JP3797675B2 - 中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法 - Google Patents

中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鉄筋やPC鋼材を補強材とする鉄筋コンクリート構造物やプレストレストコンクリート構造物の補修方法、特に、コンクリートのアルカリ度の低下により中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、鉄筋コンクリート構造物やプレストレストコンクリート構造物などのコンクリート構造物は、圧縮強度の高いコンクリートと引張強度の高い鋼材とを組み合わせることによって、力学的に圧縮強度と引張強度のバランスの取れた構造体となり、種々の重要な構造物に広く使用されてきた。
【0003】
また、コンクリートは、一般には、水、火、及び日光等の環境に対する抵抗性が強く、また、コンクリートのアルカリ度がpHで11〜14の強アルカリ性であるので、コンクリートの内部にある鋼材は、表面に不動被膜を形成して腐食から保護され、そのために、コンクリート構造物は耐久性のある永久構造物であると考えられてきた。
【0004】
しかしながら、この永久構造物と考えられてきたコンクリート構造物も、最近種々の原因によりその耐久性が低下し、コンクリート構造物としての寿命に疑問が投げかけられるようになってきた。
【0005】
コンクリート構造物が劣化する原因の一つとして、コンクリートの中性化、例えば、「炭酸化」と呼ばれる現象が挙げられる。
【0006】
炭酸化とは、セメントの水和反応によって生成した水酸化カルシウムが、大気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとなる現象であって、炭酸化により、コンクリートのアルカリ度が通常のpH11〜14より低下する。そして、pHが10程度にまで低下すると鋼材表面の不動被膜が破壊され、鋼材の腐食がはじまり、コンクリート構造物としての強度バランスが崩れ、その耐久性が大きく低下することになる。
【0007】
このようなコンクリート構造物の劣化は、さらに、コンクリート内部の鋼材の発錆、コンクリートのひび割れ、及びコンクリートの欠落等の現象を引き起こし、構造的にも、また、外見上でも大きな課題となっている。
【0008】
このようなコンクリートの中性化現象は、二酸化炭素による炭酸化以外にも、酸化イオウ(SOX)や酸化窒素(NOX)などによっても、同様に引き起こされている。
【0009】
従来、このような劣化したコンクリート構造物の補修方法としては、鋼材の発錆に対してはその周囲のコンクリートを、また、コンクリートのひび割れや欠落に対してはその部分のコンクリートを、「はつり」取ったのち、新しいコンクリートやモルタルを充填する、いわゆる、断面修復方法が主体であった。
【0010】
この断面修復方法は、鋼材の発錆、コンクリートのひび割れ、及び欠落という目に見える劣化現象についてのみ補修を行うのであって、補修時に劣化現象が確認できていない部分、即ち、潜在的にはコンクリートの劣化が進行しているが、表面的にはその劣化が顕在化していない、いわゆる、危険部分については、全く処置を行うことができなかった。
また、この断面修復方法は、コンクリートが劣化した根本的な原因については、何ら対策を行っておらず、劣化現象の根本的な解決は期待できるものではなかった。
【0011】
このような、潜在的な危険部分の課題解決や根本原因の課題解決を目的として、中性化したコンクリート部分にある鋼材とコンクリート表面、または、アルカリ度がpHで12以上のアルカリ性雰囲気中にあるコンクリート部分にある電極との間に直流電流を印加することによって、アルカリ性雰囲気中にあるアルカリ性物質、例えば、カルシウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物が移動し、中性化によって劣化したコンクリート部分がpH12以上になり、再アルカリ化する、電気化学的な手法を用いた補修工法が提案されている(特開平1−176287号公報)。
【0012】
しかしながら、この工法では、コンクリートに流す電力は電圧にて制御しているため、コンクリート構造物の大きさや抵抗値が異なると、コンクリートのアルカリ度が回復する度合いと電圧との関係が異なり、したがって、アルカリ度の回復を行うコンクリート構造物ごとに、処理に要する時間が異なり、回復処理の効果の判定が非常に難しいという課題があった。
【0013】
