JP2003073748A - 製鉄用原料の造粒処理方法 - Google Patents
製鉄用原料の造粒処理方法Info
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Abstract
れる造粒処理方法を提供する。 【解決手段】 アルカリ可溶性エマルションを含む製鉄
用造粒処理剤を、エマルションの状態のままで、鉄鉱石
を含む製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)に添
加して混合した後で上記製鉄用造粒処理剤を水溶液の状
態とすることにより、該製鉄用原料を造粒処理(擬似粒
化またはペレット化)する。
Description
処理方法に関するものであり、より詳しくは、製鉄用原
料となる焼結鉱の製造方法またはペレットの製造方法に
関わり、製鉄用原料を造粒処理する際、特に製鉄用原料
の水分を調節して造粒し擬似粒化またはペレット化する
のに好適な方法に関するものである。
となる鉄鉱石、副原料、燃料等を混合し、ドラムミキサ
ー、ペレタイザー、アイリッヒミキサー等の造粒機で水
分を調節しながら造粒して擬似粒子を造る。擬似粒子と
は、一般的に、0.5mm以下の微粒子が1〜3mmの
核粒子に付着している粒子である。この際、造粒に求め
られる作用は、微粉粒子が核粒子の周りに付着する擬似
粒化性を向上すること、擬似粒子が焼成過程における湿
潤帯、乾燥帯等で崩壊し難いこと等である。焼結原料を
このように擬似粒子とすることで、焼結機上での焼結原
料充填層(焼結ベッド)中の通気性を向上し、焼結機の
生産性向上を図ることができる。
採用しており、焼結原料の下側から吸引することによっ
て焼結に必要な空気を流通させると共に、焼結原料の上
側から下側へ向かって燃料を燃焼させることにより、焼
結原料を焼結するようになっている。このため、焼結原
料が微粉を多く含んでいると、目詰まりを起こす等して
通気性が低下し、燃料であるコークスの燃焼速度が遅く
なるので焼結機の生産効率が低下する。そこで、通気性
を改善すべく、焼結原料を造粒(擬似粒化)する等の事
前処理が必要である。該事前処理としては、例えば、焼
結原料に少量の水を添加して攪拌する等の造粒操作が行
われている。しかし、水だけを用いた造粒操作では、擬
似粒化性を向上させる効果が乏しいため、焼結原料に含
まれる微粉の量をあまり低減することができない。
せる対策として、焼結原料中に粘結剤として種々の造粒
添加剤を添加する方法が提案されている。造粒添加剤と
して用いられるものは、数多く知られている。例えば、
ベントナイト、リグニン亜硫酸塩(パルプ廃液)、澱
粉、砂糖、糖蜜、水ガラス、セメント、ゼラチン、カル
ボキシメチルセルロース等が結合剤或いは増粘剤とし
て、その使用が検討されている。これらは、焼結鉱の製
造において、その添加量が比較的多くて高コストとなる
ことや、使用する量の確保が困難である等の問題があ
り、工業的には使用されていない。
は、例えば、製鉄研究第288号(1976)9頁に開
示されている生石灰が広く使われている。これによる
と、生石灰の効果は、次のように示されている。第一
に、ミキサー内での擬似粒化の促進を図ることができ
る。第二に、擬似粒子よりなる焼結原料を特定の高さに
充填し、焼結ベッドを形成した後に表層に点火した後の
焼結過程において、乾燥、加熱する過程で擬似粒子が崩
壊することを防止し、焼結層中の均一な風の流れを保つ
ことができるとされている。
なる鉄鉱石、ダスト、炭材等を混合した後、ペレタイザ
ー等の造粒機で水分を調節しながら造粒する。ペレット
とは、一般的に、1.0mm以下の粒子が固まって6.
0〜50mmの球状になった粒子を指す。この際、造粒
に求められる作用は、乾燥する前の生ペレットの状態で
の強度が高いこと、乾燥工程中や輸送工程中に破壊され
て粉化しないこと等である。そして、従来からペレット
の強度を向上させるために、微粉状の原料に造粒添加剤
としてベントナイトを1重量%以上加えて混練し、適量
の水を散布しながら造粒操作を行い、ペレットを製造す
る方法が提案されている。尚、ここで述べるペレットと
は、高炉原料、焼結原料、転炉原料等になるものであ
り、その製造方法等は、特に限定されるものではない。
の製造においては、生石灰や糖蜜等のバインダーの使用
は、一般に高価であるために製造コストの上昇を招く。
また、生石灰を用いた造粒化は実用化されてはいるもの
の、生石灰は吸湿し易く、このとき発熱するため、取り
扱いに注意を要するという問題点を有している。また、
現在使用されている生石灰は、使用量を比較的多くしな
いと充分な効果が得られないため、コストが高くなる。
よって、その使用量を極力減少させて操業しているのが
現状である。そして、生石灰を2重量%以上添加して
も、その擬似粒化性の向上効果は頭打ちとなる傾向にあ
る。さらに、最近では、優良塊鉱の枯渇化と共に、粉鉱
石の劣質化も激しく、焼結原料の造粒性が以前よりも悪
化している問題がある。このために、生石灰添加による
造粒を実施しても、その効果が以前よりも小さくなって
いる。さらに、生石灰以外のバインダーは、焼結原料に
含まれる微粉の量を低減させる効果が不充分であり、焼
結ベッドの通気性を向上させて焼結時間を短縮する効果
が小さく、かつ、得られる焼結鉱の焼結鉱強度が弱い。
焼結鉱強度が弱い焼結鉱は、例えば焼結後の破砕時に微
粉が発生し易くなるので、返鉱が多くなり成品歩留が低
下し、その生産効率が低下する。このため、生石灰以外
のバインダーを用いた造粒化は実用化されていない。
による焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果は
まだ充分とは言えない状態である。
イトを使用すると、膨潤性が大きいために造粒時に多量
の水分を添加する必要がある。このため、生ペレットは
柔らかいために変形し易く、乾燥工程時にガスの通気性
が悪化し、充分な乾燥を行うのに長時間を要したり、強
度が低下する問題がある。さらに、ベントナイト中には
シリコン等の不純物成分が多く含まれており、溶銑、溶
鋼中のスラグの増大を招く等の問題がある。
たものであり、その目的は、製鉄用原料を造粒処理する
のに好適に用いられる造粒処理方法を提供することにあ
る。
的を達成すべく製鉄用原料の造粒処理に際し製鉄用原料
の造粒効果に優れた製鉄用造粒処理剤についてまず検討
した結果、アルカリ可溶性エマルションを含む製鉄用造
粒処理剤が、製鉄用原料の擬似粒化性の向上効果に優
