JP2003073815A - スパッタリングターゲットとその製造方法 - Google Patents
スパッタリングターゲットとその製造方法Info
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Abstract
−Al−N膜などの成膜用のTi−Al合金ターゲット
において、不純物量の低減を図った上で、ターゲットの
製造歩留りを高めると共に、膜品質の向上などを図る。 【解決手段】 スパッタリングターゲットはAlを5〜5
0原子%の範囲で含有するTi−Al合金からなる。こ
のようなTi−Al合金ターゲットにおいて、ターゲッ
トの酸素含有量を500ppm以下、窒素含有量を50ppm以
下、および炭素含有量を100ppm以下とすると共に、ター
ゲット全体としての酸素含有量、窒素含有量および炭素
含有量のばらつきをそれぞれ20%以下とする。また、タ
ーゲットのZr含有量およびHf含有量をそれぞれ100p
pb以下、さらにターゲットのCu含有量を10ppm以下お
よびAg含有量を1ppm以下とする。
Description
対する拡散防止層の形成に好適なスパッタリングターゲ
ットとその製造方法に関する。
いた強誘電体メモリ(FeRAM)などの開発が盛んに
行われており、DRAMの代替メモリとして期待されて
いる。このようなFeRAMにおいては、ジルコン酸チ
タン酸鉛(PbZrO3とPbTiO3との固溶体(PZ
T))、チタン酸バリウム(BaTiO3(BT
O))、チタン酸バリウム・ストロンチウム(BaaS
r1-aTiO3(BSTO))などの強誘電体の薄膜が用
いられている。
eRAMなどのメモリデバイスにおいては、従来から用
いられてきたポリシリコン電極に代えて、Pt、Ir、
Ruなどの貴金属電極やIrOx、PtOx、RuOxな
どの酸化物電極が用いられるようになってきており、こ
れらの電極で誘電体薄膜をサンドイッチした構造が採用
されている。このようなデバイス構造において、酸化物
系誘電体薄膜の形成には600℃以上の温度が要求されて
おり、半導体プロセスの中でも特に高温のプロセスとな
る。さらに、酸化物系の誘電体薄膜を形成することか
ら、酸素雰囲気中で薄膜を形成することが多い。
スを実用化するにあたっては、例えばスイッチ用トラン
ジスタを形成した半導体基板と酸化物系誘電体薄膜を用
いたメモリセル(薄膜キャパシタ)とを組合せる必要が
ある。具体的には、トランジスタが形成されたSi基板
のWプラグ上に、貴金属電極や酸化物電極と酸化物系誘
電体薄膜とを順に形成する。この際、酸化物系誘電体薄
膜は上述したように高温酸素雰囲気下などで形成される
ことから、誘電体薄膜や電極中の酸素がSi基板側に拡
散しやすく、例えばWプラグの酸化などの問題を招いて
いる。Wプラグの酸化は体積膨張を伴うため、界面での
剥離などが生じてしまう。
体薄膜を用いた薄膜キャパシタと半導体基板との間に、
これらの構成元素(特に酸素)の相互拡散を防ぐ拡散防
止層(バリア層)を形成することが有効である。半導体
デバイスにおいては、一般にTiN膜やTaN膜が拡散
防止層として用いられているが、これらは耐酸化性に劣
ることから、酸化物系誘電体薄膜を有する半導体デバイ
スの拡散防止層としては、TiNとAlNとの固溶体で
あるTil-xAlxN(Ti−Al−N)膜が使用されて
いる。Ti−Al−N膜のAl組成に関しては、耐熱性
を高める上で増加させる方向にシフトしており、例えば
Alを25〜50原子%の範囲で含むような合金組成が適用
されるようになってきている。
定であり、耐酸化性にも優れている。このような拡散防
止層としてのTi−Al−N膜は、Ti−Al合金ター
ゲットを用いて、ArとN2の混合ガス雰囲気中で反応
性スパッタすることにより形成されている。Ti−Al
−N膜の形成に用いられるTi−Al合金ターゲット
は、溶解法や焼結法を適用して作製することが一般的で
ある。
金ターゲットには、素子特性の劣化原因やダストの発生
原因などとなる不純物量を低減することが求められるこ
とから、高純度材が得られやすい溶解法が主に用いられ
ている。溶解法でTi−Al合金ターゲットを作製する
場合には、まずTi材とAl材を真空アーク溶解や電子
ビーム(EB)溶解などの真空溶解技術を適用して溶解
し、所定の組成比を有するTi−Al母合金を作製す
る。
1000℃以上に加熱して、鍛造や圧延などの熱間加工を施
した後、再度1000℃以上の温度で熱処理する。ここで、
ターゲットを構成するTi−Al合金の結晶粒径やその
ばらつきはダスト発生や薄膜の膜厚均一性などに影響を
及ぼすことから、熱間加工後にTi−Al合金の再結晶
化のための熱処理が必要となる。このようにして作製し
たターゲット素材(Ti−Al合金素材)を所定のター
ゲット形状に機械加工した後、バッキングプレートと接
合することにより、目的とするターゲットが得られる。
ットを作製する場合には、熱間加工時に発生する合金材
のクラック、特に材料外周部に発生するワレやカケが問
題となっている。Ti単体やAl単体では、塑性加工を
施してもワレやカケなどはほとんど発生しない。これは
延性を妨害する物質が少ないためである。これに対し
て、Ti−Al合金ではTi3AlやAl3Tiなどの金
属間化合物が形成され、これら金属間化合物は一般的に
脆いという特性を有するため、熱間加工時にワレやカケ
などが発生しやすいという問題が生じている。
l合金材を高温に加熱して、原子の移動性を高めた状態
で塑性加工を施しているが、このような高温状態におい
てもクラックの発生を十分に抑制することができず、タ
ーゲットの製造歩留りを低下させている。特に、Alを
多量に含有するTi−Al合金(例えばAl含有量が25
〜50原子%)では、金属間化合物が形成されやすいこと
から、熱間加工時のクラック発生が問題となっている。
により作製する場合には、熱間加工などを施すことなく
所定のターゲット形状が得られると共に、結晶粒径の微
細化などを図ることができる。焼結法はサイズ依存性が
なく、またターゲット組成の均一化などに対しても有効
である。しかし、不純物の観点からは粉末作製時に不純
物元素で汚染されやすく、また原料の比表面積が大きい
ために、特にガス成分を多量に吸着しやすいという問題
がある。酸素や窒素などのガス成分はスパッタ時に異常
放電の発生原因となり、これによりダスト量などが増大
する。このようなことから、焼結ターゲットにおいては
不純物量、特に酸素や窒素などのガス成分の含有量を低
減することが求められている。
〜65質量%の範囲で含有するTi−Al合金ターゲット
が示されており、ここではNaやKなどのアルカリ金属
の含有量やFe、Ni、Coなどの遷移金属の含有量、
さらには酸素、炭素、水素、窒素などのガス成分の含有
量を低減することが記載されている。しかし、上記公報
