク
ラッチの掛け換えによるB点からB’点への変速が実行
されるため、変速前IVT変速比IVTRATIOAは
B点におけるIVT変速比であり、また変速後IVT変
速比IVTRATIOBはB’点におけるIVT変速比
である。次にステップS143において、IVT比制御
モードが1か否かによりモード切り換えが開始されてい
るか否かをチェックする。
【0087】IVT比制御モードが1であれば、ステッ
プS144において変速前IVT変速比IVTRATI
OAおよび目標IVT変速比IVTRTO間の差の絶対
値|IVTRATIOA−IVTRTO|がイナーシャ
フェーズ開始判定のための所定値以上か否かによりイナ
ーシャフェーズが開始された(クラッチの掛け換えによ
る変速比変化が開始された)か否かを判定する。イナー
シャフェーズ開始と判定する時ステップS145におい
て、このことを示すようにIVT比制御モードを2にす
る。イナーシャフェーズが未だ開始されていなければス
テップS146において、IVT変速タイマをクリア
し、次いでステップS147において、ハイクラッチ圧
のフィードバック量PRSFBを0にリセットすると共
に積分値PRSINTGを0にリセットする。
【0088】ステップS144でイナーシャフェーズ
(クラッチの掛け換えによる変速)開始と判定し、ステ
ップS145でIVT比制御モードを2にした後は、ス
テップS149において、最終目標IVT変速比IVT
RTO1を、IVTRTO1=〔IVTRATIOA+
(IVTRATIOB−IVTRATIOA)〕/〔目
標変速時間×IVT変速タイマ〕により求める。なお目
標変速時間は、スロットル開度TVOや車速VSP等の
運転条件から自由に与えることができる。ここでイナー
シャフェーズが開始された後はイナーシャフェーズが終
了するまでの間、CVT変速比がほぼ保持状態になって
いてIVT変速比を管理する時の目標にすべきCVT変
速比がなくなることから、ステップS149で上記によ
り仮想の目標IVT変速比を作り出してイナーシャフェ
ーズ中の変速制御に資する。ところで上記では最終目標
IVT変速比IVTRTO1が一次直線の形になるが、
他の関数で与えても良いことは言うまでもない。次いで
ステップS150において、最終目標IVT変速比IV
TRTO1と目標変速比IVTRTOとの偏差ierr
(=IVTRTO1−IVTRTO)を求める。
【0089】ステップS151では、ハイクラッチ圧の
フィードバック量PRSFBを以下のようにして求め
る。先ず、上記の変速比偏差ierrおよび積分ゲイン
KIivtから積分項PRSINTGをPRSINTG
=PRSINTG+ierr×KIivtにより求め、
次いで比例ゲインKPitvを用いてハイクラッチ圧フ
ィードバック量PRSFBをPRSFB=ierr×K
Pitv+PRSFBを求める。更にステップS152
でハイクラッチ圧を、当該フィードバック量PRSFB
だけ嵩上げし、ステップS153でIVT変速タイマを
更新する。
【0090】ステップS143でIVT比制御モードが
1でないと判別する時は、ステップS148において、
変速後IVT変速比IVTRATIOBおよび目標IV
T変速比IVTRTO間の差の絶対値|IVTRATI
OB−IVTRTO|がイナーシャフェーズ終了判定の
ための所定値未満か否かによりイナーシャフェーズが終
了したか否かを判定する。終了前のイナーシャフェーズ
中であれば、上記したステップS149〜ステップS1
53の処理を引き続いて実行する。
【0091】ステップS148でイナーシャフェーズ終
了と判定する時は、ステップS154において変速タイ
マをUP所定値4とし、次いでステップS155におい
てCVT比制御モードを2とし、更にステップS156
においてIVT比制御モードを3とする。
【0092】以上のように図20および図21で(図1
8のステップS86で)アップシフトシークエンスに従
った目標ロークラッチ圧および目標ハイクラッチ圧の決
定後、若しくは図18のステップS87でダウンシフト
シークエンスに従った目標ロークラッチ圧および目標ハ
イクラッチ圧の決定後は、図18のステップS88にお
いて変速タイマの更新を行い、次いでステップS89に
おいて、図16につき前述したようにしてCVT変速比
フィードバック補償量FBRTOを算出し、更にステッ
プS90において、前記の最終目標CVT変速比RAT
IO1に上記CVT変速比フィードバック補償量FBR
TOを加算して指令CVT変速比i cvt0を求める。
【0093】図18のステップS83でモード切り換え
制御の開始から所定時間が経過したと判定する時は、変
速終了処理のために先ずステップS91で前記のSFT
フラグが1か否かによりアップシフトかダウンシフトか
を判定する。アップシフト判定時はステップS92でロ
ークラッチ圧を最低値に指令すると共にハイクラッチ圧
を最高値に指令した後、ステップS93でSFTMOD
Eを3にすると共にSFTフラグを0にする。一方でダ