れ、製鉄用原料の造粒効果に優れることを見出した。ま
た、本願発明者等は、酸基含有モノマーを例えば(メ
タ)アクリル酸エステルと共重合してなる共重合体を含
む製鉄用造粒処理剤が、製鉄用原料の造粒効果に特に優
れることを見出した。しかしながら、製鉄用原料を造粒
処理するためには、製鉄用造粒処理剤をバインダーとし
て、造粒処理に用いられる水に溶解させる必要がある。
このため、これら製鉄用造粒処理剤に用いられるポリマ
ーは、水溶液重合により予めポリマー水溶液の形態で形
成されるか、あるいは、乳化重合により得られたエマル
ションを、例えば塩基性の中和剤を用いて中和すること
によって水に溶解させてポリマー水溶液の形態としてか
ら用いている。
剤を水溶液の状態とした場合、濃度にもよるが、粘度が
高くなる。そして、このように粘度が高い製鉄用造粒処
理剤を用いた場合、粘度が高くなるほど、該製鉄用造粒
処理剤と製鉄用原料とを均一に混合することが困難とな
る傾向にある。特に、分子量が高いポリマーを用いた製
鉄用造粒処理剤ほど、低濃度でも高粘度となり、上記傾
向が強くなる。
ねた結果、アルカリ可溶性エマルションを含む製鉄用造
粒処理剤を、エマルションの状態のままで上記製鉄用原
料に添加、混合し、その後で上記製鉄用造粒処理剤(エ
マルション)を水溶液の状態とすることで、該アルカリ
可溶性エマルションを含む製鉄用造粒処理剤を予め水溶
液の状態で添加しなくても擬似粒化性を向上させること
ができることを見出すと共に、アルカリ可溶性エマルシ
ョンを含む製鉄用造粒処理剤を、エマルションの状態の
ままで上記製鉄用原料に添加して混合することで、該ア
ルカリ可溶性エマルションを含む製鉄用造粒処理剤が、
水溶液とした場合に粘度が高くなるような化合物であっ
ても、製鉄用造粒処理剤と製鉄用原料とを均一に混合す
ることができ、擬似粒化性を向上させる効果に優れ、焼
結機の生産効率を向上させることができ、この結果、安
価に製鉄用原料の造粒処理を行なうことができることを
見出して本発明を完成させるに至った。
り、あるいは、塩基性の中和剤を用いてエマルションを
水に溶解させることにより製鉄用造粒処理剤を水溶液の
状態としてから製鉄用原料に混合するのではなく、アル
カリ可溶性エマルションを製造し、該アルカリ可溶性エ
マルションを含むエマルション状の製鉄用造粒処理剤
を、エマルション状態のままで製鉄用原料に混合し、該
エマルションを添加する前、同時、後の何れかのタイミ
ングで塩基性の中和剤を別途添加することにより、該エ
マルション、つまり、上記製鉄用造粒処理剤を水に溶解
させることで、微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料を造粒処
理する際に、製鉄用造粒処理剤と製鉄用原料とを均一に
混合することができ、擬似粒化により微粉の量を低減さ
せることができ、焼結機の生産効率をより一層向上させ
ることができる。
方法は、上記の課題を解決するために、微粉の鉄鉱石を
含む製鉄用原料を造粒処理する方法において、アルカリ
可溶性エマルションを含む製鉄用造粒処理剤を、エマル
ションの状態のままで上記製鉄用原料に添加することを
特徴としている。
は、上記の課題を解決するために、上記製鉄用造粒処理
剤とは別に、上記製鉄用原料にアルカリ性物質を添加す
ることを特徴としている。
処理方法は、製鉄用原料(焼結原料またはペレット原
料)を混合、調湿等して造粒処理(擬似粒化またはペレ
ット化)する方法において、アルカリ可溶性エマルショ
ンを含む製鉄用造粒処理剤を、エマルションの状態のま
まで上記製鉄用原料に添加する方法である。また、本発
明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記製鉄用造
粒処理剤とは別に、上記製鉄用原料にアルカリ性物質を
添加する方法である。
ンとは、アルカリ性物質との混合により、エマルション
状態から水溶性状態となる特徴を有するエマルションを
示す。つまり、本発明にかかるアルカリ可溶性エマルシ
ョンとは、水に粒子として分散安定化しているポリマー
エマルションが、アルカリ性物質の添加により、ポリマ
ー粒子が水に溶解することで水溶性樹脂となるものであ
る。さらに詳しくは、上記アルカリ可溶性エマルション
において粒子を構成するポリマーは、少なくとも酸基含
有モノマーを含むモノマー成分を重合(共重合)したも
のであり、酸基含有モノマーを単独で、あるいは、該酸
基含有モノマーと共重合可能なその他のモノマーと
(共)重合することにより得ることができる。上記ポリ
マーは、エマルションを形成すべく、一般的に、乳化重
合によって合成される。
は、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基
含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、
スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホ基含有単
量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッド
ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオ
キシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェー
ト等の酸性リン酸エステル基含有単量体;ビニルフェノ
ール等の石炭酸系単量体;等が挙げられるが、特に限定
されるものではない。これら酸基含有モノマーは、必要
に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を
用いてもよい。
ことによって、これら酸基含有モノマー由来の単位を、
得られるポリマー中に導入することができる。すなわ
ち、これら酸基含有モノマー由来の単位は、一種類のみ
が含まれていてもよく、また、二種類以上が含まれてい
てもよい。上記例示の酸基含有モノマー由来の単位のう
ち、カルボキシル基含有単量体を重合することによって
得られるものがより好ましく、(メタ)アクリル酸を重
合することによって得られるものがさらに好ましい。
なその他のモノマーとしては、具体的には、例えば、
(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、クロ
ロメチルスチレン、等のスチレンおよびその誘導体;
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリル
アミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−
ジメチル(メタ)アクリルアミド、等の(メタ)アクリ
ルアミドおよびその誘導体;酢酸ビニル;(メタ)アク
リロニトリル;N−ビニル−2−ピロリドン;ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミ
ダゾール等の塩基含有単量体;N−メチロール(メタ)
アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリル
アミド等の、架橋性を有する(メタ)アクリルアミド系
単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメト
キシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シ
ラン、アリルトリエトキシシラン等の、加水分解性を有
する基がケイ素原子に直結しているシラン系単量体;グ
リシジル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル
(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体;2−
イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−
オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;2−アジ
リジニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリ
ロイルアジリジン等のアジリジン基含有単量体;フッ化
ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン等のハロゲン基含有単量体;(メタ)アクリル酸と、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ
スリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の、
分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリル
酸エステル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等
の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アク
リルアミド;ジアリルフタレート、ジアリルマレエー
ト、ジアリルフマレート等の、分子内に不飽和基を複数
有する多官能アリル化合物;アリル(メタ)アクリレー
ト;ジビニルベンゼン;等が挙げられるが、特に限定さ
れるものではない。これらモノマーは、必要に応じて、
一種類を用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよ
い。これらモノマーのなかでも、(メタ)アクリル酸エ
ステルが特に好ましい。
溶性エマルションにおいて粒子を構成する上記ポリマー
のなかでも、酸基含有モノマー由来の単位と(メタ)ア
クリル酸エステル由来の単位とを含む共重合体が、重量
平均分子量の大きい共重合体を高濃度で得ることがで
き、微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料を造粒処理する際
に、微粉粒子を核粒子の周りに付着させる効果に優れて
いる。該共重合体は、酸基含有モノマーと(メタ)アク
リル酸エステルとを含むモノマー組成物(モノマー成
分)を乳化重合することにより、容易に得ることができ
る。
は、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル
等の、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18の一価アル
コールとのエステル化物である(メタ)アクリル酸アル
キルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸と
ポリプロピレングリコールとのモノエステル化物、等の
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル;ポリ
エチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアル
キレングリコール(メタ)アクリレート;等が挙げられ
るが、特に限定されるものではない。これら(メタ)ア
クリル酸エステルは、必要に応じて、一種類を用いても
よく、また、二種類以上を用いてもよい。
含有モノマーと共重合することにより、これら(メタ)
アクリル酸エステル由来の単位を、得られるポリマー中
に導入することができる。上記例示の(メタ)アクリル
酸エステル由来の単位のなかでも、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチルを重合することによ
って得られるものがより好ましく、アクリル酸メチルを
重合することによって得られるものがさらに好ましい。
従って、上記共重合体は、カルボキシル基含有単量体と
アクリル酸メチルとを共重合することによって得られる
ものを含んでいることが特に好ましい。
に、これらモノマーの他に、分子量の調節を目的とし
て、連鎖移動剤を用いることもできる。該連鎖移動剤と
しては、具体的には、例えば、メルカプトエタノール、
メルカプトプロピオン酸、t−ドデシルメルカプタン等
のメルカプト基含有化合物;四塩化炭素;イソプロピル
アルコール;トルエン;等の連鎖移動係数の高い化合物
が挙げられる。
来の単位の割合は、特に限定されるものではないが、下
限値が好ましくは10重量%であり、さらに好ましくは
20重量%であり、上限値が好ましくは90重量%であ
り、さらに好ましくは80重量%である。
マー由来の単位と(メタ)アクリル酸エステル由来の単
位とを含む共重合体を得る場合、該共重合体に占める酸
基含有モノマー由来の単位の割合は、特に限定されるも
のではないが、下限値が好ましくは10重量%であり、
さらに好ましくは20重量%であり、上限値が好ましく
は90重量%であり、さらに好ましくは80重量%であ
る。一方、共重合体に占める(メタ)アクリル酸エステ
ル由来の単位の割合は、特に限定されるものではない
