JP2000328242A - Ti−Al合金スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

Ti−Al合金スパッタリングターゲット及びその製造方法

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JP2000328242A JP11144761A JP14476199A JP2000328242A JP 2000328242 A JP2000328242 A JP 2000328242A JP 11144761 A JP11144761 A JP 11144761A JP 14476199 A JP14476199 A JP 14476199A JP 2000328242 A JP2000328242 A JP 2000328242A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ti3Al(又はAl3Ti)金属間化合物を主相とする
成分系のTi-Al 合金よりなるスパッタリングターゲット
(以下、ターゲット)であって、純度が高く、不純物ガ
ス成分が少なく、アーキングやパーティクル、スプラッ
シュ等のスパッタ不良が発生し難く、又、ターゲットと
形成される薄膜との間の組成のずれが生じ難いTi-Al 合
金ターゲット及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 Al量:15〜40(又は55〜70)at%のTi-A
l 合金ターゲットであって、Ti3Al(又はAl3Ti)金属間化
合物の面積率が30%以上である金属組織を有し、かつ、
径が0.1mm 以上の欠陥が10個/100cm2以下であることを
特徴とするTi-Al合金ターゲット、及び、真空雰囲気で
の鋳造工程、高温での圧縮加工工程を有するTi-Al 合金
ターゲットの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Ti-Al 合金スパッ
タリングターゲット及びその製造方法に関する技術分野
に属し、特には、LSI やFeRAM 等に代表される多層薄膜
構造を有する電子デバイス装置の製造、中でもスパッタ
リングによる拡散防止層の形成に用いられるTi-Al 合金
スパッタリングターゲット及びその製造方法に関する技
術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】LSI 等の半導体装置、いわゆる電子デバ
イスにおいては、様々な材料が薄膜状で積層され、デバ
イスとしての機能を発現する。かかる薄膜の多層構造に
おいては、異種の材料間の界面制御、即ち、界面反応の
防止や構成元素の拡散の防止、もしくは密着性の確保が
極めて重要な問題である。特に、最近、MOS メモリーや
FeRAM といった電子デバイスでのキャパシター部におい
ては、従来のポリシリコン電極に代えてPt等の金属電極
が使用されるようになり、その積層構造における金属電
極膜の上部又は下部で界面を形成する酸化物やシリコン
に対する反応及び拡散の防止層をその界面に施すことが
必要とされている。
【0003】かかる反応及び拡散防止層の材料(拡散バ
リアー材)として、窒化チタンアルミ(TiAlN)は熱的・
化学的安定性及び耐酸化性に優れ、従来用いられてきた
窒化チタン(TiN)やチタンタングステン(TiW)に換わる
新拡散バリアー材として注目され、その中でもTiとAlの
組成比においてTi3Al 金属間化合物やAl3Ti 金属間化合
物を形成する組成範囲のものが特に優れたバリアー(反
応及び拡散の防止)機能を発揮すると一般的に考えられ
ている。かかるTiAlN 合金層は、Ti及びAlからなるスパ
ッタリングターゲット等を用いて窒素雰囲気中にて反応
性スパッタリングにより形成されるのが一般的である。
【0004】LSI 製造プロセスで用いられるスパッタリ
ングターゲット(以下、ターゲットともいう)において
は、デバイス特性を劣化させるような不純物の制御やス
パッタリング(以下、スパッタともいう)時にパーティ
クルやアーキングを発生させるようなターゲット欠陥の
制御を厳しく行わなければならず、そのスペックは厳し
いものとなっている。ターゲット純度としては少なくと
も99.95%(3N5)以上のものが必要とされ、この場合、タ
ーゲットの製造に際し高価な高純度原料を使用し、更に
製造中(溶製ターゲットでは特に溶解鋳造時)の汚染は
極力避ける必要がある。ガス成分についても、Pt電極を
使用したLSI のキャパシター部における拡散バリアー膜
(反応及び拡散防止層)は酸素の拡散を防止する必要が
あり、それ故、この成膜に用いられるターゲットでは酸
素量を極力抑えることが要求される。かかるターゲット
は粉末焼結法により作製することは極めて難しい。
【0005】TiAl合金ターゲット(TiとAlよりなるター
ゲット)に関する従来技術及び問題点を以下に記述す
る。
【0006】TiとAlは非常に硬い金属間化合物を形成す
ることから、TiAl合金は高強度を有する難加工材料であ