は溶解法を適用したTi−Al合金ターゲットを前提と
しており、焼結法を適用したTi−Al合金ターゲット
の高純度化については何等記載されていない。さらに、
溶解法を適用したTi−Al合金ターゲットの熱間加工
性の改善についても何等記載されていない。
を用いた成膜工程に関しては、成膜時のプラズマ状態の
不安定さが問題になっている。すなわち、従来のTi−
Al合金ターゲットを用いて反応性スパッタを行った場
合、長時間連続成膜するとプラズマが不安定な状態にな
り、結果的に放電が切れてしまうという問題が発生す
る。また、プラズマ状態が不安定になると異常放電の発
生回数も増加する。これらは素子歩留りの低下原因とな
っている。このようなことから、Ti−Al合金ターゲ
ットを用いたスパッタ工程においてはプラズマの安定
化、さらには異常放電の減少などを図ることが強く求め
られている。
なされたもので、Ti−Al−N膜などを成膜する際に
用いられるTi−Al合金ターゲットにおいて、不純物
量の低減を図った上で、ターゲットの製造歩留りを高
め、さらには膜品質の向上を図ることを可能にしたスパ
ッタリングターゲットとその製造方法を提供することを
目的としている。より具体的には、製造歩留りや結晶粒
径の微細化などに優れる焼結ターゲットの不純物量(特
にガス成分量)を低減することを可能にしたスパッタリ
ングターゲットとその製造方法、高純度化が可能な溶解
ターゲットの製造歩留りを高めることを可能にしたスパ
ッタリングターゲット、さらに異常放電などを抑制して
膜の歩留りや品質などを向上させることを可能にしたス
パッタリングターゲットを提供することを目的としてい
る。
パッタリングターゲットは、請求項1に記載したよう
に、Alを5〜50原子%の範囲で含有するTi−Al合
金からなるスパッタリングターゲットであって、前記タ
ーゲットの酸素含有量が500ppm以下、窒素含有量が50pp
m以下、および炭素含有量が100ppm以下であり、かつタ
ーゲット全体としての前記酸素含有量、窒素含有量およ
び炭素含有量のばらつきがそれぞれ20%以下であること
を特徴としている。
に請求項2に記載したように、Ti−Al合金の平均結
晶粒径が10mm以下であり、かつターゲット全体としての
平均結晶粒径のばらつきが20%以下であることを特徴と
している。このような第1のスパッタリングターゲット
は、Ti−Al合金の焼結材を具備するTi−Al合金
ターゲットに対して特に有効である。
法は、請求項11に記載したように、Ti材とAl材を
真空溶解法により溶解してTi−Al母合金を作製する
工程と、前記Ti−Al母合金を回転電極法により粉体
化する工程と、前記Ti−Al合金粉末を焼結してター
ゲット素材を作製する工程と、前記ターゲット素材を所
望のターゲット形状に加工する工程とを具備することを
特徴としている。
を十分に低減したTi−Al母合金を、回転電極法を適
用して粉体化することによって、高純度でかつ粒径が揃
ったTi−Al合金粉末が得られる。このようなTi−
Al合金粉末を原料として用いてTi−Al合金の焼結
材を作製し、この焼結材(ターゲット素材)をターゲッ
ト形状に加工することによって、酸素、窒素、炭素など
の不純物ガス成分量が少ないだけでなく、そのばらつき
(ターゲット全体としての不純物含有量のばらつき)を
十分に抑制したTi−Al合金ターゲットを得ることが
できる。このようなTi−Al合金ターゲットによれ
ば、不純物ガス成分に起因する異常放電やダスト発生な
どを抑制した上で、例えば結晶粒径の微細化や各種ター
ゲットサイズへの対応などを図ることが可能となる。
ゲットは、請求項5に記載したように、Alを5〜50原
子%の範囲で含有するTi−Al合金からなるスパッタ
リングターゲットであって、前記ターゲットのZr含有
量およびHf含有量がそれぞれ100ppb以下であることを
特徴としている。
に請求項6に記載したように、ターゲット全体としての
Zr含有量およびHf含有量のばらつきがそれぞれ20%
以下であることを特徴としている。このような第2のス
パッタリングターゲットは、Ti−Al合金の溶解材を
具備するTi−Al合金ターゲットに対して特に有効で
ある。
あり、Tiと親和性を有することから、Ti材中に不純
物として存在しやすい元素である。このようなZrやH
fがTi−Al合金材中に比較的高濃度に存在している
と、熱間加工時にワレやカケなどが発生しやすくなる。
これに対して、例えば熱間加工を施すTi−Al合金材
中のZr含有量およびHf含有量、さらにはこれらの含
有量のばらつきを低減することによって、熱間加工時の
ワレやカケなどの発生を抑制することが可能となる。従
って、上述したZr含有量およびHf含有量を満足させ
たTi−Al合金ターゲットによれば製造歩留りの向上
を図ることが可能となる。
ゲットは、請求項7に記載したように、Alを5〜50原
子%の範囲で含有するTi−Al合金からなるスパッタ
リングターゲットであって、前記ターゲットのCu含有
量が10ppm以下、およびAg含有量が1ppm以下であるこ
とを特徴としている。
に請求項8に記載したように、ターゲット全体としての
前記Cu含有量およびAg含有量のばらつきがそれぞれ
30%以下であることを特徴としている。このような第3
のスパッタリングターゲットは、Ti−Al合金の溶解
材および焼結材のいずれを具備するTi−Al合金ター
ゲットに対しても有効である。
オン化率を示す元素であり、このような元素がTi−A
l合金ターゲット中に比較的高濃度に存在していると、
スパッタ成膜時にこれらの元素が自己維持放電を起こ
し、プラズマ状態が不安定になると共に、異常放電の発
生回数が増加する。これに対して、Ti−Al合金ター
ゲット中のCu含有量およびAg含有量、さらにはこれ
らの含有量のばらつきを低減することで、長時間連続成
膜時のプラズマ状態を安定化させることができると共
に、異常放電によるダストの発生などを抑制することが
可能となる。
態について説明する。本発明のスパッタリングターゲッ
トは、Alを5〜50原子%の範囲で含有するTi−Al
合金からなり、例えば耐酸化性に優れる拡散防止層(バ
リア層)として用いられるTi−Al−N(Til-xA
lxN(0.05≦x≦0.5))膜の形成などに適用されるも
のである。
リングターゲット(Ti−Al合金ターゲット)中のA
l組成が5原子%未満であると、耐酸化性の向上効果を
十分に得ることができない。例えば、Al組成が5原子
%未満のTi−Al合金ターゲットを用いて形成したT
i−Al−N膜は酸化が進行しやすく、その上に形成し
た膜、例えば薄膜キャパシタの下部電極との付着力が低
下して剥がれなどが生じやすくなる。Al組成が増加す
るほど高温域での耐酸化性が向上するため、Al組成は
25原子%以上であることが好ましい。
に耐酸化性が劣化し、酸素やその他の可動イオンなどが
