JP2003080667A

JP2003080667A - ドクター装置及びそれを備えた印刷機

Info

Publication number: JP2003080667A
Application number: JP2001279427A
Authority: JP
Inventors: Masaru Yamazaki; 勝山崎
Original assignee: Toppan Printing Co Ltd
Current assignee: Toppan Inc
Priority date: 2001-09-14
Filing date: 2001-09-14
Publication date: 2003-03-19

Abstract

(57)【要約】【課題】ドクターブレードの交換においてドクターブレ
ードの固定状態の均一性と交換作業時間を短縮するドク
ター装置およびグラビア印刷機を提供することを課題と
する。【解決手段】ドクターブレードと、該ドクターブレード
における版胴の回転下流側の面に当接する背板と、該ド
クターブレードを挿入保持するスリット状の溝および該
背板を取り付ける構造を設けたドクターホルダーとを少
なくとも備えることを特徴とするドクター装置を提供す
る。また、ドクターブレードがロールから巻き出された
ものであって、ドクターブレードの巻き出し機構と使用
済みドクターブレードを巻き取る機構を備えたドクター
装置を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はグラビア印刷におけ
る版のインキ掻き取りを行うドクターブレードの交換時
の作業性と作業時間及びドクターブレードの取付け安定
化に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のドクター装置は図５に示すよう
に、２分割構造のドクターホルダーの上下分割部材８お
よび９の間にドクターブレード４および背板１０を挟み
込み、ボルト１１等で締め付けるという構造をとってお
り、ドクターブレードはロールで提供されるものを版胴
の幅に合わせて切断して用いるのが通常であった。そし
て、刃先の摩耗などによるドクターブレードの交換が発
生すると、印刷機よりドクターホルダーごと取り外し
て、ドクターホルダーを分解し、ドクターブレードを交
換して組立てるという方法を取っていた。

【０００３】このような場合、次のような問題点があ
る。ホルダーのドクターブレード固定状態、特に版胴幅
方向の均一性は、締付け用ボルト等の締め付け方により
変化するため、作業者によるバラツキが発生し易く、技
術的な熟練を必要とするという点である。また、ドクタ
ーブレードの交換を行う場合、印刷機への設置状態のま
までは作業環境の確保が構造的に不可能であるため、印
刷機より取り外して、交換作業用の設備を有する専用位
置への移動を必要とし、ドクターホルダーの分解組立作
業と相俟って、交換作業時の工数が多くなり、間接時間
を浪費してしまうという問題点である。

【０００４】そこで、ドクターブレード交換作業の終え
たドクターホルダーを供給装置内に複数内蔵した装置に
よりホルダーごとを順に自動交換する方法も考えられて
はいるが、このような自動交換装置を入れられるほどの
設置スペースは全く無いのが現状のグラビア印刷機であ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、係る従来の
問題点に鑑みてなされたものであり、ドクターブレード
の交換においてドクターブレードの固定状態の均一性と
交換作業時間を短縮するドクター装置およびグラビア印
刷機を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の発明は、
ドクターブレードと、該ドクターブレードにおける版胴
の回転下流側の面に当接する背板と、該ドクターブレー
ドを挿入保持するスリット状の溝および該背板を取り付
ける構造を設けたドクターホルダーとを少なくとも備え
ることを特徴とするドクター装置である。このような構
造をとることで、作業者によるバラツキ無く、均一且つ
安定したドクターブレードの固定が可能となる。

【０００７】また、本発明の第２の発明は、前記背板
は、応力に対して高い復元力の部材からなり、ドクター
ホルダーに設けたドクターブレード用の溝と非平行なス
リット状の溝に挿入保持されていることを特徴とする請
求項１に記載のドクター装置である。このような構成を
とることで、版胴幅方向全域に対して安定した固定状態
を確保できる。

【０００８】また、本発明の第３の発明は、前記ドクタ
ーブレードがロールから巻き出されたものであって、該
ドクターブレードの巻き出し機構を有するドクターブレ
ード供給部と使用済みドクターブレードを巻き取る機構
を有するドクターブレード巻き取り部を備えることを特
徴とする請求項１または２に記載のドクター装置であ
る。このような構成をとることで、少ない設置スペース
でドクターホルダーを分解することなくドクターブレー
ドを簡単な行程で交換できる。

