JP2006120823A - 六方晶フェライト磁性粉末、その製造方法および磁気記録媒体 - Google Patents

六方晶フェライト磁性粉末、その製造方法および磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 粒度分布が良好である微粒子の六方晶フェライト磁性粉末およびその製造方法を提供することと、該六方晶フェライト磁性粉末を磁性層の成分として用いた、MRヘッドを使用して再生したとき短波長出力が高く、媒体ノイズが低い磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】 六方晶フェライト生成原料を溶融し、急冷して非晶質体を得る工程と、前記非晶質体を熱処理し六方晶フェライトを析出させる工程とを有する六方晶フェライト磁性粉末を製造する方法において、前記熱処理が、前記非晶質体をレーザー加熱する処理である製造方法。該製造方法により得られた、平均板径が10〜30nm、平均板径および平均板厚の変動係数が10〜25%、およびHcが135〜400kA/mであることを特徴とする六方晶フェライト磁性粉末。該六方晶フェライト磁性粉末を磁性層に含む磁気記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は六方晶フェライト磁性粉末、その製造方法に関するものであり、詳しくは、粒度分布が良好である微粒子の六方晶フェライト磁性粉末およびその製造方法に関するものである。また本発明は、該六方晶フェライト磁性粉末を磁性層の成分として用いた、磁気抵抗効果型素子(MR素子)を利用した再生ヘッド(以下MRヘッドという)を有するシステムにとくに好適である磁気記録媒体に関するものである。
従来、ビデオテープ、オ−ディオテープ、コンピューター用テープ、フレキシブルディスク等の磁気記録媒体としては、強磁性酸化鉄、Co変性強磁性酸化鉄、CrO2、強磁性金属粉末、六方晶フェライト等を結合剤中に分散した磁性層を支持体に塗設したものが広く用いられる。この中でも六方晶フェライトは高密度記録特性に優れている事が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献4には、サブミクロン領域での高記録密度化を達成可能ならしめる磁気テープを提供することを目的として、六方晶フェライトを用いた磁性層の厚みを0.1〜0.6μmとし、磁性層と支持体の間に磁性層より厚い非磁性層を設けた磁気テープが開示されている。特許文献5には、高域特性に優れ、オーバーライト特性、耐候性の良好な磁気記録媒体を提供することを目的として、非磁性支持体上に、非磁性酸化物、非磁性窒化物、非磁性炭化物及び非磁性硫酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の非磁性粉を含有する非磁性層と、六方晶フェライト磁性粉を含有する磁性層とをこの順に積層してなる磁気記録媒体が開示されている。
最近、コンピュ−タ−用デ−タ記録システムには、MRヘッドが使用されるようになり、システムノイズは磁気記録媒体に由来するノイズに支配されている。特許文献6には、MRヘッドによって情報が再生される磁気記録媒体において、磁性層として六方晶フェライト磁性粉末を結合剤樹脂中に分散し、表面粗さ(Ra)が10nm以下である磁気記録媒体が提案されている。また媒体ノイズを低減するため強磁性粉末の微細化が進められているが、強磁性粉末の微細化にともない熱揺らぎの影響を受け、磁化遷移領域の安定性が問題となることが推定されている。磁化の安定性は、KuV/kT(Kuは磁気異方性定数、Vは粒子体積、kはボルツマン定数、Tは絶対温度)で評価されている。メタルテープの粒子体積と熱揺らぎに関しては非特許文献1に、Baフェライト媒体と熱揺らぎについては、非特許文献2に報告されている。
六方晶フェライトは飽和磁化が強磁性金属粉末の約1/3〜1/2であるので、Kuを大きくすることが難しく熱揺らぎの影響は大きくなる。さらに、六方晶フェライトを用いた磁気記録媒体は粒子間の相互作用が大きく、媒体のノイズレベルに影響すると言われている。粒子間の相互作用が大きいと磁化の安定性が優れるといわれているが、なんらかの原因で粒子が磁化反転すると周囲の磁性体もひきずられて磁化反転する可能性がある。そのためか粉体サイズを微細にした六方晶系フェライト粉末を用いて作成した高密度記録用媒体は、MRヘッドで再生したとき、C/Nを十分に確保することが困難であるという問題があった。
六方晶フェライト磁性粉末の製法としてはガラス結晶化法、共沈法、水熱反応法等があるが、いずれの方法でも磁気記録媒体のノイズを低下させるために,使用される強磁性粉末を微細化しかつ粒度分布を小さくすることが絶えず指向されている。例えば、特許文献7および8には、六方晶フェライトの粒度分布を小さくするため核発生と成長反応を分離することが試みられている。また特許文献9および10には、ガラス化結晶法において、フレーク状の非晶質体サイズ、厚み、加熱温度等を規定し、その条件で結晶化し、特性が均一な六方晶フェライトを得ることが提案されている。しかしながら、目的とする粒子サイズが小さくなるにつれ、フレーク状の非晶質体全体を均一加熱すると核生成と成長を分離することが困難となり、従来の条件では所望の高密度記録が達成できる粒度分布が良好な微粒子の六方晶フェライトを生成することができない。
特開昭60−157719号公報 特開昭62−109226号公報 特開平3−280215号公報 特開平5−12650号公報 特開平5−225547号公報 特開平7−182646号公報 特開昭59−151339号公報 特開平10−92618号公報 特開昭58−42203号公報 特開昭60−262403号公報 鈴木俊行ら、信学技報MR97−55 P33−40 1997.11.21 鈴木俊行ら、信学技報MR2000−45 2000.11.14)
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、粒度分布が良好である微粒子の六方晶フェライト磁性粉末およびその製造方法を提供することである。
また本発明の別の目的は、該六方晶フェライト磁性粉末を磁性層の成分として用いた、MRヘッドを使用して再生したとき短波長出力が高く、媒体ノイズが低い磁気記録媒体を提供することである。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ガラス化結晶法により六方晶フェライトを製造するに際し、非晶質体を熱処理し六方晶フェライトを析出させる工程で、従来の電気炉による熱処理にかわりレーザー加熱を採用することにより、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1)六方晶フェライト生成原料を溶融し、急冷して非晶質体を得る工程と、前記非晶質体を熱処理し六方晶フェライトを析出させる工程とを有する六方晶フェライト磁性粉末を製造する方法において、前記熱処理が、前記非晶質体をレーザー加熱する処理であることを特徴とする六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
2)前記レーザーのパルス幅が10フェムト秒〜10ピコ秒であることを特徴とする上記1)に記載の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
