JP2003197413A - 六方晶系フェライトの製造方法及びそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

六方晶系フェライトの製造方法及びそれを用いた磁気記録媒体

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JP2003197413A JP2001389938A JP2001389938A JP2003197413A JP 2003197413 A JP2003197413 A JP 2003197413A JP 2001389938 A JP2001389938 A JP 2001389938A JP 2001389938 A JP2001389938 A JP 2001389938A JP 2003197413 A JP2003197413 A JP 2003197413A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁変換特性が良好であり、且つスチル耐久性
やヘッド汚れといった走行耐久性に優れた磁気記録媒体
が得られる六方晶系フェライト粉末の製造方法、及びそ
れを用いた磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】平均板径が10〜40nmで、かつ抗磁力
Hcが135〜400kA/mである六方晶系フェライ
ト粉末をスラリー状態で、かつ2価の有機基の一端にリ
ン酸に由来する基を有し、他端にアミノ基またはアルコ
ール性水酸基を有する基からなる有機リン化合物で処理
する工程を有することを特徴とする六方晶系フェライト
粉末の製造方法。また、それを用いた磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気テープ、磁気デ
ィスク等の磁気記録媒体に関し、特に強磁性粉末と結合
剤を主体とする磁性塗料を支持体上に塗布して磁性層を
形成した塗布型の磁気記録媒体に関連し、短波長領域に
おけるノイズ、出力、C/N、及び走行耐久性が優れた
磁気記録媒体に関する。また、再生に磁気抵抗効果を利
用したMRヘッドを使用したシステムで使用すると特に
好適である磁性層を含む高密度記録用磁気記録媒体に関
連する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビデオテ−プ、オ−ディオテー
プ、コンピューター用テープ、フレキシブルディスク等
の磁気記録媒体としては、強磁性酸化鉄、Co変性強磁
性酸化鉄、CrO2、強磁性金属粉末、六方晶系フェラ
イト等を結合剤中に分散した磁性層を支持体に塗設した
ものが広く用いられている。この中でも六方晶系フェラ
イトは高密度記録特性に優れていることが知られている
(例えば、特開昭60−157719号公報、特開昭6
2−109226号公報、特開平3−280215号公
報)。
【0003】特開平5−12650号公報には、該フェ
ライトを用いた磁性層の厚みを0.1〜0.6μmと
し、磁性層と支持体の間に磁性層より厚い非磁性層を設
け、表面性、短波長出力、消去特性、耐久性を改善した
磁気記録媒体が開示されている。特開平5−22554
7号公報には、支持体上に非磁性層を設け、その上に
0.1μm以下の磁性粉を含有した磁性層を設け、高域
特性に優れ、しかも信号の重ね書き特性の良好な、耐久
性も良好な磁気記録媒体が開示されている。
【0004】また、特開平6−290929号公報に
は、磁気特性に優れ、しかも良好な塗料分散が得られる
六方晶フェライトとして、六方晶系フェライトの透過型
電子顕微鏡観察で得られた平均粒子サイズより求めた算
術比表面積(Sc)とBET法で求めた比表面積(S
m)との比(Sm/Sc)が1以下のBaフェライトが
記載されている。更には、IEEE. Trans. Mag.、vol 2
3(5)、Sep.1987、p3125では、(実測の
比表面積)/(透過型電子顕微鏡より求めた平均径より
計算された表面積)が、0.70〜0.82であるBa
フェライトが報告されている。
【0005】最近、コンピュ−タ−用デ−タ記録システ
ムには、磁気抵抗効果を利用した高感度な再生ヘッド
(MRヘッド)が使用され、システムノイズは磁気記録媒
体に由来するノイズに支配されている。Okabe等は、B
aフェライト媒体をMRヘッドと組み合わせて使用する
ことが、MRヘッドの飽和を回避するので好ましいこと
を示唆している(IEEE. Trans.Mag.、vol32
(5)、3404〜3406頁(1996))。また、
媒体ノイズを低減するため強磁性粒子の微細化が進めら
れているが、強磁性粒子の微細化にともない熱揺らぎの
影響を受け、磁化遷移領域の安定性が問題となることが
推定されている。磁化の安定性は、KuV/kT(Kuは
磁気異方性定数、Vは粒子体積、kはボルツマン定数、
Tは絶対温度)で評価されている。
【0006】六方晶系フェライトは飽和磁化が強磁性金
属粉の約1/3〜1/2であるので、Kuを大きくする
ことが難しく熱揺らぎは大きくなる。更に、六方晶フェ
ライトを用いた磁気記録媒体は、粒子間の相互作用が大
きく、媒体のノイズレベルに影響すると言われている。
また、微細な六方晶系フェライトは単結晶であり、粒子
形状が板状であるため粒子が接近していわゆるスタッキ
ングを生成すると、粒子を引き離すことが困難となる。
そのためか粉体サイズを微細にした六方晶系フェライト
磁性粉を用いて作成した高密度記録用媒体をMRヘッド
で再生した場合であっても、体積と粒子数より期待され
るノイズレベルよりもノイズが大きく、C/Nを十分に
確保することが困難であるという問題があった。また、
六方晶系フェライト粉末の分散性が低いと磁性層の削れ
等によりヘッド目詰まりが生じ、走行耐久性が低下する
という問題もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に電磁変
換特性が良好であり、且つスチル耐久性やヘッド汚れと
いった走行耐久性に優れた磁気記録媒体が得られる六方
晶系フェライト粉末の製造方法を提供することを目的と
する。更に詳しくは、本発明は、用いた強磁性粉末の特
性が十分発揮されるように磁性層における六方晶系フェ
ライト粉末の分散状態を改善し、出力を向上させ、且つ
磁気記録媒体/磁気ヘッド間の相対スピードが速いシス
テムにおける走行耐久性を改善した磁気記録媒体を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、平均板径が1
0〜40nmで、かつ抗磁力Hcが135〜400kA
/mである六方晶系フェライト粉末をスラリー状態で、
かつ2価の有機基の一端にリン酸に由来する基を有し、
他端にアミノ基またはアルコール性水酸基を有する基か
らなる有機リン化合物で処理する工程を有することを特
徴とする六方晶系フェライト粉末の製造方法に関する。
また、本発明は支持体上に強磁性粉末を有する磁性層を
設けた磁気記録媒体において、前記強磁性粉末が上記の
方法で得られた六方晶系フェライト粉末であることを特
徴とする磁気記録媒体に関する。また、本発明におい
て、磁性層が、脂肪酸を含有しているのが好ましく、ま
た前記磁性層の厚みが0.01〜0.5μm、残留磁束密
度×磁性層厚みが5〜100mT・μmであることが好
ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】初めに本発明の六方晶系フェライ
ト粉末の製法について述べる。本発明は、六方晶系フェ
ライト粉末をスラリー状態で、かつ特定構造の有機リン
化合物で処理する工程を有することを特徴とする。この
工程を有機リン化合物処理工程ともいう。本発明におい
て、有機リン化合物処理工程とは、有機リン化合物と六
方晶系フェライト粉末が水等の溶媒を介して有機リン化
合物を六方晶系フェライト粉末表面に吸着させる処理を
言う。この処理に使用される溶媒としては、市水、地下
水、蒸留水、イオン交換水等の水、酢酸水溶液等の酸性
水溶液、メタノール、エタノール等の水易溶性溶媒、シ
クロヘキサノン、それらの混合物等が挙げられる。有機
リン化合物処理工程は、1回以上行うことができる。ま
た、少なくともこの有機リン化合物処理工程を含むので
あれば、好ましくは最終的に有機リン化合物処理工程を
行うのであれば、有機リン化合物と接触される六方晶系
フェライト粉末の状態はスラリー状態でなくともかまわ
ない。また、有機リン化合物と接触させられる六方晶系
フェライト粉末の精製度は任意であり、少なくとも六方
晶系フェライト粉末が存在してれば六方晶系フェライト
粉末の製造工程の任意の工程で有機リン化合物と接触さ
せることができる。即ち、有機リン化合物の六方晶系フ
ェライト粉末への添加時期は特に限定されず、六方晶系
フェライト粉末製造時の乾式粗粉砕時に添加してもよ