さらに、水セメント比の大きいコンクリートを修復する場合は、コンクリートの抵抗値が小さいために過電流となりがちであり、コンクリートの破壊につながる恐れがあるなどの課題があった。
【0014】
一方、水セメント比の小さいコンクリートを修復する場合は、コンクリートの抵抗値が大きいために、処理時間が膨大に長くなったり、全く効果を発揮しないなどの課題があった。
【0015】
本発明者等は、上記課題を解消すべく種々検討した結果、特定の電流密度で供給する電力を制御すれば、安定した効果を奏することができるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0016】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、中性化した部分を有するコンクリート内及び/又は中性化した部分を有するコンクリート表面に1以上の電極を設置し、中性化した部分にある鋼材を陰極とし、コンクリート中のアルカリ性雰囲気中の、及び/又は、コンクリート表面のアルカリ性雰囲気中の電極を陽極とし、若しくは、中性化した部分をはさんで、陰極及び陽極を設置し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A/mを超えて10A/m以下の一定電流密度で電流を流すことを特徴とする中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法であり、コンクリートの中性化した部分にある鋼材を陰極とし、コンクリート表面にアルカリ性雰囲気中の陽極を形成し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A/mを超えて10A/m以下の一定電流密度で電流を流すことを特徴とする中性化したコンクリートのアルカリ度の回復方法であり、コンクリート内の中性化した部分に陰極を設置し、コンクリート内部のアルカリ性雰囲気中に陽極を設置し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A/mを超えて10A/m以下の一定電流密度の電流を流すことを特徴とする中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法であり、さらには、コンクリート内の中性化した部分を挟んで陰極と陽極を設置し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A/mを超えて10A/m以下の一定電流密度の電流を流すことを特徴とする中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法である。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
一般に、硬化したコンクリート内部には、飽和状態の水酸化カルシウム水溶液である間隙水が充分に存在している。
【0019】
そのため、コンクリートに電流を流すと、この間隙水が電解質溶液の役割をし、コンクリート自身が持つ抵抗と負荷した電力とに応じた電流が流れる。
【0020】
しかしながら、中性化したコンクリートでは、通常、コンクリート内部の電解質溶液であるCa(OH)2水溶液が極度に減少しているために、電流を流すことがかなり困難になっている。
【0021】
一方、電解質溶液は、コンクリートに直流電流を流すことによって、徐々に陰極側へと浸透していくため、コンクリートの表面に電解質溶液を与えること、もしくは、コンクリート内のアルカリ雰囲気にある電解質溶液を用いることが重要となる。
【0022】
この時の浸透速度は、コンクリート中を流れる電流密度に依存しており、コンクリートの水セメント比が異なっても、電流密度による浸透速度はほぼ一定である。
【0023】
本発明における電流密度としては、電流を直接流すコンクリートの表面積、即ち、電流の流れに直行する表面積又は断面積当たり、0.1A/m2を超え10A/m2以下であり、0.5〜5A/m2が好ましく、1〜2.5A/m2がより好ましい。0.1A/m2以下では、コンクリートの中性化している部分のアルカリ度が回復するまでには長い時間を必要とし、また、10A/m2を超えると、電極として使用するコンクリートに埋設されている鋼材、通常は内部鉄筋の周囲に水素ガスが発生して、そのガス圧でコンクリートが破壊される恐れがある。
【0024】
電解質溶液として、好ましいのは、アルカリ性溶液であるが、中性域の溶液でも使用できる場合があり、さらに、各種の支持電解液を含有するものも充分に使用が可能である。
【0025】
