JP2003077115A - 磁気記録媒体及びそれへの記録方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びそれへの記録方法

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JP2003077115A
JP2003077115A JP2001266017A JP2001266017A JP2003077115A JP 2003077115 A JP2003077115 A JP 2003077115A JP 2001266017 A JP2001266017 A JP 2001266017A JP 2001266017 A JP2001266017 A JP 2001266017A JP 2003077115 A JP2003077115 A JP 2003077115A
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JP2001266017A
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Koichi Masaki
幸一 正木
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】微細な六方晶フェライトを使用した磁気記録媒
体を、MRヘッドを使用して再生したとき短波長出力と
C/Nが良好でかつ記録された磁化が安定である磁気記
録媒体及びそれへの有効な記録方法を提供すること。 【解決手段】支持体上に非磁性粉末を結合剤中に分散さ
せた非磁性層を設けこの上に強磁性粉末を結合剤中に分
散してなる磁性層を設けた磁気記録媒体において、平均
板径が10〜30nm、抗磁力Hcが135〜400k
A/mであり、かつ25〜75℃でのHcの温度係数が
−0.16〜−0.44(kA/m)/℃である六方晶
系フェライト粉末を含有する磁性層を有することを特徴
とする磁気記録媒体。上記磁気記録媒体に磁気信号を記
録するときに記録部およびその前方を加熱しつつ磁気記
録する記録方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気テープ等の磁気
記録媒体に関し、特に強磁性粉末や結合剤を主体とする
磁性塗料を支持体上に塗布して磁性層を形成した塗布型
の磁気記録媒体に関連し、再生に磁気抵抗効果を利用し
たMRヘッドを使用したシステムで使用すると特に好適
である磁性層に六方晶系フェライトを含む高密度記録用
磁気記録媒体及びそれへの記録方法に関連する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビデオテ−プ、オ−ディオテー
プ、コンピューター用テープ、フレキシブルディスク等
の磁気記録媒体としては強磁性酸化鉄、Co変性強磁性
酸化鉄、CrO2、強磁性金属粉末、六方晶系フェライ
ト等を結合剤中に分散した磁性層を支持体に塗設したも
のが広く用いられる。この中でも六方晶系フェライトは
高密度記録特性に優れている事が知られている(例え
ば、特開昭60−157719号公報、特開昭62−1
09226号公報、特開平3−280215号公報)。
特開平5−12650号公報には、該フェライトを用い
た磁性層の厚みを0.1〜0.6μmとし、磁性層と支
持体の間に磁性層より厚い非磁性層を設け、表面性、短
波長出力、消去特性、耐久性を改善するとしている。特
開平5−225547号公報には、支持体上に非磁性層
を設け、その上に0.1μm以下の磁性粉を含有した磁
性層を設けた磁気記録媒体を開示し、高域特性に優れ、
しかも信号の重ね書き特性の良好な、耐久性も良好な磁
気記録媒体を提供している。
【0003】また、特開平3−286420号公報、I
EEE.Trans.Mag.vol24(6)No
v.1988、p2850等には、六方晶系フェライト
の異方性磁界Hkが磁気記録媒体の電磁変換特性に影響
する事が開示されている。そして、前者では非磁性層上
に磁性層を2層設けた磁気記録媒体であって、下層の磁
性層が長尺方向に磁化容易軸を有し、上層の磁性層に異
方性磁界(Hk)が239kA/m以下である磁性粉が
配設された磁気記録媒体を開示し、長波長から短波長に
至るまでの広域において高出力の磁気記録媒体を提供す
るとしている。特開平8−115518号公報には、媒
体のHcが103.5〜398kA/m、Hc/Hkが
0.30〜1.0、かつ面内方向の角型比SQが0.6
5〜1.00である高密度記録用媒体が提案されてい
る。六方晶系フェライト粉末を含む磁性層のHc、Hc
/HK、および面内方向のSQの各数値範囲を特定した
ことを特徴とし、これにより高密度記録に必要な極短波
長出力を格段に改良したものである。しかしながら、M
Rヘッドを用いたシステムで使用するとき高ノイズとな
り好ましくない。
【0004】最近、コンピュ−タ−用デ−タ記録システ
ムには、磁気抵抗効果を利用した高感度な再生ヘッド
(MRヘッド)が使用され、システムノイズは磁気記録
媒体に由来するノイズに支配されている。特開平7−1
82646号公報にはBaフェライトを使用した媒体を
MRヘッドで再生することが提案されている。Okab
eらは、Baフェライト媒体をMRヘッドと組み合わせ
て使用することが、MRヘッドの飽和を回避するので好
ましいことを示唆している(IEEE.Trans.M
ag.vol32(5)、p3404−3406(19
96)。媒体ノイズを低減するため強磁性粒子の微細化
が進められているが、強磁性粒子の微細化にともない熱
揺らぎの影響を受け、磁化遷移領域の安定性が問題とな
ることが推定されている。磁化の安定性は、KuV/k
T(Kuは磁気異方性定数、Vは粒子体積、kはボルツ
マン定数、Tは絶対温度)で評価されている。メタルテ
ープの粒子体積と熱揺らぎに関しては、鈴木俊行らによ
る報告(信学技報MR97−55 P33−40 19
97.11.21)がある。Baフェライト媒体と熱揺
らぎについても鈴木俊行らの報告(信学技報 MR20
00−45 2000.11.14)がある。Baフェ
ライトのHcの温度依存性についても、置換元素組成と
の関係が研究され報告されている(例えば、E.Oga
wa & O.Kubo、J.Magn.Soc.Ja
pan vol15、Supplement No.S
2 681(1991)、Ferrites Pro
c.6th International Conf.O
n Ferrites p1410(1992)、特開
平2−9723号公報、特開平2−283622号公
報、特開平4−214605号公報、特登265994
0号公報)。
【0005】六方晶フェライトは飽和磁化が強磁性金属
粉の約1/3〜1/2であるので、Kuを大きくするこ
とが難しく熱揺らぎは大きくなる。さらに、六方晶フェ
ライトを用いた磁気記録媒体は粒子間の相互作用が大き
く、媒体のノイズレベルに影響すると言われている。粒
子間の相互作用が大きいと磁化の安定性が優れていると
いわれているが、なんらかの原因で粒子が磁化反転する
と周囲の磁性体もひきずられて磁化反転する可能性があ
る。そのためか粉体サイズを微細にした六方晶系フェラ
イト粉末を用いて作成した高密度記録用媒体をMRヘッ
ドで再生したときのC/Nを十分に確保することが困難
であるという問題があった。さらにBaフェライトの単
結晶微粒子を使用した磁気記録媒体に磁気ヘッドで信号
を記録するとき、微粒子化にともない大きな記録電流を
必要とすることが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点に鑑みなされたものであり、微細な六方晶フ
ェライトを使用した磁気記録媒体を、MRヘッドを使用
して再生したとき短波長出力とC/Nが良好でかつ記録
された磁化が安定である磁気記録媒体及びそれへの有効
な記録方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、支持体
上に非磁性粉末を結合剤中に分散させた非磁性層を設け
この上に強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を
設けた磁気記録媒体において、平均板径が10〜30n
m、抗磁力Hcが135〜400kA/mであり、かつ
25〜75℃でのHcの温度係数が−0.16〜−0.