く、湿式粉砕時の粉砕用スラリー調製の際に添加しても
よく、一部を乾式粗粉砕の際に添加し、残部を湿式粉砕
の際に添加してもよい。あるいは、湿式粉砕後に撹拌な
どによって添加してもよい。ただし、磁性体乾燥前の、
湿式粗粉砕時以降、特に六方晶系フェライト粉末の水洗
後から乾燥直前のスラリーに添加するほうが、分散性向
上、配向度向上効果は高くなる。なお、有機リン化合物
を複数回に分けて添加する場合には、合計添加量が後述
する好ましい範囲となるように各回の添加量を設定すれ
ばよい。
【0010】本発明の方法に用いられる六方晶系フェラ
イトは、例えば、ガラス結晶化法、共沈・フラックス
法、水熱合成法法等により製造されるものが挙げられ、
ガラス結晶化法は微細で粒度分布が良好な粒子が得られ
るので好ましい。
【0011】有機リン化合物の使用量は、六方晶系フェ
ライト粒子を磁気記録媒体に使用した際の分散時にスタ
ッキング(粉体粒子の重なり、凝集)を解消する効果等
が認められる程度に、六方晶系フェライトの粒子の表面
の一部が覆われる量であり、特には六方晶系フェライト
の粒子表面を実質的に完全に被覆するような量であるの
が好ましい。
【0012】具体的には、本発明の処理により得られる
六方晶系フェライト粉末は、有機リン化合物を六方晶系
フェライト粉末1kgに対して0.05〜0.5mo
l、好ましくは0.1〜0.45molの範囲であり、
六方晶系フェライト粉末に対する有機リン化合物の吸着
量等により適宜選定される。有機リン化合物が少なすぎ
ると分散性の向上、配向度の向上、が不十分となる。一
方、有機リン化合物が多すぎると、磁性層の充填度が低
下、磁性層が可塑化しやすくなる。ここで、上記有機リ
ン化合物量は、その全部が六方晶系フェライト粉末表面
に吸着した量でなくともよい。即ち、六方晶系フェライ
ト粉末に吸着しないで六方晶系フェライト粉末に混在し
ていてもよい。ただし、このような混在量は六方晶系フ
ェライト粉末の10質量%以下であることが好ましい。
【0013】本発明に用いる有機リン化合物は、2価の
有機基の一端にリン酸に由来する基を有し、他端にアミ
ノ基またはアルコール性水酸基を有する基からなるもの
であれば、特に制限はない。ここで、2価の有機基とし
ては、アリーレン基(通常、炭素数6〜30、好ましく
は炭素数6〜10)、アルキレン基(通常、炭素数1〜
30、好ましくは1〜10)、アラルキレン基(通常、
炭素数7〜30、好ましくは7〜15)等が挙げられ
る。リン酸に由来する基とは、少なくともP原子に(O
H)、=Oまたは−O−を有する基を意味し、ホスホン
酸基、ホスフィン酸基、亜リン酸基、リン酸基等が挙げ
られる。リン酸に由来する基は、塩の形態であってもよ
い。塩としてはNa +、K+、Ca2+、Mg2+、NH4 +
との塩が挙げられる。リン酸に由来する基と2価の有機
基とは、P原子と直接結合していてもよいし、酸素を介
してエステル結合されていてもよい。2価の有機基は、
通常、分子中1または2個含まれる。
【0014】本発明に使用される有機リン化合物の具体
例としては、以下に示す(1)アミノフェニルホスホン
酸、(2)ヒドロキシエチルフェニルホスホン酸等のホ
スホン酸およびこれらの塩、
【0015】
【化1】
【0016】以下に示す(3)ジアミノフェニルホスフ
ィン酸、(4)ジヒドロキシエチルフェニルホスフィン
酸等のホスフィン酸およびこれらの塩、
【0017】
【化2】
【0018】以下に示す(5)アミノナフチルリン酸、
(6)ヒドロキシメチルナフチルリン酸、(7)アミノ
フェニルリン酸、(8)ジアミノフェニルリン酸、
(9)ヒドロキシエチルフェニルリン酸、(10)ジヒ
ドロキシエチルフェニルリン酸、(11)アミノエチル
リン酸、(12)ジアミノエチルリン酸、(13)ヒド
ロキシエチルリン酸、(14)ジヒドロキシエチルリン
酸等のリン酸のモノおよびジエステル、そしてこれらの
塩を挙げることができる。
【0019】
【化3】
【0020】また、以下に示す(15)亜リン酸ジアミ
ノフェニル、(16)亜リン酸ジヒドロキシエチルフェ
ニルリン酸、(17)亜リン酸ジアミノエチル、(1
8)亜リン酸ジヒドロキシエチル等の亜リン酸のジエス
テル、そしてこれらの塩等を挙げることができる。
【0021】
【化4】
【0022】本発明において、有機リン化合物は2種以
上を併用してもよい。このときに併用する有機リン化合
物は本発明の範囲に限定されない。本発明以外の有機リ
ン化合物は、六方晶系フェライト粉末に対して20質量
%以下用いることが好ましい。
【0023】本発明の方法で用いられる六方晶系フェラ
イトとしては、バリウムフェライト、ストロンチウムフ
ェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置
換体、Co置換体等が挙げられる。具体的にはマグネト
プランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウ
ムフェライト、更に一部スピネル相を含有したマグネト
プランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウ
ムフェライト等が挙げられ、その他所定の原子以外にA
l、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、M
o、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、T
a、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、
Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、
Ge、Nb、Pt等の原子を含んでいてもよい。一般に
はCo−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Nb、Co−
Ti−Zn、Co−Zn−Nb、Ni−Ti−Zn、N
b−Zn、Ni−Ti、Zn−Ti、Zn−Ni等の元
素を添加した物を使用することができる。SFDの観点
からは、純粋なマグネトプランバイト型フェライトの方
が、スピネル層を多く含む複合型フェライトよりも好ま
しい。本発明の方法で用いられる六方晶系フェライト
は、通常六角板状の粉体であり、そのサイズは以下のよ
うにして測定する。
【0024】本明細書において、六方晶系フェライトの
種々の粉体のサイズ(以下、「粉体サイズ」と言う)
は、高分解能透過型電子顕微鏡写真及び画像解析装置よ
り求められる。即ち、粉体サイズは、粉体の形状が針
状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より
大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長さ、即ち
長軸長で表され、粉体の形状が板状乃至柱状(ただ
し、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さ
い)場合は、その板面乃至底面の最大長径で表され、
粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、か
つ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場合は、
円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求めら
れるものを言う。
【0025】また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉
体サイズの算術平均であり、約350個の一次粒子につ
いて上記の如く測定を実施して求めたものである。一次
粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。あるいは、
凝集体を構成している個々の粒子でもある。また、該粉
体の平均針状比は、上記測定において粉体の短軸の長
さ、即ち短軸長を測定し、各粉体の(長軸長/短軸長)
の値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粉体
サイズの定義での場合は、粉体を構成する短軸の長さ
を、同じくの場合は、厚さ乃至高さを各々指し、の
場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸
長)は、便宜上1とみなす。そして、粉体の形状が特定
の場合、例えば、上記粉体サイズの定義の場合は、平
均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義の場合は平
均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至
