JP2981453B2 - オフセット印刷機用刷版係止具及びそれを取り付けるためのアングル - Google Patents

オフセット印刷機用刷版係止具及びそれを取り付けるためのアングル

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷機
に刷版を簡単に取り付けるための刷版係止具に関し、特
に、従来の印刷機に、新たな加工を全く施す必要がな
く、印刷機が本来有する万力装置にくわえさせて取り付
けることのできる刷版係止具に関する。
【０００２】
【従来の技術】オフセット印刷における刷版としては、
アルミ板を用いたＰＳ版、紙支持体を用いた紙版、及び
プラスチックフィルムを用いたフィルム版が繁用されて
いるが、印刷の多様化、小部数化が進む中で、安価な紙
版やフィルム版の使用頻歩が激増している。このような
中で、刷版の付け替え作業に要する時間の短縮が大きな
課題となってきた。
【０００３】例えば、従来においては、３００部印刷す
る場合に要する、印刷開始から終了迄にかかる印刷時間
は約５分であっても、刷版の取り替え作業に５分以上か
かるため、実際の印刷時間よりも刷版取り付け時間の方
が長いということもあった。そこで、刷版取り替え作業
時間を短縮する装置が、近年数多く提案されている（例
えば、特開昭５９−１２６２号、特開平３−９３５４６
号、同６−３２８６６９号、同８−３９７７９号の各公
報、実開平３−１９０３７号、同３−４５１３３号、同
３−４５１３４号、同６−１１７８２号の各公報）。
【０００４】これらの場合には、いずれの場合にも、版
胴や万力装置に加工を施すことが必要である。しかしな
がら、現場で精度の高い加工を行うことは困難である。
そこで、既に稼動中の印刷機に取り付ける場合には、印
刷精度を犠牲にするわけには行かないので、加工部分を
取り外し、ＮＣ工作機を用いて加工する必要があり煩雑
であるという欠点があった。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の第１の
目的は、印刷機に何ら加工することなく、現場で容易に
取り付けることのできる、紙版やフィルム版を容易に着
脱するための刷版係止具を提供することにある。本発明
の第２の目的は、本発明の刷版係止具の取り付け角度
を、取り付ける印刷機に応じて適整なものとするため
の、必要に応じて使用するアングルを提供することにあ
る。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の諸目的
は、オフセット印刷機の版胴に設置された版万力装置に
くわえさせて取り付ける刷版係止具であって、該係止具
が、万力にくわえられる後部、刷版に設けられた係止孔
に挿入される係止ピンを有する中央部、並びに刷版を導
入する前部からなる下部プレート、前記係止ピンに係止
孔が係合した刷版を抑える板バネ、及び、該板バネを挟
持するための、前記下部プレートの後部と重合する上部
プレートを一体化してなることを特徴とするオフセット
印刷機用刷版係止具、及び、必要に応じて用いる、該刷
版係止具を版胴に固定するためのアングルによって達成
された。
【０００７】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて詳
述するが、本発明は、これによって限定されるものでは
ない。図１は、本発明の刷版係止具の第１実施例につい
ての平面図であり、図２は、そのＡ−Ａ' 拡大断面図、
図３は、板バネ３の底面図である。図中、符号１は、本
発明の刷版係止具、２は下部プレート、３は板バネ、４
は上部プレート、５は刷版係止ピン、６は皿ボルト、７
は刷版係止ピン５を確認するための確認穴である。ま
た、符号２−１は、下部プレートの上部プレートとの重
合部、２−２は刷版保持部、２−３は、刷版を挿入し易
くするために下方に曲げられた前部であり、３−１は、
挿入され、刷版係止ピン５に係合された刷版を抑え、刷
版が刷版係止ピンから外れるのを防止する、刷版抑え
部、３−２は、折り曲げ部である。
【０００８】板バネは、鋼板を所定の形状に打ち抜いた
後、折り曲げることにより容易に作製することができ
る。このように折り曲げることによって、作業者が怪我
をする危険性を無くすことができる。本実施例において
は板バネ、上部プレート及び下部プレートの長さは同じ