拡散防止層としてのTi−Al−N膜を容易に通り抜け
てしまうようになるため、Ti−Al合金ターゲット中
のAl組成は50原子%以下とする。また、Al組成が50
原子%を超えると、Ti−Al−N膜の抵抗率なども増
加して、素子特性の低下などを招くことになる。このよ
うな点からもAl組成は50原子%以下とする。
酸化性を高めるだけでなく、酸素のトラップ材などとし
ても機能する。例えば、Ti−Al−N膜上にSrRu
O3(SRO)などの導電性酸化物からなる電極膜を形
成した場合、この導電性酸化物中の酸素が半導体基板な
どの成膜基板中に拡散することを抑制することが可能と
なる。Ti−Al合金ターゲット中のAl組成(Al含
有量)は、拡散防止層の耐酸化性、耐熱性、バリア性な
どを高める上で、特に25〜50原子%の範囲とすることが
好ましい。
ゲットは、上述したようなAl組成を有するTi−Al
合金ターゲットにおいて、酸素含有量を500ppm以下、窒
素含有量を50ppm以下、炭素含有量を100ppm以下とする
と共に、ターゲット全体としての酸素含有量、窒素含有
量および炭素含有量のばらつきをそれぞれ20%以下とし
たものである。このような第1のTi−Al合金ターゲ
ットは、Ti−Al合金の焼結材を具備する焼結ターゲ
ットに対して特に効果を発揮するものである。
は、溶解ターゲットのように熱間加工を施すことなく、
所望サイズおよび所望形状のターゲットを容易に得るこ
とができると共に、結晶粒径の微細化を図ることができ
る反面、従来のTi−Al合金粉末を用いた焼結ターゲ
ットでは不純物量、特に酸素、窒素、炭素などのガス成
分量を十分に低減することが難しいという欠点が存在し
ていた。これに対して、後に詳述する本発明の製造方法
を適用することによって、酸素、窒素および炭素の含有
量を十分に低減したTi−Al合金ターゲット、特に焼
結ターゲットを得ることが可能となる。
て存在する酸素、窒素および炭素は、いずれもスパッタ
時に異常放電の発生原因となり、これによりダスト量な
どが増加する。このようなことから、第1のTi−Al
合金ターゲットにおいては酸素含有量を500ppm以下、窒
素含有量を50ppm以下、炭素含有量を100ppm以下として
いる。酸素、窒素および炭素の含有量が上記した範囲を
超えると、ダストの発生量が大幅に増加する。
素は、当該ターゲットをスパッタすることで得られるT
i−Al−N膜の酸化を促進し、その上に形成される例
えば薄膜キャパシタの下部電極の付着力などを低下させ
る。また、Ti−Al−N膜自体の耐酸化特性の低下原
因となる。このような点からも、Ti−Al合金ターゲ
ットの酸素含有量は500ppm以下とする。ターゲットの酸
素含有量は300ppm以下とすることがさらに好ましい。た
だし、Ti−Al合金ターゲットから完全に酸素を除去
してしまうと、得られるTi−Al−N膜の拡散防止性
能が低下するおそれがあることから、微量の酸素を含ん
でいることが好ましい。具体的には、Ti−Al合金タ
ーゲットの酸素含有量は10〜500ppmの範囲、さらには10
〜300ppmの範囲とすることが好ましい。
する窒素は、得られるTi−Al−N膜などの特性低下
原因、特に比抵抗のばらつきの原因となる。このような
ことからも、Ti−Al合金ターゲットの窒素含有量は
50ppm以下とする。ターゲットの窒素含有量は30ppm以下
とすることがさらに好ましい。同様に、Ti−Al合金
ターゲット中に存在する炭素は、ターゲットの焼結性に
悪影響を及ぼす原因となることから、ターゲットの炭素
含有量は100ppm以下とする。炭素含有量は60ppm以下と
することがさらに好ましい。
および炭素の存在形態に関しては、ターゲット全体とし
ての酸素含有量、窒素含有量および炭素含有量にばらつ
きが生じていると、得られる薄膜(Ti−Al−N膜な
ど)の特性、例えば比抵抗の面内均一性が低下する。さ
らに、Ti−Al−N膜の拡散防止性能などにもばらつ
きが生じやすくなる。このため、ターゲット全体として
の酸素含有量、窒素含有量および炭素含有量のばらつき
はそれぞれ20%以下とする。これらガス成分の含有量の
ばらつきはそれぞれ10%以下とすることがさらに好まし
い。
は、Mg含有量が50ppm以下、Mn含有量が50ppm以下、
およびSi含有量が100ppm以下で、かつターゲット全体
としてのMg含有量、Mn含有量およびSi含有量のば
らつきがそれぞれ20%以下であることが好ましい。M
g、MnおよびSiの各元素はTi−Al合金ターゲッ
ト中のガス成分、すなわち酸素、窒素および炭素を安定
的に吸着して脱ガスを妨げるため、これら各元素の含有
量はそれぞれ上記した範囲内とすることが好ましい。M
g、MnおよびSiの各元素のより好ましい含有量は、
それぞれMgは30ppm以下、Mnは30ppm以下、Siは50
ppm以下である。
およびSiの各含有量のばらつきが大きいと、脱ガスを
妨げると共に、得られる薄膜の特性の均一性などが低下
することから、各元素の含有量のターゲット全体として
のばらつきは20%以下とすることが好ましい。Mg含有
量、Mn含有量およびSi含有量のばらつきはそれぞれ
10%以下とすることがより好ましい。
含有量、窒素含有量、炭素含有量、またMg含有量、M
n含有量、Si含有量、さらにこれら各元素の含有量の
ばらつきは、以下のようにして求めた値を指すものであ
る。すなわち、例えばターゲットが円盤状の場合、ター
ゲットの中心部と、中心部を通り円周を均等に分割した
4本の直線上の中心部から50%の距離の各位置(計8個
所)、および中心部から90%の距離の各位置(計8個
所)の合計17個所からそれぞれ試験片を採取し、これら
17個の試験片の各元素の含有量をそれぞれ測定し、これ
らの測定値の平均値をTi−Al合金ターゲットの酸素
含有量、窒素含有量、炭素含有量、さらにMg含有量、
Mn含有量、Si含有量とする。
のばらつき、さらにMg、MnおよびSiの各含有量の
ばらつきは、各試験片の各元素の含有量(各測定値)の
最大値と最小値から、{(最大値−最小値)/(最大値
+最小値)}×100(%)に基づいて求めるものとす
る。なお、酸素および窒素の各含有量は不活性ガス−熱
伝導度法により測定した値とし、炭素の含有量は高周波
燃焼−赤外線吸収法により測定した値とする。また、M
g、MnおよびSiの各含有量はICP−発光分光分析
法により測定した値とする。
において、Ti−Al合金の平均結晶粒径は10mm以下、
さらには5mm以下であることが好ましく、さらにターゲ
ット全体としての平均結晶粒径のばらつきが20%以下で
あることが好ましい。このように、Ti−Al合金の結
晶粒が比較的微細で、かつターゲット全体としての平均
結晶粒径のばらつきが少ない場合に、スパッタ成膜時に
おけるダストの発生を抑制することができる。