高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義の場合
は平均粉体サイズを平均粒子径という。粒子サイズ測定
において、標準偏差/平均値を百分率で表示したものを
変動係数と定義する。
【0026】本発明の方法に用いられる六方晶系フェラ
イトの平均板径は10〜40nm、好ましくは15〜3
5nmの範囲である。平均板径が小さすぎると、高比表
面積となり、分散が困難となるという問題が、また逆に
平均板径が大きすぎると、粒子体積が大きくなり、磁気
記録媒体に使用した場合に媒体ノイズが増加し、高C/
N媒体が得られないという問題が生じる。また、六方晶
系フェライトの平均板厚は通常、2〜15nmである
が、特に4〜10nmが好ましい。平均板径、平均板厚
の変動係数は小さいことが好ましく、0〜35%が好ま
しい。更に好ましくは、0〜30%である。更に平均板
状比は好ましくは1.5〜4であり、更に好ましくは2
〜3.8である。
【0027】また、本発明の方法に用いる六方晶系フェ
ライトの抗磁力Hcは、135〜400kA/m、好ま
しくは140〜350kA/m、より好ましくは150
〜330kA/mである。抗磁力Hcが小さすぎると、
磁気記録媒体に使用した場合に短波長出力が得られにく
いという問題が生じ、また逆に大きすぎると記録ヘッド
で信号を十分に記録できないという問題が生じる。
【0028】また、これら六方晶系フェライトのBET
法による比表面積(SBET)は、通常30〜150m2
gであるが、40〜120m2/gが好ましい。30m2
/gに満たないと、粒子体積が大きく、ノイズが高いこ
とにくわえて、粒子間の引力が大きく、スタッキングを
解消することが困難となることによってもノイズが高く
なる傾向があり、150m2/gを超えると分散が困難
となり表面性が得にくくなる傾向があるので好ましくな
い。含水率は0.3〜2.0%とするのが好ましい。磁気
記録媒体において磁性粉として使用する場合は、使用す
る結合剤樹脂の種類によって該磁性粉の含水率は最適化
するのが好ましい。
【0029】本発明の方法で得られた六方晶系フェライ
トは必要に応じ、Al、Si、P、Zr、Mg又はこれ
らの酸化物や水酸化物等で表面処理を施されてもよい。
好ましくはAl23・nH2O又はSiO2・nH2Oに
よる表面処理であり、磁気記録媒体に使用する場合に
は、用いる結合剤樹脂によってその量と比率を変えるこ
とが好ましい。その量は、該六方晶系フェライトに対し
0.1〜10質量%であり、表面処理を施すと脂肪酸等
の潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好まし
い。また本発明の方法で得られた六方晶系フェライト
は、更にカップリング剤で処理されてもよく、更に特開
平12−138115号公報、特開平12−20071
4号公報に記載されるカーボン付着等の処理を行うのも
好ましい。更には、本発明の方法で得られた六方晶系フ
ェライトは、可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Sr、
Ba等の無機イオンを含む場合があるが、合計量が少な
いほうが好ましく、0〜100ppm以下であれば特に
特性に影響を与えない。σsは、35A・m2/kg以
上、好ましくは40A・m2/kg以上である。タップ
密度は0.5g/ml以上が好ましく0.8g/ml以上
が更に好ましい。
【0030】次に本発明の有機リン化合物処理により得
られる六方晶系フェライト粉末を含む磁性層を備えた磁
気記録媒体について説明する。有機リン化合物は、六方
晶系フェライト粉末との親和性に優れ分散剤として作用
するために、六方晶系フェライト粉末が微粒子になって
も、磁性層中で優れた分散状態を得ることができる。
【0031】すなわち、有機リン酸化合物は、磁性体表
面へ吸着する性質を有しており、且つその吸着力は、カ
ルボン酸、スルホン酸等の他の有機酸化合物に比較して
強く、一旦吸着すると、磁性体表面から脱着することは
ほとんどない。したがって本発明により製造された六方
晶系フェライト粉末表面は、有機リン化合物が、ホスホ
ン酸基、ホスフィン酸基あるいはリン酸基等を介在して
強く吸着し、かつ六方晶系フェライト粉末表面に対して
アミノ基あるいはアルコール性水酸基を外側に向けた状
態で被覆される。このために六方晶系フェライト粉末は
磁気記録媒体の磁性層樹脂成分に対する親和性が顕著に
向上し、良好な分散状態を得ることができ、磁性塗膜の
表面性や磁気特性が改善され、優れた電磁変換特性を得
ることができる。
【0032】また、上記の六方晶系フェライト粉末と樹
脂成分の親和性に加えて、六方晶系フェライト粉末に吸
着した有機リン化合物のアミノ基あるいは水酸基と、硬
化剤として添加されるイソシアネート成分との反応によ
り、磁性層内に強固な網目構造が形成されるために、ヘ
ッドとの高速摺動においても、削れにくい強靭な塗膜が
形成され、優れた耐久性を得ることができる。従って、
本発明の磁気記録媒体は優れた電磁変換特性と、高速摺
動での優れた耐久性を有するものである。
【0033】尚、本発明において、前記した特定の方法
で製造された六方晶系フェライト磁性粉に加えて、本発
明の効果を損なわない程度に、他の磁性粉末を混合して
もよい。その場合は、全磁性粉中、20%以下とするの
が望ましい。
【0034】本発明の磁気記録媒体を構成する磁性層
は、上記した磁性粉の他に結合剤樹脂を含有する。結合
剤樹脂としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、反応型樹脂やこれらの混合物等が使用できる。熱可
塑性樹脂の場合、ガラス転移温度が−100〜150
℃、数平均分子量が1000〜200000、好ましく
は10000〜100000、重合度が約50〜100
0程度のものであるのが好ましい。
【0035】熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アクリル酸、
アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、
ブタジエン、エチレン、ビニルブチラ−ル、ビニルアセ
タ−ル、ビニルエ−テル、等を構成単位として含む重合
体又は共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂等
が挙げられる。
【0036】また、熱硬化性樹脂又は反応型樹脂として
は、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコ−ン樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネ−トプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリ
オ−ルとポリイソシアネ−トの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物等が挙げられる。
【0037】前記の結合剤樹脂に、より優れた強磁性粉
末の分散効果と磁性層の耐久性を得るためには必要に応
じ、COOM、SO3M、OSO3M、P=O(O
M)2、O−P=O(OM)2、(以上につきMは水素原
子、又はアルカリ金属塩基)、OH、NR2、N+
3(Rはアルキル基、アルケニル基、アシル基、アリル
基)、エポキシ基、SH、CN等から選ばれる、少なく
とも1つ以上の極性基を共重合又は付加反応で導入した
ものを用いるのが好ましい。このような極性基の量は、
好ましくは10-1〜10-8モル/gであり、より好まし
くは10-2〜10-6モル/gである。
【0038】本発明の磁気記録媒体の磁性層に用いられ
る結合剤樹脂は、強磁性粉末に対し、5〜50質量%の
範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で用いられ
る。特には、塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜10
0質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜50質
量%、ポリイソシアネ−トは2〜100質量%の範囲で
これらを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0039】塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル・
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸
エステル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニルとビニルア
