JP2002147594A - 変速比無限大変速機の発進時変速制御装置 - Google Patents

変速比無限大変速機の発進時変速制御装置

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JP2002147594A
JP2002147594A JP2000343261A JP2000343261A JP2002147594A JP 2002147594 A JP2002147594 A JP 2002147594A JP 2000343261 A JP2000343261 A JP 2000343261A JP 2000343261 A JP2000343261 A JP 2000343261A JP 2002147594 A JP2002147594 A JP 2002147594A
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transmission
ratio
starting
continuously variable
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JP2000343261A
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Hiromasa Sakai
弘正 酒井
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変速比無限大変速機を、マニュアル変速段で
の発進に際しクラッチの締結によることなく、且つ、加
速感の悪化なしに行い得るようにする。 【解決手段】 動力循環モードで無段変速機を変速比無
限大変速機の出力回転数が0となる中立点に対応した変
速比となるよう変速制御してMレンジでの停車を実現す
る。発進に際しては、図示のマニュアル変速線から明ら
かなように何れの変速段M1〜M7においても車速VS
P=0時の変速開始入力回転数である発進回転数Nin
stをエンジンのアイドル回転数より若干高い入力回転
数とすることにより、アクセルペダルの踏み込みにより
入力回転数Ninが発進回転数Ninstになった時に
車両停車用の中立点GNPからマニュアル選択変速段
(M1〜M7:発進時故に通常はM1)への変速を開始
させる。従ってMレンジでの発進時に制御困難なクラッ
チの締結が不要であると共に、発進時にエンジン回転が
上昇しているから十分な発進加速を期待できなくなると
いう問題も生じない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変速比無限大変速
機の発進時変速制御装置、特にマニュアル変速レンジで
の発進時変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】変速比無限大変速機は通常図15に例示
するように、トロイダル型無段変速機やVベルト式無段
変速機等の無段変速機aと遊星歯車組bとの組み合わせ
になり、遊星歯車組bの3要素の1つ(第1要素:図1
5ではキャリア)に一定変速機cおよびロークラッチd
を経て無段変速機aへの入力回転を伝達することによ
り、遊星歯車組bの他の1要素(第2要素:図15では
サンギヤ)を経て無段変速機aの出力回転メンバより入
力回転メンバに動力を循環させつつ、この循環動力を遊
星歯車組aの残りの1要素(第3要素:図15ではリン
グギヤ)から取り出して出力回転となし(動力循環モー
ド)、上記のロークラッチdを解放してその代わりにハ
イクラッチeを締結することにより、このハイクラッチ
eを経て無段変速機aの出力回転メンバからの無段変速
機動力を直接取り出す(直結モード)よう構成するのが
普通である。
【0003】かかる構成において変速比無限大変速機の
変速比(入力回転数Nin/出力回転数Nout)は、
該変速比の逆数である変速比無限大変速機(IVT)の
速度比Et(Nout/Nin)と無段変速機(CV
T)aの変速比icvtとの関係として例示した図16
のごとく、無段変速機aの変速比icvtにより変速制
御され得る。
【0004】更に付言するに、ロークラッチdおよびハ
イクラッチeの締結・解放切り換えにより行う動力循環
モードと直結モードとの間のモード切り換えは、両クラ
ッチの駆動側回転メンバの回転数と被動側回転メンバの
回転数とが一致する回転同期点RSPにおいて実行する
が、IVT速度比Etがこの回転同期点RSPよりも低
速側の速度比にされる動力循環モードでは無段変速機a
の変速比を或る変速比にすることで、遊星歯車組bの第
3要素(リングギヤ)へ伝わる回転を0にして変速比無
限大変速機の出力回転数Noutが0になり(GNP:
中立点という)、伝動経路が機械的に結合されたままの
状態で変速比(変速機入力回転数/変速機出力回転数)
が無限大の状態を作り出すことができ、停車が可能であ
る。
【0005】この動力循環モードで無段変速機aが遊星
歯車組bの第3要素(リングギヤ)への回転を0にする
ような変速比よりも高速(ハイ)側変速比である時は、
変速比無限大変速機の出力回転が逆向きとなって後退走
行を可能にし、無段変速機aの変速比icvtが当該変
速比よりも低速(ロー)側変速比であるほど、変速比無
限大変速機の出力回転が正転方向の回転数を増大されて
前進走行を可能にする。この前進走行中、無段変速機a
の変速比icvtが上記低速側の或る変速比になると、
動力循環モードにおいて遊星歯車組eの第2および第3
要素の回転数(ハイクラッチの駆動側および非駆動側回
転メンバの回転数)が相互に一致して上記の回転同期点
RSPに至り、この時にハイクラッチeを油圧の供給に
より締結すると共にロークラッチdを油圧の排除により
解放することで、理論上ショックなしに動力循環モード
から直結モードに切り換えることができる。この直結モ
ードでは、無段変速機aのみによる変速が変速比無限大
変速機の変速に反映されることとなる。
【0006】なお、逆に直結モードから動力循環モード
への切り換えに際しても、上記の回転同期点RSPにお
いてロークラッチdの駆動側および非駆動側回転メンバ
の回転数が相互に一致し、この時にロークラッチdを締
結すると共にハイクラッチeを解放することで、理論上
ショックなしに当該モード切り換えを行うことができ
る。