【０００９】また、本発明の第４の発明は、請求項１か
ら３の何れかに記載のドクター装置を備えることを特徴
とするグラビア印刷機である。このような構成をとるこ
とで、ドクターブレードの交換時間が短くなり、稼働率
の高いグラビア印刷機となる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態の一例について詳細に説明する。図１は本発明
のドクター装置の一例を説明する側面概略図であり、ド
クターブレード４と、ドクターブレードにおける版胴の
回転下流側の面に当接する専用背板３と、ドクターブレ
ード４と専用背板３を挿入保持するスリット状の溝を設
けたドクターホルダー１から構成されている。

【００１１】ドクターホルダー内でのドクターブレード
固定方法は、従来式のように背板と合わせて挟み込むも
のでなく、それぞれに設けた、互いに非平行なスリット
状の溝へ、ドクターホルダー側面より専用背板からドク
ターブレードの順に挿入するとともにスリット最深部へ
突き当てることで、作業者によるバラツキが無く、ドク
ターホルダーを機械より取り外して分解することも無く
交換できる。ここでは、背板についてもドクターホルダ
ーにスリット状の溝を設けたが、ボルトなどで固定して
もよい。

【００１２】背板には、応力に対して復元力の高い材質
を選択することで、幅方向全域において安定した固定状
態が確保できる。材料としては例えば、スウェーデン
鋼、ステンレス鋼などが挙げられる。また、その厚みは
およそ１．０〜１．５ｍｍであれば必要且つ十分であ
る。

【００１３】ドクターブレードは、通常用いられるもの
でよく、鋼やセラミック加工鋼などの部材が挙げられ、
厚みとしては、０．１５〜０．２５ｍｍの範囲のものが
用いられる。

【００１４】背板から突出するドクターブレードの幅及
びホルダーから突出するドクターブレードの幅は、背板
の幅とドクターブレードの幅及びホルダーに設けたスリ
ット深さの異なるホルダーとの組み合わせにより選択が
出来る。

【００１５】次に、図３及び図４を用いて本発明の第３
の発明を説明する。図３は本発明のドクターブレードを
巻き出す場合のドクター装置の一例を説明する側面概略
図であり、図４は図３のＡ方向から見た時の概略図であ
る。ドクターブレード供給部は、巻き出しロール３１よ
りガイド７を経てドクターホルダーにドクターブレード
４を供給する。図４ではドクターブレード供給部はドク
ターブレード供給側格納ＢＯＸ５に収めてある。ドクタ
ーブレード巻き取り部は、使用済みとなったドクターブ
レード４をガイド７を介して、巻き取りロール３２の円
筒スリットへドクターブレード端部を挟み込み固定後、
巻き取りロール３２により巻き取る。図４ではドクター
ブレード巻き取り部はドクターブレード巻き取り側格納
ＢＯＸ６に収めてある。

【００１６】ドクターブレード４は巻き取りロール３２
を減速器を介して回転させることで未使用ブレードを巻
き出しロール３１から送り出し、使用済部分を巻き取
る。ドクターブレードは、ドクターブレード製造からの
納入形態であるロール状態で設置することで、連続供給
が可能となる。

【００１７】印刷運転時のドクターホルダー幅に対し、
左右に片側約３００ｍｍ（幅方向）×約５００mm（高さ
方向）のスペースを確保できる印刷機であれば設置が可
能であり、従来必要であったドクターブレード交換用専
用治具を有する作業スペースが不要となり作業環境の小
スペース化につながる。

【００１８】次に、本発明のグラビア印刷機について図
を用いて説明する。図２は本発明のグラビア印刷機の一
例を示す側面概略図である。図２に示すように、版胴２
とこれに被印刷基材２２を押しつける圧胴２１と、版胴
２表面のインキを掻くドクターブレード４を中心とする
ドクター装置と、掻いたインキを受けるインキパン２４
と、インキ２５を版胴２に載せるためのファニッシャー
ロール２３から構成されている。