が、下限値が好ましくは10重量%であり、さらに好ま
しくは20重量%であり、上限値が好ましくは90重量
%であり、さらに好ましくは80重量%である。ただ
し、これらモノマー由来の単位の合計は100重量%と
する。
モノマー成分を乳化重合することにより、本発明にかか
るアルカリ可溶性エマルションが得られる。なお、上記
モノマー成分を乳化重合するに際しては、例えば、水中
油型乳化重合法、油中水型乳化重合法等、従来公知の乳
化重合法(エマルション重合)を採用することができ
る。
熱または酸化還元反応によって分解し、ラジカル分子を
発生させる化合物であればよいが、そのなかでも、水溶
性を備えた重合開始剤が好ましい。該重合開始剤として
は、具体的には、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;2,2’
−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,
4’−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)等の水溶性
アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解性開始剤;過酸化水
素およびアスコルビン酸、t−ブチルハイドロパーオキ
サイドおよびロンガリット、過硫酸カリウムおよび金属
塩、過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ナトリウム、
等の組み合わせからなるレドックス系重合開始剤;等が
挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重
合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類
以上を併用してもよい。尚、重合開始剤の使用量は、モ
ノマー成分の組成や重合条件等に応じて適宜設定すれば
よい。
る乳化剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノ
ニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面
活性剤、高分子界面活性剤、或いはこれらの反応性界面
活性剤等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。これら乳化剤は、必要に応じて、一種類を用いても
よく、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、乳化剤を用いることなく、乳化重合を行うこともで
きる。
は、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウ
ムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフ
ェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシ
ルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムス
ルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩、ナトリウ
ムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノール
ヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート、等の
アルキルスルホネート;長鎖アルキルナフタレンスルホ
ン酸塩;ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの
縮合物;ラウリル酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノ
ールアミン、アビエチン酸トリエタノールアミン等の不
飽和脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステ
ル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エス
テル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エス
テル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等
の、不飽和基を有する反応性アニオン乳化剤;等が挙げ
られる。これらアニオン系界面活性剤は、一種類のみを
用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポ
リオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタ
ン脂肪族エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
族エステル;グリセリンのモノラウレート等の、脂肪族
モノグリセライド;ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレン共重合体;エチレンオキシドと、脂肪族アミ
ン、アミドまたは酸との縮合物;等が挙げられる。これ
らノニオン系界面活性剤は、一種類のみを用いてもよ
く、また、二種類以上を併用してもよい。
例えば、ポリビニルアルコールおよびその変性物;(メ
タ)アクリル酸系水溶性高分子、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート系水溶性高分子、ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート系水溶性高分子(但し、本発明に
かかる共重合体とは異なる高分子);ポリビニルピロリ
ドン;等が挙げられる。これら高分子界面活性剤は、一
種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用して
もよい。
マー成分の組成や重合開始剤の種類等に応じて適宜設定
すればよいが、反応温度は0〜100℃の範囲内である
ことがより好ましく、40〜95℃の範囲内であること
がさらに好ましい。また、反応時間は3〜15時間程度
が好適である。本発明におけるモノマー成分の反応系へ
の供給方法としては、例えば、一括添加法、分割添加