44(kA/m)/℃である六方晶系フェライト粉末を
含有する磁性層を有することを特徴とする磁気記録媒
体、及び上記の磁気記録媒体に磁気信号を記録するとき
に記録部およびその前方を加熱しつつ磁気記録すること
を特徴とする記録方法により達成することができる。ま
た、本発明は、前記磁性層の厚みが0.01〜0.5μ
m、残留磁束密度×磁性層厚みが5〜100mT・μm
である事が好ましい。
【0008】本発明は、六方晶系フェライト粉末の粉体
サイズ、Hc及びHcの温度係数(即ち、温度変化によ
るHcの変化乃至Hcの温度依存性)の数値範囲を特定
したことで高密度記録に必要な極短波長出力とC/Nを
格段に改良したもので、好ましくは、磁性層の厚みを
0.01〜0.5μm、残留磁束密度×磁性層厚みを5
〜100mT・μmとする。
【0009】本発明において、磁性層に使用する六方晶
系フェライト粉末は平均板径が10〜30nm、抗磁力
Hcが135〜400kA/mであり、Hcの温度係数
が−0.16〜−0.44(kA/m)/℃であり、該
六方晶系フェライト粉末を含有する磁性層において、抗
磁力Hcが135〜440kA/mであり、Hcの温度
係数が−0.16〜−0.52(kA/m)/℃である
ことが好ましい。磁性層のHcの設定は記録に使用する
ヘッド性能による所が大きく、Fe−Ta−N等の高飽
和磁束密度(Bs)材料を用いたヘッドが好適に用いら
れる。このHcの上限はヘッド材質によるが、磁性層が
薄い場合は、上記440kA/m程度までは記録が可能
と思われる。一方Hcが135kA/m未満では高記録
密度が達成できない。
【0010】Hcの温度係数は、測定部を温度制御した
振動試料型磁力計(VSM−5東英工業製)を使用して
測定した。六方晶系フェライト粉末、六方晶系フェライ
ト粉末を使用した磁気記録媒体サンプルをVSM−5の
温度測定用試料部にセットし、周囲のガスをHe置換
し、25℃、50℃、75℃、100℃でHcを測定し
た。Hc(75℃)とHc(25℃)の差を求め、1℃
あたりに換算し、Hcの温度係数とした。即ち、本発明
における温度係数は、{Hc(75℃)−Hc(25
℃)}/50により求めることができる。Hc(75
℃)、Hc(25℃)は各々75℃、25℃におけるH
cの値である。
【0011】六方晶系フェライト粉末の抗磁力及びその
温度係数を制御するためには、組成、粒子径、粒子厚を
制御する、六方晶フェライトのスピネル相の厚みを制御
する、スピネル相の置換元素の量を制御する、スピネル
相の置換サイトの場所を制御する、などの方法がある。
特に温度係数を制御する手段としては、六方晶系フェラ
イト粉末の組成、結晶構造を制御することが挙げられ、
置換元素として、Zn、Nb、Mnの組成を調整するこ
とや、Co、Ti、Sn、Mnの組成を調整すること等
が挙げられる。本発明の磁気記録媒体は、磁気信号を記
録するときに記録部およびその前方を加熱しつつ磁気記
録する本発明の記録方法が好適に用いられる。なぜなら
ば、磁性層に含まれる六方晶系フェライト粉末の温度係
数、ひいては磁性層の温度係数を上記範囲としたことに
より、Hc(75℃)はHc(25℃)に比べて低いの
で記録時の磁性層温度を記録部及びその前方を加熱する
ことにより雰囲気温度より上げておけば、雰囲気温度で
通常使用する最適記録電流で記録した時に、より良好な
記録が行えることが期待でき、記録後に磁性層温度を雰
囲気温度以下に降下させるとHcが上昇し、MRヘッド
で再生した時により高い出力及びC/Nが得られること
が期待できる。上記記録部及びその前方を加熱する手段
としては、特に制限はないが、好ましくは磁性層表面に
レーザー照射をすることが挙げられる。また、所望によ
り記録後に磁性層を冷却する手段を設けてもよい。
【0012】MRヘッドが飽和することにより再生出力
が劣化することを防止するため、本発明の磁気記録媒体
では残留磁束密度(Br)×磁性層厚み(δ)は5〜1
00mT・μmが好ましい。100mT・μmを超える
とMRヘッドの飽和が発生しやすいので好ましくない。
残留磁束密度は好ましくは70〜200mT、更に好ま
しくは70〜180mTの範囲である。また、磁性層の
厚みは、好ましくは0.01〜0.5μm、更に好まし
くは0.02〜0.3μmの範囲である。また、磁性層
の角型比(SQ)は、好ましくは0.50〜0.70、
更に好ましくは0.55〜0.65の範囲である。
【0013】以下、磁性層(上層ともいう)に使用され
る六方晶系フェライト粉末について説明する。本発明の
上層に含まれる六方晶系フェライト粉末としてバリウム
フェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライ
ト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等が
挙げられる。具体的にはマグネトプランバイト型のバリ
ウムフェライト及びストロンチウムフェライト、更に一
部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリ
ウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げ
られ、その他所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、
Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、
Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、H
g、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、
Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を
含んでもかまわない。一般にはCo−Ti、Co−Ti
−Zr、Co−Nb、Co−Ti−Zn、Co−Zn−
Nb、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn、Ni−Ti、Z
n−Ti、Zn−Ni等の元素を添加した物を使用する
ことができる。SFDの観点からは、純粋なマグネトプ
ランバイト型フェライトの方が、スピネル層を多く含む
複合型フェライトよりも好ましい。本発明に用いられる
六方晶系フェライト粉末は、通常六角板状の粉体であ
り、そのサイズは以下のようにして測定する。
【0014】本明細書において、六方晶系フェライト粉
末のように種々の粉体のサイズ(以下、「粉体サイズ」
と言う)は、高分解能透過型電子顕微鏡写真及び画像解
析装置より求められる。即ち、粉体サイズは、粉体の
形状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大
長径より大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長
さ、即ち長軸長で表され、粉体の形状が板状乃至柱状
(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より
小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径で表さ
れ、粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であっ
て、かつ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場
合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で
求められるものを言う。
【0015】また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉
体サイズの算術平均であり、約350個の一次粒子につ
いて上記の如く測定を実施して求めたものである。一次
粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。また、該粉
体の平均針状比は、上記測定において粉体の短軸の長
さ、即ち短軸長を測定し、各粉体の(長軸長/短軸長)
の値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粉体
