JP3325322B2 - コンクリートの再生方法 - Google Patents
コンクリートの再生方法Info
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Description
材とする、鉄筋コンクリート構造物やプレストレストコ
ンクリート構造物などのコンクリートの再生方法、特
に、コンクリート表面及びコンクリート中に電流を流す
ことにより、コンクリート中のアルカリ度を回復する、
コンクリート中の塩素イオンを除去する、並びに、コン
クリート内部の補強材を防食する等の方法に関する。
レストレストコンクリート構造物などのコンクリート構
造物は、圧縮強度の高いコンクリートと引張強度の高い
鋼材とを組み合わせることによって、力学的に圧縮強度
と引張強度のバランスの取れた構造体となり、それゆえ
種々の重要な構造物に広く使用されてきた。
火、及び日光等の環境に対する抵抗性が強い。
H11〜14の強アルカリ性であり、コンクリート内部にあ
る鋼材表面に不働態被膜が形成して、鋼材は腐食から保
護され、そのために、コンクリート構造物は耐久性のあ
る永久構造物であると考えられてきた。
てきたコンクリート構造物も、種々の原因によりその耐
久性が低下し、構造物としての寿命に疑問が投げかけら
れるようになってきた。
として、コンクリートの中性化、例えば、「炭酸化」と呼
ばれる現象等が挙げられる。
生成された水酸化カルシウムが大気中の二酸化炭素と反
応して炭酸カルシウムとなる現象である。そして、この
炭酸化により、コンクリートのアルカリ度が通常のpH
11〜14より低下する。pHが10程度にまで低下すると鋼
材の不働態被膜が破壊され、鋼材の腐食がはじまり、コ
ンクリート構造物としての強度バランスが崩れ、その耐
久性が大きく低下することになる。
ト構造物の劣化は、コンクリート内部の鋼材の発錆、コ
ンクリートのひび割れ、及びコンクリートの欠落等の現
象を引き起こし、構造的にも、外見的にも、大きな課題
となっている。
炭酸化以外にも、酸化イオウ(SOX)や酸化窒素(NOX)など
によっても、同様に引き起こされている。
では、海水の飛沫が飛んできて、コンクリート表面に付
着し、その海水中に含まれている塩分が、コンクリート
中の空隙を通ってコンクリート内部に浸透し、鉄筋に接
触すると、鋼材の不働態被膜が破壊され腐食が発生する
等の課題があった。
る細骨材に海砂が用いられる場合、その塩分除去が不十
分であると、コンクリート配合をするときから、多量の
塩化物を含有することとなり、その結果、鋼材の不働態
被膜形成が不十分となり、腐食が発生する等の課題があ
った。
さらに、コンクリートのひび割れ、欠落、及び剥離等に
進展し、コンクリート構造物としての耐久性を大きく低
下する現象を、一般に、「塩害」と呼んでいる。
の補修方法は、鋼材の錆についてはその周囲のコンクリ
ートを、また、コンクリートのひび割れや欠落部分につ
いてはその部分のコンクリートを「はつり」取ったのち、
新しいコンクリートやモルタルを充填する、いわゆる、
断面修復工法が主体であった。
に、コンクリートのひび割れや欠落という目に見える劣
化現象についてのみ補修を行うのであって、補修時に劣
化現象が確認できていない部分、即ち、潜在的にはコン
クリートの劣化が進行しているが、表面的にはその劣化
が顕在化していない、いわゆる危険部分については全く
処置を行うことができなかった。
た根本的な原因については、何ら対策を行っておらず、
劣化現象の根本的な解決は期待できるものではなかっ
た。
や劣化現象の根本的な解決を目的として、電気化学的な
手法を応用した補修工法やコンクリートの鉄筋を陰極に
して電気的に防食する工法が開示されている(特開平1
−176287号公報)。
リートの鉄筋のみを陰極として、直流電流を流すため、
深さ方向の処理領域が表面から内部鉄筋近傍に限られ、
さらに、内部鉄筋間の処理効果は、鉄筋からの距離が長
くなるに従い電流密度が低下するため悪くなるなどの課
題があった。
極をコンクリート表面に設置して、その外部電極を陰極
と陽極とすることが提案された。
拡大を行うことが可能であるが、コンクリート表面のみ
に電極を設置し、内部鉄筋を電気的に浮いた状態にして
おくため、内部鉄筋の腐食を引き起こす危険性がある等
の課題があった。
題を解消すべく種々検討した結果、特定の方法を採用す
ることにより、前記課題を解消し、コンクリート構造物
の補修が充分に行い得る知見を得て本発明を完成するに
至った。
リート表面の2ヶ所以上に電極を設置して外部電極と
し、該電極の少なくとも1箇所以上を陽極、残りを陰極
とし、これら陽極と陰極を相対する面に設置し、コンク
リート内部に含まれる鉄筋を該陰極と接続して該陽極と
陰極間に直流電流を流すことを特徴とするコンクリート
の再生方法である。
水酸化カルシウムや水酸化ナトリウムを含有する水溶液
が充分に存在している。そのため、コンクリートに電圧
を印加すると、この水溶液が電解質の役割をし、コンク
リート自身が持つ抵抗と印加した電圧に応じた電流が流
れる。そして、コンクリート内部の鉄筋等の補強材のみ
を陰極にすると、処理領域が制限されてしまう。また、
コンクリート表面のみに電極を設置した場合には、コン
クリート内部の鉄筋の補強材に腐食が発生する危険性が