ウンシフト判定時はステップS94でロークラッチ圧を
最高値に指令すると共にハイクラッチ圧を最低値に指令
した後、ステップS95でSFTMODEを1にすると
共にSFTフラグを0にする。
【0094】以上のようにロークラッチ圧およびハイク
ラッチ圧を限界値に指令した後はステップS96におい
てイニシャライズ終了フラグをクリアし、次いでステッ
プS97においてIVT比制御モードを0にし、これら
により次回のモード切り換えに備える。
【0095】図4のステップS7、またはステップS
8、或いはステップS9で前記したごとくに指令CVT
変速比icvto、目標ロークラッチ圧、および目標ハ
イクラッチ圧を求めた後は、ステップS11〜S13に
おいてこれらの目標を実現するための信号を求めて出力
する。ステップS11においては、図24のようにし
て、図25のマップを基に指令CVT変速比icvto
を達成するためのステップモータ22の目標駆動位置
(目標ステップ数)を求める。次にステップS12で
は、図26のようにして、目標ロークラッチ圧および目
標ハイクラッチ圧を実現するためのロークラッチソレノ
イド24およびハイクラッチソレノイド25の駆動デュ
ーティを図27のマップに基づき算出する。そしてステ
ップS13において、ステップモータ22を上記の目標
駆動位置(目標ステップ数)となるよう駆動すると共
に、上記のデューティ比に応じロークラッチソレノイド
24およびハイクラッチソレノイド25を駆動する。
【0096】上記した実施の形態になる変速比無限大無
段変速機の変速制御装置に係わる動作タイムチャートを
図28に例示する。図28は、瞬時t1にスロットル開
度TVOを全開から全閉にしたことで、つまり図9と同
様な変速線を示す図30のA点から実線矢印で示すごと
くE点へのアクセルペダル操作をしたことで、図29の
A点からE点へのモード切り換えを伴った変速が要求さ
れる場合の変速動作タイムチャートを示す。
【0097】瞬時t1からt2においては動力循環モー
ドでの走行状態にあり、瞬時t2においてIVT変速比
は動力循環モードでのA点相当の変速比である。ここ
で、上記アクセルペダル操作によりスロットル開度TV
Oが図30のA点からE点へと変化して、動力循環モー
ド・直結モード切り換え判定(アップシフト)線αを横
切る結果、到達IVT変速比DIVTRTOがE点相当
値になって動力循環モードから直結モードへの切り換え
が開始される。瞬時t2から瞬時t20までは通常制御
による動力循環モードが継続されるが、瞬時t20以後
は目標IVT変速比IVTRTOがB点に到達するた
め、最終目標CVT変速比RATIO1は保持されたま
まとなる。この間も目標CVT変速比RATIO0はI
VT変速比に伴い変化している。
【0098】かように最終目標CVT変速比RATIO
1が保持されている瞬時t20以後は、前記したクラッ
チの掛け換えによる変速が開始され、前記アップシフト
シークエンスに沿ったロークラッチの解放、ハイクラッ
チの締結が遂行される。瞬時t21において、IVT変
速比の変化(イナーシャフェーズ)の開始が検出される
と、それに伴い目標IVT変速比IVTRTOが算出さ
れ、この目標IVT変速比IVTRTOが実現されるよ
うにハイクラッチ圧およびロークラッチ圧がフィードバ
ック制御されてクラッチの掛け換え変速を行わせる。
【0099】瞬時t22において、イナーシャフェーズ
が終了したのを、つまりIVT変速比がB’点に到達し
たのを検知すると、ハイクラッチ圧およびロークラッチ
圧のフィードバック制御を終了し、これら圧力を一定の
ランプ勾配で変化させることにより先ずロークラッチを
完全に解放状態にする。瞬時t23において目標CVT
変速比RATIO0と最終目標CVT変速比RATIO
1との間に差がなくなると、CVT比制御モードが2か
ら3へと変化してモード切り換え中の通常制御を実行さ
せる。上記のモード切り換え制御は瞬時t24において
終了させ、この時にハイクラッチ圧を最大にして直結モ
ード制御に移行する。かかる直結モード制御により、瞬
時t3においてE点の変速比が実現されることとなる。
【0100】以上により、IVTのA点からE点への変
速に際しては、無段変速機構(CVT)2の変速制御に
より先ずA点からB点への変速が行われ、次にCVT変
速比を保持した状態でロークラッチおよびハイクラッチ
の掛け換えによるB点からB’点への変速が行われ、最
後に直結モードでの無段変速機構(CVT)2の変速制
御によりB’点からE点への変速が行われることとな
る。ところで、動力循環モードおよび直結モード間での
モード切り換えを伴う変速に際し、当該モード切り換え
のためのロークラッチおよびハイクラッチの締結、解放
切り換えを、無段変速機構2の変速比(CVT変速比)
が図29に例示するごときスロットル開度TVO(変速
機入力トルク)に応じた所定の変速比幅内(RATIO
A〜RATIOB)の値である時のみ許可するため、ロ