サイズの定義での場合は、粉体を構成する短軸の長さ
を、同じくの場合は、厚さ乃至高さを各々指し、の
場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸
長)は、便宜上1とみなす。そして、粉体の形状が特定
の場合、例えば、上記粉体サイズの定義の場合は、平
均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義の場合は平
均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至
高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義の場合
は平均粉体サイズを平均粒子径という。
【0016】本発明では六方晶系フェライト粉末の平均
板径は10〜30nm、好ましくは15〜30nmの範
囲である。また、該磁性粉の平均板厚は通常、2〜15
nmであるが特に4〜10nmが好ましい。更に平均板
状比は好ましくは1.5〜4であり、更に好ましくは2
〜3.8である。平均板径が10nm未満のとき、高比
表面積となり、分散が困難となるため好ましくない。ま
た、これら六方晶系フェライト粉末末のBET法による
比表面積(SBET)は通常25〜120m2/gである
が、40〜100m2/gが好ましい。25m2/gに満
たないとノイズが高くなり、120m2/gを超えると
分散が困難となり平滑な表面性が得にくく好ましくな
い。含水率は0.3〜2.0%とするのが好ましい。結
合剤の種類によって該磁性粉の含水率は最適化するのが
好ましい。該磁性粉のpHは用いる結合剤との組合せに
より最適化することが好ましい。その範囲は4〜12で
あるが、好ましくは5.5〜10である。該磁性粉は必
要に応じ、Al、Si、P、Zr、Mgまたはこれらの
酸化物や水酸化物などで表面処理を施してもかまわな
い。好ましくはAl23・nH2OまたはSiO2・nH
2Oによる表面処理であり、用いるバインダによってそ
の量と比率を変えることが好ましい。その量は該磁性粉
に対し0.1〜10質量%であり表面処理を施すと脂肪
酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好
ましい。該磁性粉には可溶性のNa、Ca、Fe、N
i、Srなどの無機イオンを含む場合があるが合計量が
少ないほうが好ましいが、0〜100ppm以下であれ
ば特に特性に影響を与えない。σsは35A・m2/k
g以上、好ましくは40A・m2/kg以上である。タ
ップ密度は0.5g/ml以上が好ましく0.8g/m
l以上がさらに好ましい。六方晶系フェライト粉末の製
法としてはガラス結晶化法、共沈法、水熱反応法等があ
るが、本発明は製法を選ばないが、ガラス結晶化法は微
細で粒度分布が良好な粒子が得られるので好ましい。
【0017】本発明の磁気記録媒体における磁性層の結
合剤樹脂は、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、
反応型樹脂やこれらの混合物が使用できる。熱可塑性樹
脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数
平均分子量が1000〜200000、好ましくは10
000〜100000、重合度が約50〜1000程度
のものである。
【0018】このような結合剤樹脂としては、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アク
リル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリ
ロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ス
チレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラ−ル、ビ
ニルアセタ−ル、ビニルエ−テル、等を構成単位として
含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴ
ム系樹脂がある。
【0019】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂とし
てはフェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコ−ン樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネ−トプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリ
オ−ルとポリイソシアネ−トの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物等があげられる。
【0020】前記の結合剤樹脂に、より優れた強磁性粉
末の分散効果と磁性層の耐久性を得るためには必要に応
じ、COOM、SO3M、OSO3M、P=O(O
M)2、O−P=O(OM)2、(以上につきMは水素原
子、またはアルカリ金属塩基)、OH、NR2、N+3
(Rはアルキル基、アルケニル基、アシル基、アリル
基)、エポキシ基、SH、CNなどから選ばれる少なく
ともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入
したものをもちいることが好ましい。このような極性基
の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10
-2〜10-6モル/gである。
【0021】本発明の磁気記録媒体に用いられる結合剤
樹脂は、強磁性粉末に対し、5〜50質量%の範囲、好
ましくは10〜30質量%の範囲で用いられる。塩化ビ
ニル系樹脂を用いる場合は5〜100質量%、ポリウレ
タン樹脂を用いる場合は2〜50質量%、ポリイソシア
ネ−トは2〜100質量%の範囲でこれらを組み合わせ
て用いるのが好ましい。
【0022】また、磁性層の六方晶系フェライト粉末の
充填度は、使用した六方晶系フェライト粉末のσs及び
最大磁束密度(Bm)から計算でき(Bm/4πσs)
となり、本発明においてはその値は、望ましくは1.1
〜3.2g/cm3であり、更に望ましくは1.2〜
3.0g/cm3である。
【0023】本発明において、ポリウレタンを用いる場
合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが1
00〜2000%、破断応力は0.05〜10Kg/m
2(0.49〜98MPa)、降伏点は0.05〜1
0Kg/mm2(0.49〜98MPa)が好ましい。
【0024】本発明にもちいるポリイソシアネ−トとし
ては、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシア
ネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−
1,5−ジイソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシア
ネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメ
タントリイソシアネ−ト等のイソシアネ−ト類、また、
これらのイソシアネ−ト類とポリアルコールとの生成
物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポ
リイソシアネ−ト等を使用することができる。これらの
イソシアネート類の市販されている商品名としては、日
本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネ−トHL、
コロネ−ト2030、コロネ−ト2031、ミリオネ−
トMR、ミリオネ−トMTL、武田薬品社製、タケネ−
トD−102、タケネ−トD−110N、タケネ−トD
−200、タケネ−トD−202、住友バイエル社製、
デスモジュ−ルL、デスモジュ−ルIL、デスモジュ−
ルN、デスモジュ−ルHL、等がありこれらを単独また
は硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組