【0007】ここで、例えば特開平9−196156号
公報に記載の無段変速機におけると同様の考え方によ
り、変速比無限大変速機にも手動によるマニュアル変速
を可能にするために、自動変速レンジに加えてマニュア
ル変速レンジを設定し、このマニュアル変速レンジでは
図16に例示するようなマニュアル第1速(M1)〜マ
ニュアル第7速(M7)の変速段を手動で選択し得るよ
うにすることが考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、変速比無限
大変速機にマニュアル変速レンジを設定して予定の速度
比の変速段を手動で選択し得るようにした場合、発進時
において以下のような問題を生ずる。つまり、上記の文
献に記載されているような無段変速機においては、これ
とエンジンとの間にトルクコンバータ等の流体伝動装置
を介在させるため、マニュアル変速レンジでどの変速段
を手動選択していても、流体伝動装置のスリップにより
停車状態を保つことができる。発進に際しても、停車状
態からアクセルペダルを踏み込んでエンジン回転数を上
昇させることで、大きなエンジン出力トルクと、流体伝
動装置の低速度比(大きなトルク比)領域との組み合わ
せにより、要求通りの大きな加速度での発進が可能であ
る。
【0009】しかるに変速比無限大変速機は前記した通
り、図16に示す中立点GNPでしか停車を実現し得
ず、マニュアル変速レンジではどの変速段M1〜M7を
手動選択していようとも、中立点GNPから外れてエン
ジンの停止なしには停車不能である。なお、ロークラッ
チdおよびハイクラッチeの双方を解放してここから後
ろへは回転が伝わらないようにすることで停車を可能に
することが考えられるが、この場合、発進時にロークラ
ッチdを滑らせながら徐々に締結してマニュアル変速段
(通常はM1)での発進を行う必要があり、ロークラッ
チdの耐久性を著しく低下させたり、その焼きつきを生
ずる虞がある。かといってロークラッチdを急に締結さ
せると、エンジン回転の上昇が得られず、十分な発進加
速を望めないし、ショックも発生し易く、何れにしても
これらの問題を生じないようなロークラッチdの締結進
行制御が極めて困難である。
【0010】請求項1に記載の第1発明は、かかる問題
に鑑み発進に際してロークラッチの締結進行制御が不要
となるよう、マニュアル変速レンジでの停車を動力循環
モードの中立点により達成するようになし、加えて、発
進時における当該中立点からマニュアル変速段への変速
が十分な発進加速を望み得るタイミングで開始されるよ
うにした変速比無限大変速機の発進時変速制御装置を提
案することを目的とする。
【0011】請求項2に記載の第2発明は、上記第1発
明の作用効果に加え、発進時のマニュアル変速段が低速
側変速比である場合に過大なエンジンブレーキが作用し
て運転性が損なわれることのないようにすると共に、発
進時にエンジン回転の上昇を抑制してスノーモードのよ
うな発進をも可能にした変速比無限大変速機の発進時変
速制御を提案することを目的とする。
【0012】請求項3に記載の第3発明は、上記第1発
明または第2発明の作用効果に加え、発進時における上
記中立点からマニュアル変速段への変速が、エンジン負
荷に応じた過不足のない所定の発進加速を望み得るタイ
ミングで開始されるようにした変速比無限大変速機の発
進時変速制御装置を提案することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】これらの目的のため、第
1発明による変速比無限大変速機の発進時変速制御装置
は、変速比を無段階に変化させ得る無段変速機および遊
星歯車組の組み合わせになり、無段変速機の入力回転を
ロークラッチの締結により遊星歯車組の3個の要素のう
ちの1要素に伝達する時、該遊星歯車組の他の1要素を
経て無段変速機の出力回転メンバより入力回転メンバに
動力を循環させつつ、この循環動力を前記遊星歯車組の
残りの1要素から取り出す動力循環モードが選択され、
前記ロークラッチを解放してハイクラッチを締結する
時、このハイクラッチを経て無段変速機の出力回転メン
バから動力を直接取り出すことができる直結モードが選
択され、前記両モードで選択可能な複数種の変速比をマ
ニュアルでも選択し得るようにした変速比無限大変速機
において、前記マニュアル変速を行うべきマニュアル変
速レンジでの停車中は、前記動力循環モードで変速比無
限大変速機の出力回転が0になるよう無段変速機を変速
制御して該停車を可能にし、該マニュアル変速レンジで
の発進時は、前記入力回転がエンジンのアイドル回転数
よりも高い所定の発進回転数になってから車両を発進さ
せる動力循環モードでのマニュアル選択変速比への変速
が開始されるよう無段変速機を変速制御する構成にした
ことを特徴とするものである。
【0014】第2発明による変速比無限大変速機の発進
時変速制御装置は、第1発明において、前記発進回転数
を前記マニュアル選択変速比に応じて異ならせ、低速側
のマニュアル選択変速比で前記発進回転数を高くしたこ
とを特徴とするものである。
【0015】第3発明による変速比無限大変速機の発進
時変速制御装置は、第1発明または第2発明において、
前記発進回転数をエンジン負荷に応じて異ならせ、高エ
ンジン負荷で前記発進回転数を高くしたことを特徴とす
るものである。
【0016】
【発明の効果】変速比無限大変速機は、ロークラッチの
締結時これを経て無段変速機の入力回転が遊星歯車組の
1要素に伝達され、同遊星歯車組の他の1要素を経て無
段変速機の出力回転メンバより入力回転メンバに動力を
循環させつつ、この循環動力を遊星歯車組の残りの1要
素から取り出すことができ、動力循環モードで動力伝達
を行うことができる。なお、ロークラッチを解放してハ
イクラッチを締結する時は、ハイクラッチを経て無段変
速機の出力回転メンバから動力が直接取り出され、直結
モードで動力伝達を行うことができる。また変速比無限
大変速機は、マニュアル変速レンジで複数の変速比をマ
ニュアルでも選択し得る。
【0017】ところで第1発明においては、マニュアル
変速レンジでの停車に際しては、動力循環モードで変速
比無限大変速機の出力回転が0になるよう無段変速機を
変速制御して当該停車を可能にし、同マニュアル変速レ
ンジでの発進時は、上記入力回転がエンジンのアイドル
回転数よりも高い所定の発進回転数になってから車両を
