JP3697806B2 - 印刷機の刷版取付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷機、殊にオフセット印刷機の版胴に刷版を正確かつ簡易に装着するための刷版取付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷機の版胴へ装着される印刷用の刷版としては、一般にアルミ製のPS版(Prsensitized Plate)、紙版或いは樹脂版等が知られている。
このうち、版の厚さが厚く丈夫なPS版や樹脂版は多量の印刷枚数を印刷することができる反面、紙版に比べて高価であると共に、版胴への着脱も万力によって咬えて版胴にクランプしなければならず、着脱作業も面倒であった。
【0003】
一方、近年、少量・多種の印刷物の需要も多くなり、印刷部数が少ない場合には安価な紙版や、薄手のPS版等が用いられているが、これらの刷版はPS版や樹脂版に比べて腰が弱いためオフセット印刷機の版胴に直接装着することができなかった。また、仮に版胴に直接装着したとしても、版胴に装着後の位置調整などで皺が発生する恐れがあった。
この為、従来、紙版等の刷版を使用する場合、図11,図12に示す如く、版胴50の咬え側万力51の上面に紙版等の刷版52を取付けする版取付プレ−ト53を設け、予め版胴50に装着されたPS版等の通常の厚い版を台版54(この台版は使用後不要となった版を用いても良い)とし、これを支持体として、その周面に台版よりも薄手の刷版52を前記版取付プレ−ト53に引掛けて装着し、版胴50に対して薄手の刷版52の位置を調整をする場合には、前記通常の版と同様な厚さを有する台版54を移動させ、薄手の刷版52を台版54と一体的に移動させる方法が採用されていた。
【0004】
しかし、この版取付プレ−ト53は、紙版等の薄手の刷版52を版胴50に装着する場合、刷版52の孔52’を版取付プレ−ト53に設けた多数のフック53’に引掛けるようになっているので、版の幅が広いと引掛け難いと共に、引掛作業中に版が波打ちを起すと、一旦引掛けたフック53’から外れることも多く版の取付け作業に多くの時間を費やす結果となると共に、フック53は咬え側万力51に咬えて固定しているため紙版や薄手のPS版を使用しないで通常のPS版を使用する場合には万力台5とクランププレ−ト13の間の隙間を球面ボルト15により調整する必要があり非常に繁雑であり、従来の薄手の刷版を用いた小ロット印刷では、実際の印刷時間より刷版の交換時間の方が長くなる等、作業能率を著しく低下させる結果となっていた。
【0005】
この為、かかる従来の薄手の刷版を用いた小ロット印刷用の刷版の簡易な交換手段として、本出願人は既に、版胴の長手方向に沿って形成した切欠部に版万力装置を収納し、該版万力装置の上面に刷版をクランプするクランププレ−トを設けた印刷機の刷版位置決め装置の咬え側版万力装置のクランププレ−ト上面に、刷版の基準孔に嵌入する版位置決め用突起片と、該突起片を覆うように形成した版押えプレ−トとを設け、前記突起片は刷版の咬え側へ向って低くなるように傾斜して形成した刷版取付装置を提案している。(特願平1−196979号)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人が特願平1−196979号で既に提案している刷版取付装置は、刷版を、該刷版に予め設けた基準孔とクランププレ−ト上面に設けた版位置決め用突起片とが互いに嵌合するように、版胴(クランププレ−ト)と版押えプレ−トとの間に挿入するだけで刷版の装着が可能であり、紙版等の薄手の刷版を版胴に、容易、かつ、迅速に、しかも、正確に装着できると言う点では画期的な刷版取付装置である。
【0007】
しかし、刷版は広いものでは、その幅が1m以上もあり、しかも、紙版や薄手のPS版等は薄くて腰が弱い。このため、刷版を版胴(クランププレ−ト)と版押えプレ−トとの間に挿入する際に、刷版の先端面が波打ちしないように水平に保持して押し込まないと刷版を版胴(クランププレ−ト)と押えプレ−トとの間に正しく挿入できないが、幅が広く、薄くで腰が弱い刷版を水平に保持して押し込むためには多少の熟練を必要とする。