アルカリ性溶液中のアルカリイオンの発生源としては、各種のアルカリ塩、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウム等のアルカリ金属塩や、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩などが挙げられ、リチウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム等の塩の使用が好ましい。
【0026】
また、コンクリートのアルカリ度は、pHが10程度より低くなると、鋼材が発錆しはじめるので、pH10以上が好ましく、pH11以上がより好ましい。
【0027】
本発明で使用する電解質溶液をコンクリート表面に与えてアルカリ性雰囲気とする方法としては、コンクリート表面に電解質溶液を保持する容器を設けて、その中に電解質溶液を溜める方法や電解質溶液を何らかの物質に吸着、若しくは、保持させた状態でコンクリート表面に供給する方法などが考えられる。
コンクリートの表面が水平上向き面だけでなく、垂直面や天井面もありうることを考えると、液体である電解質溶液を漏らさずに溜める容器を設けることは通常は難しく、電解質溶液を何らかの材料に吸着、若しくは、保持させた状態でコンクリート表面に供給する方法が好ましい。
【0028】
電解質溶液を何らかの材料に吸着、若しくは、保持した状態でコンクリート表面に供給する方法であれば、水平上向き面だけでなく、垂直面や天井面でも、十分に電解質溶液をコンクリート表面に供給することが可能である。
【0029】
電解質溶液を吸着、若しくは、保持する材料としては、パルプ、布、及び不織布等の繊維状物質、そのパネルやシート、さらには、ゼオライト、シラスバルーン、及び発泡ビーズ等の無機や有機の多孔質材料、吸水性の有機高分子等、並びに、それらの組み合わせの使用が好ましい。
【0030】
繊維状物質や多孔質材料は、コンクリートの表面に電解質の保持材を設置する際に、水や電解質とともに吹き付けや塗り付けて保持層を形成できるので、コンクリートの表面形状に関わりなく、作業をすることが可能である。
なお、この場合、付着を良くするために、接着性や粘着性を改善するものや増粘剤などを添加することも可能である。
【0031】
また、繊維状物質や多孔質材料は、パネルやシート状に加工して使用することも可能である。
【0032】
パネルやシートは、コンクリート表面に釘や角材などで固定するだけで、使用することが可能であり、さらに、それらの表面を加工することで、電解質溶液の蒸発や凍結を防止することも可能である。
【0033】
吸水性の有機高分子の例としては、ポリアクリル酸系のものが挙げられる。
【0034】
吸水性高分子の場合は、多孔質材料と同じように、吹き付けてコンクリート表面に保持層を形成したり、他の種々の材料と組み合わせてパネルやシート状にしたりすることが可能である。
さらに、工事中に水分を補給する作業の軽減を目的に、工事期間中に電解質溶液から蒸発する水分を計算しておいて、その量を予め余分に吸水させておくことも可能である。
【0035】
なお、本発明で使用する電解質溶液として、コンクリート内のアルカリ雰囲気中にある電解質溶液を用いる場合は、上記の方法を採らなくても可能である。
【0036】
コンクリート内のアルカリ雰囲気中にある電解質溶液、即ち、コンクリート中の中性化していない部分に1以上の電極を設け、この電極を陽極とする。
【0037】
陽極を設ける方法は、コンクリート内部の鋼材を利用することも可能であるが、コンクリートにドリル等で穿孔し、その中に電極となる導電材を挿入して電極とした後、孔を埋める方法も可能である。
【0038】
一方、陰極は、コンクリートの中性化した部分を介して及び/又は中性部分に設けることが可能である。
この場合の陰極は、陽極と導通していない鋼材に設けることが好ましいが、陽極と同様に別途設けることも可能である。
【0039】
本発明に用いるアルカリ性雰囲気中にある電極は、一般には、陽極側になるため、電気的な腐食作用が働く。
【0040】
本発明では、電流を流す期間が比較的短期なため、電極として、普通の鉄筋や金網なども使用可能であるが、資源の有効利用や再利用を考えると、電気的な腐食に対する抵抗性が高いものの使用が好ましい。
【0041】
具体的には、チタン、チタン合金、及び白金又はそれらでメッキした金属、炭素繊維や炭素棒などの炭素、並びに、体積電気抵抗率が103Ω・cm以下の導電性を有する有機高分子等が使用可能である。
チタンや白金は電気的な腐食に対して安定であり、炭素や有機高分子もほぼ安定である。
【0042】