ルコール、マレイン酸および/またはアクリル酸との共
重合体、塩化ビニル・プロピオン酸ビニル共重合体、塩
化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル・アク
リロニトリル共重合体等を挙げることができる。
【0040】ポリウレタン樹脂としては、ポリエステル
ポリウレタン、ポリエ−テルポリウレタン、ポリエ−テ
ルポリエステルポリウレタン、ポリカ−ボネ−トポリウ
レタン、ポリエステルポリカ−ボネ−トポリウレタン、
ポリカプロラクトンポリウレタン等が挙げられる。本発
明の磁気記録媒体を構成する磁性層において、結合剤樹
脂としてポリウレタンを用いる場合は、ガラス転移温度
が−50〜100℃、破断伸びが100〜2000%、
破断応力が0.05〜10Kg/mm2(0.49〜9
8MPa)、降伏点が0.05〜10Kg/mm
2(0.49〜98MPa)であるのが好ましい。
【0041】また、ポリイソシアネ−トとしては、トリ
レンジイソシアネ−ト、4、4’−ジフェニルメタンジ
イソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、キ
シリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1、5−ジイ
ソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシアネ−ト、イソ
ホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタントリイソ
シアネ−ト等のイソシアネ−ト類、また、これらのイソ
シアネ−ト類とポリアルコールとの生成物、また、イソ
シアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネ−
ト等を使用することができる。
【0042】これらのイソシアネート類の市販されてい
る商品名としては、日本ポリウレタン社製、コロネート
L、コロネ−トHL、コロネ−ト2030、コロネ−ト
2031、ミリオネ−トMR、ミリオネ−トMTL、武
田薬品社製、タケネ−トD−102、タケネ−トD−1
10N、タケネ−トD−200、タケネ−トD−20
2、住友バイエル社製、デスモジュ−ルL、デスモジュ
−ルIL、デスモジュ−ルN、デスモジュ−ルHL、等
が挙げられ、これらを単独又は硬化反応性の差を利用し
て二つもしくはそれ以上を組合せて用いることができ
る。
【0043】本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、上
記磁性粉及び結合剤樹脂以外に、通常、潤滑剤、研磨
剤、分散剤、帯電防止剤、分散剤、可塑剤、防黴剤等等
を始めとする種々の機能を有する素材をその目的に応じ
て含有させることができる。
【0044】本発明の磁性層に使用し得る潤滑剤として
は、ジアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜
5個)、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシは炭
素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキシポリシロ
キサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは炭素
数1〜4個)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキ
ルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)等のシ
リコンオイル;グラファイト等の導電性微粉末;二硫化
モリブデン、二硫化タングステン等の無機粉末;ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル共
重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のプラスチック
微粉末;α−オレフィン重合物;常温で固体の飽和脂肪
酸(炭素数10から22);常温で液状の不飽和脂肪族
炭化水素(n−オレフィン二重結合が末端の炭素に結合
した化合物、炭素数約20);炭素数12〜20個の一
塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価のアルコールか
ら成る脂肪酸エステル類、フルオロカーボン類等が使用
できる。
【0045】上記の中でも飽和脂肪酸と脂肪酸エステル
が好ましく、両者を併用することがより好ましい。脂肪
酸エステルの原料となるアルコールとしては、エタノー
ル、ブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、2
−メチルブチルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコ
ール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリ
コールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテル、s−ブチルアルコール等の系モノアル
コール類、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ソルビタン
誘導体等の有機リン化合物が挙げられる。同じく脂肪酸
としては酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、2−エチル
ヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン
酸、パルミチン酸、ベヘン酸、アラキン酸、オレイン
酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、パルミト
レイン酸等の脂肪族カルボン酸又はこれらの混合物が挙
げられる。
【0046】脂肪酸エステルとしての具体例は、ブチル
ステアレート、s−ブチルステアレート、イソプロピル
ステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレー
ト、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキシ
ルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、ブ
チルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステート、
ブチルステアレートとブチルパルミテートの混合物、ブ
トキシエチルステアレート、2−ブトキシ−1−プロピ
ルステアレート、ジプロピレングリコールモノブチルエ
ーテルをステアリン酸でアシル化したもの、ジエチレン
グリコールジパルミテート、ヘキサメチレンジオールを
ミリスチン酸でアシル化してジオールとしたもの、グリ
セリンのオレエート等の種々のエステル化合物を挙げる
ことができる。
【0047】更に、磁気記録媒体を高湿度下で使用する
際にしばしば生ずる脂肪酸エステルの加水分解を軽減す
るために、原料の脂肪酸及びアルコールの分岐/直鎖、
シス/トランス等の異性構造、分岐位置を選択するのが
好ましい。これらの潤滑剤は、結合剤樹脂100質量部
に対して通常、0.2〜20質量部の範囲で添加され
る。
【0048】潤滑剤としては、更に以下の化合物を使用
することもできる。即ち、シリコンオイル、グラファイ
ト、二硫化モリブデン、窒化ほう素、弗化黒鉛、フッ素
アルコール、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキ
ル燐酸エステル、二硫化タングステン等である。
【0049】本発明の磁性層に使用され得る研磨剤とし
ては、一般に使用される材料でα、γアルミナ、溶融ア
ルミナ、コランダム、人造コランダム、炭化珪素、酸化
クロム(Cr23)、ダイヤモンド、人造ダイヤモン
ド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄
鉱)、αFe23等が挙げられる。これらの研磨剤はモ
ース硬度が6以上であるのが好ましい。具体的な例とし
ては、住友化学社製、AKP−10、AKP−15、A
KP−20、AKP−30、AKP−50、AKP−1
520、AKP−1500、HIT−50、HIT60
A、HIT60G、HIT70、HIT80、HIT8
2、HIT−100、日本化学工業社製、G5、G7、
S−1、酸化クロムK、上村工業社製UB40B、不二
見研磨剤社製WA8000、WA10000、LAND