ークラッチおよびハイクラッチの締結、解放切り換えに
より達成すべき変速比変化幅を上記所定の変速比幅の設
定により小さくすることができ、これにより両クラッチ
のスリップ制御時間が短縮されて変速時間が長くなると
いう従来の問題を回避し得ると共に、クラッチの発熱や
耐久性に関する従来の懸念も回避することができ、更に
要求されるクラッチ締結容量が小さいことによってクラ
ッチの大型化や、オイルポンプの大型化を伴うこともな
くなる。
【0101】しかも、上記所定の変速比幅(RATIO
A〜RATIOB)を図12につき前述した通りロット
ル開度TVO(変速機入力トルク)が大きい時ほど狭く
したため、変速機入力トルクが大きい時ほどロークラッ
チおよびハイクラッチの締結、解放切り換えによる変速
を狭いCVT変速比域でしか許可しないこととなり、上
記の問題や懸念が顕著になる大入力トルク時においても
これらの問題や懸念を解消することができ、変速機入力
トルクの如何にかかわらず確実に上記の作用効果を達成
し得る。
【0102】また、到達IVT変速比DIVTRTOを
実現するための到達CVT変速比DRATIOが、到達
IVT変速比DIVTRTOを所定の変速応答で実現す
るための目標CVT変速比RATIO0よりも大きいと
きは、目標CVT変速比RATIO0を到達CVT変速
比DRATIOに向かうよう決定し、到達CVT変速比
DRATIOが目標CVT変速比RATIO0よりも小
さいときは、目標CVT変速比RATIO0を保持する
ため、モード切り換え中に到達IVT変速比DIVTR
TOが変化した(例えば上記のA→E変速中に到達点が
B’点となった)場合でもその目標値となるようにCV
T変速比が制御されることとなり、運転性を確保するこ
とができる。
【0103】更に図20につき前述したように、CVT
変速比が保持状態となるまでは(ステップS12
5’)、締結すべき側のクラッチをロスストロークさせ
た状態で待機し(ステップS130、ステップS13
1)、CVT変速比が保持状態となった後にクラッチの
締結、解放切り換えを行い(ステップS132〜ステッ
プS139)、該クラッチの締結、解放切り換えにより
到達IVT変速比DIVTRTOのための過渡的な目標
IVT変速比IVTRTOが達成された後にCVT変速
比の保持状態を解除するため、CVT変速比の制御とク
ラッチ切り換え制御とによるIVT変速比の変化が滑ら
かになると共にこれら制御のタイミングがずれることが
なく、もって連続的なIVT変速比の変化を実現し得る
こととなり、変速の違和感を生じなくすることができ
る。
【0104】加えて図20のステップS135における
ように、CVT変速比の保持状態での上記クラッチの締
結、解放切り換え中、この切り換えを目標IVT変速比
IVTRTOが逐一実現されるよう進行制御するため、
CVT変速比を保持した状態でクラッチの掛け換えによ
り行うモード切り換えを伴った変速に当たり、IVT変
速時間が適切なものとなると共に滑らかな変速を実現す
ることができる。
【0105】上記では足放しによるアップシフト変速に
ついて説明したが、図30に破線矢印で示すようにA点
からスロットル開度TVOを一定に保った状態で車速V
SPの上昇に伴って発生するアップシフト(オートアッ
プシフト)の場合は、以下のごとくに変速制御される。
変速機の到達入力回転数は前記したごとく車速VSPお
よびスロットル開度TVOから算出され、これに基づき
IVT変速比が求められ、モード切り換えアップシフト
線αを横切った時にモード切り換えが開始される。
【0106】CVT変速比は第1制限CVT変速比RA
TIOAで保持されることなく、回転同期点RSPの方
向へ順次変速し、第2制限CVT変速比RATIOBに
到達するD点で保持されることになる。クラッチの切り
換えはプリチャージが進行しており、この保持開始と同
時に実際の切り換えが開始され、目標IVT変速比がD
→D’(図29も参照)となるように変速制御される。
D’点でCVT変速比の保持が解除され、CVT変速比
は第2制限CVT変速比RATIOBからハイ側へ変速
していく。
【0107】上記のオートアップシフト中に図29のC
点でアクセルペダルから足を放した結果、C点からE点
への変速が行われる場合(オートアップシフト中の足放
し変速)、第1制限CVT変速比RATIOAおよび第
2制限CVT変速比RATIOB間において到達IVT
変速比がEになったことから、つまりCVT変速比が第
1制限CVT変速比RATIOAおよび第2制限CVT
変速比RATIOB間の制限範囲内の値であることか
ら、CVT変速比はC点で即座に保持される。そしてC
VT変速比の保持中にクラッチの掛け換えによるC点か
らC’点への変速が行われ、IVT変速比がC’相当値
に到達した時にCVT変速比保持制御が解除され、E点
に向かってCVT変速比の制御が開始される。
【0108】なお、ダウンシフトについてもアップシフ