面方位の違いによりエロージョンに差が生じるため、結
晶粒が隣り合う粒界部に凹凸が生じ、凸部に集中してス
パッタ粒子の再付着が起こる。このようにして堆積した
付着物が剥離したり、また異常放電を引き起こすなどに
よって、突発的に多量のダストが発生してしまう。Ti
−Al合金の平均結晶粒径が10mmを超えると、上記した
凹凸の高低差が非常に大きくなり、多数のダストが発生
しやすくなり、素子歩留りを低下させることになる。ま
た、ターゲット全体としての結晶粒径にばらつきが生じ
ている場合にも、同様に粒界部に凹凸が生じやすいこと
から、ダストの発生量が増加すると共に、得られる薄膜
の膜厚の面内均一性などが低下する。
金ターゲットにおいては、Ti−Al合金の平均結晶粒
径を10mm以下とすることが好ましく、さらには突発的な
ダストの抑制に有効な5mm以下とすることが望ましい。
また、ターゲット全体としての平均結晶粒径のばらつき
については、薄膜の膜厚などの面内均一性を高めること
が可能であると共に、ダストの低減にも有効な20%以下
とすることが好ましい。平均結晶粒径のばらつきは10%
以下とすることがより好ましい。これらによって、Ti
−Al−N膜などの製造歩留り、ひいてはそれを用いた
素子歩留りを向上させることが可能となる。
晶粒径およびそのばらつきについては、後述する第2お
よび第3のTi−Al合金ターゲットにおいても同様な
値を満足させることが好ましい。
は、以下のようにして求めた値を示すものとする。ま
ず、不純物含有量の測定と同様に、ターゲットの17個所
の位置からそれぞれ試験片を採取し、各試験片の表面を
HF:HNO3:H2O=1:1:1のエッチング液でエッチ
ングした後、光学顕微鏡で組織観察を行う。この光学顕
微鏡写真上に既知の面積の円を描き、円内に完全に含ま
れる結晶粒の個数(個数A)と、円周により切断される
結晶粒の個数(個数B)とを数える。測定倍率は円の中
に完全に含まれる結晶粒の個数が30個以上となるように
設定することが好ましい。円内の結晶粒の総数Nは、個
数A+個数B/2とする。この円内の結晶粒の総数Nと円
の面積Aから、A/Nにより結晶粒1個当りの平均面積
を求め、この平均面積の直径を平均粒径とする。
粒径を求め、これらの値の平均値を本発明のスパッタリ
ングターゲットの平均結晶粒径とする。さらに、平均結
晶粒径のばらつきについては、上記した各試験片(計17
個)の平均粒径の最大値と最小値から、{(最大値−最
小値)/(最大値+最小値)}×100(%)に基づいて
求めるものとする。
は、例えば以下に示す製造方法を適用することにより再
現性よく得ることができる。まず、3N以上の高純度Ti
材と4N以上の高純度Al材とを用意し、これらを所望の
組成比となるように秤量した後、例えば1×10-2Pa以下
の真空下で溶解し、所望組成のTi−Al母合金(Ti
l-xAlx(x=0.05〜0.5))を作製する。Ti原料お
よびAl原料の溶解には、真空アーク溶解法、EB溶解
法、コールドクルーシブ溶解法などを適用することが好
ましく、これら真空溶解時の雰囲気を1×10-2Pa以下と
することによって、酸素、窒素、炭素などのガス成分量
を十分に低減することができる。
電極法により粉体化する。言い換えると、回転電極法を
適用して所望組成のTi−Al合金粉末を作製する。回
転電極法によれば、真空溶解により得たガス成分量(酸
素、窒素および炭素の各含有量)が少ないTi−Al母
合金の特性を維持しつつ、所望粒径のTi−Al合金粉
末を得ることができる。回転電極法によるTi−Al合
金粉末の粒子径は500μm以下とすることが好ましい。T
i−Al合金粉末の粒子径が500μmを超えると、その後
の焼結工程において十分に高密度化できないおそれがあ
る。
ットプレス、HIP、プラズマ放電焼結などを適用して
焼結して、ターゲット素材としてのTi−Al合金の焼
結体を作製する。Ti−Al合金粉末の焼結は、真空中
にて1000〜1500℃の温度で3時間以上行うことが好まし
い。焼結温度が1000℃未満であったり、また焼結時間が
3時間未満であると、十分に高密度な焼結体を得ること
ができず、また焼結体中のガス成分量も増加するおそれ
がある。一方、焼結温度が1500℃を超えるとTi−Al
合金の結晶が異常成長し、焼結体の平均結晶粒径が粗大
化したり、また平均結晶粒径のばらつきも大きくなる。
さらに、ガス成分やMg、Mn、Siなどの含有量のば
らつきにも悪影響を及ぼす。
(Ti−Al合金の焼結材)を所望のターゲット形状に
機械加工し、Al、Cu、もしくはこれらの合金などか
らなるバッキングプレートと接合することによって、目
的とするスパッタリングターゲット(Ti−Al合金タ
ーゲット)が得られる。すなわち、焼結体からなるター
ゲット素材を用いた上で、酸素、窒素および炭素の各ガ
ス成分量を十分に低減すると共に、それらの含有量のば
らつきを抑制したTi−Al合金ターゲットを再現性よ
く得ることが可能となる。
の接合には拡散接合やろう付け接合などが採用される。
ろう付け接合は、公知のIn系やSn系の接合材(ろう
材)を用いて実施することが好ましい。また、Al系の
バッキングプレートを用いる場合には、ろう付け温度は
600℃以下とする。これはAlの融点が660℃であり、60
0℃を超えると塑性変形が生じやすくなるためである。
また、別個のバッキングプレートを使用するのではな
く、ターゲットの作製時にバッキングプレート形状を同
時に形成した一体型のスパッタリングターゲットであっ
てもよい。
ゲットは、前述したAl組成を有するTi−Al合金タ
ーゲットにおいて、Zr含有量およびHf含有量をそれ
ぞれ100ppb以下としたものである。このような第2のT
i−Al合金ターゲットにおいては、ターゲット全体と
してのZr含有量およびHf含有量のばらつきをそれぞ
れ20%以下とすることが好ましい。第2のTi−Al合
金ターゲットは、Ti−Al合金の溶解材を具備する溶
解ターゲットに対して特に効果を発揮するものである。
ンゴットに熱間加工を施した際にワレやカケなどが発生
した部分について、EPMAやSIMS、さらにGDM
Sなどの種々の手法を用いて正常部と比較したところ、
ワレやカケなどが発生した部分は正常部と比較してZr
およびHfの含有量が大きく異なることを見出した。Z
rおよびHfはTiと同じ4A族元素であり、Tiと親
和性を有することから、Ti材中に不純物として存在し
やすい。このようなZrやHfがTi−Al合金の溶解
インゴット中に比較的高濃度に存在していると、これら
が粒界部に集中して析出することから、熱間加工時にワ
レやカケなどが発生しやすくなる。
においては、例えば熱間加工を施すTi−Al合金の溶
解インゴット中のZr含有量およびHf含有量、ひいて
はTi−Al合金ターゲット中のZr含有量およびHf
含有量をそれぞれ100ppb以下としている。ZrおよびH