発進させる動力循環モードでのマニュアル選択変速比へ
の変速が開始されるよう無段変速機を変速制御するた
め、マニュアル変速レンジでの発進時にロークラッチが
締結状態に保たれていることとなり、ロークラッチを徐
々に締結したりするような困難な締結進行制御が不要で
あって、これが焼きついたり十分な発進加速が望めない
といったような前記の問題を回避することができ、ま
た、入力回転が所定の発進回転数になってから車両停車
用の中立点からマニュアル選択変速比への変速を開始さ
せるために、発進時の変速でエンジン回転の上昇が妨げ
られて十分な発進加速を期待できなくなるという問題も
生じなくすることができる。
【0018】第2発明においては、上記発進回転数をマ
ニュアル選択変速比に応じて異ならせ、低速側のマニュ
アル選択変速比で当該発進回転数を高くしたため、発進
時のマニュアル選択変速比が低速側変速比である場合に
過大なエンジンブレーキが作用して運転性が損なわれる
ことのないようにすると共に、発進時にエンジン回転の
上昇を抑制してスノーモードのような発進も可能にな
る。
【0019】第3発明においては、上記発進回転数をエ
ンジン負荷に応じて異ならせ、高エンジン負荷で当該発
進回転数を高くしたため、発進時における上記中立点か
らマニュアル選択変速比への変速が、エンジン負荷に応
じた過不足のない所定の発進加速を望み得るタイミング
で開始され、常時エンジン負荷通りの発進加速を達成す
ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1、本発明の一実施の形態
になる発進時変速制御装置を具えた変速比無限大変速機
およびその変速制御システムを示す。図1の変速比無限
大変速機IVTは、エンジンを横置きに搭載したフロン
トエンジン・フロントホイールドライブ車(FF車)用
のトランスアクスルとして構成したもので、入力軸1上
に配したトロイダル型無段変速機2と、これに平行に配
置した出力軸3上の遊星歯車組4とを主たる構成要素と
する。
【0021】トロイダル型無段変速機2は、2個のトロ
イダル伝動ユニット5,6、つまり、フロント側トロイ
ダル伝動ユニット5およびリヤ側トロイダル伝動ユニッ
ト6を主たる構成要素とし、これらトロイダル伝動ユニ
ット5,6はそれぞれ、入力軸1に一体回転するよう嵌
合させた入力ディスク7と、これら入力ディスク間で入
力軸1上に回転自在に支持した出力ディスク8と、対応
する入出力ディスク7,8間で動力伝達を行うパワーロ
ーラ9とにより構成する。パワーローラ9はトロイダル
伝動ユニット5,6ごとに2個ずつ設け、これらを入力
軸1を挟んでその両側に対向配置すると共に、図示せざ
る個々のトラニオンにピボットシャフト11を介して回
転自在に支持し、トラニオンを後で詳述する変速制御の
ためアップシフト油圧Pupおよびダウンシフト油圧P
dn間の差圧に応動するピストンによりトラニオン軸線
方向(図1の図面直角方向)にストローク可能とする。
【0022】図1において、エンジンENGからフライ
ホイル10を介し入力軸1に伝達されたエンジン回転は
両入力ディスク7に達し、入力ディスク7へのエンジン
回転(変速機入力回転)はパワーローラ9を介し出力デ
ィスク8に伝達されて、両出力ディスク8に固設したス
プロケット12から取り出される。かかる伝動中、アッ
プシフト油圧Pupおよびダウンシフト油圧Pdn間の
差圧により上記のトラニオンを同期してパワーローラ回
転軸線と直交するトラニオン軸線(首振り軸線)の方向
に同位相でストロークさせ、パワーローラ回転軸線が入
出力ディスク7,8の回転軸線と交差した平衡位置(非
変速位置)から、パワーローラ回転軸線が入出力ディス
ク7,8の回転軸線からオフセットした変速位置にする
と、パワーローラ9が首振り軸線の周りに同期して同位
相で傾転される。これにより、入出力ディスク7,8に
対するパワーローラ9の接触軌跡円半径が連続的に変化
し、入出力ディスク7,8間の伝動比(CVT変速比i
cvt)を無段階に変化させることができる。
【0023】なおアップシフト油圧Pupおよびダウン
シフト油圧Pdn間の差圧は、コントロールバルブボデ
ィー21内のステップモータ22が目標CVT変速比i
cvtoに対応した位置にストロークして図示せざる変
速制御弁を中立位置から作動させることにより生じさせ
る。そして当該差圧による変速進行状態をサーボ系23
により変速制御弁にフィードバックし、CVT変速比i
cvtが目標CVT変速比icvtoになったところで
変速制御弁を中立位置に戻して、パワーローラ9を上記
オフセットが0の非変速位置に戻すことにより、CVT
変速比icvtを当該目標変速比icvtoに維持する
ことができる。
【0024】次いで、図1の出力軸3上に設ける遊星歯
車組4と、上記したトロイダル型無段変速機2との関連
構成を説明する。遊星歯車組4のエンジンに近い前側に
動力循環クラッチとしてのロークラッチ31を隣接配置
し、遊星歯車組4のエンジンから遠い後側にスプロケッ
ト32および無段変速機直結クラッチとしてのハイクラ
ッチ33を順次隣接配置する。スプロケット32は出力
軸3上に回転自在に支持し、スプロケット12,32間
にチェーン34を掛け渡す。
【0025】遊星歯車組4はサンギヤ4sと、キャリア
4cと、リングギヤ4rとよりなる単純遊星歯車組と
し、サンギヤ4sを出力軸3上に回転自在に支持してス
プロケット32に結合する。キャリア4cは、入力軸1
への変速機入力回転が減速歯車組35およびロークラッ
チ31を経て入力されるようにし、リングギヤ4rは出
力軸3に結合し、スプロケット32をハイクラッチ33
により出力軸3に結合可能とする。そして、出力軸3に
ファイナルドライブギヤ組36を介してディファレンシ
ャルギヤ装置37を駆動結合する。
【0026】上記の構成とした図1に示す変速比無限大
変速機IVTの作用を次に説明する。コントロールバル
ブボディー21内にはステップモータ22の他に、ロー
クラッチ31の締結・解放を司るロークラッチソレノイ
ド24およびハイクラッチ33の締結・解放を司るハイ
クラッチソレノイド25を具え、ロークラッチソレノイ
ド24はON時にロークラッチ圧Poの発生によりロー
クラッチ31を締結し、ハイクラッチソレノイド25は
ON時にハイクラッチ圧Phの発生によりハイクラッチ
33を締結するものとする。