本発明は、前記刷版取付装置を全く熟練を要することなく、誰にでも容易に使用が可能とすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の印刷機の刷版取付装置は、版胴の長手方向に沿って形成した切欠部に版万力装置を収納し、該版万力装置の上面に刷版をクランプするクランププレートを設け、該咬え側版万力装置にクランププレート上面に突出する版位置決め用突起片と、刷版の上端面を略全幅に亙り押圧する押えプレートとを設けると共に、該押えプレートを、少なくとも前記突起片を覆う部分とその他の部分とに区分し、かつ、突起片を覆う部分の版胴の円周方向に沿う長さを、他の部分より長くしたこと、更に望ましくは、クランププレート上面に突出する刷版の基準孔に嵌入する版位置決め用突起片の上面を刷版の咬え側に向かって低くなるように形成したことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の一実施例を図1乃至図10により詳細に説明する。
図中1は版胴で、該版胴1には、胴の全長に亙って版の咬え側と尻側との版万力装置3,4を収納する切欠部2が設けられている。該切欠部2内には、その全長より僅かに短く断面略矩形に形成された万力台5,5’が収納されている。
該万力台5,5’の下端部には、図6に示す如く前記切欠部2の底部にボルト7で固定された係合片6に嵌合する蟻溝が形成されている。従って、万力台5,5’は係合片6を介して切欠部2の底面から浮き上がりを規制されている。
【0010】
8,9は万力台5,5’を版胴1に対して位置決めするボルトで、万力台5,5’の長手方向に複数箇設けられている。
10は万力台5,5’の対向する孔11に挿入した圧縮バネで、万力台5,5’を前記切欠部2の側壁面に押し付ける方向に付勢されている。
12,13は万力台5,5’を版胴の長手方向に略4等分する長さに形成されたクランププレ−トで、夫々のクランププレ−ト12,13には、球面凹座を有するボルト孔14が夫々2ヶ所づつ穿設されている。
前記万力台5,5’には前記ボルト孔14に対応するようにネジ孔が形成されており、クランププレ−ト12,13を万力台5,5’に球面ボルト15によって一体的に保持する。また、万力台5,5’の反クランプ側には、全長に亙って断面略半円形の溝16が形成され、その溝16にクランプ軸17が軸支されている。クランプ軸17には、断面L字状の切欠部18が形成されており、クランプ軸17を回転させることにより、前記切欠部18にクランププレ−ト12,13の端縁部が係合するようになっている。従って、クランププレ−ト12,13は球面ボルト15と球面凹座とにより軸支され揺動できるようになっている。
【0011】
一方、尻側万力台5’のクランプ側端面と前記切欠部2の側面との間には、版胴1の全長に亙って偏心軸19が設けられており、その偏心軸19を回転させることにより、尻側の版万力装置4は咬え側の版万力装置3側に摺動できるようになっている。
従って、版万力装置3によって通常の厚さを有するPS版或いは樹脂版等の一端を咬えた後、版胴1の周囲に巻回して他端を尻側の版万力装置4によって固定するようになっている。
【0012】
上記の構成は従来公知の版胴装置と同様である。
本発明はこのように構成された版胴1のクランププレ−ト12の上面側に、紙版或いは厚さ0.15mm〜0.30mm程度のPS版等の刷版20に予め設けた基準孔20aに対応するように、版位置決め用の突起片21(以下基準ピンと称することとする)を設けている。該基準ピン21の頭部21’は、前記刷版20の基準孔20aと略等しい外径を有しており、版胴1の長手方向から視て楔状に形成されている。即ち、該頭部21’は刷版の咬え込み側へ向って低くなるように傾斜して形成されている。
尚、本実施例では基準ピン21は、クランププレ−ト12に、版胴1の幅方向に沿って2箇所設けられているが、該基準ピン21の本数ははこれに限定されることなく適宜数選択して設ければ良いことは言うまでもない。
【0013】
22は前記刷版20の版端の浮き上がりを防ぐための押えプレ−トで、側面から見ると略ヘの字状に折り曲げて形成されている。このクランププレ−ト12の上面に基準ピン21を覆うように反クランプ側端部をボルト24によって固定されている。この押えプレート22は、基準ピン21(突起片)を覆う部分22aとその他の部分22bとに区分されている。
また、押えプレ−ト22の全長はクランププレ−ト12の調整範囲に合わせて決定すれば良く、本実施例ではクランププレ−ト12の長さと略一致させている。
【0014】
即ち、押えプレ−ト22は基本的にはクランププレ−ト12に合わせて版胴の幅方向に4分割とし、基準ピン21を覆わない中央部の2枚の押えプレ−ト22bはクランププレ−ト12の長さと略同じ長さとし、両端部の2枚の押えプレ−トは基準ピン21を覆う部分22aと基準ピン21を覆わない他の部分22bとに3分割している。従って、基準ピン21を覆う部分の押えプレ−ト22a2枚と基準ピン21を覆わない部分の押えプレ−ト22b6枚の合計8枚で1ユニットを構成している。