3)上記1)または2)に記載の製造方法により得られた、平均板径が10〜30nm、板径および板厚の変動係数が10〜25%、およびHcが135〜400kA/mであることを特徴とする六方晶フェライト磁性粉末。
4)支持体上に強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を少なくとも設けた磁気記録媒体において、前記強磁性粉末が、上記3)に記載の六方晶フェライト磁性粉末を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
5)前記支持体と前記磁性層との間に、非磁性粉末を結合剤中に分散してなる非磁性層を設けたことを特徴とする上記4)に記載の磁気記録媒体。
本発明によれば、ガラス化結晶法により六方晶フェライトを製造するに際し、非晶質体を熱処理し六方晶フェライトを析出させる工程で、レーザー加熱を採用したことにより、粒度分布が良好である微粒子の六方晶フェライト磁性粉末を製造することができる。
また本発明によれば、当該六方晶フェライト磁性粉末を磁性層の成分として用いることにより、MRヘッドを使用して再生したとき短波長出力が高く、媒体ノイズが低い磁気記録媒体を提供することができる。
以下、本発明をさらに説明する。
本発明における六方晶フェライト磁性粉末は、ガラス結晶化法、すなわち六方晶フェライト生成原料を溶融し、急冷して非晶質体を得る工程と、前記非晶質体を熱処理し六方晶フェライトを析出させる工程とを有する方法により製造され、前記非晶質体がレーザー加熱されることを特徴としている。なお、六方晶フェライト生成原料は、所望のフェライト組成になるように適宜選択すればよく、例えば炭酸バリウム、酸化鉄、鉄を置換する金属酸化物、ガラス形成物質としてホウ酸等の混合物が挙げられる。また、前記原料の溶融工程は、例えば温度1250〜1450℃、好ましくは1300〜1400℃で行う。急冷工程は、公知の方法、例えば高速回転させた水冷双ローラー上に溶融物を注いで圧延急冷すればよい。なお、冷却速度を大きくすれば、元素が均一に分布した非晶質体が得られ、好ましい。
本発明におけるレーザー加熱は、フレーク状の非晶質体に行うのが好ましい。具体的には、例えばフレーク状の非晶質体の固有吸収に一致しない波長のパルスレーザーを、対物レンズ等を通してフレーク状の非晶質体に集光照射し、照射部の多光子吸収過程を経て、フレーク状の非晶質体にレーザーエネルギーを伝達する。フレーク状の非晶質体の固有吸収に一致しない波長を採用する理由は、もし一致する波長を用いると、レーザーのエネルギーがフレーク状の非晶質体表面で吸収されてしまい、非晶質体内部に結晶領域を形成させることができないからである。パルスレーザーのパルス幅、照射エネルギーや繰り返し周波数を調整することで、フレーク状の非晶質体内に六方晶フェライトを結晶化させることができる。
なお、通常、光が吸収される場合には材料の吸収波長と光の波長とが一致する必要があり、吸収波長と光の波長とが一致している場合、1光子でエネルギーは材料に吸収される。しかし、前記のように吸収波長と光の波長とが一致していない場合でも2光子、または3光子とすることで光エネルギーを材料に吸収させることができ、これが多光子吸収である。
フレーク状の非晶質体内部は周囲がガラス質に囲まれていることから、レーザー照射により生じる熱エネルギーを熱伝導として損失されるよりもはるかに短時間で蓄積させた場合、照射部は周囲にくらべ高温、高圧状態になる。準安定不混和相が存在するフレーク状の非晶質体にパルスレーザーを集光照射した場合、多光子吸収過程を経て照射部のみにレーザーエネルギーが伝達し、照射部の中心付近ではガラスが融液状態となり、六方晶フェライトが結晶化する条件にすることができる。
照射レーザーのパルス幅、パルスエネルギーや繰り返し周波数は、照射部の中心領域が融液化され、結晶化が可能であるだけのエネルギーがフレーク状の非晶質体に供給され、かつ結晶が成長するのに必要な熱蓄積が得られれば特に限定されるものではないが、フレーク状の非晶質体が絶縁破壊を起こしクラック等が発生しないようにするために、レーザーのパルス幅は10ピコ秒以下であることが望ましい。しかし、10フェムト秒より短いとパルス幅の維持が困難であり、現実的ではない。パルス幅が10ピコ秒より長いと、結晶化に必要なピークエネルギーのパルスレーザー光を固体材料内部に集光照射した際、熱衝撃により材料自体を破損してしまうおそれがある。結晶領域のサイズや結晶速度は、照射レーザーのパルス幅、パルスエネルギーや繰り返し周波数を変化させることにより制御可能である。なお照射される非晶質体の厚みが薄く、非晶質体が破損しない場合、10ピコ秒より長い波長も使用できる。さらに好ましいパルス幅は、20フェムト秒〜1ピコ秒である。
また、フレーク状の非晶質体を予め結晶化が起こらない温度まで加熱した状態で、パルスレーザーを集光照射することで、低出力のパルスレーザーでの局所結晶化が可能となり、同時に結晶速度を速くすることが可能である。このため、フレーク状の非晶質体厚みを薄くすることが効果的で、フレーク厚みは20〜50μm、さらに好ましくは20〜40μmである。
結晶化が完了した後は、加熱下酸処理することにより、余分なガラス成分を除去し、水洗し、乾燥することにより、本発明の六方晶フェライト磁性粉末が得られる。
次に前記のようにして得られた六方晶フェライト磁性粉末について説明する。なお、当該六方晶フェライト磁性粉末は、下記で説明する結合剤中に分散し、これを支持体上に塗布することにより、磁気記録媒体における磁性層(後述に下層を設けた場合は、上層ともいう)に用いることができる。
本発明の磁性層に含まれる六方晶フェライト磁性粉末としてバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライト、及びそれらのCo等の置換体等が挙げられる。具体的にはマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト、更に一部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げられ、その他所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、W、Re、Au、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Nb、Co−Ti−Zn、Co−Zn−Nb、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn、Ni−Ti、Zn−Ti、Zn−Ni等の元素を添加した物を使用することができる。SFDの観点からは、純粋なマグネトプランバイト型フェライトの方が、スピネル層を多く含む複合型フェライトよりも好ましい。抗磁力(Hc)を制御するためには、組成、粒子径、粒子厚を制御する、六方晶フェライトのスピネル相の厚みを制御する、スピネル相の置換元素の量を制御する、スピネル相の置換サイトの場所を制御する、などの方法がある。
なお本発明で製造されるとくに好適な六方晶フェライト磁性粉末は、マグネトプランバイト型(M型)構造のBaFe1219、W型構造のBaMe2Fe1627(Meは置換元素)、あるいはそれらの原子の一部が他の元素で置換された六方晶フェライトであり、最適にはM型構造のBaFe1219、あるいはそれらの原子の一部が他の元素で置換された六方晶フェライト磁性粉末である。