【0027】ロークラッチソレノイド24のONにより
ロークラッチ31を締結し、ハイクラッチソレノイド2
5のOFFによりハイクラッチ33を解放すると、入力
軸1への変速機入力回転が減速歯車組35およびローク
ラッチ31を経て遊星歯車組4のキャリア4cに伝達さ
れる。キャリア4cに伝達された変速機入力回転はサン
ギヤ4sおよびリングギヤ4rに分配され、サンギヤ4
sに至った回転はチェーン34を経て両トロイダル伝動
ユニット5,6の出力ディスク8から入力ディスク7お
よび入力軸1に循環され、この循環動力をリングギヤ4
rから出力軸3に伝達する動力循環モードでの動力伝達
が可能になる。
【0028】ロークラッチソレノイド24のOFFによ
りロークラッチ31を解放し、ハイクラッチソレノイド
25のONによりハイクラッチ33を締結すると、入力
軸1から両トロイダル伝動ユニット5,6の入力ディス
ク7、パワーローラ9、および出力ディスク8を経由し
てチェーン34に達したトロイダル型無段変速機2の出
力回転がハイクラッチ33を経て出力軸3に達すること
となり、トロイダル型無段変速機2の出力回転を直接出
力軸3より取り出す直結モードでの動力伝達が可能とな
る。
【0029】出力軸3への回転は、ファイナルドライブ
ギヤ組36およびディファレンシャルギヤ装置37を経
て駆動輪38に達し、車両を走行させる。
【0030】動力循環モードでは図11に示すように、
トロイダル型無段変速機2のCVT変速比icvtをリ
ングギヤ4rへの回転が0になるような変速比にするこ
とで、変速比無限大変速機の出力回転数Noutが0に
なり(中立点GNPという)、伝動経路が機械的に結合
されたままの状態で変速比無限大変速機のIVT速度比
Et(変速機出力回転数Nout/変速機入力回転数N
in)が0(変速比Nin/Noutが無限大)の状態
(停車状態)を作り出すことができる。そして、この動
力循環モードでトロイダル型無段変速機2がリングギヤ
4rへの回転を0にするような変速比よりも高速(ハ
イ)側変速比である時は、変速比無限大変速機の出力回
転数Noutが逆向きとなって後退走行を可能にし、ト
ロイダル型無段変速機2のCVT変速比icvtが当該
変速比よりも低速(ロー)側変速比であるほど、変速比
無限大変速機の出力回転数Noutが正転方向の回転数
を増大されて前進走行を可能にする。
【0031】従って、トロイダル型無段変速機2のCV
T変速比icvtが上記低速側の或る変速比になると、
動力循環モードにおいてサンギヤ4sおよびリングギヤ
4rの回転数(ハイクラッチ33の駆動側および非駆動
側回転メンバの回転数)が相互に一致し(図11に回転
同期点RSPとして示す)、この時にハイクラッチ33
を油圧Phの供給により締結すると共にロークラッチ3
1を油圧Poの排除により解放することで、理論上ショ
ックなしに動力循環モードから直結モードに切り換える
ことができる。なお、逆に直結モードから動力循環モー
ドへの切り換えに際しても、上記の回転同期点RSPに
おいてロークラッチ31の駆動側および非駆動側回転メ
ンバの回転数が相互に一致し、この時にロークラッチ3
1を締結すると共にハイクラッチ33を解放すること
で、理論上ショックなしに当該モード切り換えを行うこ
とができる。
【0032】ステップモータ22の駆動制御、ロークラ
ッチソレノイド24のON,OFF制御、およびハイク
ラッチソレノイド25のON,OFF制御は変速制御コ
ントローラ41によりこれらを実行し、コントローラ4
1には入力軸1の回転数Ninを検出する入力回転セン
サ42からの信号と、出力軸3の回転数Noutを検出
する出力回転センサ43からの信号と、サンギヤ4sの
回転数Nsを検出するサンギヤ回転センサ44からの信
号と、エンジンスロットル開度TVOを検出するスロッ
トル開度センサ45からの信号と、車速VSPを検出す
る車速センサ46からの信号と、セレクタレバースイッ
チ47からの選択レンジ信号とを入力する。
【0033】セレクタレバースイッチ47は図2に示す
ように配置されて、以下に説明するよう機能するマニュ
アル変速レンジスイッチ47aと、アップシフトスイッ
チ47bと、ダウンシフトスイッチ47cとで構成す
る。つまり、セレクタレバー48が移動するゲートを図
2に示す「H」型ゲートで構成し、その一方の列に通常
の自動変速機におけると同様、駐車(P)レンジ、後退
走行(R)レンジ、中立(N)レンジ、および前進自動
変速(D)レンジを配置し、Dレンジ位置で当該一方の
列に通じた他方の列をマニュアル変速(M)レンジ位置
としてその両端にアップシフト(+)位置およびダウン
シフト(−)位置を配置する。
【0034】マニュアル変速レンジスイッチ47aは、
セレクタレバー48がDレンジ位置からMレンジ位置に
向かう時にOFFからONに、Mレンジ位置からDレン
ジ位置に向かう時にONからOFFに切り換わるものと
する。Mレンジ位置でセレクタレバー48はアップシフ
ト(+)位置およびダウンシフト(−)位置間の中間位
置に自己復帰し、運転者がセレクタレバー48をアップ
シフト(+)位置にする度にアップシフトスイッチ47
bはマニュアルアップシフト信号を出力し、運転者がセ
レクタレバー48をダウンシフト(−)位置にする度に
ダウンシフトスイッチ47cはマニュアルダウンシフト
信号を出力するものとする。
【0035】図1の変速制御コントローラ41は、上記
した各種入力情報をもとに図3〜図5に示す制御プログ
ラムを、例えば10msec毎の定時割り込みにより繰
り返し実行して変速比無限大変速機の変速制御を遂行す
る。図3のステップSlでは、車速VSP、スロットル
開度TVO、入力回転数Nin、出力回転数Noutお
よびセレクタレバースイッチ47(マニュアル変速レン
ジスイッチ47a、アップシフトスイッチ47b、ダウ
ンシフトスイッチ47c)からの信号などの運転状態信
号を読み込む。ステップS2では、マニュアル変速レン
ジスイッチ47aがONかOFFかによりマニュアル変
速(M)レンジか自動変速(D)レンジかをチェック
し、DレンジならステップS3で、自動変速制御により
目標のIVT速度比Etを決定し、Mレンジならステッ
プS4で、マニュアル変速制御により目標のIVT速度
比Etを決定する。ステップS5では、テップS3,S
4で決定された目標のIVT速度比Etが達成されるよ