S社製LS600F 0/−1/4、東名ダイヤ社製M
D−200、MD−150、MD−100、MD−7
0、IRM 0−1/4F、IRM 0−1/4FF、
GE社製 0−1/10、0−1/4、DoPunt社
製マイポレックス 1/10QG、同 1/8QG、戸
田工業社製TF100、TF140、TF180等が挙
げられる。平均粒子径が0.05〜1μmの大きさのも
のが特に効果があり、好ましくは0.05〜0.5μm
である。
【0050】研磨剤は、単独で使用するだけでなく、2
種類以上を併用することも好適で、微粒子ダイヤモンド
の場合は他の研磨剤と併用することで、磁性粉に対する
添加量を0.1%程度に減少させることができる。これ
ら研磨剤の合計量は磁性粉100質量部に対して1〜2
0質量部、望ましくは1〜15質量部の範囲で添加され
る。1質量部より少ないと十分な耐久性が得られず、2
0質量部より多すぎると表面性、充填度が劣化する傾向
がある。これら研磨剤は、あらかじめ結合剤樹脂で分散
処理したのち磁性塗料中に添加してもよい。
【0051】本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、帯
電防止剤として導電性粒子を含有することもできる。帯
電防止剤としては特に、カーボンブラックが、媒体全体
の表面電気抵抗を下げる点で好ましい。本発明に使用で
きるカ−ボンブラックは、ゴム用ファ−ネス、ゴム用サ
−マル、カラ−用ブラック、導電性カーボンブラック、
アセチレンブラック等が挙げられる。比表面積は5〜5
00m2/g、DBP吸油量は10〜1500ml/1
00g、粒子径は5〜300nm、pHは2〜10、含
水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/c
3、が好ましい。
【0052】本発明で使用され得るカ−ボンブラックの
具体的な例としては、キャボット社製、BLACKPE
ARLS 2000、1300、1000、900、8
00、700、VULCAN XC−72、旭カ−ボン
社製、#80、#60、#55、#50、#35、三菱
化学社製、#3030B、#3040B、#3050
B、#3230B、#3350B、#9180B、#2
700、#2650、#2600、#2400B、#2
300、#950B、#900、#1000、#95、
#30、#40、#10B、MA230、MA220、
MA77、コロンビアンカ−ボン社製、CONDUCT
EX SC、RAVEN 150、50、40、15、
ライオンアグゾ社製ケッチェンブラックEC、ケッチェ
ンブラックECDJ−500、ケッチェンブラックEC
DJ−600等が挙げられる。
【0053】カ−ボンブラックを分散剤等で表面処理し
たり、カーボンブラックを酸化処理したり、樹脂でグラ
フト化して使用してもよいし、表面の一部をグラファイ
ト化したものを使用してもよい。また、カ−ボンブラッ
クを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤樹脂で分
散させてもよい。磁性層にカ−ボンブラックを使用する
場合、磁性粉に対して0.1〜30質量%の割合で用い
るのが好ましい。更に後述する非磁性層には全非磁性粉
末に対し3〜20質量%含有させることが好ましい。
【0054】一般的にカ−ボンブラックは帯電防止剤と
してだけでなく、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向
上等の働きがあり、これらは用いるカ−ボンブラックに
より異なる。従って本発明に使用されるこれらのカ−ボ
ンブラックは、その種類、量、組合せを変え、粒子サイ
ズ、吸油量、電導度、pH等の先に示した諸特性をもと
に目的に応じて使い分けることは勿論可能である。使用
できるカーボンブラックは例えば「カ−ボンブラック便
覧」カ−ボンブラック協会編を参考にすることができ
る。
【0055】本発明の方法で製造された六方晶系フェラ
イト磁性粉を含有する磁性層を含む磁気記録媒体は、支
持体と磁性層の間に非磁性層を設ける構成であることが
好ましいが、特に限定されず、公知の層構成が可能であ
る。次に本発明の磁気記録媒体を構成する非磁性層につ
いて説明する。本発明において非磁性層(下層ともい
う)は、非磁性粉末は結合剤樹脂中に分散した構造であ
るが、その非磁性層に使用される非磁性粉末には、種々
のものが使用できる。例えば、α化率90%以上のα−
アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、
酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲ−タイト、
コランダム、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタ
ン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等を単独又は組合せ
て使用される。微細で粒度がそろっているものとして、
α−酸化鉄、ゲ−タイト、酸化チタン、酸化亜鉛が好適
である。これら非磁性粉末の粒子サイズは、0.01〜
1μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる
非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒
径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。
使用する結合剤樹脂との相互作用を大きくし分散性を改
良するために、使用する非磁性粉末が表面処理されてい
てもよい。表面処理により粒子表面に存在させる物とし
ては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ等の無機物
でも、カップリング剤により形成されるものでもよい。
タップ密度は0.3〜2g/cm3、含水率は0.1〜
5質量%、pHは2〜11、比表面積は5〜100m2
/g、が好ましい。前記非磁性粉末の形状は針状、球
状、サイコロ状、板状のいずれでもよい。
【0056】非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電
工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、HIT−
80、戸田工業製α−酸化鉄DPN−250BX、DP
N−245、DPN−270BX、DPN−550R
X、DBN−450BX、DBN−650RX、DAN
−850RX、石原産業製酸化チタンTTO−51B、
TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、T
TO−55S、TTO−55D、SN−100、チタン
工業製酸化チタンSTT−4D、STT−30D、ST
T−30、STT−65C、テイカ製酸化チタンMT−
100S、MT−100T、MT−150W、MT−5
00B、MT−600B、MT−100F、MT−50
0HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−
10、BF−20、ST−M、同和鉱業製酸化鉄DEF
IC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2B
M、TiO2 P25、宇部興産製100A、500
A、及びそれを焼成したもの等が挙げられる。
【0057】本発明の磁気記録媒体を構成する非磁性層
に含有される結合剤樹脂としては、磁性層で使用され得
結合剤樹脂として列挙した各種樹脂を使用することがで
きる。また、非磁性層には、これら非磁性粉末及び結合
剤樹脂以外に、研磨剤、潤滑剤、帯電防止剤等の各種添
加剤を使用し得る。尚、それらは、上記磁性層で使用可
能な添加剤として説明したものが同様に使用可能であ
る。
【0058】本発明の磁気記録媒体の支持体は、通常、
3〜100μm、テ−プ状で使用する時は望ましくは3
〜20μm、フレキシブルディスクとして使用する場合
は25〜80μmが好ましく、支持体上に設ける非磁性
層は、通常、0.5〜5.0μm、好ましくは0.5〜
3μmである。磁性層の厚みは、好ましくは0.01〜
0.5μm、更に好ましくは0.05〜0.3μmであ
る。また、前記磁性層及び前記非磁性層以外の他の層を
目的に応じて形成することもできる。例えば、支持体と
下層の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもよ
い。この厚みは通常、0.01〜1μm、好ましくは
0.05〜0.3μmである。また、磁性層を担持する
面とは反対側の支持体面上にバック層を設けてもよい。
この厚みは通常、0.1〜1.0μm、好ましくは0.