本発明で製造される六方晶フェライト磁性粉末は、通常六角板状の粉体であり、そのサイズは以下のようにして測定する。
本明細書において、六方晶フェライト磁性粉末のような種々の粉体のサイズ(以下、「粉体サイズ」と言う)は、高分解能透過型電子顕微鏡写真より求められる。即ち、粉体サイズは、(1)粉体の形状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、(2)六方晶系フェライト磁性粉のように粉体の形状が板状乃至柱状(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径、即ち板径で表され、(3)粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、約350個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義(1)の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、(長軸長/短軸長)の値の算術平均を平均針状比という。尚、短軸長とは長軸に直行する軸で最大のものをいう。同定義(2)の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(板径/板厚)の算術平均を平均板状比という。ここで、板厚とは厚さ乃至高さである。同定義(3)の場合は平均粉体サイズを平均粒子径という。粉体サイズ測定において、標準偏差/平均値をパーセント表示したものを変動係数と定義する。
本発明において六方晶フェライト磁性粉末の平均板径は10〜30nm、好ましくは15〜30nmの範囲である。また、該磁性粉末の平均板厚は通常、2〜15nmであるが特に4〜10nmが好ましい。平均板径および平均板厚の変動係数は小さいことが好ましく、10〜25%が好ましい。さらに好ましくは、10〜20%である。更に平均板状比は好ましくは1.5〜4であり、更に好ましくは2〜3.8である。平均板径が10nm未満のとき、高比表面積となり、分散が困難となるため好ましくない。また、これら六方晶フェライト磁性粉末のBET法による比表面積(SBET)は通常40〜150m2/gであるが、40〜120m2/gが好ましい。40m2/gに満たないと粒子間の引力が大きく、スタッキングを解消することが困難となりノイズが高くなり、150m2/gを超えると分散が困難となり表面性が得にくく好ましくない。含水率は0.3〜2.0%とするのが好ましい。結合剤の種類によって該磁性粉末の含水率は最適化するのが好ましい。磁性粉末は必要に応じ、Al、Si、P、Zr、Mgまたはこれらの酸化物や水酸化物などで表面処理を施してもかまわない。好ましくはAl23・nH2OまたはSiO2・nH2Oによる表面処理であり、用いる結合剤によってその量と比率を変えることが好ましい。その量は該磁性粉末に対し0.1〜10質量%であり、このような表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。必要に応じ、カップリング剤で処理してもよく、さらに特開平12−138115号公報、特開平12−200714号公報に記載された処理を付加することも好ましい。また特開2002−298333号公報に記載されたように、六方晶フェライトを回収するとき特定のpKaを有する極性官能基を有する有機物を共存させ、六方晶フェライトのスタッキングを防止することが好ましい。該磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Sr、Baなどの無機イオンを含む場合があるが合計量は少ないほうが好ましい。例えば、0〜100ppm程度であれば特に特性に影響を与えない。Hcは135〜400kA/m、好ましくは150〜400kA/m、飽和磁化σsは35A・m2/kg以上、好ましくは40A・m2/kg以上である。タップ密度は0.5g/ml以上が好ましく、0.8g/ml以上がさらに好ましい。またMr・δ(残留磁化×磁性層厚)は、0.5〜100mT・μmが好ましい。
本発明の磁気記録媒体における磁性層の結合剤は、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用できる。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1000〜200000、好ましくは10000〜100000、重合度が約50〜1000程度のものである。
このような結合剤としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラ−ル、ビニルアセタ−ル、ビニルエ−テル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。
また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコ−ン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネ−トプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリオ−ルとポリイソシアネ−トの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。
前記の結合剤に、より優れた強磁性粉末の分散効果と磁性層の耐久性を得るためには必要に応じ、COOM,SO3M、OSO3M、P=O(OM)2、O−P=O(OM)2、(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)、OH、NR2、N+3(Rはアルキル基,アルケニル基,アシル基,アリル基)、エポキシ基、SH、CNなどから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
本発明の磁気記録媒体に用いられる結合剤は、強磁性粉末に対し、5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で用いられる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜100質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜50質量%、ポリイソシアネ−トは2〜100質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いるのが好ましい。
また、磁性層の六方晶フェライト磁性粉末の充填度は、使用した六方晶フェライト磁性粉末のσs及び最大磁束密度(Bm)から計算でき(Bm/4πσs)となり、本発明においてはその値は、望ましくは1.1〜3.2g/cm3であり、更に望ましくは1.2〜3.0g/cm3である。
本発明において、ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.49〜98MPa、降伏点は0.49〜98MPaが好ましい。
