JP2003073891A - コンクリート構造体の補修方法及びコンクリート構造体の補修液 - Google Patents
コンクリート構造体の補修方法及びコンクリート構造体の補修液Info
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Abstract
良好な補修効果が得られるコンクリート構造体の補修方
法を提供する。 【解決手段】 コンクリート構造体の補修方法は、ひび
割れ等の空所又は断裂などの欠陥部を有するコンクリー
ト構造体の表面に、帯電性粒子又は帯電性粒子及びイオ
ンを含む補修液を当て、コンクリート構造体の表面から
奥に向かう泳動電場を形成し、帯電性粒子又は帯電性粒
子及びイオンを欠陥部内に進入させて付着させ、これに
より欠陥部をふさぎ、ここで、補修液が、中性水と混合
した場合、実質的に難溶性の帯電性粒子であって、電解
反応による酸の発生によって、溶解してプラスイオンを
生じる帯電性粒子を含む。
Description
構造体、鉄筋やPC鋼材を補強材とする鉄筋コンクリー
ト構造体、又はプレストレストコンクリート構造体等の
コンクリート構造体の補修方法に関し、特に、電気泳動
の原理を用いるコンクリート構造体の補修方法に関す
る。また、本発明は、このような補修方法に用いられる
コンクリート構造体の補修液に関する。
く、日光等による劣化も生じにくく耐久性があるため、
種々の用途に使用されてきた。特に、鉄筋コンクリート
構造物やプレストレスト構造物は、圧縮強度の強いコン
クリートと引張強度の強い鋼材とを組み合わせることに
よって、力学的に圧縮強度と引張強度のバランスのとれ
た構造体となっている。また、コンクリートはpH11
〜pH14の強アルカリ性であるため、内部の鋼材の表
面に不動態皮膜を形成して鋼材の腐食を防ぐことができ
るという利点もあるため、重要な構造物に広範囲に利用
されてきた。
リートにひび割れ等の欠陥が生じると、漏水や中性化・
炭酸化、塩害等の種々の要因によるコンクリート構造体
の劣化が進み、構造物としての機能が損なわれるおそれ
がある。
トレスト構造体においては、コンクリートのひび割れは
補強材としての鉄筋やPC鋼材の劣化を生じる原因とな
る。また、桟橋や橋梁等の橋柱、河岸壁や護岸壁、貯水
槽等のように水と接し、遮水機能を要求されるコンクリ
ート構造体では、ひび割れの劣化は遮水機能を低下さ
せ、漏水の原因となる。特に、鉄筋等の拘束がない無筋
コンクリート構造体では、ひび割れがコンクリート構造
体内で大きく成長するので、コンクリート構造体として
の機能が著しく損なわれる。
方法としては、例えば、ひび割れにエポキシ樹脂等を注
入する方法、止水用急結セメントを用いて修復する方
法、ウレタン樹脂等の瞬結材料をひび割れ等の空隙に注
入して、空隙内で膨張させる方法等が知られている。し
かし、従来のこれらの方法では、コンクリートに対する
止水材等の付着力が弱いので、ひび割れ等の空隙内にお
いて、コンクリートと止水材との境界部分に隙間が生じ
てしまい、補修効果が十分に得られない。
構造物は、水中や土中に埋められており、ひび割れ等の
欠陥部分が地表に表れることは殆どない。従って、上記
のような補修方法をそのまま採用することは難しい。ま
た、採用しようとすると、多大なコストがかかる。
現象を利用して、コンクリート構造体の欠陥部に可溶性
の無機化合物を供給して析出付着させることにより補修
を行う方法が開示されている。しかしながら、この方法
では塩化ストロンチウム等の可溶性の無機化合物を使用
するので、陽極近傍の溶液が酸性となり、付近のコンク
リートの表面が溶けやすくなるという不十分点があっ
た。
く、かつ、良好な補修効果が得られるコンクリート構造
体の補修方法を提供することを目的とする。また、本発
明は、そのような補修方法に用いられるのに好適な、コ
ンクリート構造体の補修液を提供することを目的とす
る。
め、本発明のコンクリート構造体の補修方法は、ひび割
れ等の空所又は断裂などの欠陥部を有するコンクリート
構造体の表面に、帯電性粒子又は帯電性粒子及びイオン
を含む補修液を当て、コンクリート構造体の表面から奥
に向かう泳動電場を形成し、帯電性粒子及び/又はイオ
ンを欠陥部内に進入させて付着させ、これにより欠陥部
をふさぎ、ここで、補修液が、中性水と混合した場合、
実質的に難溶性の帯電性粒子であって、電解反応による
酸の発生によって、溶解してプラスイオンを生じる帯電
性粒子を含むことを特徴とする。ここで、帯電性粒子