3〜1.0μmである。これらの下塗り層、バック層は
公知のものが使用できる。円盤状磁気記録媒体の場合、
両面もしくは片面に上記磁性層を含む構成を設けること
ができる。
【0059】また、MRヘッドが飽和することにより再
生出力が劣化することを防止するために、残留磁束密度
(Br)×磁性層厚み(δ)が、5〜100mT・μm
であるのが好ましい。100mT・μmを超えるとMR
ヘッドの飽和が発生しやすいので好ましくない。
【0060】本発明で使用される支持体には特に制限は
なく、通常使用されているものを用いることができる。
支持体を形成する素材の例としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカー
ボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポ
リアミドイミド、ポリイミド、ポリサルホン、ポリエー
テルサルホン等の各種合成樹脂のフィルム、及びアルミ
ニウム箔、ステンレス箔等の金属箔を挙げることができ
る。
【0061】本発明の目的を有効に達成するには、支持
体の表面粗さは、中心線平均表面粗さRa(カットオフ
値0.25mm)で0.03μm以下であるのが望まし
く、より望ましく0.02μm以下、更に望ましく0.
01μm以下である。また、これらの支持体は単に前記
中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上
の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状
は、必要に応じて支持体に添加されるフィラ−の大きさ
と量により自由にコントロ−ルされるものである。これ
らのフィラ−の一例としては、Ca、Al、Si、Ti
等の酸化物や炭酸塩の他、アクリル系等の有機樹脂微粉
末が挙げられる。本発明に用いられる支持体のウエブ走
行方向のF−5値は、好ましくは5〜50Kg/mm2
(49〜490MPa)、ウエブ幅方向のF−5値は好
ましくは3〜30Kg/mm2(29.4〜294MP
a)であり、ウエブ長手方向のF−5値がウエブ幅方向
のF−5値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の
強度を高くする必要があるときはその限りでない。
【0062】また、支持体のウエブ走行方向及び幅方向
の100℃、30分での熱収縮率は、好ましくは3%以
下、更に望ましくは1.5%以下であり、80℃、30
分での熱収縮率は、好ましくは1%以下、更に望ましく
は0.5%以下である。破断強度は両方向とも5〜10
0Kg/mm2(49〜980MPa)、弾性率は10
0〜2000Kg/mm2(980〜19600MP
a)が望ましい。
【0063】本発明の磁気記録媒体を構成する磁性層及
び非磁性層には通常有機溶媒が使用されるが、使用され
得る有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等の
ケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、イソブチルアルコ−ル、イソプロピルアルコ
ール、メチルシクロヘキサノール、等のアルコ−ル類、
酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプ
ロピル、乳酸エチル、酢酸グリコ−ル等のエステル類、
グリコージメチルエーテル、グリコールモノエチルエー
テル、ジオキサン、等のグリコールエーテル系、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼ
ン、等の芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチ
レンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレン
クロルヒドリン、ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水
素類、N、N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等が挙
げられ、これら有機溶媒を任意の比率で組み合わせて用
いることができる。これら有機溶媒は必ずしも100%
純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応
物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれていても
よい。これらの不純分は、30%以下であるのが好まし
く、更に好ましくは10%以下である。本発明で用いる
有機溶媒は必要ならば各層でその種類、量を変えてもよ
い。非磁性層に揮発性の高い溶媒を用いて、表面性を向
上させる、非磁性層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキ
サノン、ジオキサン等)を用い塗布の安定性をあげる、
磁性層に溶解性パラメ−タの高い溶媒を用い充填度を上
げる等がその例として挙げられるが、これらの例に限ら
れたものではないことは無論である。尚、磁性層の六方
晶系フェライト磁性粉の充填度は、使用した六方晶系フ
ェライト磁性粉のσs及び最大磁束密度(Bm)から計
算でき(Bm/4πσs)となり、本発明においてはそ
の値は、望ましくは1.1〜3.2g/cm3であり、
更に望ましくは1.2〜3.0g/cm3である。
【0064】本発明の磁気記録媒体は、支持体上に設け
られた非磁性粉末と結合剤樹脂からなる非磁性層の上
に、前記強磁性粉末と結合剤樹脂、及び必要ならば他の
添加剤と共に有機溶媒を用いて混練分散し、磁性塗料を
塗布し、必要に応じて配向、乾燥して得られる。
【0065】本発明の磁気記録媒体の磁性層を形成し得
る磁性塗料、あるいは非磁性層を形成し得る非磁性塗料
を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、及
びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程か
らなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に別れていて
もよい。本発明に使用する磁性粉末、非磁性粉末、結合
剤樹脂、カ−ボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑
剤、溶剤等全ての原料は、どの工程の最初又は途中で添
加してもよい。また、個々の原料を2つ以上の工程で分
割して添加してもよい。例えば、ポリウレタンを混練工
程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分
割して投入してもよい。
【0066】磁性塗料の混練分散に当たっては各種の混
練機が使用される。例えば、二本ロールミル、三本ロー
ルミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンド
グラインダー、ゼグバリ(Szegvari)、アトラ
イター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高
速衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、ホ
モジナイザー、超音波分散機等を用いることができる。
【0067】混練工程では連続ニーダや加圧ニーダ等強
い混練力をもつものを使用することが、磁気記録媒体の
高いBrを得る上で好ましい。連続ニ−ダ又は加圧ニ−