ることがよく知られている。かかる難加工材料では粉末
焼結法によりターゲットが製造されるのが一般的であ
り、この場合、TiとAlの混合粉末を原料としてHIP やプ
レス加工にて焼結する(特開平8-120445、8-134635号公
報)。この粉末焼結法では、Tiに対するAlの混合比が自
由にとれ、又、加工・成型が容易であるという長所があ
るが、図1に示す如く、焼結中に溶融もしくは流動化し
たAlがTi粒を取り囲み、TiとAlの界面にTiAlの金属間化
合物を生じた組織を持つため、Alが糊付け相となり、Al
が少ない組成では焼結が不完全になりやすい。又、Tiと
Alの界面に形成される金属間化合物は非常に脆いため、
機械加工時やスパッタ時にTi主相(マトリックス)を含
めて脱落しやすい。このため、粉末焼結法によりTiAlタ
ーゲットを製造する際には、かかる金属間化合物相をで
きるだけ少なくする必要があり、このため、金属間化合
物の量は面積率でたかだか数%程度となっている。
【0007】また、粉末焼結法により製造されたTiAlタ
ーゲットにおいては、上記の如く金属間化合物の量が少
ないので、スパッタ率が異なるTi相とAl相から構成さ
れ、このため、スパッタの際の組成の安定性がよくな
く、ターゲットとそれによって形成された薄膜との間で
組成のずれが生じるという問題点がある。さらに、粉末
焼結法では酸素や窒素等のガス成分が多く含まれること
は不可避であり、かかるガス成分の不純物はスパッタ時
にパーティクルやスプラッシュ等のスパッタ不良の原因
となる。更には、TiやAlの粉末原料の純度には現在のと
ころ限度があり、LSI 製造用のターゲットにおいて必要
とされる99.95%(3N5)以上の高純度のターゲットを得る
ことは非常に難しいという問題点もある。
【0008】TiAl合金の中でも、その構成比がTi:Al=
1:1の金属間化合物を主な相とするような組成範囲で
あるもの、つまりAl量が45〜55原子%であるTiAl合金
は、TiAl相(いわゆるγ相)を含むことにより、比較的
成型・加工がしやすい。このため、高強度を有するTiAl
構造材の製造の際の加工方法として超塑性加工等が提案
されている(特開平10-72652号公報)。又、上記の如く
成型・加工がしやすいために溶解・鋳造法によるターゲ
ットの製造が可能である。即ち、溶解・鋳造により得ら
れたTiAl合金インゴットを成型加工するという製造工程
によってTiAl合金ターゲットを得ることができる。かか
るTiAl合金ターゲットは、特に、純度、塑性、パーティ
クル等のスパッタ性能を厳しく管理することはない、工
具等の硬質コーティング膜を製造する際に使用される、
アークイオンプレーティング(AIP)法におけるターゲッ
トとして、実用に供されている。
【0009】上記組成のTiAl合金の場合、成型加工が可
能であることから、スパッタ不良の原因となる鋳造欠陥
の除去のために鋳造インゴットを圧延することができる
(特開平8-120428、8-225907号公報)。又、鋳造時の不
純物元素の混入を防ぎ、酸素成分をできるだけ少なくす
るためにはコールドクルーシブル(スカル)溶解法が用
いられる(特開平5-59466 、5-140669号公報)。
【0010】しかし、難加工のTi3Al 金属間化合物やTi
Al3 金属間化合物を主相とする組成範囲のTiAl合金の場
合には、加工することができないため、上記の如き圧延
による鋳造欠陥の除去をし得ず、又、溶解・鋳造し加工
するという製造方法を採用し難い。更に、上記スカル溶
解法はAr雰囲気中で溶解が行われるため、Arを含むガス
穴が鋳造欠陥として形成され、この欠陥は圧延等による
加工では除去し得ないため、ターゲット中に欠陥として
残存し、スパッタ時にはアーキングやパーティクル等の
スパッタ不良の原因となるという問題点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に着目してなされたものであって、その目的は、金
属間化合物としてTi3Al 金属間化合物やAl3Ti 金属間化
合物を主相とする成分系のTi-Al 合金よりなるTi-Al 合
金スパッタリングターゲットであって、純度が高く、不
純物ガス成分が少なく、このためターゲット中のガス成
分化合物に起因したアーキングやパーティクル、スプラ
ッシュ等のスパッタ不良が発生し難く、また、ターゲッ
トと形成される薄膜との間の組成のずれが生じ難いTi-A
l 合金スパッタリングターゲット及びその製造方法を提
供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係るTi-Al 合金スパッタリングターゲッ
ト及びその製造方法は、請求項1〜3記載のTi-Al 合金
スパッタリングターゲット、及び、請求項4〜5記載の
Ti-Al 合金スパッタリングターゲットの製造方法として
おり、それは次のような構成としたものである。
【0013】即ち、請求項1記載のTi-Al 合金スパッタ
リングターゲットは、Alを15〜40原子%含有し、残部が
実質的にTiからなるTi-Al 合金スパッタリングターゲッ
