JP2747729B2 - 印刷機の刷版取付装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は印刷機特にオフセット印刷機の版胴に、刷版
を装着するための刷版取付装置に関するものである。

［従来技術］ オフセット印刷機の版胴へ装置される印刷用の刷版と
しては、一般にアルミ製のPS版（Presensitized Plat
e）紙版或いは樹脂版等が知られている。

このうち、PS版や樹脂版は版の厚さが厚いため多量の
印刷枚数を印刷することができる反面、紙版に比べて高
価であると共に、版胴への着脱も万力によって咬えて版
胴にクランプしなければならず、着脱作業もめんどうで
あった。

この為、近年印刷部数が少ない場合には紙版や、薄手
のPS版等が用いられている。

従来、この紙版等の薄手の刷版を使用する場合、第８
図及び第９図に示す如く、版胴50の咬え側万力51の上面
に紙版等の薄手の刷版52を取付けする版取付プレート53
を設け、予め版胴50に装着されたPS版等の通常の厚い版
を台版54（この台版は使用後不要となった版を用いても
良い）とし、これを支持体としてその周面に台版よりも
薄手の刷版52を前記版取付プレート53に引掛けて装着し
ていた。

そして、版胴50に対して薄手の刷版52の位置を調整を
する場合は、前記通常の版と同様な厚さを有する台版54
を移動させ、薄手の刷版52を台版54と一体的に移動させ
るようになっていた。

［発明が解決しようとする課題］ 従来の版取付プレート53は、紙版或いは薄手のPS版等
の薄手の刷版52を版胴50に装着する場合、刷版52の孔5
2'を版取付プレート53に設けた多数のフック53'に引掛
けるようになっているので、版の幅が広いと引掛け難い
と共に、引掛作業中に版が波打ちを起すと、一旦引掛け
たフック53'から外れることも多く版の取付け作業に多
くの時間を費やしていた。

しかもフック53′は咬え側万力51に咬えて固定してい
るため紙版や薄手のPS版を使用しないで通常のPS版を使
用する場合には万力台55とクランププレート56の間の隙
間を球面ボルトにより調整する必要があり非常に繁雑で
ある。

従って、従来の薄手の刷版を用いた小ロット印刷で
は、実際の印刷時間より刷版の交換時間の方が長くなる
等、作業能率を著しく低下させる結果となっている。

本発明は以上のような点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、紙版等の薄手の刷版を版
胴に対して迅速、かつ、容易に、しかも、正確に装着す
ることのできる印刷機の版刷取付装置を提供するもので
ある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本発明における印刷機の
版刷取付装置は、版胴の上面に、刷版の基準孔に嵌入す
る版位置決め用突起片と、該突起片を覆うように形成し
た版押えプレートとを設け、前記突起片は刷版の巻付け
方向に向って低くなるように傾斜して形成したことにあ
る。

［実施例］ 以下、本願発明の一実施例を第１図乃至第７図により
詳細に説明する。

図中１は版胴で、該版胴１には、胴の全長にわたって
切欠部２が設けられている。

この版胴１の版固定側３の上面に、紙版或いは厚さ0.
15mm〜0.24mm程度のPS版等の薄手の刷版５に設けた基準
孔5aに対応するように、版位置決め用の係合突起片６
（以下基準ピンと称することとする）を設けている。該
基準ピン６の頭部6aは、前記薄手の刷版５の基準孔5aと
ほぼ等しい外径を有しており、版胴１の長手方向から視
て楔状に形成されている。

即ち、該頭部6aは版刷５の巻付け方向に向って低くな
るように傾斜して形成されている。

尚、本実施例では基準ピン６は、版胴１の版固定側３
に前記切欠部２のに沿って、両端部に夫々３個、計６個
設けられているが、該基準ピン６は６個に限定されるこ
となく適宜数選択して設ければ良いことは言うまでもな
い。

７は前記薄手の刷版５の版端の浮き上がりを防ぐため
の押えプレートで、ほぼへの字状に折り曲げて形成され
ており、版胴１の上面に基準ピン６を覆うように一端部
をボルト８によって固定されている。