う各種アクチュエータを制御する。
【0036】更に詳述するに、ステップS3での自動変
速制御に際しては図10に例示するDレンジ用の変速マ
ップをもとにスロットル開度TVOおよび車速VSPか
ら入力回転数Ninの目標値を求めるとともに、動力循
環モードか直結モードかを判定し続け、出力回転数No
utを入力回転数Ninの目標値で除算してIVT速度
比Etの目標値を決定する。そしてステップS5で、目
標のIVT速度比Etから図11に例示するマップをも
とに目標CVT変速比icvtoを求め、これに対応し
た位置にステップモータ22を駆動するとともに、これ
による変速中に動力循環モードおよび直結モード間での
切り換えが必要な回転同期点RSPで、ロークラッチ3
1およびハイクラッチ33の締結・解放切り換えを行
う。
【0037】ステップS4でのマニュアル変速制御は、
図4に示すステップS10〜S16のフローチャートに
基づいて、以下に詳述するごとくに行われる。なお、マ
ニュアル選択変速段としては図16につき前述したと同
様に図12に実線で示すごとく第1速(M1)〜第7速
(M7)を設定する。まず図4のステップS10では、
図2のセレクトタレバー48がDレンジ位置からMレン
ジ位置に操作されてマニュアル変速レンジスイッチ47
aからの信号がOFFからONに変化した直後か否かを
判定する。このマニュアル変速レンジスイッチ信号がO
Nに変化した直後のMレンジへの切り換え時は1回に限
り、ステップSllで実入力回転数NinRに基づいて
変速段GPの初期化を、図5につき以下に説明するごと
くに行う。但し、マニュアル選択変速段として図12に
示すごとく第1速(M1)〜第7速(M7)を設定して
いることから、変速段GPの最小値は1、最大値は7で
ある。
【0038】図5のステップS20で、変速段GPを制
御する変数nを0にリセットし、次のステップS21で
変数nに1を加算する。ステップS22では、図12の
Mレンジ変速マップに基づき変速段制御変数nに応じた
到達入力回転数Nin*(n)を車速VSPおよび変速
段GP(=n)から求め、現在の実入力回転数NinR
が変速段制御変数nに応じた到達入力回転数Nin*
(n)以上であるか否かを判定する。
【0039】現在の実入力回転数NinRが変速段制御
変数nに応じた到達入力回転数Nin*(n)以上でな
ければ、ステップS23で変数nがマニュアル変速段数
の最大値である7になったと判定するまでステップS2
1を繰り返すことにより変数nを1つずつ上昇させる。
かかる繰り返しによりステップS22で実入力回転数N
inRが変数nに応じた到達入力回転数Nin*(n)
以上であると判定した時に、または上記の繰り返しで変
数nが最大値7になってもNinR≧Nin*(n)に
ならない場合は、ステップS24で変速段GPに現在の
変数nをセットする。
【0040】以上により、DレンジからMレンジへの切
り換え瞬時においては現在の車速VSPのもとで、実入
力回転数NinRを最低速側のマニュアル変速段(M
1)での到達入力回転数Nin*(1)から最高速側の
マニュアル変速段(M7)での到達入力回転数Nin*
(7)までの到達入力回転数Nin*(n)と順次比較
し、DレンジからMレンジへの切り換え時は実入力回転
数NinRに最も近い高速側の変速段GPが初期マニュ
アル変速段として選択される。つまり図12のA点に対
応した車速VSPと実入力回転数NinRの時にDレン
ジからMレンジへの切り換えがあった場合につき説明す
ると、当該切り換え時における実入力回転数NinRに
最も近い高速側のマニュアル変速段GP=5のマニュア
ル第5速(M5)へ向けてA点から矢印方向にアップシ
フトされることとなる。
【0041】これがため、DレンジからMレンジへの切
り換え時に変速方向がアップシフトだったりダウンシフ
トだったりすることがなく、常時アップシフトが行われ
ることとなり、運転者はMレンジへの切り換え時におけ
る変速特性を容易に習熟することができる。また、Dレ
ンジからMレンジへの切り換え時に常時アップシフトが
発生するため、運転者の意図しないエンジンブレーキが
発生するようなことがなく、円滑なDレンジからMレン
ジへの切り換えを行うことが可能となり、運転者に違和
感や不快感を与えることがなくなって、マニュアル変速
を可能にした変速比無限大変速機の操作性を大幅に向上
させることが可能となる。
【0042】図4における次のステップS12では、図
2のセレクタレバー48がアップシフト(+)位置に操
作されてアップシフトスイッチ47bがOFFからON
に変化した(マニュアルアップシフト信号の発生)か否
かを判定し、マニュアルアップシフト信号が発生する度
にステップS13で、現在の変速投GPに1を加算して
マニュアル選択変速段を1段アップシフト方向に変化さ
せる。その後のステップS14では、図2のセレクトタ
レバー48がダウンシフト(−)位置に操作されてダウ
ンシフトスイッチ47cがOFFからONに変化した
(マニュアルダウンシフト信号の発生)か否かを判定
し、マニュアルダウンシフト信号が発生する度にステッ
プS15で、現在の変速段GPから1を減算してマニュ
アル選択変速段を1段ダウンシフト方向に変化させる。
【0043】上記のようにして変速段GPが決定される
と、図4のステップS16でこの変速段GPに基づき目
標IVT速度比Etを、図6に示すごとくに算出する。
先ずステップS31で、図12に例示するマニュアル変
速マップをもとに車速VSP、上記のマニュアル選択変
速段GPおよびスロットル開度TVOから到達入力回転
数Nin*をマップ検索する。次のステップS32では
車速VSPが、マニュアル選択変速段GPおよびスロッ
トル開度TVOで決まる固定変速比領域車速V(GP,
TVO)未満か、固定変速比領域車速V(GP,TV
O)に到達しているかを判定する。ここで固定変速比領
域車速V(GP,TVO)とは、図12に例示するよう
にマニュアル選択変速段GPごとの固定変速比が維持さ
れる車速域の下限車速VSP1〜VSP7を意味するも
のとする。ただし図12ではスロットル開度TVOが固
定変速比領域車速に関係しないことから、固定変速比領
域車速をV(GP)と表すべきところながら、後述する
図13のマップでスロットル開度TVOが固定変速比領
域車速に関与するために本明細書では全般を通じて固定