トであって、Ti3Al 金属間化合物の面積率が30%以上で
ある金属組織を有し、かつ、径が0.1mm 以上の欠陥が10
個/100cm2以下であることを特徴とするTi-Al 合金スパ
ッタリングターゲットである(第1発明)。
【0014】請求項2記載のTi-Al 合金スパッタリング
ターゲットは、Alを55〜70原子%含有し、残部が実質的
にTiからなるTi-Al 合金スパッタリングターゲットであ
って、TiAl3 金属間化合物の面積率が30%以上である金
属組織を有し、かつ、径が0.1mm 以上の欠陥が10個/100
cm2 以下であることを特徴とするTi-Al 合金スパッタリ
ングターゲットである(第2発明)。
【0015】請求項3記載のTi-Al 合金スパッタリング
ターゲットは、酸素濃度が 200質量ppm 以下であり、炭
素、窒素及び水素の濃度が合計で 100質量ppm 以下であ
る請求項1又は2記載のTi-Al 合金スパッタリングター
ゲットである(第3発明)。
【0016】請求項4記載のTi-Al 合金スパッタリング
ターゲットの製造方法は、TiおよびAl原料を不活性ガス
雰囲気で溶解した後、該溶解により得られた溶湯を1×
10-2Torr超の真空雰囲気にて鋳造し、該鋳造により得ら
れたインゴットを型枠に装填し、1273〜1573Kの温度に
おいて歪み速度を5mm/分以下にして総圧下率が30%超
となるように加工することを特徴とする請求項1、2又
は3記載のTi-Al 合金スパッタリングターゲットの製造
方法である(第4発明)。
【0017】請求項5記載のTi-Al 合金スパッタリング
ターゲットの製造方法は、TiおよびAl原料を不活性ガス
雰囲気で溶解した後、該溶解により得られた溶湯を1×
10-2Torr超の真空雰囲気にて鋳造し、該鋳造により得ら
れたインゴットを密閉容器内に真空封入し、1273〜1573
Kの温度において1000気圧以上の圧力で熱間静水圧加圧
処理を施すことを特徴とする請求項1、2又は3記載の
Ti-Al 合金スパッタリングターゲットの製造方法である
(第5発明)。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は例えば次のようにして実
施する。TiおよびAl原料を不活性ガス雰囲気で溶解し、
該溶解により得られた溶湯を1×10-2Torr超の真空雰囲
気にて鋳造してインゴットを得る。前記インゴットを型
枠に装填し、1273〜1573Kの温度において歪み速度を5
mm/分以下にして総圧下率が30%超となるように加工
し、Ti-Al 合金ターゲットを得る。或いは、前記インゴ
ットを密閉容器内に真空封入し、1273〜1573Kの温度に
おいて1000気圧以上の圧力で熱間静水圧加圧処理を施
し、Ti-Al 合金ターゲットを得る。このようにして得ら
れたTi-Al 合金ターゲットは、径が0.1mm 以上の欠陥が
10個/100cm2以下である。このとき、Al量が15〜40原子
%となるようにすると、Ti3Al 金属間化合物の面積率が
30%以上となり、一方、Al量が55〜70原子%となるよう
にすると、TiAl3 金属間化合物の面積率が30%以上とな
り、本発明に係るTi-Al 合金ターゲットとなる。
【0019】このような形態で本発明に係るTi-Al 合金
ターゲットの製造方法が実施され、そして本発明に係る
Ti-Al 合金ターゲットが得られる。
【0020】以下、本発明について主にその作用効果を
説明する。
【0021】粉末焼結法により製造されたTiAlターゲッ
ト(粉末焼結TiAlターゲット)においてターゲットとそ
れによって形成された薄膜との間で組成のずれが生じる
のは、スパッタガスであるArに対するAlとTiでのスパッ
タ率の相違に起因する。すなわち、TiとAlとはスパッタ
率がそれぞれ0.6 と1.2 と大きく異なる。このため、粉
末焼結TiAl合金ターゲットのようにAlとTiが完全に分離
した2相組織を有するターゲットをスパッタした場合、
スパッタ率の相違によりターゲットとスパッタ膜の組成
が相違し、Alが10〜20at%程度リッチになってしまうと
いう問題が起こる。
【0022】かかる組成のずれが発生するのを避けるに
は、AlとTiとの金属間化合物の面積率をマトリックス中
で大きくした組織を有し、純Tiと純Alとがそれぞれ相当
な面積を持って共存することのないTiAl合金ターゲッ
ト、即ち、AlとTiとの金属間化合物の面積率が大きくて
Al相及びTi相の面積率が小さい組織を有するTiAl合金タ
ーゲットを用いることが有効である。かかるTiAl合金タ
ーゲットとしては、定量的にはAlとTiとの金属間化合物
の面積率を30%以上とすればよい。即ち、Alを15〜40原
子%含有し、残部が実質的にTiからなるTi-Al 合金ター
ゲットの場合は、Ti3Al 金属間化合物の面積率を30%以
上とすればよく、一方、Alを55〜70原子%含有し、残部
が実質的にTiからなるTi-Al 合金ターゲットの場合に
は、TiAl3 金属間化合物の面積率を30%以上とすればよ
いとの知見が得られた。