になっているが、この場合の長さは、版胴に設置されて
いる万力の巾以下であり、刷版係止ピン間の間隔Ｌは、
刷版に設けられている係止孔の間隔と等しく、通常５５
０ｍｍである。従って、下部プレート等の長さは５６０
ｍｍ以上である。
【０００９】板バネは、本図のように下部プレートと同
じ長さである必要はなく、刷版係止ピンの回りに存在
し、実質的に、該係止ピンと係合した刷版が、係止ピン
から外れ難くなるように抑えるのに役立つ範囲にあれば
足りる。同様に、上部プレートは、板バネを下部プレー
トの間に挟み、上部プレート、板バネ及び下部プレート
を一体化すれば足りるから、板バネを確実に下部プレー
トとの間で挟持することのできる長さがあれば足りる。
従って、上部プレート及び板バネは、下部プレートの係
止ピン回りに夫々２個別々に取り付けても良い。
【００１０】上部プレートと板バネ及び下部プレートの
一体化は、少なくとも２本のボルトを用いることによっ
て容易に行うことができるが、接着剤等、他の固定手段
を併用しても良いことは当然である。上部プレート部及
び、それに対応する下部プレートの後部２−１は万力に
くわえさせる部分であるから、前記ボルトとしては、こ
れらの面から出ないように皿ボルトを使用する必要があ
る（図２参照）。
【００１１】本実施例の場合には、刷版係止具の長手方
向中央に印を付し、版胴の巾方向の中央に付した印と合
わせることによって、容易且つ正確に、刷版係止具を版
胴に取り付けることができる。上部プレートや板バネと
同様に、下部プレートも、係止ピン近傍だけに用いるこ
とができる。この場合には、本発明の刷版係止具は、１
つの刷版係止ピンしか有しなくなるので、二個を対とし
て用いることによって、刷版係止具として機能する。こ
の場合には、この刷版係止具を取り付けるべき位置が分
るように、予め、版胴の所定の位置に印を付すことが必
要である。
【００１２】図４は、本発明の刷版係止具の第２実施例
を表す。本実施例においては、Ｂ−Ｂ' 断面図から明ら
かな如く、第１実施例の場合における上部プレートが板
バネの折り返し部迄延長されている。また、板バネは、
図４の平面図から明らかな如く、刷版係止ピンを中心と
するその近傍に、ボルトによって上部プレートに取り付
けられている。本実施例においては、板バネは上部プレ
ートの前部切り欠き部で折り曲げられ上部プレートと下
部プレートの間に挿入されているが、この切り欠き部は
必ずしも必要ではない。
【００１３】この場合の上部プレートの長さ及び下部プ
レートの長さは、第１実施例の場合と同様に適宜変える
ことができ、上部プレート又は下部プレートの何れか一
方、又は、両方共、その長さを、板バネの長さ（版胴方
向の長さ）以上の適宜の長さとすることができるが、使
用のし易さの点から、自ずとその長さは決定される。即
ち、一対で刷版係止機能を持たせる場合には、左・右ど
ちらに使用することもできるような長さにすることが好
ましい。また、下部プレートの前部２−３は、刷版を挿
入し易くするために、下方に曲がっていることが好まし
い。
【００１４】図４は本発明の刷版係止具の第３実施例を
表す。本実施例の場合には、刷版係止ピンが下部プレー
トではなく、上部プレートに設けられている。また、板
バネは、上部プレートと下部プレートの重合部で挟持さ
れ、ボルトによって三者が一体化されているが、第２実
施例の場合と同様に、下部プレートの下側にボルトで固
着し、下部プレートと上部プレートの間に折り返すこと
もできる。また、上部プレートと下部プレートの長さに
ついては、第１実施例又は第２実施例と同様に、適宜設
計することができる。
【００１５】本発明における刷版係止ピンの形状は特に
限定されず、公知の形状のものを適宜採用することがで
きるが、特に好ましい形状のピンは、図６に示すもので
ある。図６（ａ）図は、ピン頭部の平面図、（ｂ）図は
下部プレート２中に埋設された状態におけるピンの側面
図である。図中、符号、５−１は、刷版を挿入し易くす
るために削られた傾斜部、５−２は、平面上にカットさ
れた側面、５−３は係合された刷版を横にずらして、取
り外しを容易にするために、ピン頭部の後部に設けられ
たテーパー部、８は係合された刷版が滑って外れるのを
防止するために設けられた窪みである。
【００１６】このような頭部を有するピンは、旋盤加工