法、成分滴下法、プレエマルション法、パワーフィード
法、シード法、多段滴下法等を行うことができるが、特
に限定されるものではない。
れるアルカリ可溶性エマルションが得られる。該アルカ
リ可溶性エマルションにおいて、粒子を構成する上記ポ
リマーの重量平均分子量は、2000以上、500万以
下であることが好ましい。また、その下限値(重量平均
分子量)は、3000であることがより好ましく、50
00であることが特に好ましい。その上限値(重量平均
分子量)は、400万であることがより好ましく、30
0万であることが特に好ましい。
ン、すなわち、アルカリ可溶性エマルション中に含まれ
る、上記ポリマーを含む不揮発分の濃度は、60重量%
以下であることがより好ましい。不揮発分の濃度が60
重量%を越えるエマルションは、粘度が高くなり過ぎる
と共に、分散安定性を保つことができずに凝集を生じる
おそれがある。
ン中に含まれる粒子(すなわち、粒子を構成する上記ポ
リマー)の平均粒径は、30nm以上、100μm以下
の範囲内であることがより好ましく、50nm以上、5
0μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。粒子
の平均粒径が30nm未満であるエマルションは、粘度
が高くなり過ぎると共に、分散安定性を保つことができ
ずに凝集を生じるおそれがある。
記したように、アルカリ性物質との混合により、その少
なくとも一部が、該アルカリ性物質により中和され、水
に溶解する。これにより、上記のアルカリ可溶性エマル
ション、つまり、本発明において製鉄用造粒処理剤とし
て用いられるアルカリ可溶性エマルションは、少量の使
用で以て充分な性能(効果)を発揮することができる。
ンは、製鉄用原料の造粒処理に際し、水に溶解させるこ
とにより、その効果を発揮する。しかしながら、このよ
うに上記のアルカリ可溶性エマルションを水溶液の状態
とした場合、該アルカリ可溶性エマルション中に含まれ
るポリマーの濃度にもよるが、粘度が高くなる傾向にあ
る。特に、分子量が高いポリマーほど、水溶液の状態と
した場合、低濃度でも高粘度となる傾向にあり、製鉄用
原料と均一に混合することが困難となる傾向にある。ま
た、ポリマーの種類や分子量によっては、粘度が高くな
りすぎ、例えば噴霧装置を用いた噴霧が困難となる等、
添加方法が制限されたり、高粘度水溶液を貯蔵、添加す
る大がかりな設備が必要であったり、作業に支障をきた
すおそれがある。この結果、作業性が低下したり、生産
効率の向上効果が十分に発揮されないおそれがある。
率よく行うために、アルカリ可溶性エマルションを含む
製鉄用造粒処理剤(つまり、少なくとも一部をアルカリ
性物質で中和することにより水に溶解するポリマー(酸
基含有モノマーに由来する構造単位を有するポリマー)
を含むエマルション)を、エマルションの状態のままで
上記製鉄用原料に添加する工程と、上記製鉄用造粒処理
剤とは別に、上記製鉄用原料にアルカリ性物質を添加す
る工程とを有している。
ョンを含む製鉄用造粒処理剤を、エマルションの状態の
ままで上記製鉄用原料に添加するとは、該アルカリ可溶
性エマルションを含む製鉄用造粒処理剤が、該アルカリ
可溶性エマルション中に含まれるポリマーが溶解せず、
ポリマー粒子として液体中に分散している状態を維持し
たまま上記製鉄用原料に添加されることを示す。つま
り、アルカリ可溶性エマルションを含む製鉄用造粒処理
剤を、エマルションの状態のままで上記製鉄用原料に添
加するとは、該アルカリ可溶性エマルションを含む製鉄
用造粒処理剤の、上記製鉄用原料への添加時に、上記ア
ルカリ可溶性エマルションが、造粒処理に用いられる水
やその他の成分等と予め混合されているかあるいは添加
時に混合されたとしても、上記アルカリ可溶性エマルシ
ョン中に含まれるポリマーが、ポリマー粒子として液体
中に分散している状態にあることを示し、より具体的に
は、該アルカリ可溶性エマルションを含む製鉄用造粒処
理剤を水溶液とせずにエマルション状態のままで上記製
鉄用原料に添加することを示す。
鉄用造粒処理剤を水溶液としないことで、該製鉄用造粒
処理剤の粘度を容易に所望の粘度に調整することが可能
である。このため、このように、上記アルカリ可溶性エ
マルションを含む製鉄用造粒処理剤を、エマルションの
状態のままで上記製鉄用原料に添加することで、上記製
鉄用造粒処理剤の粘度を、上記製鉄用原料への該製鉄用
造粒処理剤の添加、混合に支障をきたさない粘度、好適
には、上記製鉄用原料と上記製鉄用造粒処理剤との混合
が短時間でスムーズに進行する粘度、具体的には、20
0mPa・s以下の粘度に調整して上記製鉄用原料と上
記製鉄用造粒処理剤との混合を行なうことができる。こ
の結果、上記製鉄用原料と上記製鉄用造粒処理剤(エマ
ルション)とを均一かつ短時間で作業効率良く、混合す
ることができる。
ション(製鉄用造粒処理剤)の添加方法は、特に限定さ
れるものではなく、例えば、該アルカリ可溶性エマルシ
ョン(製鉄用造粒処理剤)を造粒機の添加水に混合する
方法、または、攪拌されている製鉄用原料に噴霧する方
法が簡便であり、均一に添加することができるので特に
好ましい。
粒子を構成する上記のポリマーの中和、すなわち、上記
アルカリ可溶性エマルションを水溶液とするために用い
られる上記のアルカリ性物質としては、具体的には、例
えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ
金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の塩基性炭
酸塩;アンモニア水、モノエタノールアミン等の窒素含
有塩基;等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。
溶性エマルションとは別に行なわれればよく、具体的に
は、例えば、粉体で予め鉄鉱石とブレンドしておく方
法、アルカリ性物質を水溶液として、上記アルカリ可溶
性エマルション(上記製鉄用造粒処理剤)を添加する
前、あるいは同時、あるいは後で添加(例えば噴霧)す
る方法等を用いることができる。
理剤とは別に、上記製鉄用原料にアルカリ性物質を添加
するとは、上記アルカリ性物質を、上記アルカリ可溶性
エマルション、あるいは該アルカリ可溶性エマルション
を含む製鉄用造粒処理剤と予め混合することなく(つま
り、上記アルカリ可溶性エマルションを予め水溶液の状
態とすることなく)、上記製鉄用原料に添加することを
示し、上記製鉄用原料への上記アルカリ可溶性エマルシ