【0023】一方、Ti-Al 合金ターゲット中の不純物ガ
ス成分は、ガス穴やAlやTiとの化合物相の形成と関連
し、かかるガス穴や化合物相(酸化物、窒化物、水素化
物等)がターゲット中に多く存在すると、スパッタ中の
ターゲット表面での温度や、電磁場の不均一が生じ、ア
ーキングやパーティクル、スプラッシュ等のスパッタ不
良が発生しやすくなる。
【0024】かかるスパッタ不良を発生し難くするに
は、不純物ガス成分が少なく、純度が高く、このために
ガス穴や化合物相(酸化物など)等の欠陥が少ないTiAl
合金ターゲットを用いることが有効である。かかるTiAl
合金ターゲットとしては、定量的には径が0.1mm 以上の
欠陥が10個/100cm2以下であればよいとの知見が得られ
た。
【0025】本発明はかかる知見に基づき完成されたも
のであり、本発明に係るTi-Al 合金ターゲットは、Alを
15〜40原子%含有し、残部が実質的にTiからなるTi-Al
合金スパッタリングターゲットであって、Ti3Al 金属間
化合物の面積率が30%以上である金属組織を有し、か
つ、径が0.1mm 以上の欠陥が10個/100cm2以下であるこ
とを特徴とするものである(第1発明)。又、本発明に
係るTi-Al 合金ターゲットは、Alを55〜70原子%含有
し、残部が実質的にTiからなるTi-Al 合金スパッタリン
グターゲットであって、TiAl3 金属間化合物の面積率が
30%以上である金属組織を有し、かつ、径が0.1mm 以上
の欠陥が10個/100cm2 以下であることを特徴とするもの
である(第2発明)。
【0026】従って、本発明に係るTi-Al 合金ターゲッ
トによれば、純度が高く、不純物ガス成分が少なく、こ
のためターゲット中のガス成分化合物に起因したアーキ
ングやパーティクル、スプラッシュ等のスパッタ不良が
発生し難く、又、ターゲットと形成される薄膜との間の
組成のずれが生じ難い。
【0027】本発明に係るTi-Al 合金ターゲットの中、
第1発明に係るTi-Al 合金ターゲットにおいて、Ti3Al
金属間化合物の面積率が30%以上であることとしている
のは、これが30%未満であると、Ti3Al 金属間化合物相
以外の部分であるTi単相が多く、このTi単相とTi3Al 金
属間化合物相とのスパッタ率の相違に起因し、ターゲッ
トとそれによって形成された薄膜との間で顕著な組成の
ずれが生じ、組成のずれの抑制が不充分となるからであ
る。又、径が0.1mm 以上の欠陥が10個/100cm2以下であ
ることとしているのは、これが10個/100cm2 超である
と、ガス穴や化合物相(酸化物等)等の欠陥が多く、ス
パッタ中にターゲット表面での温度や電磁場の不均一が
生じ、このためアーキングやパーティクル、スプラッシ
ュ等のスパッタ不良が発生しやすくなり、かかるスパッ
タ不良の発生の抑制が不充分となるからである。
【0028】第2発明に係るTi-Al 合金ターゲットにお
いて、TiAl3 金属間化合物の面積率が30%以上であるこ
ととしているのは、これが30%未満であると、Al単相が
多く、このAl単相とTiAl3 金属間化合物相とのスパッタ
率の相違に起因し、ターゲットと薄膜との間の組成のず
れが大きくなり、組成のずれの抑制が不充分となるから
である。又、径が0.1mm 以上の欠陥が10個/100cm2 以下
であることとしているのは、上記第1発明の場合と同様
の理由により、10個/100cm2 超であるとアーキングやパ
ーティクル、スプラッシュ等のスパッタ不良の発生の抑
制が不充分となるからである。
【0029】本発明に係るTi-Al 合金ターゲットにおい
て酸素濃度が 200質量ppm 以下であり、炭素、窒素及び
水素の濃度が合計で 100質量ppm 以下である場合には、
ガス穴や化合物相(酸化物等)等の欠陥が極めて少な
く、このためアーキングやパーティクル、スプラッシュ
等のスパッタ不良がより確実に発生し難くなる(第3発
明)。
【0030】本発明に係るTi-Al 合金ターゲットの製造
方法は、前述の如く、TiおよびAl原料を不活性ガス雰囲
気で溶解した後、該溶解により得られた溶湯を1×10-2
Torr超の真空雰囲気にて鋳造し、該鋳造により得られた
インゴットを型枠に装填し、1273〜1573Kの温度におい
て歪み速度を5mm/分以下にして総圧下率が30%超とな
るように加工することを特徴とするものである(第4発
明)。また、TiおよびAl原料を不活性ガス雰囲気で溶解
した後、該溶解により得られた溶湯を1×10-2Torr超の
真空雰囲気にて鋳造し、該鋳造により得られたインゴッ
トを密閉容器内に真空封入し、1273〜1573Kの温度にお
いて1000気圧以上の圧力で熱間静水圧加圧処理を施すこ
とを特徴とするものである(第5発明)。尚、1×10-2
Torr超の真空雰囲気とは、真空度が1×10-2Torrのとき
の真空雰囲気よりも真空度に優れた真空雰囲気のことで
あり、例えば1×10-3Torrの真空雰囲気のことである。
1×10-2Torrは、133.322Pa/Torr×1×10-2Torr=133.