ある。
大と処理効率の増加を図ると共に、処理期間中での内部
鉄筋の腐食を防ぐために、コンクリート外部に設置した
陰極とコンクリート内部の補強材とを電気的に接続し処
理を行う方法である。
二種類の電極を設置し、その陰極とコンクリート内部の
補強材とを電気的に接続し、直流電流を流すものであ
る。
明する。
メッシュや金網などの使用も可能であるが、電気的な腐
食作用が働くため、資源の有効と再利用の面から、電気
的な腐食に対する抵抗性が高いものの使用が好ましい。
金又はそれでメッキされた金属等、炭素繊維や炭素棒な
どの炭素、並びに、体積電気抵抗率が103Ω・cm以下の導
電性を有する有機高分子等である。
であり、炭素や有機高分子もほぼ安定である。
率は、103〜104Ω・cm程度であるので、導電性を有する
有機高分子の体積電気抵抗率は、103Ω・cm以下が好まし
く、102Ω・cm以下がより好ましく、10Ω・cm以下が最も
好ましい。
いので、陽極に使用した材料の使用はもちろん、それ以
外の導電性材料の使用も可能である。
されるものではないが、コンクリート中を流れる有効電
流が広く流れるように設置することが必要である。コン
クリートが多角形や円形の場合などは、できるだけ相対
する面に、陽極と陰極を設置することが好ましい。具体
例として、コンクリート壁等の場合について説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
に、一方の表面に陰極を、他方の表面に陽極を設けるこ
とが好ましく、角柱の場合は、1つ以上の表面に陽極
を、他の表面に陰極を設けることが好ましい。また、床
の場合は、上面に陽極を、下面に陰極を設けることが好
ましい。いずれの場合もその逆に電極を設置することも
可能であるが、外部電極の陰極とコンクリート内部の補
強材である鉄筋を電気的に接続しておくことが必要であ
る。
PC鋼棒等をいう。
が可能であり、また、表面電極間に存在する内部鉄筋の
発錆を防ぐことが可能である。
なることから、コンクリート表面に設置する電極の周囲
に電解質溶液を存在させておくことは好ましい。
アルカリ性溶液又は中性溶液であるが、pH5以上の弱
酸性溶液でも使用可能である。
源としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属
塩や、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金
属塩などの各種のアルカリ塩が挙げられる。そのうち、
アルカリ骨材反応を促進する可能性が少ない、カルシウ
ム、リチウム、マグネシウム、及びアルミニウム等の塩
の使用が好ましい。
を併用することは好ましい。
もので、腐食環境下において併用することによって、金
属の腐食を著しく減少させる物質である。
塩、ケイ酸塩、及びリン酸塩等の無機系腐食抑制剤や、
有機リン酸塩、エステル塩、有機酸類、スルホン酸類、
アミン類、アルキルフェノール類、メルカプタン類、及
びニトロ化合物等の有機系腐食抑制剤が挙げられる。
カリ性、中性、及びpH5以上の弱酸性のものが使用で
きるが、コンクリート物性に与える影響が小さい、例え
ば、無機系腐食抑制剤の使用が好ましく、特に、亜硝酸
塩の使用がより好ましい。
電気的にコンクリート中に浸透するので好ましい。
在させる方法について説明する。
る方法としては、一般には、コンクリート表面に電解質
溶液を保持する容器を設けて、その中に、電解質溶液を
溜める方法が考えられる。
上向きだけでなく、垂直面や天井面もあることを考える
と、液体である電解質溶液を漏らさずに溜める容器を設
けることは難しい。
着、もしくは、保持し、電解質溶液保持層を形成してコ
ンクリート表面に供給する方法がより好ましい。この方
法であれば、水平上向きだけでなく、垂直面や天井面で
も、十分に電解質溶液をコンクリート表面に存在させる
ことが可能である。
解質溶液保持層を形成するものとして電解質溶液保持材
がある。
プ、布、及び不織布等の繊維状物質又はそのシート、ゼ
オライト、シラスバルーン、及び発泡ビーズ等の無機や
有機の多孔質材料、並びに、吸水性の有機高分子等又は
これらの組み合わせが挙げられる。
リート表面に釘や角材などで固定するだけで、使用する
ことができるので好ましく、さらに、シート表面を加工
することで、電解液の蒸発や凍結を防止することも可能
となる。
の表面に電解質保持材として設置する際に、コンクリー
トの表面形状に関わりなく、水や電解質溶液とともに吹
き付けすることで電解質溶液保持層を形成できる。
性向上のために、接着性や粘着性を増大する成分や、増
粘剤などを添加することも可能である。
リアクリル酸系のものが挙げられ、多孔質材料と同じよ
うに、吹き付けすることでコンクリート表面に電解質溶
液保持層を形成したり、不織布等でシートを形成したり
することが可能である。
する水分を計算し、その量を予め電解質溶液保持材に余
分に吸水させておき、工事中の水分補給の作業を軽減す
ることも可能である。
する。
材1,002kg/m3、AE減水剤0.7kg/m3、及び塩化ナトリウ
ム10kg/m3のコンクリート配合を用いてコンクリートを
調整し、断面の深さ7.5cmの所に公称径19mmの異形鉄筋
を30cm間隔で埋設した、縦120cm、横120cm、厚さ15cmの