本発明にもちいるポリイソシアネ−トとしては、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタントリイソシアネ−ト等のイソシアネ−ト類、また、これらのイソシアネ−ト類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネ−ト等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネ−トHL、コロネ−ト2030、コロネ−ト2031、ミリオネ−トMRミリオネ−トMTL、武田薬品社製、タケネ−トD−102、タケネ−トD−110N、タケネ−トD−200、タケネ−トD−202、住友バイエル社製、デスモジュ−ルL、デスモジュ−ルIL、デスモジュ−ルN、デスモジュ−ルHL、等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せでもちいることができる。
本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、通常、潤滑剤、研磨剤、分散剤、帯電防止剤、分散剤、可塑剤、防黴剤等などを始めとする種々の機能を有する素材をその目的に応じて含有させることができる。
本発明の磁性層に使用する潤滑剤としては、ジアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシは炭素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは炭素数1〜4個)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)などのシリコンオイル;グラファイト等の導電性微粉末;二硫化モリブデン、二硫化タングステンなどの無機粉末;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン塩化ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のプラスチック微粉末;α−オレフィン重合物;常温で固体の飽和脂肪酸(炭素数10から22);常温で液状の不飽和脂肪族炭化水素(n−オレフィン二重結合が末端の炭素に結合した化合物、炭素数約20);炭素数12〜20個の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価のアルコールから成る脂肪酸エステル類、フルオロカーボン類等が使用できる。
上記の中でも飽和脂肪酸と脂肪酸エステルが好ましく、両者を併用することがより好ましい。脂肪酸エステルの原料となるアルコールとしてはエタノール、ブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、2−メチルブチルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、s−ブチルアルコール等の系モノアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ソルビタン誘導体等の多価アルコールが挙げられる。同じく脂肪酸としては酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、アラキン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、パルミトレイン酸等の脂肪族カルボン酸またはこれらの混合物が挙げられる。
脂肪酸エステルとしての具体例は、ブチルステアレート、s−ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレート、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、ブチルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステート、ブチルステアレートとブチルパルミテートの混合物、ブトキシエチルステアレート、2−ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルをステアリン酸でアシル化したもの、ジエチレングリコールジパルミテート、ヘキサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化してジオールとしたもの、グリセリンのオレエート等種々のエステル化合物を挙げることができる。
さらに、磁気記録媒体を高湿度下で使用するときしばしば生ずる脂肪酸エステルの加水分解を軽減するために、原料の脂肪酸及びアルコールの分岐/直鎖、シス/トランス等の異性構造、分岐位置を選択することがなされる。
これらの潤滑剤は結合剤100質量部に対して通常、0.2〜20質量部の範囲で添加される。
潤滑剤としては、更に以下の化合物を使用することもできる。即ち、シリコンオイル、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化ほう素、弗化黒鉛、フッ素アルコール、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステル、二硫化タングステン等である。
本発明の磁性層に用いられる研磨剤としては、一般に使用される材料でα、γアルミナ、溶融アルミナ、コランダム、人造コランダム、炭化珪素、酸化クロム(Cr23)、ダイヤモンド、人造ダイヤモンド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)、αFe23等が使用される。これらの研磨剤はモース硬度が6以上である。具体的な例としては住友化学社製、AKP−10、AKP−15、AKP−20、AKP−30,AKP−50、HIT−50、HIT60A、HIT60G、HIT70、HIT80、HIT82、HIT−100、日本化学工業社製、G5、G7、S−1、酸化クロムK、上村工業社製UB40B、不二見研磨剤社製WA8000、WA10000、LANDS社製LS600F 0/−1/4、東名ダイヤ社製MD−200、MD−150、MD−100、MD−70、IRM 0−1/4F、IRM 0−1/4FF、GE社製 0−1/10、0−1/4、DoPunt社製マイポレックス 1/10QG、同 1/8QG、戸田工業社製TF100、TF140、TF180などが挙げられる。平均粒子径が0.05〜1μmの大きさのものが研磨剤としての良好な効果を奏することができ、好ましくは0.05〜0.5μmである。
研磨剤を単独で使用するだけでなく、2種類以上の研磨剤を併用することも好適で、微粒子ダイヤモンドの場合は他の研磨剤と併用することで、磁性粉末に対する添加量を0.1%程度に減少することができる。これら研磨剤の合計量は磁性粉末100質量部に対して1〜20質量部、望ましくは1〜15質量部の範囲で添加される。1質量部より少ないと十分な耐久性が得られず、20質量部より多すぎると表面性、充填度が劣化する。これら研磨剤は、あらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。