は、溶解してアルカリ性を発揮することが好ましい。ま
た、上記帯電性粒子は例えばアルカリ土類金属の水酸化
物及び/又は酸化物とすることが好ましい。また、アル
カリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム、ストロン
チウム及びバリウムからなる群から選ばれる少なくとも
1つが使用できる。
液を当てる方法は、補修液を内部に貯留する液溜パネル
をパッキンを介して当てるか、又は補修液を含浸した保
湿材を当てることなどが可能である。
帯電性粒子又は帯電性粒子及びイオンを含むコンクリー
ト構造体の補修液であって、中性水と混合した場合、実
質的に難溶性の帯電性粒子であって、電解反応による酸
の発生によって溶解してプラスイオンを生じる帯電性粒
子を含むことを特徴とする。ここで、帯電性粒子は、ア
ルカリ土類金属の水酸化物及び/又は酸化物であること
ができる。
ンは電場に従って欠陥部の奥に進んで付着する、あるい
は析出するので、欠陥部の細部まで埋めることができ
る。そして、陽極部で発生する水素イオン濃度の増加
を、粒子の溶解により生じるアルカリ性で中和すること
ができるので、付近のコンクリート表面を溶かすことも
ない。
本発明のコンクリート構造体の補修方法は、ひび割れ等
の空所又は断裂等の欠陥部を有するコンクリート構造体
の表面に、電気泳動性の帯電性粒子又は帯電性粒子及び
イオンを含む補修液を当て、コンクリート構造体の表面
から奥に向かう泳動電場を形成し、帯電性粒子やイオン
を欠陥部内に進入させて付着させる。
化、アルカリ骨材反応、凍害、外部圧力等のような、コ
ンクリート構造体に作用する内的又は外的因子により発
生した、ひび割れ、浮き、剥落等、又はコンクリート打
設時の施工不良等に起因するジャンカ、巣、クラック、
コールドジョイント等の空所や断裂等が含まれる。
使用される補修液は、電気泳動性の帯電性粒子又は帯電
性粒子及びイオンを含む。この帯電性粒子は、実質的に
中性の水の中では難溶性の粒子であり、酸性下では溶解
してプラスイオンを生じアルカリ性を発揮する粒子であ
る。実質的に中性の水の中で難溶性の粒子としては、例
えば、アルカリ土類金属の水酸化物及び酸化物が挙げら
れる。本発明に好ましく用いられるアルカリ土類金属と
しては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
バリウム等が挙げられる。
液となる量を超える量であり、例えば、少なくとも1種
のアルカリ土類金属の水酸化物の溶解度を超える量であ
ることが好ましい。帯電性粒子の含有量がかかる量以下
であると、pHが容易に低下してしまうので、コンクリ
ート表面が酸で損傷されることになる。帯電性粒子の含
有量が上記した量より多ければ、電解反応によって発生
した酸を中和することができるので、pHの低下を抑え
ることができ、また、帯電性粒子が欠陥部へ充填され
る。
修液となる。例えば、水酸化マグネシウム(Mg(O
H)2)を水に分散させると、溶解度が9.8mg/飽
和水溶液1dm3(18℃)であるので、溶解度を超え
た濃度では帯電性粒子が懸濁状態で水中に存在してスラ
リー状になる。以下に、泳動電場内で水酸化マグネシウ
ム等の帯電性粒子又は帯電性粒子とイオンが欠陥部内に
進入して付着するメカニズムを、水酸化マグネシウムの
スラリーを例示して説明する。
を示すが、陽極側(補修液供給側)では、水の電気分解
に伴う水素イオン(H+)濃度の増加によって中和さ
れ、pHが低くなりスラリー中の水酸化マグネシウムの
一部が溶出してマグネシウムイオン(Mg2+)となる。
一方、溶けなかった水酸化マグネシウム粒子も帯電す
る。これらのマグネシウムイオン及び帯電性粒子は、直
流電圧を印加した泳動電場中で陰極側(コンクリート構
造体奥側)に電気的に引き寄せられる。このマグネシウ
ムイオンは、コンクリート中に存在する水から発生した
水酸イオン(OH-)と反応してMg(OH)2となり、
析出、付着する。また、水酸化マグネシウム粒子も欠陥
部の奥に進んで付着する。従って、ひび割れ等の欠陥部
の細孔内に水酸化マグネシウムが析出、付着する。ひび
割れ等の欠陥部は電気抵抗が小さいので、優先的に帯電
性粒子やイオンが流れやすく、それらが奥まで進入しや
すくなっている。なお、水中で溶解性の粒子を多く含む
補修液を使用すると、陽極側で酸性となって長時間通電
したまま補修作業を行うとコンクリート表面が溶解する
おそれがあるが、本発明によれば、陽極側の酸性を中和