合せでもちいることができる。
【0025】本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、通
常、潤滑剤、研磨剤、分散剤、帯電防止剤、分散剤、可
塑剤、防黴剤等などを始めとする種々の機能を有する素
材をその目的に応じて含有させることができる。
【0026】本発明の磁性層に使用する潤滑剤として
は、ジアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜
5個)、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシは炭
素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキシポリシロ
キサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは炭素
数1〜4個)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキ
ルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)などの
シリコンオイル;グラファイト等の導電性微粉末;二硫
化モリブデン、二硫化タングステンなどの無機粉末;ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン塩化ビニル
共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のプラスチッ
ク微粉末;α−オレフィン重合物;常温で固体の飽和脂
肪酸(炭素数10から22);常温で液状の不飽和脂肪
族炭化水素(n−オレフィン二重結合が末端の炭素に結
合した化合物、炭素数約20);炭素数12〜20個の
一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価のアルコール
から成る脂肪酸エステル類、フルオロカーボン類等が使
用できる。
【0027】上記の中でも飽和脂肪酸と脂肪酸エステル
が好ましく、両者を併用することがより好ましい。脂肪
酸エステルの原料となるアルコールとしてはエタノー
ル、ブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、2
−メチルブチルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコ
ール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリ
コールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテル、s−ブチルアルコール等の系モノアル
コール類、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ソルビタン
誘導体等の多価アルコールが挙げられる。同じく脂肪酸
としては酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、2−エチル
ヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン
酸、パルミチン酸、ベヘン酸、アラキン酸、オレイン
酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、パルミト
レイン酸等の脂肪族カルボン酸またはこれらの混合物が
挙げられる。
【0028】脂肪酸エステルとしての具体例は、ブチル
ステアレート、s−ブチルステアレート、イソプロピル
ステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレー
ト、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキシ
ルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、ブ
チルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステート、
ブチルステアレートとブチルパルミテートの混合物、ブ
トキシエチルステアレート、2−ブトキシ−1−プロピ
ルステアレート、ジプロピレングリコールモノブチルエ
ーテルをステアリン酸でアシル化したもの、ジエチレン
グリコールジパルミテート、ヘキサメチレンジオールを
ミリスチン酸でアシル化してジオールとしたもの、グリ
セリンのオレエート等の種々のエステル化合物を挙げる
ことができる。
【0029】さらに、磁気記録媒体を高湿度下で使用す
るときしばしば生ずる脂肪酸エステルの加水分解を軽減
するために、原料の脂肪酸及びアルコールの分岐/直
鎖、シス/トランス等の異性構造、分岐位置を選択する
ことがなされる。これらの潤滑剤は結合剤100質量部
に対して通常、0.2〜20質量部の範囲で添加され
る。
【0030】潤滑剤としては、更に以下の化合物を使用
することもできる。即ち、シリコンオイル、グラファイ
ト、二硫化モリブデン、窒化ほう素、弗化黒鉛、フッ素
アルコール、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキ
ル燐酸エステル、二硫化タングステン等である。
【0031】本発明の磁性層に用いられる研磨剤として
は、一般に使用される材料でα、γアルミナ、溶融アル
ミナ、コランダム、人造コランダム、炭化珪素、酸化ク
ロム(Cr23)、ダイヤモンド、人造ダイヤモンド、
ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)、
αFe23等が使用される。これらの研磨剤はモース硬
度が6以上である。具体的な例としては住友化学社製、
AKP−10、AKP−15、AKP−20、AKP−
30、AKP−50、AKP−1520、AKP−15
00、HIT−50、HIT60A、HIT60G、H
IT70、HIT80、HIT82、HIT−100、
日本化学工業社製、G5、G7、S−1、酸化クロム
K、上村工業社製UB40B、不二見研磨剤社製WA8
000、WA10000、LANDS社製LS600F
0/−1/4、東名ダイヤ社製MD−200、MD−
150、MD−100、MD−70、IRM 0−1/
4F、IRM 0−1/4FF、GE社製 0−1/1
0、0−1/4、DoPunt社製マイポレックス 1
/10QG、同 1/8QG、戸田工業社製TF10
0、TF140、TF180などが挙げられる。平均粒
子径が0.05〜1μmのものは効果があり、好ましく
は0.05〜0.5μmである。研磨剤を単独で使用す
るだけでなく、2種類以上の研磨剤を併用することも好
適で、微粒子ダイヤモンドの場合は他の研磨剤と併用す
ることで、磁性体に対する添加量を0.1%程度に減少
することができる。これら研磨剤の合計量は磁性体10
0質量部に対して通常、1〜20質量部、望ましくは1
〜15質量部の範囲で添加される。1質量部より少ない
と十分な耐久性が得られず、20質量部より多すぎると
表面性、充填度が劣化する。これら研磨剤は、あらかじ
め結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもか
まわない。
【0032】本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、前
記非磁性粉末の他に帯電防止剤として導電性粒子を含有
することもできる。帯電防止剤としては特に、カーボン
ブラックを添加することは、媒体全体の表面電気抵抗を
下げる点で好ましい。本発明に使用できるカ−ボンブラ
ックはゴム用ファ−ネス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブ
ラック、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック
等を用いることができる。比表面積は5〜500m2
g、DBP吸油量は10〜1500ml/100g、粒
子径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.