本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、前記非磁性粉末の他に帯電防止剤として導電性粒子を含有することもできる。帯電防止剤としては特に、カーボンブラックを添加することは、媒体全体の表面電気抵抗を下げる点で好ましい。本発明に使用できるカ−ボンブラックはゴム用ファ−ネス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜1500ml/100g、粒子径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/cm3、が好ましい。本発明に用いられるカ−ボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800,700、VULCAN XC−72、旭カ−ボン社製、#80、#60,#55、#50、#35、三菱化学社製、#3030B、#3040B、#3050B、#3230B、#3350B、#9180B、#2700、#2650、#2600、#2400B、#2300、#950B、#900,#1000,#95、#30,#40、#10B、MA230、MA220、MA77、コロンビアンカ−ボン社製、CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50、40,15、ライオンアグゾ社製ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックECDJ−500、ケッチェンブラックECDJ−600などが挙げられる。カ−ボンブラックを分散剤などで表面処理したり、カーボンブラックを酸化処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カ−ボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。磁性層にカ−ボンブラックを使用する場合は強磁性粉末に対する量は0.1〜30質量%でもちいることが好ましい。さらに後述する非磁性層には全非磁性粉末に対し3〜20質量%含有させることが好ましい。
一般的にカ−ボンブラックは帯電防止剤としてだけでなく、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカ−ボンブラックにより異なる。従って本発明に使用されるこれらのカ−ボンブラックは、その種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。使用できるカーボンブラックは例えば「カ−ボンブラック便覧」カ−ボンブラック協会編を参考にすることができる。
本発明の六方晶フェライト磁性粉末を含有する磁性層を含む磁気記録媒体は、支持体と磁性層の間に非磁性層を設ける構成が好ましい。具体的な構成は、特に限定されず、公知の層構成が可能である。非磁性層(下層ともいう)は、非磁性粉末を結合剤中に分散した層が好ましい。その非磁性層に使用される非磁性粉末には、種々のものが使用できる。例えば、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲ−タイト、コランダム、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが単独または組合せで使用される。微細で粒度がそろっているものとして、α−酸化鉄、ゲ−タイト、酸化チタン、酸化亜鉛が好適である。これら非磁性粉末の粒子サイズは0.01〜1μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせることにより、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。使用する結合剤との相互作用を大きくし分散性を改良するために、使用する非磁性粉末が表面処理されていてもよい。表面処理により粒子表面に存在させる物としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物でも、カップリング剤により形成されるものでもよい。タップ密度は0.3〜2g/cm3、含水率は0.1〜5質量%、pHは2〜11、比表面積は5〜100m2/g、が好ましい。前記非磁性粉末の形状は針状、球状、サイコロ状、板状のいずれでも良い。
非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、HIT−80、戸田工業製α−酸化鉄DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPN−550RX、DBN−450BX、DBN−650RX、DAN−850RX、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、チタン工業製酸化チタンSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ製酸化チタンMT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製酸化鉄DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2 P25、宇部興産製100A、500A、及びそれを焼成したものが挙げられる。
上述のように支持体上に複数の塗布層を形成させることは高記録密度の磁気記録媒体を製造するうえで有効であり、同時塗布方式は超薄層の磁性層を作り出すことができるので特に優れている。その同時塗布方式、即ち、ウェット・オン・ウェット方式の具体的な方法としては、
(1)磁性塗料で一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置によりまず下層を塗布し、その層がまだ湿潤状態にあるうちに、例えば、特公平1−46186号公報、特開昭60−238179合公報及び特開平2−265672号公報に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層を塗布する方法、
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報及び特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを二つ内蔵した塗布ヘッドにより、下層の塗布液及び上層の塗布液をほぼ同時に塗布する方法、
(3)特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きエクストルージョン塗布装置により、上層及び下層をほぼ同時に塗布する方法、等が挙げられる。
ウェット・オン・ウェット方式で塗布する場合、磁性層形成用塗布液と非磁性層形成用塗布液の流動特性はできるだけ近い方が、塗布された磁性層と非磁性層の界面の乱れがなく厚さが均一な厚み変動の少ない磁性層を得ることができる。塗布液の流動特性は、塗布液中の粉末粒子と結合剤の組合せに強く依存するので、特に、非磁性層に使用する非磁性粉末の選択に留意する必要がある。磁性層と非磁性層の界面変動を小さくするためには、非磁性下層を形成・乾燥したのち磁性層を形成することも有効である。