ダを用いる場合は磁性粉と結合剤樹脂の全て又はその一
部(ただし全結合剤樹脂の30%以上が好ましい)、及
びその他の必要な添加剤を加え、更に有機溶剤を磁性粉
100質量部に対し15〜500質量部の範囲で混練処
理される。これらの混練処理の詳細については特開平1
−106338号公報、特開昭64−79274号公報
に記載されている。本発明では、特開昭62−2129
3号公報に示されるような同時重層塗布方式を用いるこ
とによりより効率的に生産することが出来る。
【0068】上述のように支持体上に複数の塗布層を形
成させることは、高記録密度の磁気記録媒体を製造する
うえで有効であり、同時塗布方式は超薄層の磁性層を作
り出すことができるので特に優れている。その同時塗布
方式、即ち、ウェット・オン・ウェット方式の具体的な
方法としては、
【0069】(1)磁性塗料で一般的に用いられるグラ
ビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージ
ョン塗布装置によりまず下層を塗布し、その層がまだ湿
潤状態にあるうちに、例えば、特公平1−46186号
公報、特開昭60−238179号公報及び特開平2−
265672号公報に開示されている、支持体加圧型エ
クストルージョン塗布装置により上層を塗布する方法、
【0070】(2)特開昭63−88080号公報、特
開平2−17971号公報及び特開平2−265672
号公報に開示されているような、塗布液通液スリットを
二つ内蔵した塗布ヘッドにより、下層の塗布液及び上層
の塗布液をほぼ同時に塗布する方法、
【0071】(3)特開平2−174965号公報に開
示されている、バックアップロール付きエクストルージ
ョン塗布装置により、上層及び下層をほぼ同時に塗布す
る方法、等が挙げられる。
【0072】ウェット・オン・ウェット方式で塗布する
場合、磁性層用塗布液と非磁性層用塗布液の流動特性は
できるだけ近い方が、塗布された磁性層と非磁性層の界
面の乱れがなく厚さが均一な厚み変動の少ない磁性層を
得ることができる。塗布液の流動特性は、塗布液中の粉
末粒子と結合剤樹脂の組み合わせに強く依存するので、
特に、非磁性層に使用する非磁性粉末の選択に留意する
必要がある。
【0073】本発明の磁気記録媒体の磁性層中に含まれ
る残留溶媒は、好ましくは100mg/m2以下、更に
好ましくは10mg/m2以下であり、磁性層に含まれ
る残留溶媒が非磁性層に含まれる残留溶媒より少ないほ
うが好ましい。
【0074】磁性層及び非磁性層が有する空隙率は、い
ずれも好ましくは30容量%以下、更に好ましくは10
容量%以下である。非磁性層の空隙率が磁性層の空隙率
より大きいほうが好ましいが、非磁性層の空隙率が5容
量%以上であれば小さくてもよい。
【0075】本発明は、目的に応じ非磁性層と磁性層で
これらの物理特性を変えることができるのは容易に推定
されることである。例えば、磁性層の弾性率を高くし走
行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性
層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くす
る等である。
【0076】このような方法により、支持体上に塗布さ
れた磁性層等は必要により層中の強磁性粉末を配向させ
る処理を施した後、形成した磁性層を乾燥する。又必要
により表面平滑化加工を施したり、所望の形状に裁断し
たりして、本発明の磁気記録媒体を製造する。
【0077】磁性層の0.5%伸びでの弾性率は、ウエ
ブ塗布方向、幅方向とも望ましくは100〜2000K
g/mm2(980〜19600MPa)、破断強度
は、望ましくは1〜30Kg/mm2(9.8〜294
MPa)、磁気記録媒体の弾性率は、ウエブ塗布方向、
幅方向とも望ましくは100〜1500Kg/mm
2(980〜14700MPa)、残留のびは、望まし
くは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱
収縮率は、望ましくは1%以下、更に望ましくは0.5
%以下、最も望ましくは0.1%以下である。
【0078】本発明の磁気記録媒体は、ビデオ用途、コ
ンピューターのバックアップ用途等のテープであって
も、データー記録用途のフロッピー(登録商標)ディス
クや磁気ディスクであってもよいが、ドロップアウトの
発生による信号の欠落が致命的となるデジタル記録用途
の媒体に対しては特に有効である。更に、非磁性層と磁
性層の重層構成で、磁性層の厚さを0.5μm以下とす
ることにより、電磁変換特性が高い、オーバーライト特
性が優れた、高密度で大容量の磁気記録媒体を得ること
ができる。本発明の新規な特長を以下の実施例で具体的
に説明する。
【0079】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 <六方晶系フェライト磁性粉A−1の生成>六方晶系フ
ェライト製造原料として、各種の化合物を酸化物換算で
以下の様に秤量した。
【0080】 B23 4.7モル BaCO3 10.0モル Fe23 10.8モル CoCO3 0.54モル ZnO 0.50モル Nb25 0.12モル
【0081】B23を除く組成物を120℃のクエン酸
に溶解させ、約200℃に保ち原料を均一に混合させ、
450℃で加水分解した。さらに空気中600℃で焼成
し遊離の炭素を除去した。B23を加え、粉末ミキサー
にて十分混合した後、攪拌機の付属したPt−Rh製ル
ツボに入れ1300〜1350℃で2時間溶融し、回転
しているステンレス製冷却双ロール間に噴出させて非晶
質体を得て,粉砕処理を行った後、850℃に保持した
電気炉中にただちに搬送し3時間保持した。その後,室
温の金属製ホッパーに処理物を投入し,冷却し結晶粉末
を得た。該結晶粉末を遊星ミルにより粉砕し2mol/
lの酢酸水溶液に浸漬し、80℃、5時間保持しガラス
成分を除去し、ろ別し微結晶を回収した。回収した微結
晶300gを多量のイオン交換水で水洗し、脱水した
後、乾燥しないで、3000mlのイオン交換水に分散
させてスラリーとし、アミノフェニルホスホン酸を磁性
体に対して0.3mol/kgの量添加し、攪拌、混
合、ろ別し、脱水した後100℃で乾燥させ、更にマ−
ラ−にて圧密処理を行い、六方晶系フェライト磁性粉A
−1を得た。
【0082】実施例2〜3 <六方晶系フェライト磁性粉A−2〜3の生成>実施例
1において、有機リン化合物及びその使用量を表1に記
載した内容に変更した以外は、実施例1と同様にして六
方晶系フェライト磁性粉A−2〜3を得た。 実施例4 <六方晶系フェライト磁性粉A−4の生成>実施例1に
おけるアミノフェニルホスホン酸が添加されるスラリー
に、さらにAlを含む塩化物を、磁性粉100質量部に
対して、Al/Feが4原子%になる部数調合して上記
スラリーに添加した。スラリーを十分撹拌した後、前記
の塩化物に対して2倍当量のアンモニア水を添加し、磁
性粉表面上にAlの水酸化物を沈着させた。得られた沈
殿物を、濾別、水洗し脱水した後、回収した磁性粉30
0gを多量のイオン交換水で水洗し、脱水した後、乾燥
しないで、3000mlのイオン交換水に分散させてス
ラリーとし、ヒドロキシエチルフェニルホスホン酸を磁
性体に対して0.2mol/kgの量添加し、攪拌、混
合、ろ別し、脱水した後100℃で乾燥させ、更にマ−
ラ−にて圧密処理を行い、六方晶系フェライト磁性粉A
−4を得た。上記有機リン化合物の処理に付される強磁
性粉末を乾燥後、X線回折法で解析するとマグネトプラ
ンバイト構造を示した。この強磁性粉末を透過型電子顕
微鏡観察し、平均粉体サイズを測定した。窒素中250
℃で30分脱気処理し、BET法で比表面積を測定し