なお、通常のコンクリートの体積電気抵抗率は、103〜104Ω・cm程度であるので、導電性を有する有機高分子としては、103Ω・cm以下が好ましく、102Ω・cm以下がより好ましく、10Ω・cm以下が最も好ましい。
【0043】
このように、アルカリ性雰囲気中にある電解質溶液を強制的に、コンクリート中の中性化した部分にまで浸透させることにより、コンクリートのpHを11〜14にまで高め、さらに、内部の鋼材表面の不動被膜を再形成することによって、「中性化」という現象を解消することが可能となる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例にもとづいてさらに説明する。
【0045】
実施例1
セメント/砂重量比1/2、水・セメント重量比60%のモルタルを用いて、直径10cm、高さ10cmの円柱体を作り、その中心にφ10mmの鋼棒を、かぶり厚4.5cmになるように設置して試験体を作製した。
この試験体を材令28日まで室内保管養生を行い、その後、炭酸ガス濃度80%の雰囲気下、3kg/cm2の圧力に加圧された密閉容器に、3ヶ月間保管して試験体を炭酸化した。
次に、この円柱体の上下面をエポキシ系樹脂を塗布して完全にシールし、この試験体を、図1に示すように、亜硝酸リチウム水溶液を水酸化カルシウムでpH調節した、pH=12.5の電解質溶液に浸漬した。
通電装置で1週間所定の電流密度の直流を流し、通電終了時点で、試験体を二つに割裂し、その割裂面にフェノールフタレインを塗布して、試験体の表面から赤色に変化した深さを測定した。
また、通電処理中に、この円柱体にひび割れが発生するかどうかの観察も行った。結果を表1に併記する。
【0046】
<使用材料>
セメント :普通ポルトランドセメント、電気化学工業社製
砂 :5号硅砂
鋼棒 :普通鋼棒、φ10mm
亜硝酸リチウム :日産化学化学工業社製商品名「LN−25」、25%水溶液
水酸化カルシウム:和光純薬工業社製試薬1級
【0047】
【表1】
Figure 0003797675
【0048】
なお、表1で電流密度は試験体の電解質溶液に浸漬している部分で、塗料でシールした部分は除く表面積当たりの電流量を示す。
また、赤色に変化した深さ(mm)欄の「全面」とは、試験体の割裂面全面が赤く変化したことを示す。
【0049】
実施例2
実施例1と同様に試験体を作製した。
この試験体を材令28日まで室内保管養生を行い、その後、炭酸ガス濃度5%で相対湿度65%の雰囲気下で炭酸化の促進養生を6ヶ月間行い、試験体を炭酸化した。
つぎに、この円柱体の上下面をエポキシ・タール系の塗料にて完全にシールした。
この試験体を、図1に示すように、0.1mol/lの亜硝酸リチウムと0.5 mol/lの濃度の炭酸ナトリウムの水溶液の電解質溶液に浸漬した。
通電装置で2週間所定の電流密度の直流を流し、通電終了時点で、試験体を二つに割裂し、その割裂面にフェノールフタレインを塗布して、試験体の表面から赤色に変化した深さを測定した。結果を表2に示す。
また、通電処理中に、この円柱体にひび割れが発生するかどうかの観察も行ったので、その結果も併せて表2に併記する。
【0050】
<使用材料>
炭酸ナトリウム:和光純薬工業社製試薬1級
【0051】
【表2】
Figure 0003797675
【0052】
実施例3
実施例1と同様に試験体を作製した。
この試験体を材令28日まで室内保管養生を行い、その後、炭酸ガス濃度5%、相対湿度65%の雰囲気下で炭酸化の促進養生を3ヶ月間行い、試験体を表面から1〜1.5cmのみ炭酸化した。
つぎに、この円柱体の上下面をエポキシ・タール系の塗料にて完全にシールした。
この試験体を、図1に示すように1mol/lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液の電解質溶液に浸漬した。
通電装置にて、1週間所定の電流密度の直流を流した。通電終了時点で、試験体を二つに割裂し、その割裂面にフェノールフタレインを塗布して、試験体の表面から赤色に変化した深さを測定した。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
Figure 0003797675
【0054】
実施例4
セメント/砂重量比1/2、水・セメント比60%のモルタルを用いて、断面10×10cm、長さ20cmの直方体の試験体を作製した。
なお、その試験体には、白金メッキしたφ10mmのチタン鋼棒2本を10cm離して埋設した。
この試験体の半分にエポキシ系樹脂を塗布して完全にシールした後、炭酸ガス濃度5%、相対湿度65%の雰囲気下で4ケ月養生を行い、シールしていない部分を中性化した。