fの含有量をそれぞれ100ppb以下としたTi−Al合金
材を使用することによって、熱間加工時のワレやカケな
どの発生を抑制することが可能となる。言い換えると、
Ti−Al合金材中のZrやHfの含有量が100ppbを超
えると、熱間加工時にワレやカケが多数発生し、Ti−
Al合金ターゲットの製造歩留りが大幅に低下する。Z
rおよびHfの含有量はそれぞれ50ppb以下とすること
がさらに好ましい。
fの含有量にばらつきが生じている場合にも、熱間加工
時にワレやカケなどが発生しやすく、特にTi−Al合
金材の外周部に局所的にワレが生じやすくなる。このよ
うな現象はターゲット全体としてのばらつきが20%を超
えると顕著になるため、第2のTi−Al合金ターゲッ
トではZrおよびHfの含有量のばらつきをそれぞれ20
%以下とすることが好ましい。これらZrやHfの含有
量のばらつきはそれぞれ10%以下とすることがより好ま
しい。なお、第2のTi−Al合金ターゲットにおい
て、ZrやHfの含有量とそれらのばらつきは、第1の
Ti−Al合金ターゲットにおけるガス成分量とそのば
らつきと同様にして求めるものとする。
においても、ガス成分量(酸素、窒素、炭素)とそのば
らつき、またTi−Al合金の平均結晶粒径とそのばら
つきを、第1のTi−Al合金ターゲットと同様に制御
することが好ましい。これらによって、ダストの発生を
抑制することが可能となると共に、得られる薄膜の特性
や膜厚の面内均一性などを高めることができる。
ゲットは、前述したAl組成を有するTi−Al合金タ
ーゲットにおいて、Cu含有量を10ppm以下およびAg
含有量を1ppm以下としたものである。このような第3の
Ti−Al合金ターゲットにおいては、ターゲット全体
としてのCu含有量およびAg含有量のばらつきをそれ
ぞれ30%以下とすることが好ましい。第3のTi−Al
合金ターゲットは、Ti−Al合金の溶解材および焼結
材のいずれを具備するターゲットに対しても効果を発揮
するものである。
でも最も高いイオン化率を示す元素である。このような
元素がTi−Al合金ターゲット中に比較的高濃度に存
在していると、スパッタ成膜時にこれらの元素(Cuお
よびAg)自体がイオン化してターゲットに戻り、自己
維持放電を引き起こすことになる。このような自己維持
放電が起こると、長時間成膜時にプラズマが不安定な状
態となったり、また異常放電を誘発してダストの発生量
などを増加させる。
においては、Cu含有量を10ppm以下およびAg含有量
を1ppm以下としている。このようなTi−Al合金ター
ゲットを用いることによって、長時間連続成膜時のプラ
ズマ状態を安定化させることができると共に、異常放電
によるダストの発生などを抑制することが可能となる。
言い換えると、Ti−Al合金ターゲット中のCu含有
量が10ppmを超えると、連続放電に悪影響を及ぼし、異
常放電が増加して突発ダストが多数発生する。Ag含有
量が1ppmを超える場合も同様である。Ti−Al合金タ
ーゲット中のCu含有量は5ppm以下とすることがさらに
好ましく、またAg含有量は500ppb以下とすることがさ
らに好ましい。
およびAgの含有量にばらつきが生じている場合には、
得られる薄膜の膜厚や比抵抗などの特性の均一性が損な
われるおそれが大きくなるため、第3のTi−Al合金
ターゲットにおいてはCuおよびAgの含有量のばらつ
きをそれぞれ30%以下とすることが好ましい。これら元
素の含有量のばらつきはそれぞれ15%以下とすることが
より好ましい。なお、第3のTi−Al合金ターゲット
において、CuやAgの含有量とそれらのばらつきは、
第1のTi−Al合金ターゲットにおけるガス成分量と
そのばらつきと同様にして求めるものとする。
においても、ガス成分量(酸素、窒素、炭素)とそのば
らつき、またTi−Al合金の平均結晶粒径とそのばら
つきを、第1のTi−Al合金ターゲットと同様に制御
することが好ましい。これらによって、ダストの抑制効
果や薄膜の特性の均一性などをより一層高めることが可
能となる。加えて、第3のTi−Al合金ターゲットに
溶解材を適用する場合には、ZrおよびHfの各含有量
とそのばらつきを、第2のTi−Al合金ターゲットと
同様に制御することが好ましい。これらによって、ター
ゲットの製造歩留りを高めることができる。
ターゲットは、例えば以下に示す製造方法を適用するこ
とにより再現性よく得ることができる。ここでは、溶解
ターゲットについて主として説明する。
Ti)を用意し、これを例えばEB溶解する。この際、
EB溶解の真空チャンバ内を1×10-5Pa以下の真空雰囲
気とすることが好ましく、さらにEB溶解は3回以上繰
り返し行うことが好ましい。このような条件下でEB溶
解を行うことで、Ti材中のZrやHf、またCuやA
gの含有量を所定値以下とすることができる。特に、Z
rやHfはTiからの分離が難しいことから、例えばE
B溶解の繰り返し回数を5回以上とすることが好まし
い。
有量のみを低減する場合には市販の4N以上のAl材をそ
のまま用いてもよいが、CuやAgの含有量を低減する
場合には4N以上のAl材を例えばゾーンリファイニング
法を用いて3回以上処理することが好ましい。このよう
な処理を適用することによって、CuやAgの含有量を
所定値以下とすることができる。
材とAl材を所望の組成比となるように秤量した後、例
えば真空アーク溶解法、EB溶解法、コールドクルーシ
ブ溶解法などを適用して溶解し、所望組成のTi−Al
母合金(Til-xAlx(x=0.05〜0.5))のインゴッ
トを作製する。インゴットのサイズは直径100〜300mmの
範囲とすることが好ましい。ここで、真空溶解に用いら
れるるつぼはCuが主流であるが、Cuるつぼを用いる
と溶解された鋳塊が凝固していく過程で、鋳塊の表面に
CuるつぼからわずかにCuが拡散するおそれがある。
このようなCuの拡散を防ぐためには、Auるつぼを使
用することが好ましい。
焼結ターゲットを適用する場合には、上述したようなT
i−Al合金インゴットを回転電極法により粉末化し、
このTi−Al合金粉末を前述したような方法で焼結す
ることによって、焼結材からなる第3のTi−Al合金
ターゲットを得ることができる。
に対して、熱間鍛造や圧延などの塑性加工を施す。Zr
やHfの含有量を低減したTi−Al合金インゴットを
使用することによって、熱間加工時のワレやカケの発生
を抑制することが可能となる。また、この際の加工率は
50〜98%の範囲とすることが好ましい。さらに、Zrや
Hfの含有量、またCuやAgの含有量のばらつきを制
御する上で、熱間加工時の熱処理温度と保持時間が重要
となる。具体的には、熱処理温度は1100〜1500℃の範囲
とすることが好ましく、またそのような温度での保持時
間は3時間以上とすることが好ましい。