【0015】
そして、基準ピン21を覆う部分の押えプレ−ト22aの一辺側は、前記基準ピン21の頭部21’形状(楔形)に略合わせた角度に折曲げられており、かつ、クランプ側端部は、刷版20を挿入し易いように上方に折り曲げられている。また、該押えプレ−ト22aの基準ピン21と対向する面には基準ピン21の頭部21’より大きい孔23が設けられており、刷版20の他端をクランププレ−ト12と押えプレ−ト22との間に挿入して基準ピン21と刷版20の基準孔20aを嵌合させる場合、前記押えプレ−ト22aに設けた孔23を通して刷版20の基準孔20aと基準ピン21との相対位置を確認しながら基準ピン21に基準孔を嵌入できるようにしている。
【0016】
一方、基準ピン21を覆わない部分の押えプレ−ト22bは、前記の如く、基準ピン21を覆う部分22aと同様に側面から見て略へ字状に折り曲げられているが、基準ピン21を覆う部分22aと比較して版胴の円周方向に沿う長さを短くしている。また、基準ピン21を覆わない部分の押えプレ−ト22bは、装着した刷版の浮き上がりを防止できれば充分であり、版胴表面への押しつけ力は殆ど必要とせず、多少版胴から浮き上がっていても良い。
【0017】
なお、本実施例の基準ピン21は、頭部21’を有する頭付ピンについて例示したがこれに限定されることなく、図9に示す如く基準ピン21の頭部21’に代え断面L字状の部材21a’をボルト等により取付けるようにしても良いし、図10に示す如く円柱状のピン21bとしても良い。
また、基準ピン21を覆う部分の押えプレ−ト22aに孔23を設けた例を示したが、これは基準ピン21,21a,21bが目で確認できるようなものであればどのような形状をしても良し、押えプレ−ト22aを透明なもの(プラスチック等)で製作すれば前記孔23は必ずしも設けなくても良い。
【0018】
次に、本発明の刷版取付装置によるPS版等の刷版の装着手順を説明する。
先ず、版胴1にベ−スとなる台版25若しくはこれに変わるPS版等、通常の刷版を咬え側版万力装置3と尻側の版万力装置4とにより装着する。
従って、予めPS版等の通常の厚さを有する版が版胴1に装着されていて、これを台版25として兼用できるのであれば新たに台版を装着する必要はない。
版胴1に台版25を装着した後、図3に示す如くPS版等の刷版20を、該刷版20の基準孔20aが開いている側の端部を、クランププレ−ト12の上面と基準ピン21を覆う押えプレ−ト22aの先端下面との間に矢印a方向に差し込む。
【0019】
この時、基準ピン21を覆う押えプレ−ト22aは基準ピン21を覆わない部分の押えプレ−ト22bの端部よりも版胴の円周方向に突出しているので刷版20の基準孔20a部と基準ピン21を覆う押えプレ−ト22aとが一致するように位置決めすれば刷版の取付位置が決まる。即ち、本実施例では刷版の幅方向の2点を正確に保持すれば良い。この状態で刷版を版胴の周面に沿って更に基準ピン21の方向に押し込めば、刷版20の基準孔20aが基準ピン21に嵌合すると共に、刷版の取付部(咬え側端部)は全幅に亙り押えプレ−ト22a,22bによって押圧され確実に保持される。
その際、基準ピン21の頭部21’形状が、刷版20の挿入側へ向って薄くなるように楔状に形成されているので、挿入はスム−ズに行われる。
【0020】
そして、刷版20の基準孔20aが基準ピン21に挿入された後、該刷版20を予め、水,油或いは糊等を全面に塗布したり、又は両面接着テ−プを貼り付けた台版板25に沿わせて台版25に貼り付ける。このようにして、刷版20は台版25を介して版胴1に装着する。もし、刷版20と版胴1との位置を調整する場合は、台版25をクランプしている咬え側,尻側の版万力装置3,4の位置を調整することにより行うことができる。
そして、PS版等の刷版20を版胴1から取り外す場合には、該PS版の終端を版胴1から外し、該端部を持って版胴1から遠ざかる方向に引張ってやれば刷版20は基準ピン21から容易に取外すことができる。
【0021】
【発明の効果】