することができるので上述のような不十分点も解消され
る。
コンクリート構造体の表面に、補修液を供給する方法、
及び泳動電場を形成し、帯電性粒子を欠陥部内へ進入さ
せて補修する方法を具体的に説明する。なお、同一の構
成要素については同一の参照番号を付して、以下の説明
を省略する。図1は、本発明の補修方法に用いられる装
置を説明するための模式的断面図である。図1におい
て、コンクリート構造体1とその中のひび割れ2が示さ
れている。ひび割れ2はコンクリート構造体1の右側の
表面1aに出ている。同面1aに、ゴムパッキン7を介
して、補修液を入れた液溜パネル3を設置する。液溜パ
ネル3の内部には、コンクリート構造体面1a上に沿っ
てチタンメッシュ5が設置されている。このチタンメッ
シュ5は直流電源8のプラス側に接続されており陽極と
なる。この例では、コンクリート構造体1の内部に鉄筋
6が存在しており、この鉄筋6は直流電源8のマイナス
側に接続して陰極とする。鉄筋の入っていないコンクリ
ート構造体の場合には、別途の電極を配置する。
メッシュ5の近傍では水の電気分解に伴う水素イオン濃
度の増加によって中和され、pHが低くなり、補修液中
の難溶性物質の溶解が生じる。一方、溶解しなかった難
溶性物質も帯電する。溶解した難溶性物質及び帯電した
難溶性物質は直流電圧を印加した泳動電場中で陰極6側
へ引っ張られ、コンクリート構造体内部のひび割れ2へ
進入し、コンクリート中に存在する水の水酸基と反応し
て不溶物を形成し、ひび割れ2の壁に付着する。進入す
る帯電性粒子は小さいので、欠陥部の細孔にも進入し付
着する。このようにして、コンクリート構造体内部のひ
び割れ等を緻密に補修することができる。なお、陽極と
なる金属、ここではチタンメッシュには、腐食防止の観
点から貴金属メッキ等の処理を施しておくことが好まし
い。
の装置の原理を説明するための模式的断面図である。図
2には、土層20と、その側面のコンクリート構造体2
1が示されている。このような構造は、橋脚の台座(ア
バット)等で多くみられる。このような構造体を補修す
る場合、コンクリート構造体21の表面21aに、保湿
材23を当てる。保湿材23には補修液を貯蔵してある
液溜容器24を接続し、連続的に、あるいは逐次的に補
修液を補充する。コンクリート構造体21の裏側の土層
に鋼材25を打ち込み、鋼材25及び保湿材23間に直
流電圧を印加し、保湿材23を陽極、鋼材25を陰極と
する。
維、樹脂ネット、グラスウール、織布、不織布、モルタ
ル等、又は発泡ビーズ等の無機多孔質材料、有機多孔質
材料、吸水性の有機高分子化合物等の1種又は2種以上
が挙げられる。また、土中に埋設されているコンクリー
ト構造体の場合には、保湿材を使用せずに直接コンクリ
ート構造体表面近傍の土中に、補修液を供給しても良
い。
的に説明する。 (実施例1)セメント(電気化学工業株式会社製普通ポ
ルトランドセメント)280kg/m3、水道水168
kg/m3、細骨材として姫川産の川砂860kg/
m3、粗骨材として姫川産の砕石(Gmaxは20mm)
1,002kg/m3、及びAE減水剤(エム・エム・
ビー社製、商品名「ポゾリスNo.70」)0.7kg
/m 3を配合してコンクリートを調製した。調製したコ
ンクリートを用いて縦30cm×横40cm×厚さ10
cmのコンクリート試験体を作製した。ただし、コンク
リート試験体の横40cm×幅10cmの面のほぼ中央
に、面と垂直な方向に鉄筋(D13、かぶり5cm)を
埋めこみ、図1に示すようなコンクリート試験体を作製
した。
×横40cmの面(正面)に曲げ応力がかかるように力
を加えた。コンクリート試験体のこの面(正面)から裏
側の対向面に向けて貫通ひび割れ(ひび割れ幅0.2〜
0.3mm)が生じた。
レーション社製、商品名「エルガードメッシュ#21
0」)を設置した液溜パネルを、コンクリート試験体の
正面に配置した。また、コンクリート試験体の裏面に水
圧供給装置を配置して、同面にかける漏水圧力を0.0
2MPa(106N/m2)とした。
製、試薬1級品)を水道水に入れ、攪拌してスラリー濃
度10質量%の補修液を調製した。
試験体の内部に埋め込んだ鉄筋を陰極として、コンクリ
ート試験体の正面において1m2当り1Aとなるよう
に、直流電圧を印加した。なお、通電中は、液溜パネル
内に調製しておいたスラリー濃度が10質量%のCa
(OH)2スラリーを補充して液溜パネル内を満たし
た。
ンクリート試験体の正面に析出物が認められた。このと