℃未満であると、塑性加工の最中にワレやカケなどが生
じやすくなってしまう。一方、熱処理温度が1500℃を超
えると、Ti−Al合金の結晶粒径が粗大化してしま
い、ターゲットに要求される特性として重要な平均結晶
粒径を十分に制御することができなくなる。さらに、拡
散係数が高いCuやAgが素材表面部に積極的に現れる
ようになるため、これらの含有量のばらつきが大きくな
りやすくなる。
してのTi−Al合金材(溶解・加工材)に1000〜1500
℃の温度で2時間以上の熱処理を施し、Ti−Al合金
を再結晶化させる。再結晶化のための熱処理温度は、結
晶粒の粗大化を抑制する上で1000〜1500℃の範囲とする
ことが好ましい。そして、熱処理後のTi−Al合金材
を所望のターゲット形状に機械加工した後、Al、C
u、もしくはこれらの合金などからなるバッキングプレ
ートと接合することによって、目的とするスパッタリン
グターゲット(Ti−Al合金ターゲット)が得られ
る。
ト素材を用いた上で、熱間加工時のワレやカケなどの発
生を抑制することができるため、Ti−Al合金ターゲ
ットの製造歩留りを大幅に高めることが可能となる。さ
らには、CuやAgの含有量を十分に低減すると共に、
それらの含有量のばらつきを抑制したTi−Al合金タ
ーゲットを再現性よく得ることができる。バッキングプ
レートとの接合には、前述した方法が適用される。
(Ti−Al合金ターゲット)中の上述した各元素以外
の不純物元素については、一般的な高純度金属材のレベ
ル程度であれは多少含んでいてもよい。Ti−Al合金
ターゲットの純度は、[100−(Fe,Ni,Cr,N
a,K,U,Thの合計含有量)]×100(%)で表さ
れる純度が99.9%以上であることが好ましい。
−Al合金ターゲット)は、例えばTi−Al−N膜
(Ti1-xAlxN膜(0.05≦x≦0.5))の成膜に用い
られるものである。このようなTi−Al−N膜は、本
発明のTi−Al合金ターゲットを用いて、例えばAr
とN2の混合ガス中で反応性スパッタを行うことで得る
ことができる。得られるTi−Al−N膜は拡散防止層
としての特性に優れると共に、ダストの混入数も大幅に
低減されたものとなる。すなわち、本発明のTi−Al
合金ターゲットを用いることによって、特性および品質
に優れる拡散防止層(Ti−Al−N膜)を歩留りよく
得ることができる。
めとする各種元素に対するバリア特性、特に高温下での
バリア特性に優れ、かつ抵抗率が200μΩ・cm以下とい
うような低抵抗を有する。従って、このようなTi−A
l−N膜を半導体基板と各種素子との間の拡散防止層と
して用いることによって、例えば高温アニール(例えば
600℃以上)による酸素や他の元素の相互拡散を防ぐこ
とができる。また、Ti−Al−N膜自体の酸化も防ぐ
ことができるため、素子構成層との界面での付着力の低
下を抑えることが可能となる。すなわち、素子構成層の
剥がれなどを抑制することができる。
に対する拡散防止層として好適である。具体的には、ス
イッチ用トランジスタを形成した半導体基板とペロブス
カイト型酸化物からなる誘電体薄膜を用いた薄膜キャパ
シタ(メモリセル)とを組合せた、FeRAMやDRA
Mなどの半導体メモリに対して特に有効である。
を用いて成膜したTi−Al−N膜を拡散防止層として
具備する電子部品(FeRAMやDRAMなどの半導体
メモリ)の一構成例を示す断面図である。同図におい
て、1は図示を省略したスイッチ用トランジスタが形成
された半導体基板(Si基板)であり、図示しないスイ
ッチ用トランジスタに電気的に接続されたWプラグ2を
有している。この半導体基板1上には拡散防止層とし
て、上述した本発明のスパッタリングターゲットを用い
て形成したTi−Al−N膜3が形成されており、さら
にその上に薄膜キャパシタ4が形成されている。
上に順に形成された下部電極5、誘電体薄膜6および上
部電極7を有している。下部電極5には、Pt、Au、
Pd、Ir、Rh、Re、Ruなどの貴金属、およびそ
れらの合金(Pt−RhやPt−Ruなど)、あるいは
SrRuO3、CaRuO3、BaRuO3およびこれら
の固溶系(例えば(Ba,Sr)RuO3や(Sr,C
a)RuO3)などの導電性ペロブスカイト型酸化物が
使用される。上部電極7の構成材料は特に限定されるも
のではないが、下部電極5と同様に貴金属(合金を含
む)や導電性ペロブスカイト型酸化物などを使用するこ
とが好ましい。
結晶構造を有する誘電性材料が好適である。このような
誘電性材料としては、ABO3で表されるペロブスカイ
ト型酸化物が挙げられる。特に、チタン酸バリウム(B
aTiO3(BTO))や、このBTOのAサイト元素
(Ba)の一部をSrやCaなどの元素で置換したり、
またBサイト元素(Ti)の一部をZr、Hf、Snな
どの元素で置換したペロブスカイト型酸化物(BSTO
など)が好ましく用いられる。
以外のペロブスカイト型酸化物、例えばSrTiO3、
CaTiO3、BaSnO3、BaZrO3などの単純ぺ
ロブスカイト型酸化物、Ba(Mg1/3Nb2/3)O3、
Ba(Mg1/3Ta2/3)O3などの複合ぺロブスカイト
型酸化物、およびこれらの固溶系などを適用することも
可能である。ぺロブスカイト型酸化物の組成について
は、化学量論比からの多少のずれは許容されることは言
うまでもない。
ア特性および耐酸化性に優れるTi−Al−N膜3から
なる拡散防止層によって、半導体基板1上にその特性を
低下させることなく薄膜キャパシタ4を良好に形成する
ことができる。特に、薄膜キャパシタ4の下部電極5と
Ti−Al−N膜3との間の剥離、またTi−Al−N
膜3とWプラグ2との間の剥離などを良好に抑制するこ
とができる。Ti−Al−N膜3の膜厚は、拡散防止効
果が得られる範囲内で薄い方がよく、具体的には10〜50
nmの範囲とすることが好ましい。
価結果について説明する。
i−30原子%Al組成の配合となるように秤量した。次
いで、これらを1×10-2Pa以下の真空中で真空アーク溶
解法により溶解し、直径80mmのTi−Al合金インゴッ
トを作製した。このTi−Al合金インゴットを直径70
mm×長さ100mmの電極材に加工した後、この電極材を用
いて回転電極法(回転数:8000rpm以上)によって、平
均粒子径が300μmのTi−Al合金粉末を作製した。
130mmのカーボンモールドに充填し、ホットプレス装置
を用いて焼結した。ホットプレス焼結は、真空中にて12
00℃×5時間、昇温速度10℃/min、圧力25MPaの条件下で
実施した。このようにして得たTi−Al合金の焼結体
を機械加工した後、Al製バッキングプレートとろう付
け接合し、さらに機械加工を施すことによって、直径12
7mm×厚さ5mmのTi−Al合金ターゲットを得た。
ットの酸素、窒素、炭素の各含有量とそれらのばらつ