トと考え方は同じであるり、変速方向が逆になるだけで
ある。
【0109】なお上記実施の形態においては、無段変速
機構がトロイダル型無段変速機構2である場合について
説明したが、無段変速機構がVベルト式無段変速機構で
ある場合においても本発明は同様の考え方により適用し
て同様の作用効果を奏し得ることことは言うまでもな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる変速制御装置を
具えた変速比無限大無段変速機の伝動系を示す略線図で
ある。
【図2】 同変速比無限大無段変速機の変速制御特性
を、その速度比と無段変速機構の変速比との関係として
示した線図である。
【図3】 同変速比無限大無段変速機の変速制御系を示
すシステム図である。
【図4】 同変速制御系における変速機コントローラが
実行する変速制御プログラムの全体を示すフローチャー
トである。
【図5】 同変速制御プログラム内における選択レンジ
判定処理を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図6】 同変速制御プログラム内における変速比演算
処理を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図7】 同変速制御プログラム内における目標CVT
変速比演算処理を示すサブルーチンのフローチャートで
ある。
【図8】 同目標CVT変速比演算処理に際して行うべ
き到達入力回転数算出処理のフローチャートである。
【図9】 変速比無限大無段変速機のDレンジにおける
変速パターン図である。
【図10】 同目標CVT変速比演算処理に際して行う
べき到達IVT変速比および到達IVT速度比算出処理
のフローチャートである。
【図11】 同目標CVT変速比演算処理に際して行う
べき目標IVT変速比および目標IVT速度比算出処理
のフローチャートである。
【図12】 同目標CVT変速比演算処理に際して求め
るべき第1および第2制限CVT変速比の変化特性図で
ある。
【図13】 図4に示す変速制御プログラム内における
伝動モード判別処理を示すサブルーチンのフローチャー
トである。
【図14】 変速比無限大無段変速機を動力循環モード
から直結モードに切り換えるべきアップシフト線、およ
び逆方向にモード切り換えすべきダウンシフト線をDレ
ンジについて示す変速パターン図である。
【図15】 図4の変速制御プログラム内における動力
循環モード制御に係わるサブルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図16】 同動力循環モード制御における変速比フィ
ードバック補償量算出処理を示すフローチャートであ
る。
【図17】 図4の変速制御プログラム内における直結
モード制御に係わるサブルーチンを示すフローチャート
である。
【図18】 図4の変速制御プログラム内におけるモー
ド切り換え制御を示すサブルーチンのフローチャートで
ある。
【図19】 同モード切り換え制御における最終目標C
VT変速比の算出処理を示すフローチャートである。
【図20】 同モード切り換え制御におけるアップシフ
ト時クラッチ圧計算処理を示すフローチャートである。
【図21】 同アップシフト時クラッチ圧計算プログラ
ムにおけるハイクラッチ圧フィードバック量計算処理を
示すフローチャートである。
【図22】 同ハイクラッチ圧フィードバック量計算処
理において変速前IVT変速比を求めるのに用いた変速
比関係線図である。
【図23】 同ハイクラッチ圧フィードバック量計算処
理において変速後IVT変速比を求めるのに用いた変速
比関係線図である。
【図24】 図4の変速制御プログラム内におけるステ
ップモータ駆動位置算出処理を示すサブルーチンのフロ
ーチャートである。
【図25】 指令CVT変速比を実現するためのステッ
プモータ目標駆動位置を示す線図である。
【図26】 図4の変速制御プログラム内におけるソレ
ノイド駆動デューティ算出処理を示すサブルーチンのフ
ローチャートである。
【図27】 クラッチ目標油圧を実現するためのソレノ
イド駆動デューティを示す線図である。
【図28】 図4〜図27の変速制御による足放しアッ
プシフト動作タイムチャートである。
【図29】 図4〜図27の変速制御によるアップシフ
ト時の変速順序を、従来の変速制御によるアップシフト
時の変速順序と共に示す、図2と同様な線図である。
【図30】 図29に示したアップシフト時の変速順序
を図9と同様な変速パターン上に示した線図である。
【図31】 従来の変速比無限大無段変速機の動力伝達
経路を模式的に示す概略線図である。
【符号の説明】