磁気記録媒体の支持体は、通常、3〜100μm、テ−プ状で使用する時は望ましくは3〜15μm、フレキシブルディスクとして使用する場合は25〜80μmが好ましく、支持体上に設ける非磁性層は、通常、0.5〜3.0μm、好ましくは0.5〜2.5μmである。磁性層厚みは好ましくは0.01〜0.3μm、更に好ましくは0.05〜0.2μmである。また、前記磁性層及び前記非磁性層以外の他の層を目的に応じて形成することもできる。例えば、支持体と下層の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもかまわない。この厚みは通常、0.01〜0.5μm、好ましくは0.01〜0.2μmである。また、磁性層を担持する面とは反対側の支持体面上にバック層を設けてもかまわない。この厚みは通常、0.1〜1.0μm、好ましくは0.3〜0.8μmである。これらの下塗り層、バック層は公知のものが使用できる。フレキシブルディスクの場合、両面もしくは片面に上記磁性層を含む構成を設けることができる。
本発明で使用される支持体には特に制限はなく、通常使用されているものを用いることができる。支持体を形成する素材の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等の各種合成樹脂のフィルム、およびアルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を挙げることができる。
本発明の目的を有効に達成するには、支持体の表面粗さは、中心面平均表面粗さRa(カットオフ値0.25mm)で0.03μm以下、望ましく0.02μm以下、さらに望ましく0.01μm以下である。また、これらの支持体は単に前記中心面平均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラ−の大きさと量により自由にコントロ−ルされるものである。これらのフィラ−の一例としては、Ca、Al、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機樹脂微粉末があげられる。また磁性層のRaは0.5〜3.0nm、好ましくは0.8〜2.8nmである。本発明に用いられる支持体のウエブ走行方向のF−5値は好ましくは49〜490MPa、ウエブ幅方向のF−5値は好ましくは29.4〜294MPaであり、ウエブ長い手方向のF−5値がウエブ幅方向のF−5値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要があるときはその限りでない。
また、支持体のウエブ走行方向および幅方向の100℃、30分での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに望ましくは1.5%以下、80℃、30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに望ましくは0.5%以下である。破断強度は両方向とも49〜980MPa、弾性率は980〜19600MPaが望ましい。
本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、イソブチルアルコ−ル、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール、などのアルコ−ル類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコ−ル等のエステル類、グリコ−ルジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用できる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。本発明で用いる有機溶媒は必要ならば各層でその種類、量を変えてもかまわない。下層に揮発性の高い溶媒をもちい表面性を向上させる、下層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性をあげる、上層に溶解性パラメ−タの高い溶媒を用い充填度を上げるなどがその例としてあげられるがこれらの例に限られたものではないことは無論である。
本発明の磁気記録媒体は、前記強磁性粉末と結合剤、及び必要ならば他の添加剤と共に有機溶媒を用いて混練分散し、磁性塗料を支持体上に塗布し、必要に応じて配向、乾燥して得られる。
本発明の磁気記録媒体の磁性塗料、非磁性塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カ−ボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
磁性塗料の混練分散に当たっては各種の混練機が使用される。例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、ゼグバリ(Szegvari)、アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機などを用いることができる。
混練工程では連続ニ−ダや加圧ニ−ダなど強い混練力をもつものを使用することが、磁気記録媒体の高いBrを得る上で好ましい。連続ニ−ダまたは加圧ニ−ダを用いる場合は磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)が、磁性粉末100質量部に対し15〜500質量部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開昭64−79274号公報に記載されている。本発明では、特開昭62−212933号公報に示されるような同時重層塗布方式を用いることによりより効率的に生産することが出来る。
本発明の磁気記録媒体の上層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下であり、上層に含まれる残留溶媒が下層に含まれる残留溶媒より少ないほうが好ましい。
空隙率は下層、上層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは10容量%以下である。下層の空隙率が上層の空隙率より大きいほうが好ましいが下層の空隙率が5容量%以上であれば小さくてもかまわない。
本発明は、目的に応じ下層と上層でこれらの物理特性を変えることができるのは容易に推定されることである。例えば、上層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に下層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くするなどである。
このような方法により、支持体上に塗布された磁性層等は必要により層中の強磁性粉末を配向させる処理を施したのち、形成した磁性層を乾燥する。又必要により表面平滑化加工を施したり、所望の形状に裁断したりして、本発明の磁気記録媒体を製造する。
磁性層の0.5%伸びでの弾性率はウエブ塗布方向、幅方向とも望ましくは980〜19600MPa、破断強度は望ましくは98〜2940kPa、磁気記録媒体の弾性率はウエブ塗布方向、幅方向とも望ましくは980〜14700MPa、残留のびは望ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は望ましくは1%以下、さらに望ましくは0.5%以下、もっとも望ましくは0.1%以下である。