き、Mg、Mn、Siの各含有量とそれらのばらつきを
測定した。測定方法は前述した通りである。測定装置
は、酸素および窒素についてはLECO社製TC-436、炭素に
ついてはLECO社製CS444、Mg、MnおよびSiについ
てはセイコー電子工業社製SPS-1200Aを用いた。さら
に、Ti−Al合金ターゲットの平均結晶粒径とそのば
らつきを測定、評価した。測定方法は前述した通りであ
る。これらの結果を表1および表2に示す。そして、こ
のTi−Al合金ターゲットを後述する特性評価に供し
た。
i−45原子%Al組成の配合となるように秤量した。次
いで、これらを1×10-2Pa以下の真空中でコールドクル
ーシブ法により溶解し、直径80mmのTi−Al合金イン
ゴットを作製した。このTi−Al合金インゴットを直
径70mm×長さ100mmの電極材に加工した後、この電極材
を用いて回転電極法(回転数:10000rpm以上)によっ
て、平均粒子径が150μmのTi−Al合金粉末を作製し
た。
130mmのカーボンモールドに充填し、ホットプレス装置
を用いて焼結した。ホットプレス焼結は、真空中にて14
00℃×5時間、昇温速度10℃/min、圧力30MPaの条件下で
実施した。このようにして得たTi−Al合金の焼結体
を機械加工した後、Al製バッキングプレートとろう付
け接合し、さらに機械加工を施すことによって、直径12
7mm×厚さ5mmのTi−Al合金ターゲットを得た。
ットの酸素、窒素、炭素の各含有量とそれらのばらつ
き、Mg、Mn、Siの各含有量とそれらのばらつきを
測定した。測定方法は前述した通りである。さらに、T
i−Al合金ターゲットの平均結晶粒径とそのばらつき
を測定、評価した。測定方法は前述した通りである。こ
れらの結果を表1および表2に示す。そして、このTi
−Al合金ターゲットを後述する特性評価に供した。
i−35原子%Al組成の配合となるように秤量した。次
いで、これらを1×10-2Pa以下の真空中で真空アーク溶
解法により溶解し、直径80mmのTi−Al合金インゴッ
トを作製した。このTi−Al合金インゴットを直径70
mm×長さ100mmの電極材に加工した後、この電極材を用
いて回転電極法(回転数:5000rpm以上)によって、平
均粒径が450μmのTi−Al合金粉末を作製した。
130mmのカーボンモールドに充填し、ホットプレス装置
を用いて焼結した。ホットプレス焼結は、真空中にて17
00℃×5時間、昇温速度10℃/min、圧力25MPaの条件下で
実施した。このようにして得たTi−Al合金の焼結体
を機械加工した後、Al製バッキングプレートとろう付
け接合し、さらに機械加工を施すことによって、直径12
7mm×厚さ5mmのTi−Al合金ターゲットを得た。
ットの酸素、窒素、炭素の各含有量とそれらのばらつ
き、Mg、Mn、Siの各含有量とそれらのばらつきを
測定した。測定方法は前述した通りである。さらに、T
i−Al合金ターゲットの平均結晶粒径とそのばらつき
を測定、評価した。測定方法は前述した通りである。こ
れらの結果を表1および表2に示す。そして、このTi
−Al合金ターゲットを後述する特性評価に供した。
−Al合金材を作製した。このTi−Al合金材を機械
加工した後、Al製バッキングプレートとろう付け接合
し、さらに機械加工を施すことによって、直径127mm×
厚さ5mmのTi−Al合金ターゲットを得た。
ットの酸素、窒素、炭素の各含有量とそれらのばらつ
き、Mg、Mn、Siの各含有量とそれらのばらつきを
測定した。測定方法は前述した通りである。さらに、T
i−Al合金ターゲットの平均結晶粒径とそのばらつき
を測定、評価した。測定方法は前述した通りである。こ
れらの結果を表1および表2に示す。そして、このTi
−Al合金ターゲットを後述する特性評価に供した。
る各Ti−Al合金ターゲットをそれぞれ用いて、4イ
ンチのSi基板上に反応性スパッタによりTi−Al−
N膜を100nmの厚さで成膜した。スパッタガスにはAr1
0sccmとN2 20sccmの混合ガスを用い、またスパッタ条
件は基板−ターゲット間距離:150mm、背圧:1×10-5P
a、DC出力:2kW、スパッタ時間:10minとした。この
ような条件下でスパッタ成膜した際のアーク発生回数、
および得られた各Ti−Al−N膜の膜厚均一性とダス
ト数を測定、評価した。
を使用して測定した。ダスト数はダスト測定器WM3を用
いて測定した。また、Ti−Al−N膜の膜厚均一性に
ついては、基板直径に対して端部から5mm間隔で膜厚を
被覆段差計を用いて測定し、これらの値の最大値と最小
値とから、[(最大膜厚−最小膜厚)/(最大膜厚+最
小膜厚)×100(%)]の式に基づいて膜厚均一性を求
めた。これらの結果を表3に示す。なお、各測定値は3
枚のSi基板にスパッタ成膜した際の平均値である。
よるTi−Al合金ターゲットは、いずれもアーク発生
回数が少なく、またダストの発生数も比較例1に比べて
大幅に低減されていることが分かる。また、実施例1〜
3によるTi−Al合金ターゲットを用いて成膜したT
i−Al−N膜は、いずれも膜厚の面内均一性に優れて
いることが分かる。
変化させた7種類のTi−Al合金インゴット(Ti−1
0原子%Al組成)を用意した。これらのTi−Al合
金インゴットは、Ti材のEB溶解の回数やAl材のゾ
ーンリファイニングの回数などを変化させることにより
調整したものである。
対して1100℃×3hrの熱処理を施した後、連続して熱間
鍛造を行った。この後、再結晶化のために1100℃×2hr
の条件で熱処理を施して、それぞれターゲット素材とし
てのTi−Al合金材を作製した。これら各ターゲット
素材を機械加工した後、Al製バッキングプレートとろ
う付け接合し、さらに機械加工を施すことによって、直
径300mm×厚さ5mmのTi−Al合金ターゲットをそれぞ
れ得た。
ゲットを用いて、実施例1と同一条件下でTi−Al−
N膜をスパッタ成膜した。そして、このスパッタ成膜時
におけるアーク発生回数と得られた各Ti−Al−N膜
のダスト数を、実施例1と同様にして測定、評価した。
これらの結果を表4に併せて示す。なお、各測定値は10
枚のSi基板にスパッタ成膜した際の平均値である。
びAg含有量が共に少ないTi−Al合金ターゲット
(試料1〜5)は、いずれもアーク発生回数が少なく、ま
たダストの発生数もCu含有量やAg含有量が多いTi
−Al合金ターゲット(試料6〜7)に比べて大幅に低減
されていることが分かる。
Al合金インゴット(Ti−20原子%Al組成)を用意
した。これらのTi−Al合金インゴットは、Ti材の
EB溶解の回数やAl材のゾーンリファイニングの回
数、さらにるつぼの材質などを変化させることにより調
整したものである。また、必要に応じてCuやAgを添
加して含有量やばらつきを調整した。