ョンの添加とは独立して上記製鉄用原料にアルカリ性物
質を添加することを示す。
リ可溶性エマルション(製鉄用造粒処理剤)との混合と
は時間差をおいて上記のポリマーを水に溶解、増粘させ
ることができる。この結果、比較的粘度の低いエマルシ
ョンが製鉄用原料と速やか、かつ、均一に混ざり、次い
で、アルカリ性物質によりエマルションが溶解し、水溶
性ポリマーとなるため、効率的にポリマーが働き、造粒
性を向上することができる。
物質による中和によって、一瞬にして水に溶解するわけ
ではないため、上記アルカリ可溶性エマルション(上記
製鉄用造粒処理剤)の添加の前、あるいは同時に上記ア
ルカリ性物質を添加しても構わない。ただし、できるだ
け上記アルカリ可溶性エマルション(上記製鉄用造粒処
理剤)が製鉄用原料と均一に混合された後で上記アルカ
リ可溶性エマルションを水溶液の状態とすることが好ま
しく、このためには、上記アルカリ性物質を、粉体で予
め鉄鉱石とブレンドしておくか、あるいは、アルカリ性
物質を、上記アルカリ可溶性エマルション(上記製鉄用
造粒処理剤)の添加後(好適には混合後)に添加するこ
とが好ましく、効率面から、上記アルカリ性物質を水溶
液にして、上記アルカリ可溶性エマルション(上記製鉄
用造粒処理剤)の添加後に添加することがより好まし
い。
ルション(製鉄用造粒処理剤)を予め水溶液の状態で添
加しなくても擬似粒化性を向上させることができると共
に、アルカリ可溶性エマルションを含む製鉄用造粒処理
剤を、エマルションの状態のままで上記製鉄用原料に添
加して混合することで、該アルカリ可溶性エマルション
を含む製鉄用造粒処理剤が、水溶液とした場合に粘度が
高くなるような化合物であっても、製鉄用造粒処理剤と
製鉄用原料とを均一に混合することができ、擬似粒化性
を向上させる効果に優れ、焼結機の生産効率を向上させ
ることができ、この結果、安価に製鉄用原料の造粒処理
を行なうことができる。本発明にかかる製鉄用原料の造
粒処理方法は、水溶液としたときに、その粘度が200
mPa・s以上、さらには500mPa・s以上となる
アルカリ可溶性エマルションに特に好適である。
する、有効成分、つまり、上記アルカリ可溶性エマルシ
ョンにおいて粒子を構成する上記ポリマーの添加量は、
特に限定されるものではないが、下限値が好ましくは
0.001重量%であり、さらに好ましくは0.005
重量%であり、上限値が好ましくは5.0重量%であ
り、さらに好ましくは1.0重量%である。上記ポリマ
ーの添加量が5.0重量%を越える量のアルカリ可溶性
エマルションを添加すると、造粒過多となって焼結原料
の固まりができてしまい、該焼結原料の固まり内部への
通気が阻害され、焼結されなくなる等の悪影響が出てし
まう。また、上記ポリマーの添加量の下限値は、焼結原
料の鉱石の造粒性や、水分添加量、使用する造粒機等に
よって左右されるが、できるだけ少量となるように設計
することが望ましい。
に対する、有効成分、つまり、上記アルカリ可溶性エマ
ルションにおいて粒子を構成する上記ポリマーの添加量
は、特に限定されるものではないが、下限値が好ましく
は0.01重量%であり、さらに好ましくは0.05重
量%であり、上限値が好ましくは5.0重量%であり、
さらに好ましくは1.0重量%である。上記ポリマーの
添加量が5.0重量%を越える量のアルカリ可溶性エマ
ルションを添加すると、造粒過多となってペレット原料
の大きな固まりができてしまい、該ペレット原料の粒径
のバラツキが大きくなる等の悪影響が出てしまう。ま
た、上記ポリマーの添加量の下限値は、ペレット原料の
造粒性や、水分添加量、使用する造粒機等によって左右
されるが、できるだけ少量となるように設計することが
望ましい。
対する上記アルカリ性物質の添加量は、上記アルカリ可
溶性エマルションにおける上記ポリマーを構成する酸基
含有単量体の種類や組成、上記アルカリ性物質の種類等
に応じて、上記アルカリ可溶性エマルションの少なくと
も一部を中和することで上記アルカリ可溶性エマルショ
ンを水溶液の状態とすることができる量であれば特に限
定されるものではないが、上記アルカリ可溶性エマルシ
ョンにおける上記ポリマー中の酸基の量に対し、20モ
ル%以上、120モル%以下の範囲内で添加することが
好ましく、75モル%以上、100モル%以下の範囲内
で添加することがさらに好ましい。上記アルカリ性物質
の添加量が120モル%以上であればアルカリ性物質の
量が過剰となり、不経済な上、擬似粒子性の向上効果が
低下する場合がある。上記アルカリ性物質の添加量が2
0モル%以下であればエマルション粒子が溶解しないた
め、擬似粒子性の向上効果を得ることができないので好
ましくない。
基含有モノマーを例えば(メタ)アクリル酸エステルと
共重合してなる共重合体を上記ポリマーとして含むアル
カリ可溶性エマルションは、製鉄用原料を造粒(擬似粒
化またはペレット化)するバインダーとして作用し、そ
の使用量がかなり少なくても製鉄用原料を造粒する際
に、擬似粒化性を向上させる効果に優れ、焼結機の生産
効率を向上させることができる。
ン、特に酸基含有モノマーを例えば(メタ)アクリル酸
エステルと共重合してなる共重合体を上記ポリマーとし
て含むアルカリ可溶性エマルションを本発明の造粒処理
方法にかかる製鉄用造粒処理剤として用いることで、擬
似粒化性を向上させる効果に優れ、焼結機の生産効率を
向上させることができ、この結果、安価に製鉄用原料の
造粒処理を行なうことができる。
ンは、そのまま製鉄用造粒処理剤として用いることがで
きるが、例えばその効果を助長若しくは安定化させるこ
とを目的として、上記アルカリ可溶性エマルションが有
する性能を阻害しない範囲内で、必要に応じて、他の成
分を含んでいてもよく、上記アルカリ可溶性エマルショ
ン以外の成分として、例えば生石灰等の従来公知の他の
造粒添加剤等を併用しても構わない。
基含有モノマーを例えば(メタ)アクリル酸エステルと
共重合してなる共重合体を上記ポリマーとして含むアル
カリ可溶性エマルションは、多価金属イオンの影響を受
け難いことから、造粒効果の低下が起こり難く、生石灰
と併用しても、製鉄用原料に含まれる微粉の量を十分に
低減させることができるが、生石灰は、コストが高く、
また、取り扱いにも注意を要することから、生石灰の非
存在下で造粒処理を行うことが好ましく、生石灰を全く
添加しないか、添加しても、極力添加量を少なくするこ
とが好ましい。また、従来、製鉄用原料の造粒には、生
石灰を使用することが一般的であり、生石灰以外のバイ