322 ×10-2Pa=1.33322 Paである。
【0031】上記の本発明に係るTi-Al 合金ターゲット
の製造方法によれば、前記の如き優れた特性を有する本
発明に係るTi-Al 合金ターゲットを得ることができる。
この詳細について、以下説明する。
【0032】前述の如く、Ti-Al 合金ターゲット中の不
純物ガス成分は、ガス穴やAlやTiとの化合物相の形成と
関連し、かかるガス穴や化合物相(酸化物、窒化物、水
素化物等)がターゲット中に多く存在すると、スパッタ
中のターゲット表面での温度や、電磁場の不均一が生
じ、アーキングやパーティクル、スプラッシュ等のスパ
ッタ不良が発生しやすくなる。
【0033】通常の粉末焼結TiAl合金ターゲットにおい
ては、酸素濃度が1000質量ppm 以上であり、炭素、窒素
及び水素の濃度が合計で 200質量ppm 以下であって、ガ
ス成分の量が多いので、ガス穴や化合物相が多く存在
し、このためアーキングやパーティクル、スプラッシュ
等のスパッタ不良が発生しやすい。
【0034】また、Ar雰囲気中で溶解が行われるスカル
溶解鋳造法においては、鋳造後の熱間加工によっても除
去し得ないArガスを含んだガス穴が鋳造欠陥として形成
されるので、この欠陥はターゲット中に欠陥として残存
し、アーキングやパーティクル等のスパッタ不良の原因
となる。
【0035】これらに対し、本発明に係るTi-Al 合金タ
ーゲットの製造方法(第4発明及び第5発明)において
は、第4発明の場合も第5発明の場合も、Ti-Al 合金イ
ンゴットを得る際に、一旦Ti及びAl原料を不活性ガス雰
囲気で溶解するものの、この後、該溶解により得られた
溶湯を1×10-2Torr超という高真空度の真空雰囲気にて
鋳造して、インゴットを得るようにしている。従って、
前記溶解後鋳造前に溶湯を真空雰囲気にさらすことがで
き、それにより溶湯中の酸素、炭素、窒素及び水素等の
ガス成分を除去し得、ひいてはガス穴や化合物相(酸化
物等)等の欠陥が少ないインゴットを得ることができ
る。しかも、真空雰囲気にて鋳造していることに起因し
てArガスの巻き込みがなく、熱間加工でも除去し得ない
Arガスを含んだガス穴の形成がないインゴットとするこ
とができる。
【0036】そして、上記鋳造により得られたTi-Al 合
金インゴットを、第4発明に係る製造方法の場合には、
型枠に装填し、1273〜1573Kの温度において歪み速度を
5mm/分以下にして総圧下率が30%超となるように加工
するようにしている。第5発明に係る製造方法の場合に
は、上記インゴットを密閉容器内に真空封入し、1273〜
1573Kの温度において1000気圧以上の圧力で熱間静水圧
加圧処理を施すようにしている。いずれの場合にも、12
73〜1573Kという高温において圧縮応力により比較的低
歪み速度で加工することに起因して、割れ等の支障を生
じることなく、加工でき、ひいては本発明に係るTi-Al
合金ターゲットを得ることができる。
【0037】即ち、Ti3Al 金属間化合物相やTiAl3 金属
間化合物相は加工し難く、これらを含むTiAl合金は難加
工材料であることが知られているが、本発明者らはこの
難加工材料についての加工方法について鋭意研究した結
果、1273〜1573Kという高温において圧縮応力下では低
歪み速度にて割れ等の支障を生じることなく加工できる
ことを見出した。かかる圧縮応力下での加工方法として
は、加工中の材料に有効に圧縮応力が働く加工法である
ところの型枠を用いての一軸高温プレス、熱間鍛造、或
いは、熱間静水圧加圧処理(HIP)が適している。そし
て、かかる加工に際して素材(インゴット)を型枠に装
填し、或いはカプセル等の密閉容器内に封入して加工す
ることは、加工時に素材に有効な圧縮応力がかかり、更
には急激な変形を抑えることができるために素材周辺部
での加工割れを防ぐことができるという点において有効
である。そこで、第4発明に係る製造方法の場合には、
前記鋳造により得られたTi-Al 合金インゴットを型枠に
装填し、1273〜1573Kの温度において歪み速度を5mm/
分以下にして総圧下率が30%超となるように加工するよ
うにした。又、第5発明に係る製造方法の場合には、前
記鋳造により得られたTi-Al 合金インゴットを密閉容器