変速比領域車速をV(GP,TVO)として表記した。
【0044】ステップS32で車速VSPが固定変速比
領域車速V(GP,TVO)未満の低車速と判定する場
合、ステップS33で到達入力回転数Nin*を時定数
βに応じフィルタリング処理して、目標入力回転数Ni
ntを算出する。次にステップS34で、現在の出力回
転数Noutを目標入力回転数Nintで除算すること
により目標IVT速度比Etを算出する。ステップS3
3,34の処理を機能別ブロック線図により示すと図8
に示すごときものとなる。
【0045】ステップS32で車速VSPが固定変速比
領域車速V(GP,TVO)以上の高車速と判定する場
合、ステップS35で、現在の出力回転数Noutを到
達入力回転数Nin*で除算することにより、先ず到達
IVT速度比E*を算出する。次にステップS36で、
到達IVT速度比E*を時定数δに応じフィルタリング
処理することにより、目標IVT速度比Etを算出す
る。ステップS35,36の処理を機能別ブロック線図
により示すと図9に示すごときものとなる。
【0046】図4〜図6に基づき詳述した以上の処理に
より図3のステップS4が終了すると、制御は同図のス
テップS5に戻る。このステップS5では、上記の目標
IVT速度比Etから図11に例示するマップをもとに
目標CVT変速比icvtoを求め、これに対応した位
置にステップモータ22を駆動するとともに、これによ
る変速中に動力循環モードおよび直結モード間での切り
換えが必要な回転同期点RSPで、ロークラッチ31お
よびハイクラッチ33の締結・解放切り換えを行う。
【0047】上記のような目標IVT速度比Etに基づ
くステップモータ22の駆動制御と、ロークラッチ31
およびハイクラッチ33の締結・解放制御は図7のよう
にこれを行う。先ずステップS41において、目標IV
T速度比Etから図11のマップをもとに動力伝達モー
ドを動力循環モードにすべきか、直結モードにすべきか
を判定する。これを基にステップS42でモード切り換
えの必要性を判断し、図11のマップでは図14と同じ
く、回転同期点RSPに対応するIVT固定速度比にマ
ニュアル第3速(M3)を設定し、マニュアル第1速
(M1)およびマニュアル第2速(M2)が動力循環モ
ードで達成され、マニュアル第4速(M4)〜マニュア
ル第7速(M7)が直結モードで達成される。従ってマ
ニュアル第3速(M3)は、図12の最低入力回転数N
inminから最高入力回転数Ninmaxに至る車速
域なら、動力循環モード、直結モードどちらの動力伝達
モードにおいても実現可能なので、モード切り換えを行
わなくてもその変速比を達成することができるから、モ
ード切り換え頻度を低減するためにもモード切り換えを
行わないこととする。
【0048】ステップS42でモード切り換えが必要で
あると判定した場合、ステップS43で、要求されるモ
ード切り換えが行われるようロークラッチ31およびハ
イクラッチ33の締結・解放制御する。ステップS42
でモード切り換えが不要であると判定した場合、ステッ
プS44において、図11のマップに基づき目標lVT
速度比Etから目標CVT変速比icvtoを検索し、
次いでステップS45において、目標CVT比icvt
oに対応した位置にステップモータ22を駆動する。
【0049】なお本実施の形態においては、Mレンジで
車両を停車させる場合DレンジやRレンジの場合と同
様、ロークラッチ31およびハイクラッチ33を締結し
て停車を実現するために、ロークラッチ31を締結させ
た動力循環モードのままトロイダル型無段変速機2を変
速比無限大変速機IVTの出力回転数Noutが0とな
る中立点GNP(図11および図16参照)に対応した
変速比となるよう変速制御する。
【0050】そして当該停車状態からの発進に際して
は、図12に示すマニュアル変速線から明らかなよう
に、何れのマニュアル選択変速段M1〜M7においても
車速VSP=0時の変速開始入力回転数である発進回転
数Ninstをエンジンのアイドル回転数より若干高い
入力回転数とすることにより、アクセルペダルの踏み込
みにより入力回転数Ninが上記の発進回転数Nins
tになった時に車両停車用の中立点GNPからマニュア
ル選択変速段(M1〜M7:発進時故に通常はM1)へ
の変速を開始させる。
【0051】かかる本実施の形態におけるように、Mレ
ンジでの停車に際し、動力循環モードで変速比無限大変
速機IVTの出力回転数Noutが0となる中立点GN
Pに対応した変速比となるようトロイダル型無段変速機
2を変速制御して当該停車を可能にし、またMレンジで
の発進に際しては、入力回転数Ninがエンジンのアイ
ドル回転数よりも若干高い発進回転数Ninstになっ
た時に中立点GNPからマニュアル選択変速段(発進時
故に通常はM1)への変速が開始されるようトロイダル
型無段変速機2を変速制御する場合、Mレンジでの発進
時にロークラッチ31が締結状態に保たれていることと
なり、ロークラッチ31を徐々に締結したりするような
困難な締結進行制御が不要であって、これが焼きついた
り十分な発進加速が望めないといったような前記の問題
を回避することができ、また、入力回転数Ninが上記
の発進回転数Ninstになった時に中立点GNPから
マニュアル選択変速段(M1)への変速への変速を開始
させるために、Mレンジ発進時の変速でエンジン回転の
上昇が妨げられて十分な発進加速を期待できなくなると
いう問題も生じなくすることができるとともに、オイル
ポンプ回転数の上昇不足により潤滑油量不足や油圧低下
を生じてクラッチ31,33や無段変速機2の伝達トル
ク低下を生ずるような事態を防ぐことが可能となる。
【0052】なお入力回転数Ninが発進回転数Nin
stになった後の変速態様としては、発進時のマニュア
ル選択変速段が第1速(M1)である場合について述べ
ると、上記の代わりに図12に二点鎖線M1’で示すご
とく発進開始から直ちに変速比がマニュアル選択変速段
である第1速(M1)の固定変速比に保たれるようにす
ることもできる。但しこの場合、発進直後から直ちに入
力回転数Nin(エンジン回転数)を上昇させるため、
イナーシャトルクが発生して加速感の悪化を生ずるた
め、実線M1で示すように発進直後は入力回転数Nin
が発進回転数Ninstに保たれるようにし、車速VS
Pが或る車速VSP1になった後に変速比がマニュアル