以上詳述した如くこの発明によれば、PS版等の刷版の端部を、先ず、クランププレ−トと基準ピン21を覆う押えプレ−トとによって位置決めし、位置決めされた刷版を版胴の円周方向に更に押し込むことにより、刷版端部は位置決め用基準ピンの楔形斜面に沿って移動し、刷版に設けた基準孔と基準ピンは容易かつ高精度で嵌合される。また、刷版の一端部に設けた基準孔が基準ピンに挿入されると、基準ピンを覆う部分とその他の部分の双方の押えプレ−トにより押圧して保持するので、一旦基準ピンに挿入した刷版が基準ピンから外れたり、浮き上がることはなく確実に保持できる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオフセット印刷機の版胴の平面図である。
【図2】図1のII線の沿う拡大断面図である。
【図3】押えプレ−ト部の断面図で、(a)は基準ピンを覆う部分、(b)はその他の部分(基準ピンを覆わない部分)の図である。
【図4】押えプレ−ト22の一部平面図である。
【図5】図4の側断面図である。
【図6】図1のVI線に沿う断面図である。
【図7】図1のVII 〜VII 線に沿う断面図である。
【図8】図1のVIII線に沿う断面図である。
【図9】基準ピンの別の実施例を示す図である。
【図10】基準ピンの別の実施例を示す図である。
【図11】従来の紙版取付プレ−トの斜視図である。
【図12】紙版取付プレ−トを版胴に装着した図である。
【符号の説明】
1…版胴
2…切欠部
3,4…版万力装置
12,13…クランププレ−ト
20…刷版
20a…基準孔
21…基準ピン
22a…(基準ピンを覆う)押えプレ−ト
22b…(基準ピンを覆わない)押えプレ−ト
Claims (2)
- 版胴の長手方向に沿って形成した切欠部に版万力装置を収納し、該版万力装置の上面に刷版をクランプするクランププレートを設けた印刷機の刷版位置決め装置において、咬え側版万力装置にクランププレート上面に突出する版位置決め用突起片と刷版の上端面を略全幅に亙り押圧する押えプレートとを設けると共に、該押えプレートを、少なくとも前記突起片を覆う部分とその他の部分とに区分し、かつ、突起片を覆う部分の版胴の円周方向に沿う長さを、他の部分より長くしたことを特徴とする印刷機の刷版取付装置。
- クランププレート上面に突出する刷版の基準孔に嵌入する版位置決め用突起片の上面を刷版の咬え側に向かって低くなるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の印刷機の刷版取付装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP33150196A JP3697806B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 印刷機の刷版取付装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33150196A JP3697806B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 印刷機の刷版取付装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10157071A JPH10157071A (ja) | 1998-06-16 |
JP3697806B2 true JP3697806B2 (ja) | 2005-09-21 |
Family
ID=18244350
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33150196A Expired - Lifetime JP3697806B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 印刷機の刷版取付装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3697806B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2856299A (en) * | 1999-03-24 | 2000-10-09 | Sumitomo Heavy Industries Ltd. | Press plate mounting device of printing machine |
-
1996
- 1996-11-26 JP JP33150196A patent/JP3697806B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10157071A (ja) | 1998-06-16 |
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