ンダーを用いる場合でも生石灰とを併用するという考え
方があるが、上記製鉄用造粒処理剤は、生石灰を含まな
い、あるいは、生石灰と併用しないこと(すなわち、生
石灰の非存在下で造粒を行なうこと)が、上記製鉄用原
料の造粒における擬似粒化性を向上させる上で、より効
果的である。このため、上記製鉄用造粒処理剤が生石灰
を含むか、あるいは上記製鉄用造粒処理剤を生石灰と併
用する場合、該製鉄用造粒処理剤中の生石灰の割合、あ
るいは、上記製鉄用造粒処理剤に対する生石灰の添加量
は、該製鉄用造粒処理剤を製鉄用原料に添加する際にお
ける製鉄用原料に対する生石灰の割合、特に、鉄鉱石に
対する生石灰の割合が極力少なくなるように設定されて
いることが好ましい。
剤は、前記したように、最終的に水溶液とする必要があ
り、造粒処理時に、該造粒処理に用いる水を、該製鉄用
造粒処理剤とは別に添加するか、あるいは、予め上記製
鉄用造粒処理剤を水で希釈した状態で添加することがで
きる。すなわち、上記製鉄用造粒処理剤は、例えば粘度
調整(希釈)等を目的として、上記乳化重合により得ら
れたアルカリ可溶性エマルションの他に、さらに水を含
んでいてもよく、所定の濃度あるいは所定の粘度となる
ように希釈されていてもよい。この場合に用いられる水
の量、例えば、上記製鉄用造粒処理剤中の水の量として
は、造粒処理時に用いられる水の総量あるいはそれ以下
となるように適宜設定すればよく、特に限定されない。
る、本発明にかかる製鉄用造粒処理剤の添加量(割合)
は、該製鉄用造粒処理剤中に含まれる上記アルカリ可溶
性エマルションにおいて粒子を構成する上記ポリマー
が、造粒処理される製鉄用原料に対して0.001重量
%以上、5.0重量%以下の範囲内、具体的には、前述
した割合となるように設定すればよい。
料に対する上記製鉄用造粒処理剤中の上記ポリマーの添
加量(使用量)が0.1重量%以下、特に、造粒処理さ
れる鉄鉱石に対する上記製鉄用造粒処理剤中の上記ポリ
マーの添加量(使用量)が0.1重量%以下でも、造粒
後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数が8
5%以上となる。
は、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す値で
あり、この値が大きいものほど造粒性が良好で、焼結時
の通気性が向上し、焼結鉱の通気性が向上し、焼結鉱の
生産効率が高くなる。GI指数の測定については、後述
する。
含む製鉄用原料の各銘柄の粒度分布、造粒性、組成等に
応じて、製鉄用原料の一部を混合・混練・造粒した後、
これを残りの製鉄用原料に混合・混練して造粒する処理
方法についても、本発明にかかる造粒処理方法を用いて
上記製鉄用造粒処理剤を上記製鉄用原料に添加すること
により、擬似粒化することができる。例えば、製鉄用原
料の一部が難造粒性を示す場合には、この難造粒性の製
鉄用原料に上記製鉄用造粒処理剤を添加することによ
り、擬似粒化することができる。従って、少量の製鉄用
造粒処理剤で製鉄用原料を効率的に造粒することができ
る。
成分を添加するタイミングや場所等の組み合わせを自由
に選択することができ、従ってその組み合わせは、特に
限定されるものではない。つまり、複数の処理工程を有
し、上記製鉄用造粒処理剤と各処理方法とを組み合わせ
る造粒処理方法についても、本発明にかかる造粒処理方
法を適用して上記製鉄用造粒処理剤を製鉄用原料に添加
することにより、擬似粒化することができる。
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。実施例および比較例における平
均粒径およびGI指数は、下記方法により測定した。
尚、実施例および比較例に記載の「部」は「重量部」を
示し、「%」は「重量%」を示す。
得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することによ
り、その粒度(擬似粒度)並びに平均粒径を求めた。造
粒された擬似粒子のGI指数とは、製鉄研究第288号
(1976)9頁に開示されている評価方法の一つであ
り、前記したように核粒子の周りに付着する微粉粒子の
割合を示す。
焼結原料並びにペレット原料は、全て、絶乾状態のもの
を使用した。
ガス導入管、温度計、および還流冷却器を取り付けたフ
ラスコに、イオン交換水199.1部と、乳化剤(日本
乳化剤株式会社製、商品名;ニューコール707SF)
9.8部と、酸基含有単量体としてのスチレンスルホン
酸ナトリウム11.7部とを仕込んだ。次いで、75℃
で攪拌することにより、乳化剤を完全に溶解させると共
に、フラスコ内を窒索ガス置換した。一方、酸基含有単
量体としてのメタクリル酸164.3部と、(メタ)ア
クリル酸エステルとしてのアクリル酸メチル117.4
部とからなるモノマー組成物(モノマー成分)を、乳化
剤(同上)9.8部およびイオン交換水460.5部に
添加し、激しく攪拌することによりプレエマルションを
調製した。そして、該プレエマルションを滴下ロートに
仕込んだ。
ロートからプレエマルション52.6部を滴下し、75
℃で5分間攪拌した。続いて、重合開始剤としての過硫
酸アンモニウム5%水溶液13.7部をフラスコに投入
し、75℃で20分間攪拌することにより、初期重合を
行った。その後、反応温度を75℃に保ちながら、滴下
ロートから残りのプレエマルション699.3部を2時
間かけて滴下した。滴下終了から30分経過後、このフ
ラスコ内の水溶液に、還元剤として0.5%亜硫酸水素
ナトリウム水溶液13.8部を添加し、さらに1時間重
合させた後、得られた反応液を冷卸して、共重合を終了
した。
ポリマーを含む不揮発分の濃度が29.9%であるアル
カリ水可溶性エマルションを得た。GPC(ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー)を用いて測定した、上
記共重合体の重量平均分子量は、約140万であった。
そして、得られたエマルション122.6部を水537
7.4部に添加してよく攪拌、希釈することにより、本
発明にかかる製鉄用造粒処理剤としてのエマルション
(1)5500部を得た。一方、表1に示す組成を有す
る焼結原料(製鉄用原料)を調製した。
リ性物質(中和剤)としての炭酸ナトリウム9部をドラ
ムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、