第1速(M1)の固定変速比に保たれるようにして上記
加速感の悪化を防止するのがよい。
【0053】また上記では発進回転数Ninstを図1
2に示す通り、エンジンスロットル開度TVO(エンジ
ン負荷)に関係なく同じとしたが、マニュアル選択変速
段が第1速(M1)である場合について代表的に示す図
13から明らかなように、エンジンスロットル開度TV
Oが0/8から8/8へと増大するにつれ(高エンジン
負荷ほど)、発進回転数をNinst(0/8)からN
inst(8/8)へと高くするのがよい。この場合、
Mレンジでの発進時における中立点GNPからマニュア
ル選択変速段(M1〜M7:発進時故に通常はM1)へ
の変速が、エンジン負荷に応じた過不足のない所定の発
進加速を望み得るタイミングで開始され、常時エンジン
負荷通りの発進加速を達成することができる。ただし、
発進回転数Ninst(0/8)〜Ninst(8/
8)の全てを相互に異ならせる必要はなく、どれかを単
独で他のものと異ならせたり、或いは隣接するものを一
括して他のものと異ならせるなど、異ならせ方は自由で
ある。
【0054】更に詳述するに、スロットル開度TVOが
全閉の0/8時における発進回転数Ninst(0/
8)をほぼアイドル回転数とし、スロットル開度TVO
が全開の8/8時における発進回転数Ninst(8/
8)をエンジン最大トルク発生回転数に設定し、中間開
度では、スロットル開度TVOが大きくなるのに応じて
その間を順次発進回転数がNinst(2/8)からN
inst(6/8)のごとく大きくなるように設定す
る。
【0055】例えばスロットル開度TVOが全開(8/
8)の場合、到達入力回転数Nin*はエンジンの最大
トルク発生回転数Ninst(8/8)からV1(8/
8)までの車速で或る決められたGP=1の固定変速線
をトレースし、最大入力回転数Ninmax以上には上
昇しないようにし、過回転によるエンジンの破損を防止
する。この変速線により、マニュアル第1速(M1)で
の全開発進時には大きな加速度を得ることができる。
【0056】マニュアル第1速(M1)でスロットル開
度TVOが全閉(0/8)の場合、到達入力回転数Ni
n*は最低入力回転数Ninminに設定されていて、
ほぼエンジンアイドル回転数であり、通常のクリープ発
進が可能である。従って、発進時にスロットル開度TV
Oに応じて到達入力回転数Nin*が変化するため、運
転者はアクセルコントロールにより発進加速をクリープ
から最大加速度まで変化させることができる。ただし、
図13に示すごとくスロットル開度TVOごとに異なる
が、マニュアル第1速(M1)の固定変速比に到達する
車速VSP1(0/8)〜VSP1(8/8)以上で
は、変速比の固定されたダイレクト感ある乗り味が楽し
むことができるのはいうまでもない。
【0057】なお、発進回転数Ninstはスロットル
開度TVOだけでなくマニュアル選択変速段M1〜M7
に応じても変化させることができ、マニュアル選択変速
段が第7速(M7)から第1速(M1)へと低速段側の
変速段であるほど、発進回転数をNinst(M7)か
らNinst(M1)へと高くするのがよい。この場
合、発進時のマニュアル選択変速段が低速側変速段であ
る場合に過大なエンジンブレーキが作用して運転性が損
なわれることのないようにすると共に、発進時にエンジ
ン回転の上昇を抑制してスノーモードのような発進もで
きるようになる。ここで、発進回転数Ninst(M
1)〜Ninst(M7)の全てを相互に異ならせる必
要はなく、発進回転数Ninst(M1)のみを他の発
進回転数と異ならせるなど、マニュアル選択変速段M1
〜M7に応じた発進回転数の異ならせ方は自由である。
勿論、発進回転数Ninstはスロットル開度TVOお
よびマニュアル選択変速段M1〜M7の双方に応じて変
化させることもできる。
【0058】なお、図6のステップS32で固定変速比
領域車速V(GP,TVO)未満の低車速と判定する場
合、先ずステップS33で到達入力回転数Nin*をフ
ィルター処理して目標入力回転数Nintを求め、次に
ステップS34で出力回転数Noutを目標入力回転数
Nintにより除算して目標IVT速度比Etを求める
図8の手法を採用するため、出力回転数Noutがフィ
ルター処理の影響を受けることがなくて高応答な変速制
御になることから、全開発進時の低車速域で発生する大
きな加速度においても、目標IVT速度比Etがフィル
ター処理によって必要以上に遅れてエンジンが空吹ける
のを防止することが可能となる。また同時に、スロット
ル全開での走行中に急ブレーキにより大きな減速度で停
車する場合にも、車速変化により目標IVT速度比Et
が遅れるのを防止することができるため、急ブレーキに
より目標IVT速度比Etの指令が高くなり過ぎてエン
ジンストール(エンスト)が発生するのを防止すること
が可能となる。
【0059】逆に、ステップS32で固定変速比領域車
速V(GP,TVO)以上の高車速と判定する場合、先
ずステップS35において出力回転数Noutを到達入
力回転数Nin*で割って到達IVT速度比E*を求
め、これをステップS36でフィルター処理して目標I
VT速度比Etを求めるため、出力回転数Noutがフ
ィルター処理の影響を受けて低応答な変速制御になるこ
とから、たとえばマニュアル第1速でスロットル開度T
VOを最大(8/8)にしての発進時に、図13のVS
Pl(8/8)以上の固定変速比領域車速において、車
速変化による到達入力回転数Nin*の変化がフィルタ
ー処理により遅れることでマニュアル第1速の変速比に
固定することができずにダイレクト感が得られないとい
った問題の発生を防止することが可能となる。
【0060】なお上記実施の形態においては、無段変速
機がトロイダル型無段変速機2である場合について説明
したが、無段変速機がVベルト式無段変速機である場合
においても本発明は同様の考え方により適用することが
でき、同様の作用効果を奏し得ることは言うまでもな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる発進時変速制御
装置を具えた変速比無限大変速機の動力伝達経路および
その変速制御系を示す略線図である。
【図2】 同変速制御系におけるセレクタレバースイッ
チの詳細を示すセレクタレバーのゲート部分に係わる平
面図である。