コンクリート試験体を作製した。作製したコンクリート
試験体の一方の面に、厚さ20mmのスポンジを取り付け、
その中心にチタンメッシュがくるように設置し、反対面
に、その中心に鉄筋メッシュがくるように厚さ20mmのス
ポンジを取り付けた。各スポンジは、常に湿潤状態を保
つように1Nの亜硝酸リチウム水溶液を補充した。次
に、チタンメッシュを陽極に、鉄筋メッシュとコンクリ
ート内部の鉄筋を陰極として、コンクリート表面積1m2
当たり1Aとなるように直流電流を4週間流した。その
結果、コンクリート中の塩分量がコンクリート表面均一
に減少し、最初の1/10となった。処理終了後、コンク
リート試験体の内部鉄筋の状態を検査したところ、内部
鉄筋は不動態膜に覆われていた。さらに、コンクリート
試験体中には、陰極である鉄筋メッシュ側から亜硝酸イ
オンが、陽極であるチタンメッシュ側からリチウムイオ
ンが電気的に浸透することによって、コンクリート試験
体中のリチウムイオン濃度と亜硝酸イオン濃度が高くな
り、アルカリシリカ反応抑制効果や異形鉄筋の防錆効果
が向上した。
ト 水 :水道水 細骨材 :姫川産川砂 粗骨材 :姫川産砕石、Gmax=20mm AE減水剤:エム・エム・ビー社製、商品名「ポゾリスN
o.70」 塩化ナトリウム:和光純薬工業社製、試薬1級 亜硝酸リチウム:日産化学工業社製 チタンメッシュ:エルテックコーポレーション社製、商
品名「エルガードメッシュ#210」 鉄筋メッシュ:公称径3mmの鉄筋を5cm間隔で溶接した
もの
たこと以外は実施例1と同様に行った。その結果、チタ
ンメッシュと内部鉄筋の間に挟まれたコンクリートの中
の塩分量が、内部鉄筋を中心として10cm未満の領域で
は、初期の1/10となったが、内部鉄筋を中心として10
cmから15cmの領域では、初期の1/8までしか減少しな
かった。また、チタンメッシュを設置しなかった面から
内部鉄筋までの塩分は殆ど減少しなかった。
ッシュのみを使用したこと以外は実施例1と同様に行っ
た。その結果、塩分濃度は、実施例1と同様に、コンク
リート試験体の面内で均一に減少し、初期の1/10とな
った。処理終了後、コンクリート試験体の内部鉄筋を調
べたところ、数カ所に数センチ程度の発錆が観察され
た。
コンクリート表面の外部電極の一部を陰極として、その
他の外部電極を陽極として直流電流を流すため、処理電
流による内部鉄筋の腐食を生じることなく、コンクリー
ト中に含まれる塩分を、処理面内均一に減少することが
可能である。また、コンクリートにとって有益な物質
は、陽イオン又は陰イオンのいずれも、コンクリート内
部に、電気的に浸透させることができるので、コンクリ
ートの改質も可能となるなどの効果を奏することができ
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 コンクリート表面の2ヶ所以上に電極を
設置して外部電極とし、該電極の少なくとも1箇所以上
を陽極、残りを陰極とし、これら陽極と陰極を相対する
面に設置し、コンクリート内部に含まれる鉄筋を該陰極
と接続して該陽極と陰極間に直流電流を流すことを特徴
とするコンクリートの再生方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00358793A JP3325322B2 (ja) | 1993-01-12 | 1993-01-12 | コンクリートの再生方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00358793A JP3325322B2 (ja) | 1993-01-12 | 1993-01-12 | コンクリートの再生方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06212814A JPH06212814A (ja) | 1994-08-02 |
JP3325322B2 true JP3325322B2 (ja) | 2002-09-17 |
Family
ID=11561596
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00358793A Expired - Lifetime JP3325322B2 (ja) | 1993-01-12 | 1993-01-12 | コンクリートの再生方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3325322B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
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---|---|---|---|---|
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-
1993
- 1993-01-12 JP JP00358793A patent/JP3325322B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
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