1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/cm3、が好
ましい。本発明に用いられるカ−ボンブラックの具体的
な例としてはキャボット社製、BLACKPEARLS
2000、1300、1000、900、800、7
00、VULCAN XC−72、旭カ−ボン社製、#
80、#60、#55、#50、#35、三菱化学社
製、#3030B、#3040B、#3050B、#3
230B、#3350B、#9180B、#2700、
#2650、#2600、#2400B、#2300、
#950B、#900、#1000、#95、#30、
#40、#10B、MA230、MA220、MA7
7、コロンビアンカ−ボン社製、CONDUCTEX
SC、RAVEN 150、50、40、15、ライオ
ンアグゾ社製ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラ
ックECDJ−500、ケッチェンブラックECDJ−
600などが挙げられる。カ−ボンブラックを分散剤な
どで表面処理したり、カーボンブラックを酸化処理した
り、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグ
ラファイト化したものを使用してもかまわない。また、
カ−ボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ
結合剤で分散してもかまわない。磁性層にカ−ボンブラ
ックを使用する場合は磁性体に対する量は0.1〜30
質量%でもちいることが好ましい。さらに後述する非磁
性層には全非磁性粉末に対し3〜20質量%含有させる
ことが好ましい。
【0033】一般的にカ−ボンブラックは帯電防止剤と
してだけでなく、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向
上などの働きがあり、これらは用いるカ−ボンブラック
により異なる。従って本発明に使用されるこれらのカ−
ボンブラックは、その種類、量、組合せを変え、粉体サ
イズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性を
もとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能であ
る。使用できるカーボンブラックは例えば「カ−ボンブ
ラック便覧」(カ−ボンブラック協会編)を参考にする
ことができる。
【0034】本発明の六方晶系フェライト粉末を含有す
る磁性層を含む磁気記録媒体は、支持体と磁性層の間に
非磁性層を設ける構成であれば、特に限定されず、公知
の層構成が可能である。非磁性層(下層ともいう)は、
非磁性粉末を結合剤樹脂中に分散した層が好ましい。そ
の非磁性層に使用される非磁性粉末には、種々のものが
使用できる。例えば、α化率90%以上のα−アルミ
ナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、板状AlOOH、炭
化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲ
−タイト、コランダム、窒化珪素、チタンカ−バイト、
酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが単独
または組合せで使用される。微細で粒度がそろっている
ものとして、α−酸化鉄、ゲ−タイト、酸化チタン、酸
化亜鉛、板状AlOOHが好適である。これら非磁性粉
末の粉体サイズは0.01〜1μmが好ましいが、必要
に応じて粉体サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせた
り、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効
果をもたせることもできる。使用する結合剤樹脂との相
互作用を大きくし分散性を改良するために、使用する非
磁性粉末が表面処理されていてもよい。表面処理により
粒子表面に存在させる物としては、シリカ、アルミナ、
シリカ−アルミナなどの無機物でも、カップリング剤に
より形成されるものでもよい。タップ密度は0.3〜2
g/cm3、含水率は0.1〜5質量%、pHは2〜1
1、比表面積は5〜100m2/g、が好ましい。前記
非磁性粉末の形状は針状、球状、サイコロ状、板状のい
ずれでも良い。
【0035】非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電
工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、HIT−
80、戸田工業製α−酸化鉄DPN−250BX、DP
N−245、DPN−270BX、DPN−550R
X、DBN−450BX、DBN−650RX、DAN
−850RX、石原産業製酸化チタンTTO−51B、
TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、T
TO−55S、TTO−55D、SN−100、チタン
工業製酸化チタンSTT−4D、STT−30D、ST
T−30、STT−65C、テイカ製酸化チタンMT−
100S、MT−100T、MT−150W、MT−5
00B、MT−600B、MT−100F、MT−50
0HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−
10、BF−20、ST−M、同和鉱業製酸化鉄DEF
IC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2B
M、TiO2 P25、宇部興産製100A、500
A、及びそれを焼成したものが挙げられる。
【0036】上述のように支持体上に複数の塗布層を形
成させることは高記録密度の磁気記録媒体を製造するう
えで有効であり、同時塗布方式は超薄層の磁性層を作り
出すことができるので特に優れている。その同時塗布方
式、即ち、ウェット・オン・ウェット方式の具体的な方
法としては、
【0037】(1)磁性塗料で一般的に用いられるグラ
ビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージ
ョン塗布装置によりまず下層を塗布し、その層がまだ湿
潤状態にあるうちに、例えば、特公平1−46186号
公報、特開昭60−238179合公報及び特開平2−
265672号公報に開示されている支持体加圧型エク
ストルージョン塗布装置により上層を塗布する方法、
【0038】(2)特開昭63−88080号公報、特
開平2−17971号公報及び特開平2−265672
号公報に開示されているような塗布液通液スリットを二
つ内蔵した塗布ヘッドにより、下層の塗布液及び上層の
塗布液をほぼ同時に塗布する方法、
【0039】(3)特開平2−174965号公報に開
示されているバックアップロール付きエクストルージョ
ン塗布装置により、上層及び下層をほぼ同時に塗布する
方法、等が挙げられる。
【0040】ウェット・オン・ウェット方式で塗布する
場合、磁性層用塗布液と非磁性層用塗布液の流動特性は
できるだけ近い方が、塗布された磁性層と非磁性層の界
面の乱れがなく厚さが均一な厚み変動の少ない磁性層を
得ることができる。塗布液の流動特性は、塗布液中の粉
末粒子と結合剤樹脂の組み合わせに強く依存するので、
特に、非磁性層に使用する非磁性粉末の選択に留意する
必要がある。また非磁性支持体上に非磁性の下層をもう
け、乾燥、巻取り後必要によりカレンダー処理を行った
後、磁性層を塗布してもよい。
【0041】本磁気記録媒体の支持体は、通常、3〜1
00μm、テ−プ状で使用する時は望ましくは3〜20
μm、フレキシブルディスクとして使用する場合は25
〜80μmが好ましく、支持体上に設ける非磁性層は、
通常、0.5〜5.0μm、好ましくは0.5〜3μm
である。磁性層厚みは好ましくは0.01〜0.5μm
である。また、前記磁性層及び前記非磁性層以外の他の
層を目的に応じて形成することもできる。例えば、支持
体と下層の間に密着性向上のための下塗り層を設けても
かまわない。この厚みは通常、0.01〜1μm、好ま
しくは0.05〜0.3μmである。また、磁性層を担
持する面とは反対側の支持体面上にバック層を設けても
かまわない。この厚みは通常、0.1〜1.0μm、好
ましくは0.2〜0.8μmである。これらの下塗り
層、バック層は公知のものが使用できる。円盤状磁気記
録媒体の場合、両面もしくは片面に上記磁性層を含む構
成を設けることができる。
【0042】本発明で使用される支持体には特に制限は
なく、通常使用されているものを用いることができる。
支持体を形成する素材の例としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカー
ボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポ
リアミドイミド、ポリイミド、ポリサルホン、ポリエー
テルサルホン等の各種合成樹脂のフィルム、およびアル
ミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を挙げることが
できる。
【0043】本発明の目的を有効に達成するには、支持
体の表面粗さは、中心線平均表面粗さRa(カットオフ
値0.25mm)で0.03μm以下、望ましく0.0
2μm以下、さらに望ましく0.01μm以下である。
また、これらの支持体は単に前記中心線平均表面粗さが
小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないこと
が好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体
に添加されるフィラ−の大きさと量により自由にコント
ロ−ルされるものである。これらのフィラ−の一例とし
ては、Ca、Al、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の
他、アクリル系などの有機樹脂微粉末があげられる。本
発明に用いられる支持体のウエブ走行方向のF−5値は
好ましくは5〜50Kg/mm2(49〜490MP
a)、ウエブ幅方向のF−5値は好ましくは3〜30K
g/mm2(29.4〜294MPa)であり、ウエブ
長い手方向のF−5値がウエブ幅方向のF−5値より高
いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必
要があるときはその限りでない。
【0044】また、支持体のウエブ走行方向および幅方
向の100℃、30分での熱収縮率は好ましくは3%以
下、さらに望ましくは1.5%以下、80℃、30分で
の熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに望ましくは
0.5%以下である。破断強度は両方向とも5〜100
Kg/mm2(49〜980MPa)、弾性率は100
〜2000Kg/mm2(980〜19600MPa)
が望ましい。
【0045】本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率
でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホ
ロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノ−ル、
エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、イソブチルア
ルコ−ル、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキ
サノール、などのアルコ−ル類、酢酸メチル、酢酸ブチ
ル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、
酢酸グリコ−ル等のエステル類、グリコ−ルジメチルエ
ーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、
などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳香族炭
化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、
四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、
ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水素類、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用できる。
これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成
分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化
物、水分等の不純分がふくまれてもかまわない。これら
の不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは1
0%以下である。本発明で用いる有機溶媒は必要ならば
各層でその種類、量を変えてもかまわない。下層に揮発
性の高い溶媒をもちい表面性を向上させる、下層に表面
張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)
を用い塗布の安定性をあげる、磁性層に溶解性パラメ−
タの高い溶媒を用い充填度を上げるなどがその例として
あげられるがこれらの例に限られたものではないことは
無論である。
【0046】本発明の磁気記録媒体は、前記強磁性粉末
と結合剤樹脂、及び必要ならば他の添加剤と共に有機溶
媒を用いて混練分散し、磁性塗料を支持体上に塗布し、
必要に応じて配向、乾燥して得られる。
【0047】本発明の磁気記録媒体の磁性塗料、非磁性
塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工
程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混
合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわ
かれていてもかまわない。本発明に使用する磁性体、非
磁性粉末、結合剤、カ−ボンブラック、研磨剤、帯電防
止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初
または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料
を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例
えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘
度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
【0048】磁性塗料の混練分散に当たっては各種の混
練機が使用される。例えば、二本ロールミル、三本ロー
ルミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンド
グラインダー、ゼグバリ(Szegvari)、アトラ
イター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高
速衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、ホ
モジナイザー、超音波分散機などを用いることができ
る。
【0049】混練工程では連続ニ−ダや加圧ニ−ダなど
強い混練力をもつものを使用することが、磁気記録媒体
の高いBrを得る上で好ましい。連続ニ−ダまたは加圧
ニ−ダを用いる場合は磁性体と結合剤のすべてまたはそ
の一部(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)およ
び磁性体100質量部に対し15〜500質量部の範囲
で混練処理される。これらの混練処理の詳細については
特開平1−106338号公報、特開昭64−7927
4号公報に記載されている。本発明では、特開昭62−
212933に示されるような同時重層塗布方式を用い
ることによりより効率的に生産することが出来る。
【0050】本発明の磁気記録媒体の磁性層中に含まれ
る残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに
好ましくは10mg/m2以下であり、磁性層に含まれ
る残留溶媒が非磁性層に含まれる残留溶媒より少ないほ
うが好ましい。
【0051】磁性層が有する空隙率は下層、最上層とも
好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量
%以下である。非磁性層の空隙率が磁性層の空隙率より
大きいほうが好ましいが非磁性層の空隙率が5容量%以
上であれば小さくてもかまわない。
【0052】本発明は、目的に応じ下層と磁性層でこれ
らの物理特性を変えることができるのは容易に推定され
ることである。例えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐
久性を向上させると同時に下層の弾性率を磁性層より低
くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くするなどで
ある。
【0053】このような方法により、支持体上に塗布さ
れた磁性層等は必要により層中の強磁性粉末を配向させ