た。磁気特性は振動試料型磁力計(東英工業製)を使用
して印加磁界800kA/mで測定した。得られたバリ
ウムフェライトの特性を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】 <塗料の作製> 磁性液処方 バリウムフェライト(磁性粉表2に示す) 100部 結合剤樹脂 塩化ビニル共重合体 12部 (−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度 300) ポリエステルポリウレタン樹脂 4部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1、−SO3Na基:1×10-4eq/g含有) α−アルミナ(平均粒子径:0.15μm) 2部 カ−ボンブラック(平均粒子径:7nm) 5部 ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトン 125部 シクロヘキサノン 125部
【0085】 非磁性液処方 針状ヘマタイト 80部 (BET法による比表面積:55m2/g、 平均長軸長:0.10μm、平均針状比:7、 pH:8.8、アルミ処理:Al23として1質量%) カーボンブラック 20部 (平均粒子径:17nm、 DBP及油量:80ml/100g、 BET法による表面積:240m2/g、pH7.5) 結合剤樹脂 塩化ビニル共重合体 12部 (−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度 300) ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1、−SO3Na基:1×10-4eq/g含有) フェニルフォスフォン酸 3部 ブチルステアレート 3部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトン 125部 シクロヘキサノン 125部
【0086】上記の磁性液処方について、顔料、ポリ塩
化ビニル、と処方量の50質量%の各溶剤をニーダーで
混練したのち、ポリウレタン樹脂と残りの成分を加えて
サンドグラインダーで分散した。得られた分散液にイソ
シアネート14部を加え、さらにシクロヘキサノン30
部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用い
て濾過し、磁性層形成用の塗布液を調製した。上記の非
磁性液処方について、顔料、ポリ塩化ビニル、フェニル
フォスフォン酸と処方量の50質量%の各溶剤をニーダ
ーで混練したのち、ポリウレタン樹脂と残りの成分を加
えてサンドグラインダーで分散した。得られた分散液に
イソシアネートを15部加え、さらにそれぞれにシクロ
ヘキサノン30部を加え、1μmの平均孔径を有するフ
ィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用の塗布液を調
製した。
【0087】<テープの作成;実施例11〜14,比較
例1>得られた下層非磁性層用の塗布液1を厚さ7μm
のポリエチレンテレフタレート支持体上に乾燥後の厚さ
が1.5μmとなるように塗布し、さらにその直後下層
非磁性層用塗布層がまだ湿潤状態にあるうちに、磁性液
処方の塗布量を制御することで所定の磁性層厚みとなる
ように湿式同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態に
あるうちに、希土類磁石(表面磁束500mT)を通過
させた後、ソレノイド磁石(磁束密度500mT)中を
通過させ、ソレノイド内で配向が戻らない程度まで乾燥
しさらに磁性層を乾燥し巻き取った。その後金属ロール
より構成される7段カレンダーでロール温度を90℃に
してカレンダー処理を施して、ウェッブ状の磁気記録媒
体を得、それを1/2インチ幅にスリットして1/2イ
ンチビデオテープのサンプルを作成した。尚、比較例1
は六方晶系フェライト磁性粉A−1で有機リン化合物処
理を施していないものを用いた。得られたテープについ
て、抗磁力Hc、角型比SQ、SFD、磁性層厚δ、残
留磁束密度×磁性層厚み(Br・δ)、表面粗さ、摩擦
係数、出力、スチル耐久性、ヘッド汚れを測定して、評
価した。結果を表2に示す。
【0088】<テープの評価> 1.出力 デジタルビデオテープレコーダ(ソニー製DVW50
0、磁気ヘッドと磁気テープとの相対速度22.9m/
秒)を用い、32.5MHzの信号を記録しその再生出
力を21℃50%の環境で測定した。比較例1を0dB
としたときの相対値で示す。 2.摩擦係数 直径4mmのステンレス棒(SUS420J)に巻き付
け角180゜で試料テープを巻き付けて、23℃70%
の条件で、荷重:50g(T1)、速度:3.3cm/
秒の速度で100mmの長さを1パスまたは100パス
走行後の張力(T2)を測定し、下式で摩擦係数を求め
た。 摩擦係数μ=1/π・ln(T2/T1) μ1は1パス走行後の摩擦係数、μ100は100パス
走行後の摩擦係数を各々示す。 3.スチル耐久性 デジタルビデオテープレコーダ(ソニー製DVW50
0)を用い、40℃20%でスチル状態にし、初期出力
から−6dBとなるまでの時間を測定した。 4.ヘッド汚れ デジタルビデオテープレコーダ(ソニー製DVW50
0)を用い、23℃10%の条件で120分長を100
パス繰り返し走行させたときのヘッド汚れを顕微鏡で観
察した。 5.表面粗さ 表面粗さは、WYKO社(USアリゾナ州)製の光干渉
3次元粗さ計「TOPO−3D」を使用し250μm角
の試料面積を測定した。測定値の算出にあたっては、傾
斜補正、球面補正、円筒補正等の補正をJIS−B60
1に従って実施し、中心面平均粗さRaを表面粗さの値
とした。 6.磁気特性 磁気特性は振動試料型磁力計(東英工業製)を使用し外
部磁界800kA/mで配向方向に平行に測定した。
【0089】
【表2】
【0090】表2から明らかなように、本発明の磁気記
録媒体は出力が高く、かつ摩擦係数が低く良好な走行性
を有し、スチル耐久性やヘッド汚れが良好であり、優れ
た走行耐久性を示していることが分かる。一方、本発明
の有機リン化合物処理が施されていない強磁性粉末を用
いた比較例1は出力、走行耐久性が劣る結果であった。
【0091】
【発明の効果】本発明の方法で得られた六方晶系フェラ
イトを用いた磁気記録媒体の磁性層は、極性基を有する
バインダ−との親和性も良好で、分散性が向上し、表面
平滑性、出力、S/Nも優れる。またその電磁変換特性
において、汚れ付着に起因するDO、MP(ミッシング
パルス)が少なくなることが期待できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均板径が10〜40nmで、かつ抗磁
    力Hcが135〜400kA/mである六方晶系フェラ
    イト粉末をスラリー状態で、かつ2価の有機基の一端に
    リン酸に由来する基を有し、他端にアミノ基またはアル
    コール性水酸基を有する基からなる有機リン化合物で処
    理する工程を有することを特徴とする六方晶系フェライ
    ト粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 支持体上に強磁性粉末を有する磁性層を
    設けた磁気記録媒体において、前記強磁性粉末が請求項
    1記載の方法で得られた六方晶系フェライト粉末である
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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