内に真空封入し、1273〜1573Kの温度において1000気圧
以上の圧力で熱間静水圧加圧処理を施すようにした。従
って、いずれの場合にも、割れ等の支障を生じることな
く、ターゲットに成型加工でき、このため本発明に係る
Ti-Al 合金ターゲットを得ることができる。又、この成
型加工時にマイクロシュリンケージ、ガス穴、引け巣等
の鋳造欠陥を完全に圧着して除去し得る。
【0038】本発明に係るTi-Al 合金ターゲットの製造
方法(第4発明及び第5発明)において、溶湯を鋳造す
る際の真空雰囲気の真空度を1×10-2Torr超であること
としているのは、1×10-2Torr以下とすると、溶湯中の
ガス成分の除去が不充分となり、そのためインゴット中
の欠陥が増え、ひいては本発明に係るTi-Al 合金ターゲ
ットの如く欠陥の少ないTi-Al 合金ターゲットを得るこ
とが難しくなるからである。
【0039】第4発明に係るTi-Al 合金ターゲットの製
造方法において、インゴットを加工するに際し型枠に装
填するようにしているのは、加工時に素材に有効な圧縮
応力がかかるようにすると共に急激な変形を抑えて素材
周辺部での加工割れを防ぐためである。加工の際の温度
を1273〜1573Kとしているのは、1273K未満にすると素
材の変形能が乏しくて塑性変形加工ができず、1573K超
とすると素材の結晶粒径の粗大化が起こり、割れやすく
なり、又、仕上げ加工が行い難くなるからである。尚、
上記の如く結晶粒径の粗大化を起こした場合に得られる
ターゲットにおいては、それにより得られる薄膜の特性
に面内不均一が生じやすくなるという問題点がある。
【0040】歪み速度を5mm/分以下にしているのは、
5mm/分超にすると素材が変形に追随できず、割れが生
じるからである。総圧下率が30%超となるようにしてい
るのは、30%以下となるようにすると、インゴット中の
マイクロシュリンケージ、ガス穴、引け巣等の鋳造欠陥
を完全に圧着するということはできず、ひいては本発明
に係るTi-Al 合金ターゲットの如く欠陥の少ないTi-Al
合金ターゲットを得ることが難しくなるからである。
【0041】第5発明に係るTi-Al 合金ターゲットの製
造方法において、インゴットを熱間静水圧加圧処理する
に際し密閉容器内に真空封入するようにしているのは、
加工時に素材に有効な圧縮応力がかかるようにすると共
に急激な変形を抑えて素材周辺部での加工割れを防ぐた
めである。封入を真空封入としているのは、熱間静水圧
加圧処理中の素材の酸化を抑制し、酸化物による割れの
発生を防止するためである。即ち、大気封入とした場合
には、加工(熱間静水圧加圧処理)中に素材が酸化して
表面に酸化物が生成し、この酸化物が変形の不均一を生
じて割れの起点となる可能性があり、かかる酸化物によ
る割れの発生の可能性がないようにするためである。
【0042】熱間静水圧加圧処理の際の温度を1273〜15
73Kとしている理由は、前記第4発明の場合と同様であ
る。
【0043】熱間静水圧加圧処理の際の圧力を1000気圧
以上としているのは、1000気圧未満とすると塑性変形加
工がし難くなるからである。尚、1000気圧(atm )は、
1.01325 ×105Pa/atm ×1000atm =1.01325 ×108Pa =
1.01325 ×102MPaである。
【0044】前記インゴットの加工の際の歪み速度は、
遅いほど素材が変形に追随しやすいために割れが生じ難
くなり、かかる点から特に1mm/分以下にすることが望
ましい。
【0045】前記加工の際の温度は、1273〜1573Kの範
囲において高温である方が素材の変形能が優れていると
いう点でよく、一方、低温である方が結晶粒粗大化が起
こり難く、粗粒化の程度が小さいという点でよい。かか
る点から、加工の際の温度は特には1323〜1473Kとする
ことが望ましい。ただし、Ti-Al 合金のAl含有量によっ
て変形能の違いがあり、これを考慮すると、Al含有量:
15〜40原子%の場合には1323〜1423Kとすることが望ま
しく、Al含有量:55〜70原子%の場合には1373〜1523K
とすることが望ましい。
【0046】尚、本発明において、径が0.1mm 以上の欠
陥とは、全波超音波探傷試験において認められる径が0.