る処理を施したのち、形成した磁性層を乾燥する。又必
要により表面平滑化加工を施したり、所望の形状に裁断
したりして、本発明の磁気記録媒体を製造する。
【0054】磁性層の0.5%伸びでの弾性率はウエブ
塗布方向、幅方向とも望ましくは100〜2000Kg
/mm2(980〜19600MPa)、破断強度は望
ましくは1〜30Kg/mm2(9.8〜294MP
a)、磁気記録媒体の弾性率はウエブ塗布方向、幅方向
とも望ましくは100〜1500Kg/mm2(980
〜14700MPa)、残留のびは望ましくは0.5%
以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は望ま
しくは1%以下、さらに望ましくは0.5%以下、もっ
とも望ましくは0.1%以下である。
【0055】本発明の磁気記録媒体は、ビデオ用途、コ
ンピューターのバックアップ用途などのテープであって
もデーター記録用途のフロッピー(登録商標)ディスク
や磁気ディスクであってもよいが、ドロップアウトの発
生による信号の欠落が致命的となるデジタル記録用途の
媒体に対しては特に有効である。更に、非磁性層と磁性
層の重層構成で、磁性層の厚さを0.3μm以下とする
ことにより、電磁変換特性が高い、オーバーライト特性
が優れた、高密度で大容量の磁気記録媒体を得ることが
できる。本発明の新規な特長を以下の実施例で具体的に
説明する。
【0056】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。 <六方晶系フェライト粉末の生成 製造例1〜4>六方
晶系フェライト製造原料として、各種の化合物を酸化物
換算で以下の様に秤量した。下記成分の使用量X、Y及
びZ並びに得られた磁性粉について、表1に記載した。
【0057】 B23 4.7モル BaCO3 10.0モル Fe23 Xモル CoCO3 0.05×Xモル ZnO Yモル Nb25 Zモル MnCO3 0.02×Xモル
【0058】B23を除く組成物を120℃のクエン酸
に溶解させ、約200℃に保ち原料を均一に混合させ、
450℃で加水分解した。さらに空気中600℃で焼成
し遊離の炭素を除去した。B23を加え、粉末ミキサー
にて十分混合した後、攪拌機の付属したPt−Rh製ル
ツボに入れ1300〜1350℃で2時間溶融し、回転
しているステンレス製冷却双ロール間に噴出させて非晶
質体を得て、粉砕処理を行った。次いで非晶質体をセラ
ミック容器に2cm厚にひろげ、550℃に保持した電
気炉中に搬送し15時間保持後、800℃に保持した電
気炉中にただちに搬送し5時間保持した。その後、室温
の金属製ホッパーに処理物を投入し、冷却し結晶粉末を
得た。該結晶粉末を遊星ミルにより粉砕し2mol/l
の酢酸水溶液に浸漬し、60℃、5時間保持しガラス成
分を除去し、ろ別し微結晶を回収した。回収した微結晶
を多量のイオン交換水で水洗し、脱水した後100℃で
乾燥させ、更にマーラーにて圧密処理を行い、強磁性粉
末を得た。この強磁性粉末をX線回折法で解析するとマ
グネトプランバイト構造を示した。強磁性粉末を透過型
電子顕微鏡観察し、平均粉体サイズを測定した。窒素中
250℃で30分脱気処理し、BET法で比表面積を測
定した。磁気特性はVSMを使用して印加磁界800k
A/mで測定した。得られたBaフェライトを塩酸で溶
解し、ICPを用いて組成の分析を行った。組成はFe
に対する各元素の原子%(at%)で表示している。得
られた結果を表1に示す。Hcの温度係数は、測定部を
温度制御した振動試料型磁力計(VSM−5 東英工業
製)を使用して測定した。六方晶フェライト粉末をホル
ダーにつめ、VSM−5の温度測定用試料部にセット
し、周囲のガスをHe置換し、25℃、50℃、75
℃、100℃でHcを測定した。Hc(75℃)とHc
(25℃)の差を求め、1℃あたりに換算し、Hcの温
度係数とした。
【0059】
【表1】
【0060】<六方晶系フェライト粉末の生成 製造
例5、6>六方晶系フェライト製造原料として、各種の
化合物を酸化物換算で以下の様に秤量した。下記成分の
使用量X、Y、Z及びW並びに得られた磁性粉につい
て、表2に記載した。 B23 4.7モル BaCO3 10.0モル Fe23 Xモル CoCO3 Yモル TiO3 Zモル SnO2 Wモル MnCO3 0.02×Xモル 上記の原料を均一に混合し、攪拌機の付属したPt−R
h製ルツボに入れ1300〜1350℃で2時間溶融
し、回転しているステンレス製冷却双ロール間に噴出さ
せて非晶質体を得て、粉砕処理を行った。次いで非晶質
体をセラミック容器に2cm厚にひろげ、800℃に保
持した電気炉中で8時間保持した。その後、室温の金属
製ホッパーに処理物を投入し、冷却し結晶粉末を得た。
該結晶粉末を遊星ミルにより粉砕し2mol/lの酢酸
水溶液に浸漬し、60℃、5時間保持しガラス成分を除
去し、ろ別し微結晶を回収した。回収した微結晶を多量
のイオン交換水で水洗し、脱水した後100℃で乾燥さ
せ、更にマーラーにて圧密処理を行い、強磁性粉末を得
た。この強磁性粉末をX線回折法で解析するとマグネト
プランバイト構造を示した。製造例1〜4と同様に磁気
特性とICPによる組成解析を行った。結果を表2に示
す。
【0061】
【表2】
【0062】<塗料の作製>実施例中、「部」との表示
は「重量部」を示す。 磁性液処方 1 バリウムフェライト(磁性粉表3に示す) 100部 結合剤樹脂 塩化ビニル共重合体 13部 (−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度 300) ポリエステルポリウレタン樹脂 4.5部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1、−SO3Na基:1×10-4eq/g含有) α−アルミナ(平均粒子径:0.15μm) 2部 カ−ボンブラック(平均粒子径:30nm) 5部 ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 125部 シクロヘキサノン 125部
【0063】 磁性液処方 2 バリウムフェライト(磁性粉表4に示す) 100部 結合剤樹脂 塩化ビニル共重合体 15部 (−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度 300) ポリエステルポリウレタン樹脂 6.5部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1、−SO3Na基:1×10-4eq/g含有) α−アルミナ(平均粒子径:0.15μm) 2部 カ−ボンブラック(平均粒子径:30nm) 5部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 2部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトン 125部 シクロヘキサノン 125部
【0064】 非磁性液処方 1 針状ヘマタイト 80部 (BET法による比表面積:55m2/g、 平均長軸長:0.10μm、平均針状比:7、 pH:8.8、アルミ処理:Al23として1質量%) カーボンブラック 20部 (平均粒子径:17nm、 DBP及油量:80ml/100g、 結合剤樹脂 塩化ビニル共重合体 12部 (−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度 300) ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1、−SO3Na基:1×10-4eq/g含有) ブチルステアレート 3部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 280部
【0065】 非磁性液処方 2 針状ヘマタイト 80部 (BET法による比表面積:55m2/g、 平均長軸長:0.10μm、平均針状比:7、 pH:8.8、アルミ処理:Al23として1質量%) カーボンブラック 20部 (平均粒子径:17nm、 DBP及油量:80ml/100g、 BET法による表面積:240m2/g、pH7.5) 塩化ビニル共重合体 15部 (−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度 300) ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1、−SO3Na基:1×10-4eq/g含有) ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 2部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 280部
【0066】上記の磁性液処方1、2及び非磁性液処方
1、2のそれぞれについて、顔料、ポリ塩化ビニルと処