【００１９】以下に実施例を上げて本発明のドクター装
置の効果を具体的に説明する。＜実施例１＞本発明の第２の発明に係るドクター装置
で、ドクター交換に関わる全ての作業時間について測定
した。その結果を表１に示す。

【００２０】＜実施例２＞本発明の第３の発明に係るド
クター装置で、ドクター交換に関わる全ての作業時間に
ついて測定した。その結果を表１に示す。尚、これにつ
いてはドクターブレードのロス数量も測定した。その結
果を表１示す。

【００２１】＜比較例１＞従来のドクター装置で、ドク
ター交換に関わる全ての作業時間について測定した。そ
の結果を表１に示す。

【００２２】

【表１】

【００２３】上記、表１より本発明の第２の発明に係る
ドクター装置におけるドクターブレードの交換作業は１
本あたり約４２％の時間が削減できた。また、本発明の
第３の発明に係るドクター装置におけるドクターブレー
ドの交換作業は１本あたり約６０％の時間が削減でき
た。さらに、ブレード交換作業におけるＳｅｔ状態が作
業員によるバラツキが一切見られなかった。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の第１の発
明のドクター装置においては、ドクターブレードを挿入
保持するスリット状の溝をドクターホルダーに設けたた
め、作業者によるバラツキ無く、ドクターブレードの固
定が均一且つ安定し、ドクターブレードの交換作業時間
も短縮できるという効果を奏する。

【００２５】また、本発明の第２の発明のドクター装置
においては、応力に対して高い復元力の部材を背板に用
いて、ドクターホルダーに設けたドクターブレード用の
溝と非平行なスリット状の溝に挿入保持されているた
め、版胴幅方向全域に対して安定した固定状態を確保で
きるという効果を奏する。

【００２６】また、本発明の第３の発明のドクター装置
においては、ドクターブレードをロールのまま活用して
ドクターブレード供給部とドクターブレード巻き取り部
を備えたため、少ない設置スペースでドクターホルダー
を分解することなくドクターブレードをより簡単な行程
で交換できる効果を奏する。

【００２７】また、本発明の第４の発明のグラビア印刷
機においては、本発明の第１〜第３の発明のドクター装
置を備えたグラビア印刷機であるため、ドクターブレー
ドの交換時間が短くなり、印刷稼働率が高くなるという
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のドクター装置の一例を説明する側面概
略図である。

【図２】本発明のグラビア印刷機の一例を示す側面概略
図である。

【図３】本発明のドクターブレードを巻き出す場合のド
クター装置の一例を説明する側面概略図である。

【図４】図４は図３のＡ方向から見た時の概略図であ
る。

【図５】従来のドクター装置の側面概略図である。

【符号の説明】

１・・・ドクターホルダー２・・・版胴（凹版）３・・・専用背板４・・・ドクターブレード５・・・ドクターブレード供給側格納ＢＯＸ６・・・ドクターブレード巻き取り側格納ＢＯＸ７・・・ガイド８・・・ドクターホルダー（上）９・・・ドクターホルダー（下）１０・・・背板１１・・・締付けボルト２１・・・圧胴２２・・・基材２３・・・ファニッシャーロール２４・・・インキパン２５・・・インキ３１・・・巻き出しロール３２・・・巻き取りロール

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ドクターブレードと、該ドクターブレード
における版胴の回転下流側の面に当接する背板と、該ド
クターブレードを挿入保持するスリット状の溝および該
背板を取り付ける構造を設けたドクターホルダーとを少
なくとも備えることを特徴とするドクター装置。
【請求項２】前記背板は、応力に対して高い復元力の部
材からなり、ドクターホルダーに設けたドクターブレー
ド用の溝と非平行なスリット状の溝に挿入保持されてい
ることを特徴とする請求項１に記載のドクター装置。
【請求項３】前記ドクターブレードがロールから巻き出
されたものであって、該ドクターブレードの巻き出し機
構を有するドクターブレード供給部と使用済みドクター
ブレードを巻き取る機構を有するドクターブレード巻き
取り部を備えることを特徴とする請求項１または２に記
載のドクター装置。
【請求項４】請求項１から３の何れかに記載のドクター
装置を備えることを特徴とするグラビア印刷機。