1mm 以上の欠陥のことである。欠陥の径とは、欠陥の最
小径部の径のことであり、例えば、欠陥の形状が球状の
場合には直径、欠陥の断面形状が楕円状の場合にはその
短軸の長さのことである。
【0047】
【実施例】表1〜2に本発明の実施例1〜9及び比較例
1〜5に係るTi-Al 合金ターゲットの製造の条件、及
び、該製造により得られたTi-Al 合金ターゲットのTi3A
l 金属間化合物及びTiAl3 金属間化合物の面積率および
径が0.1mm 以上の欠陥の数についての測定結果、並び
に、該Ti-Al 合金ターゲットによるスパッタの結果につ
いて示す。本発明の実施例及び比較例について、主に表
1〜2に基づき、以下説明する。
【0048】(実施例1〜9)純度4NのAl原料および
純度5NのTi原料を不活性ガス雰囲気で溶解した後、該
溶解により得られた溶湯を1×10-2Torr超の真空雰囲気
にて鋳造して、実施例1〜9に係るTi-Al 合金インゴッ
トを得た。このとき、Ti-Al 合金中のAl量は15〜40at
%、55〜70at%となるようにした。インゴットの形状は
板状であり、その寸法は厚さ:約25mm、長さ:約500mm
、幅:約450mm である。
【0049】上記インゴットより、厚さ:約25mm、直
径:100mm のディスク状サンプルをワイヤーカットにて
切り出した。
【0050】上記ディスク状サンプルを次の如く加工し
て実施例1〜7、8及び9に係るTi-Al 合金ターゲット
材を作製した。
【0051】実施例1〜7の場合は、上記ディスク状サ
ンプルを内径:100mm、外径:100mmのSUS304製リング(型
枠)にはめ込み、これを最大荷重:400tonの恒温プレス
機により、真空雰囲気にてディスク状サンプルの厚み方
向にプレスする加工を行なった。このとき、加工温度は
1373K又は1473Kとし、圧下加工率(総圧下率)は50%
となるようにした。歪み速度は2〜3mm/分とした。
【0052】実施例8の場合は、上記ディスク状サンプ
ルをCr製のカプセルに真空封入し、これを大気中で1373
Kに加熱し、高温鍛造する成型加工を行なった。このと
き、総圧下率は50%となるようにした。歪み速度は2〜
3mm/分とした。
【0053】実施例9の場合は、上記ディスク状サンプ
ルを封筒状のTa箔カプセルに真空封入した後、1373Kの
温度において1300気圧の圧力で熱間静水圧加圧処理を施
す成型加工を行なった。
【0054】上記プレス、高温鍛造、熱間静水圧加圧処
理により得られた各試料について、Ti-Al 合金の部分
(元のディスク状サンプル部)をワイヤーカットして、
厚さ:5mm、直径:100mm のディスク状に切り出し、実
施例1〜7、8及び9に係るTi-Al 合金ターゲット材を
得た。
【0055】上記Ti-Al 合金ターゲット材をCu製バッキ
ングプレート上にInろう材を用いてボンディングし、Ti
-Al 合金ターゲットとした。
【0056】このようにして得られたTi-Al 合金ターゲ
ットを用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により
厚み:5000ÅのTiAlN 膜を成膜した。このときの成膜条
件は下記の通りである。
【0057】 ・雰囲気:Ar+50%N2混合ガス ・ガス圧:2mtorr ・DCパワー:260 W ・極間距離:55mm ・基板温度:室温 ・基板:2インチ径シリコンウエハー
【0058】上記成膜されたTiAlN 膜についてICP 発光
分析を行い、TiAlN 膜中のTi及びAl濃度を測定し、この
測定結果に基づきAl濃度に関して下記式で表される組成
のずれを求めた。
【0059】Al組成ずれ=|膜中Al濃度−ターゲット中
Al濃度|/ターゲット中Al濃度
【0060】また、前記成膜条件にて30分間の連続成膜
を行い、その間のアーキングの発生回数を目視にて計測
し、更に、走査型電子顕微鏡にて基板上に堆積した直
径:0.3μm 以上の大きさのパーティクルを計測した。
【0061】一方、前記プレス、高温鍛造、熱間静水圧
加圧処理により得られた試料からのターゲット材の切り
出し後に残ったTi-Al 合金部すなわち残材より、金属組
織観察用サンプルを採取し、光学顕微鏡にて観察し顕微
鏡写真を撮影し、該顕微鏡写真を線分析し、又、前記サ
ンプルについてSEM-EDX により相の同定を行い、これら
に基づいてTi3Al 金属間化合物及びTiAl3 金属間化合物
の面積率を算出した。又、上記サンプルについてICP 発
光分析法により酸素成分の分析、及び、炭素、窒素、水
素のガス成分分析を行った。
【0062】又、前記プレス、高温鍛造、熱間静水圧加
圧処理により得られた試料について径が0.1mm 以上の欠
陥の数を計測した。即ち、上記試料の厚み方向について
全波超音波探傷法による計測を行い、得られた超音波探
傷像より径が0.1mm 以上の欠陥をカウントした。
【0063】(比較例1〜5)比較例1〜5に係るTi-A
l 合金ターゲットのAl量は29〜30at%とした。
【0064】比較例1の場合は、Ti-Al 合金インゴット
より切り出して得たディスク状サンプルを型枠にはめ込
んで恒温プレスする際の加工温度を1173Kとした。この
点を除き、実施例1〜7の場合と同様の方法によりTi-A
l 合金ターゲットの製作を行った。この場合、ターゲッ
ト中の内部欠陥が多い。
【0065】比較例2の場合は、上記恒温プレスの際の
総圧下率を30%とした。この点を除き、実施例1〜7の
場合と同様の方法によりTi-Al 合金ターゲットの製作を