方量の50質量%の各溶剤をニーダーで混練したのち、
ポリウレタン樹脂と残りの成分を加えてサンドグライン
ダーで分散した。得られた分散液にイソシアネートを非
磁性液には15部、磁性液には14部を加え、さらにそ
れぞれにシクロヘキサノン30部を加え、1μmの平均
孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成
用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0067】<テープの作成;実施例11〜14、比較
例11〜12>得られた下層非磁性層用の塗布液1を厚
さ7μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に乾燥
後の厚さが1.5μmとなるように塗布し、さらにその
直後下層非磁性層用塗布層がまだ湿潤状態にあるうち
に、磁性液処方1の塗布量を制御することで所定の磁性
層厚みとなるように湿式同時重層塗布を行い、両層がま
だ湿潤状態にあるうちに配向装置を通過させ長手配向し
た。この時の配向磁石は希土類磁石(表面磁束500m
T)を通過させた後ソレノイド磁石(磁束密度500m
T)中を通過させ、ソレノイド内で配向が戻らない程度
まで乾燥しさらに磁性層を乾燥し巻き取った。その後金
属ロールより構成される7段カレンダーでロール温度を
90℃にしてカレンダー処理を施して、ウェッブ状の磁
気記録媒体を得、それを8mm幅にスリットして8mm
ビデオテープのサンプルを作成した。振動試料型磁力計
を使用しサンプルの磁気特性とHcの温度依存性を測定
した。さらに表面粗さ、電磁変換特性を測定した。
【0068】<フレキシブルディスクの作成;実施例2
1、22、比較例21、22>得られた下層非磁性層用
処方2の塗布液を厚さ68μmのポリエチレンテレフタ
レート支持体上に乾燥後の厚さが1.5μmとなるよう
に塗布し、さらにその直後下層非磁性層用塗布層がまだ
湿潤状態にあるうちに、磁性液処方2による磁性層用塗
布液を用いて磁性層の塗布量を変化させることにより磁
性層の厚みを変化させて湿式同時重層塗布を行い、両層
がまだ湿潤状態にあるうちに中心磁界強度398kA/
mの同極対向希土類磁石中を通過させ、長手方向に配向
した後、周波数50Hzで磁場強度24kA/m、つい
で周波数50Hzで12kA/mである2つの磁場強度
交流磁場発生装置の中を通過させランダム配向処理を行
った。これにより配向度比98%以上を得ることができ
た。もう片方の支持体面にも同様に塗布、配向、乾燥
後、7段のカレンダで温度90℃、線圧300Kg/c
m(294kN/m)にて処理を行った。3.7吋に打
ち抜き、サーモ処理(70℃ 24時間)を行い塗布層
の硬化処理を促進させ、研磨テープでバーニッシュ処理
をおこない、表面の突起を削る後処理を行った。ライナ
ーが内側に設置済の3.7吋のカートリッジ(米 IO
MEGA社製ZIP−ディスクカートリッジ)に入れ、
所定の機構部品を付加し、3.7吋フロッピーディスク
を得た。振動試料型磁力計を使用しサンプルの磁気特性
とHcの温度依存性を測定した。さらに表面粗さ、電磁
変換特性を測定した。
【0069】<テープの評価>得られたサンプルを振動
試料型磁力計で測定した磁気特性、表面粗さ、電磁変換
特性を測定した。Hcの温度係数は、測定部を温度制御
した振動試料型磁力計(VSM−5 東英工業製)を使
用して測定した。磁気記録媒体サンプルをVSM−5の
温度測定用試料部にセットし、周囲のガスをHe置換
し、25℃、50℃、75℃、100℃でHcを測定し
た。Hc(75℃)とHc(25℃)の差を求め、1℃
あたりに換算し、Hcの温度係数とした。電磁変換特性
の測定法は次の方法によった。データー記録用8ミリデ
ッキにMIGヘッド(ヘッドギャップ0.2μm、トラ
ック幅17μm、飽和磁束密度1.5T、アジマス角2
0°)と再生用MRヘッド(SALバイアス、MR素子
はFe−Ni、トラック幅6μm、ギャップ長0.2μ
m、アジマス角20°)を搭載した。MIGヘッドを用
いて、テープとヘッドの相対速度を10.2m/秒と
し、1/2Tb(λ=0.3μm)の入出力特性から最
適記録電流を決めこの電流で信号を記録し、MRヘッド
で再生した。C/Nは再生キャリアのピークから消磁ノ
イズまでとし、スペクトルアナライザーの分解能バンド
幅は100kHzとした。比較例12のテープに対する
特性で表わした。 <フレキシブルディスクの評価>出力、S/Nの測定
は、米GUZIK社製のRAW1001型ディスク評価
装置及び共同電子システム(株)製スピンスタンドLS
−90にてギャップ長0.3μmメタルギャップヘッド
を用い、半径24.6mmの位置において線記録密度9
0KFCI時での再生出力(TAA)とDCイレーズ後
のノイズレベルを測定し、S/N値を求めた。
【0070】<テープ及びフレキシブルディスクの評価
>表面粗さは、WYKO社(USアリゾナ州)製の光干
渉3次元粗さ計「TOPO−3D」を使用し250μm
角の試料面積を測定した。測定値の算出にあたっては、
傾斜補正、球面補正、円筒補正等の補正をJIS−B6
01に従って実施し、中心面平均粗さRaを表面粗さの
値とした。磁気特性(Hc、SQ、SFD)は振動試料
型磁力計(東英工業製)を使用し外部磁界800kA/
mで配向方向に平行に測定した。
【0071】磁性層厚みは、磁気記録媒体を長手方向に
渡ってダイヤモンドカッターで約0.1μmの厚味に切
り出し、透過型電子顕微鏡で倍率50000倍で観察
し、その写真撮影を行った。写真のプリントサイズはA
4〜A5でプリントした総合倍率を200000倍とし
た。その後、磁性層、下層非磁性層の強磁性粉末や非磁
性粉末の形状差に注目して界面を目視判断して黒くふち
どり、かつ磁性層表面も同様に黒くふちどった。その
後、Zeiss社製画像処理装置IBAS2にてふちど
りした線の長さを測定した。試料写真の長さが21cm
の場合、測定を85〜300回行った。その際の測定値
の平均値を磁性層厚δとした。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】表中、「実−」は実施例を、「比−」は比
較例を示す。上表より、実施例の磁気テープ及び磁気デ
ィスクは比較例に比べて出力及びC/N又はS/Nに優
れていることが分る。 <記録方法;実施例31、比較例31、32、33>記
録用MIGヘッド直前部に、記録トラック幅の1.5倍
の領域を照射する780nmのレーザーを設けた記録装
置を作成し、熱アシスト記録実験装置を試作した。実−
12、比−11、比−12の各テープを使用して、レー
ザー光(1mW)を照射し(比較例33では照射せ
ず)、テープ表面を加熱した後、信号を記録した。記録
電流はレーザー加熱しない状態で求めた最適記録電流を
使用した。再生用MRヘッドで信号を再生し、出力とC
/Nを求めた。結果を表5に示す。
【0075】
【表5】
【0076】Hcの温度係数がマイナスである実−12
のテープに本発明により記録した実施例31の場合は、
再生出力、C/Nが増加しているが、Hcの温度係数が
プラスである、比11、比−12のテープに記録した比
較例31〜32の場合は出力、C/Nが劣っている。比
較例33も実施例31に比べ劣っている。
【0077】
【発明の効果】本発明は、六方晶系フェライト粉末の温
度係数を特定したことにより微細な六方晶フェライトを
使用しても磁化の安定性が従来よりも良好で、MRヘッ
ドを使用して再生したとき短波長出力とC/Nが良好な
磁気記録媒体を提供することができると共にこの磁気記
録媒体の記録部を加熱して磁気記録することにより前記
効果を更に増強することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/738 G11B 5/738 11/10 502 11/10 502Z H01F 1/113 H01F 1/113

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非磁性粉末を結合剤中に分散
    させた非磁性層を設けこの上に強磁性粉末を結合剤中に
    分散してなる磁性層を設けた磁気記録媒体において、平
    均板径が10〜30nm、抗磁力Hcが135〜400
    kA/mであり、かつ25〜75℃でのHcの温度係数
    が−0.16〜−0.44(kA/m)/℃である六方
    晶系フェライト粉末を含有する磁性層を有することを特
    徴とする磁気記録媒体
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気記録媒体に磁気信号
    を記録するときに記録部およびその前方を加熱しつつ磁
    気記録することを特徴とする記録方法。
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