中性化養生を終了してから、中性化した部分にあるチタン鋼棒を陰極とし、中性化していない部分にあるチタン鋼棒を陽極として、両極間に10mAの電流を流した。
試験体の断面積が0.01m2であるので、電流密度は1A/m2となる。
2週間通電処理後、試験体の中央部を長さ方向に、ダイヤモンドカッターで切断し、その切断面にフェノールフタレイン溶液を塗布して、赤く変色した部分を観察したところ、中性化した部分にあるチタン鋼棒の周辺部まで赤変し、チタン鋼棒が高アルカリ雰囲気に覆われていることが確認された。
【0055】
実施例5
セメント/砂重量比1/2、水・セメント重量比60%のモルタルを用いて、図2に示すような、縦20cm、横20cm、厚さが各々2、3、6、11、16、及び21cmである立方体を作り、その中心にφ10mmの鋼棒をかぶり厚さ0.5、1、2.5、5、7.5、及び10cmに設置して試験体を作製し、この試験体を材令28日まで20℃の室内に入れ、湿潤養生を行った。
つぎに、この試験体の6面のうち、かぶり厚が所定の厚みになっている2面を除いた残り4面にエポキシ系樹脂を塗布して完全にシールした。
この試験体を、図1に示すように水酸化カルシウムで、pH=12.5の電解質溶液に浸漬し、通電装置で2週間直流の電気を流した。
直流電流の制御方法として、10Vと20Vの一定電圧で行う場合と、0.75と1.5A/m2の一定電流密度で行う場合の比較を行い、それぞれにおける試験体の状態を観察した。結果を表4に示す。
【0056】
<使用材料>
砂 :姫川産川砂
鋼棒 :磨き鋼棒、φ10mm
それ以外は実施例1と同様
【0057】
【表4】
Figure 0003797675
【0058】
通常、コンクリート構造物は、その重要度や周囲の環境によってかぶり厚さが変化しており、同一コンクリート構造物の表面であってもかぶり厚さは一様ではない。
表4より明らかなように、定電圧で電力を制御した場合、コンクリートのかぶり厚さが変化するとコンクリートに過大な電流が流れてひび割れが発生する危険性がある。
また、一方、定電流密度で制御する場合、かぶり厚さが変化しても、コンクリート構造物に与える影響は少なく、ひび割れの危険性が大きく減少する。
【0059】
実施例6
実施例5と同様に試験体を作製し、湿潤養生を行った。
つぎに、この試験体の6面のうち、かぶり厚が所定の厚みになっている2面を除いた残り4面をエポキシ・タール系の塗料にて完全にシールして、実施例5と同様に1週間、直流の電気を流した。
直流電流の制御方法として、一定電圧で行う場合と一定電流密度で行う場合の比較を行い、それぞれにおけるモルタル試験体の状態を観察した。一定電圧としては、10と20ボルトとし、一定電流密度としては、0.75と1.5A/m2とした。結果を表5に示す。
【0060】
【表5】
Figure 0003797675
【0061】
表5より、定電圧で電力を制御した場合、コンクリートのかぶり厚さが変化すると、コンクリートに過大な電流が流れて、ひび割れが発生する危険性がある。また、通常コンクリート構造物は、その重要度や周囲の環境によって、かぶり厚さが変化しているので、同一構造物の表面であっても、かぶり厚さは一様ではない。一方、定電流密度で制御する場合、かぶり厚さが変化しても、コンクリート構造物に与える影響は少なく、ひび割れの危険性が大きく減少する。
【0062】
実施例7
高さ1m、周囲20m、厚み25cmで、かぶり厚約4cmの鉄筋コンクリート製の防油堤の一部、長さ4mを用いて試験を行った。
この防油堤は、築後約20年経過しており、中性化深さは約30mmであった。
このコンクリートを部分的にはつり、コンクリート内部の鉄筋を陰極とし、さらに、コンクリートの表面に直径4mmで10cm間隔のワイヤーメッシュを固定した後、紙パルプの粉砕品と炭酸ナトリウム水溶液を同時に吹き付けて、コンクリート表面に陽極を形成した。
これに、電流密度1.0A/m2の直流電流を1週間かけて、電解質溶液をコンクリート内部へと浸透させた。1週間後、コンクリート表面の陽極と紙パルプとを取り除き、実施例1と同様にコンクリートの中性化深さを測定したところ、コアリングして採取したコンクリートサンプル全面にわたって、フェノールフタレインで赤色に変化したので、中性化していた部分のpHが高くなり、再アルカリ化が可能になったことが確認できた。
なお、炭酸ナトリウム水溶液を用いたのは、このコンクリートに使用された骨材がアルカリ骨材反応を引き起こす危険性がなかったためである。
【0063】
実施例8
実施例7と同様に陰極と陽極を形成した。
これに、電流密度1.0A/m2の直流電流を1ヶ月間流し、電解質溶液をコンクリート内部へと電気的に浸透させた。