本発明の磁気記録媒体は、ビデオ用途、コンピューターのバックアップ用途などのテープであってもデーター記録用途のフロッピーディスクや磁気ディスクであってもよいが、ドロップアウトの発生による信号の欠落が致命的となるデジタル記録用途の媒体に対しては特に有効である。またMRヘッドを有するシステムにとくに好適に用いることができる。更に、非磁性層と磁性層の重層構成で、磁性層の厚さを0.3μm以下とすることにより、電磁変換特性が高い、オーバーライト特性が優れた、高密度で大容量の磁気記録媒体を得ることができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1〜4
<六方晶フェライト磁性粉末の生成>
六方晶フェライト生成原料として、各種の化合物を酸化物換算で以下の様に秤量した。
23 4.7モル
BaCO3 10.0モル
Fe23 11.3モル
CoCO3 0.56モル
ZnO 0.50モル
Nb25 0.12モル
上記の組成物を粉末ミキサーにて十分混合した後、攪拌機の付属したPt−Rh製ルツボ(ノズルつき)に入れ高周波誘導加熱炉で1350℃に加熱溶解して、容器上方よりガス圧を印加し、直径20cm、500rpmで回転しているステンレス製水冷却双ロール間に一定量をノズルより流し込み、急冷しフレーク状の非晶質体(A)を作成した。フレーク状の非晶質体の幅は1〜3mm、厚みは約40μmであった。
Nd−YAGレーザー励起のTiサファイアレーザーから発振されたパルス幅100フェムト秒、繰返し周期(表1に示す)、波長800nm、平均出力60mWのフェムト秒レーザー光を非晶質体(A)に3mm/秒で直線状に移動しつつ照射し、結晶化させた。該結晶粉末を遊星ミルにより粉砕した。粉砕した結晶化フレークを20%酢酸溶液にいれ、60℃に加熱しかつ超音波をかけ、フェライト粒子を抽出した。得られたフェライト粒子をイオン交換水で水洗し、ろ過、乾燥し、強磁性粉末を得た。この強磁性粉末をX線回折法で解析するとマグネトプランバイト構造を示した。強磁性粉末を透過型電子顕微鏡観察し、平均板径、板径の変動係数、平均板状比を測定した。窒素中250℃で30分脱気処理し、BET法で比表面積を測定した。磁気特性はVSMを使用して印加磁界796kA/mで測定した。
比較例1〜2
実施例1〜4において、非晶質体(A)を得た後、これを粉砕処理し、次いで非晶質体(A)をセラミック容器に2cm厚にひろげ、630℃に保持した電気炉中に搬送し5時間保持後、725℃に保持した電気炉中にただちに搬送し4時間保持した(比較例1)。
実施例1〜4において、非晶質体(A)を得た後、これを粉砕処理し、次いで非晶質体をセラミック容器に2cm厚にひろげ、580℃に保持した電気炉中に搬送し10時間保持後、700℃に保持した電気炉中にただちに搬送し5時間保持した(比較例2)。
その後、室温の金属製ホッパーに処理物を投入し、冷却し結晶粉末を得た。該結晶粉末を遊星ミルにより粉砕した。粉砕した結晶化フレークを20%酢酸溶液にいれ、60℃に加熱しかつ超音波をかけ、フェライト粒子を抽出した。得られたフェライト粒子をイオン交換水で水洗し、ろ過、乾燥し、強磁性粉末を得た。この強磁性粉末をX線回折法で解析するとマグネトプランバイト構造を示した。強磁性粉末を透過型電子顕微鏡観察し、平均粒子サイズ(板径とその変動係数)、板状比を測定した。窒素中250℃で30分脱気処理し、BET法で比表面積を測定した。磁気特性は振動試料型磁力計VSM(東英工業製)を使用して印加磁界796kA/mで測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2006120823
<塗料の作製>
実施例中、「部」との表示は「質量部」を示す。
磁性液処方 1
実施例または比較例のバリウムフェライト 100部
結合剤
塩化ビニル共重合体 14部
(−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度 300)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI
=0.9/2.6/1、-SO3Na基:1×10-4eq/g含有)
α−アルミナ(平均粒子径:0.10μm) 2部
カ−ボンブラック(平均粒子径:30nm) 6部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 4部
メチルエチルケトン 125部
シクロヘキサノン 125部
磁性液処方 2
実施例または比較例のバリウムフェライト 100部
結合剤
塩化ビニル共重合体 12部
(−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度 300)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI
=0.9/2.6/1、-SO3Na基:1×10-4eq/g含有)
α−アルミナ(平均粒子径:0.10μm) 3部
カ−ボンブラック(平均粒子径:30nm) 5部
ブチルステアレート 10部
ブトキシエチルステアレート 5部
イソヘキサデシルステアレート 2部
ステアリン酸 部
メチルエチルケトン 125部
シクロヘキサノン 125部
非磁性液処方 1
針状ヘマタイト 80部
(BET法による比表面積:75m2/g、
平均長軸長:0.10μm、平均針状比:6.5、
pH:8.8、表面処理層:Al23として1質量%)
カーボンブラック 20部
(平均粒子径:17nm、
DBP及油量:80ml/100g、
BET法による表面積:240m2/g、pH7.5)
結合剤
塩化ビニル共重合体 14部
(−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度 300)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI
=0.9/2.6/1、-SO3Na基:1×10-4eq/g含有)
フェニルフォスフォン酸 3部
ブチルステアレート 3部
ステアリン酸 3部
メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 280部
非磁性液処方 2
針状ヘマタイト 80部
(BET法による比表面積:75m2/g、
平均長軸長:0.10μm、平均針状比:6.5、
pH:8.8、表面処理層:Al23として1質量%)
カーボンブラック 20部
(平均粒子径:17nm、
DBP及油量:80ml/100g、
BET法による表面積:240m2/g、pH7.5)
結合剤
塩化ビニル共重合体 15部
(−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度 300)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI
=0.9/2.6/1、-SO3Na基:1×10-4eq/g含有)
フェニルフォスフォン酸 3部
ブチルステアレート 10部
ブトキシエチルステアレート 5部
イソヘキサデシルステアレート 2部
ステアリン酸 3部
メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 280部