とフライス加工を組み合わせることによって、高精度で
容易に製造することができる。尚、ピンの側面を５−２
のようにカットすることにより、係合した刷版の横方向
（刷万力装置の長手方向）に対する位置の調整が容易と
なる。この事は、特に紙版を用いた場合に生じる紙版の
伸びを吸収し、シワの発生を防止する上で効果がある。
また、図６（ｂ）図におけるピンの後部の平坦部は、水
平である必要がないばかりでなく、凸状曲面を形成して
いても良い。係止ピンの上部プレートまたは下部プレー
トへの固定は、カシメ、リベット打ち等の公知の方法に
よって適宜行うことができる。
【００１７】図７は、本発明の刷版係止具を、版胴２０
に配置されている万力装置の、クランププレート２１と
万力台２２の間にくわえさせて取り付けた状態を表す。
取り付けに際しては、不要となったＰＳ版２３等の裏面
に、表裏で接着力の異なる両面接着シート２４の強接着
力側の面を貼り付け、両面接着シートが表に出るように
万力装置にくわえさせると同時に本発明の刷版係止具も
所定の位置にくわえさせる。更に、上記ＰＳ版の他方
を、尻側万力装置にくわえさせて固定する。
【００１８】刷版を取り付ける場合には、刷版係止具の
係止ピン５に、予め正確に設けられている刷版の係止孔
を係合させ、刷胴２０を回転させて、刷版を、ＰＳ版等
の裏面に貼り付けられた前記両面接着シートに貼り付け
れば良い。刷版を取り替える場合には、両面接着テープ
から刷版を剥がし、刷版係止孔と刷版係止ピンの係合を
解除して刷版を取り外し、新たな刷版を前記同様に取り
付ける。この刷版の取り替え作業は、約１分で終了す
る。尚、取り外す刷版と両面接着シートとの接着力は、
両面接着シートとＰＳ版との接着力より弱いので、刷版
取り外し時に、両面接着シート毎別れるということはな
い。
【００１９】図８は、本発明の刷版係止具を、側面が変
形Ｓ字形状である本発明のアングル１０の１平面に固定
し、アングルの他の平面を万力装置にくわえさせて固定
した状態を表す。この場合には、刷版係止具の上部プレ
ート、（板バネ）、及び下部プレートを一体化するため
のボルトとして皿ボルトを使用する必要はなく、図のよ
うに、頭部が凸状のボルトを使用することができる。印
刷機の種類や型によって、本発明の刷版係止具を取り付
けられる空間の広さが異なるので、印刷機にあわせ、必
要に応じて本発明のアングルを使用すれば良い。尚、本
図の場合にはＰＳ版の記載は省略されている。
【００２０】
【発明の効果】本発明の刷版係止具は、印刷機の方に全
く加工する必要がないので極めて便利である。特に一本
の長尺物の場合には、ＮＣ加工機を用いて容易且つ正確
に、刷版係止ピンの位置を決めることができるので、刷
版の位置決めが厳しく要求される色刷りに対しても十分
に対応することができる。また、印刷機の機種に依らず
本発明の刷版係止具を取り付けて刷版の取り替え作業性
を大幅に改善することができるので、本発明は極めて有
意義である。
【図面の簡単な説明】
【図１】一本の長尺ものとなった第１実施例の刷版係止
具の平面図である。
【図２】図１の刷版係止具のＡ−Ａ' 断面図である。
【図３】図１の板バネの底面図である。
【図４】板バネが部分的に取り付けられた第２実施例の
刷版係止具の平面図及び、Ｂ−Ｂ' 断面図である。
【図５】係止ピンが上部プレートに取り付けられた第３
実施例の平面図及びＣ−Ｃ' 断面図である。
【図６】本発明の刷版係止具における、好ましい係止ピ
ンの平面図（ａ図）、及び側面図（ｂ図）である。
【図７】本発明の刷版係止具を版胴の万力装置にくわえ
させた状態図である。
【図８】本発明の刷版係止具を、本発明のアングルを介
して版万力装置にくわえさせた状態図である。
【符号の説明】
１ 本発明の刷版係止具 ２ 下部プレート ２−１ 下部プレートの後部 ２−２ 下部プレートの中央部 ２−３ 下部プレートの前部 ３ 板バネ ３−１ 板バネの刷版抑え部 ３−２ 板バネの折り曲げ部 ４ 上部プレート ５ 係止ピン ５−１ 傾斜部 ５−２ 削られた側面 ５−３ テーパー部 ６ 皿ボルト ７ 確認穴 ８ 窪み １０ アングル ２０ 刷胴 ２１ クランププレート ２２ 万力台 ２３ ＰＳ版 ２４ 両面接着シート

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 オフセット印刷機の版胴に設置された版