ENG エンジン 1 入力軸 2 トロイダル型無段変速機構 3 出力軸 4 遊星歯車組 5 トロイダル伝動ユニット 6 トロイダル伝動ユニット 7 入力ディスク 8 出力ディスク 9 パワーローラ 11 ピボットシャフト 12 CVT出力歯車 21 コントロールバルブボディー 22 ステップモータ 24 ロークラッチソレノイド 25 ハイクラッチソレノイド 31 ロークラッチ 32 歯車 33 ハイクラッチ 34 アイドラギヤ 35 減速歯車組 36 ファイナルドライブギヤ組 37 ディファレンシャルギヤ装置 41 変速機コントローラ 42 変速機入力回転センサ 43 変速機出力回転センサ 44 CVT出力回転センサ 45 スロットル開度センサ 46 車速センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹田 和宏 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3J051 AA03 AA08 BA03 BD02 BE09 CA05 CB07 DA09 ED01 ED04 ED11 ED15 FA01 3J062 AA02 AA18 AB06 AB35 AC03 BA12 BA14 BA16 CG03 CG13 CG35 CG52 CG82 3J552 MA03 MA09 MA30 NB01 PA20 RA02 RB15 SA03 SB08 SB09 SB12 VA32W VA37Z VA62Z VB01Z VC03Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速比を無段階に変化させ得る無段変速
    機構および遊星歯車組の組み合わせになり、 無段変速機構への入力回転をロークラッチの締結により
    遊星歯車組の1要素に伝達する時、該遊星歯車組の他の
    1要素を経て無段変速機構の出力回転メンバより入力回
    転メンバに動力を循環させつつ、該循環動力の一部を無
    段変速機構の変速状態に応じ前記遊星歯車組の残りの1
    要素から取り出して、無限大変速比と、その前後におけ
    る後退変速比および前進変速比とを選択可能な動力循環
    モードが選択されるようにし、 前記ロークラッチに代えハイクラッチを締結する時、前
    記無段変速機構の出力回転をそのまま取り出して高速側
    の前進変速比を選択可能な直結モードが選択されるよう
    にした変速比無限大無段変速機において、 前記動力循環モードおよび直結モード間でのモード切り
    換えのためのロークラッチおよびハイクラッチの締結、
    解放切り換えを、無段変速機構の変速比が入力トルクに
    応じた所定の変速比幅内の値である時のみ許可するよう
    構成したことを特徴とする変速比無限大無段変速機の変
    速制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記所定の変速比幅
    を前記入力トルクに応じ変化させたことを特徴とする変
    速比無限大無段変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記所定の変速比幅
    を前記入力トルクが大きい時ほど狭くしたことを特徴と
    する変速比無限大無段変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項におい
    て、変速比無限大無段変速機の定常的な目標変速比であ
    る到達IVT変速比を実現するための無段変速機構の到
    達CVT変速比が到達IVT変速比を所定の変速応答で
    実現するための無段変速機構の過渡的な目標CVT変速
    比よりも大きいときは、目標CVT変速比を到達CVT
    変速比に向かうよう決定し、 到達CVT変速比が目標CVT変速比よりも小さいとき
    は、目標CVT変速比を保持するよう構成したことを特
    徴とする変速比無限大無段変速機の変速制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項におい
    て、少なくとも無段変速機構の変速比が保持状態となる
    までは、締結すべき側のクラッチをロスストロークさせ
    た状態で待機し、 無段変速機構の変速比が保持状態となった後に前記クラ
    ッチの締結、解放切り換えを行い、 該クラッチの締結、解放切り換えにより到達IVT変速
    比のための過渡的な目標IVT変速比が達成された後に
    無段変速機構の変速比保持状態を解除するよう構成した
    ことを特徴とする変速比無限大無段変速機の変速制御装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記無段変速機構の
    変速比保持状態での前記クラッチの締結、解放切り換え
    中、該切り換えを前記目標IVT変速比が逐一実現され
    るよう進行制御するよう構成したことを特徴とする変速
    比無限大無段変速機の変速制御装置。
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