【図3】 同変速制御装置における変速制御コントロー
ラが実行する制御プログラムのフローチャートである。
【図4】 図3における変速制御のうち、マニュアル変
速制御による目標IVT速度比の算出処理を示すフロー
チャートである。
【図5】 図4におけるマニュアル選択変速段の初期化
処理を示すフローチャートである。
【図6】 図4における目標IVT速度比の算出処理を
詳細に示すフローチャートである。
【図7】 目標IVT速度比に基づいて行うステップモ
ータの駆動制御と、ロークラッチおよびハイクラッチの
締結・解放制御を示すフローチャートである。
【図8】 図6において固定変速比領域車速未満の車速
域で実行される目標IVT速度比の算出処理を示す機能
別ブロック線図である。
【図9】 図6において固定変速比領域車速以上の車速
域で実行される目標IVT速度比の算出処理を示す機能
別ブロック線図である。
【図10】 自動変速レンジでの変速比無限大変速機の
変速パターンを例示する変速線図である。
【図11】 変速比無限大変速機の速度比とトロイダル
型無段変速機の目標変速比との関係を例示する線図であ
る。
【図12】 マニュアル変速レンジでの変速比無限大変
速機の変速パターンを例示する変速線図である。
【図13】 マニュアル変速レンジでの変速パターンの
他の例を、マニュアル第1速の場合についてのみ示す変
速線図である。
【図14】 マニュアル変速レンジでの変速パターンの
更に他の例を示す変速線図である。
【図15】 従来の変速比無限大変速機の動力伝達経路
を模式的に示す概略線図である。
【図16】 同変速比無限大変速機にマニュアル変速レ
ンジを設定した場合における変速パターンを例示する線
図である。
【符号の説明】
1 入力軸 2 トロイダル型無段変速機 3 出力軸 4 遊星歯車組 5 トロイダル伝動ユニット 6 トロイダル伝動ユニット 7 入力ディスク 8 出力ディスク 9 パワーローラ 10 フライホイル 11 ピボットシャフト 12 スプロケット 21 コントロールバルブボディー 22 ステップモータ 23 油圧サーボ系 24 ロークラッチソレノイド 25 ハイクラッチソレノイド 31 ロークラッチ 32 スプロケット 33 ハイクラッチ 34 チェーン 35 減速歯車組 36 ファイナルドライブギヤ組 37 ディファレンシャルギヤ装置 38 タイヤ 41 変速制御コントローラ 42 入力回転センサ 43 出力回転センサ 44 サンギヤ回転センサ 45 スロットル開度センサ 46 車速センサ 47 セレクタレバースイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:46 F16H 59:46 63:06 63:06 Fターム(参考) 3J552 MA02 MA09 MA17 NA01 NB01 PA24 PA32 RA12 RB02 RB17 RC12 RC14 SA03 SB05 SB22 TB03 VA32Z VA37Z VA62Z VA63Z VA64Z VA65Z VA66Z VA68W VA70Z VA74Y VB01Z VC01W VC03W

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速比を無段階に変化させ得る無段変速
    機および遊星歯車組の組み合わせになり、 無段変速機の入力回転をロークラッチの締結により遊星
    歯車組の3個の要素のうちの1要素に伝達する時、該遊
    星歯車組の他の1要素を経て無段変速機の出力回転メン
    バより入力回転メンバに動力を循環させつつ、この循環
    動力を前記遊星歯車組の残りの1要素から取り出す動力
    循環モードが選択され、 前記ロークラッチを解放してハイクラッチを締結する
    時、このハイクラッチを経て無段変速機の出力回転メン
    バから動力を直接取り出すことができる直結モードが選
    択され、 前記両モードで選択可能な複数種の変速比をマニュアル
    でも選択し得るようにした変速比無限大変速機におい
    て、 前記マニュアル変速を行うべきマニュアル変速レンジで
    の停車中は、前記動力循環モードで変速比無限大変速機
    の出力回転が0になるよう無段変速機を変速制御して該
    停車を可能にし、 該マニュアル変速レンジでの発進時は、前記入力回転が
    エンジンのアイドル回転数よりも高い所定の発進回転数
    になってから車両を発進させる動力循環モードでのマニ
    ュアル選択変速比への変速が開始されるよう無段変速機
    を変速制御する構成にしたことを特徴とする変速比無限
    大変速機の発進時変速制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記発進回転数を前
    記マニュアル選択変速比に応じて異ならせ、低速側のマ
    ニュアル選択変速比で前記発進回転数を高くしたことを
    特徴とする変速比無限大変速機の発進時変速制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記発進回
    転数をエンジン負荷に応じて異ならせ、高エンジン負荷
    で前記発進回転数を高くしたことを特徴とする変速比無
    限大変速機の発進時変速制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009107559A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Tokai Rika Co Ltd シフト装置
JP2009107558A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Tokai Rika Co Ltd シフト装置
JP2009204136A (ja) * 2008-02-29 2009-09-10 Nsk Ltd 車両用無段変速装置
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JP2009204136A (ja) * 2008-02-29 2009-09-10 Nsk Ltd 車両用無段変速装置

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