予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該
焼結原料に、予め調製した上記エマルション(1)52
50部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。
焼結原料に対する上記共重合体の割合は0.05%であ
った。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌すること
により、造粒操作を行った。
ると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することに
より、平均粒径、並びに、造粒後の粒径が0.25mm
以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を、上記
製鉄用造粒処理剤中における有効成分の添加量、すなわ
ち、用いたエマルション(1)中における上記共重合体
の添加量と併せて表2に示す。
ション121.9部を水4878.1部に添加してよく
攪拌、希釈することにより、本発明にかかる製鉄用造粒
処理剤としてのエマルション(2)5500部を得た。
一方、実施例1と同じ焼結原料70000部をドラムミ
キサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備
攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結
原料に、予め調製した上記エマルション(2)4800
部を霧吹きを用いて約1分問かけて噴霧し、これに5%
炭酸ナトリウム水溶液450部を霧吹きを用いて約30
秒間かけて噴霧した。焼結原料に対する上記共重合体の
割合は0.05%であった。噴霧後、さらに同回転速度
で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った。得ら
れた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該疑似
粒子を80℃のオーブンを用いて1時間乾燥した後、ふ
るいを用いて分級することにより、平均粒径、並びに、
造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数
を求めた。この結果を、上記製鉄用造粒処理剤中におけ
る有効成分の添加量、すなわち、用いたエマルション
(1)中における上記共重合体の添加量と併せて表2に
示す。
000部に水5250部を添加することにより、造粒操
作を行った。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定す
ると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することに
より、平均粒径、並びに、造粒後の粒径が0.25mm
以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果をまとめ
て表2に示す。
000部をドラムミキサーに投入すると共に、該焼結原
料に、該焼結原料に対する割合が1.5%となるように
生石灰1050部を添加し、回転速度24min-1で1
分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しなが
ら、該焼結原料に水5600部をスプレーを用いて約
1.5分間かけて噴霧した。噴霧後、さらに同回転速度
で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った。得ら
れた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似
粒子をふるいを用いて分級することにより、平均粒径、
並びに、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子の
GI指数を求めた。この結果を、用いた生石灰の添加量
と併せて表2に示す。
明にかかる製鉄用造粒処理剤を少量用いることにより、
擬似粒子の平均粒径、GI指数を大きく増加させること
ができることが判った。この結果から、本発明にかかる
製鉄用造粒処理剤が焼結原料を擬似粒化するのに優れた
効果を発揮することが判ると共に、本発明にかかる製鉄
用造粒処理剤を少量用いることにより、擬似粒子を焼結
してなる焼結鉱の生産率を向上させることが判る。
法は、以上のように、アルカリ可溶性エマルションを含
む製鉄用造粒処理剤を、エマルションの状態のままで上
記製鉄用原料に添加する構成である。
理方法は、以上のように、上記製鉄用造粒処理剤とは別
に、上記製鉄用原料にアルカリ性物質を添加する構成で
ある。
石を含む製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)を
造粒処理(擬似粒化またはペレット化)するのに好適な
造粒処理方法を提供することができるという効果を奏す
る。上記の造粒処理方法によれば、微粉の鉄鉱石を含む
製鉄用原料(焼結原料またはペレット原料)を造粒処理
(擬似粒化またはペレット化)する際に、微粉粒子を核
粒子の周りに付着させる効果に優れ、焼結機の生産効率
を向上させることができ、それゆえ、製鉄用造粒処理剤
を安価に提供することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料を造粒処理
する方法において、 アルカリ可溶性エマルションを含む製鉄用造粒処理剤
を、エマルションの状態のままで上記製鉄用原料に添加
することを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。 - 【請求項2】上記製鉄用造粒処理剤とは別に、上記製鉄
用原料にアルカリ性物質を添加することを特徴とする請
求項1記載の製鉄用原料の造粒処理方法。
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JP2020513056A (ja) * | 2017-03-28 | 2020-04-30 | ペレトン グローバル リニューアブルズ リミテッド | バイオマスストリームから凝集体を生成する方法 |
JP2022092891A (ja) * | 2020-12-11 | 2022-06-23 | 花王株式会社 | 粉鉱石造粒物製造用添加剤 |
-
2001
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