上記の磁性液処方1、2及び非磁性液処方1、2のそれぞれについて、顔料、ポリ塩化ビニル、処方量の50質量%の各溶剤をニーダーで混練したのち、ポリウレタン樹脂と残りの成分を加えてサンドグラインダーで分散した。得られた分散液にイソシアネートを非磁性液には15部、磁性液には10部を加え、さらにそれぞれにシクロヘキサノン30部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層非磁性層形成用の塗布液1、2および上層磁性層形成用の塗布液1、2をそれぞれ調製した。
<テープの作成:実施例5〜8、比較例3〜4>
得られた下層非磁性層形成用の塗布液1を厚さ7μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に乾燥後の厚さが1.5μmとなるように塗布し、さらにその直後下層非磁性層用塗布層がまだ湿潤状態にあるうちに、上層磁性層形成用の塗布液1の塗布量を制御して約0.09μmの磁性層厚みとなるように湿式同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに配向装置を通過させ長手配向した。この時の配向磁石は希土類磁石(表面磁束500mT)を通過させた後ソレノイド磁石(磁束密度500mT)中を通過させ、ソレノイド内で配向が戻らない程度まで乾燥しさらに磁性層を乾燥した。さらにバックコート層を塗布し、乾燥して巻き取った。その後金属ロールより構成される7段カレンダーでロール温度を90℃にしてカレンダー処理を施して、ウェッブ状の磁気記録媒体を得、それを1/4インチ幅にスリットして1/4インチ幅テープサンプルを作成した。サンプルの磁気特性、表面粗さ、電磁変換特性を測定した。
<フレキシブルディスクの作成:実施例9〜11、比較例5>
得られた下層非磁性層形成用の塗布液2を厚さ68μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に乾燥後の厚さが1.5μmとなるように塗布し、乾燥後、上層磁性層形成用の塗布液2を用いて磁性層の塗布量を変化させることにより磁性層の厚みを制御して磁性層塗布を行い、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに中心磁界強度398kA/mの同極対抗希土類磁石中を通過させ、長手方向に配向した後、周波数50Hzで磁場強度24kA/m、ついで周波数50Hzで12kA/mである2つの磁場強度交流磁場発生装置の中を通過させランダム配向処理を行った。これにより配向度比98%以上を得ることができた。
もう片方の支持体面にも同様に塗布、配向、乾燥後、7段のカレンダーで温度90℃、線圧294kN/m(300kg/cm)にて処理を行った。3.7インチに打ち抜き、サーモ処理(70℃ 24時間)を行い塗布層の硬化処理を促進させ、研磨テープでバーニッシュ処理をおこない、表面の突起を削る後処理を行った。ライナーが内側に設置済の3.7インチのカートリッジ(米 IOMEGA社製 ZIP−ディスクカートリッジ)に入れ、所定の機構部品を付加し、3.7インチフロッピーディスクを得た。サンプルの磁気特性、表面粗さ、電磁変換特性を測定した。
<テープの評価>
電磁変換特性の測定法は次の方法によった。1/4インチ幅ビデオデッキにMIGヘッド(ヘッドギャップ0.2μm、トラック幅10μm、飽和磁束密度1.6T、アジマス角20°)と再生用MRヘッド(SALバイアス、MR素子はFe-Ni、トラック幅5μm、ギャップ長0.2μm、アジマス角20°)を搭載した。MIGヘッドを用いて、テープとヘッドの相対速度を10.2m/秒とし、1/2Tb(λ=0.5μm)の入出力特性から最適記録電流を決めこの電流で信号を記録し、MRヘッドで再生した。C/Nは再生キャリアのピークから消磁ノイズまでとし、スペクトルアナライザーの分解能バンド幅は100kHzとした。比較例1を0dBとして結果を示す。
<フレキシブルディスクの評価>
出力は、線記録密度144kbpi、トラック密度144tpiで測定した。出力の対照は比較例1を使用した。線記録密度は記録方向1インチ当たりに記録する信号のビット数である。トラック密度とは1インチ当たりのトラック数である。線記録密度とトラック密度を掛け合わせたものが面記録密度である。ディスクのエラーレートは上記の線記録密度の信号を(2,7)RLL変調方式をディスクに記録し測定した。
表面粗さは、WYKO社(USアリゾナ州)製の光干渉3次元粗さ計「TOPO−3D」を使用し、250μm角の試料面積を測定した。測定値の算出にあたっては、傾斜補正、球面補正、円筒補正等の補正をJIS−B601に従って実施し、中心面平均粗さRaを表面粗さの値とした。
磁気特性は振動試料型磁力計VSM(東英工業製)を使用し外部磁界796kA/mとしてテープは配向方向に平行に測定した。
磁性層厚みは、磁気記録媒体を長手方向に渡ってダイヤモンドカッターで約0.1μmの厚みに切り出し、透過型電子顕微鏡を使用し50000倍で観察し、その写真撮影を行った。写真のプリントサイズはA4〜A5であり、プリントした総合倍率を200000倍とした。その後、磁性層、下層非磁性層の強磁性粉末や非磁性粉末の形状差に注目して界面を目視判断して黒くふちどり、かつ磁性層表面も同様に黒くふちどった。その後、Zeiss社製画像処理装置IBAS2にてふちどりした線の長さを測定した。試料写真の長さが21cmの場合、測定を85〜300回行った。
結果を表2および表3に示す。
Figure 2006120823
Figure 2006120823
本発明の磁気記録媒体は従来の磁気記録媒体に比較して、磁気特性ではSFDが改良されており、角型比(SQ)が大きく、表面粗さ(Ra)が小さい。これらを反映し、高い出力が得られた。SFDが改良できた主な理由は、六方晶フェライトの結晶化に際し、レーザー加熱することで板径の変動係数を小さくできたためと考えている。またノイズに着目すると本発明の磁気記録媒体は各比較例に対し顕著に低下しており、結果として高いC/Nを実現できた。

Claims (5)

  1. 六方晶フェライト生成原料を溶融し、急冷して非晶質体を得る工程と、前記非晶質体を熱処理し六方晶フェライトを析出させる工程とを有する六方晶フェライト磁性粉末を製造する方法において、前記熱処理が、前記非晶質体をレーザー加熱する処理であることを特徴とする六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
  2. 前記レーザーのパルス幅が10フェムト秒〜10ピコ秒であることを特徴とする請求項1に記載の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られた、平均板径が10〜30nm、板径および板厚の変動係数が10〜25%、およびHcが135〜400kA/mであることを特徴とする六方晶フェライト磁性粉末。
  4. 支持体上に強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を少なくとも設けた磁気記録媒体において、前記強磁性粉末が、請求項3に記載の六方晶フェライト磁性粉末を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 前記支持体と前記磁性層との間に、非磁性粉末を結合剤中に分散してなる非磁性層を設けたことを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
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