    万力装置にくわえさせて取り付ける刷版係止具であっ
    て、該係止具が、万力にくわえられる後部、刷版に設け
    られた係止孔に挿入される係止ピンを有する中央部、並
    びに刷版を導入する前部からなる下部プレート、前記係
    止ピンに係止孔が係合した刷版を抑える板バネ、及び、
    該板バネを挟持するための、前記下部プレートの後部と
    重合する上部プレートを皿ボルトにより一体化してなる
    ことを特徴とするオフセット印刷機用刷版係止具。
  2. 【請求項２】 少なくとも、下部プレートが、万力装置
    の巾以下であって全版サイズの刷版を取り付け得る長さ
    を有する、請求項１に記載されたオフセット印刷機用刷
    版係止具。
  3. 【請求項３】 下部プレートに、刷版係止ピンが左右対
    象に１対設けられている、請求項２に記載されたオフセ
    ット印刷機用刷版係止具。
  4. 【請求項４】 オフセット印刷機の版胴に設置された版
    万力装置にくわえさせて取り付ける刷版係止具であっ
    て、該係止具が、万力にくわえられる後部、刷版を保持
    する中央部、及び刷版を導入する前部とからなる下部プ
    レート、該下部プレートの後部で皿ボルトにより重合
    し、下部プレートの前記中央部との間に刷版が挿入され
    得るように屈曲した上部プレート、前記下部プレートの
    中央部、又は、それと対向する上部プレートの何れか
    に、上部プレートと下部プレートの間に突出する如く設
    けられた、刷版の係止孔に挿入され刷版を係止するため
    の係止ピン、並びに、該係止ピンの頭部が通過し得る孔
    を有する刷版抑え用の板バネからなることを特徴とす
    る、オフセット印刷機用刷版係止具。
  5. 【請求項５】 板バネが、その後部を上部プレートと下
    部プレートの重合部で挟持される如く設けられている、
    請求項４に記載されたオフセット印刷機用刷版係止具。
  6. 【請求項６】 板バネが、上部プレートの上面から、上
    部プレートと下部プレートの間に折り曲げられるように
    設けられているか、下部プレートの下面から、上部プレ
    ートと下部プレートの間に折り曲げられるように設けら
    れている、請求項４に記載されたオフセット印刷機用刷
    版係止具。
  7. 【請求項７】 下部プレートの前部が、刷版を挿入し易
    くなるように、下方に屈曲している、請求項１〜６の何
    れかに記載された、オフセット印刷機用刷版係止具。
  8. 【請求項８】 下部プレートの中央部が、刷版を挿入し
    易くなるように、下方に屈曲している、請求項１〜６の
    何れかに記載されたオフセット印刷機用刷版係止具。
  9. 【請求項９】 刷版係止ピンが、頭部が、刷版の挿入を
    容易にする如く傾斜していると共に、刷版係止孔と係合
    した後は、刷版が前方に滑って外れることを防止するた
    めの窪みを後部に有するピンである、請求項１〜８の何
    れかに記載された、オフセット印刷機用刷版係止具。
  10. 【請求項１０】 刷版係止ピンが、その左右両側面が平
    面を形成する如くカットされたピンである、請求項９に
    記載されたオフセット印刷機用刷版係止具。
  11. 【請求項１１】 刷版係止ピンの頭部後部側面に、刷版
    係止ピンと係合した刷版の左右方向への移動を容易にす
    るためのテーパーが設けられている、請求項９又は１０
    に記載された、オフセット印刷機用刷版係止具。
  12. 【請求項１２】 請求項１〜１１に記載されたオフセッ
    ト印刷機用刷版係止具、又は、これらの係止具で使用さ
    れる皿ボルトの代りに頭部が凸状のボルトを用いた係止
    具を固定し得る平面と、万力にくわえさせる平面を有す
    る、側面が変形Ｓ字形状のアングルであって、前記二つ
    の平面の側面が前記変形Ｓ字形状の両端平坦部を形成す
    ることを特徴とする、オフセット印刷機用刷版係止具を
    版胴に固定するためのアングル。
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