1ヶ月後、コンクリート表面の陽極と紙パルプとを取り除き、実施例1と同様にコンクリートの中性化深さを測定したところ、コンクリートの深さ全体にわたって、フェノールフタレインにて赤色に変化したので、中性化していた部分のpHが高くなり、再アルカリ化が可能になったことが確認できた。
【0064】
実施例9
築後約30年経過した、高さ1m、周囲20m、厚み25cmで、かぶり厚4cmのダブル配筋の鉄筋コンクリート製の防油堤の一部、長さ4mを用いて、試験を行った。
この防油堤の中性化深さは、外側45mmで、内側30mmであった。
このコンクリートを部分的にはつり、コンクリート内部の鉄筋を内部電極とし、コンクリート表面に、径4mmで間隔10cmのワイヤーメッシュを固定した後、紙パルプに水酸化カルシウムと炭酸ナトリウム水溶液を含ませたものを吹付け、外部電極とした。
中性化した部分にある外側の鉄筋を陰極とし、中性化していない部分にある内側の鉄筋と外部電極を陽極とした。
両極間に、電流密度1.5A/m2の直流電流を2週間かけて、電解質溶液を電気的に移動した。
2週間後、コンクリート表面の外部電極と紙パルプを取り除き、コンクリートの中性化深さを測定した。その結果、コンクリートの深さ全体にわたって、フェノールフタレインで赤色に変化したので、中性化していた部分のpHが高くなり、再アルカリ化が可能になったことが確認できた。
なお、このコンクリートに使用された鉄筋は、外側と内側が接触しておらず、電気的に絶縁されていたために、内側の鉄筋にも陽極を設置した。
【0065】
【発明の効果】
本発明の方法を用いると、中性化したコンクリート構造物のpHを高めて、再度コンクリートのアルカリ性を回復できるので、鋼材表面の不動態被膜の再形成が可能となる。
従って、コンクリートと鋼材との組み合わせによって、成り立っているコンクリート構造物の耐久性をほぼ完ぺきに回復させることが可能である。
また、本発明の方法では、対象とするコンクリートの表面積当たりの一定電流密度で電力の制御を行うため、コンクリートのかぶり厚さに影響されることなく、電力供給時間と回復効果の関係が一定となり、回復作業の簡便化が期待できる。
さらに、過電流によるコンクリートのひび割れ発生を防止することが可能なために、より安全な回復作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、試験に用いた時の電流の通電方法の概略図である。
【図2】図2は、試験に用いた試験体の斜視図である。
【符号の説明】
1 鋼棒
2 モルタル硬化体
3 容器
4 電解質溶液
5 陽極
6 定電流直流電源又は定電圧直流電源
7 電流計又は電圧計
8 樹脂塗布面

Claims (4)

  1. 中性化した部分を有するコンクリート内及び/又は中性化した部分を有するコンクリート表面に1以上の電極を設置し、中性化した部分にある鋼材を陰極とし、コンクリート中のアルカリ性雰囲気中の、及び/又は、コンクリート表面のアルカリ性雰囲気中の電極を陽極とし、若しくは、中性化した部分をはさんで、陰極及び陽極を設置し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A/mを超えて10A/m以下の一定電流密度で電流を流すことを特徴とする中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法。
  2. コンクリートの中性化した部分にある鋼材を陰極とし、コンクリート表面にアルカリ性雰囲気中の陽極を形成し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A/mを超えて10A/m以下の一定電流密度で電流を流すことを特徴とする中性化したコンクリートのアルカリ度の回復方法。
  3. コンクリート内の中性化した部分に陰極を設置し、コンクリート内部のアルカリ性雰囲気中に陽極を設置し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A/mを超えて10A/m以下の一定電流密度の電流を流すことを特徴とする中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法。
  4. コンクリート内の中性化した部分を挟んで陰極と陽極を設置し、両極間に、コンクリート表面積当たり0.1A/mを超えて10A/m以下の一定電流密度の電流を流すことを特徴とする中性化した部分を有するコンクリートのアルカリ度の回復方法。
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