き、ひび割れの内部は無機化合物で充填されていた。ま
た、電流を流し始めてから1日目〜7日目の漏水量を測
定した。その結果を表1に示す。4日目から漏水量は0
となり、止水が完全に行われたことが分かった。
液の種類を表1に示すように替えた以外は同様にして、
コンクリート試験体の補修試験を行った。その結果を表
1に示す。ただし、各補修液の調製は下記に示すように
して行った。 補修液の調製:実施例2に使用される補修液として、水
酸化マグネシウム(和光純薬社製、試薬1級品)を水道
水に入れてスラリー濃度が10質量%の水酸化マグネシ
ウムスラリーを調製した。実施例3に使用される補修液
として、水酸化カルシウム(和光純薬社製、試薬1級
品)が5質量%、水酸化マグネシウム(和光純薬社製、
試薬1級品)が5質量%となるように、水道水に入れ、
攪拌して混合スラリーを調製した。
液を用いた場合には、5日目から漏水率は0となり、実
施例3の補修液を用いた場合には、4日目から漏水率が
0となることが分かった。なお、電流を2週間流したと
ころ、コンクリート試験体の正面に析出物が認められ
た。このとき、ひび割れの内部は無機化合物で充填され
ていた。
ラリーを用いずに水道水のみを入れたパネルを用いて補
修試験を行った。その結果を表1に示す。この場合には
漏水率が減少することはなかった。
欠陥部内に空隙を残存させず、良好な補修効果が得られ
るコンクリート構造体の補修方法を提供することができ
る。また、本発明のコンクリート構造体の補修方法に好
適な補修液を提供することができる。
明するための断面図である。
を説明するための断面図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 ひび割れ等の空所又は断裂などの欠陥部
を有するコンクリート構造体の表面に、帯電性粒子又は
帯電性粒子及びイオンを含む補修液を当て、 前記コンクリート構造体の表面から奥に向かう泳動電場
を形成し、 前記帯電性粒子及び/又はイオンを前記欠陥部内に進入
させて付着させ、これにより前記欠陥部をふさぎ、 ここで、前記補修液が、中性水と混合した場合、実質的
に難溶性の帯電性粒子であって、電解反応による酸の発
生によって、溶解してプラスイオンを生じる帯電性粒子
を含むことを特徴とするコンクリート構造体の補修方
法。 - 【請求項2】 前記帯電性粒子は溶解してアルカリ性を
発揮することを特徴とする請求項1記載のコンクリート
構造体の補修方法。 - 【請求項3】 前記帯電性粒子がアルカリ土類金属の水
酸化物及び/又は酸化物であることを特徴とする請求項
1又は2記載のコンクリート構造体の補修方法。 - 【請求項4】 前記アルカリ土類金属が、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムからなる
群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする
請求項3記載のコンクリート構造体の補修方法。 - 【請求項5】 前記コンクリート構造体の表面に、前記
補修液を当てる方法が、該補修液を内部に貯留するパネ
ルをパッキンを介して当てるか、又は補修液を含浸した
保湿材を当てることによることを特徴とする請求項1〜
4のいずれか1項記載のコンクリートの補修方法。 - 【請求項6】 帯電性粒子又は帯電性粒子及びイオンを
含むコンクリート構造体の補修液であって、中性水と混
合した場合、実質的に難溶性の帯電性粒子であって、電
解反応による酸の発生によって、溶解してプラスイオン
を生じる帯電性粒子を含むことを特徴とするコンクリー
ト構造体の補修液。 - 【請求項7】 前記帯電性粒子が、アルカリ土類金属の
水酸化物及び/又は酸化物であることを特徴とする請求
項6記載のコンクリート構造体の補修液。
Priority Applications (1)
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JP2001266769A JP4743814B2 (ja) | 2001-09-04 | 2001-09-04 | コンクリート構造体の補修方法及びコンクリート構造体の補修液 |
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Publication Number | Publication Date |
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