対して1100℃×3hrの熱処理を施した後、連続して熱間
鍛造を行った。この後、再結晶化のために1100℃×2hr
の条件で熱処理を施して、それぞれターゲット素材とし
てのTi−Al合金材を作製した。これら各ターゲット
素材を機械加工した後、Al製バッキングプレートとろ
う付け接合し、さらに機械加工を施すことによって、直
径300mm×厚さ5mmのTi−Al合金ターゲットをそれぞ
れ得た。
ゲットのCu、Agの各含有量とそれらのばらつきを測
定した。測定方法は前述した通りである。次に、各Ti
−Al合金ターゲットを用いて、実施例1と同一条件下
でTi−Al−N膜をスパッタ成膜した。そして、スパ
ッタ成膜時におけるアーク発生回数と得られた各Ti−
Al−N膜のダスト数および膜厚の面内均一性を、実施
例1と同様にして測定、評価した。これらの測定、評価
結果を表5に示す。なお、各評価結果は10枚のSi基板
にスパッタ成膜した際の平均値である。
びAg含有量が共に少ないと共に、それらのばらつきが
小さいTi−Al合金ターゲットによれば、ダストの発
生数を低減することが可能であると共に、膜厚の面内均
一性に優れるTi−Al−N膜が再現性よく得られるこ
とが分かる。
材)と4NのAl材を用意した。Ti材については、用意
した針状TiのEB溶解の回数を変化させ、数種類のT
i鋳塊を作製した。このようなTi材とAl材をTi−
10原子%Al組成の配合となるように秤量した。次い
で、これらを1×10-2Pa以下の真空中でコールドクルー
シブ法により溶解し、Ti−Al合金インゴットを作製
した。
対して1100℃×3hrの熱処理を施した後、連続して熱間
鍛造を行った。熱間鍛造後に、合金材のワレおよびカケ
の状態を目視で確認、評価した。ワレおよびカケの評価
結果は、10〜30mmのワレやカケがあるものを×、1〜10m
mのワレやカケがあるものを△、ワレやカケが1mm以下の
ものを○として表6に示した。さらに、熱間鍛造後のT
i−Al合金素材の重量測定を行った。
×2hrの条件で熱処理(再結晶化熱処理)を施した後、
機械加工を行うことによって、直径300mm×厚さ10mmの
Ti−Al合金ターゲットをそれぞれ得た。このように
して得た各Ti−Al合金ターゲットの重量を測定し
た。そして、ターゲット重量とインゴット重量から、タ
ーゲット歩留り(ターゲット重量/インゴット重量×10
0%)をそれぞれ求めた。これらの結果を表6に示す。
びHf含有量を本発明の範囲内としたTi−Al合金タ
ーゲットは、いずれも熱間加工時にワレやカケの発生が
少なく、その結果としてターゲット歩留りが高いことが
分かる。
リングターゲットによれば、例えばTi−Al−N膜な
どを成膜する際に用いられるTi−Al合金ターゲット
中の不純物量の低減を図った上で、ターゲットの製造歩
留りを高めると共に、膜品質の向上などを図ることが可
能となる。
成膜したTi−Al−N膜を拡散防止層として有する電
子部品(薄膜キャパシタ)の一構成例を示す要部断面図
である。
−N膜,4……薄膜キャパシタ,5……下部電極,6…
…誘電体薄膜,7……上部電極
Claims (11)
- 【請求項1】 Alを5〜50原子%の範囲で含有するT
i−Al合金からなるスパッタリングターゲットであっ
て、 前記ターゲットの酸素含有量が500ppm以下、窒素含有量
が50ppm以下、および炭素含有量が100ppm以下であり、
かつターゲット全体としての前記酸素含有量、窒素含有
量および炭素含有量のばらつきがそれぞれ20%以下であ
ることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 【請求項2】 請求項1記載のスパッタリングターゲッ
トにおいて、 前記Ti−Al合金の平均結晶粒径が10mm以下であり、
かつターゲット全体としての前記平均結晶粒径のばらつ
きが20%以下であることを特徴とするスパッタリングタ
ーゲット。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のスパッタ
リングターゲットにおいて、 前記ターゲットのMg含有量が50ppm以下、Mn含有量
が50ppm以下、およびSi含有量が100ppm以下であり、
かつターゲット全体としての前記Mg含有量、Mn含有
量およびSi含有量のばらつきがそれぞれ20%以下であ
ることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項
記載のスパッタリングターゲットにおいて、 前記ターゲットは前記Ti−Al合金の焼結材を具備す
ることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 【請求項5】 Alを5〜50原子%の範囲で含有するT
i−Al合金からなるスパッタリングターゲットであっ
て、 前記ターゲットのZr含有量およびHf含有量がそれぞ
れ100ppb以下であることを特徴とするスパッタリングタ
ーゲット。 - 【請求項6】 請求項5記載のスパッタリングターゲッ
トにおいて、 ターゲット全体としての前記Zr含有量およびHf含有
量のばらつきがそれぞれ20%以下であることを特徴とす
るスパッタリングターゲット。 - 【請求項7】 Alを5〜50原子%の範囲で含有するT
i−Al合金からなるスパッタリングターゲットであっ
て、 前記ターゲットのCu含有量が10ppm以下、およびAg
含有量が1ppm以下であることを特徴とするスパッタリン
グターゲット。 - 【請求項8】 請求項7記載のスパッタリングターゲッ
トにおいて、 ターゲット全体としての前記Cu含有量およびAg含有
量のばらつきがそれぞれ30%以下であることを特徴とす
るスパッタリングターゲット。 - 【請求項9】 請求項5ないし請求項8のいずれか1項
記載のスパッタリングターゲットにおいて、 前記ターゲットは前記Ti−Al合金の溶解材を具備す
ることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 【請求項10】 請求項1ないし請求項9のいずれか1
項記載のスパッタリングターゲットにおいて、 前記ターゲットはバッキングプレートと接合されている
ことを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 【請求項11】 Ti材とAl材を真空溶解法により溶
解してTi−Al母合金を作製する工程と、 前記Ti−Al母合金を回転電極法により粉体化する工
程と、 前記Ti−Al合金粉末を焼結してターゲット素材を作
製する工程と、 前記ターゲット素材を所望のターゲット形状に加工する
工程とを具備することを特徴とするスパッタリングター
ゲットの製造方法。
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