即ち、押えプレート７の一辺側は、前記基準ピン６の
頭部6aの形状（楔形）に略合わせた角度に折曲げられて
おり、かつ、他端部は、薄手の刷版５を挿入しやすいよ
うに上方に折り曲げられている。そして、該押えプレー
ト７の基準ピン６と対向する面には基準ピン６の頭部6a
より大きい孔９が設けられており、薄手の刷版５の他端
を版胴１と押えプレート７との間に挿入して基準ピン６
と薄手の刷版５の基準孔5aを嵌合させる場合、前記押え
プレート７に設けた孔９を通して薄手の刷版５の基準孔
5aと基準ピン６との相対位置を確認しながら基準ピン６
に基準孔5aを嵌入できるようにしている。

なお、本実施例の基準ピン６は、版胴１に固定した場
合について例示したがこれに限定されることなく、第６
図及び第７図に示す如く、コイルバネ10或いは板バネ11
等の弾性体で支持し、版胴１の表面に出没可能としても
よい。

また、押えプレート７には孔９を設けているが、これ
は基準ピン６を目で確認できるようなものであればどの
ような形状をしても良し、押えプレート７を透明なもの
（プラスチック等）で製作すれば前記孔９は必ずしも設
けなくても良い。

［作用］ 次に、本発明の版刷取付装置による紙版或いは薄手の
PS版等の薄手の刷版の装着動作を説明する。

第３図に示す如く紙版等の薄手の刷版５を、該版５の
基準孔5aがあいている側の端部を、版胴１の版固定側上
面と押えプレート７の先端下面との間から矢印ａ方向に
差し込み、薄手の刷版５の基準孔5aを基準ピン６に合わ
せ入れる。

その際、基準ピン６の頭部6aの形状が、版刷５の挿入
側（版刷巻付け方向）に向って薄くなるように楔状に形
成されているので、版刷の挿入はスムーズに行われる。
しかも、押えプレート７に設けた孔９により薄手の刷版
５の基準孔5aと基準ピン６との相対位置を目で確認しな
がら挿入することができる。

このようにして薄手の刷版５の基準孔5aが基準ピン６
に挿入されれば、該版刷５を予め、水、油或いは糊等を
全面に塗布したり、又は両面接着テープを貼り付けた版
胴１の表面に沿わせて巻き付けるように貼り付け、版胴
１に直接装着される。

そして、紙版等の薄手の刷版５を版胴１から取り外す
場合には、該版刷の版尻を版胴１から外し、該版尻を持
って版胴１から遠ざかる方向に引張ってやれば版刷５は
基準ピン６から容易に取外すことができる。

［発明の効果］ 以上詳述した如くこの発明によれば、紙版等の薄手の
刷版の端部を版胴と押えプレートとの間に差し込むこと
により、版端部は位置決め用基準ピンの楔形斜面に沿っ
て移動し、該ピンと刷版に設けた基準孔とは容易、か
つ、正確に嵌合できる。また、薄手の刷版の一端部に設
けた基準孔が基準ピンに挿入されると押えプレートによ
り押圧して保持するので、一旦挿入後、刷版が基準ピン
から外れたり、浮き上がることもない等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るオフセット印刷機の版胴の平面
図、第２図は第１図のII線の沿う拡大断面図、第３図は
第２図のＡ部拡大図、第４図は押えプレート22の一部平
面図、第５図は第４図の側断面図、第６図及び第７図は
基準ピンの別実施例図、第８図は従来の紙版取付プレー
トの斜視図、第９図は紙版取付プレートを版胴に装着し
た図である。 １……版胴、２……切欠部 ３……版固定側、４……版尻側 ５……版刷、5a……基準孔 ６……基準ピン ７……押えプレート

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】版胴の上面に、刷版の基準孔に嵌入する版
   位置決め用突起片と、該突起片を覆うように形成した版
   押えプレートとを設け、前記突起片は刷版の巻付け方向
   に向って低くなるように傾斜して形成していることを特
   徴とする印刷機の刷版取付装置。
2. 【請求項２】突起片を版胴の上面に出没可能としたこと
   を特徴とする請求項１に記載の印刷機の刷版取付装置。