行った。この場合、ターゲット中の内部欠陥が多い。
【0066】比較例3の場合は、Arガス雰囲気での溶解
により得られた溶湯を鋳造する際の雰囲気をそのままAr
ガス雰囲気とした。この点を除き、実施例1〜7の場合
と同様の方法によりTi-Al 合金ターゲットの製作を行っ
た。この場合、酸素、ガス成分が多く含まれ、ターゲッ
ト中の内部欠陥が更に多くなっている。
【0067】比較例4の場合は、Al粉末およびTi粉末を
用いて窒素雰囲気中にて823 Kで粉末焼結法によりTi-A
l 合金ターゲットを製作した。この場合、ターゲット組
織は純Ti相と純Al相に分離したものとなる。又、酸素及
びガス成分が多い。
【0068】比較例5の場合は、熱間静水圧加圧処理に
よる成型加工の際の加工温度を1223Kとした。この点を
除き、実施例9の場合と同様の方法によりTi-Al 合金タ
ーゲットの製作を行った。
【0069】(ターゲット性能の試験結果)表1〜2か
らわかる如く、比較例4に係るTi-Al 合金ターゲット
は、ターゲットと薄膜との間の組成のずれが大きく、且
つ、アーキング及びパーティクルの発生の程度が高い。
比較例1〜3及び5に係るTi-Al 合金ターゲットは、組
成のずれは比較的小さいものの、アーキング及びパーテ
ィクルの発生の程度が高い。
【0070】これに対し、本発明の実施例1〜9に係る
Ti-Al 合金ターゲットは、いずれも組成のずれが小さ
く、且つ、アーキング及びパーティクルの発生の程度が
低く、ターゲット性能に優れている。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】本発明に係るTi-Al 合金ターゲットによ
れば、純度が高く、不純物ガス成分が少なく、スパッタ
リングに際してアーキングやパーティクル、スプラッシ
ュ等のスパッタ不良が発生し難く、又、ターゲットと形
成される薄膜との間の組成のずれが生じ難い。このター
ゲットのTi-Al 合金中のAl量は15〜40原子%又は55〜70
原子%である。従って、スパッタ不良による薄膜の性能
低下をきたすことなく、Al量:15〜40原子%又は55〜70
原子%の薄膜であってターゲットとほぼ同一のAl量及び
Ti量で且つ均一な組成の薄膜を形成することができ、薄
膜の性能の大幅な向上がはかれるようになる。
【0074】本発明に係るTi-Al 合金ターゲットの製造
方法によれば、従来加工が難しく粉末焼結法でしか製造
し得なかったAl量:15〜40原子%又は55〜70原子%のTi
-Al合金ターゲットを、溶解鋳造工程及び塑性加工工程
を有する製造工程により製造することができ、このた
め、上記の如く優れたターゲット性能を有する本発明に
係るTi-Al 合金ターゲットを得ることができるようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の粉末焼結法により製造されたTi-Al ス
パッタリングターゲットの組織の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 691 691B 691Z 694 694A 694B 694Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alを15〜40原子%含有し、残部が実質的
    にTiからなるTi-Al合金スパッタリングターゲットであ
    って、Ti3Al 金属間化合物の面積率が30%以上である金
    属組織を有し、かつ、径が0.1mm 以上の欠陥が10個/10
    0cm2以下であることを特徴とするTi-Al 合金スパッタリ
    ングターゲット。
  2. 【請求項2】 Alを55〜70原子%含有し、残部が実質的
    にTiからなるTi-Al合金スパッタリングターゲットであ
    って、TiAl3 金属間化合物の面積率が30%以上である金
    属組織を有し、かつ、径が0.1mm 以上の欠陥が10個/100
    cm2 以下であることを特徴とするTi-Al 合金スパッタリ
    ングターゲット。
  3. 【請求項3】 酸素濃度が 200質量ppm 以下であり、炭
    素、窒素及び水素の濃度が合計で 100質量ppm 以下であ
    る請求項1又は2記載のTi-Al 合金スパッタリングター
    ゲット。
  4. 【請求項4】 TiおよびAl原料を不活性ガス雰囲気で溶
    解した後、該溶解により得られた溶湯を1×10-2Torr超
    の真空雰囲気にて鋳造し、該鋳造により得られたインゴ
    ットを型枠に装填し、1273〜1573Kの温度において歪み
    速度を5mm/分以下にして総圧下率が30%超となるよう
    に加工することを特徴とする請求項1、2又は3記載の
    Ti-Al 合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  5. 【請求項5】 TiおよびAl原料を不活性ガス雰囲気で溶
    解した後、該溶解により得られた溶湯を1×10-2Torr超
    の真空雰囲気にて鋳造し、該鋳造により得られたインゴ
    ットを密閉容器内に真空封入し、1273〜1573Kの温度に
    おいて1000気圧以上の圧力で熱間静水圧加圧処理を施す
    ことを特徴とする請求項1、2又は3記載のTi-Al 合金
    スパッタリングターゲットの製造方法。
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